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JP6102623B2 - 高純度芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

高純度芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高純度芳香族化合物の製造方法及び高純度芳香族化合物に関する。
従来、遷移金属存在下でカップリング反応により芳香族化合物を合成する方法が知られている。具体的には、例えば、パラジウム系触媒の存在下で、フタル酸ジエステルを酸化カップリングさせることによりビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル類を合成する方法が知られている。
このような芳香族化合物の合成方法では、得られた反応液に遷移金属が含まれる。このため、高価な遷移金属を回収し芳香族化合物の製造コストを低減すると共に、遷移金属含有量の少ない芳香族化合物を得る観点から、反応液から遷移金属を分離したいという要望がある。
例えば特許文献1には、酸化カップリング反応後の反応液に水素ガスを供給して反応液中のパラジウム成分を還元して析出させることにより、パラジウムを反応液から分離する方法が記載されている。
特公昭60−59974号公報
遷移金属の含有量がより少ない高純度な芳香族化合物を得たいという要望がある。この要望は、カップリング反応に遷移金属を触媒として用いる場合のみならず、例えばカップリング反応後に遷移金属で反応物を処理する場合などにも共通する課題である。
本発明の主な目的は、高純度な芳香族化合物を製造し得る方法を提供することにある。
本発明に係る高純度芳香族化合物の製造方法では、カップリング反応により合成された芳香族化合物と遷移金属とを含む反応液に、還元剤と、遷移金属に配位可能な、窒素原子を含む化合物及び遷移金属に配位可能な、メルカプト基を有する化合物の少なくとも一方とを接触させることにより固形物を析出させる。固形物を除去することによって遷移金属の濃度が低減された反応液を得る。
本発明に係る高純度芳香族化合物は、遷移金属存在下でカップリング反応により合成された芳香族化合物である。本発明に係る高純度芳香族化合物における前記遷移金属の濃度は1ppm以下である。
本発明によれば、高純度な芳香族化合物を製造し得る方法を提供することができる。
本発明は、高純度芳香族化合物を製造する方法に関する。本発明は、例えば、遷移金属を触媒として用いるカップリング反応を用いて芳香族化合物を製造する場合にも適用できるし、カップリング反応を用いて合成した反応物を、遷移金属を用いて処理することにより芳香族化合物を製造する場合にも適用することができる。
本発明において、「芳香族化合物」は、少なくともひとつの芳香環を有する化合物を意味する。「芳香族化合物」は、ひとつの芳香環を有していてもよいし、2つ以上の芳香環を有していてもよい。
本発明において、「高純度芳香族化合物」とは、遷移金属の濃度が1ppm以下である芳香族化合物のことをいう。
本発明に係る高純度芳香族化合物の製造方法では、カップリング反応により合成された芳香族化合物と遷移金属とを含む反応液に、還元剤と、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物とを接触させ、固形物を析出させる。その後、析出した固形物を除去する。これにより、遷移金属の濃度が低減された反応液を得る。本発明では、反応液に還元剤を接触させる際に、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物も反応液に接触させる。このため、例えば、反応液に還元剤のみを接触させる場合と比べて、反応液における遷移金属の濃度を低くすることができる。従って、本発明に従って得られた遷移金属の濃度が低減された反応液を用いることによって、高純度な芳香族化合物を製造し得る。また、本発明においては、生成物の着色や、副反応が生じることを効果的に抑制し得る。
また、反応液から遷移金属を効率的に回収することができる。このため、遷移金属の利用効率を向上することができる。よって、芳香族化合物の製造コストを低減することができる。
以下、本発明に係る高純度芳香族化合物の製造方法の一態様について詳細に説明する。
(準備工程)
まず、反応液を準備する準備工程を行う。例えば、少なくとも一種の遷移金属存在下で芳香族化合物を合成し、その芳香族化合物を含む反応液を調製してもよい。芳香族化合物を合成する反応としては、例えば、カップリング反応、アルキル基等の酸化反応、シクロアルキル等の脱水素反応、還元反応が挙げられる。なかでも、芳香族化合物を合成する反応は、カップリング反応であることが望ましい。例えば、カップリング反応することにより得られた反応物を遷移金属触媒により処理(例えば、酸化処理や還元処理など)することにより芳香族化合物を合成し、その芳香族化合物を含む反応液を調製してもよい。一般的に、反応液には、芳香族化合物に加え、遷移金属及びカップリング反応の出発物質の少なくとも一方が含まれている。
芳香族化合物は、カップリング反応により合成できるものである限り特に限定されない。
芳香族化合物としては、例えば、一般式(2)で示される化合物が挙げられる。
(一般式(2)において、Rは、炭素数5〜8の環状のアルキル基又はアリール基である。芳香環、アルキル基及びアリール基上の任意の水素原子は、アルキル基、エステル基又はカルボキシル基に置換されていてもよい。)
一般式(2)において、Rは、シクロヘキシル基又はアリール基であってもよい。
一般式(2)で示される芳香族化合物の具体例としては、例えば、一般式(3)又は一般式(4)で示される化合物が挙げられる。なかでも、一般式(2)で示される芳香族化合物は、一般式(3)で示される化合物であることが好ましい。
