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JP6134346B2 - 矢板の共下がり防止装置及び矢板の施工方法 - Google Patents

矢板の共下がり防止装置及び矢板の施工方法 Download PDF

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JP6134346B2 JP2015055043A JP2015055043A JP6134346B2 JP 6134346 B2 JP6134346 B2 JP 6134346B2 JP 2015055043 A JP2015055043 A JP 2015055043A JP 2015055043 A JP2015055043 A JP 2015055043A JP 6134346 B2 JP6134346 B2 JP 6134346B2
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Description

本発明は、地盤中に鋼矢板、鋼管矢板、プレストレストコンクリート(PC)矢板等の矢板を打込む際、又は、地盤から矢板を引抜く際に、打込み中又は引抜き中の矢板に係合している隣の矢板が追随することを防止するための共下がり防止装置及びこれを用いた矢板の施工方法に関する。
鋼矢板、鋼管矢板、PC矢板等、相互に係合する継手を備えた矢板は、杭打ち機械を使用した土木工事や建築工事において、下部工である土留め工、止水工又は永久杭等のために施工される(特許文献1、2等)。以下の従来技術の説明では、継手付きの矢板の例として主に鋼矢板について説明するが、他の矢板についても同様である。
図16は、従来の鋼矢板の施工方法を例示するための概略図である。相互に継手を係合させている鋼矢板群のうち、打込み中の鋼矢板に符号P5を、鋼矢板P5の隣に位置する4枚の既設の鋼矢板に対し打込み順に符号P1〜P4を付している(以下の同様の図においても同じ)。地盤表面を符号Gで示し、既設の鋼矢板P1〜P4の天端を符号hで示す。鋼矢板P5は、クレーンから吊り下げた杭打ち機械100により天端を把持され、地盤中に打ち込まれる。
鋼矢板P5を地盤中に打込む場合、隣の鋼矢板P4の継手に詰まった砂等を、次の鋼矢板P5の継手で押し下げつつ打込むことになるが、砂等の逃げ場がないために砂の内部摩擦角と楔効果によって継手抵抗力が生じる。また、鋼矢板P5に作用する土圧は、深度が大きくなるにつれ増大するため、鋼矢板P5の下端が押され気味となり、施工進行方向に傾斜(前倒れ)しようとすることによっても継手抵抗力が増大する。さらに、隣り合う鋼矢板同士が所定の角度をなせるように鋼矢板の継手には所定の自由度があることから、打込み中の鋼矢板P5に鉛直軸周りの回転力が作用することによっても継手抵抗力が増大する。このような継手抵抗力の増大により、既設の鋼矢板P4が、打込み中の鋼矢板P5に追随して引き下げられるという共下がり現象が起きる。
図16中には、従来の共下がり防止策の幾つかを示している。1つは、隣の鋼矢板P4の天端近傍に孔cを穿ち、補助クレーン200のフック201を孔cに掛けるか、又は、所定のクランプ(図示せず)で天端を把持し、補助クレーン200により上方へ引っ張る方法である(特許文献3)。また、別の方法としては、鋼矢板P4とP3及び鋼矢板P3とP2の各継手部分を溶接(符号w1、w2が溶接部分)する方法、又は、図示しないが鋼矢板P4とP3の継手部分に跨る治具をボルトで固定する方法(特許文献4、特許文献5)などがある。
鋼矢板の引抜き中にも、既設の鋼矢板が追随して引き上げられるという共上がり現象が起きる。共上がり現象は、鋼矢板群の打込み時から引抜き時までの時間経過等により、その程度は異なってくる。共上がり現象により、2枚の鋼矢板が係合したまま引き抜かれてしまうと、その後の切り離しは困難であり、再使用不可となる場合が多い。引抜き時に共上がり現象が発生した場合は、元の位置まで一旦打ち込んだ後、共上がりする鋼矢板に孔を穿ち、その孔を利用して当該鋼矢板を他の鋼矢板に引き寄せる力を掛け、その抵抗力によって共上がりを防止する。
上述した共下がり及び共上がりの防止策は、地盤中に鋼矢板を打込むことにより攪乱して低下した地盤強度が、打込み後の時間経過とともに再び回復する自然現象を利用したものである。つまり、既設の鋼矢板は、打込み後の時間経過が長いほど地盤との摩擦力が大きくなり、すなわち、相互に係合した既設の鋼矢板群においては、先に打ち込まれたものほど共下がりや共上がりに対する抵抗力が大きいことを利用している。
実開平6−43041号公報 実開平6−43042号公報 特開平6−57737号公報 特開平7−259094号公報 特開2000−345556号公報
共下がりや共上がりの現象が発生した場合、先ずは、当該現象を生じた矢板の引抜きや打込みを繰り返すことになり、作業負担が大きくなる上、施工時間も引き延ばされる。
また、上述した従来の共下がり又は共上がりの防止策には、以下のような問題点がある。
共下がり防止のために、打込み中に隣の矢板を補助クレーンで引っ張ることは、クレーンに2箇所の荷重が掛かることになるため転倒等の危険が伴う。また、矢板に孔を穿ったり、溶接やボルト固定を行ったりする場合は、作業負担が増える。さらに、仮設工の場合は、孔や溶接の部分は再使用不可となるため、それらの部分を損傷部として切断処理することになり、労力、時間及び資材が無駄となる。
以上の現状に鑑み、本発明は、鋼矢板等の継手付き矢板の施工において共下がり及び共上がりを防止するための装置であって、作業や時間の負担が少なく、資材を無駄にせず、かつ、施工性が向上し高品質の施工を行うことができる装置並びにこれを用いた矢板の施工方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の構成を提供する。括弧内の数字は、後述する図面の符号であり、参考のために付する。
本発明に係る鋼矢板の共下がり防止装置の一態様は、変形不能な剛性を備えた梁状の台座部(2)と、
