本発明では、AC(Alternating Current)電圧から正の電圧成分又は負の電圧成分を生成し、生成された電圧を用いてAC電圧を任意の値に分圧する。
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第一の実施形態について説明する。図1は、第一の実施形態の画像形成装置の構成の概略を説明する図である。
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成の概略を示す図である。
本実施形態の画像形成装置100は、スキャナ部110と、プリンタ部120とを有する。本実施形態の画像形成装置100においてスキャナ部110は、読み取った原稿(図示せず)の反射光を電気信号に変換し、さらにそのアナログ電気信号をデジタル画像信号に変換してプリンタ部120に出力する。プリンタ部120は、スキャナ部110から入力された画像データ、又は画像形成装置100と接続されたコンピュータ等から送信された画像データに基づき画像形成動作を行なう。
本実施形態のプリンタ部120は、感光体ドラム121、帯電器122、書き込み装置123、現像装置124、給紙装置125、転写装置126、分離装置127、定着装置128等を有する。
本実施形態において、感光体ドラム121は帯電器122により均一に帯電される。画像形成装置100に入力された画像データは、画像処理部(図示せず)で各種補正、各種変換・変倍等の処理がされた後に書き込み装置123に入力される。書き込み装置123は、入力された画像データに基づいてレーザ光を感光体ドラム121に照射する。感光体ドラム121上に形成された静電潜像は現像装置124により加熱溶融性のトナーにより現像され可視像化される。一方、給紙装置125から記録紙(図示せず)が給紙ローラ131により給紙され、搬送ローラ132を介してレジストローラ133へ搬送される。レジストローラ133は感光体ドラム121上のトナー像に同期して記録紙を送出する。この記録紙に、転写装置126の作用により感光体ドラム121上のトナー像が転写される。
そして、分離装置127の作用により記録紙が感光体ドラム121から分離され、搬送ガイド134に案内されて定着装置128に導かれる。記録紙上の未定着トナー像が定着装置128により加熱定着され、記録紙は排紙ローラ135により機外に排出される。また、感光体ドラム121は記録紙の分離後にクリーニング装置136により残留トナーが除去され、除電器137により残留電荷が消去される。
図2は、第一の実施形態の電源制御装置の構成を説明する図である。
本実施形態の電源制御装置200は、負荷210と接続されており、負荷210に電圧を供給する。本実施形態の負荷とは、例えば帯電器122、現像装置124、転写装置126、定着装置128等である。電源制御装置200から出力される電圧は、例えば帯電器122が感光体121を帯電させる帯電バイアス電圧や、現像装置124におれる現像バイアス電圧等に用いられる。
本実施形態の電源制御装置200は、制御部220と電源装置230とを有する。制御部220はCPU240が搭載された制御基板である。本実施例の制御部220は、電源装置230を制御する。
電源装置230は、高圧電源を出力する高圧電源装置であり、AC電源部250、DC(Direct Current)電源部260を有する。
本実施形態の制御部220は、電源装置230に対して電源電圧Vddを供給する。また本実施形態の制御部220は、電源装置230に対して出力値制御信号を出力する。本実施形態の電源装置230のAC電源部250、DC電源部260は、出力値制御信号に対応した電圧を出力する。すなわち本実施形態のAC電源部250は、電源電圧Vddを交流電圧に変換し、出力値制御信号に対応したAC電圧として出力する。また本実施形態のDC電源部260は、電源電圧Vddから出力値制御信号に対応したDC電圧を生成し、出力する。
本実施形態の電源装置230では、AC電源部250においてAC電圧を任意の電圧に分圧することができる。
以下に本実施形態のAC電源部250について説明する。図3は、第一の実施形態のAC電源部の概略を説明する図である。
本実施形態のAC電源部250は、共通トランス251と、電圧出力部270とを有する。電圧出力部270は、極性分離部252、分圧部253、254、合成部255、トランジスタドライバ256、257を有する。
共通トランス251は、制御部220から供給される電源電圧VddをAC電圧に変換する。極性分離部252は、ダイオードD1、D2を有し、AC電圧を正の電圧成分と負の電圧成分とに分離する。具体的にはダイオードD1は、AC電圧から正の電圧成分を抽出し、ダイオードD2はAC電圧から負の電圧成分を抽出する。
すなわちダイオードD1は共通トランス251から出力されるAC電圧から正の電圧成分を生成する生成手段であり、ダイオードD2は共通トランス251から出力されるAC電圧から負の電圧成分を生成する生成手段である。よって本実施形態の極性分離部252は、AC電圧から正の電圧成分又は負の電圧成分を生成する生成手段である。
分圧部253は、抵抗R1、抵抗R2、トランジスタM1を有する。分圧部253は、トランジスタドライバ256を介してトランジスタM1のベースに供給される出力値制御信号SG1に基づき、ダイオードD1から出力された正の電圧成分を分圧する。分圧部254は、抵抗R3、抵抗R4、トランジスタM2を有する。分圧部254は、トランジスタドライバ257を介してトランジスタM2のベースに供給される出力値制御信号SG2に基づき、ダイオードD2から出力された負の電圧成分を分圧する。
合成部255は、スイッチ素子S1とスイッチ素子S2とを有し、分圧部253により分圧されたAC電圧の正の電圧成分と、分圧部254により分圧されたAC電圧の負の電圧成分とを合成する。
トランジスタドライバ256、257は、制御部220から出力される出力値制御信号SG1,SG2を分圧部253、254へ出力する。尚本実施形態において制御部220から出力される出力値制御信号SG1,SG2は、例えば電源装置230の目標出力電圧を示すPWM(Pulse Width Modulation)信号である。また本実施形態のトランジスタドライバ256、257は、例えば出力値制御信号(PWM信号)の波形を平均化した電圧として出力する。