(一般式(3)及び一般式(4)において、R〜R10は、それぞれ独立して、ベンゼン環及びシクロヘキサン環の2位〜6位のいずれかの炭素原子に結合している。R〜R10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、エステル基又はカルボキシル基である。エステル基は−COOR11で表され、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。R及びR、R及びR10は、同一又は異なっていてもよい。R及びR、R及びR10は、同一であることが好ましい。)
〜R10としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、シクロブチル基、tert−ブチル基、などの直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜4のアルキル基;COOR11と表されるR11エステル基;カルボキシル基が挙げられる。R〜R10は、それぞれ、メチル基、メチルエステル基、カルボキシル基であることが好ましい。R11としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、シクロブチル基、tert−ブチル基、などの直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。R及びR、R及びR10は、同一又は異なっていてもよい。R及びR、R及びR10は、同一であることが好ましい。
一般式(3)で示される芳香族化合物の具体例としては、例えば、下記の一般式(8)〜(13)で示される化合物が挙げられる。
(一般式(8)、一般式(11)、一般式(12)及び一般式(13)において、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。)
一般式(3)で表される化合物は、例えば、一般式(5)で示される化合物と、一般式(6)で示される化合物とを遷移金属存在下でカップリング反応させることにより合成することができる。
(一般式(5)において、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、エステル基又はカルボキシル基である。エステル基は−COOR11で表され、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。R及びRは、同一又は異なっていてもよい。R及びRは、同一であることが好ましい。)

(一般式(6)において、R及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、エステル基又はカルボキシル基である。エステル基は−COOR11で表され、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。R及びR10は、同一又は異なっていてもよい。R及びR10は、同一であることが好ましい。)
例えば、一般式(6)で表される化合物として、フタル酸ジエステルが挙げられる。このフタル酸ジエステルとしては、例えば、フタル酸ジメチルエステル、フタル酸ジエチルエステル、フタル酸ジプロピルエステル、フタル酸ジブチルエステル、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジフェニルエステルなどを好適に挙げることができる。これらのフタル酸ジエステルは、フタル酸、フタル酸無水物、フタル酸ハロゲン化物などと、水酸基を有する化合物、例えば低級脂肪族アルコール、芳香族アルコール、フェノール類などとを反応して容易に得ることができる。
例えば、一般式(8)で表される化合物(ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル)及び一般式(11)で表される化合物(ビフェニルテトラカルボン酸テトラエステル)は、反応式(14)又は反応式(15)により合成することができる。
(反応式(14)及び反応式(15)において、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。)
一般式(4)で示される芳香族化合物の具体例としては、例えば、下記の一般式(16)、(17)で示される化合物が挙げられる。
(一般式(16)及び一般式(17)において、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。)
一般式(4)で表される化合物は、例えば、上記一般式(5)で示される化合物と、一般式(7)で示される化合物とを遷移金属存在下でカップリング反応させることにより合成することができる。
(一般式(7)において、R及びR10は、それぞれ、シクロヘキセン環の3位〜6位のいずれかに結合している。R及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、エステル基又はカルボキシル基である。エステル基は−COOR11で表され、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。R及びR10は、同一又は異なっていてもよい。R及びR10は、同一であることが好ましい。)
遷移金属は、行うカップリング反応や処理の種類や原料物質等に応じて適宜選択することができる。遷移金属として、周期表において第10族又は第11族に属する金属元素を用いてもよい。1種の遷移金属のみを用いてもよいし、複数種類の遷移金属を併用してもよい。遷移金属は、例えば、金属として存在していてもよいし、錯体として存在していてもよい。
例えば、反応式(14)又は反応式(15)を行う場合は、遷移金属として、Pd、Cu等を用いることができる。Pdは、パラジウム塩として用いられてもよい。Cuは、銅塩として用いられてもよい。