前記台座部(2)の一端部に取り付けられ、打込み又は引抜き中の矢板(P5)の隣に位置する既設の矢板(P4)の天端を把持するための第1のクランプ部(1a)と、
前記台座部(2)の他端部に取り付けられ、前記第1のクランプ部(1a)が把持する矢板(P4)以外の既設の矢板(P2)の天端を把持するための第2のクランプ部(1b)と、を備えたことを特徴とする。
上記態様において、前記第2のクランプ部(1b)は、前記第1のクランプ部(1a)が把持する矢板(P4)との間に1つの中間の矢板(P3)を介在させて位置する既設の矢板(P2)の天端を把持することを特徴とする。
上記態様において、前記台座部(2)の下面中央部に取り付けられ、前記中間の矢板(P3)の天端上に載置するための支柱部(3)をさらに備えたことを特徴とする。
上記態様において、前記支柱部(3)から下方に延び、前記中間の矢板(P3)の側面に嵌合可能な面を具備するガイド部材(7)をさらに備えたことを特徴とする。
上記態様において、前記支柱部(3)は、前記台座部(2)の長手方向に垂直な方向において位置調整するための移動機構(8)をさらに備えたことを特徴とする。
上記態様において、前記支柱部(3)は、前記台座部(2)の長手方向に垂直な方向に沿って配置された2つの部材(31,32)から構成されることを特徴とする。
上記態様において、前記台座部(2)の一端部から延びる法線合わせ治具(4a,4c,4e,4f)をさらに備え、前記法線合わせ治具(4a,4c,4e,4f)はその先端に、打込み中の矢板(P5)の自由端側の継手に当接若しくは係合するための矢板当接部材(4a1,4e1)若しくは矢板係合部材(4c1)、又は、打込み中の矢板(P5)のウェブに当接するための矢板当接部材(4f1)を具備することを特徴とする。
上記態様において、前記台座部(2)の他端部から延びる別の法線合わせ治具(4b,4d)をさらに備えたことを特徴とする。
上記態様において、前記台座部(2)が、複数の部材(21,22)を長手方向に連結して形成されていることを特徴とする。
本発明に係る矢板の共下がり防止装置の別の態様は、梁状の台座部(2)と、
前記台座部(2)の一端部に取り付けられ、打込み又は引抜き中の矢板(P5)の隣に位置する既設の矢板(P4)とその隣の既設の矢板(P3)との継手部分の両側を把持するための第1のクランプ部(1a)と、
前記台座部(2)の他端部に取り付けられ、前記第1のクランプ部(1a)が把持する継手部分以外の既設の矢板同士の継手部分の両側を把持するための第2のクランプ部(1b)と、
前記台座部(2)の下面中央部に取り付けられ、前記第1のクランプ部(1a)が把持する継手部分と、前記第2のクランプ部(1b)が把持する継手部分の間に位置する中間の継手部分の上に載置される支柱部(3)と、を備えたことを特徴とする。
本発明に係る矢板の施工方法の態様は、上記いずれかの共下がり防止装置を、打込み又は引抜き対象の矢板を除く既設の矢板に設置する工程と、
打込み又は引抜き対象の矢板に打込み又は引抜きのための機械を設置する工程と、
打込み又は引抜き対象の矢板に対して打込み又は引抜きを行う工程と、を有する。
本発明に係る共下がり防止装置は、梁状の台座部と2つのクランプ部とを備え、第1のクランプ部は、最も共下がりを生じ易い既設の矢板(打込み又は引抜き中の矢板の隣に位置する矢板)を把持し、第2のクランプ部は、地盤に強固に固定されている別の既設の矢板を把持するように構成されている。この共下がり防止装置を矢板群の所定の天端上に配置し、第1及び第2のクランプ部を駆動して所定の既設の矢板を把持することで、共下がり現象を防止することができる。本装置を用いることにより、従来行っていた矢板に対する穿孔、溶接、ボルト固定等の作業は不要となる。この結果、施工性が向上し、迅速かつ低コストの施工が可能となる。
本発明の共下がり防止装置の多様な変形例の特徴により、打込み時の矢板の傾斜、蛇行、天端の不揃い、矢板群全体の打伸び及び打縮み等を防止することが可能となる。
図1は、本発明による杭の共下がり防止装置の基本形態の一例を示す概略図であり、(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)右側面図である。 図2は、図1に示した共下がり防止装置の設置状態を示す概略図であり、(a)正面図、(b)平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。 図3は、第1の実施形態の変形例である共下がり防止装置を概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図である。 図4は、第1の実施形態の別の変形例である共下がり防止装置を概略的に示しており、(a)正面図、(b)設置状態を示す正面図、(c)I−I断面図、(d)は、ガイド部材の別の実施例である。 図5は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置を概略的に示す図であり、(a)正面図、(b)は(a)の中央の点線囲みの拡大断面図、(c)は(a)の右側の点線囲みの拡大断面図である。 図6は、図5(b)のII断面図である。 図7は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置の一部を概略的に示す図であり、(a)クランプ部取付部の正面断面図、(b)は(a)のIII断面図である。 図8(a)(b)は、図7の共下がり防止装置の設置状態を示す底面図である。 図9は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置を概略的に示す正面図である。 図10は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置を概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図である。 