JP6189268B2 - 珪石質キャスタブル耐火物 - Google Patents
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Description
キャスタブル耐火物用硬化剤としては、通常アルミナセメントが使用されるが、珪石質キャスタブル耐火物用にアルミナセメントを使用すると、アルミナセメントの主成分であるCaO・Al2O3が骨材の主成分であるSiO2と反応して、アルミニウム・カルシウムシリケート(CaO−Al2O3−SiO2)系低融点物を生成し、高温域では骨材粒子の結合を失って荷重下収縮が著しく大きくなるため、低温域での使用に限定される。
ポルトランドセメントは、主成分がカルシウムシリケートで、珪石質キャスタブル耐火物に使用したとき、CaO−Al2O3−SiO2系低融点物の生成量が少なく、高融点のCaO−SiO2系化合物が結合材としての機能を維持するため、アルミナセメントを硬化剤とした場合に比べて、より高温で使用できる。このため、ポルトランドセメントは、珪石質キャスタブル耐火物の硬化剤として主流になっている。
特許文献8に記載されたコロイダルシリカを硬化剤とする珪石質キャスタブルの大半は、振動テーブル、養生設備、乾燥設備等が完備されたプレキャストブロック製造工場においてプレキャストブロック材として使用されていて、養生中はビニールで覆う等して、水分の蒸発防止策を施している。
(珪石質耐火原料配合物)
本発明に係る珪石質キャスタブル耐火物は、珪石質耐火原料配合物として、溶融石英と結晶質シリカ及びシリカ質超微粉を用いる。
溶融石英としては、自然界に産出するα型石英を主成分とする珪石を酸処理して不純物を除去したものを2000℃以上の高温で溶融し急冷固化したいわゆる石英ガラスや、金属アルコキシドの溶液から加水分解法によって石英ガラスの多孔質ゲルを作製し、これを乾燥・焼成して得られた高純度溶融石英などが使用できる。
シリカ質超微粉としては、シリカフラワー及び/又は溶融石英超微粉を用いる。シリカフラワーは、金属シリコン、シリコン合金製造の際に副生する集塵ダストである。溶融石英超微粉は、積算平均粒子径(累積分布図で50%の高さを与える直径、D50とも記載する)が1μm以下の球状粒子である。
クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカの割合が20質量%を超えると、熱衝撃抵抗性が低下する。石英ガラスの原料となる珪石は、塩酸処理され不純物を除去したものが使用されるので、この結晶質シリカは、溶融石英と同様に純度が高く、SiO2含有量は99.5%以上である。このため、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカを多用しても、焼成珪石を多用した場合のような熱間での耐クリープ性低下は生じない。
本発明に係るキャスタブル耐火物は、硬化剤としてポルトランドセメントを用いる。ポルトランドセメントとしては、主成分であるCaO,SiO2含有量が多く、Al2O3等の不純成分含有量は少ないものが望ましく、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等が好適に使用できる。キャスタブル耐火物にポルトランドセメントを多用すると、昇温過程で600℃付近から脱水に伴う体積変化が生じて収縮が著しくなり、また、ポルトランドセメントからのAl2O3の混入量が多くなってCaO−Al2O3−SiO2系低融点物生成量が増加し、高温劣化する。従って、ポルトランドセメント添加量は、成形体の強度が十分に発現する限りにおいて、少量が望ましい。
本発明に係るキャスタブル耐火物中のAl2O3混入量は、ポルトランドセメント量だけでなく、珪石質耐火原料配合物に用いる原料の種類や各種原料の量によって異なる。焼成珪石には数%のAl2O3を含有するので、珪石質耐火原料配合物中に、焼成珪石を0〜10質量%含有する場合におけるポルトランドセメントの添加量は、外掛で0.7〜1.3質量%とする。石英ガラス製造時に副生的に産出する結晶質シリカは殆どAl2O3を含有しないので、焼成珪石を含まない場合におけるポルトランドセメント添加量は、外掛けで0.7〜2.0質量%とし、好ましくは1.5質量%以下とする。
本発明に係るキャスタブル耐火物の硬化剤として用いるポルトランドセメント添加量は0.7〜1.3質量%又は0.7〜2.0質量%の範囲にあり、少量であるため、硬化促進剤との併用により必要な硬化時間以内で硬化するものである。硬化促進剤としては、珪酸ソーダのほか、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸塩など公知のものが使用できる。
