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JP6168711B2 - コンクリートスラッジ微粉末の回収方法およびコンクリートスラッジ微粉末 - Google Patents

コンクリートスラッジ微粉末の回収方法およびコンクリートスラッジ微粉末 Download PDF

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JP6168711B2 JP2015053806A JP2015053806A JP6168711B2 JP 6168711 B2 JP6168711 B2 JP 6168711B2 JP 2015053806 A JP2015053806 A JP 2015053806A JP 2015053806 A JP2015053806 A JP 2015053806A JP 6168711 B2 JP6168711 B2 JP 6168711B2
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Description

本発明は、残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等からセメント分を回収してコンクリートスラッジ微粉末を得る回収方法および、コンクリートスラッジ微粉末に関するものである。
セメント、砂、砂利等からなるコンクリート、セメントと砂とからなるモルタル等は、レディミクストコンクリート工場により製造され、ミキサ車によってコンクリートの打設現場まで輸送されている。レディミクストコンクリート工場は、従来周知のように、コンクリート混練用のミキサを備えている。そして、コンクリート混練用のミキサの下方にミキサ車が乗り入れられるようになっている。混練完了後、コンクリート混練用ミキサのゲートを開くと、コンクリートはホッパを介して、配車されたミキサ車のドラムに投入される。略同様にして、モルタルも製造され、そしてホッパを介してミキサ車のドラムに投入される。
コンクリート、モルタル等を積載したミキサ車は打設現場に向かう。そして、打設現場においてドラムを逆回転すると、コンクリート、モルタル等が荷卸される。荷卸後、シュート、排出羽根部等に付着しているモルタル等は洗浄され、ミキサ車のドラム内には洗浄後の洗浄排水が溜まる。このような洗浄廃水は、その中にセメント成分を含んでいるので産業廃棄物に該当し、荷卸現場近くの空き地、道路、河川等に直接廃棄することは許されない。そこで、洗浄廃水はミキサ車によって所定の洗浄廃水処理施設に搬送される。一般的に洗浄廃水処理施設はレディーミクストコンクリート工場に設けられ、工場のミキサ等の設備を洗浄して発生する洗浄廃水が処理されているが、ミキサ車によって輸送された洗浄廃水も、この洗浄廃水処理施設において処理される。残コンクリート、戻りコンクリートについても同様に処理されている。すなわち、残コンクリート、戻りコンクリートがドラムにある場合には、ドラム内に所定の水が加えられてスラリー状にされ、洗浄廃水処理施設に搬送されて、ここで処理されている。
上記のような洗浄廃水、およびスラリー状にされた残コンクリート、戻りコンクリート等はスラリー状被処理物ということができるが、スラリー状被処理物には砂利、砂以外にセメント分からなるスラッジが多量に含まれている。近年、このようなスラリー状被処理物からセメント分を微粉末として回収する方法が、次に説明するように色々な特許文献によって提案されている。
特開2002−254099号公報 特許第4472776号公報 特開2014−88278号公報
特許文献1に記載のコンクリートスラッジ微粉末の回収方法は、次の各工程(A1)〜(A7)から構成されている。すなわち、
(A1)洗浄廃水・処理廃水に含まれる微砂分を含砂率が10質量%以下になるように除去した回収水を得る微砂除去工程と、
(A2)該工程により得られた回収水に無機系凝集剤を添加して上澄み水とスラッジ水に分離沈殿させる凝集沈殿工程と、
(A3)該工程により分離されたスラッジ水を脱水して脱水ケーキを作製する脱水処理工程と、
(A4)該工程で得られた脱水ケーキを硬化前に解砕し、10〜15mmの厚さに平面圧延する解砕処理工程と、
(A5)該工程で解砕された脱水ケーキを含水比が50〜60質量%で最大粒径が20mm以下となるように乾燥する乾燥工程と、
(A6)該工程で得られた乾燥スラッジを風力を利用した粉砕装置で微粉砕して丸みを帯びた微粒子を製造する微粉砕工程と、
(A7)該工程で製造された微粒子を捕集する捕集工程とからなる。
一方特許文献2に記載のコンクリートスラッジ微粉末の回収方法は、次の各工程(B1)〜(B4)から構成されている。すなわち、
(B1)スラリー状被処理物中の砂利と砂を分離して含砂率が10質量%以下となるスラッジ水を得る分離工程と、
(B2)湿式サイクロンによって前記分離工程により得られたスラッジ水から微砂分を分離・除去する微砂分除去工程と、
(B3)微砂分除去工程により得られた濃縮スラッジ水をフイルタプレスにかけて含水率が25〜45質量%の脱水ケーキを得る脱水ケーキ製造工程と
(B4)脱水ケーキ製造工程により得られた脱水ケーキを、横型の回転ドラムの一方の端部から定量宛連続的に供給し、供給される脱水ケーキをその内周壁に設けられているリフターにより所定高さまで掬い上げ、そして落下させると共に、その内部空間に設けられている破砕攪拌翼により破砕し、このとき前記一方の端部から熱風を吹き込み、脱水ケーキの破砕と乾燥とを実質的に同時に実施し、そして他方の端部から連続的にコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とからなる。