図11は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置を概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。 図12は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置を概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。 図13は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Jを概略的に示しており(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。 図14は、本発明による鋼矢板の共下がり防止装置の第2の実施形態の一例を示す概略図であり、(a)設置状態を示す正面図、(b)同底面図、(c)は次の打込み工程の底面図である。 図15は、第2の実施形態の変形例である共下がり防止装置を概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同底面図、(c)は次の打込み工程の底面図である。 図16は、従来の鋼矢板の施工方法例を説明するための概略図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。各実施形態及び変形例の図面において、同じ構成要素又は類似の構成要素については同じか又は類似の符号を付している。
本発明に係る共下がり防止装置の適用対象は、鋼矢板、鋼管矢板、PC矢板等、相互に係合する継手付きの矢板である。以下では、継手付きの矢板の一例として主に鋼矢板について図示し、説明するが、他の矢板についても同様である。従って、基本的には、以下の説明における「鋼矢板」を、他の矢板である「鋼管矢板」若しくは「PC矢板」又は上位概念である「矢板」と読み替えてもよい。矢板の種類の違いにより必要となる本装置の変形は、当業者には自明の公知の技術を用いて行うことができる。
また、本発明に係る共下がり防止装置を、矢板の打込み時の共下がりを防止するための装置として説明するが、本装置は、既設の矢板の引抜き時の共上がり防止装置としてもそのまま適用できるものである。よって、本装置は、より正確には「矢板の随伴上下移動防止装置」と称することができる。
(1)第1の実施形態
図1は、本発明による鋼矢板の共下がり防止装置の第1の実施形態の一例を示す概略図であり、(a)正面図、(b)平面図、(c)底面図、(d)右側面図である。
図2は、図1に示した共下がり防止装置の設置状態を示す概略図であり、(a)正面図、(b)平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。(簡明とするため、(b)(c)の平面図では、駆動部5及び吊り部材6の図示を省略し、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示す。)図2では、一例として、本装置をU形鋼矢板に適用している。U形鋼矢板からなる鋼矢板群では、各鋼矢板を交互に反対向きとなるように係合させていく。
第1の実施形態における共下がり防止装置10の主要部は、図1(a)に示すように、台座部2と、台座部2の両端部にそれぞれ設けた第1のクランプ部1a及び第2のクランプ部1bとを有する。台座部2は、十分な剛性を備えた梁状の部材である。図2(a)に示すように、台座部2は長手方向が施工進行方向に沿うように配置される。図示の例では、台座部2はH形鋼材であるが、角形又は箱形の鋼材でもよい。図1(b)に示す台座部2の長さLは適用対象の鋼矢板の幅に応じて、また、台座部2の幅Wは適用対象の鋼矢板の高さに応じて、適宜設定される。図示の例では、各クランプ部1a、1bの上面が台座部2の各端部の下面に取り付けられている。
クランプ部1a、1bは、例えば1台当たり10t程度の把持力を有する把持装置である。経験上、打込み中の鋼矢板が隣の鋼矢板を引込もうとする継手抵抗力の大きさが10t程度であるため、1台当たり10t程度の把持力をもつ把持装置を複数台用いれば十分と考えられるが、施工条件に応じて適宜選択する。通常、一般的な小型バイブロハンマの把持装置を、クランプ部1a、1bとして利用することができる。
クランプ部1a、1bは、公知のバイブロハンマの把持装置と同様に、それぞれ固定爪1a1、1b1と、可動爪1a2、1b2とからなる把持爪を有する。これらの把持爪の幅(例えば90〜125mm)は、把持対象の鋼矢板の幅(400〜900mm)に応じて適宜選択する。
第1のクランプ部1aの固定爪1a1及び可動爪1a2と、第2のクランプ部1bの固定爪1b1及び可動爪1b2とは、図示の例では、鋼矢板に対して互いに反対側に位置するように取り付けられている。別の例として、固定爪1a1、1b1同士、可動爪1a2、1b2同士を、鋼矢板に対して同じ側に配置してもよい。
なお、他の種類の継手付き矢板に適用する場合は、当該継手付き矢板の把持に適した構造をもつクランプ部を採用する。いずれの継手付き矢板も、その天端の把持装置は公知であり、それらの把持装置を利用できる。
図示の例では、台座部2の上面中央部に可動爪1a2、1b2を駆動するための駆動部5を設置している。駆動部5は、例えば油圧ポンプであり、適宜の筐体内に、電源であるバッテリ、ポンプ本体、切替弁、油タンクを収容している。バッテリを用いることにより、電源がコードレスとなるため、共下がり防止装置10の作業遂行が容易となる。
別の例として、駆動部5は、本装置に組み込まなくてもよい。例えば、地上に別置きした駆動装置(駆動部5に対応する構成)を油圧ホースにより本装置のクランプ部の油圧シリンダに接続し駆動してもよい。
好適には、共下がり防止装置10の台座部2の下面中央部に支柱部3が取り付けられている。図示の例では、支柱部3は、鋼矢板の天端に当接する平板部材3aと、台座部2との間を連結する柱部材3bとから構成される。平板部材3aの底面積は、適用対象の鋼矢板の寸法に応じて適宜設定される。支柱部3の柱部材3bは、図示の例ではH形鋼材であるが、角形又は箱形の鋼材でもよい。あるいは、支柱部3全体を1つの角形又は箱形の鋼材で構成してもよい。