本実施形態のAC電源部250では、ダイオードD1のアノードとダイオードD2のカソードとが共通トランス251と接続されている。ダイオードD1のカソードは、抵抗R1の一端と接続されている。抵抗R1の他端は、抵抗R2の一端と接続されている。抵抗R2の他端は、トランジスタM1のコレクタに接続されている。トランジスタM1のエミッタは接地されており、トランジスタM1のベースは、トランジスタドライバ256の出力と接続されている。トランジスタM1は、N型トランジスタである。抵抗R1と抵抗R2との接続点Aは、スイッチ素子S1の一端と接続されている。
ダイオードD2のアノードは、抵抗R4の一端と接続されている。抵抗R4の他端は、抵抗R3の一端と接続されている。抵抗R3の他端は、トランジスタM2のコレクタに接続されている。トランジスタM2のエミッタは接地されており、トランジスタM2のベースは、トランジスタドライバ257の出力と接続されている。トランジスタM2は、P型トランジスタである。抵抗R3と抵抗R4との接続点Bは、スイッチ素子S2の一端と接続されている。
スイッチ素子S1の他端とスイッチ素子S2の他端とは接続されている。本実施形態のAC電源部250は、スイッチ素子S1とスイッチ素子S2との接続点Cの電圧を出力電圧とする。
以下に本実施形態のAC電源部250の動作を説明する。本実施形態のAC電源部250は、共通トランス251から出力されるAC電圧をダイオードD1とダイオードD2とにより正の電圧成分と負の電圧成分に極性を分離する。ダイオードD1からは正の電圧成分が出力され、ダイオードD2からは負の電圧成分が出力される。
ダイオードD1により分離された正の電圧成分は、出力値制御信号SG1がトランジスタM1のベースに供給されると、抵抗R1と抵抗R2との接続点Aにおいて、抵抗R1,R2及びトランジスタM1の抵抗により分圧される。トランジスタM1の抵抗とは、コレクターエミッタ間の抵抗である。トランジスタM1の抵抗は、出力値制御信号SG1によりベースに供給される電圧に応じて発生するトランジスタM1のコレクタ電流に連動して変化する。すなわち本実施形態では、出力値制御信号SG1によりベースに印加される電圧に応じてトランジスタM1の抵抗を変化させ、分圧比を調整できる。
ダイオードD2により分離された負の電圧成分は、出力値制御信号SG2によりトランジスタM2がオンされると、抵抗R3と抵抗R4との接続点Bにおいて、抵抗R3,R4及びトランジスタM2の抵抗により分圧される。トランジスタM2の抵抗についても、トランジスタM1の抵抗と同様である。
分圧された正の電圧成分と負の電圧成分とは、スイッチ素子S1,S2のスイッチングにより合成される。具体的にはスイッチ素子S1は、接続点Aの電圧が正の電圧成分である場合にオンされる。またスイッチ素子S2は、接続点Bの電圧が負の電圧成分である場合にオンされる。したがって接続点Cの電圧は、正の電圧成分と負の電圧成分とが合成されたAC電圧となる。本実施形態のスイッチ素子S1,S2は、正の電圧成分と負の電圧成分のそれぞれにおいてオン/オフの制御が可能な素子であればよい。またスイッチ素子S1,S2のオン/オフの制御は、例えば図示しない制御信号により制御されても良い。この制御信号は、制御部220から出力されても良い。
本実施形態の分圧比は、例えば出力値制御信号SG1に基づきトランジスタM1のベースに印加される電圧により決定される。すなわち本実施形態では、制御部220から出力される出力値制御信号SG1に基づき分圧比を決定することができる。
以下に本実施形態の出力値制御信号SG1,SG2について説明する。本実施形態では、制御部220の有するCPU240が出力値制御信号SG1,SG2により分圧比を制御する。本実施形態のCPU240は、例えばAC電源部250の出力電圧の目標値と、出力値制御信号SG1,SG2としてトランジスタドライバ256とトランジスタドライバ257とにそれぞれ供給するPWM信号のデューティとを対応付けた情報を保持している。
本実施形態の出力値制御信号SG1は、トランジスタM1の特性に合わせた信号であり、出力値制御信号SG2は、トランジスタM2の特性に合わせた信号である。また本実施形態の出力電圧の目標値は、例えばAC電源部250から出力されるAC電圧の振幅値である。
CPU240は、例えば出力電圧の目標値とPWM信号のデューティとを対応付けたテーブルを保持していても良いし、目標値とデューティ値との関係を示す式を保持していても良い。
本実施形態の電源装置200は、例えば画像形成装置100本体の制御部から、AC電圧の目標値を指示されると、制御部220がこの指示に従ってAC電源部250から目標値を出力させる。具体的には制御部220は、CPU240により、指示された目標値と対応するデューティを参照し、参照したデューティの出力値制御信号SG1,SG2をAC電源部250に出力する。AC電源部250では、出力値制御信号SG1,SG2に基づき共通トランス251から出力されるAC電圧が分圧され、出力電圧として出力される。
このように本実施形態のAC電源部250では、共通トランス251から出力されるAC電圧を任意に分圧することができる。また本実施形態のAC電源部250では、分圧比を決定するためにトランジスタM1,M2を有しているため、出力電圧(AC電圧)をリニアに制御することができる。
尚図3の例では、AC電源部250の出力電圧のチャンネル数を1チャンネルとしたが、複数チャンネル独立した出力電圧を得る場合には、共通トランス251に対して電圧出力部270を複数並列に接続すれば良い。
また本実施形態では、出力値制御信号の示す電圧に基づくトランジスタM1,M2の抵抗により分圧比を調整するものとしたが、これに限定されない。例えば印加された電圧により抵抗値が変化する素子であれば、トランジスタM1,M2の代わりに用いても良い。