いずれの回収方法も、スラリー状被処理物から砂利と砂とを分離して所定の含砂率以下にし、これを脱水して脱水ケーキを得るところまでは、多少の工程上の相違はあっても実質的に共通している。また特許文献1、2に記載の回収方法とは異なる、他のコンクリートスラッジ微粉末の回収方法においても、脱水ケーキを得るところまでは実質的に同様の工程を実施している。しかしながら特許文献1に記載の回収方法では、脱水ケーキを破砕し、その後これを乾燥した後に、風力を利用して微粉砕し、微粉砕されたコンクリートスラッジ微粉末を捕集しているのに対し、特許文献2に記載の回収方法では、脱水ケーキを、破砕攪拌翼を備えると共に熱風が吹き込まれるようになっている横型の回転ドラムに連続的に供給して破砕と乾燥とを実質的に同時に実施してコンクリートスラッジ微粉末を得るようにしており、工程が相違している。このような乾燥、粉砕における工程の違いによって、得られるコンクリートスラッジ微粉末の性質はそれぞれの文献に記載されているように若干相違することになる。また他のコンクリートスラッジ微粉末の回収方法においても、若干異なる工程によって脱水ケーキを乾燥、粉砕してコンクリートスラッジ微粉末を得るはずであり、工程上の違いによって性質は若干相違するはずである。しかしながら、いずれの方法によって回収されたコンクリートスラッジ微粉末であっても、共通した用途に利用することができ、例えば、軟弱地盤の改良材として利用したり、特許文献3に記載されているような水硬化性硬化体の材料として利用することができる。さらには、セメントの代替品として、コンクリート、モルタルのようなセメント硬化体の材料として使用することも可能である。
特許文献1、2に記載の回収方法によって、あるいは他の回収方法によってもスラリー状被処理物からコンクリートスラッジ微粉末を回収することはできる。そして回収されたコンクリートスラッジ微粉末は、色々な用途に使用することができる。しかしながら、セメントの代替品としてセメント硬化体の材料として使用する場合には改善すべき余地も見受けられる。具体的には、コンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用する場合には、比較的多量の減水剤が必要になる点である。減水剤を多量に要するので、セメント硬化体のコストが高くなるという問題がある。
したがって、本発明は、コンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品としてセメント硬化体の材料として利用する場合において減水剤の使用が少なくて済み、従って安価にセメント硬化体を提供することができるような、そのようなコンクリートスラッジ微粉末を得るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法、およびコンクリートスラッジ微粉末を提供することを目的としている。そしてこのようなコンクリートスラッジ微粉末は、他の用途で使用する場合であっても従来のコンクリートスラッジ微粉末に比して粘性が少なく優れた性質を備えているはずである。
本発明は、所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法として構成する。そして回収方法は、スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とを少なくとも備える。そして、破砕・乾燥工程において、あるいは破砕・乾燥工程の後工程として粉砕工程を設けて、コンクリートスラッジ微粉末を粒径200μm以上の粒子が実質的に存在しない状態に粉砕するように構成する。破砕・粉砕工程を実施する場合には、脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施する。また後工程として粉砕工程を実施する場合には、ピンミル、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルによって粉砕する。
すなわち、請求項1に記載の発明は、前記目的を達成するために、所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とからなり、前記破砕・乾燥工程は、前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施してコンクリートスラッジ微粉末を粒径200μm以上の粒子が実質的に存在しない状態に粉砕することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法として構成される。
請求項2に記載の発明は、所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程と、前記破砕・乾燥工程で得られたコンクリートスラッジ微粉末をピンミル、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルによって粉砕して粒径200μm以上の粒子を実質的に存在しない状態にする粉砕工程とからなることを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回収方法において、前記破砕・乾燥工程は前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法として構成される。
