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JP6189268B2 - 珪石質キャスタブル耐火物 - Google Patents

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JP6189268B2 JP2014178578A JP2014178578A JP6189268B2 JP 6189268 B2 JP6189268 B2 JP 6189268B2 JP 2014178578 A JP2014178578 A JP 2014178578A JP 2014178578 A JP2014178578 A JP 2014178578A JP 6189268 B2 JP6189268 B2 JP 6189268B2
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Description

本発明は、加熱時の熱衝撃抵抗性に優れ、かつ高温での荷重下収縮が抑制され、クリープ変形し難い珪石質キャスタブル耐火物に関する
一般的に、コークス炉では、珪石れんががライニングされて30年以上の長期間使用され、その長期間使用中損傷したライニング部位の補修は、れんがの交換あるいは耐火材料の溶射などによって行われている。このうち、補修用れんがは、500℃前後で保温されたコークス炉内壁に築造されるため、熱衝撃抵抗性が要求される。
ライニング用の珪石れんがは、結晶相として主にトリジマイトとクリストバライトとからなるが、それぞれの結晶は、低温領域で、低温型から高温型転移による異常体積変化を生じるために、熱衝撃抵抗性が劣り、熱間補修用れんがとしては不適である。トリジマイトは117℃と163℃で相転移し、それぞれ0.15%と0.2%の線変化が生じ、また、クリストバライトは230℃〜270℃で相転移し、約0.4%の線変化が生じる。
そのため、通常、熱間補修用の珪石れんがとしては、焼成珪石と低熱膨張性である溶融石英を使用したれんがが使用されている。クリストバライトとトリジマイトの1000℃における熱間膨張率は、それぞれ、1.5%と1.0%であるのに対して溶融石英は0.1%と非常に小さく、そのため、れんが全体の熱膨張率を小さくすることができて熱衝撃抵抗性が生じる。例えば、特許文献1〜5に、クリストバライト及び/又はトリジマイトを主成分とする焼成珪石と溶融石英とからなる、熱衝撃抵抗性を有する珪石れんがが記載されている。
溶融石英は、その粒度に関係なく、温度に依存した速度で結晶化する性質をもつ。れんがは、製造過程で、通常1200℃〜1400℃で焼成される。焼成前に配合された溶融石英が、焼成工程で結晶化が進むと熱衝撃抵抗性が減少する。溶融石英は、焼成過程で粒子表面から結晶化するので、微粉部に使うと焼成工程で内部まで結晶化してしまい、非晶質部が消失するため、れんがでは、粗粒部に溶融石英を用いて焼成工程での非晶質部の完全消失を回避している。
一方、キャスタブル耐火物は、耐火性骨材と硬化剤を混合した粉体の耐火物で、水和性又は化学結合を有し、加水して混練後、振動、突き固め等の種々の形式で施工される。硬化後急昇温すると、施工体内の水蒸気圧が高まって、爆裂する恐れがあるため、数日かけて、数百℃に達するまで、段階的に昇温して乾燥する必要がある。
キャスタブル耐火物用硬化剤としては、通常アルミナセメントが使用されるが、珪石質キャスタブル耐火物用にアルミナセメントを使用すると、アルミナセメントの主成分であるCaO・Alが骨材の主成分であるSiOと反応して、アルミニウム・カルシウムシリケート(CaO−Al−SiO)系低融点物を生成し、高温域では骨材粒子の結合を失って荷重下収縮が著しく大きくなるため、低温域での使用に限定される。
珪石質キャスタブル耐火物用硬化剤としては、ポルトランドセメントが汎用されており、その他に、コロイダルシリカのゲル化作用によって硬化するものがある。
ポルトランドセメントは、主成分がカルシウムシリケートで、珪石質キャスタブル耐火物に使用したとき、CaO−Al−SiO系低融点物の生成量が少なく、高融点のCaO−SiO系化合物が結合材としての機能を維持するため、アルミナセメントを硬化剤とした場合に比べて、より高温で使用できる。このため、ポルトランドセメントは、珪石質キャスタブル耐火物の硬化剤として主流になっている。
例えば特許文献6,7に、硬化剤としてポルトランドセメントを使用した珪石質キャスタブル耐火物が記載されている。特許文献6は、溶融石英を主原料とし、ポルトランドセメント2〜10質量%、シリカ超微粉1〜8質量%からなる珪石質キャスタブル耐火物に関する。特許文献7は、主要鉱物相としてトリジマイト70質量%以上を含む使用後珪石れんがや焼成後の珪石れんが規格外品を主原料とし、ポルトランドセメントを2〜5重量%、フュームドシリカを8〜22質量%配合して調整した珪石質キャスタブルに関する。
ポルトランドセメントの主成分であるカルシウムシリケート(その主成分はエーライト(3CaO・SiO))は、下記化学反応式に示すように、水和して3CaO・2SiO・3HO等と多量のCa(OH)を生成するが、その水和速度はアルミナセメントを構成する主物質であるCaO・Alと比べると遅い。また、Ca(OH)の脱水温度は500℃〜600℃で高い。このため、ポルトランドセメントを硬化剤とした珪石質キャスタタブル耐火物は、硬化促進剤を添加するなどの手段のほか、充分な爆裂対策が必要である。さらに、この500℃〜600℃での脱水時に、大きな体積変化を伴い、収縮性を示す。
Figure 0006189268
コロイダルシリカのゲル化作用を用いて硬化させる珪石質キャスタブル耐火物が、例えば特許文献8に記載されている。特許文献8に記載された珪石質キャスタブル耐火物は、溶融石英と焼成珪石からなる珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けでコロイダルシリカを固形SiOに換算して3.0〜9.3質量%、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.04〜0.30質量%添加したもので、前記珪石質耐火原料配合物の溶融石英と焼成珪石の配合割合が、焼成珪石がトリジマイトを主成分とする場合、溶融石英40〜100質量%、焼成珪石0〜60質量%であり、トリジマイト及びクリストバライトを主成分とする場合、溶融石英60〜100質量%、焼成珪石0〜40質量%である。前記珪石質耐火原料配合物は、シリカフラワーを8質量%以下含み得る。
コロイダルシリカはpHの変化、電解質の添加によって常温でゲル化する。電解質ゲル化剤としては、塩化アンモニウム、硅弗化ソーダ、硫酸ソーダ等が公知であるが、特許文献8では、易溶性の珪酸ソーダが使用されている。ゲル化剤として、塩化アンモニウムを使用すると900℃付近から著しく荷重下収縮するが、珪酸ソーダを使用した場合は、この荷重下収縮が抑制されている。
溶融石英は温度に依存した速度で結晶化し、密度の低い高温型クリストバライトや高温型トリジマイトに変化するが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属には溶融石英の結晶化促進作用がある。特許文献8に記載された珪石質キャスタブル耐火物は、コロイダルシリカのゲル化剤として珪酸ソーダを使用しているため、ソーダ成分が溶融石英の結晶化を促進して、密度の低い高温型クリストバライトへの変化が速く進行する結果、荷重下収縮が抑制されたと推測されている。なお、表1にシリカの結晶相及び溶融石英の密度を示す。
Figure 0006189268
