以下、本発明による燃料電池システムの実施形態の一つである実施例について説明する。図1はこの燃料電池システムの概要を示す概要図である。この燃料電池システムは、発電ユニット10および貯湯ユニット20を備えている。
発電ユニット10は、発電装置11、電源基板13および燃料電池制御装置19(以下、制御装置19という。)を備えている。発電装置11は、電力(本実施形態では交流電力)を発生させるものであり、直流電力を発電する発電機11aおよび電力変換装置11bから構成されている。図2に示すように、発電機11aは、燃料電池モジュール40を含んで構成されている。
燃料電池モジュール40は、ケーシング41、蒸発部42、改質部43および燃料電池44を備えている。ケーシング41は、断熱性材料で箱状に形成されている。ケーシング41内には、蒸発部42、改質部43、燃料電池44および第1燃焼部46である燃焼空間R3が配設されている。ケーシング41内は、その内部の温度を検出する温度センサ41bが設けられており、その検出結果が制御装置19に出力されるようになっている。
蒸発部42は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部42は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して混合ガスを改質部43に供給するものである。改質用原料としては天然ガス、LPGなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料がある。
この蒸発部42には、一端(下端)が水タンク61内に配設された給水管51の他端が接続されている。給水管51には、改質水ポンプ51aが設けられている。改質水ポンプ51aは、蒸発部42に改質水を供給するとともにその改質水供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。
また、蒸発部42には、改質用原料の供給源(以下、供給源という。)Gsからの改質用原料が改質用原料供給管52を介して供給されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。改質用原料供給管52には、原料ポンプ52aが設けられている。
原料ポンプ52aは、燃料電池44に燃料を供給する供給装置(すなわち燃料電池システムに燃料の原料となる原燃料(改質用原料)を供給する原燃料供給装置)であり、制御装置19からの制御指令値にしたがって供給源Gsからの燃料供給量(供給流量(単位時間あたりの流量))を調整するものである。この原料ポンプ52aは、改質用原料を吸入し改質部43に圧送する圧送装置である。
改質部43は、後述する燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部42から供給された混合ガス(改質用原料および水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。混合ガスが触媒によって反応し、改質されて水素ガスと一酸化炭素ガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水素が反応して水素ガスと二酸化炭素とに変成するいわゆる一酸化炭素シフト反応が生じている。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)は燃料電池44の燃料極に導出されるようになっている。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部43は改質用原料と改質水とから燃料である改質ガスを生成して燃料電池44に供給する。
燃料電池44は、燃料と酸化剤ガスとにより発電するものである。燃料電池44は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル44aが図2の左右方向に積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池44は、固体酸化物燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池44の燃料極には、燃料としての水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。セル44aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路44bが形成されている。セル44aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路44cが形成されている。空気流路44cには、カソードエアがカソードエアブロワ54a(またはカソードエアポンプ)によって供給されている。燃料電池44内は、その内部の温度を検出する温度センサ44dが設けられており、その検出結果が制御装置19に出力されるようになっている。
燃料電池44は、図2に示すように、マニホールド45上に設けられている。マニホールド45には、改質部43からの改質ガスが改質ガス供給管53を介して供給される。燃料流路44bは、その下端(一端)がマニホールド45の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。空気流路44cの下端には、一端がカソードエアブロワ54aに接続されたカソードエア供給流路54が連通されており、カソードエアが空気流路44cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
燃料電池44においては、燃料極に供給された燃料と空気極に供給された酸化剤ガスによって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O2−)が電解質を通過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路44bおよび空気流路44cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H2+O2−→H2O+2e−
(化2)
CO+O2−→CO2+2e−
(化3)
1/2O2+2e−→O2−
そして、燃料流路44bおよび空気流路44cから導出した、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料電池44と蒸発部42(改質部43)の間の燃焼空間R3にて、発電に使用されなかった酸化剤ガス(カソードオフガス)によって燃焼され、その燃焼ガス(火炎47)によって蒸発部42および改質部43が加熱される。さらには、燃料電池モジュール40内を動作温度に加熱している。
このように、燃焼空間R3が、燃料電池44からのアノードオフガスと燃料電池44からのカソードオフガスとが燃焼されて改質部43を加熱する第1燃焼部46である。すなわち、第1燃焼部46は、燃料電池44からの未使用の燃料を含む可燃性ガスを導入し酸化剤ガスで燃焼して燃焼ガスを導出する燃焼部である。