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第二の実施形態について説明する。本発明の第二の実施形態は、合成前の正の電圧成分と負の電圧成分とをフィードバックさせる点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図4は、第二の実施形態のAC電源部を説明する図である。本実施形態のAC電源部250Aは、電圧出力部270Aを有する。電圧出力部270Aは、出力FB(フィードバック)回路310,311、比較回路312,313を有する。
出力FB回路310は、接続点Aの電圧を所定レベルの電圧に変換し、比較回路312へ出力する。具体的には出力FB回路310は、接続点Aの電圧を1/10程度の大きさの電圧とし、比較回路312へ出力する。比較回路312は、出力FB回路310からは出力される電圧の平均値と、出力値制御信号SG1の平均値とを比較し、出力FB回路310の出力の平均値を出力値制御信号SG1の平均値へ近づけるようにトランジスタドライバ256へ指示する。尚出力値制御信号SG1の平均値とは、出力電圧の目標値の平均値である。
出力FB回路311と比較回路313は、出力FB回路310と比較回路312と同様の動作を行う。比較回路313は、出力FB回路311の出力の平均値を出力値制御信号SG2の平均値へ近づけるようにトランジスタドライバ257へ指示する。
本実施形態のAC電源部250Aでは、このように合成前の正の電圧成分と負の電圧成分とに対して、それぞれを出力電圧の目標値に近づけるようにフィードバック制御を行う。
本実施形態では、この構成により、例えば環境変化や部品の特性のばらつき等により出力電圧が出力値制御信号SG1,SG2に対してずれることを防止でき、目標値に対して精度の良い出力電圧を得ることができる。
(第三の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第三の実施形態について説明する。本発明の第三の実施形態は、出力値制御信号SG1を補償する補償回路を有する点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第三の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図5は、第三の実施形態のAC電源部を説明する図である。
本実施形態のAC電源部250Bは、電圧出力部270Bを有する。電圧出力部270Bは、補償回路320を有する。本実施形態の補償回路320は、出力値制御信号SG1をトランジスタM2の特性にあった信号に補償する。補償回路320により補償された出力値制御信号SG11は、トランジスタドライバ257に供給される。以下に本実施形態の補償回路320について説明する。
図6は、第三の実施形態の補償回路を説明する図である。本実施形態の補償回路320は、電圧変換回路321と、オフセット回路322とを有する。電圧変換回路321は、入力電圧を変換することで、トランジスタM2の動作範囲を変更し、トランジスタM2の特性の直線の傾きとトランジスタM1の特性の直線の傾きとを揃える。オフセット回路322は、電圧をオフセットすることトランジスタM2の動作領域を左右にずらし、トランジスタM1の動作範囲と一致するようにする。
図7は、第三の実施形態のトランジスタの入力−出力特性を示す図である。図7(A)はトランジスタM1の入力−出力特性を示し、図7(B)はトランジスタM2の入力−出力特性を示す図である。図7では、横軸がトランジスタM1,M2のベースに供給する電圧を示し、縦軸はトランジスタM1,M2のエミッタ−コレクタ間電圧(分圧電圧)を示す。
図7(A),(B)に示すように、一般的にN型トランジスタであるトランジスタM1と、P型トランジスタであるトランジスタM2とでは動作領域が異なっており、線形的に応答する領域の傾きも異なる。本実施形態では、補償回路320により、トランジスタM1の動作領域とトランジスタM2の動作領域とが重なるように補償する。
図8は、補償後のトランジスタの分圧電圧特性を示す図である。図8(A)はトランジスタM1の分圧電圧特性を示し、図8(B)はトランジスタM2の補償後の分圧電圧特性を示す図である。
図8(A)のラインL1はトランジスタM1の線形領域における直線を示している。図8(B)のラインL2は補償前のトランジスタM2の線形領域における直線を示し、ラインL3は補償後のトランジスタM2の線形領域における直線を示している。
ラインL1とラインL2を比較すると、両者の傾きが異なっており、動作範囲も異なることがわかる。これに対してラインL3は、ラインL1と傾き及び動作範囲がほとんど等しくなっていることがわかる。
すなわち本実施形態では、補償回路320を設けることにより、トランジスタM1,M2の両方に対して出力値制御信号SG1を供給すれば良くなり、トランジスタM2の特性に合わせた出力値制御信号SG2を入力する必要がなくなる。よって本実施形態によれば、CPU240から出力される信号を出力値制御信号SG1のみとすることができ、CPU240の処理負荷やメモリ負荷を半減させることができる。
尚本実施形態では、補償回路320による補償対象を出力値制御信号SG1としたが、これに限定されない。例えば出力値制御信号SG2を補償回路320により補償し、トランジスタドライバ256に供給しても良い。
(第四の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第四の実施形態について説明する。本発明の第四の実施形態は、第二の実施形態と第三の実施形態との組み合わせである。
図9は、第四の実施形態のAC電源部を説明する図である。本実施形態のAC電源部250Cは、電圧出力部270Cを有する。電圧出力部270Cは、出力FB回路310,311、比較回路312,313、補償回路320を有する。本実施形態では、この構成により、トランジスタM1とトランジスタM2へ入力される入力電圧を一つの出力値制御信号SG1から生成することができる。
また本実施形態では、補償回路320を有することで、N型、P型両方のトランジスタM1,M2への入力電圧、分圧出力を揃えることができる。