特許文献8に記載された珪石質キャスタブルは、不純物として、ソーダ成分を含有する。ソーダ成分は、焼成珪石やコロダルシリカに微量含有するが、その大部分はゲル化剤として使用された珪酸ソーダ起源のものである。アルカリ金属はSiOと反応して低融点物を生成するため、珪石質キャスタブルがソーダ成分を含むと、技術常識的には、高温での荷重下収縮が大きくなり、耐クリープ性も低下すると考えられる。しかし、特許文献8によれば、コロイダルシリカに含まれるソーダ成分と珪酸ソーダに含まれるソーダ成分をプラスしたトータルのソーダ成分添加量を、固形NaOに換算して、0.06〜0.32質量%とした場合、荷重下収縮は緩和され、耐クリープ性も略通常の珪石れんがと同等である。また、低膨張性の溶融石英を40〜100質量%使用しているため、耐熱衝撃抵抗性も良好である。
キャスタブル耐火物は、通常、製鉄所などの事前に型枠が設置された場所で、ミキサー内で加水して混練後、型枠内に流し込み成形される。コロイダルシリカを硬化剤としたキャスタブル耐火物は、コロイダルシリカの一部又は全てが混練媒液として用いられ、水のように施工場所で容易に調達できないため、別途、施工場所に必要量を調達準備する必要が生ずる。
コロイダルシリカを硬化剤とするキャスタブル耐火物は、高温乾燥雰囲気での流し込み施工の際に、コロイダルシリカの水分蒸発に伴う、粘性増加や低流動化が生じ易い。また、流し込み施工後から硬化するまでの間に、水分が蒸発すると、成形体の蒸発部分に、収縮や亀裂が生じる場合がある等、施工の容易性という観点からは、アルミナセメントやポルトランドセメントを硬化剤としたキャスタブル耐火物と比較して問題点が多い。
特許文献8に記載されたコロイダルシリカを硬化剤とする珪石質キャスタブルの大半は、振動テーブル、養生設備、乾燥設備等が完備されたプレキャストブロック製造工場においてプレキャストブロック材として使用されていて、養生中はビニールで覆う等して、水分の蒸発防止策を施している。
特公平1−38073号公報 特公平1−38074号公報 特開平05−132355号公報 特開2003−55035号公報 特開2007−302540号公報 特開昭56−78476号公報 特開2006−290657号公報 特開2013−189322号公報
コークス炉にはいろいろな型式があり、型式により燃焼方式、蓄熱方式は異なるが、石炭を乾留する原理は同じであり、炭化室と燃焼室が上部に交互に並び下部に蓄熱室がある。コークス炉の天井部分の装炭口から乾燥した石炭を炭化室に入れ、1日足らずの時間をかけて乾留してコークスとする。炭化室内の乾留し終えたコークスは、炭化室のプッシュサイドから押し出し機によって押し出され、コークサイドで排出される。炭化室の温度は、通常は概ね1000℃程度で、乾留し終えたコークスの排出時でも500℃以上に保持されている。その熱源は燃焼室下部に設置されたバーナーからの高炉ガス及び/又はコークス炉ガスの燃焼熱であり、燃焼室の温度は1100℃〜1350℃となる。各燃焼室は多数のフリュー(加熱炎道)に細分化されていて、各フリューは約10cm厚の気密性の高い珪石れんがに囲われている。燃焼熱は珪石れんが壁を伝導して炭化室側壁側に達し、石炭の乾留に寄与する。
押し出し機の押し出し面は、プッシュサイド側からコークサイド方向に、炭化室側壁面に沿って約45cm幅の炭化室内を10数m移動するが、乾留し終えたコークスはコークサイド出口付近で密集するため、密集したコークスがコークサイド出口付近の炭化室側壁の珪石れんがを損傷することがある。コークサイド出口付近は、外気との接触により急冷して熱的損傷を受け易い部分でもあるため、補修を必要とする回数が比較的多く、損傷が著しい場合は、新しい珪石れんが、熱間積替用の珪石質れんが又はキャスタブルブロック耐火物に積み替えられる。
炭化室の両側壁が垂直で平行な正常状態であれば、押し出し機の押し出し面は、順調に移動できて、コークスの排出は可能であるが、炭化室方向に、側壁が傾斜したり、側壁用珪石れんがが迫り出して、押し出し機の押し出し面が移動できなくなると、コークスの排出ができなくなる。このような問題箇所が炭化室中央部付近に生じると、1つのフリューに止まらず、場合によっては、該当する炭化室、燃焼室一帯を全面改修する必要が生じる。
炭化室側壁の傾斜、珪石れんがの迫り出し等の問題が発生し難く長寿命なコークス炉壁を実現するため、様々なコークス炉壁のれんが積構造が提案され実施されている。それに伴い、コークス炉を築造する珪石れんが、熱間積替用珪石れんが、熱間積替用珪石質プレキャストブロック耐火物の形状や大きさも多種多様の傾向を示している。通常ダボ付で、形状は直方体から、L字型、コ字型、T字型等の異形のものまで様々で、重量は5〜30Kg/1個程度である。
コークス炉壁は、上記のような多様な形状の珪石質耐火物を組み合わせながら築造されるが、熱間積替え作業は100℃を超える猛暑の中で行われるため、経験や技術はもとより、多大な労力と時間が必要となる。最近、多様な形状の珪石質耐火物を組み合わせて築造する代わりに、ユニット構造(図3参照)の大型の一体型珪石質プレキャストブロック耐火物を用いる熱間積替え工法が提案されている。
上記の大型プレキャストブロック耐火物は、重量が500kgを超えることも想定され、改修が必要な部分に、クレーンで吊り上げ吊り下げして設置する。一つのフリュー部に、この大型プレキャストブロック耐火物を数個積み上げ設置すれば一つのフリューの改修工事が終了する。コークス炉壁は同じような形状のフリューを10数個帯状に並べて設置し形成されるが、炭化室、燃焼室一帯を全面改修する場合でも、この熱間積替え工法が採用されれば省力化、工期短縮化が可能となる。
大型プレキャストブロック耐火物を成形するには、通常の小型のものと比較して、流し込み成形に長時間を必要とする。コロイダルシリカボンドタイプのキャスタブル耐火物の場合、高温低湿度の時期には、水分の蒸発による流動性低下が生じて成形体が充填不足となり易く、また、水分蒸発に伴う養生収縮の影響で、成形体側面にまで亀裂が生じる場合がある等、施工の容易性や成形性の点で問題がある。大型プレキャストブロック耐火物の硬化剤としてコロイダルシリカを使用すると歩留まりや製造効率が低下する。
コークス炉用熱間積替用珪石質耐火物は、500℃前後で保温されたコークス炉内壁に築造されるため、耐熱衝撃抵抗性が要求される。トリジマイト及びクリストバライト等の結晶質珪石からなる通常の珪石質耐火物を、室温から500℃へと急速な温度変化に曝すと、結晶質珪石が相転移によって急膨張するため、亀裂等の損傷が発生する。一般的にコークス炉用熱間積替用珪石質耐火物は、結晶質珪石の一部又は全てを低膨張の溶融石英に置き換えることにより、成形体全体の熱膨張率を抑制して、耐熱衝撃抵抗性を向上させている。コークス炉用熱間積替珪石質耐火物としては、れんが及びキャスタブルブロック耐火物があり、さらに、キャスタブルブロック耐火物は、結合剤の種類によって、コロイダルシリカ型とポルトランドセメント型に区分される。
コロイダルシリカには、アルミナセメントやポルトランドセメントと比べて、CaO,Al等の不純物を含有しないため、珪石れんが相当の品質を有するキャスタブル耐火物が得られる。一方、コロイダルシリカのゲル化作用を硬化剤とするキャスタブル耐火物には、流し込み施工中に水分が蒸発した場合、粘性が大きくなって流動性が低下し、充分に充填したした施工体が得られない等の問題点がある。とりわけ、高温・低湿度雰囲気で大型プレキャストブロック耐火物を流し込み成形する場合、、小型と比較して流し込み時間が長くなるため、この間に、水分の蒸発による流動性低下が生じ取り扱い難い。
