JP6168711B2 - コンクリートスラッジ微粉末の回収方法およびコンクリートスラッジ微粉末 - Google Patents
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Description
(A1)洗浄廃水・処理廃水に含まれる微砂分を含砂率が10質量%以下になるように除去した回収水を得る微砂除去工程と、
(A2)該工程により得られた回収水に無機系凝集剤を添加して上澄み水とスラッジ水に分離沈殿させる凝集沈殿工程と、
(A3)該工程により分離されたスラッジ水を脱水して脱水ケーキを作製する脱水処理工程と、
(A4)該工程で得られた脱水ケーキを硬化前に解砕し、10〜15mmの厚さに平面圧延する解砕処理工程と、
(A5)該工程で解砕された脱水ケーキを含水比が50〜60質量%で最大粒径が20mm以下となるように乾燥する乾燥工程と、
(A6)該工程で得られた乾燥スラッジを風力を利用した粉砕装置で微粉砕して丸みを帯びた微粒子を製造する微粉砕工程と、
(A7)該工程で製造された微粒子を捕集する捕集工程とからなる。
(B1)スラリー状被処理物中の砂利と砂を分離して含砂率が10質量%以下となるスラッジ水を得る分離工程と、
(B2)湿式サイクロンによって前記分離工程により得られたスラッジ水から微砂分を分離・除去する微砂分除去工程と、
(B3)微砂分除去工程により得られた濃縮スラッジ水をフイルタプレスにかけて含水率が25〜45質量%の脱水ケーキを得る脱水ケーキ製造工程と
(B4)脱水ケーキ製造工程により得られた脱水ケーキを、横型の回転ドラムの一方の端部から定量宛連続的に供給し、供給される脱水ケーキをその内周壁に設けられているリフターにより所定高さまで掬い上げ、そして落下させると共に、その内部空間に設けられている破砕攪拌翼により破砕し、このとき前記一方の端部から熱風を吹き込み、脱水ケーキの破砕と乾燥とを実質的に同時に実施し、そして他方の端部から連続的にコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とからなる。
請求項2に記載の発明は、所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程と、前記破砕・乾燥工程で得られたコンクリートスラッジ微粉末をピンミル、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルによって粉砕して粒径200μm以上の粒子を実質的に存在しない状態にする粉砕工程とからなることを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法として構成される。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の回収方法において、前記破砕・乾燥工程は前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法として構成される。
実験方法および結果:
残コンクリート・戻りコンクリートに対して、上で説明したスラリー加工程S3、骨材分離工程S4、微砂分除去工程S5、脱水工程S6を実施し、そして本実施の形態に係るロータリドライヤRDにより破砕・乾燥工程S7を実施してコンクリートスラッジ微粉末を得た。つまり破砕・乾燥工程S7は連続的に脱水ケーキを供給し、連続的にコンクリートスラッジ微粉末を得るようにした。得られたコンクリートスラッジ微粉末について、粒子の粒径の分布、すなわち粒度分布を調べ、図3のグラフG1を得た。粒度分布は株式会社セイシン企業製レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(製品番号:LMS−2000e)により測定した。次に、このコンクリートスラッジ微粉末についてピンミルにより粉砕する粉砕工程S8を実施し、粉砕されたコンクリートスラッジ微粉末の粒度分布を調べ、図3のグラフG2を得た。
横型の回転ドラム1からなるロータリドライヤRDによって破砕・乾燥工程S7を実施して得られるコンクリートスラッジ微粉末には、粒径が200〜400μmの粒子がある程度の頻度で見られた。特に粒径が250μmの粒子は1%の頻度で含まれていた。これによって粒度分布のグラフG1は粒径が250μm近傍ち頂点がある小さなコブが形成された。このようなコンクリートスラッジ微粉末をピンミルにより粉砕する粉砕工程S8を実施すると、コンクリートスラッジ微粉末には粒径が250μm以上の粒子、あるいは粒径が200μm以上の粒子は実質的にほとんど存在しなくなることが確認できた。
破砕・乾燥工程S7で得られたコンクリートスラッジ微粉末に粒径250μm以上の粒子が所定の頻度で残っていた理由と、粉砕工程S8で粉砕されたコンクリートスラッジ微粉末に粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しなくなった理由について考察する。セメントと水とを混練して得られるセメントペースト、あるいはセメントと水と骨材とを混練して得られるコンクリートは、水和反応が進むと最初に図4に示されているように、複数のセメント粒子C、C、…が凝集して内部に少量の水Wを抱え込むようにして凝結する。これはいわゆる1次造核であり、所定の大きさの核Nが形成される。さらに水和反応が進むと、このような核Nは他の複数の核と相互に緩やかに結合し、2次造核する。2次造核の結合力は弱いのでミキサ車のドラムを回転するだけで容易に切断され、初期の段階ではコンクリートの性状には格別に問題はない。水和反応が更に進むと1次造核による核N、N…が維持された状態でこれらが完全に結合することになる。残コンクリート・戻りコンクリートの中のセメント粒子は、一部が1次造核された状態になり、他は粒子として残っているものと推測される。そして1次造核された核Nは結合力が比較的強い。残コンクリート・戻りコンクリートから回収工程の各工程を経て破砕・乾燥工程S7を実施するとき、粒子状になったコンクリートスラッジ微粉末は互いに衝突してせん断力が働くが、このようなせん断力によっては核Nの結合を解くことは難しい。回転する破砕攪拌翼9による強力な分散作用が作用すれば核Nの結合は解けるが、全ての核Nが破砕攪拌翼9によって処理される保証はない。従って核N、N、…の一部は結合した状態で、コンクリートスラッジ微粉末に含まれることになり、粒径250μm近傍の核Nが所定の割合で存在することになると推測される。このような残存している核N、N、…は、コンクリートスラッジ微粉末を粉砕工程S8で粉砕することにより実質的にすべて結合が解除されてセメント粒子C、C、…に分離することになると推測される。
実験方法および結果:
残コンクリート・戻りコンクリートを処理し、スラリー化工程S3、骨材分離工程S4、微砂分除去工程S5、脱水工程S6、破砕・乾燥工程S7を実施してコンクリートスラッジ微粉末を得た。これを比較1のコンクリートスラッジ微粉末とした。4回同様に処理して、4回分のコンクリートスラッジ微粉末を得、これらを比較2〜5のコンクリートスラッジ微粉末とした。次に比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を所定量だけ取り分けて、それぞれ粉砕工程S8を実施して、粒径250μm以上の粒子が実質的に無くなるようにした。これらをそれぞれ本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末とした。これによって、比較1〜5、本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を得た。比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末、本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末のそれぞれをセメントの代替品として使用し、表1のようにモルタルを製造した。表1においてDSPはコンクリートスラッジ微粉末を意味し、W/Cは水セメント比であり、コンクリートスラッジ微粉末をセメントと見なした。それぞれのコンクリートスラッジ微粉末を使ってモルタルを製造するときに、テーブルフロー試験において160mmになるように、減水剤を調整した。テーブルフロー試験の結果がほぼ160mmになったときにおける減水剤の添加量を表1に示す。またそれぞれのコンクリートスラッジ微粉末についてブレーン空気透過法によって比表面積を測定した。
粒径250μm以上の粒子が存在する比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を使用した場合と比して、粒径250μm以上の粒子が実質的にない本発明1〜5のコンクリートスラッジ微粉末を使用すると、減水剤の使用量が大幅に少なくなることが確認できた。一般的にセメントの場合には、比表面積が大きいほど練混ぜに使用する水がセメント粒子に吸収されやすく、モルタルの粘度が高くなる傾向がある。つまり比表面積が大きいほど減水剤が多く必要になる。このようなセメントにおける技術常識から考えると、コンクリートスラッジ微粉末においても比表面積が大きいほど減水剤が多く必要となるはずである。しかしながら、この実験においてはコンクリートスラッジ微粉末は粉砕工程S8を実施することによって比表面積は増加しているが、必要な減水剤は減少していることが確認された。このようになった理由は不明であるが、比較1〜5のコンクリートスラッジ微粉末には、図4に示されているような核Nが所定割合存在し、これが水を内部に吸収してしまって結果的に水が消費されてしまいコンクリートの粘度が高くなった可能性も考えられる。いずれにしても、粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末は、セメントの代替品として使用してモルタルを製造するときに、必要な減水剤が少量で済むことが確認できた。コンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してコンクリートを製造するときにも粒径250μm以上の粒子の有無によって必要となる減水剤の使用量も同様に変化するはずである。
実験方法および結果:
破砕・乾燥装置15を使用して脱水ケーキを処理して十分な時間をかけて破砕・乾燥工程S7を実施した。得られたコンクリートスラッジ微粉末の粒度分布を調べたところ、実質的に粒径200μm以上の粒子は含まれていないことを確認した。次いで、このコンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してモルタルを製造した。このときモルタルの各材料の配合は実施例2の実験と同様にした。そしてテーブルフロー試験の結果がほぼ160mmになるように減水剤の添加量を調整した。実験により以下のデータが得られた。
モルタルにおける減水剤の使用率:1.4%
モルタルのテーブルフロー試験:161mm
コンクリートスラッジ微粉末の比表面積:8050cm2/g
コンクリートスラッジ微粉末の比表面積から考えると、モルタルを製造するための減水剤の使用量は非常に少ないと言える。
粉砕工程S8を実施しない第2の実施の形態に係るコンクリートスラッジ微粉末の回収方法によっても、粒径250μm以上の粒子が実質的に存在しないコンクリートスラッジ微粉末が得られること、そしてこのようなコンクリートスラッジ微粉末をセメントの代替品として使用してモルタルを製造するとき、減水剤の使用量が少なくて済むことが確認できた。
5 リフタ 7 回転軸
9 破砕攪拌翼 10 投入口
12 排気フード 13 排出口
15 破砕・乾燥装置 16 ドラム
18 回転攪拌翼 19 破砕攪拌翼
20 ドライヤ
RD ロータリドライヤ
Claims (3)
- 所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、
前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程とからなり、
前記破砕・乾燥工程は、前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施してコンクリートスラッジ微粉末を粒径200μm以上の粒子が実質的に存在しない状態に粉砕することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法。 - 所定の水が加えられた残コンクリートまたは戻りコンクリート、あるいはレディミクストコンクリート工場から発生する洗浄廃水、等のスラリー状被処理物から、セメント分を主成分とするコンクリートスラッジ微粉末を回収する回収方法であって、
前記回収方法は、前記スラリー状被処理物から砂利、砂、微砂分を除去してスラッジ水を得る分離工程と、該スラッジ水を脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、脱水ケーキを破砕・乾燥してコンクリートスラッジ微粉末を得る破砕・乾燥工程と、前記破砕・乾燥工程で得られたコンクリートスラッジ微粉末をピンミル、ジェットミル、ボールミル、あるいはローラミルによって粉砕して粒径200μm以上の粒子を実質的に存在しない状態にする粉砕工程とからなることを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法。 - 請求項2に記載の回収方法において、前記破砕・乾燥工程は前記脱水ケーキを所定のドラムに投入し、該ドラム内に設けられている破砕攪拌翼を回転して破砕すると共に前記ドラム内に熱風を供給し、実質的に破砕と乾燥とを並行して実施することを特徴とするコンクリートスラッジ微粉末の回収方法。
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