以上のように、本発明によると、所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、回収方法は、スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とからなる。そして破砕・乾燥工程は、脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共にドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施してコンクリートスラッジ微粉末を粒径200μm以上の粒子が実質的に存在しない状態に粉砕するように構成されている。つまりこの回収方法によって得られるコンクリートスラッジ微粉末は、確実に粒径が200μm未満になることが保証される。「発明を実施するための形態」において説明する実験によって明らかにしているが、粒径が200μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末は、セメントの代替品としてセメント硬化体の材料として使用するときに、粘性が小さく減水剤の使用量が少なくて済む。つまりセメント硬化体を安価に提供できる効果が得られる。もちろん、このように粘性が小さいので、粒径が200μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末を軟弱地盤の改良材として利用したり、特許文献3に記載されているような水硬化性硬化体の材料として使用しても、扱いやすいはずである。他の発明によると、回収方法は、分離工程と脱水工程と破砕・乾燥工程と、破砕・乾燥工程で得られたコンクリートスラッジ微粉末をピンミル、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルによって粉砕して粒径200μm以上の粒子を実質的に存在しない状態にする粉砕工程からなる。この発明によっても、得られるコンクリートスラッジ微粉末は、確実に粒径が200μm未満になることが保証されるので、同様の効果が得られる。
本発明の実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法を模式的に示すブロック図である。 本発明の実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収装置の一部であり、脱水ケーキを破砕・粉砕する破砕・乾燥装置を模式的に示す図で、その(ア)(イ)はそれぞれ横型のロータリドライヤと竪型の破砕・乾燥装置を示す正面断面図である。 コンクリートスラッジ微粉末の粒度分布を示すグラフである。 セメント粒子が混練水を核として凝集して増核された状態を模式的に示す図である。
本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法は、レディミクストコンクリート工場で発生する洗浄廃水、残コンクリート・戻りコンクリートをスラリー状にしたもの、等のスラリー状被処理物からコンクリート分を回収する方法である。その回収方法を実現するための本実施の形態に係る回収工程が、図1に示されている。
本実施の形態に係る回収工程は、まずスラリー状被処理物を得る。例えば、レディミクストコンクリート工場のミキサ等を洗浄した洗浄廃水S1、ミキサ車のドラムを洗浄した洗浄廃水S1については、既にスラリー状になっているので、そのままスラリー状被処理物として扱うことができる。一方、残コンクリート・戻りコンクリートS2については、流動性が低く処理が難しいので前処理が必要になる。すなわち残コンクリート・戻りコンクリートS2に所定の水を加えて攪拌するスラリー化工程S3を実施する。これによって残コンクリート・戻りコンクリートはスラリー状になる。すなわちスラリー状被処理物を得る。
スラリー状被処理物はまず分離工程によって処理される。分離工程は、スラリー状被処理物から骨材等を除去する工程である。本実施の形態においては、分離工程は骨材分離工程S4と、微砂分除去工程S5とからなる。骨材分離工程S4は、メッシュの大きさの異なる複数の振動篩によって実施され、スラリー状被処理物を順次処理して砂利、砂等の骨材を分離する。回収された骨材は、再利用に供するために粒径に応じて所定のビンに送られる。骨材が分離されて残った篩下は、セメント分が含まれているスラッジ水になっている。微砂分除去工程S5は、本実施の形態においては湿式サイクロンによって実施され、スラッジ水から微細な砂、つまり微砂分を除去する工程である。この微砂分除去工程S5によって微砂分が除去されたスラッジ水は、次の脱水工程S6で処理される。しかしながらスラッジ水に含まれるセメント分が少ない場合には、スラリー化工程S3において他の残コンクリート・戻りコンクリートをスラリー化する水として再利用してもよい。このようにすると、分離工程を再度繰り返すことになるが、スラッジ水はセメント分が濃縮されることになる。すなわち濃縮スラッジ水が得られる。いずれにしても、スラッジ水、あるいは濃縮スラッジ水は、分離工程において含砂率が10質量%以下になるように、砂利、砂、微砂分が除去され、次の脱水工程S6に送られる。
脱水工程S6は、スラッジ水あるいは濃縮スラッジ水をフィルタプレスによって処理して脱水し、脱水ケーキを得る工程である。本実施の形態においては脱水ケーキの含水率は、25〜45質量%になるようにする。