ポルトランドセメントは、アルミナセメントと比べて、Al含有量が少ないため、珪石質耐火物とした場合、高温においてCaO−Al-SiO系低融点物の生成量が少なくなる。また、一般コンクリート用硬化剤であることから明らかなように、高強度な成形体が得られ、大型珪石質キャスタブルブロック耐火物用硬化剤として適している。しかしながら、ポルトランドセメントは4%程度のAlを含有するため、コロイダルシリカのゲル化作用によって硬化するキャスタブル耐火物と比べて、上記低融点物の生成量が多くなる。また、ポルトランドセメント水和物は600℃付近で脱水するため、ポルトランドセメントを硬化剤としたキャスタブル耐火物は体積変化を伴って収縮性を示す。従って、1200℃以上の高温に曝される珪石質キャスタブル耐火物用のポルトランドセメントの添加量は必要な強度が発現する限り、少量が望ましい。
特許文献6では、主原料である溶融石英に対し、ポルトランドセメント2〜10%、シリカ超微粉1〜8%を配合した溶融石英を主体とする耐火調合物が提案されている。溶融石英を主体とした珪石質耐火物は、硬化剤を配合しない溶融石英質れんがでさえ、1000℃〜1300℃において荷重下熱膨張曲線が大きな収縮性を示す。特許文献6ではポルトランドセメント配合量の下限を2%としているが、2%でもポルトランドセメントの脱水に伴う収縮は大きく、前記の1000℃〜1300℃の収縮を加えた600℃〜1300℃の荷重下熱膨張曲線が示す収縮量は1%以上に達する。コークス炉壁は炭化室側と燃焼室最高温部とでは温度差があることを考え合わせると、特許文献6に示されたキャスタブル耐火物で成形したブロック耐火物で築造したコークス炉壁は、亀裂や炉壁傾斜が発生する可能性がある。
熱間補修用耐火物は、焼成珪石と低膨張性である溶融石英を、骨材として併用するのが一般的であり、溶融石英の使用によって熱的損傷抵抗性を向上させている。溶融石英は、高熱に晒されると結晶化する性質があり、溶融石英を多用した熱間補修用耐火物では、溶融石英の結晶化に伴う構造的損傷が生じ易くなる。従って、熱間補修用耐火物では、焼成珪石と溶融石英との配合比率、粒度構成を適正化して、熱的及び構造的損傷への対応が必要となる。
本発明は、珪石質キャスタブル耐火物に係る上記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、加熱時の熱衝撃抵抗性に優れ、かつ高温での荷重下収縮が抑制され、高温下での耐クリープ性が良好で、適時に十分な硬化性を有し、大型成形体をも容易に施工可能な珪石質キャスタブル耐火物、珪石質プレキャストブロック耐火物を提供することを目的とする。
本発明に係る珪石質キャスタブル耐火物は、溶融石英と、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカと、シリカ質超微粉からなる珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けでポルトランドセメントを0.7〜2質量%、減水剤を0.03〜0.3質量%、珪酸ソーダをNaOに換算して0.04〜0.30質量%、及び0.03〜0.20質量%の有機質繊維を添加した珪石質キャスタブル耐火物であり、前記珪石質耐火原料配合物の配合割合(合計100質量%)が、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ5〜20質量%、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英である。
上記珪石質キャスタブル耐火物は、珪石質耐火原料配合物の一部として焼成珪石を含み得る。珪石質耐火原料配合物が焼成珪石を含む場合、珪石質キャスタブル耐火原料配合物の配合割合(合計100質量%)は、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ(10/102)×100質量%以上、焼成珪石10質量%以下(0質量%を含まず)、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英であり、かつ前記結晶質シリカと焼成珪石の合量が20質量%以下である。前記焼成珪石は、トリジマイトを主成分とし、又はトリジマイト及びクリストバライトを主成分とする。また、この場合のポルトランドセメントの配合割合は、0.7〜1.3質量%とする。
本発明によれば、加熱時の熱衝撃抵抗性に優れ、かつ高温での荷重下収縮が抑制され、高温下でのクリープ性が良好で、適時に十分な硬化性を有し、大型成形体であっても容易に流し込み成形可能な珪石質キャスタブル耐火物、珪石質プレキャストブロック耐火物を提供することができる。
溶融石英製造用溶融炉の概念図であり、その側面図(a)と平面図(b)である。 並型プレキャストブロックの概念図であり、その側面図(a)と平面図(b)である。 大型プレキャストブロックの概念図であり、その平面図(a)と側面図(b)である。
以下、本発明に係る珪石質キャスタブル耐火物の珪石質耐火原料配合物、硬化剤及び減水剤についてより具体的に説明する。
(珪石質耐火原料配合物)
本発明に係る珪石質キャスタブル耐火物は、珪石質耐火原料配合物として、溶融石英と結晶質シリカ及びシリカ質超微粉を用いる。
溶融石英としては、自然界に産出するα型石英を主成分とする珪石を酸処理して不純物を除去したものを2000℃以上の高温で溶融し急冷固化したいわゆる石英ガラスや、金属アルコキシドの溶液から加水分解法によって石英ガラスの多孔質ゲルを作製し、これを乾燥・焼成して得られた高純度溶融石英などが使用できる。
結晶質シリカとしては、上記の石英ガラス作製時に珪石が溶融する程の温度に達しなかった部分から副生産物として得られるクリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカを用い、若しくは、トリジマイトを主成分とする焼成珪石、又はトリジマイト及びクリストバライトを主成分とする焼成珪石を用いる。
シリカ質超微粉としては、シリカフラワー及び/又は溶融石英超微粉を用いる。シリカフラワーは、金属シリコン、シリコン合金製造の際に副生する集塵ダストである。溶融石英超微粉は、積算平均粒子径(累積分布図で50%の高さを与える直径、D50とも記載する)が1μm以下の球状粒子である。
珪石質耐火原料配合物における溶融石英と結晶質シリカ及びシリカ質超微粉の配合割合(合計100質量%)は、結晶質シリカが石英ガラス作製時に副生産物として得られるクリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカの場合、結晶質シリカ5〜20質量%、シリカ質超微粉3.8〜10%、残部溶融石英とする。
クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカの割合が20質量%を超えると、熱衝撃抵抗性が低下する。石英ガラスの原料となる珪石は、塩酸処理され不純物を除去したものが使用されるので、この結晶質シリカは、溶融石英と同様に純度が高く、SiO含有量は99.5%以上である。このため、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカを多用しても、焼成珪石を多用した場合のような熱間での耐クリープ性低下は生じない。
珪石質耐火原料配合物における溶融石英と結晶質シリカ及びシリカ質超微粉の配合割合(合計100質量%)は、結晶質シリカとして、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカの一部に代えて焼成珪石を用いる場合、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ(10/102)×100〜20質量%、焼成珪石10質量%以下(0質量%を含まず)、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英とする。この場合、結晶質シリカ(クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカと焼成珪石)の合量は20質量%以下とし、焼成珪石としては、トリジマイトを主成分とするもの、及び/又は、トリジマイト及びクリストバライトを主成分とするものを使用する。焼成珪石の配合割合が10質量%を超えると高温での荷重下膨張曲線が著しい収縮性を示し、又は熱間クリープ変形率が大きくなる。