好適には、共下がり防止装置10の台座部2の上面には、共下がり防止装置10を鋼矢板に対して着脱する際に使用する吊り部材6が設けられている。
ここで、図2を参照する。図2(a)に示すように、共下がり防止装置10の第1のクランプ部1aは、打込み中の鋼矢板P5の隣に位置する既設の鋼矢板P4の天端hを把持する。一方、第2のクランプ1bは、鋼矢板P4との間に1枚の中間の鋼矢板P3を介在させて位置する鋼矢板P2の天端hを把持する。鋼矢板P2は、打込み中の鋼矢板P5より3つ前の打込み工程で打ち込まれたものである。従って、鋼矢板P2においては、打込み時に一旦低下した周囲の地盤強度が既に回復し、十分な抵抗力を備えていると考えられる。共下がり防止装置10は、鋼矢板P4を鋼矢板P2に固定する役割を果たす。これにより、鋼矢板P4の共下がり現象を防止することが可能となる。
原理的には、第2のクランプ部1bは、第1のクランプ部1aが把持する鋼矢板P4以外のいずれかの既設の鋼矢板を把持すればよい。また原理的には、第2のクランプ部1bを1つではなく複数設けて複数の既設の鋼矢板(例えば鋼矢板P2と鋼矢板P1)を把持してもよい。本発明は、これらの実施形態を排除するものではない。しかしながら、共下がり防止装置の大きさや重量、必要十分な共下がり防止性能などを考慮すれば、第2のクランプ部1bは、共下がりを生じ易い鋼矢板P4との間に1枚の中間の鋼矢板P3を介在させて位置する鋼矢板P2を把持することが、好適である。
支柱部3は、中間に位置する鋼矢板P3が浮き上がらないように、鋼矢板P3の天端h上に載置されている。図2(b)に示すように、支柱部3の平面部材3aが、中間の鋼矢板P3の両端の継手部分まで覆って押さえることが好適である。支柱部3により、クランプ部1aと1bがそれぞれ把持する鋼矢板P4とP2の天端hの高さを一致させることができる。ここで、図1(a)及び(d)を参照すると、設計上の鋼矢板の天端hの位置を一点鎖線で示している。支柱部3の平面部材3aの底面と、クランプ部1a、1bが鋼矢板Pを把持したときの天端hの位置が一致するように設計されている。
鋼矢板群は、図2(b)に示す法線nに沿って打込むべく設計されている。しかしながら、施工技術等の原因から実際には、各鋼矢板が法線nから若干逸れて蛇行してしまう場合がある。クランプ部1a及びクランプ部1bの各々の固定爪1a1、1b1と可動爪1a2、1b2の鋼矢板に対する位置を、図示のように相互に反対側にするか、又は、同じ側にするかについては、法線nに沿わせ易い方を適宜選択する。
再び図1を参照する。好適には、共下がり防止装置10の台座部2の上面には、鋼矢板を法線に沿って打ち込むためのガイドとなる法線合わせ治具が取り付けられている。図示の例では、一対の法線合わせ治具4a、4bが設けられ、台座部2の両端から左右対称に張り出している。法線合わせ治具4aは、台座部2の右端部から水平に右方向に延びる支持板部材4a2と、その先端に設けた矢板当接部材4a1とを具備する。法線合わせ治具4bは、台座部2の左端部から水平に左方向に延びる支持板部材4b2と、その先端に設けた矢板当接部材4b1とを具備する。
なお、図示の例では、法線nが直線であるので法線合わせ治具4a、4bが台座部2の長手方向と平行に延びている。一方、法線nが曲線の場合、法線合わせ治具4a、4bは、台座部2の長手方向に対し水平面内で適切な角度をなして延びるように取り付けられる。
図2(a)(b)(c)を参照して、連続する2枚の鋼矢板P5及び鋼矢板P6の打込み工程について説明する。図2(a)(b)は、鋼矢板P5の打込み工程を示している。準備工程として、共下がり防止装置10を吊り部6を用いてクレーン(図示せず)により鋼矢板P2〜P4の天端上に降ろし、駆動部5によりクランプ部1a、1bの可動爪を駆動し、鋼矢板P4、P2を把持させる。
次に、打込み対象の鋼矢板P5をクレーンにより吊込み、その一方の継手を鋼矢板P4の継手と係合させつつ鋼矢板P5を建込む。このとき、法線合わせ治具4aの先端の矢板当接部材4a1の当接面は、鋼矢板P5の自由端側の継手P5aに当接する。これにより、鋼矢板P5は法線nに対して正しい位置に規定される。この状態で、鋼矢板P5の天端に杭打ち機械(図示せず)を取り付け、鋼矢板P5の打込みを行う。
図2(c)は、鋼矢板P5の次に打ち込まれる鋼矢板P6の打込み工程を示している。準備工程として、鋼矢板P5の打込みを完了した後、駆動部5を駆動してクランプ部1a、1bの把持を解除し、吊り部6を用いて共下がり防止装置10を吊上げた後、水平面内で180度回転させる。これにより、法線合わせ治具4bが施工進行方向に向く。続いて、共下がり防止装置10を鋼矢板P3〜P5の天端上に降ろし、駆動部5によりクランプ部1a、1bの可動爪を駆動し、鋼矢板P5、P3を把持させる。
次に、打込み対象の鋼矢板P6を、上述した鋼矢板P5と同様に建込み、同様に打込みを行う。この場合は、法線合わせ治具4bの矢板当接部材4b1が、鋼矢板P6の自由端側の継手P6aに当接することにより、鋼矢板P6は法線nに対して正しい位置に規定される。
共下がり防止装置10をU形鋼矢板に適用する場合、各鋼矢板の打込み毎に180度回転させる必要があるため、法線合わせ治具も左右一対設けている。但し、後述する図11に示す変形例の共下がり防止装置は、U形鋼矢板であっても回転させずに施工できるため、法線合わせ治具は1つのみでよい。また、後述する図12に示す変形例の共下がり防止装置はハット形鋼矢板に適用されるため、法線合わせ治具は1つのみでよい。
以下、第1の実施形態の種々の変形例1〜9について説明するが、これらの各変形例における特徴的構成は、支障のない限り、複数を組み合わせて適用してもよい。なお、各変形例の説明では、主として、図1及び図2に示した共下がり防止装置10と異なる点について説明する。
(1−1)第1の実施形態の変形例1
図3は、第1の実施形態の変形例である共下がり防止装置10Aを概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図である。