好ましく用いられるパラジウム塩の具体例としては、例えば塩化パラジウム、臭化パラジウム、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、水酸化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、ピバル酸パラジウム、トリフルオロメタンスルホン酸パラジウム、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム、及びビス(1,1,1−5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト)パラジウムなどが挙げられる。なかでも、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム、ピバル酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、水酸化パラジウム、硝酸パラジウムがパラジウム塩としてより好ましく用いられる。
反応式(14)又は反応式(15)を行う場合のパラジウム塩の使用量は、反応原料のフタル酸ジエステル1モルに対して、1×10−5〜1×10−2倍モル、好ましくは5×10−5〜5×10−4倍モル、より好ましくは8×10−5〜3×10−4倍モル、更に好ましくは1×10−4〜2×10−4倍モルである。パラジウム塩の使用量が多すぎると、TON(触媒回転率)向上効果が十分に得られない場合がある。パラジウム塩の使用量が少なすぎると、生成物の収量が少なくなりすぎる場合がある。
好ましく用いられる銅塩の具体例としては、例えば、酢酸銅、プロピオン酸銅、ノルマルブチル酸銅、2−メチルプロピオン酸銅、ピバル酸銅、乳酸銅、酪酸銅、安息香酸銅、トリフルオロ酢酸銅、ビス(アセチルアセトナト)銅、ビス(1,1,1−5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトナト)銅、塩化銅、臭化銅、沃化銅、硝酸銅、亜硝酸銅、硫酸銅、リン酸銅、酸化銅、水酸化銅、トリフルオロメタンスルホン酸銅、パラトルエンスルホン酸銅、シアン化銅等が挙げられる。なかでも、酢酸銅、プロピオン酸銅、ノルマルブチル酸銅、ピバル酸銅、ビス(アセチルアセトナト)銅が銅塩としてより好ましく用いられる。
反応式(14)又は反応式(15)を行う場合の銅塩の使用量は、パラジウム塩に対して、好ましくは1〜10倍モル、より好ましくは3〜8倍モル、更に好ましくは4〜8倍モル、特に好ましくは4〜6倍モルである。
カップリング反応は、酸素ガスの存在下で行われてもよい。カップリング反応は、酸素ガスを約5体積%〜50体積%程度含む、酸素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気下で行われてもよい。
カップリング反応において、反応溶媒を用いてもよいし、反応材料が反応条件下で液体である場合などには反応溶媒を用いなくてもよい。沸点や溶解度等を考慮し、反応によって適切な溶媒は選定することができる。例えば、フタル酸ジメチルエステル化合物のカップリング反応の場合、好ましく用いられる反応溶媒の具体例としては、例えば、エチレングリコールジアセテート、アジピン酸ジメチルなどの有機エステル化合物、n−ブチルメチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルエチルケトンなどのケトン化合物等が挙げられる。
カップリング反応の反応温度は、反応速度や溶解度等を考慮し、反応によって適切な温度を設定することができる。例えば、フタル酸ジメチルエステル化合物のカップリング反応の場合、例えば、140℃〜250℃程度とすることができ、170℃〜250℃であることがより好ましい。
カップリング反応の反応時間は、反応速度等を考慮し、反応によって適切な時間を設定することができる。例えば、フタル酸ジメチルエステル化合物のカップリング反応の場合、例えば、は1時間〜50時間、好ましくは2時間〜30時間、より好ましくは3時間〜20時間程度とすることができる。この反応時間とは、触媒の反応活性の低下や反応原料の消費等により、生成物の生成量が十分に増加しなくなるまでの時間のことを示す。
反応式(14)又は反応式(15)を行う場合、β−ジカルボニル化合物存在下でも行うことができる。β−ジカルボニル化合物は、脂肪族であってもよいし、芳香族であってもよい。β−ジカルボニル化合物の具体例としては、例えば、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、トリフルオロアセチルアセトン、2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ヘキサンジオンなどの1,3−ジケトン類、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−オキソ吉草酸メチルなどのアシル酢酸エステル類、ベンゾイル酢酸エチルなどのアルコイル酢酸エステル類、マロン酸ジエチル、メルドラム酸などのマロン酸エステル類等が挙げられる。なかでも、1,3−ジケトン類がβ−ジカルボニル化合物としてより好ましく用いられる。
(還元工程)
次に、得られた反応液を、還元剤と、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物と接触させる。これにより、遷移金属を含む固形物が生成する。
例えば、反応液に還元剤のみを接触させた場合であっても遷移金属を含む固形物が生成する。但し、この場合は、固形物発生後の反応液における遷移金属の濃度を十分に低くすることが困難である。反応液に、還元剤と共に、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を接触させることにより、固形物発生後の反応液における遷移金属の濃度を十分に低くすることができる。