トリジマイトを主成分とする焼成珪石は、例えば使用済珪石質れんがを破砕して粒度調整したもの、トリジマイト及びクリストバライトを主成分とする焼成珪石は、例えば未使用珪石質れんが(規格外品や不用品で使用しなかったもの)を粉砕して粒度調整したものが使用できる。使用済み珪石質れんがは、トリジマイトとクリストバライトのX線回折強度比が概ね100対10以上であり、本発明ではこのようなX線強度回折比を有するものを、トリジマイトを主成分とする焼成珪石という。また、未使用珪石質れんがは、トリジマイトとクリストバライトのX線回折強度比は概ね100対90〜140の範囲内であり、本発明ではこのようなX線回折強度比を有するものを、トリジマイト及びクリストバライトを主成分とする焼成珪石という。
シリカ質超微粉のうちシリカフラワーは、球状で、分散剤との併用で顕著な減水効果を示し、この現象は物理的にはマイクロシリカの形状に起因するボールベアリング効果といわれている。溶融石英超微粉も、物理的にはシリカフラワーと同様に、分散剤との併用で顕著な減水効果を示す。キャスタブル耐火物に加水混練して得られる成形体を乾燥すると、水が存在していた部分が空隙になるので、添加水量を減じて空隙部分を少なくすると成形体の強度は増加する。シリカ質超微粉の配合量が多くなるに従い、添加水量は減少し、成形体の強度は増加する。シリカ質超微粉の配合量が10%を超えると配合量の割りに減水性が顕れず、混練物の粘性が過剰となり成形作業に手間取る。シリカ質超微粉の表面エネルギーは高く、400℃〜800℃でのポルトランドセメントの脱水に伴う強度劣化を防止する作用がある。一方、シリカ質超微粉の配合量が3.8質量%未満では、量的不足から、成形体の強度増加又は強度劣化防止の効果が小さい。
溶融石英超微粉は高純度であるが、シリカフラワーは数質量%の不純物を含む。後述する実施例では、溶融シリカ超微粉のSiO含有量は99.7%、シリカフラワーのSiO含有量は97.1%であった。シリカフラワーの不純物には微量の水溶性成分があり、水溶性成分の多少、あるいはpHが変動すると、キャスタブル耐火物の流動性や硬化時間に影響する。また、シリカフラワーを多用すると不純物が増え、高温での低融点物生成量が多くなり耐クリープ性が低下する。珪石質耐火原料配合物中への不純物量の低減のためには、シリカフラワー添加量としては6質量%以下が望ましい。
(硬化剤)
本発明に係るキャスタブル耐火物は、硬化剤としてポルトランドセメントを用いる。ポルトランドセメントとしては、主成分であるCaO,SiO含有量が多く、Al等の不純成分含有量は少ないものが望ましく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等が好適に使用できる。キャスタブル耐火物にポルトランドセメントを多用すると、昇温過程で600℃付近から脱水に伴う体積変化が生じて収縮が著しくなり、また、ポルトランドセメントからのAlの混入量が多くなってCaO−Al−SiO系低融点物生成量が増加し、高温劣化する。従って、ポルトランドセメント添加量は、成形体の強度が十分に発現する限りにおいて、少量が望ましい。
本発明に係るキャスタブル耐火物中のAl混入量は、ポルトランドセメント量だけでなく、珪石質耐火原料配合物に用いる原料の種類や各種原料の量によって異なる。焼成珪石には数%のAlを含有するので、珪石質耐火原料配合物中に、焼成珪石を0〜10質量%含有する場合におけるポルトランドセメントの添加量は、外掛で0.7〜1.3質量%とする。石英ガラス製造時に副生的に産出する結晶質シリカは殆どAlを含有しないので、焼成珪石を含まない場合におけるポルトランドセメント添加量は、外掛けで0.7〜2.0質量%とし、好ましくは1.5質量%以下とする。
本発明に係るキャスタブル耐火物は、水を添加して型枠内に流し込み施工するものであるが、流し込み可能な軟らかさを維持できる可使時間は0.5時間以上が必要とされ、脱枠できる程の硬さになるまでの硬化時間は72時間以内であることが要求される。さらに、可使時間は1時間以上、硬化時間は24時間以内が望ましいとされる。
本発明に係るキャスタブル耐火物の硬化剤として用いるポルトランドセメント添加量は0.7〜1.3質量%又は0.7〜2.0質量%の範囲にあり、少量であるため、硬化促進剤との併用により必要な硬化時間以内で硬化するものである。硬化促進剤としては、珪酸ソーダのほか、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸塩など公知のものが使用できる。
先に記したように、溶融石英を多用した耐火物は、れんがでさえ1000℃〜1400℃での荷重下収縮が著しい。溶融石英は長時間高温に曝すとやがて結晶化して比較的低密度のβートリジマイト及び/又はβークリストバライトになり膨張性を示す。アルカリには結晶化促進作用が有り、本発明に係るキャスタブル耐火物において、NaO成分を0.04〜0.30質量%添加することにより、1000℃〜1400℃の昇温過程で結晶化を促進して、荷重下収縮が抑制される。
硬化促進剤として珪酸ソーダ、塩化ナトリウムなどのアルカリ塩を用いると、荷重下収縮の抑制に必要なNaO成分量を得ることが可能である。しかし、荷重下収縮の抑制に十分な効果を得る量のNaOを硬化促進剤として添加した時、過剰な硬化促進作用によって必要な可使時間が得られない場合が生ずる。また、塩化カルシウムなどのアルカリを含有しない硬化促進剤を用いると、荷重下収縮の緩和に必要なNaO成分添加が別途必要になる。このような場合、難溶性珪酸ソーダを添加することによって、荷重下収縮緩和に必要なNaO成分を添加することが可能である。
難溶性珪酸ソーダは、硅砂と水酸化ナトリウムを高温で溶融後冷却したオートクレーブ処理前の粉砕物(カレット)であり、これをオートクレーブ処理後脱水して得られる粉末又は水溶液が一般に珪酸ソーダと呼ばれているものである。珪酸ソーダは水に易溶性で硬化促進作用が有るのに対し、難溶性珪酸ソーダは、水に対する溶解度が珪酸ソーダに比べて非常に小さく硬化促進作用も小さい。
本発明において、珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けで添加する珪酸ソーダとは、易溶性珪酸ソーダ又は難溶性珪酸ソーダ、若しくは易溶性珪酸ソーダと難溶性性珪酸ソーダの混合物であり、その添加量は、固形NaOに換算して0.04〜0.30質量%とする。
(減水剤)
本発明のキャスタブル耐火物は、硬化剤として用いるポルトランドセメント量が非常に少ないため、成形体を十分な強度とするには、珪石質骨材配合物中にシリカ質超微粉を配すると共に、減水効果の高い減水剤を使用するのが望ましい。本発明に使用する減水剤は、ポリエーテルカルボン酸系が望ましく、その添加量は珪石質骨材配合物100質量%に対し外掛けで0.03〜0.3質量%とされる。また、ナフタリン、メラミンスルホン酸縮合物、リン酸ソーダ等の無機電解質も使用可能である。
(有機質繊維)
先に記したように、ポルトランドセメントを硬化剤としたキャスタブル耐火物は、アルミナセメントやコロイダルシリカのゲル化作用を硬化剤とした場合と比較して、加熱昇温過程で爆裂し易い。本発明のキャスタブル耐火物では、爆裂回避のため、有機質繊維を、珪石質耐火骨材配合物対して、外掛けで0.03〜0.2質量%添加する。有機質繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の繊維長さ3〜15mmの化学繊維が使用できる。