硬化促進剤として珪酸ソーダ、塩化ナトリウムなどのアルカリ塩を用いると、荷重下収縮の抑制に必要なNa2O成分量を得ることが可能である。しかし、荷重下収縮の抑制に十分な効果を得る量のNa2Oを硬化促進剤として添加した時、過剰な硬化促進作用によって必要な可使時間が得られない場合が生ずる。また、塩化カルシウムなどのアルカリを含有しない硬化促進剤を用いると、荷重下収縮の緩和に必要なNa2O成分添加が別途必要になる。このような場合、難溶性珪酸ソーダを添加することによって、荷重下収縮緩和に必要なNa2O成分を添加することが可能である。
本発明において、珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けで添加する珪酸ソーダとは、易溶性珪酸ソーダ又は難溶性珪酸ソーダ、若しくは易溶性珪酸ソーダと難溶性性珪酸ソーダの混合物であり、その添加量は、固形Na2Oに換算して0.04〜0.30質量%とする。
本発明のキャスタブル耐火物は、硬化剤として用いるポルトランドセメント量が非常に少ないため、成形体を十分な強度とするには、珪石質骨材配合物中にシリカ質超微粉を配すると共に、減水効果の高い減水剤を使用するのが望ましい。本発明に使用する減水剤は、ポリエーテルカルボン酸系が望ましく、その添加量は珪石質骨材配合物100質量%に対し外掛けで0.03〜0.3質量%とされる。また、ナフタリン、メラミンスルホン酸縮合物、リン酸ソーダ等の無機電解質も使用可能である。
先に記したように、ポルトランドセメントを硬化剤としたキャスタブル耐火物は、アルミナセメントやコロイダルシリカのゲル化作用を硬化剤とした場合と比較して、加熱昇温過程で爆裂し易い。本発明のキャスタブル耐火物では、爆裂回避のため、有機質繊維を、珪石質耐火骨材配合物対して、外掛けで0.03〜0.2質量%添加する。有機質繊維としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール等の繊維長さ3〜15mmの化学繊維が使用できる。
トリジマイトを主成分とする焼成珪石として、熱風炉で長時間使用後改修した使用済珪石れんが屑を用い、トリジマイト及びクリストバライトを主成分とする焼成珪石として、規格外や不用となった未使用珪石れんが屑を用いた。使用済珪石れんが屑と未使用れんが屑は、それぞれ約300Kgを無作為に採取し、3mm以下に破砕混合し、3−1mm、1−0.150mm、0.150mm以下に粒度分けした。
使用済珪石れんが屑はトリジマイトを主成分とし、未使用珪石れんが屑はトリジマイト及びクリストバライトを主成分としている。
この結晶質シリカの原鉱約400Kgを入手し、3mm以下に粉砕、混合して無作為に2Kg採取し、さらに二分器で100gに縮分後、全量粉砕したものを試料として、化学成分及び結晶相を調べた。結晶相はX線回折法で解析した。
表4に溶融石英と結晶質シリカの化学成分、表5に溶融石英と結晶質シリカの結晶相を示す。結晶質シリカの結晶相は、低温型クリストバライトと低温型クオーツが認められた。表4において、低温型クオーツの回折強度(最大回折強度)は低温型クリストバライトの回折強度(最大回折強度)を100としたときの相対値である。
上記の3mm以下に粉砕混合した結晶質シリカを、さらに、3−1mm、1−0.150mm、0.150mm以下に粒度分けした。
減水剤は、ポリエーテルポリカルボン酸系を使用した。
有機質繊維は、繊度2.2dtex,繊維径18μ、繊維長5mmのポリプロピレンを使用した。
本発明のキャスタブル耐火物に添加する水は、上水道水を用いた。添加水量の数値は、珪石質耐火原料配合物に対する添加水の割合(外掛け)であり、質量%で示す。
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、前記溶融石英及び結晶質シリカを用い、両骨材の配合比率を変化させ、シリカ質超微粉を8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、ポルトランドセメントを1.0質量%、珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.07質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%、水を5.5%質量添加し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、物性値(嵩比重、圧縮強度、熱膨張率、荷重下熱膨張率、クリープ値)の測定、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。