第1燃焼部46(燃焼空間R3)では、アノードオフガスが燃焼されて火炎47が発生している。燃焼空間R3で生じた燃焼ガスは、その後は導出口41aから燃料電池モジュール40の外に排気される。
第1燃焼部46には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ46a1,46a2が設けられている。この着火ヒータ46a1,46a2は交流電源の負荷装置である。着火ヒータ46a1,46a2の総消費電力は、合わせて100Wである。
排熱回収システムは、燃料電池モジュール40の排熱と貯湯水との間で熱交換することで排熱を貯湯水に回収して蓄える排熱回収系である。排熱回収システムは、貯湯水を貯湯する貯湯槽21と、貯湯水が循環する貯湯水循環ライン24と、燃料電池モジュール40からの燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器25と、が備えられている。
貯湯槽21は、1つの柱状容器を備えており、その内部に温水が層状に、すなわち上部の温度が最も高温であり下部にいくにしたがって低温となり下部の温度が最も低温であるように貯留されるようになっている。貯湯槽21の柱状容器の下部には水道水などの水(低温の水)が補給され、貯湯槽21に貯留された高温の温水が貯湯槽21の柱状容器の上部から導出されるようになっている。
貯湯水循環ライン24の一端は貯湯槽21の下部に、他端は貯湯槽21の上部に接続されている。貯湯水循環ライン24上には、一端から他端に向かって順番に貯湯水循環手段である貯湯水循環ポンプ24a、熱交換器25および貯湯水用ヒータ24bが配設されている。
貯湯水循環ポンプ24aは、貯湯槽21の下部の貯湯水を吸い込んで貯湯水循環ライン24を図示矢印方向へ通水させて貯湯槽21の上部に吐出するものであり、その流量(送出量)が制御されるようになっている。貯湯水循環ポンプ24aは、図示しない温度センサの検出温度(貯湯水の貯湯槽21の入口温度)が所定の温度または温度範囲となるように、送出量が制御されるようになっている。
貯湯水用ヒータ24bは、貯湯水循環ライン24を加熱して凍結を防止するためのヒータである。この貯湯水用ヒータ24bは交流電源の負荷装置である。貯湯水用ヒータ24bの総消費電力は、100Wである。
熱交換器25は、燃料電池モジュール40から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され燃焼排ガスと貯湯水が熱交換する熱交換器である。熱交換器25は、ケーシング25aを備えている。ケーシング25aの上部には、燃料電池モジュール40のケーシング41の下部に設けられ燃焼排ガスが導出される導出口41aに連通している。ケーシング25aの下部には、排気管55が接続されている。ケーシング25aの底部には、純水器62に接続されている凝縮水供給管56が接続されている。ケーシング25a内には、貯湯水循環ライン24に接続されている熱交換部25bが配設されている。
このように構成された熱交換器25においては、燃料電池モジュール40からの燃焼排ガスは、導出口41aを通ってケーシング25a内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部25bを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。凝縮後の燃焼排ガスは排気管55を通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管56を通って純水器62に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部25bに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
ケーシング41の導出口41aには、第2燃焼部48が設けられている。第2燃焼部48は、第1燃焼部46から排気されるガスである第1燃焼部オフガス、すなわち、第1燃焼部46から排気される未使用の可燃性ガス(例えば、水素、メタンガス、一酸化炭素など)を導入し燃焼して導出するものである。第2燃焼部48は、可燃性ガスを燃焼する触媒である燃焼触媒(例えばセラミックハニカムまたは、メタルハニカムと貴金属の触媒である。)で構成されている。
第2燃焼部48には、燃焼触媒を触媒の活性温度まで加熱して可燃性ガスを燃焼させるための燃焼触媒ヒータ48aが設けられている。この燃焼触媒ヒータ48aは交流電源の負荷装置である。燃焼触媒ヒータ48aは消費電力が可変に制御できるものであり、その最大消費電力は200Wである。燃焼触媒ヒータ48aは制御装置19の指示によって制御されるものである。
なお、上述した着火ヒータ46a1,46a2と燃焼触媒ヒータ48aとから、消費電力が可変に制御できる可変負荷装置L(特許請求の範囲に記載の可変負荷装置)が構成されている。この可変負荷装置Lは、系統電源30の送電が停止された場合であって系統電源30と解列された燃料電池44を発電させる自立発電運転中において、燃料電池44からの出力電力のみが供給されて、消費電力が可変に制御できる可変負荷装置である。この可変負荷装置Lは、貯湯水用ヒータ24bをさらに加えて構成するようにしてもよい。また、可変負荷装置Lは、燃料電池システムの内部の負荷装置で構成するだけでなく、燃料電池システムの外部の負荷装置で構成するようにしてもよく、内外両方の負荷装置で構成するようにしてもよい。
また、燃料電池システムは、水タンク61および純水器62を備えている。水タンク61は、純水器62から導出された純水を貯めておくものである。純水器62は、活性炭とイオン交換樹脂を内蔵しており、例えばフレーク状の活性炭と粒状のイオン交換樹脂を充填している。また被処理水の状態によっては、中空糸フィルタを設置しても良い。純水器62は、熱交換器25からの凝縮水を活性炭とイオン交換樹脂によって純水化するものである。純水器62は、配管57を介して水タンク61に連通しており、純水器62内の純水は配管57を通って水タンク61に導出される。
図1に示すように、発電機11aと電力変換装置11bとの間には、電流センサ11a1が設けられている。電流センサ11a1は、発電機11a(すなわち燃料電池44)の出力電流を検出する電流センサであり、その検出結果が制御装置19に送信されるようになっている。なお、電流センサ11a1に代えて電力センサを設けるようにしてもよい。