脱水ケーキは、破砕・乾燥工程S7において、破砕し、そして乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る。破砕・乾燥工程S7は、色々な装置で実施することができるが、本実施の形態においては、図2の(ア)に示されている、ロータリドライヤRDを使用する。ロータリドライヤRDは、横型に寝かされた回転ドラム1から概略構成され、この中に脱水ケーキが投入されて破砕と乾燥が同時に実施される。回転ドラム1には、内周面に複数枚のリフター5、5、…が設けられ、回転ドラム1と一体的に回転するようになっており脱水ケーキが上方に掬い上げられて、所定の高さから落下するようになっている。また回転ドラム1には、所定の位置に高速で回転する回転軸7が設けられ、この回転軸7にはチョッパ、すなわち破砕攪拌翼9、9、…が複数設けられている。これによって掬い上げられて落下する脱水ケーキが粉砕されることになる。回転ドラム1の一方の端部には、脱水ケーキが連続的に投入される投入口10が設けられ、そしてドラム内に熱風を供給するドライヤ2も設けられている。この熱風により脱水ケーキは乾燥することになる。回転ドラム1の他方の端部には排気フード12が設けられている。回転ドラム1内で脱水ケーキが破砕され、そして乾燥されるとコンクリートスラッジ微粉末になるが、コンクリートスラッジ微粉末は熱風と共に連続的に排気フード12に送られることになる。排気フード12は、内部が十分に広いので回転ドラム1から排気フード12に送られるガスの速度は十分遅くなる。これによりコンクリートスラッジ微粉末は重力により排気フード12の底部に沈降する。沈降したコンクリートスラッジ微粉末は排出口13から外部に排出される。本実施の形態に係るロータリドライヤRDは、破砕と乾燥とを実質的に同時に実施して脱水ケーキからコンクリートスラッジ微粉末を得るので、効率よく乾燥でき、水和反応が進行していないセメント分が多く含まれる、品質の高いコンクリートスラッジ微粉末が得られる。
本実施の形態に係る回収工程においては、最後に粉砕工程S8を実施する。粉砕工程S8は、本実施の形態においてはピンミルを使用するが、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルを使用してもよい。この粉砕工程S8によって、コンクリートスラッジ微粉末を粉砕する。これによって粒径が250μm以上の粒子が実質的に存在しないように、さらに好ましくは粒径が200μm以上の粒子が実質的に存在しないようにする。これによって、コンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替としてセメント硬化体の材料として使用するときに、減水剤の使用量を少なくすることができる。
粉砕工程S8によって、コンクリートスラッジ微粉末の粒径がどのように変化するのかを調べる実験を行った。
実験方法および結果:
残コンクリート・戻りコンクリートに対して、上で説明したスラリー加工程S3、骨材分離工程S4、微砂分除去工程S5、脱水工程S6を実施し、そして本実施の形態に係るロータリドライヤRDにより破砕・乾燥工程S7を実施してコンクリートスラッジ微粉末を得た。つまり破砕・乾燥工程S7は連続的に脱水ケーキを供給し、連続的にコンクリートスラッジ微粉末を得るようにした。得られたコンクリートスラッジ微粉末について、粒子の粒径の分布、すなわち粒度分布を調べ、図3のグラフG1を得た。粒度分布は株式会社セイシン企業製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(製品番号:LMS−2000e)により測定した。次に、このコンクリートスラッジ微粉末についてピンミルにより粉砕する粉砕工程S8を実施し、粉砕されたコンクリートスラッジ微粉末の粒度分布を調べ、図3のグラフG2を得た。
実験結果の評価:
横型の回転ドラム1からなるロータリドライヤRDによって破砕・乾燥工程S7を実施して得られるコンクリートスラッジ微粉末には、粒径が200〜400μmの粒子がある程度の頻度で見られた。特に粒径が250μmの粒子は1%の頻度で含まれていた。これによって粒度分布のグラフG1は粒径が250μm近傍ち頂点がある小さなコブが形成された。このようなコンクリートスラッジ微粉末をピンミルにより粉砕する粉砕工程S8を実施すると、コンクリートスラッジ微粉末には粒径が250μm以上の粒子、あるいは粒径が200μm以上の粒子は実質的にほとんど存在しなくなることが確認できた。
考察:
破砕・乾燥工程S7で得られたコンクリートスラッジ微粉末に粒径250μm以上の粒子が所定の頻度で残っていた理由と、粉砕工程S8で粉砕されたコンクリートスラッジ微粉末に粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しなくなった理由について考察する。セメントと水とを混練して得られるセメントペースト、あるいはセメントと水と骨材とを混練して得られるコンクリートは、水和反応が進むと最初に図4に示されているように、複数のセメント粒子C、C、…が凝集して内部に少量の水Wを抱え込むようにして凝結する。これはいわゆる1次造核であり、所定の大きさの核Nが形成される。さらに水和反応が進むと、このような核Nは他の複数の核と相互に緩やかに結合し、2次造核する。2次造核の結合力は弱いのでミキサ車のドラムを回転するだけで容易に切断され、初期の段階ではコンクリートの性状には格別に問題はない。水和反応が更に進むと1次造核による核N、N…が維持された状態でこれらが完全に結合することになる。