混練は、株式会社ダルトン製の万能試験機を用いた。混練後のキャスタブル耐火物の軟らかさは実施例1〜4及び比較例1ではほぼ同じであった。成形は、林バイブレーター株式会社製の振動テーブルを用い、振動数50Hz、振動時間5分の条件で行った。混練後及び成形後のキャスタブル耐火物を用い、室温(25℃)における可使時間及び硬化時間を測定した。
流動性低下が生じたと判断されたキャスタブル耐火物は、ビニール袋ごと振動テーブル上に置き5分間振動を与えて高密度化した後、再度流動性を前記の要領で確認し、流動性低下を再確認した場合は、当該キャスタブル耐火物の可使時間をT1と確定した。このキャスタブル耐火物は恒温槽内に戻して硬化時間測定用とした。一方、流動性低下を再確認しなかった(流動性が戻った)場合は、再度恒温槽に戻し、15分後に再びビニール袋ごと振動テーブル上に置き5分間振動を与えた後、再び流動性を前記要領で確認し、このとき流動性を再確認した場合は、当該キャスタブル耐火物の可使時間をT1+15分と確定した。流動性低下を再確認しなかった場合は、さらに以上のプロセスを繰り返した。可使時間を表6に示す。
一方、混練後のキャスタブル耐火物の一部は、JISR2553の規定に準ずる型枠に流し込み、型枠ごと上記と同じ恒温槽で養生し、これを硬化確認用とした。養生中はキャスタブル耐火物の流し込み面をビニールシートで覆い乾燥を防いだ。硬化時間測定用のキャスタブル耐火物が硬化時間に達した時点で、硬化確認用のキャスタブル耐火物を恒温槽から取り出し脱枠して、正常に脱枠できるかどうか確認した。また、JISR2553の規定に準じて1日養生後の圧縮強度を測定した。なお、本発明の実施例については、硬化時間到達時点において全て正常に脱枠可能で、かつ1日養生後の圧縮強度は全て5MPa以上であった。
熱膨張率はJIS−R−2207−1(可視光投影方式)の規定に準じて測定した。表6に、1000℃での熱膨張率の測定値を示す。
耐爆裂性評価試験は一辺60mmの立方体に成形し、脱枠して直ぐに600℃に保持された電気炉中に投入して、爆裂する、爆裂しない、で評価した。キャスタブル耐火物の配合物、混練用水は、25℃に保持した恒温槽内で保存したものを用い、混練して振動施工後のものは、脱枠まで同じ恒温槽内で養生した。
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、溶融石英、結晶質シリカ及び焼成珪石を用い、3種の骨材の配合比率を変化させ、シリカ質超微粉8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、ポルトランドセメントを1.0質量%、珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.07質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%、水を5.5質量%添加し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。焼成珪石としてトリジマイトを主成分とする珪石(使用済珪石れんが)を用いた結果を表7に示す。また、焼成珪石として未使用珪石れんが(クリストバライト及びトリジマイトを主成分)を用いた結果を表8に示す。
珪石質耐火原料配合物(骨材)が、溶融石英及び結晶質シリカを用いた実施例3と同じ比較例5,6と実施例12,13、溶融石英、結晶質シリカ及び使用済珪石れんがを用いた実施例7と同じ実施例14,15と比較例7について、外掛けで添加するポルトランドセメント量を変化させて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表9に示す。表9には、1日養生後又は3日養生後の養生後圧縮強度測定値も示す。
珪石質耐火原料配合物として溶融石英及び結晶質シリカを用いた場合では、ポルトランドセメントの適正な添加量範囲が0.7〜2質量%であるのに対して、珪石質耐火原料配合合物として溶融石英、結晶質シリカ及び使用済珪石れんがを用いた場合、ポルトランドセメントの適正な添加量範囲は0.7〜1.3質量%であり、前者に比べて、ポルトランドセメントを多用できない。