還元剤は、遷移金属を還元できるものである限りにおいて特に限定されない。好ましく用いられる還元剤の具体例としては、例えば、水素ガス、ヨウ化水素、硫化水素、一酸化炭素、二硫化硫黄などの気体性還元剤;ヒドラジン、フェニルヒドラジンなどのヒドラジン系化合物;LiH、NaHなどのアルカリ金属ヒドリド;MgH、CaHなどのアルカリ土類金属ヒドリド;B、BaBHなどのホウ素ヒドリド;AlH、LiAlHなどのアルミニウム系ヒドリド;塩化第一スズ、硫酸第一鉄、水酸化第一鉄、三塩化チタンなどの低原子価金属化合物;ナトリウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウムアマルガム、亜鉛などの金属とアルコールを組み合わせたもの;スズ、鉄、亜鉛、亜鉛アマルガムなどの金属と塩酸、硫酸、酢酸を組み合わせたもの;アルデヒド類、糖類、ギ酸、シュウ酸などの酸化程度の低い有機化合物;ヒドロキシルアミン、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。なかでも、水素ガスが還元剤としてより好ましく用いられる。ここでは、還元剤として水素ガスを用いた場合について説明する。
反応液に水素ガスを接触させる方法は特に限定されない。例えば、反応液を、チャンバ内に配し、チャンバ内の水素ガスの分圧を0.05kg/cm〜50.1kg/cmとすることにより、反応液と水素ガスとを接触させてもよい。チャンバ内の水素ガスの分圧は、0.1kg/cm〜30kg/cmであることが好ましく、0.1kg/cm〜10kg/cmであることがさらに好ましく、0.5kg/cm〜5kg/cmであることがより好ましい。チャンバ内の水素ガスの分圧が低すぎると、反応液に水素ガスが十分に接触しない場合がある。また、チャンバ内の水素ガスの分圧が高すぎると、所望しない副反応、例えば、フタル酸ジメチルエステルの反応の場合、フタリドの生成が助長されることがある。
遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物の例としては、例えば、遷移金属に配位可能な窒素原子を含む化合物、遷移金属に配位可能なメルカプト基(−SH)を有する化合物等が挙げられる。遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物は、窒素原子とメルカプト基との両方を含んでいてもよい。
遷移金属に配位可能な窒素原子を含む化合物は、例えば、窒素を含む脂肪族化合物や、窒素を含む芳香族化合物であってもよい。
遷移金属に配位可能な窒素原子を含む化合物の例としては、例えば、炭素数の合計が5以上のアルキルアミン類や含窒素芳香族化合物等が挙げられる。含窒素芳香族化合物の例としては、例えば、一般式(1)で示されるピリジン化合物が挙げられる。
(一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、アルコキシ基、カルボキシル基、エステル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数2〜9のヘテロアリール基を示す。アリール基及びヘテロアリール基上の任意の水素原子はハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基に置換されていてもよい。R〜Rは、同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。)
前記R〜Rとしては、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、シクロブチル基、tert−ブチル基、などの直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜4のアルキル基;水酸基;−OR11と表されるアルコキシ基;カルボキシル基;−COOR11と表されるエステル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数5〜10のアリール基;ピリミジル基、ピリジル基などの炭素数2〜9のヘテロアリール基が挙げられる。前記R11としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、シクロブチル基、tert−ブチル基、などの直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられるが、水素原子、アルキル基、ピリジル基又はフェニル基であることが好ましい。アリール基及びヘテロアリール基上の任意の水素原子はアルキル基、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基に置換されていてもよい。R〜Rは、同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
一般式(1)で示されるピリジン化合物の例としては、例えば、一般式(18)で表される化合物、2,2’−ビピリジル、2−アセチルピリジン、ピリジンなどが挙げられる。一般式(18)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,10−フェナントロリン等が挙げられる。
一般式(1)で示されるピリジン化合物のなかでも、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジルなどの、遷移金属に配位可能な窒素原子を2以上含む化合物がより好ましく用いられる。すなわち、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物は、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を複数有することが好ましい。
(一般式(18)において、R12〜R19は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基又はヘテロアリール基である。)