また本実施形態では、出力FB回路310,311を有することで、両極性の分圧電圧を精度良く揃えることができる。したがって本実施形態では、例えば出力値制御信号SG1で示す目標値の振幅が変動した場合でも、分圧電圧の振幅の変化は両極性同じとなり、出力される電圧波形の中心値は変わらない。
例えば画像形成装置100では、AC電圧の中心値がずれると、ずれた分が画像濃度に影響するという問題がある。本実施形態では、上述したようにAC電源部250から出力されるAC電圧の中心値のずれを低減できるためは、AC電圧の中心値がずれによる画像濃度の影響を低減できる。
尚本実施形態では、出力値制御信号SG1を補償回路320による補償対象としたが、これに限定されない。本実施形態では、出力値制御信号SG2を補償回路320による補償対象としても良い。
(第五の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第五の実施形態について説明する。本発明の第五の実施形態は、分圧部にダーリントン接続を用いた点のみ第一の実施形態と相違する。よって以下の第五の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点についてのみ説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図10は、第五の実施形態のAC電源部を説明する図である。本実施形態のAC電源部250Dは、電圧出力部270Dを有する。本実施形態の電圧出力部270Dは、分圧部253A、254Aを有する。
本実施形態の分圧部253Aは、トランジスタM1,M3、抵抗R1,R2を有する。本実施形態では、トランジスタM1とトランジスタM3をダーリントン接続とした。ダーリントン接続とは、2個のトランジスタを、コレクタを並列に接続し、第1のトランジスタのエミッタを第2のトランジスタのベースに接続して、1個のトランジスタと同じように扱う方式である。
トランジスタM1のベースには、トランジスタM3のエミッタが接続されており、トランジスタM3のベースにトランジスタドライバ256を介して出力値制御信号SG1が供給される。トランジスタM3のコレクタはトランジスタM1のコレクタと抵抗R2との接続点と接続されている。トランジスタM3は、トランジスタM1と同じN型トランジスタである。
本実施形態の分圧部254Aは、トランジスタM2,M4、抵抗R3,R4を有する。トランジスタM2のベースには、トランジスタM4のエミッタが接続されており、トランジスタM4のベースにトランジスタドライバ257を介して出力値制御信号SG2が供給される。トランジスタM4のコレクタはトランジスタM2のコレクタと抵抗R3との接続点と接続されている。トランジスタM4はトランジスタM2と同じP型トランジスタである。
本実施形態では、以上のように同じ種類のトランジスタをダーリントン接続することで、トランジスタの動作範囲を範囲に広げることが可能になる。
図11は、第五の実施形態のトランジスタの入力−出力特性を示す図である。図11では、トランジスタM1の入力−出力特性を示している。
トランジスタM3を接続しない場合のトランジスタM1の入力−出力特性は、図7(A)に示される。この場合入力電圧の範囲は0.37〜0.62Vの0.25Vである。これに対し、トランジスタM3を接続した場合のトランジスタM1の入力電圧の範囲は、0.6〜1.1Vの0.5Vとなる。
本実施形態では、このようにトランジスタM1の動作範囲を広げることで、出力値制御信号SG1で示す目標値を細かく変化させることができる。例えばトランジスタM3が接続されていない場合では、トランジスタM1への入力電圧が0.37〜0.62Vの範囲内で出力値制御信号SG1を設定する必要がある。これに対して本実施形態では、トランジスタM1への入力電圧が0.6〜1.1Vの範囲内で出力値制御信号SG1を設定すれば良い。よって本実施形態では出力値制御信号SG1による目標値の設定を高精度に行うことができ、その分出力電圧の変動を低減することができる。
尚図11では、トランジスタM1と出力値制御信号SG1についてのみ示したが、トランジスタM2と出力値制御信号SG2についても同様のことが言える。
(第六の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第六の実施形態について説明する。本発明の第六の実施形態では、スイッチ素子にサイリスタを用いた点のみ第二の実施形態と相違する。よって以下の第六の実施形態の説明では、第二の実施形態との相違点についてのみ説明し、第二の実施形態と同様の機能構成を有するものには第二の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図12は、第六の実施形態のAC電源部を説明する図である。本実施形態のAC電源部250Eは、電圧出力部270Eを有する。本実施形態の電圧出力部270Eは、合成部255Aを有する。
合成部255Aは、抵抗R5,R6,R7,R8と、サイリスタD10,D20を有する。本実施形態では、サイリスタD10,D20がスイッチ素子S1、S2の機能を果たす。
本実施形態の抵抗R5〜R8は、接続点Aと接続点Bとの間で直列に接続されている。抵抗R6と抵抗R7の接続点Dは接地されている。サイリスタD10のアノードは、抵抗R5の一端と接続点Aとに接続されており、サイリスタD10のカソードはサイリスタD20のアノードと接続されている。本実施形態では、サイリスタD10のカソードとサイリスタD20のアノードとの接続点Cの電圧が出力電圧となる。
サイリスタD10のベースは、抵抗R5と抵抗R6の接続点Eと接続されている。サイリスタD20のカソードは、抵抗R8の一端と接続点Bとに接続されている。サイリスタD20のベースは、抵抗R7と抵抗R8との接続点Fに接続されている。
本実施形態では、接続点Aの電圧が正になると、接続点Eの電圧がサイリスタD10のベース電圧となり、サイリスタD10がオンされる。サイリスタD10がオンされると、接続点Aの電圧が接続点Cへ出力される。また本実施形態では、接続点Bの電圧が負になると、接続点Fの電圧がサイリスタD20のベース電圧となり、サイリスタD20がオンされる。サイリスタD20がオンされると、接続点Bの電圧が接続点Cへ出力される。