共下がり防止装置10Aでは、クランプ部1a、1bの上半部の油圧シリンダ部を台座部2Aの両端部の内部に組み込んでいる。この場合、台座部2Aは、角形又は箱形の鋼材で形成されている。図1に示した共下がり防止装置10に比べて、共下がり防止装置10Aでは、装置の全高を低くかつコンパクトにすることができる。図示しないが別の例として、クランプ部1a、1bの上半部の油圧シリンダ部を、台座部2Aの両端部の左右側面に取り付けてもよい。
また、共下がり防止装置10Aでは、駆動部5も台座部2Aの内部空間に収容している。この点でも、装置の全高を低くかつコンパクトにすることができる。
また、共下がり防止装置10Aでは、支柱部3Aが1つの角形又は箱形の鋼材で形成されている。角形又は箱形の鋼材の底面が、中間の鋼矢板P3の天端を押さえている。
(1−2)第1の実施形態の変形例2
図4は、第1の実施形態の別の変形例である共下がり防止装置10Bを概略的に示しており、(a)正面図、(b)設置状態を示す正面図、(c)I−I断面図、(d)はガイド部材の別の実施例である。(簡明とするため、(c)I−I断面図ではクランプ部1a、1bは把持爪のみを示す。)
共下がり防止装置10Bでは、支柱部3の下面(図示の例では、平面部材3aの下面)から下方に適宜の長さで延びるガイド部材7を溶接又はボルト付け等により取り付けている。図4(c)に示すように、ガイド部材7は、中間の鋼矢板P3におけるウェブwと左右のフランジfの内側の側面に嵌合可能な面を有する。共下がり防止装置10Bを鋼矢板群の天端に設置する際は、ガイド部材7を中間の鋼矢板P3に嵌合させつつ降下させる。ガイド部材7が中間の鋼矢板P3に嵌合することにより、支柱部3が中間の鋼矢板P3の幅方向の中央に正確に配置されるとともに、第1及び第2のクランプ部1a、1bがそれぞれ鋼矢板P4、P2の幅方向の中央を正確に把持することができる。
ガイド部材7により、共下がり防止装置10Bが既設の鋼矢板P4、P2のウェブ中央を正確に把持し固定した状態で新たな鋼矢板P5の打込みが行われるため、鋼矢板群全体の打縮み(設計上の全長より短くなること)や打伸び(設計上の全長より長くなること)を抑制することができる。また、ガイド部材7により、規定の法線nに沿って施工することも容易となる。このことは、特に、土留め工事や止水工事等の締切り工において有用である。
図4(d)は、ガイド部材7の別の実施例であるガイド部材7Aを平面部材3aに取り付けた状態の正面図である。ガイド部材7Aは、ガイド部材7の中央部分を切り欠き、2つに分割した部材7a、7bからなる。ガイド部材7Aは、ガイド部材7と同じ機能をもつ。
(1−3)第1の実施形態の変形例3
図5及び図6は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Cを概略的に示す図である。図5については、(a)正面図、(b)は(a)の中央の点線囲みの拡大断面図、(c)は(a)の右側の点線囲みの拡大断面図である。図6は、図5(b)のII断面図である。
共下がり防止装置10Cは、支柱部3の前後移動機構8Aと、クランプ部1a、1bの前後移動機構8Bを備えている。前後方向とは、水平面内にて台座部2の長手方向に垂直な方向である。一般的な鋼矢板には、フランジ高さの異なる幾つかの種類がある。フランジ高さの異なる鋼矢板に適用する際に、支柱部3及びクランプ部1a、1bの前後方向の位置を適切に調整することにより、支柱部3を鋼矢板天端の適切な位置に載置できるとともに、クランプ部1a、1bが鋼矢板のウェブを確実に把持することができる。
図5(b)及び図6に示す支柱部3の前後移動機構8Aは、台座部2のH形鋼材の下側フランジ2aと、挿入平板部材8aと、支柱部3のH形鋼材3bの上側フランジと、ボルト8cと、ナット8dとを用いて構成されている。図6には、II断面図を示す。
図5(b)及び図6に示すように、台座部2の下側フランジ2aには、複数の幅広スリット2a1が前後方向に穿設され、挿入平板部材8aには複数の幅狭スリット8a1が前後方向に穿設されている。下側フランジ2aと挿入平板部材8aは、1組の幅広スリット2a1と幅狭8a1が上下方向において重なるように互いに固定されている。これにより、1組の幅広スリット2a1と幅狭スリット8a1は、断面T字型の空間を形成する。ボルト8bの頭部は幅広スリット2a1内に収容され、ボルト8bの軸部は幅狭スリット8a1を貫通し、さらに支柱部3のH形鋼材3bの上側フランジを貫通してナット8cで下端を固定されている。この機構において、各ボルト8bの頭部は、各幅広スリット2a1内を前後にスライド可能であり、これにより、支柱部3が台座部2に対して前後移動可能である。
図5(c)に示すクランプ部1aの前後移動機構8Bは、支柱部3の前後移動機構8Aと基本的に同様の構成である。この場合、ボルト8bの下端は、ナットで固定される替わりにクランプ部1aの筐体上端部に螺合されている。図示しないが、クランプ部1bの前後移動機構についても同様である。
支柱部3の前後移動機構8Aとクランプ部1a、1bの前後移動機構8Bは、双方を設けてもよく、又は、いずれか一方のみを設けてもよい。また、図5及び図6に示した前後移動機構は一例であって、これ以外にも多様な構成が可能である。
(1−4)第1の実施形態の変形例4
図7及び図8は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Dの一部を概略的に示す図である。図7は、(a)クランプ部取付部の正面断面図、(b)は(a)のIII断面図である。図8(a)(b)は、図7の共下がり防止装置10Dの設置状態を示す底面図である。(簡明とするため、図8では一部の構成要素を省略し、鋼矢板については断面を示している。)
図7(a)(b)に示すクランプ部1a(クランプ部1bについても同様)の回動機構9は、台座部2のH形鋼材の下側フランジ2aと、挿入平板部材9aと、クランプ部1aの筐体上端部と、ピン9bと、ボルト9cとを用いて構成されている。