前記R12〜R19としては、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;水酸基;ニトロ基;アミノ基;スルホニル基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、シクロブチル基、tert−ブチル基、などの直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜4のアルキル基;−OR11と表されるアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数5〜10のアリール基;ピリミジル基、ピリジル基などの炭素数2〜9のヘテロアリール基が挙げられるが、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることが更に好ましい。前記R11としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、シクロブチル基、tert−ブチル基、などの直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。R〜Rは、同一又は異なっていてもよく、互いに結合して環を形成していてもよい。
遷移金属に配位可能な窒素原子を含む化合物の例としては、アルキルアミン化合物が挙げられ、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミンなどの3級アルキルアミン化合物;ジ−n−ブチルアミンなどの2級アルキルアミン化合物、ピペリジンなどの環状2級アルキルアミン化合物などが挙げられるが、好ましくはピペリジンが用いられる。
遷移金属に配位可能なメルカプト基を有する化合物の例としては、エタンチオール、プロパンチオールなどの脂肪族チオール類、ベンゼンチオールなどの芳香族チオール類などが挙げられる。なかでも、メルカプト基を少なくとも2つ有する化合物(ジチオール類)が、遷移金属に配位可能な硫黄原子を含む化合物としてより好ましく用いられる。ジチオール類の具体例としては、例えば、エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオールなどが挙げられる。この中で、1,10−デカンジチオール等が挙げられる。なかでも、1,10−デカンジチオールがより好ましく用いられる。
遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物の添加量は、例えば、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物の種類等に応じて適宜設定することができる。遷移金属に対して、0.1倍モル〜10倍モルの範囲の量の遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を反応液に対して接触させることが好ましく、0.1倍モル〜3倍モルの範囲の量の遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を反応液に対して接触させることがより好ましく、0.2倍モル〜2倍モルの範囲の量の遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を反応液に対して接触させることがより好ましい。
遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を、カップリング反応がある程度以上進行した後に反応液に接触させることが好ましい。遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を、カップリング反応の開始前や、カップリング反応が十分に進行する前に反応液に接触させると、遷移金属を含む固形物を好適に発生させることができない場合があるためである。
具体的には、カップリング反応の反応時間の8割以上の時間が経過した後に、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を反応液に接触させることが好ましい。この場合、準備工程から、遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を反応液に接触させてもよい。また、準備工程の終了後に遷移金属に配位可能なヘテロ原子を含む化合物を反応液に接触させてもよい。
還元工程は、酸素ガスを含まない雰囲気下で行われることが好ましい。還元工程を行う雰囲気は、水素ガスと不活性ガスとの混合雰囲気であることが好ましい。
還元工程における反応液の温度は、180℃〜280℃であることが好ましく、200℃〜240℃であることがより好ましい。
還元工程における還元反応の時間は、例えば、10分〜5時間、好ましくは0.5〜4時間程度とすることができる。
(分離工程)
次に、固形物が析出した反応液から、固形物を除去する。これにより、遷移金属の濃度が低減された反応液が得られる。その反応液から合成した芳香族化合物を取り出すことにより、遷移金属の濃度が低い高純度芳香族化合物を得ることができる。遷移金属の濃度が低減された反応液における遷移金属の濃度は、8ppm以下であることが好ましく、7ppm以下であることがより好ましく、5ppm以下であることがさらに好ましく、1ppm以下であることがなお好ましい。
なお、反応液からの固形物の除去は、例えば、1回又は複数回濾過することにより行うことができる。なお、濾過操作として、自然濾過、減圧濾過、加圧濾過、遠心濾過等を挙げることができるか、加圧濾過により固形物を除去することが好ましい。
遷移金属の濃度が低減された反応液からの、合成した芳香族化合物の取り出しは、中和、抽出、濾過、濃縮、蒸留、再結晶、晶析、カラムクロマトグラフィーなどの一般的な方法によって行うことができるが、例えば、合成した芳香族化合物が他の成分よりも高い結晶性を有する場合は、例えば冷却等を行うことにより合成した芳香族化合物を結晶化させ、その結晶を濾取することにより行うことができる。