したがって本実施形態では、接続点Cにおいて正の電圧成分と負の電圧成分とが合成されることになる。接続点Cで合成された電圧は、AC電圧としてAC電源部250Eから出力される。
このように本実施形態では、サイリスタD10,D20をスイッチ素子として用いることで、自動的に正の電圧成分及び負の電圧成分が存在する場合にサイリスタD10,D20をオンさせることができ、常時適切なタイミングでスイッチングが可能となる。
(第七の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第七の実施形態について説明する。本発明の第七の実施形態は、出力値制御信号により示される入力電圧の範囲を所定の範囲とする点が第一ないし第六の実施形態と相違する。よって以下の第七の実施形態の説明では、第一ないし第六の実施形態との相違点についてのみ説明する。
図13は、第七の実施形態のトランジスタの入力―出力特性を示す図である。図13は、トランジスタM1の入力−出力特性を示している。図13では、横軸がトランジスタM1のベースに供給する入力電圧を示し、縦軸はトランジスタM1のエミッタ−コレクタ間電圧(分圧電圧)を示す。
本実施形態では、CPU240が出力値制御信号SG1を生成する際に、トランジスタM1の動作領域のうち線形的な領域のみを使用する。トランジスタM1は、入力電圧が0.4V、0.6V付近において非線形的な応答性を示す。
本実施形態では、トランジスタM1の動作領域のうち、分圧電圧が高い側の非線形領域を除外し、線形的な領域のみを使用して出力値制御信号を生成する。図13の例では、入力電圧が0.5V以上となるとトランジスタM1の応答が線形的になる線形領域である。よって本実施形態では、入力電圧0.5V以上の動作領域を使用領域Tとした。
このように応答が線形的な領域を使用領域Tとすれば、出力電圧の目標値に対するトランジスタM1の入力電圧を一次式で表すことができる。したがって本実施形態では、トランジスタM1の入力電圧を簡単な計算で求めることができ、CPU240の処理の負荷を軽減できる。また本実施形態では、目標値に対するトランジスタM1の入力電圧を関連付けたテーブル等が不要となり、CPU240のメモリ負荷を低減できる。
尚本実施形態では、入力電圧が0.6V以上の場合にもトランジスタM1の応答は非線形的となるが、画像形成装置100の帯電、現像のAC電圧において、低圧は使用しないため、この領域においては線形性が確保できなくても問題とならない。また本実施形態では、使用領域Tを、分圧電圧が低圧となる領域も除外した入力電圧が0.4V〜0.6Vまでの領域としても良い。
本実施形態では、例えば使用領域Tの範囲をトランジスタM1の特性に合わせて予め設定しておく。具体的には例えば、トランジスタM1の入力電圧が0.4Vのときの分圧電圧は3.0KVであり、トランジスタM1の入力電圧が0.5Vのときの分圧電圧は2.4KVである。したがって本実施形態のCPU240では、例えば設定可能な分圧比を10%〜80%としておけば良い。
尚本実施形態では、トランジスタM1についてのみ説明したが、トランジスタM2についても同様の制御が行われる。
(第八の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第八の実施形態について説明する。本発明の第八の実施形態は、電圧出力部からの出力をオフさせる機能を有する点のみ第六の実施形態と相違する。よって以下の第八の実施形態の説明では、第六の実施形態との相違点についてのみ説明し、第六の実施形態と同様の機能構成を有するものには第六の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図14は、第八の実施形態のAC電源部を説明する図である。本実施形態のAC電源部250Fは、電圧出力部270Fを有する。本実施形態の電圧出力部270Fは、電圧出力部270Fから出力されるAC電圧をオフさせるためのトランジスタM10,M20を有する。
トランジスタM10は、コレクタが接続点Eと接続されており、エミッタが接地されている。またトランジスタM10のベースには、制御部220から出力オフ制御信号SG3が供給される。トランジスタM10は、N型トランジスタである。
トランジスタM20は、エミッタが接地されており、コレクタが接続点Fと接続されている。またトランジスタM20のベースには、インバータ258を介して反転された出力オフ制御信号SG3が供給される。トランジスタM20は、P型トランジスタである。
サイリスタD10,D20を用いたAC電源部250Fでは、スイッチング動作を分圧された正の電圧成分及び負の電圧成分に応じて自動的に行っている。このためAC電源部250Fでは、共通トランス251から電圧が出力されている間はトランジスタM1,M2の入力電圧に関らず分圧電圧が出力される。
例えばAC電源部250Fは、トランジスタM1の入力電圧が最大の場合、トランジスタM1,M2のオン/オフに関わらず共通トランス251から出力される電圧を出力する。またAC電源部250Fは、トランジスタM1の入力電圧が最小の場合、トランジスタM1,M2のオン/オフに関わらず、抵抗R1,R2の分圧電圧を出力する。
AC電源部250Fの出力を0Vとするためには、共通トランス251をオフすれば良いが、例えば共通トランス251に複数の電圧出力部270Fが接続されていた場合、共通トランス251をオフすることができない。
そこで本実施形態では、共通トランス251をオフさせることなく、AC電源部250Fの出力を0Vとする。
本実施形態では、出力オフ制御信号SG3が入力されると、サイリスタD10,D20のゲート電圧をオフさせることで、AC電源部250Fの出力をオフさせる。