図7(b)に示すように、台座部2の下側フランジ2aには、クランプ部1aの筐体上面の中心に対応する位置に円形孔2a2が穿設されている。下側フランジ2aにはさらに、円形孔2a2と同心の円周に沿ってクランプ部1aの筐体上面の範囲内に4つの幅広スリット2a3が穿設されている。挿入平板部材9aには、上記円形孔2a2と同心でこれより小さい円形孔9a2が穿設されている。挿入平板部材9aにはさらに、上記幅広スリット2a3に沿ってこれより狭い幅狭スリット9a3が穿設されている。下側フランジ2aと挿入平板部材9aは、円形孔2a2と円形孔9a2、及び、幅広スリット2a3と幅狭スリット9a3が、上下方向において重なるように固定されている。
ピン9bは、円形孔2a2内に頭部が収容され、ピン9bの軸部は円形孔9a2を貫通して、クランプ部1aの筐体上端部に穿設された凹部内にて下端が固定されている。
1組の幅広スリット2a3と幅狭スリット9a3は、断面T字型の空間を形成する。ボルト9cの頭部は幅広スリット2a3内に収容され、ボルト9cの軸部は幅狭スリット9a3を貫通し、クランプ部1aの筐体上端部に螺合されている。
この機構によれば、各ボルト9cの頭部は、ピン9bを中心として幅広スリット2a3内をスライド可能であり、これにより、クランプ部1aがピン9bを中心として台座部2に対して回動可能である。
図8(a)は、鋼矢板P2〜P4が法線nに沿って正確に打ち込まれた状態を示している。この場合は、回動機構によるクランプ部1a、1bの角度調整は不要である。図8(b)は、鋼矢板P2及び鋼矢板P4が法線nから若干逸れ、蛇行して打ち込まれた状態を示している。この場合、回動機構によりクランプ部1a、1bの角度を調整することにより、クランプ部1a、1bが、法線nから逸れた鋼矢板P4、P2を確実に把持することができる。
なお、クランプ部の回動機構の別の実施例として、上述した中心の円形孔とピン9bからなる機構のみ、又は、上述した円周上のスリットとボルト9cからなる機構のみを設けてもよい。また、図7及び図8に示した回動機構は一例であって、これ以外にも多様な構成が可能である。
なお、回動機構は、法線nが直線ではなく曲線の場合にも有用である。例えば、矢板を円形又は円弧状に打ち込む場合等である。その場合、法線nの曲線に沿うように、回動機構によりクランプ部の角度を調整する。
(1−5)第1の実施形態の変形例5
図9は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Eを概略的に示す正面図である。
鋼矢板群の天端を揃えるためには、共下がり防止装置により鋼矢板を把持する前に、水準器を用いて共下がり防止装置の水平を確保してから鋼矢板を把持することが好ましい。図9に示した共下がり防止装置10Dでは、水準器の役割を果たす傾斜計11を台座部2の正面中央部に取り付けている。傾斜計11は、指針11aと目盛り11bとから構成される。
(1−6)第1の実施形態の変形例6
図10は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Fを概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図である。(簡明とするため、(b)の平面図では、駆動部5及び吊り部材6の図示を省略し、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示す。)
図10(a)に示すように、共下がり防止装置10Fにおいては、図1に示した法線合わせ治具4a、4bとは異なる構成の法線合わせ治具4c、4dを採用している。法線合わせ治具4cと4dは、共下がり防止装置10Fの水平方向の180度回転に対応するべく左右対称に設けられている。
法線合わせ治具4cは、台座部2の右端部から水平に右方向に延びる支持板部材4c2と、その先端に設けた矢板係合部材4c1とを具備する。法線合わせ治具4dは、台座部2の左端部から水平に左方向に延びる支持板部材4d2と、その先端に設けた矢板係合部材4d1とを具備する。
矢板係合部材4c1は、打込み対象の鋼矢板P5と同形状の鋼矢板の一部を切り取った形状を有する。具体的には、鋼矢板の一方の継手を含む適宜の幅L1(例えば全幅の1/2又は1/3)と適宜の長さL2を有する。いわばダミー鋼矢板である。矢板係合部材4c1は、溶接又はボルト等により支持板部材4c2上の所定の位置に固定される。打込み時には、打込み中の鋼矢板P5の自由端側の継手P5aと矢板係合部材4c1の継手4c11とを係合させた状態で打込みを行う。これにより、鋼矢板群の規定の法線が出し易くなる。
(1−7)第1の実施形態の変形例7
図11は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Gを概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。(簡明とするため、(b)(c)の平面図では、駆動部5及び吊り部材6の図示を省略し、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示す。)
共下がり防止装置10Gは、上述した第1の実施形態における1つの支柱部を前後方向において2つに分離し、第1の支柱部31と、第2の支柱部32とを設けている。
また、上述した第1の実施形態においては法線合わせ治具を左右対称に2つ設けていたが、本例では1つの法線合わせ治具4eのみを設けている。法線合わせ治具4eは、台座部2の幅方向中央から施工進行方向に延びる支持板部材4e2とその先端に取り付けられた矢板当接部材4e1とを具備する。この場合、矢板当接部材4e1の2つの面が鋼矢板との当接面となる。
図11(b)に示すように、鋼矢板P5を打込む際には、第1の支柱部31が鋼矢板P3を押さえており、法線合わせ治具4eの矢板当接部材4e1の一方の側面が鋼矢板P5の自由端側の継手P5aに当接している。次の工程で鋼矢板P6を打込む際には、図11(c)に示すように、第2の支柱部32が鋼矢板P4を押さえており、法線合わせ治具4eの矢板当接部材4e1の他方の側面が鋼矢板P6の自由端側の継手P6aに当接している。