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、結晶質シリカ及び溶融石英を用い、シリカ質超微粉の配合比率を変化させた原料配合物100質量%に対して、外掛けで、珪酸ソーダ及び難溶性珪酸ソーダのトータルが固形Na2Oに換算して0.09質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表10に示す。なお、表10の実施例16〜18及び比較例8,9の原料配合物の欄は、各耐火原料の合計が100質量%を超える。
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、結晶質シリカ及び未使用珪石れんが及び溶融石英を用い、シリカ質超微粉の配合比率を変化させた原料配合物100質量%に対して、外掛けで、珪酸ソーダ及び難溶性珪酸ソーダのトータルが固形Na2Oに換算して0.09質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05質量%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。この結果を表11に示す。なお、表11の実施例21及び比較例11の原料配合物の欄は、各耐火原料の合計が100質量%を超える。
結晶質シリカ、溶融石英、及びシリカ質超微粉の配合比率を一定とする耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けで、珪酸ソーダ、難溶性珪酸ソーダの量を変化させ、ポルトランドセメント、減水剤、有機質繊維、水を一定量として添加し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表12に示す。
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、結晶質シリカ、溶融石英及び使用済珪石れんがを用い、この3種骨材の配合比率を一定とし、シリカ質超微粉を8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、有機質繊維の量を変化させ、ポルトランドセメント1.0質量%、珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.07質量%、有機質減水剤0.2質量%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表13に示す。
珪石質耐火原料配合物(骨材)として、前記使用済珪石れんが及び溶融石英を用い、両骨材の配合比率を変化させ、シリカ質超微粉を8質量%を含有する原料配合物100質量%に対して、外掛けで、ポルトランドセメントの量を変化させ、珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.02質量%、難溶性珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.05質量%、有機質減水剤を0.2質量%、有機質繊維を0.05%添加し、キャスタブル耐火物の軟らかさが一定になるように添加水量を調整し、混練、成形、脱枠して得た耐火物試験片を用いて、[試験1]と同じ要領で物性値の測定、及び、熱衝撃抵抗性評価試験、耐爆裂性評価試験を行った。その結果を表14に示す。なお、表14の実施例28,29の原料配合物の欄は、各耐火原料の合計が100質量%を超える。
コークス炉熱間積替用キャスタブル耐火物としては、加熱時の熱衝撃抵抗性に優れ、かつ、高温での荷重下収縮が抑制され、高温下でのクリープ変形率が小さく、適時に十分な硬化性を有し、容易に流し込み成形が可能なものが適している。前記の[試験1]〜[試験8]のラボ試験で、コークス炉熱間積替用キャスタブル耐火物に適した実施例を選び、養生後、乾燥後、1000℃焼成後、1200℃焼成後、1400℃焼成後の曲げ強度及び圧縮強度をJIS−R−2553に準じて測定した。この結果を表15に示す。
一方、参考例1,2,3及び各実施例の乾燥後曲げ強度は、全て養生後曲げ強度より大きい。また、参考例1,2,3及び各実施例において、1000℃及び/又は1200℃焼成後の曲げ強度は乾燥後曲げ強度に劣るが、1400℃焼成後曲げ強度は1000℃及び/又は1200℃焼成後の曲げ強度より大きい。実施例13はポルトランドセメントの含有量が最も多く、養生後強度及び乾燥後強度が最も大きい。
参考例1の原料配合物は結晶を含有せず全てガラス質であり、1200℃焼成後曲げ強度が著しく低下するが、1000℃焼成後曲げ強度は参考例1が最も大きく、乾燥後曲げ強度からの低下率が最も小さい。