本実施形態において、出力オフ制御信号SG3がハイレベル(以下、Hレベル)であった場合、トランジスタM10をオンさせてサイリスタD10のゲート電圧を強制的に接地レベルに落とし、サイリスタD10の動作を停止させる。またHレベルの出力オフ制御信号SG3がインバータ258に入力されると、反転されてローレベル(以下、Lレベル)の信号がトランジスタM20のベースに供給され、トランジスタM20がオンされる。トランジスタM20がオンされると、サイリスタD20のゲート電圧が接地レベルに落ち、サイリスタD20の動作が停止する。
したがって本実施形態のAC電源部250Fの出力が0Vとなる。尚出力オフ制御信号SG3がLレベルの場合には、トランジスタM10,M20はオフであり、サイリスタD10,D20は接続点A,Bそれぞれの電圧に応じて動作する。
(第九の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第九の実施形態について説明する。本実施形態では、AC電圧から正の電圧成分又は負の電圧成分を生成する方法として、AC電源部から出力されるAC電圧を何れかの極性へオフセットさせる。以下の本実施形態の説明では、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図15は、第九の実施形態のAC電源部を説明する図である。
本実施形態のAC電源部280は、共通トランス251と、電圧出力部300とを有する。電圧出力部300は、電圧源410、分圧部420、AC分圧部253A、トランジスタドライバ256A、抵抗R20、コンデンサC10を有する。
本実施形態の電圧源410は、所定電圧Vsを生成し、共通トランス251から出力されるAC電圧に所定電圧Vsを重畳させる。すなわち本実施形態では、所定電圧VsがAC電圧のオフセット電圧となり、AC電圧が正極側にシフトされる。尚本実施形態の所定電圧Vsは、AC電圧が正の電圧成分又は負の電圧成分の何れか一方になるような値に設定されている。所定電圧Vsが重畳されたAC電圧は、AC分圧部253Aへ供給される。
また電圧源410は、所定電圧Vsを分圧部420へ供給する。分圧部420は、AC電源部280の外部から供給される出力値制御信号SG14にしたがって所定電圧Vsを分圧し、AC分圧部253Aにより分圧されたAC電圧に重畳するバイアス電圧Vs1を生成する。すなわち分圧部420は、バイアス電圧生成手段である。
本実施形態のAC分圧部253Aは、抵抗R10、抵抗R11、トランジスタM10を有する。トランジスタM10は、n型トランジスタである。抵抗R10と抵抗R11との接続点Cは、コンデンサC10の一端と接続されている。コンデンサC10の他端は、出力端子Voutと接続されている。またコンデンサC10の他端は、抵抗R20の一端と接続されている。本実施形態のコンデンサC10は、カップリングコンデンサの役割を果たす。抵抗R20の他端は、分圧部420の出力と接続されている。
尚図15は、AC電圧を正極側へシフトさせる場合を示している。本実施形態においてAC電圧を負極側へシフトさせる場合には、トランジスタM10をp型トランジスタとすれば良い。
AC分圧部253Aは、トランジスタドライバ256Aを介してトランジスタM10のベースに供給される出力値制御信号SG13に基づき、所定電圧Vsが重畳されたAC電圧を分圧する。
本実施形態の電圧出力部300では、共通トランス251から出力されるAC電圧に所定電圧Vsを重畳することで、AC電圧を正極側の電圧か又は負極側の電圧かの何れか一方にオフセットさせる。よってAC分圧部253Aに供給されるAC電圧は、正の電圧成分又は負の電圧成分の何れか一方となる。すなわち本実施形態では、電圧源410がAC電圧から正の電圧成分又は負の電圧成分を生成する生成手段となる。
本実施形態のAC分圧部253Aは、所定電圧Vsが重畳されて正又は負の何れか一方の電圧成分となったAC電圧を、出力値制御信号SG13によりトランジスタM10のベースに印加される電圧に応じてトランジスタM10の抵抗を変化させ、分圧比を調整する。
具体的には本実施形態のAC分圧部253Aは、入力されるAC電圧の中心分圧Vs、振幅値Vac、周波数fとしたとき、このAC電圧を中心電圧Vs′、振幅値Vac′、周波数fとなるように分圧する。中心電圧Vs′、振幅値Vac′は、中心分圧Vs、振幅値Vacを分圧した電圧である。
したがってAC分圧部253Aにおける抵抗R10と抵抗R11との接続点Cの電圧は、中心電圧Vs′、振幅値Vac′、周波数fのAC電圧となる。接続点CのAC電圧は、コンデンサC10を通過することで、DC成分であるを中心電圧Vs′が除去される。よってコンデンサC10と抵抗R20の接続点Dの電圧は、中心電圧0V、振幅値Vac′、周波数fのAC電圧となる。
本実施形態のAC電源部280の出力電圧は、接続点Dの電圧に、所定電圧Vsを分圧部420で分圧したバイアス電圧Vs1が重畳された電圧となる。本実施形態では、バイアス電圧Vs1を接続点DのAC電圧に重畳させることで、オフセットさせたAC電圧を、予め定められたAC電源部280の出力電圧の目標値とする。
以上のように本実施形態では、共通トランス251から出力されるAC電圧をオフセットさせることで正の電圧成分又は負の電圧成分を生成し、生成された電圧を外部から供給される出力値制御信号SG13にしたがって分圧する。よって本実施形態では、AC電圧を任意の電圧に分圧することができる。
(第十の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第十の実施形態について説明する。本発明の第十の実施形態では、電圧源を電源装置の有するDC電源部とした点が第九の実施形態と相違する。よって以下の第十の実施形態では、第九の実施形態との相違点についてのみ説明し、第九の実施形態と同様の機能構成を有するものには第九の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図16は、第十の実施形態の電源制御装置の構成を説明する図である。
本実施形態の電源制御装置200Aは、制御部220Aと電源装置230Aとを有する。制御部220AはCPU240Aが搭載された制御基板である。本実施例の制御部220Aは、電源装置230Aを制御する。