電力変換装置11bは、燃料電池44から供給された直流電流を交流電流に変換するものである。また、電力変換装置11bは、変換した交流電流を出力する機能を備えている。電力変換装置11bには、送電線14の一端が接続されており、電力変換装置11bの交流電力が送電線14に出力されるようになっている。送電線14の他端には、第1負荷装置15が接続されている。電力変換装置11bが出力する電力は、必要に応じて送電線14を介して第1負荷装置15に供給されるようになっている。第1負荷装置15は、電灯、アイロン、テレビ、洗濯機、電気コタツ、電気カーペット、エアコン、冷蔵庫などの電気器具である。
電力変換装置11bの交流電力の出力部には、センサ11b1が設けられている。センサ11b1は、電力変換装置11b(燃料電池44)から出力される電流または電圧の少なくともいずれか一つを検出するものである。センサ11b1が電圧と電流の両方を検出していれば、それらの値を乗じることにより、接続されている負荷装置例えば着火ヒータ46a1,46a2、燃焼触媒ヒータ48a、貯湯水用ヒータ24b、第2負荷装置18などの消費電力は算出される。また、センサ11b1が電圧または電流のいずれか1つを検出している場合は、制御装置19はいずれか一つの検出値から上記負荷装置の消費電力を算出する。具体的には、負荷装置は、家庭内で使用される電気機器であるため、停電時に使用されるものについてあらかじめ調査することができる。調査結果から選定された複数の電気機器の電圧または電流と電力の関係を把握しておき、電圧または電流の値に対応する電力の値をまとめた表を制御プログラムに記憶させておく。制御装置19はこの表に従って、検出された電圧または電流のいずれか一方に対応する電力の値を負荷装置の消費電力として算出する。
また、電力変換装置11bは、電源ライン31および送電線14を介して供給される系統電源30からの交流電力を直流電力に変換して出力する機能も備えている。電力変換装置11bが出力する直流電力は、電源基板13に出力される。電源基板13は、供給された直流電力を所定の直流電力に変換して制御装置19、補機10bなどに供給している。補機10bは、改質水ポンプ51a、原料ポンプ52aや各部位の温度センサなどの発電ユニット10を作動させるのに必要であって直流電流で作動するものから構成されている。
送電線14上であって電力変換装置11bと第1負荷装置15の間には、一端が系統電源30に接続された電源ライン31の他端が接続部14aで接続されている。また、電源ライン31上には、配電盤32が配設されている。発電ユニット10が発電する電力より第1負荷装置15の消費電力が上回った場合、その不足電力は、電源ライン31から配電盤32を介して系統電源30からの電力が供給されるようになっている。このように、第1負荷装置15は、系統電源30からの電力および電力変換装置11bからの電力が供給されるようになっている。
また、電源ライン31上であって系統電源30と配電盤32の間には、電流センサ31aが配設されている。電流センサ31aは、系統電源30から電力変換装置11bへ供給される電力の電流を検出するものである。なお、本実施形態においては、系統電源30の電流を検出するために電流センサ31aを配設しているが、系統電源30から電力変換装置11bへ供給される電力を検出する電力センサを配設するようにしても良い。
また、送電線14上であって電力変換装置11bと接続部14aの間には、ブレーカ14bが配設されている。系統電源30からの送電が行われている場合であって、何らかの原因により送電線14に異常な電流(例えば過電流)が流れたときに、ブレーカ14bは自動で送電線14を開路とするようになっている。
また、送電線14上であって電力変換装置11bとブレーカ14bとの間に第1開閉器14cが設けられている。第1開閉器14cは、開路または閉路することにより電力変換装置11bと系統電源30とを電気的に遮断または接続するものである。
また、送電線14上であってブレーカ14bと第1開閉器14cとの間に電圧センサ100aが設けられている。電圧センサ100aは、その配置場所の電圧を検出してその検出結果を制御装置19に出力する。
また、送電線14上であって電力変換装置11bと第1開閉器14cとの間には、一端が自立用出力端子16に接続された送電線17aの他端が接続されている。送電線17aには、第2開閉器17a1および電力センサ17a2が設けられている。第2開閉器17a1は、電力変換装置11bと自立用出力端子16(ひいては第2負荷装置18)との間に配設され、開路または閉路することにより、電力変換装置11bと第2負荷装置18とを電気的に遮断または接続する開閉装置である。電力センサ17a2は、電力変換装置11bから第2負荷装置18に電力が供給されている場合、第2負荷装置18の消費電力を検出してその検出結果を制御装置19に出力する。
自立用出力端子16は、系統電源30からの電力供給が停止(以下、停電とする)された場合に発電装置11(燃料電池44)を発電させて電力変換装置11bからの電力のみを第2負荷装置18に供給する発電運転(以下、自立発電運転とする)中のみに使用されるものである。第2負荷装置18は、自立用出力端子16に着脱可能に接続されるものである。第2負荷装置18は、第1負荷装置15と同様の電気器具であるが、停電の場合における自立発電運転中のみに、使用者が使用したい電気器具について、自立用出力端子16に接続して使用されるものである。第2負荷装置18は、自立発電運転中にのみ燃料電池44からの出力電力が供給される。
また、送電線14上であって電力変換装置11bと第1開閉器14cとの間には、一端が着火ヒータ46a1,46a2に接続された送電線17bの他端が接続されている(図2参照)。送電線17bには、第3開閉器17b1が設けられている。第3開閉器17b1は、開路または閉路することにより、電力変換装置11bと着火ヒータ46a1,46a2とを電気的に遮断または接続する開閉装置である。
また、送電線14上であって電力変換装置11bと第1開閉器14cとの間には、一端が燃焼触媒ヒータ48bに接続された送電線17cの他端が接続されている。送電線17cには、第4開閉器17c1が設けられている。第4開閉器17c1は、開路または閉路することにより、電力変換装置11bと燃焼触媒ヒータ48bとを電気的に遮断または接続する開閉装置である。
また、送電線14上であって電力変換装置11bと第1開閉器14cとの間には、一端が貯湯水用ヒータ24bに接続された送電線17dの他端が接続されている。送電線17dには、第5開閉器17d1が設けられている。第5開閉器17d1は、開路または閉路することにより、電力変換装置11bと貯湯水用ヒータ24bとを電気的に遮断または接続する開閉装置である。
制御装置19は、発電装置11(燃料電池44)の制御を少なくとも行うもの(燃料電池システムを制御するもの)である。具体的には、系統電源30から電力供給があるときは、第1負荷装置15の消費電力となるように燃料電池44の発電量の制御を行う。このとき、燃料電池44の発電する電力が第1負荷装置15の消費電力を下回る場合は、その不足電力を系統電源30から受電して補うようになっている。停電の場合は、燃料電池44の発電量が一定の出力電力(例えば定格の半分(350W))となるように制御している。なお、第2負荷装置18の消費電力となるように燃料電池44の発電量の制御を行ってもよい。