溶融石英の結晶化による構造的スポーリングの発生や,SiO2質結晶相の転移による熱的スポーリングの発生を回避するためには、1200℃及び1000℃焼成後の曲げ強度が、乾燥後の曲げ強度に比べて著しく低下しないものがより望ましいと推測される。実施例7,15,10の1200℃及び1000℃焼成後曲げ強度は、乾燥後の曲げ強度からの強度低下率が小さい。参考例2はポルトランドセメントの含有量が最も少ないので、他の実施例に比べて強度は劣るが,焼成による強度変化は小さくなっている。
表16に示す実施例13,15,10及び参考例2は、外掛けで添加したポルトランドセメント量が2〜0.7質量%の範囲内で差があり、養生後及び乾燥後の曲げ強度及び圧縮強度の大きさもポルトランドセメント添加量に従っている(表15参照)。
プレキャストブロック耐火物は、一般的に、プレキャスト製造工場で成形、乾燥して出荷される。実施例13,15,10及び参考例2について、プレキャストブロック耐火物製造工場で、並型及び大型プレキャストブロック耐火物を実際に製造し、振動成形、養生、脱枠、乾燥を経て、正常なキャスタブルブロック耐火物乾燥品が得られるかを試験した。
並型プレキャストブロック耐火物(乾燥後質量約15Kg)の概略図を図2に、大型プレキャストブロック耐火物(乾燥後重量:約550Kg)の概略図を図3に示す。
大型プレキャスト耐火物については、脱枠時の型枠を横倒しにする必要が生じた場合、及び、乾燥後成形品の吊り上げ吊り下げ、移動は、工場天井に設置されているホイスト式クレーンを利用し、吊りベルトや吊りクランプを用いて行った。このプレキャストブロック耐火物製造試験結果を表16に示す。
500Kgを超える大型プレキャストブロック耐火物の脱枠は、ホイスト式クレーンやフォークリフトを駆使して、成形体を横倒しにしたり、さかさまにして行う作業があり、成形体の角やダボ部を、床面、型枠、フォークリフトの爪に接触させて傷つけ易い。
参考例2は、実施例13,15,10に比べるとポルトランドセメント添加量が少なく、養生強度が小さく、脱枠作業に慎重を要する。
実施例13,15,10及び参考例2の大型プレキャストブロック耐火物乾燥品は、全て、吊りクランプや吊りベルトを装着したホイスト式クレーンにより、吊り上げ、吊り下ろし、水平移動は問題なく実行できた。
Claims (3)
- 溶融石英と、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカと、シリカ質超微粉からなる珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けでポルトランドセメントを0.7〜2質量%と、減水剤を0.03〜0.3質量%と、珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.04〜0.30質量%と、0.03〜0.20質量%の有機質繊維を添加した珪石質キャスタブルであり、前記珪石質耐火原料配合物の配合割合(合計100質量%)が、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ5〜20質量%、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英であることを特徴とする珪石質キャスタブル耐火物。
- 溶融石英と、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカと、焼成珪石と、シリカ質超微粉からなる珪石質耐火原料配合物100質量%に対して、外掛けでポルトランドセメントを0.7〜1.3質量%と、減水剤を0.03〜0.3質量%と、珪酸ソーダを固形Na2Oに換算して0.04〜0.30質量%と、0.03〜0.20質量%の有機質繊維を添加した珪石質キャスタブル耐火物であり、前記珪石質耐火原料配合物の配合割合(合計100質量%)が、クリストバライト及びクオーツからなる結晶質シリカ(10/102)×100質量%以上、焼成珪石10質量%以下(0%を含まず)、シリカ質超微粉3.8〜10質量%、残部溶融石英であり、かつ前記結晶質シリカと焼成珪石の合量が20質量%以下であることを特徴とする珪石質キャスタブル耐火物。
- 前記焼成珪石がトリジマイトを主成分とし、又はトリジマイト及びクリストバライトを主成分とすることを特徴とする請求項2に記載された珪石質キャスタブル耐火物。
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