以下、本発明について、具体的な実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
以下の実施例では、表1に示される条件で、反応原料としてフタル酸ジメチルエステル(以下、「DMP」とすることがある。)を用いて酸化カップリング反応を行い、ビフェニルテトラカルボン酸テトラメチルエステル(以下、「BPTT」とすることがある。)を合成した。触媒としては、酢酸パラジウム、アセチルアセトン銅、アセチルアセトン(以下、「acacH」とすることがある。)を用いた。
なお、表1に示すカップリング反応のPd濃度及びCu濃度は、反応原料であるフタル酸ジエステル1L(1190g)に対してのパラジウム塩及び銅塩の使用量(ミリモル)である。
〔実施例1〕
(カップリング反応終了後に1,10−フェナントロリンを添加)
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
まず、反応器にフタル酸ジメチルエステル2.46モル、酢酸パラジウム0.36ミリモル、アセチルアセトン銅2.0ミリモルを加えた。その後、反応器中の混合液に空気を260ミリリットル/分でバブリングすると共に、攪拌機を回転させながら、混合液を180℃まで昇温した。混合液が180℃に達した時点から、3.0質量%のアセチルアセトンのDMP溶液を供給した。混合液を180℃で2時間保持した後、200℃まで加熱し、200℃で4時間保持した。その後、反応液を230℃まで加熱し、230℃で2時間保持した。その後、得られた反応液を放冷した。
次に、反応液474.0gを内容積1Lのオートクレーブに移し、o−Phen(1,10−フェナントロリン)1水和物0.37ミリモルを加え、気相部を窒素ガスで置換した後に装置を密閉し、攪拌を行いながら、235℃に昇温した。その後、気相部を水素ガスで置換し、常圧の水素雰囲気下235℃で4時間保持した。その後、反応液を目開き0.8μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて加圧濾過した。
濾液中のPd溶存量及びCu溶存量を、誘導結合プラズマ発光分析法(以下ICPとも省略する)で、ICP−AES装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー製SPS5100型)を用いて、測定した。結果を表1及び表3に示す。なお、ICP−AES装置による溶存量の検出限界は、1ppmである。このため、表1〜表3における「<1」は、ICP−AES装置によって検出されなかったこと、すなわち、溶存量が1ppm未満であったことを示す。
〔比較例1〕
(添加剤なしで還元反応)
還元反応の際にo−Phen1水和物を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
(炭酸水素ナトリウムを添加して還元反応)
還元反応の際にo−Phen1水和物の代わり炭酸水素ナトリウム0.06gを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例2〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
まず、反応器にフタル酸ジメチルエステル2.40モル、酢酸パラジウム0.36ミリモル、アセチルアセトン銅1.6ミリモルを加えた。その後、反応器中の混合液に空気をバブリングすると共に、攪拌機を回転させながら、混合液を175℃まで昇温した。混合液が175℃に達した時点から、3.0質量%のアセチルアセトンのDMP溶液を供給した。混合液を175℃で3.5時間保持した後、200℃まで加熱し、200℃で2時間保持した。その後、反応液を230℃まで加熱し、230℃で1時間保持した。その後、acacHのDMP溶液のフィードを停止し、o−Phen1水和物0.36ミリモルを加え、さらに230℃で1時間保持した。その後、得られた反応液を放冷した。
次に、反応液466.0gを内容積1Lのオートクレーブに移し、気相部を窒素ガスで置換した後に装置を密閉し、攪拌を行いながら、235℃に昇温した。その後、気相部を水素ガスで置換し、常圧の水素雰囲気下235℃で4時間保持した。その後、反応液を目開き0.8μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて加圧濾過した。濾液中のPd溶存量及びCu溶存量を、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
〔実施例3〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
還元時の水素分圧を10kg/cmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。還元反応開始後、1時間ごとに反応液をサンプリングし、目開き0.2μmのクロマトディスクにて濾過し、濾液中のPd溶存量をICPにて測定した。結果を表1に示す。また、表2に経時変化の結果を示す。
〔実施例4〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の温度を180℃としたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例5〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の水素分圧を3kg/cmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例6〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の水素分圧を0.5kg/cm(窒素分圧0.5kg/cm)としたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例7〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の水素分圧を0.1kg/cm(窒素分圧0.9kg/cm)としたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例8〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の水素分圧を0.05kg/cm(窒素分圧0.95kg/cm)としたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例9〕