また、第1〜第5開閉器14c,17a1,17b1,17c1,17d1は、制御装置19からの指示に従って、開閉制御されるようになっている。
制御装置19は、センサ11b1の検出信号が入力されるようになっている。制御装置19はセンサ11b1の検出信号に基づいて、系統電源30の停電を検出することができる。また、制御装置19は、電流センサ31aの検出信号が入力されるようになっている。制御装置19は、入力された電流センサ31aの信号に基づいて、系統電源30の停電を検出するようにしてもよい。具体的には、センサ11b1(または電流センサ31a)によって検出された系統電源30の電流が所定電流以下(例えば定格の1/10以下)である場合は、系統電源30は停電であると検出される。このように、電流センサ31aを、発電装置11と系統電源30との間に配設されて、その配設された位置の電流または電圧の少なくともいずれか一つを検出する検出装置(上述した)として使用してもよい。
貯湯ユニット20は、図1に示すように、上述した貯湯槽21、貯湯槽制御装置22および電源基板23を備えている。
貯湯槽21の内部には残湯量検出センサである温度センサ群21aが設けられている。この温度センサ群21aによる各位置での湯温の検出結果に基づいて貯湯槽21内の残湯量が、この温度センサ群21aの検出結果が送信される貯湯槽制御装置22によって導出されるようになっている。残湯量は、貯湯槽21内に蓄えられた熱量を表している。
貯湯槽21には、給湯管26が接続されている。給湯管26には、上流から順番に補助加熱装置であるガス湯沸かし器(図示省略)、温度センサ26aおよび流量センサ26bが配設されている。ガス湯沸かし器は、給湯管26を通過する貯湯槽21からの湯水を加熱して給湯するようになっている。温度センサ26aはガス湯沸かし器を通過した後の湯水の温度を検出するものであり、その検出信号は貯湯槽制御装置22に送信されるようになっている。また、流量センサ26bは、貯湯槽21から供給されている単位時間あたりの湯水消費量(給湯量)を検出するものである。
給湯管26には、貯湯槽21に貯留している湯水を給湯として利用する湯水使用場所A2に設置されている複数の湯利用機器A2aが接続されている。この湯利用機器としては、浴槽、シャワ、キッチン(キッチンの蛇口)、洗面所(洗面所の蛇口)などがある。また、給湯管26には、貯湯槽21の湯水を熱源として利用する湯水使用場所A2に設置されている熱利用機器A2bが接続されている。この熱利用機器としては、浴室暖房、床暖房、浴槽の湯の追い炊き機構などがある。
貯湯槽制御装置22は、制御装置19と互いに通信可能に接続されている。貯湯槽制御装置22は、温度センサ群21aの検出結果に基づいて、貯湯水循環ポンプ24aを作動させて湯水を循環させ加熱することにより貯湯槽21の残湯量の制御をする。電源基板23は、系統電源30からの交流電力を所定の直流電力に変換して貯湯槽制御装置22へ供給している。
さらに、貯湯ユニット20は、貯湯槽制御リモコン27を備えている。貯湯槽制御リモコン27は、貯湯槽制御装置22と互いに通信可能に接続されて、貯湯槽21内の湯水の残湯量、給湯温度および湯水消費量などの貯湯槽21の貯湯状況や、発電機11aの発電する電力や使用電力量などの発電ユニット10の運転状況が表示される。
次に、上述した燃料電池システムの系統電源30から送電がある場合の基本的動作の一例について説明する。制御装置19は、図示しないスタートスイッチが押されて運転が開始される場合、または計画運転にしたがって運転が開始される場合には、起動運転を開始する。ここで、系統電源30から電力の供給がある場合は、第1開閉器14cは閉路に、第2開閉器17a1は開路となるように制御装置19によって制御されている。このように、系統電源30からの電力供給が正常である場合、すなわち発電機11aが系統電源30と系統連系されている場合、発電機11aが発電を行うことを系統連系発電という。
起動運転が開始されるときは、制御装置19は、モータ駆動のポンプなどの補機10bを作動させ、発電機11aの蒸発部42に燃料および改質水の供給を開始する。上述したように、蒸発部42では混合ガスが生成されて、混合ガスは改質部43に供給される。改質部43では、供給された混合ガスから改質ガスが生成されて、改質ガスが燃料電池44に供給される。改質部43が所定温度以上となれば、起動運転は終了し、定常運転(通常発電運転)が開始される。
通常発電運転中では、制御装置19は、発電機11aの発電する電力が、センサ11b1からの検出信号に基づいて算出される第1負荷装置15の電力となるように補機10bを制御して、改質ガスおよびカソードエアを発電機11aに供給する。上述したように、発電機11aの発電する電力より第1負荷装置15の電力が上回った場合、その不足電力を系統電源30から受電して補うようになっている。
このような発電運転中に、図示しないストップスイッチが押されて発電運転が停止される場合、または運転計画にしたがって運転が停止される場合には、制御装置19は、燃料電池システムの停止運転(停止処理)を実施する。
制御装置19は、燃料電池44から電力を引くのを停止し、蒸発部42へ供給する原燃料および水(改質用蒸気)、ならびに空気極へ供給する空気(反応用空気)の量を燃料電池モジュール40の温度に合わせて変更し、燃料電池モジュール40の温度が一定温度以下まで下がると停止する。
このような停止運転が終了すると、燃料電池システムは待機状態(待機時)となる。待機時は、燃料電池システムの発電停止状態(すなわち、起動運転、発電運転、停止運転のいずれの運転中でない状態である。)のことであり、発電指示(スタートスイッチのオンなど)を待っている状態のことである。すなわち、停止運転状態終了時点の状態が維持される。
次に、系統電源30が停電した場合の燃料電池システムの動作の一例について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
系統電源30からの電力供給が正常である場合に、すなわち第1開閉器14cが閉路され第2開閉器17a1が開路されて発電機11a(燃料電池44)が系統電源30と系統連系されている場合に、系統電源30が停電すると、制御装置19は、ステップS102において、「YES」と判定し、プログラムをステップS104に進める。一方、系統電源30からの電力供給が正常である場合には、ステップS102の処理を繰り返し実行する。なお、系統電源30の停電判定は、上述したように、センサ11b1(または電流センサ31a)によって検出された系統電源30の電流が所定電流以下(例えば定格の1/10以下)である場合は、系統電源30は停電であると判定される。