[共通事項]
トリジマイトを主成分とする焼成珪石として、熱風炉で長時間使用後改修した使用済珪石れんが屑を用い、トリジマイト及びクリストバライトを主成分とする焼成珪石として、規格外や不用となった未使用珪石れんが屑を用いた。使用済珪石れんが屑と未使用れんが屑は、それぞれ約300Kgを無作為に採取し、3mm以下に破砕混合し、3−1mm、1−0.150mm、0.150mm以下に粒度分けした。
3mm以下に破砕混合した使用済珪石れんが屑と未使用珪石れんが屑の中から、無作為に2Kg採取し、二分器で100gに縮分後、全量粉砕したものを試料として、それぞれの化学成分及び結晶相を調べた。結晶相はX線回折法で解析した。使用済珪石れんが屑と未使用珪石れんが屑の化学成分を表2に、結晶層及びX線回折強度を表3に示す。使用済珪石れんが屑と未使用珪石れんが屑共に、結晶相は低温型のトリジマイトと低温型クリストバライトが認められた。表3において、クリストバライトのX線回折強度(最大回折強度)はトリジマイトのX線回折強度(最大回折強度)を100としたときの相対値である。
使用済珪石れんが屑はトリジマイトを主成分とし、未使用珪石れんが屑はトリジマイト及びクリストバライトを主成分としている。
Figure 0006189268
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溶融石英は、珪石を溶融温度(1723℃)を超える温度で加熱して溶融し、急冷して製造される。本発明で使用した溶融石英の製造用溶融炉の構造を図1に示す。直径約1m長さ約2mの円筒状金属容器1の円の中心にSiC発熱体2を設置し、発熱体2に電気を通して加熱するタイプである。溶融石英の原料である珪石としては、酸処理して不純物を除去した高純度珪石が用いられ、これを金属容器1に入れて加熱溶融する。金属容器1と発熱体2は使い捨てで、加熱溶融後は金属容器1ごと水冷し、解体して溶融石英部分を採取する。溶融石英は、SiO2含有量が99.5質量%以上の高純度非結晶質品であり、これを5−3mm、3−1mm、1−0.150mm、0.150mm以下に粒度分けした。
金属容器1内の珪石は、全てが溶融するのではなく、発熱体2の発熱部から離れた、容器側壁3に沿った溶融温度以下の部分には、不透明な数cm幅の珪石層がある。この不透明な珪石層から採取した珪石を、以下の実施例では、結晶質シリカと称する。
この結晶質シリカの原鉱約400Kgを入手し、3mm以下に粉砕、混合して無作為に2Kg採取し、さらに二分器で100gに縮分後、全量粉砕したものを試料として、化学成分及び結晶相を調べた。結晶相はX線回折法で解析した。
表4に溶融石英と結晶質シリカの化学成分、表5に溶融石英と結晶質シリカの結晶相を示す。結晶質シリカの結晶相は、低温型クリストバライトと低温型クオーツが認められた。表4において、低温型クオーツの回折強度(最大回折強度)は低温型クリストバライトの回折強度(最大回折強度)を100としたときの相対値である。
上記の3mm以下に粉砕混合した結晶質シリカを、さらに、3−1mm、1−0.150mm、0.150mm以下に粒度分けした。
Figure 0006189268
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本発明で使用するシリカ質超微粉は、シリカフラワーと溶融石英超微粉の2種類である。シリカフラワーとしてはSiO含有量が97.1質量%品を使用した。溶融石英質超微粉はSiO含有量が99.7質量%で、積算平均粒子径が1μm以下の球状粒子である。
減水剤は、ポリエーテルポリカルボン酸系を使用した。
有機質繊維は、繊度2.2dtex,繊維径18μ、繊維長5mmのポリプロピレンを使用した。
本発明のキャスタブル耐火物に添加する水は、上水道水を用いた。添加水量の数値は、珪石質耐火原料配合物に対する添加水の割合(外掛け)であり、質量%で示す。
[試験1]
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、前記溶融石英及び結晶質シリカを用い、両骨材の配合比率を変化させ、シリカ質超微粉を8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、ポルトランドセメントを1.0質量%、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.07質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%、水を5.5%質量添加し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、物性値(嵩比重、圧縮強度、熱膨張率、荷重下熱膨張率、クリープ値)の測定、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。
混練は、株式会社ダルトン製の万能試験機を用いた。混練後のキャスタブル耐火物の軟らかさは実施例1〜4及び比較例1ではほぼ同じであった。成形は、林バイブレーター株式会社製の振動テーブルを用い、振動数50Hz、振動時間5分の条件で行った。混練後及び成形後のキャスタブル耐火物を用い、室温(25℃)における可使時間及び硬化時間を測定した。
混練後のキャスタブル耐火物の一部(約500g)を、ビニール袋に入れ、25℃の一定温度に保持した恒温槽内に保存し、可使時間測定用とした。このとき、ビニール袋の袋口を輪ゴムで閉じて恒温槽内に保存し、キャスタブル耐火物が乾燥しないようにした。キャスタブル耐火物の流動性を15分ごとに手触り感や目視で確認し、混練後から流動性低下(振動施工法で充填不足が生じるほどの流動性低下)が生じるまでの時間を一応の可使時間(仮にT1とする)とした。可使時間の測定開始から72時間を経過した時点で流動性低下が確認できなかった場合、以後の測定を中止した。
流動性低下が生じたと判断されたキャスタブル耐火物は、ビニール袋ごと振動テーブル上に置き5分間振動を与えて高密度化した後、再度流動性を前記の要領で確認し、流動性低下を再確認した場合は、当該キャスタブル耐火物の可使時間をT1と確定した。このキャスタブル耐火物は恒温槽内に戻して硬化時間測定用とした。一方、流動性低下を再確認しなかった(流動性が戻った)場合は、再度恒温槽に戻し、15分後に再びビニール袋ごと振動テーブル上に置き5分間振動を与えた後、再び流動性を前記要領で確認し、このとき流動性を再確認した場合は、当該キャスタブル耐火物の可使時間をT1+15分と確定した。流動性低下を再確認しなかった場合は、さらに以上のプロセスを繰り返した。可使時間を表6に示す。
硬化時間とは、混練後から成形体が損傷することなく脱枠できる程度に強度が発現するまでの時間である。この実施例では、硬化時間測定用のキャスタブル耐火物の強度を30分ごとに確認し、当該キャスタブル耐火物が腕力で潰れたり亀裂が生じたりしない程度に強度が発現するまでの時間を硬化時間とした。硬化時間を表6に示す。
一方、混練後のキャスタブル耐火物の一部は、JISR2553の規定に準ずる型枠に流し込み、型枠ごと上記と同じ恒温槽で養生し、これを硬化確認用とした。養生中はキャスタブル耐火物の流し込み面をビニールシートで覆い乾燥を防いだ。硬化時間測定用のキャスタブル耐火物が硬化時間に達した時点で、硬化確認用のキャスタブル耐火物を恒温槽から取り出し脱枠して、正常に脱枠できるかどうか確認した。また、JISR2553の規定に準じて1日養生後の圧縮強度を測定した。なお、本発明の実施例については、硬化時間到達時点において全て正常に脱枠可能で、かつ1日養生後の圧縮強度は全て5MPa以上であった。