本例では、次工程に移行する際に、共下がり防止装置10Gを180度回転する必要がないという利点がある。
(1−8)第1の実施形態の変形例8
図12は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Hを概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。(簡明とするため、(b)(c)の平面図では、駆動部5及び吊り部材6の図示を省略し、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示す。)
共下がり防止装置10Hは、ハット形鋼矢板に適用した例である。ハット形鋼矢板からなる鋼矢板群では、各鋼矢板を同じ向きで係合させていく。U形鋼矢板の場合と同様に、クランプ部1aが打込み中の鋼矢板P5の隣に位置する鋼矢板P4を把持し、支柱部3が中間の鋼矢板P3上に載置され、クランプ部1bがその隣の鋼矢板P2を把持する。
ハット形鋼矢板の場合、全ての鋼矢板が同じ向きであるので、次工程に移行する際に共下がり防止装置10Hを180度回転する必要がない。従って、法線合わせ治具4fは、1つのみ設けている。法線合わせ治具4fは、台座部2の適宜箇所から施工進行方向に延びる支持板部材4f2とその先端に取り付けられた矢板当接部材4f1とを具備する。図示の例では、矢板当接部材4f1をハット形鋼矢板のウェブに当接させている。別の例として、矢板当接部材4f1をハット形鋼矢板の自由端側のアームに当接させてもよい。
なお、ハット形鋼矢板は、U形鋼矢板に比べて幅が広いため、より長い台座部2が必要となる。そこで、複数の部材を連結することにより、適切な長さの台座産2を形成することが好適である。図示の例では、両端の2つの基本部材21と、中央の補助部材22とを連結している。これにより、台座部2を、幅の異なる種々の鋼矢板に適用可能な汎用的なものとすることができる。なお、複数の部材を長手方向に連結して台座部2を形成することは、本例に限らず、他の変形例においても適用可能である。
(1−9)第1の実施形態の変形例9
図13は、第1の実施形態のさらに別の変形例である共下がり防止装置10Jを概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同平面図、(c)は次の打込み工程の平面図である。(簡明とするため、(b)(c)の平面図では、駆動部5及び吊り部材6の図示を省略し、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示す。)
共下がり防止装置10Jでは、第1の実施形態における支柱部3に替えて、中間の鋼矢板P3の天端を把持する第3のクランプ部1cを設けている。
第3のクランプ部1cは、第1及び第2のクランプ部1a、1bと基本的に同じ把持装置でよく、台座部2の中央部下面に取り付けられる。本例の場合、第1及び第2のクランプ部1a及び1bの固定爪と可動爪は、鋼矢板に対して同じ側となるように配置するとともに、第3のクランプ部1cの固定爪と可動爪は、第1及び第2のクランプ部1a及び1bのそれらに対し反対側となるように配置することが好ましい。
図示の例では、各クランプ部と台座部2の間にそれぞれ、図5及び図6で示した挿入平板部材8aを取り付け、各クランプ部の前後移動機構を設けている。これにより、各クランプ部の前後位置の調整を行うことができ、フランジの高さの異なる鋼矢板に対応することができる。
あるいは、図示しないが、各クランプ部と台座部2の間にそれぞれ、図7及び図8で示した挿入平板部材9aを取り付け、各クランプ部の回動機構を設けてもよい。これにより、各クランプ部の水平面内での角度調整を行うことができ、鋼矢板の法線からの逸れに対応することができる。
(2)第2の実施形態
図14は、本発明による鋼矢板の共下がり防止装置の第2の実施形態の一例を示す概略図であり、(a)設置状態を示す正面図、(b)同底面図、(c)は次の打込み工程の底面図である。(簡明とするため、(b)(c)の底面図では、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示し、鋼矢板については断面を示している。)
なお、上述した第1の実施形態の変形例1〜9における各特徴的構成は、支障のない限り、第2の実施形態と組み合わせて適用してもよい。
共下がり防止装置20は、台座部2の下面に2つのクランプ部1a、1bを取り付けている。本例では、支柱部は設けない。共下がり防止装置20では、装置の小型化、軽量化を図ることができる。
図14(b)に示すように、クランプ部1a、1bは、法線nに対して傾斜して取り付けられている。これは、各クランプ部が、2枚の鋼矢板が係合する継手部分の両側のフランジを把持するためである。第1のクランプ部1aは、共下がりを生じ易い鋼矢板P4とその隣の鋼矢板P3との継手部分の両側を把持している。第2のクランプ部1bは、鋼矢板P3とその隣の鋼矢板P2との継手部分の両側を把持している。
図14(c)に示す次の打込み工程では、共下がり防止装置20を180度回転すると共に、施工進行方向に鋼矢板1枚分だけ移動して継手部分を把持している。
なお、U形鋼矢板の種類によってフランジの角度が異なるため、図7及び図8で示したクランプ部の回動機構を設けることにより、クランプ部1a、1bの水平面内での傾斜角度を調整可能とすることが好ましい。
また、原理的には、クランプ部1bは、さらに前に打ち込まれた鋼矢板の継手部分を把持してもよく、そのような実施例についても排除しない。しかしながら、装置の軽量化とコンパクト化のためには、直ぐ隣の継手部分を把持することが好ましい。
(2−1)第2の実施形態の変形例
図15は、第2の実施形態の変形例である共下がり防止装置20Aを概略的に示しており、(a)設置状態を示す正面図、(b)同底面図、(c)は次の打込み工程の底面図である。(簡明とするため、(b)(c)の底面図では、クランプ部1a、1bは把持爪のみを示し、鋼矢板については断面を示している。)