制御装置19は、ステップS104において、第1開閉器14cが開路されて燃料電池44が系統電源30と解列し、運転に必要な補機の電力分のみの発電を行う。なお、出力電力は、内部負荷装置である着火ヒータ46a1,46a2や燃焼触媒ヒータ48aで消費するようにすればよい。
制御装置19は、発電停止の開始時点から所定時間が経過すると(ステップS106にて「YES」と判定し)、自立発電(自立運転)を開始する。なお所定時間は例えば5分である。具体的には、制御装置19は、ステップS108において、図4に示すサブルーチンのフローチャートに沿ったプログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。
制御装置19は、ステップS202において、可変負荷装置Lを制御する。具体的には、制御装置19は、自立発電運転中であって、燃料電池44の出力電力が可変負荷装置Lの最大消費電力に相当する第1の電力量(本実施形態では300W)となるまでの間の運転である自立準備運転中においては、可変負荷装置Lの消費電力を第1の所定速度で上昇させるように可変負荷装置Lを制御する(第1の可変負荷装置制御部)。
可変負荷装置Lは、上述したように、消費電力が固定(100W)の着火ヒータ46a1,46a2と、消費電力が可変(0〜200W)の燃焼触媒ヒータ48aとから構成されている。よって、可変負荷装置Lの消費電力は、0〜100Wの範囲においては着火ヒータ46a1,46a2をオフに維持するとともに燃焼触媒ヒータ48aの消費電力を変更制御することで実現できる。100〜300Wの範囲においては着火ヒータ46a1,46a2をオンに維持するとともに燃焼触媒ヒータ48aの消費電力を変更制御することで実現できる。
なお、第1の所定速度は、原燃料の投入量の時間あたりの増大分に相当する。しかし、原燃料の増大は、燃料電池44の出力電力(出力電流)の時間あたりの増大分を越えないように設定されるのが好ましい。
制御装置19は、ステップS204において、原燃料の投入量を導出する。具体的には、制御装置19は、電流センサ11a1によって検出された出力電流値に、ステップS202(第1の可変負荷装置制御部)において制御される可変負荷装置Lの消費電力の上昇分(前記第1の所定速度)に相当するオフセット値α(基準オフセット値α0)を加えて得た値と、原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップまたは関係式と、から原料ポンプ52a(原燃料供給装置)によって供給される原燃料投入量Aを導出する(第1の原燃料投入量導出部)。
図7および図8を参照して説明する。図7は、原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップである。横軸に原燃料投入量(供給量)を示し、縦軸に出力電流(出力電力)を示している。なお、出力電力を一定としているため、縦軸を出力電力とすることができる。図7に示すように、原燃料投入量が0からA0までの間においては、出力電流は一定値I0である。原燃料投入量がA0を越えると、出力電流は原燃料投入量が大きくなるほど大きくなる(例えば正比例の関係にある)。原燃料投入量がA1のとき、出力電流はI1+α0(後述する)である。なお、投入量は単位時間あたりの流量である。
図8は、上段に可変負荷装置Lの消費電力の時間変化を示し、下段に燃料電池44の出力電流I(太い実線)と原燃料投入量A(細い実線)とを示す。可変負荷装置Lの消費電力は第1の所定速度で上昇するように調整されている。このとき、時刻t1から時刻t2まで、時刻t2から時刻t3までの各時間はTで同一であり、時間Tの間の消費電力の上昇分がΔLである。時間Tは制御サイクル時間であり、例えば100msに設定されている。また、基準オフセット値α0は、可変負荷装置Lの消費電力の上昇分(すなわち可変負荷装置Lの負荷上昇速度分の電流)に相当する値に設定するのが好ましい。可変負荷装置Lの消費電力の上昇分としては、前記第1の所定速度でもよいし、所定時間の上昇分(本実施形態ではΔL)でもよい。
ステップS204の処理は、図5に示すサブルーチンのフローチャートに沿ったプログラムを実行する処理である。ステップS212において、電流センサ11a1によって検出された出力電流値Iを取得する。ステップS214において、可変負荷装置Lの消費電力の上昇分に相当する基準オフセット値α0を演算する。このとき、上昇速度と基準オフセット値との関係を予め測定し記憶しておけば、上昇速度とその関係とから基準オフセット値α0を演算することができる。ステップS216において、ステップS212にて取得した出力電流値Iに、ステップS214にて演算した基準オフセット値α0を加算する(加算値=I+α0)。ステップS218において、ステップS216にて演算した加算値と、図7に示す原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップと、からステップS216にて演算した加算値に応じた原燃料の投入量を導出する。
例えば、図8に示すように、時刻t2のときには、電流センサ11a1によって検出された出力電流値I1が取得される(ステップS212)。可変負荷装置Lの消費電力の上昇分(制御されている)から基準オフセット値α0が演算される(ステップS214)。出力電流値I1に基準オフセット値α0を加算して加算値(=I1+α0)が演算される(ステップS216)。そして、加算値(I1+α0)と図7に示すマップとから、加算値(I1+α0)に応じた原燃料の投入量A1が導出される(ステップS218)。
なお、改質蒸気および反応空気の各投入量も、原燃料の投入量と同様に、導出すればよい。このとき、改質蒸気および反応空気の各投入量は、図7に相当する各マップを使用すればよい。
制御装置19は、プログラムを図4のステップS206に戻し、ステップS206において、ステップS218にて導出した原燃料投入量A1となるように原料ポンプ52aを制御する。なお、改質水ポンプ51aは、改質蒸気投入量となるように制御され、カソードエアブロワ54aは、反応空気投入量となるように制御される。
制御装置19は、燃料電池44の出力電力が第1の電力量(300W)に到達するまでは、ステップS110にて「NO」の判定を繰り返し、上述した自立準備運転を継続する。一方、燃料電池44の出力電力が第1の電力量(300W)を越えると、制御装置19は、ステップS110にて「YES」と判定し、ステップS112において、自立準備運転を終了する。ステップS110において、電流センサ11a1によって検出された出力電流に一定である出力電圧を乗算することで出力電力を演算するようにしてもよく、出力電力を第1の電力量に相当する第1電流値と比較するようにしてもよい。また、燃料電池44の出力電力を電力計により直接測定するようにしてもよい。なお、出力電力の演算に電流センサ11a1の検出値を用いる場合、燃料電池44の電圧を用い、補機10bと電力変換装置11bの変換効率分を減算する。