嵩比重、圧縮強度試験用試験片はJIS−R−2553に記載の成形型を用いて成形した。圧縮強度はJIS−R−2553の規定に準じて測定した。表6に、110℃で24時間乾燥後、及び1200℃(昇温速度5℃/分)で3時間焼成後の冷間での嵩比重、及び圧縮強度の測定値を示す。
熱膨張率はJIS−R−2207−1(可視光投影方式)の規定に準じて測定した。表6に、1000℃での熱膨張率の測定値を示す。
荷重下熱膨張率及びクリープ値は品川リフラクトリーズ株式会社製熱間クリープ試験炉(SRC−15型)を用い、0.2MPaの圧力を付加してJIS−R−2658の規定に準じて測定した。表6には、1400℃に到達した時の荷重下熱膨張率の測定値を示す。続いて、そのまま1400℃で50時間保持し、50時間保持後の荷重下熱膨張率を測定した。表6に、1400℃で50時間保持後の荷重下熱膨張率と、1400℃到達時の荷重下熱膨張率の差をクリープ値として示す。
熱衝撃抵抗性評価は、一辺100mmの立方体に成形し110℃×24時間乾燥後自然冷却した試験体を用い、この試験体を600℃又は1200℃に保持した電気炉中に投入し、30分経過後に電気炉内から試験体を通常室内に取り出して自然冷却した後に、試験体の外観を肉眼で観察する方法で行った。熱衝撃抵抗性は亀裂の有無で評価した。その結果を表6に示す。
耐爆裂性評価試験は一辺60mmの立方体に成形し、脱枠して直ぐに600℃に保持された電気炉中に投入して、爆裂する、爆裂しない、で評価した。キャスタブル耐火物の配合物、混練用水は、25℃に保持した恒温槽内で保存したものを用い、混練して振動施工後のものは、脱枠まで同じ恒温槽内で養生した。
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表6に示すように、参考例1と実施例2〜4、比較例1は全て、圧縮強度はコークス炉用珪石れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.30〜0.16%の範囲内にあり、耐クリープ性、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、熱衝撃抵抗性評価試験の結果は、参考例1と実施例2〜4は良好であったのに対し、比較例1は、結晶質シリカの配合割合が本発明の規定を超え、かつ溶融石英の配合割合が本発明の規定未満であり、亀裂が発生した。
[試験2]
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、溶融石英、結晶質シリカ及び焼成珪石を用い、3種の骨材の配合比率を変化させ、シリカ質超微粉8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、ポルトランドセメントを1.0質量%、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.07質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%、水を5.5質量%添加し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。焼成珪石としてトリジマイトを主成分とする珪石(使用済珪石れんが)を用いた結果を表7に示す。また、焼成珪石として未使用珪石れんが(クリストバライト及びトリジマイトを主成分)を用いた結果を表8に示す。
Figure 0006189268
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表7に示すように、実施例5〜8は、骨材配合比率が、溶融石英72〜82質量%、結晶質シリカ10質量%、使用済珪石れんが0〜10質量%であり、いずれも圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20Mpa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.20〜−0.31%の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、比較例2は、使用済珪石れんがの配合割合が本発明の規定を超え、かつ溶融石英の配合割合が本発明の規定未満であり、1400℃到達時の荷重下熱膨張率が大きい収縮性を示し、クリープ変形率も大きく、1200℃での熱衝撃抵抗性評価試験の結果亀裂が発生した。
表8に示すように、実施例9〜11は、骨材配合比率が、溶融石英72〜77質量%、結晶質シリカ10質量%、未使用珪石れんが0〜10質量%であり、全て、圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20Mpa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.11〜−0.16%の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、比較例3〜4は、結晶質シリカ及び未使用珪石れんがのトータル配合割合が本発明の規定を超え、かつ溶融石英の配合割合が本発明の規定未満であり、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、亀裂が発生した。また、未使用珪石れんがの配合割合が本発明の規定を超える比較例4は、荷重下熱膨張率が大きい収縮性を示した。
[試験3]
珪石質耐火原料配合物(骨材)が、溶融石英及び結晶質シリカを用いた実施例3と同じ比較例5,6と実施例12,13、溶融石英、結晶質シリカ及び使用済珪石れんがを用いた実施例7と同じ実施例14,15と比較例7について、外掛けで添加するポルトランドセメント量を変化させて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表9に示す。表9には、1日養生後又は3日養生後の養生後圧縮強度測定値も示す。
Figure 0006189268
実施例12、実施例3、実施例13は、ポルトランドセメント添加量が本発明の規定範囲内(0.7〜2質量%)であり、いずれも圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は0.06〜−0.27の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、比較例5は、ポルトランドセメント添加量が0.5質量%で本発明の規定未満であり、110℃×24h乾燥後圧縮強度は20MPa未満であった。比較例6はポルトランドセメント添加量が3質量%で本発明の規定を超え、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.65%であり、クリープ変形率も大きい。
実施例14、実施例7、実施例15のポルトランドセメント添加量が本発明の規定範囲内(0.7〜1.3質量%)であり、いずれも圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は0.03〜−0.3%の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、比較例7はポルトランドセメント添加量が1.6質量%で本発明の規定を超え、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.50%であり、クリープ変形率も大きい。