(カップリング反応中に1,10−フェナントロリンを添加)
カップリング反応の際に銅1.6ミリモルに代えて銅2.8ミリモルを使用したこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例10〕
(カップリング反応終了後に1,10−フェナントロリンを添加)
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
反応器にフタル酸ジメチルエステル2.40モル、酢酸パラジウム0.72ミリモル、アセチルアセトン銅4.0ミリモルを加えた。その後、反応器中の混合液に空気をバブリングすると共に、攪拌機を回転させながら、混合液を185℃まで昇温し、185℃で2時間保持した。その後、200℃まで加熱し、200℃で3.5時間保持した。その後、反応液を232℃まで加熱し、232℃で1時間保持した。その後、得られた反応液を放冷した。
次に、反応液453.4gを内容積1Lのオートクレーブに移し、o−Phen1水和物0.72ミリモルを加え、気相部を窒素ガスで置換した後に装置を密閉し、攪拌を行いながら、235℃に昇温した。その後、気相部を水素ガスで置換し、常圧の水素雰囲気下235℃で4時間保持した。その後、反応液を目開き0.8μmのPTFE製メンブランフィルターを用いて加圧濾過した。濾液中のPd溶存量及びCu溶存量を、実施例1と同様にして測定した。結果を表1に示す。
〔実施例11〕
(カップリング反応終了後に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物の使用量を0.18ミリモルとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例12〕
(カップリング反応終了後に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物の使用量を0.09ミリモルとしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表1に示す。
〔実施例13〕
(カップリング反応終了後に1,10−フェナントロリンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.36ミリモルの代わりに2,2‘−ビピリジル0.37ミリモルを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔実施例14〕
(カップリング反応終了後に2−アセチルピリジンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.36ミリモルの代わりに2−アセチルピリジン0.43ミリモルを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔実施例15〕
(カップリング反応終了後にピリジンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.36ミリモルの代わりにピリジン0.89ミリモルを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔比較例3〕
(カップリング反応終了後に1−フェニル−1,3−ブタンジオンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.36ミリモルの代わりに1−フェニル−1,3−ブタンジオン0.38ミリモルを使用したこと以外は、実施例1と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔実施例16〕
(カップリング反応終了後に1,10−フェナントロリンを添加)
実施例1と同様の方法で調整したカップリング反応液34.3g、o−Phen1水和物0.05ミリモルを内容積50ミリリットルのオートクレーブに移し、気相部を窒素ガスで置換した後に装置を密閉し、攪拌を行いながら、235℃に昇温した。その後、気相部を水素ガスで置換し、加圧して水素分圧を2kg/mとし、235℃で4時間保持した。その後、反応液を目開き0.2μmのクロマトディスクを用いて濾過し、濾液中のPd溶存量をICPにて測定した。結果を表3に示す。
〔比較例4〕
(添加剤なし)
還元反応の際にo−Phen1水和物を使用しなかったこと以外は、実施例16と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔実施例17〕
(カップリング反応終了後にピペリジンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.05ミリモルの代わりにピペリジン0.19ミリモルを使用したこと以外は、実施例16と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔比較例5〕
(カップリング反応終了後に1−ベンゾフランを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.05ミリモルの代わりに1−ベンゾフラン0.09ミリモルを使用したこと以外は、実施例16と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔比較例6〕