制御装置19は、ステップS112において、自立準備運転を完了し、燃料電池44が一定の出力電力(例えば300W)となるように制御する。また、制御装置19は、第2開閉器17a1を開路から閉路へと切り替えて、燃料電池44の出力電力を自立用出力端子16からのみ出力可能とする。このとき、制御装置19は、図6に示すサブルーチンのフローチャートに沿ったプログラムを所定の短時間毎に繰り返し実行する。
制御装置19は、ステップS242において、電力センサ17a2から第2負荷装置18の消費電力を取得する。制御装置19は、ステップS244において、燃料電池44の一定の出力電力(300W)から第2負荷装置18の消費電力を減算して、燃料電池44の余剰電力を導出する。そして、制御装置19は、ステップS246において、余剰電力と同じ電力にて消費するように可変負荷装置Lの消費電力を調整する。すなわち、制御装置19は、燃料電池44の出力電力のうち余剰電力が生じる場合には、可変負荷装置Lの消費電力を調整して前記余剰電力を消費させて、出力電力が一定の出力電力(上述した第1の電力量または後述する第2の電力量)に一定となるように制御する(余剰電力調整部)。
制御装置19は、第2負荷装置18の消費電力が第3の電力量(50W)に到達するまでは、ステップS114にて「NO」の判定を繰り返し、上述した第1の電力量にて一定の出力電力での燃料電池44の発電を継続する。一方、第2負荷装置18の消費電力が第3の電力量(50W)を越えると、制御装置19は、ステップS114にて「YES」と判定し、ステップS116において、出力電力の上限の増大を開始する。
第3の電力量は、後述する第2の電力量と第1の電力量との差分である。第1の電力量は、上述したように、可変負荷装置Lの最大消費電力に相当する電力量(本実施形態では300W)である。第2の電力量は、第1の電力量より大きい値であり、燃料電池44の自立発電運転中における最大出力電力(例えば350W)である。
制御装置19は、ステップS114において、電力センサ17a2によって検出された第2負荷装置18の消費電力が第3の電力量より大きいか否かを判定している。
制御装置19は、ステップS116において、基本的には上述したステップS108と同様な処理を行う。
制御装置19は、上述したステップS202と同様に、前記自立準備運転が完了した後の自立発電運転中において、燃料電池44の出力電力を、第1の電力量を超えて第2の電力量まで増大させるときには、自立発電運転中にのみ出力電力が供給される第2負荷装置18(自立運転時負荷装置)と可変負荷装置Lとの総消費電力を第2の所定速度で上昇させるように可変負荷装置Lを制御する(第2の可変負荷装置制御部)。
具体的には、制御装置19は、電力センサ17a2から第2負荷装置18の消費電力を取得し、第2負荷装置18の消費電力の時間変化と第2の所定速度との差分を算出し、その差分を可変負荷装置Lで調整する。なお、第2の所定速度は、第1の所定速度と同様に設定されるものであり、第1の所定速度と同一でもよく、早くても遅くてもよい。
制御装置19は、上述したステップS204と同様に、電流センサ11a1によって検出された出力電流値に、前記第2の可変負荷装置制御部によって制御される前記総消費電力の上昇分(前記第2の所定速度)に相当するオフセット値α(基準オフセット値α0)を加えて得た値と、原燃料の投入量と燃料電池の出力電流との関係を示すマップ(図7)または関係式と、から原料ポンプ52a(原燃料供給装置)によって供給される原燃料投入量Aを導出する(第2の原燃料投入量導出部)。
なお、改質蒸気および反応空気の各投入量も、原燃料の投入量と同様に、導出すればよい。このとき、改質蒸気および反応空気の各投入量は、図7に相当する各マップを使用すればよい。
制御装置19は、上述したステップS206と同様に、前記第2の原燃料投入量導出部にて導出した原燃料投入量Aとなるように原料ポンプ52aを制御する。
制御装置19は、燃料電池44の出力電力が第2の電力量(350W)に到達するまでは、ステップS118にて「NO」の判定を繰り返し、上述した出力電力の増大制御を継続する。一方、燃料電池44の出力電力が第2の電力量(350W)を越えると、制御装置19は、ステップS118にて「YES」と判定し、ステップS120において、自立定常発電運転を開始する。なお、ステップS118においては、ステップS110の処理と同様に、出力電力を検出したり演算したりすればよい。
制御装置19は、ステップS120において、出力電力の増大制御を完了し、燃料電池44が一定の出力電力(例えば350W)となるように制御し、自立定常発電を開始する。自立定常発電は、燃料電池44の自立発電運転中における最大出力電力にて発電することである。
なお、制御装置19は、第2負荷装置18の消費電力量が減少すると、燃料電池44の出力電力を第2の電力量から第1の電力量に切り替える。
制御装置19は、自立定常発電中において、系統電源30の復電を検出するまでは、ステップS122にて「NO」の判定を繰り返し、上述した自立定常発電を継続する。一方、系統電源30の復電を検出すると、制御装置19は、ステップS122にて「YES」と判定し、ステップS124において、自立発電運転を終了し、ステップS126において、上述した通常発電運転を開始する。ステップS122において、電圧センサ100aによって検出された系統電源30の電圧が所定電圧以上(例えば定格の9/10以上)である場合は、系統電源30は復電したと判定される。なお、ステップS114,118においても、ステップS122と同様に復電の検出を行っており、復電が検出されると、自立発電運転を終了し通常発電運転を開始する。
また、制御装置19は、上述した図5に示すサブルーチンに代えて、図9に示すサブルーチンのフローチャートに沿ったプログラムを実行するようにしてもよい。この図9に示すサブルーチンにおいては、基準オフセット値α0を、燃料電池モジュール40の温度および燃料電池44の積算運転時間の少なくとも何れか一方に基づいて補正して得た、補正オフセット値α1を用いている。
具体的には、図5に示すステップS214とステップS216との間に、ステップS222〜ステップS230までの処理を行う。
ステップS222において、制御装置19は、温度センサ41bによって検出(その後記憶)された燃料電池モジュール40内の温度であって停電発生時点(または自立運転開始時点)の温度を取得する。燃料電池モジュール40内の温度に代えて燃料電池44の温度を温度センサ44dから取得するようにしてもよい。
ステップS224において、制御装置19は、予め記憶している燃料電池モジュール40内の温度と温度補正値との相関を示すマップ(図10)と、ステップS222にて取得した温度とから、温度補正値β1を演算する。具体的には、図10を用いて取得した温度と基準温度Tnとの差分に応じた温度補正値β1を演算する。例えば、取得した温度が基準温度TnよりΔTだけ高いTn+1であるときは、温度補正値は+β1aであり、取得した温度が基準温度TnよりΔTだけ低いTn-1であるときは、温度補正値は−β1aである。基準温度Tnは、基準オフセット値α0に対応する温度である。