表9に示す実施例3、実施例7、実施例12〜15、比較例5〜7の1日養生後圧縮強度及び乾燥後(110℃×24h)圧縮強度はポルトランドセメント添加量が増えるのに伴って大きくなっている。養生後強度不足の場合、脱枠時に角欠けが生じ易くなるので、養生強度は大きい方が望ましい。
珪石質耐火原料配合物として溶融石英及び結晶質シリカを用いた場合では、ポルトランドセメントの適正な添加量範囲が0.7〜2質量%であるのに対して、珪石質耐火原料配合合物として溶融石英、結晶質シリカ及び使用済珪石れんがを用いた場合、ポルトランドセメントの適正な添加量範囲は0.7〜1.3質量%であり、前者に比べて、ポルトランドセメントを多用できない。
[試験4]
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、結晶質シリカ及び溶融石英を用い、シリカ質超微粉の配合比率を変化させた原料配合物100質量%に対して、外掛けで、珪酸ソーダ及び難溶性珪酸ソーダのトータルが固形NaOに換算して0.09質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表10に示す。なお、表10の実施例16〜18及び比較例8,9の原料配合物の欄は、各耐火原料の合計が100質量%を超える。
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シリカ質超微粉の配合比率が本発明の規定範囲内(各耐火原料の合計を100質量%としたとき3.8〜10質量%)である実施例3、実施例16〜18は、全て、圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.30〜−0.04%の範囲内にあり、耐クリープ性も良好であり、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、シリカ質超微粉の配合比率が3質量%の比較例8は、添加水量が比較的多くなり、110℃乾燥後の圧縮強度は20MPa未満であり、1400℃到達時の荷重下膨張率は−0.38%であった。シリカ質超微粉の配合比率が12質量%比較例9は、耐爆裂性評価試験の結果爆裂した。
[試験5]
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、結晶質シリカ及び未使用珪石れんが及び溶融石英を用い、シリカ質超微粉の配合比率を変化させた原料配合物100質量%に対して、外掛けで、珪酸ソーダ及び難溶性珪酸ソーダのトータルが固形NaOに換算して0.09質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。この結果を表11に示す。なお、表11の実施例21及び比較例11の原料配合物の欄は、各耐火原料の合計が100質量%を超える。
Figure 0006189268
シリカ質超微粉の配合比率が本発明の規定範囲内(各耐火原料の合計を100質量%としたとき3.8〜10質量%)の実施例10、実施例19〜〜21は、全て、圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.29〜−0.15%の範囲内にあり、耐クリープ性も良好であり、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、シリカ質超微粉の配合比率が3質量%の比較例10は、添加水量が比較的多くなり、110℃乾燥後の圧縮強度は20MPa未満であり、1400℃到達時の荷重下膨張率は−0.43%である。シリカ質超微粉の配合比率が12質量%の比較例11は、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、1200℃に保持した電気炉に投入した試験体に亀裂が発生し、耐爆裂性評価試験の結果亀裂が発生した。
[試験6]
結晶質シリカ、溶融石英、及びシリカ質超微粉の配合比率を一定とする耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けで、珪酸ソーダ、難溶性珪酸ソーダの量を変化させ、ポルトランドセメント、減水剤、有機質繊維、水を一定量として添加し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表12に示す。
Figure 0006189268
珪酸ソーダ及び/又は難溶性珪酸ソーダ量の外掛け添加量が、本発明の規定範囲内(NaOに換算して0.04〜0.30質量%)の実施例3、実施例22〜24は、全て、圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.24〜−0.07%の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、比較例12,13は、珪酸ソーダ及び難溶性珪酸ソーダの合量が、固形NaOに換算して0.00又は0.02質量%であり、1400℃到達時の荷重下膨張率が、それぞれ−1.06%、−0.58%で大きい収縮性を示した。比較例14は、珪酸ソーダ及び難溶性珪酸ソーダの合量が、固形NaOに換算して0.40質量%であり、クリープ変形率が大きい。
[試験7]
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、結晶質シリカ、溶融石英及び使用済珪石れんがを用い、この3種骨材の配合比率を一定とし、シリカ質超微粉を8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、有機質繊維の量を変化させ、ポルトランドセメント1.0質量%、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.07質量%、有機質減水剤0.2質量%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表13に示す。
Figure 0006189268
有機質繊維の外掛けの添加量が、本発明の規定範囲内(0.03〜0.20質量%)の範囲にある実施例7、実施施例25〜27は、全て、圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.22〜−0.30%の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。一方、有機質繊維の外掛け添加量が0.02質量%の比較例15は、耐爆裂性評価試験の結果亀裂が発生した。有機質繊維の外掛け添加量が0.3質量%の比較例16は、添加水量が比較的多くなり、110℃乾燥後の圧縮強度は20MPa未満であり、1400℃到達時の荷重下膨張率は−0.54%となり、収縮性が大きい。
[試験8]
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、前記使用済珪石れんが及び溶融石英を用い、両骨材の配合比率を変化させ、シリカ質超微粉を8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、ポルトランドセメントの量を変化させ、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.05質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表14に示す。なお、表14の実施例28,29の原料配合物の欄は、各耐火原料の合計が100質量%を超える。
Figure 0006189268
参考例1,2,3は、全て、圧縮強度はコークス炉用れんが規格である20MPa以上であって、1400℃到達時の荷重下熱膨張率は−0.37〜−0.14%の範囲内にあり、耐クリープ性、熱衝撃抵抗性評価試験の結果、耐爆裂性評価試験の結果も良好であった。