残コンクリート・戻りコンクリートの中のセメント粒子は、一部が1次造核された状態になり、他は粒子として残っているものと推測される。そして1次造核された核Nは結合力が比較的強い。残コンクリート・戻りコンクリートから回収工程の各工程を経て破砕・乾燥工程S7を実施するとき、粒子状になったコンクリートスラッジ微粉末は互いに衝突してせん断力が働くが、このようなせん断力によっては核Nの結合を解くことは難しい。回転する破砕攪拌翼9による強力な分散作用が作用すれば核Nの結合は解けるが、全ての核Nが破砕攪拌翼9によって処理される保証はない。従って核N、N、…の一部は結合した状態で、コンクリートスラッジ微粉末に含まれることになり、粒径250μm近傍の核Nが所定の割合で存在することになると推測される。このような残存している核N、N、…は、コンクリートスラッジ微粉末を粉砕工程S8で粉砕することにより実質的にすべて結合が解除されてセメント粒子C、C、…に分離することになると推測される。
コンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してモルタルを製造したときに、コンクリートスラッジ微粉末に粒径250μm以上の粒子を含むか否かによって、必要となる減水剤の量に与える影響について調査する実験を行った。
実験方法および結果:
残コンクリート・戻りコンクリートを処理し、スラリー化工程S3、骨材分離工程S4、微砂分除去工程S5、脱水工程S6、破砕・乾燥工程S7を実施してコンクリートスラッジ微粉末を得た。これを比較1のコンクリートスラッジ微粉末とした。4回同様に処理して、4回分のコンクリートスラッジ微粉末を得、これらを比較2〜5のコンクリートスラッジ微粉末とした。次に比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を所定量だけ取り分けて、それぞれ粉砕工程S8を実施して、粒径250μm以上の粒子が実質的に無くなるようにした。これらをそれぞれ本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末とした。これによって、比較1〜5、本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を得た。比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末、本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末のそれぞれをセメントの代替品として使用し、表1のようにモルタルを製造した。表1においてDSPはコンクリートスラッジ微粉末を意味し、W/Cは水セメント比であり、コンクリートスラッジ微粉末をセメントと見なした。それぞれのコンクリートスラッジ微粉末を使ってモルタルを製造するときに、テーブルフロー試験において160mmになるように、減水剤を調整した。テーブルフロー試験の結果がほぼ160mmになったときにおける減水剤の添加量を表1に示す。またそれぞれのコンクリートスラッジ微粉末についてブレーン空気透過法によって比表面積を測定した。
Figure 0006168711
実験結果の評価、および考察:
粒径250μm以上の粒子が存在する比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を使用した場合と比して、粒径250μm以上の粒子が実質的にない本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を使用すると、減水剤の使用量が大幅に少なくなることが確認できた。一般的にセメントの場合には、比表面積が大きいほど練混ぜに使用する水がセメント粒子に吸収されやすく、モルタルの粘度が高くなる傾向がある。つまり比表面積が大きいほど減水剤が多く必要になる。このようなセメントにおける技術常識から考えると、コンクリートスラッジ微粉末においても比表面積が大きいほど減水剤が多く必要となるはずである。しかしながら、この実験においてはコンクリートスラッジ微粉末は粉砕工程S8を実施することによって比表面積は増加しているが、必要な減水剤は減少していることが確認された。このようになった理由は不明であるが、比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末には、図4に示されているような核Nが所定割合存在し、これが水を内部に吸収してしまって結果的に水が消費されてしまいコンクリートの粘度が高くなった可能性も考えられる。いずれにしても、粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末は、セメントの代替品として使用してモルタルを製造するときに、必要な減水剤が少量で済むことが確認できた。コンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してコンクリートを製造するときにも粒径250μm以上の粒子の有無によって必要となる減水剤の使用量も同様に変化するはずである。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法を説明する。第2の実施の形態に係る回収方法では、図2の(イ)に示されている、竪型のドラムを備えた破砕・乾燥装置15を使用して破砕・乾燥工程S7を実施し、粉砕工程S8は実施しない。破砕・乾燥装置15は、脱水ケーキを処理してコンクリートスラッジ微粉末を得る点でロータリドライヤRDと同様であるが、処理はバッチ式になっている。