電源装置230Aは、高圧電源を出力する高圧電源装置であり、AC電源部280A、DC電源部260Aを有する。
本実施形態の制御部220Aは、電源装置230Aに対して電源電圧Vddを供給する。また本実施形態の制御部220Aは、電源装置230に対して出力値制御信号と、AC出電源部280Aが出力するAC電圧の周波数を指示する信号とを出力する。本実施形態の電源装置230AのAC電源部280A、DC電源部260Aは、出力値制御信号に対応した電圧を出力する。
本実施形態のCPU240Aは、オフセット電圧決定部241、DC制御部242、メモリ243を有する。本実施形態のオフセット電圧決定部241は、AC電源部280Aから出力されるAC電圧の振幅値と、DC電源部260Aから出力させるDC電圧の値とに基づき、AC電圧に重畳させるオフセット電圧を決定する。
本実施形態のDC制御部242は、オフセット電圧決定部241により決定されたオフセット電圧をDC電圧源260Aから出力させる。また本実施形態のDC制御部242は、決定されたオフセット電圧に基づき、後述する分圧部420Aの分圧比を制御する。本実施形態のメモリ243には、AC電圧の振幅値Vacと、DC電圧源260Aから出力されるDC電圧の値とが格納されている。尚メモリ243には、電圧値Vac/2が格納されていても良い。オフセット電圧決定部241とDC制御部242の処理の詳細は後述する。
以下に本実施形態のAC電源部280Aについて説明する。図17は、第十の実施形態のAC電源部を説明する図である。
本実施形態のAC電源部280Aの電圧出力部300Aは、分圧部420A、AC分圧部253A、トランジスタドライバ256A、抵抗R20、コンデンサC10を有する。本実施形態の電圧出力部300Aでは、電圧源410を設けず、DC電源部260Aの有するDCトランス330から出力されるDC電圧Vdcを所定電圧Vsの代わりに使用する。
すなわち本実施形態では、DCトランス330から出力されるDC電圧Vdcが、共通トランス251から出力されるAC電圧に重畳される。AC分圧部253Aは、DC電圧Vdcが重畳されたAC電圧を分圧する。よって本実施形態の接続点Cの電圧は、DC電圧VdcとAC電圧の振幅値VacとをAC分圧部253Aにより分圧した電圧となる。具体的には接続点Cの電圧は、中心電圧Vdc′、振幅値Vac′、周波数fのAC電圧である。中心電圧Vdc′、振幅値Vac′は、DC電圧Vdcと振幅値VacとをAC分圧部253Aにより分圧した値である。
この接続点Cの電圧は、コンデンサC10を通過することで、中心電圧Vdc′が除去される。よって接続点Dの電圧は、中心電圧0V、振幅値Vac′、周波数fのAC電圧となる。
本実施形態の分圧部420Aは、DCトランス330から出力されるDC電圧Vdcが供給される。本実施形態の分圧部420Aは、出力値制御信号SG14に基づきDC電圧Vdcを分圧した電圧Vdc2を出力する。電圧Vdc2は、AC電源部280Aの出力電圧を予め定められた目標値とするために、接続点Dの電圧に重畳されるバイアス電圧である。
以下に図18を参照して本実施形態のオフセット電圧決定部241とDC制御部242の処理について説明する。
図18は、オフセット電圧を説明する図である。図18(A)は、共通トランスから出力されるオフセット前のAC電圧の波形を示す図であり、図18(B)はオフセット電圧の決定を説明する図である。
本実施形態において、周波数f、振幅値VacのAC電圧を正又は負の何れか一方の極性に移動させる場合、オフセット電圧として最低でもVac/2が必要となる。
本実施形態のオフセット電圧決定部241は、DC電源部260Aにより共通トランス251から出力されるAC電圧に重畳されるDC電圧Vdcが電圧Vac/2より小さい(Vac/2>Vdc)場合、オフセット電圧をVac/2とする。
また本実施形態のオフセット電圧決定部241は、DC電源部260Aにより共通トランス251から出力されるAC電圧に重畳されるDC電圧Vdcが電圧Vac/2より大きい(Vac/2<Vdc)場合、オフセット電圧をDC電圧Vdcとする。
尚図18(B)は、AC電圧を正極側にオフセットさせる例を示しているが、負極側にオフセットさせる場合は、Vac/2>Vdc、Vac/2<Vdcの条件がそれぞれ逆になる。
本実施形態のDC制御部242は、オフセット電圧がVac/2と決定された場合、DC電源部260Aから出力させるDC電圧の値をVac/2とする。またDC制御部242は、オフセット電圧がVdcと決定された場合、DC電源部260Aから出力させるDC電圧の値をVdcとする。
また本実施形態のDC制御部242は、決定されたオフセット電圧に対応した分圧比を出力値制御信号SG14として分圧部420Aに出力する。分圧部420Aから出力されるバイアス電圧Vdc2は、オフセット電圧がVac/2であるか、Vdcであるかによって変化する。本実施形態のDC制御部242は、決定されたオフセット電圧に基づき、AC電圧源280Aの出力電圧が目標値となるように分圧部420Aの分圧比を制御する。
以上のように本実施形態では、DC電源部260Aの有するDCトランス330から出力されるDC電圧Vdcを用いて共通トランス251から出力されるAC電圧を正又は負の電圧成分とする。よって本実施形態では、DC電源部260AがAC電圧から正の電圧成分又は負の電圧成分を生成手段となる。
また本実施形態では、AC電圧を正の電圧成分と負の電圧成分とに分離せず、どちらか一方の極性にオフセットさせて分圧する。よって本実施形態では、AC電圧を両極性に分離して分圧する形態と比較すると、トランジスタを有する分圧部は1つで良く、部品点数を削減することができる。
図19は、部品点数の削減を説明する図である。図19に示すAC電源部280Bは、複数の電圧出力部300Aを有する。
AC電源部280Bは、共通トランス251とDCトランス330とに、複数の電圧出力部300Aが並列に接続されている。このように出力電圧部300Aを複数有するAC電源部280Bでは、部品点数の削減効果がより顕著となる。