図10に示すマップは、図11に示す燃料電池44の内部抵抗と燃料電池モジュール40内の温度との関係であるマップから算出できる。燃料電池44の内部抵抗と燃料電池モジュール40内の温度とは、燃料電池モジュール40内の温度が高くなるほど内部抵抗が小さくなる逆比例の関係にある。例えば、基準温度Tnのとき基準抵抗値rnであり、温度Tn-1のとき基準抵抗値rnより大きい抵抗rn+1であり、温度Tn+1のとき基準抵抗値rnより小さい抵抗rn-1である。
ステップS226において、制御装置19は、燃料電池44の積算運転時間を演算する。具体的には、燃料電池システムを設置した時点から現時点までの運転時間を積算する。
ステップS228において、制御装置19は、予め記憶している燃料電池44の積算運転時間と温度補正値との相関を示すマップ(図12)と、ステップS226にて演算した積算運転時間とから、温度補正値β2を演算する。具体的には、図12を用いて積算運転時間に応じた運転時間補正値β2を演算する。例えば、積算運転時間がTMnであるときは、運転時間補正値はβ2bであり、積算運転時間がTMnより長いTMn+1であるときは、運転時間補正値はβ2a(β2bより小さい)である。基準オフセット値α0に対応する積算運転時間は0時間である。
図12に示すマップは、図13に示す燃料電池44の内部抵抗と積算運転時間との関係であるマップから算出できる。燃料電池44の内部抵抗と積算運転時間とは、積算運転時間が長くなるほど内部抵抗が大きくなる正比例の関係にある。例えば、積算運転時間が0であるとき基準抵抗値であり、TMnであるとき抵抗値rnであり、TMn+1であるとき抵抗値rn+1である。
そして、制御装置19は、ステップS230において、基準オフセット値α0を温度補正値β1および運転時間補正値β2により補正して補正オフセット値α1を演算する。そして、ステップS216において、ステップS212にて取得した出力電流値Iに、ステップS230にて演算した補正オフセット値α1を加算する。
さらに、上述した制御による燃料電池システムの作動の一例を図14を参照して説明する。燃料電池44の出力電力を実線で示し、第2負荷装置18の消費電力を網掛け部分で示す。時刻t1から自立発電運転が開始される。時刻t1から燃料電池44の出力電力が第1の電力量(300W)に到達するまで(時刻t2)の間においては、上述したように自立準備運転が行われる。
具体的には、可変負荷装置Lの消費電力を第1の所定速度で上昇させるように可変負荷装置Lを制御する。電流センサ11a1によって検出された出力電流値に、可変負荷装置Lの消費電力の上昇分(前記第1の所定速度)に相当するオフセット値α(基準オフセット値α0)を加えて得た値と、原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップまたは関係式と、から原料ポンプ52aによって供給される原燃料投入量Aを導出する。そして、原燃料投入量A1となるように原料ポンプ52aを制御する。
このように、時刻t1から時刻t2までの間においては、可変負荷装置Lによってのみ、燃料電池44の出力電力が消費される。
そして、時刻t2に、自立準備運転が終了するとともに、自立用出力端子から燃料電池44からの出力が開始される。この時刻t2から第2負荷装置18の消費電力が50Wを越える時刻t3までの間においては、燃料電池44の出力電力が第1の電力量に一定となるように制御される。燃料電池44の出力電力の余剰電力、すなわち燃料電池44の出力電力から第2負荷装置18の消費電力を差し引いた電力を可変負荷装置Lで消費するように可変負荷装置Lの消費電力を調整する。
第2負荷装置18の消費電力が50Wを越えると(時刻t3)、燃料電池44の出力電力の増大を開始する。時刻t3から燃料電池44の出力電力が第2の電力量(350W)に到達するまで(時刻t4)の間においては、上述したように燃料電池44の出力電力の増大が行われる。
具体的には、第2負荷装置18と可変負荷装置Lとの総消費電力を第2の所定速度で上昇させるように可変負荷装置Lを制御する。電流センサ11a1によって検出された出力電流値に、第2負荷装置18と可変負荷装置Lとの総消費電力の上昇分(前記第2の所定速度)に相当するオフセット値α(基準オフセット値α0)を加えて得た値と、原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップまたは関係式と、から原料ポンプ52aによって供給される原燃料投入量Aを導出する。そして、原燃料投入量A1となるように原料ポンプ52aを制御する。
このように、時刻t3から時刻t4までの間においては、第2負荷装置18と可変負荷装置Lによって、燃料電池44の出力電力が消費される。
時刻t5に、第2負荷装置18の消費電力が増大すると、燃料電池44の出力電力の余剰電力、すなわち燃料電池44の出力電力から第2負荷装置18の消費電力を差し引いた電力を可変負荷装置Lで消費するように可変負荷装置Lの消費電力を調整する。
本実施形態によれば、制御装置19(第1の可変負荷装置制御部)が、自立発電運転中であって、燃料電池44の出力電力が可変負荷装置Lの最大消費電力に相当する第1の電力量となるまでの間の運転である自立準備運転中においては、可変負荷装置Lの消費電力を第1の所定速度で上昇させるように可変負荷装置Lを制御する(ステップS202)。制御装置19(第1の原燃料投入量導出部)が、電流センサ11a1によって検出された出力電流値に、第1の可変負荷装置制御部によって制御される可変負荷装置Lの消費電力の上昇分に相当するオフセット値αを加えて得た値と、原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップまたは関係式と、から原料ポンプ52a(原燃料供給装置)によって供給される原燃料投入量を導出する(ステップS204)。そして、第1の原燃料供給制御部が、原燃料の供給量が、第1の原燃料投入量導出部によって導出された原燃料投入量となるように原料ポンプ52a(原燃料供給装置)を制御する。これにより、自立準備運転中において、燃料電池44の出力電力の消費先である可変負荷装置Lを所定速度で上昇させるとともに、可変負荷装置Lの消費電力の上昇分に相当する上昇率にて燃料電池44が出力電流ひいては出力電力を発生できるように原燃料を投入することできる。よって、自立発電運転中、必要な消費電力に対して燃料電池44の出力電力をできるだけ過不足なく供給することができる。また、燃料電池44の劣化を防止することができるとともに、ロバスト性を確保することができる。また、初めから原燃料を多量に投入することによる熱暴走を抑制することができる。