共下がり防止装置20Aは、台座部2の下面の両端に2つのクランプ部1a、1bを取り付け、中央部に支柱部3を取り付けている。本例では、法線合わせ治具を図示していないが、図14の例と同様に設けてもよい。
図15(b)に示すように、クランプ部1a、1bは、法線nに対して傾斜して取り付けられている。第1のクランプ部1aは、共下がりを生じ易い鋼矢板P4とその隣の鋼矢板P3との継手部分の両側を把持している。第2のクランプ部1bは、鋼矢板P3の隣の鋼矢板P2とその隣の鋼矢板P1との継手部分の両側を把持している。支柱部3は、クランプ部1a、1bが把持する2つの継手部分の中間に位置する鋼矢板P3と鋼矢板P2の継手部分(クランプ部により把持されていない継手部分)の上に載置され、この継手部分を押さえている。
図15(c)に示す次の打込み工程では、共下がり防止装置20Aを180度回転すると共に施工進行方向に鋼矢板1枚分だけ移動して継手部分を把持している。
また、共下がり防止装置20Aは、図7及び図8で示した挿入平板部材9aを取り付けており、クランプ部の回動機構を設けている。共下がり防止装置20Aでは、180度回転すると、継手部分のフランジに対するクランプ部の傾斜角度が逆となるため、回動機構によりクランプ部の傾斜角度を継手部分のフランジの角度に合わせる。
10、10A、10B、10C、10D、10E、10F、10G、10H、10J、20、20A:共下がり防止装置
1a、1b、1c:クランプ部
1a1、1b1、1c1:固定爪
1a2、1b2、1c2:可動爪
2:台座部
3、3A:支柱部
3a:平板部材
3b:柱部材
4a、4b、4c、4d、4e:法線合わせ治具
4a1、4b1、4e1:矢板当接部材
4c1、4d1:矢板係合部材
4a2、4b2、4c2、4d2、4e2:支持板部材
5:駆動部
6:吊り部材
7:ガイド部材
8:前後移動機構
8a:挿入平板部材
9:水平回動機構
9a:挿入平板部材
11:傾斜計
P1、P2、P3、P4、P5、P6:鋼矢板

Claims (11)

  1. 変形不能な剛性を備えた梁状の台座部(2)と、
    前記台座部(2)の一端部に取り付けられ、打込み又は引抜き中の矢板(P5)の隣に位置する既設の矢板(P4)の天端を把持するための第1のクランプ部(1a)と、
    前記台座部(2)の他端部に取り付けられ、前記第1のクランプ部(1a)が把持する矢板(P4)以外の既設の矢板(P2)の天端を把持するための第2のクランプ部(1b)と、を備えたことを特徴とする
    矢板の共下がり防止装置。
  2. 前記第2のクランプ部(1b)は、前記第1のクランプ部(1a)が把持する矢板(P4)との間に1つの中間の矢板(P3)を介在させて位置する既設の矢板(P2)の天端を把持することを特徴とする
    請求項1に記載の矢板の共下がり防止装置。
  3. 前記台座部(2)の下面中央部に取り付けられ、前記中間の矢板(P3)の天端上に載置するための支柱部(3)をさらに備えたことを特徴とする
    請求項2に記載の矢板の共下がり防止装置。
  4. 前記支柱部(3)から下方に延び、前記中間の矢板(P3)の側面に嵌合可能な面を具備するガイド部材(7)をさらに備えたことを特徴とする
    請求項3に記載の矢板の共下がり防止装置。
  5. 前記支柱部(3)は、前記台座部(2)の長手方向に垂直な方向において位置調整するための移動機構(8)をさらに備えたことを特徴とする
    請求項3又は4に記載の矢板の共下がり防止装置。
  6. 前記支柱部(3)は、前記台座部(2)の長手方向に垂直な方向に沿って配置された2つの部材(31,32)から構成されることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の矢板の共下がり防止装置。
  7. 前記台座部(2)の一端部から延びる法線合わせ治具(4a,4c,4e,4f)をさらに備え、前記法線合わせ治具(4a,4c,4e,4f)はその先端に、打込み中の矢板(P5)の自由端側の継手に当接若しくは係合するための矢板当接部材(4a1,4e1)若しくは矢板係合部材(4c1)、又は、打込み中の矢板(P5)のウェブに当接するための矢板当接部材(4f1)を具備することを特徴とする
    請求項1〜のいずれかに記載の矢板の共下がり防止装置。
  8. 前記台座部(2)の他端部から延びる別の法線合わせ治具(4b,4d)をさらに備えたことを特徴とする
    請求項に記載の矢板の共下がり防止装置。
  9. 梁状の台座部(2)と、
    前記台座部(2)の一端部に取り付けられ、打込み又は引抜き中の矢板(P5)の隣に位置する既設の矢板(P4)とその隣の既設の矢板(P3)との継手部分の両側を把持するための第1のクランプ部(1a)と、
    前記台座部(2)の他端部に取り付けられ、前記第1のクランプ部(1a)が把持する継手部分以外の既設の矢板同士の継手部分の両側を把持するための第2のクランプ部(1b)と、
    前記台座部(2)の下面中央部に取り付けられ、前記第1のクランプ部(1a)が把持する継手部分と、前記第2のクランプ部(1b)が把持する継手部分の間に位置する中間の継手部分の上に載置される支柱部(3)と、を備えたことを特徴とする
    矢板の共下がり防止装置。
  10. 前記台座部(2)が、複数の部材(21,22)を長手方向に連結して形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の矢板の共下がり防止装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の共下がり防止装置を、打込み又は引抜き対象の矢板を除く既設の矢板に設置する工程と、
    打込み又は引抜き対象の矢板に打込み又は引抜きのための機械を設置する工程と、
    打込み又は引抜き対象の矢板に対して打込み又は引抜きを行う工程と、を有する
    矢板の施工方法。
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