[試験9]
コークス炉熱間積替用キャスタブル耐火物としては、加熱時の熱衝撃抵抗性に優れ、かつ、高温での荷重下収縮が抑制され、高温下でのクリープ変形率が小さく、適時に十分な硬化性を有し、容易に流し込み成形が可能なものが適している。前記の[試験1]〜[試験8]のラボ試験で、コークス炉熱間積替用キャスタブル耐火物に適した実施例を選び、養生後、乾燥後、1000℃焼成後、1200℃焼成後、1400℃焼成後の曲げ強度及び圧縮強度をJIS−R−2553に準じて測定した。この結果を表15に示す。
Figure 0006189268
表15に示した参考例1,2,3及び各実施例の焼成後の圧縮強度は、全て、養生後の圧縮強度及び乾燥後の圧縮強度より大きい。
一方、参考例1,2,3及び各実施例の乾燥後曲げ強度は、全て養生後曲げ強度より大きい。また、参考例1,2,3及び各実施例において、1000℃及び/又は1200℃焼成後の曲げ強度は乾燥後曲げ強度に劣るが、1400℃焼成後曲げ強度は1000℃及び/又は1200℃焼成後の曲げ強度より大きい。実施例13はポルトランドセメントの含有量が最も多く、養生後強度及び乾燥後強度が最も大きい。
参考例1の原料配合物は結晶を含有せず全てガラス質であり、1200℃焼成後曲げ強度が著しく低下するが、1000℃焼成後曲げ強度は参考例1が最も大きく、乾燥後曲げ強度からの低下率が最も小さい。
参考例1,2,3は、実施例13,7,15,10と比べて、原料配合物にガラス相含有量が多く結晶相含有量は少ない。本発明では、珪酸ソーダ、難溶性珪酸ソーダを添加して、溶融石英の結晶化を促進させ、高温での荷重下収縮を抑制している。1200℃は、溶融石英の結晶化速度が大きくなる温度域であり、試験片内部で構造変化が生じる。結晶相含有量が比較的多い実施例7,15,10では、溶融石英の結晶化により影響が少ないので、1200℃焼成後の曲げ強度が1000℃焼成後の曲げ強度と略同等になったと推測される。
実施例13,7,15,10及び参考例2,3は、低温型クリストバライト及び/又は低温型トリジマイト及び/又は低温型クオーツからなるSiO質結晶相を有する。これらのSiO質結晶相は、150〜600℃の温度域で、低温型から高温型へ相転移し、急激な膨張性を示す。1000℃焼成後曲げ強度の低下はSiO質結晶相の相転移がある程度関与していると推測される。参考例1はSiO質結晶相を有しないので、1000℃焼成後曲げ強度の低下はほとんどない。
溶融石英の結晶化による構造的スポーリングの発生や,SiO質結晶相の転移による熱的スポーリングの発生を回避するためには、1200℃及び1000℃焼成後の曲げ強度が、乾燥後の曲げ強度に比べて著しく低下しないものがより望ましいと推測される。実施例7,15,10の1200℃及び1000℃焼成後曲げ強度は、乾燥後の曲げ強度からの強度低下率が小さい。参考例2はポルトランドセメントの含有量が最も少ないので、他の実施例に比べて強度は劣るが,焼成による強度変化は小さくなっている。
[試験10]
表16に示す実施例13,15,10及び参考例2は、外掛けで添加したポルトランドセメント量が2〜0.7質量%の範囲内で差があり、養生後及び乾燥後の曲げ強度及び圧縮強度の大きさもポルトランドセメント添加量に従っている(表15参照)。
プレキャストブロック耐火物は、一般的に、プレキャスト製造工場で成形、乾燥して出荷される。実施例13,15,10及び参考例2について、プレキャストブロック耐火物製造工場で、並型及び大型プレキャストブロック耐火物を実際に製造し、振動成形、養生、脱枠、乾燥を経て、正常なキャスタブルブロック耐火物乾燥品が得られるかを試験した。
この時、混練はボルテックスミキサーを用い、振動成形時間は、並型プレキャストブロックは15分、大型プレキャストブロックは50分とした。いずれも25℃×24h養生後脱枠し、乾燥器中で300℃×24時間(昇温速度1℃/分)乾燥後、通常室内で自然冷却した。
並型プレキャストブロック耐火物(乾燥後質量約15Kg)の概略図を図2に、大型プレキャストブロック耐火物(乾燥後重量:約550Kg)の概略図を図3に示す。
大型プレキャスト耐火物については、脱枠時の型枠を横倒しにする必要が生じた場合、及び、乾燥後成形品の吊り上げ吊り下げ、移動は、工場天井に設置されているホイスト式クレーンを利用し、吊りベルトや吊りクランプを用いて行った。このプレキャストブロック耐火物製造試験結果を表16に示す。
Figure 0006189268
実施例13,15,10及び参考例2は、全て、正常な並型プレキャストブロック耐火物乾燥品として成形できた。
500Kgを超える大型プレキャストブロック耐火物の脱枠は、ホイスト式クレーンやフォークリフトを駆使して、成形体を横倒しにしたり、さかさまにして行う作業があり、成形体の角やダボ部を、床面、型枠、フォークリフトの爪に接触させて傷つけ易い。
参考例2は、実施例13,15,10に比べるとポルトランドセメント添加量が少なく、養生強度が小さく、脱枠作業に慎重を要する。
実施例13,15,10及び参考例2の大型プレキャストブロック耐火物乾燥品は、全て、吊りクランプや吊りベルトを装着したホイスト式クレーンにより、吊り上げ、吊り下ろし、水平移動は問題なく実行できた。

Claims (3)

  1. 溶融石英と、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカと、シリカ質超微粉からなる珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けでポルトランドセメントを0.7〜2質量%と、減水剤を0.03〜0.3質量%と、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.04〜0.30質量%と、0.03〜0.20質量%の有機質繊維を添加した珪石質キャスタブルであり、前記珪石質耐火原料配合物の配合割合(合計100質量%)が、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ5〜20質量%、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英であることを特徴とする珪石質キャスタブル耐火物。
  2. 溶融石英と、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカと、焼成珪石と、シリカ質超微粉からなる珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けでポルトランドセメントを0.7〜1.3質量%と、減水剤を0.03〜0.3質量%と、珪酸ソーダを固形NaOに換算して0.04〜0.30質量%と、0.03〜0.20質量%の有機質繊維を添加した珪石質キャスタブル耐火物であり、前記珪石質耐火原料配合物の配合割合(合計100質量%)が、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ(10/102)×100質量%以上、焼成珪石10質量%以下(0%を含まず)、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英であり、かつ前記結晶質シリカと焼成珪石の合量が20質量%以下であることを特徴とする珪石質キャスタブル耐火物。
  3. 前記焼成珪石がトリジマイトを主成分とし、又はトリジマイト及びクリストバライトを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載された珪石質キャスタブル耐火物。
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