(カップリング反応終了後にジベンゾフランを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.05ミリモルの代わりにジベンゾフラン0.06ミリモルを使用したこと以外は、実施例16と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔比較例7〕
(カップリング反応終了後にベンゾチオフェンを添加)
還元反応の際にo−Phen1水和物0.05ミリモルの代わりにベンゾチオフェン0.08ミリモルを使用したこと以外は、実施例16と同様の操作を行った。結果を表3に示す。
〔実施例18〕
攪拌機と空気供給用導管とを備えた内容積0.5リットルのSUS製反応器を用い、以下の要領で酸化カップリング反応を行なった。
反応器にフタル酸ジメチルエステル2.46モル、酢酸パラジウム0.36ミリモル、アセチルアセトン銅2.0ミリモルを加えた。その後、反応器中の混合液に空気をバブリングすると共に、攪拌機を回転させながら、混合液を180℃まで昇温した。混合液が180℃に達した時点から、3.0質量%のアセチルアセトンのDMP溶液を連続的に供給した。混合液を180℃で2時間保持した後、200℃まで加熱し、200℃で4時間保持した。その後、反応液を230℃まで加熱し、230℃で2時間保持した。その後、得られた反応液を放冷した。
次に、反応液34.8gを内容積50mLのオートクレーブに移し、気相部を窒素ガスで置換した後に装置を密閉し、攪拌を行いながら、235℃に昇温した。その後、気相部を水素ガスで置換し、常圧の水素雰囲気下235℃で4時間保持した。その後、反応液に対し12.9mg(パラジウム塩に対して2.3倍モル)の1,10−デカンジチオールを加え、一昼夜静置した。その後、反応液を目開き0.2μmのクロマトディスクを用いて濾過し、濾液中のPd濃度をICPにて測定した。結果を表4に示す。
〔比較例8〕
還元反応の後に1,10−デカンジチオールを加えなかったこと以外は、実施例18と同様の操作を行った。結果を表4に示す。
〔比較例9〕
1,10−デカンジチオールの代わりに硫黄原子を含み、かつメルカプト基を有しない二硫化ジフェニルを添加したこと以外は、実施例18と同様の操作を行った。結果を表4に示す。
〔実施例19〕
1,10−デカンジチオールを、還元反応の後に添加する代わりに、還元反応前の反応液に添加したこと以外は、実施例18と同様の操作を行った。結果を表5に示す。
〔比較例10〕
1,10−デカンジチオールの代わりにベンゾチオフェンを添加したこと以外は、実施例19と同様の操作を行った。結果を表5に示す。
以上の通り、実施例においては、1気圧程度の低い水素圧で、大幅に反応溶液中に金属の溶存量を低減することができた。

Claims (5)

  1. カップリング反応により合成された芳香族化合物と、Pd及びCuの少なくとも一方とを含む反応液に、還元剤と、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、2−アセチルピリジン、ピリジン及び1,10−デカンジチオールからなる群から選ばれた少なくとも一種とを接触させることにより固形物を析出させ、前記固形物を除去することによって前記Pd及びCuの少なくとも一方の濃度が低減された反応液を得る工程を含む高純度芳香族化合物の製造方法であって、
    Pd及びCuの少なくとも一方の存在下でカップリング反応させることにより、前記芳香族化合物と、Pd及びCuの少なくとも一方とを含む反応液を得る準備工程を備え、
    前記準備工程の終了後に、1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、2−アセチルピリジン、ピリジン及び1,10−デカンジチオールからなる群から選ばれた少なくとも一種を、前記芳香族化合物と、Pd及びCuの少なくとも一方とを含む反応液に接触させるか、
    又は、
    前記カップリング反応の反応時間の8割以上の時間が経過した後に、前記準備工程において1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、2−アセチルピリジン、ピリジン及び1,10−デカンジチオールからなる群から選ばれた少なくとも一種を、前記芳香族化合物と、Pd及びCuの少なくとも一方とを含む反応液に接触させる、高純度芳香族化合物の製造方法。
  2. 前記芳香族化合物が、一般式(3)又は一般式(4)で示される化合物である、請求項1に記載の高純度芳香族化合物の製造方法。

    (一般式(3)及び一般式(4)において、R〜R10は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、エステル基又はカルボキシル基である。エステル基は−COOR11で表され、R11は炭素数1〜4のアルキル基である。)
  3. 前記Pd及びCuの少なくとも一方に対して、0.1倍モル〜10倍モルの範囲の量の1,10−フェナントロリン、2,2’−ビピリジル、2−アセチルピリジン、ピリジン及び1,10−デカンジチオールからなる群から選ばれた少なくとも一種を、前記芳香族化合物と、Pd及びCuの少なくとも一方とを含む反応液に対して接触させる、請求項1又は2のいずれか一項に記載の高純度芳香族化合物の製造方法。
  4. 前記還元剤が水素ガスである、請求項1〜のいずれか一項に記載の高純度芳香族化合物の製造方法。
  5. 前記Pd及びCuの少なくとも一方の濃度が低減された反応液における前記Pd及びCuの少なくとも一方の濃度が、5ppm以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載の高純度芳香族化合物の製造方法。
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