また、制御装置19は、自立準備運転が完了した後の自立発電運転中において、燃料電池44の出力電力を第1の電力量を超えて第2の電力量まで増大させるときには、自立発電運転中にのみ出力電力が供給される第2負荷装置18(自立運転時負荷装置)と可変負荷装置Lとの総消費電力を第2の所定速度で上昇させるように可変負荷装置Lを制御する第2の可変負荷装置制御部と、電流センサ11a1によって検出された出力電流値に、第2の可変負荷装置制御部によって制御される総消費電力の上昇分に相当するオフセット値αを加えて得た値と、原燃料の投入量と燃料電池44の出力電流との関係を示すマップまたは関係式と、から原料ポンプ52a(原燃料供給装置)によって供給される原燃料投入量を導出する第2の原燃料投入量導出部と、原燃料の供給量が、第2の原燃料投入量導出部によって導出された原燃料投入量となるように原料ポンプ52a(原燃料供給装置)を制御する第2の原燃料供給制御部と、を備えている。これにより、自立準備運転完了後の自立発電運転中においても、燃料電池44の出力電力の消費先である可変負荷装置Lを所定速度で上昇させるとともに、可変負荷装置Lの消費電力の上昇分に相当する上昇率にて燃料電池44が出力電流ひいては出力電力を発生できるように原燃料を投入することできる。よって、自立発電運転中、必要な消費電力に対して燃料電池44の出力電力をできるだけ過不足なく供給することができる。
また、制御装置19は、燃料電池44の出力電力のうち余剰電力が生じる場合には、可変負荷装置Lの消費電力を調整して余剰電力を消費させて、出力電力が第1の電力量または第2の電力量に一定となるように制御する余剰電力調整部(ステップS246)を、さらに備えている。これにより、自立発電運転中、必要な消費電力に対して燃料電池44の出力電力をより確実に過不足なく供給することができる。
また、制御装置19は、オフセット値を、燃料電池44の積算運転時間が長いほど大きくなるように補正する第1のオフセット設定部(ステップS226−230)を、さらに備えている。これにより、燃料電池44の積算運転時間の長さに応じて、燃料電池44の出力電力の消費先である可変負荷装置Lを所定速度で上昇させることができ、ひいてはその可変負荷装置Lの消費電力の上昇分に相当する上昇率にて燃料電池44が出力電流ひいては出力電力を発生できるように原燃料を投入することできる。
また、原燃料と改質用水蒸気とから燃料を生成する改質部43と、燃料電池44と改質部43とを少なくとも収容する断熱性を有する筐体41と、筐体41内の温度を検出する温度センサ41bと、をさらに備え、制御装置19は、オフセット値を、温度センサ41bによって検出される筐体41内の温度が低いほど大きくなるように補正する第2のオフセット設定部(ステップS222,224,230)を、さらに備えている。これにより、燃料電池44と改質部43とを少なくとも収容する断熱性を有する筐体41の温度(ひいては相関関係にある燃料電池44の温度)に応じて、燃料電池44の出力電力の消費先である可変負荷装置Lを所定速度で上昇させることができ、ひいてはその可変負荷装置Lの消費電力の上昇分に相当する上昇率にて燃料電池が出力電流ひいては出力電力を発生できるように原燃料を投入することできる。
なお、上述した実施形態においては、燃料電池44の出力電圧を一定としたが、燃料電池44の電流−電圧特性を用いて制御するようにしてもよい。燃料電池44の電流−電圧特性は、電流が大きくなるほど電圧が小さくなる関係である。これによれば、より精度よく電流を算出し、より精度よく原燃料投入量を制御することができる。
また、上述した実施形態においては、原燃料の投入量を導出するようにしたが、原燃料の投入量と同様に、改質水の投入量、酸化剤ガスの投入量を導出し、その供給量を制御するようにしてもよい。原燃料の投入量は、改質水の投入量、酸化剤ガスの投入量とよい相関があるからである。これによれば、改質水投入量および酸化剤ガス投入量も、原燃料投入量と同様に、自立発電運転中、必要な消費電力に対して燃料電池44の出力電力をできるだけ過不足なく供給することができる。また、燃料電池44の劣化を防止することができるとともに、ロバスト性を確保することができる。
また、上述した実施形態における燃料電池44は固体酸化物燃料電池であったが、本発明を高分子電解質形燃料電池に適用するようにしても良い。この場合、発電機11aは、図15に示すように、主として燃料電池71aおよび改質器71bから構成されている。
燃料電池71aは、燃料ガス(水素ガス)および酸化剤ガス(酸素を含む空気)が供給されて水素と酸素の化学反応により発電して直流電流(例えば40V)を出力するものである。
改質器71bは、燃料(改質用燃料)を水蒸気改質し、水素リッチな改質ガスを燃料電池71aに供給するものであり、バーナ(燃焼部)71b1、改質部71b2、一酸化炭素シフト反応部(以下、COシフト部という)71b3および一酸化炭素選択酸化反応部(以下、CO選択酸化部という)71b4から構成されている。燃料としては、天然ガス、LPG、灯油、ガソリンおよびメタノールなどがある。
バーナ71b1は、起動運転時に外部から燃焼用燃料および燃焼用空気が供給され、または定常運転時に燃料電池71aの燃料極からアノードオフガス(燃料電池71aに供給されずに排出された改質ガス)が供給され、供給された各可燃性ガスを燃焼して燃焼ガスを改質部71b2に導出するものである。
改質部71b2は、外部から供給された燃料に蒸発器からの水蒸気(改質水)を混合した混合ガスを改質部71b2に充填された触媒により改質して水素ガスと一酸化炭素ガスを生成している(いわゆる水蒸気改質反応)。これと同時に、水蒸気改質反応にて生成された一酸化炭素と水蒸気を水素ガスと二酸化炭素とに変成している(いわゆる一酸化炭素シフト反応)。これら生成されたガス(いわゆる改質ガス)はCOシフト部71b3に導出される。
COシフト部71b3は、この改質ガスに含まれる一酸化炭素と水蒸気をその内部に充填された触媒により反応させて水素ガスと二酸化炭素とに変成している。これにより改質ガスは一酸化炭素濃度が低減されてCO選択酸化部71b4に導出される。
CO選択酸化部71b4は、改質ガスに残留している一酸化炭素と外部からさらに供給されたCO浄化用の空気とをその内部に充填された触媒により反応させて二酸化炭素を生成している。これにより、改質ガスは一酸化炭素濃度がさらに低減されて(10ppm以下)燃料電池71aの燃料極に導出される。
さらに、本発明による燃料電池システムの他の実施形態として、自立用出力端子16が省略されている実施形態も考えられる。この場合、系統電源30の送電がある場合または停電の場合であっても常に第2負荷装置18が第2開閉器17a1に直接接続されている。系統電源30からの送電があるときは、第2開閉器17a1を開路とするため、第2負荷装置18には電力供給はされない。一方、停電の場合における自立発電運転中には、第2開閉器17a1を閉路とするため、使用者によらず、自動的に第2負荷装置18へ発電機11aからの電力のみが供給されることになる。