破砕・乾燥装置15は、竪型のドラム16からなり、ドラム16内には縦の回転軸を備えた回転攪拌翼18が設けられている。この回転攪拌翼18によって脱水ケーキはドラム16の内周面に沿って上方に掬い上げられ、そして中心部近傍において落下する。このようにして脱水ケーキはドラム16内で対流する。ドラム16には所定のチョッパ、すなわち破砕攪拌翼19がドラム16の中心部近傍に設けられ、これが高速に回転して対流している脱水ケーキを破砕・粉砕する。ドラム16にはドライヤ20が設けられドライヤ20によって内部に熱風が供給されるようになっており、図に示されていない排気口から排気されるようになっている。このように構成されているので、脱水ケーキは破砕と乾燥が実質的に同時に実施され、破砕された脱水ケーキは効率よく破砕攪拌翼19によって破砕・粉砕される。この破砕・乾燥装置15はバッチ式に脱水ケーキを処理してコンクリートスラッジ微粉末を得ることができる。そうすると、脱水ケーキがコンクリートスラッジ微粉末に変化しても、所定時間強制的に処理を継続することもできる。そうするとコンクリートスラッジ微粉末は破砕攪拌翼19によって粉砕され、実質的に粉砕工程S8と同等の処理が実施されることになる。つまり十分な時間に渡って破砕・乾燥工程S7を実施することによって、得られるコンクリートスラッジ微粉末には粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しないようにすることができる。
第2の実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法によっても、粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末が得られること、およびそのようなコンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してコンクリートを製造するときに減水剤が少量で済むことを確認するため実験を行った。
実験方法および結果:
破砕・乾燥装置15を使用して脱水ケーキを処理して十分な時間をかけて破砕・乾燥工程S7を実施した。得られたコンクリートスラッジ微粉末の粒度分布を調べたところ、実質的に粒径200μm以上の粒子は含まれていないことを確認した。次いで、このコンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してモルタルを製造した。このときモルタルの各材料の配合は実施例2の実験と同様にした。そしてテーブルフロー試験の結果がほぼ160mmになるように減水剤の添加量を調整した。実験により以下のデータが得られた。
モルタルにおける減水剤の使用率:1.4%
モルタルのテーブルフロー試験:161mm
コンクリートスラッジ微粉末の比表面積:8050cm2/g
実験結果の評価、および考察:
コンクリートスラッジ微粉末の比表面積から考えると、モルタルを製造するための減水剤の使用量は非常に少ないと言える。
粉砕工程S8を実施しない第2の実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法によっても、粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末が得られること、そしてこのようなコンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してモルタルを製造するとき、減水剤の使用量が少なくて済むことが確認できた。
1 回転ドラム 2 ドライヤ
5 リフタ 7 回転軸
9 破砕攪拌翼 10 投入口
12 排気フード 13 排出口
15 破砕・乾燥装置 16 ドラム
18 回転攪拌翼 19 破砕攪拌翼
20 ドライヤ
RD ロータリドライヤ

Claims (3)

  1. 所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、
    前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とからなり、
    前記破砕・乾燥工程は、前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施してコンクリートスラッジ微粉末を粒径200μm以上の粒子が実質的に存在しない状態に粉砕することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法。
  2. 所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、
    前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程と、前記破砕・乾燥工程で得られたコンクリートスラッジ微粉末をピンミル、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルによって粉砕して粒径200μm以上の粒子を実質的に存在しない状態にする粉砕工程とからなることを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法。
  3. 請求項2に記載の回収方法において、前記破砕・乾燥工程は前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法。
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