本実施形態では、複数の電圧出力部300Aにおいて、DCトランス330から出力されるDC電圧Vdcが共通して使用される。また本実施形態では、各電圧出力部300Aに、トランジスタを有する分圧部が1つ設けられれば良い。よって本実施形態では、極性分離部252によりAC電圧の極性を分離する場合と比べて、部品点数を半数近く削減することができる。
また図19に示すAC電源部280Bでは、電圧出力部300A毎に独立してAC電圧の出力することができる。
図20は、複数の電圧出力部を有するAC電源部の出力の例を示す図である。図20の例では、3つの電圧出力部300Aを有するAC電源部の出力波形を示している。
図20では、出力電圧部300A毎に独立してAC電圧の分圧を制御しているため、3つの波形の振幅値がそれぞれ異なっている。
尚本実施形態の電圧出力部300Aは、第二の実施形態、第五の実施形態、第七の実施形態と組み合わされても良い。
また本実施形態では、DC制御部242によりDC電源部260Aの出力と、分圧部420Aの分圧比とが制御されるものとしたが、これに限定されない。例えばDC電源部260Aの出力と、電圧部320Aの分圧比とは、AC電源部280Aの出力電圧が目標値となるように予め設定されていても良い。
(第十一の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第十一の実施形態について説明する。本発明の第十一の実施形態では、AC分圧部の後段にインピーダンス調整機能を設けた点が第十の実施形態と相違する。よって以下の第十一の実施形態では、第十の実施形態との相違点についてのみ説明し、第十の実施形態と同様の機能構成を有するものには第十の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図21は、第十一の実施形態のAC電源部を説明する図である。
本実施形態のAC電源部280Bは、電圧出力部300Bを有する。本実施形態の電圧出力部300Bは、AC分圧部253Aの後段に、インピーダンス調整回路450を有する。
例えば共通トランス251から出力されるAC電圧の周波数fが変更された場合、コンデンサC10のインピーダンスは変化する。よって本実施形態では、インピーダンス調整回路450を設けることで、周波数fが変更された際に、周波数に合わせてインピーダンスを調整可能とした。
本実施形態のインピーダンス調整回路450は、接続点Cと出力端子との間に設けられたコンデンサC10と並列に接続された複数のコンデンサC11〜Cnと、コンデンサC11〜Cnの接続を制御するスイッチSW1〜SWnを有する。スイッチSW1〜SWnは、コンデンサC11〜Cnのそれぞれと直列に接続されており、コンデンサC11〜Cnと接続点Cとの接続を制御する。
本実施形態のスイッチSW1〜SWnは、例えばCPU240AがAC電源部280Bに対してAC電圧の周波数fを設定する際に、周波数fに合わせてCPU240Aによりオン/オフが制御される。本実施形態のCPU240Aは、例えばAC電圧の周波数fと、対応する接続するコンデンサCnとが対応付けられたテーブルを有しており、選択された周波数fに応じて対応するコンデンサCnがAC分圧部253Aと接続されるようにスイッチSWnを制御する。
したがって本実施形態では、周波数fに合わせてカップリングコンデンサCの容量を変更することができ、複数の周波数f毎に、出力電圧が目標値となるように調整することができる。
尚図21の例では、コンデンサC10は常にAC電圧部253Aと出力端子との間に接続される構成としたが、これに限定されない。例えばコンデンサC10とAC分圧部253Aとの間にもスイッチSWが設けられていても良い。
(第十二の実施形態)
以下に図面を参照して本発明の第十二の実施形態について説明する。本発明の第十二の実施形態では、AC電源部の出力を任意のタイミングでオフさせる機能を設けた点が第十の実施形態と相違する。よって以下の第十二の実施形態では、第十の実施形態との相違点についてのみ説明し、第十の実施形態と同様の機能構成を有するものには第十の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
図22は、第十二の実施形態のAC電源部を説明する第一の図である。
本実施形態のAC電源部280Cは、共通トランス251と、電圧出力部300Cを有する。本実施形態の電圧出力部300Cは、接続点CとコンデンサC10との接続点と、接地との間に接続されたトランジスタM11と、トランジスタM11のオン/オフを制御するオン/オフ制御回路390を有する。
本実施形態においてAC電源部280Cの出力を0Vとするためには、共通トランス251をオフすれば良いが、例えば共通トランス251に複数の電圧出力部300Cが接続されていた場合、共通トランス251をオフすることができない。
そこで本実施形態のAC電源部280Cは、独自にAC電圧の出力のタイミングを制御できるようにした。
本実施形態のオン/オフ制御回路390は、AC電源部280CからAC電圧を出力させる場合にトランジスタM11をオフさせ、それ以外はトランジスタM11をオンとする。本実施形態では、この制御により、AC電源部280CにおけるAC電圧の出力のタイミングを独自に制御することができる。
図23は、第十二の実施形態のAC電源部を説明する第二の図である。
図23に示す電源部280Dは、共通トランス251と、電圧出力部300Dとを有する。電圧出力部300Dは、共通トランス251とAC分圧部253Aとの間に接続されたトランジスタM12と、トランジスタM12のオン/オフを制御するオン/オフ制御回路390Aを有する。
本実施形態の制御回路390Aは、AC電源部280DからAC電圧を出力させる場合には、トランジスタM12をオンさせ、AC電圧を出力させない場合にはトランジスタM12をオフさせれば良い。
また本実施形態では、例えばトランジスタM12のベースとオン/オフ制御回路390Aとの間にトランジスタドライバを設け、トランジスタM12によりオフセットされたAC電圧を分圧しても良い。
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。