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JP6166605B2 - 接着剤組成物及び接着シート - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤等に用いられる接着剤組成物、並びに該組成物を用いた接着シートに関する。
電子機器では、フレキシブル印刷回路基板(「FPC」と称する場合がある)が広く利用されている。このようなFPCでは、(1)ポリイミド製基材やポリアミド製基材等の耐熱基材に、銅箔やアルミニウム箔等の導電性金属箔を接着積層して、FPCを作製する過程や、(2)FPCをアルミニウム板、ステンレス板、ポリイミド板等の補強板に接着する過程等で、接着剤が使用される。
このようなFPCの接着の際に用いられる接着剤としては、エラストマー/エポキシ樹脂系接着剤が広く利用されてきた他、電子機器用接着剤として、エラストマー/フェノール樹脂/フェノール樹脂用架橋剤によって構成される接着剤が知られている(特許文献1参照)。
特開2010−65078号公報
上記接着剤は、用途によっては、視認性向上の目的で、着色剤を含有させて着色する場合がある。しかしながら、着色剤を含有させた場合、接着力が低下する場合がある。そこで本発明の目的は、視認性と接着力とを両立した接着剤組成物及び接着シートを提供することにある。
本発明に係る接着剤組成物は、アクリル系ポリマーと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂と、着色剤とを含有し、アクリル系ポリマー100重量部に対して着色剤を10重量部以下を含有する。
本発明に係る接着剤組成物では、アクリル系ポリマー100重量部に対して、上記レゾール型フェノール樹脂を5〜20重量部含有することが好ましい。
本発明に係る接着剤組成物では、アクリル系ポリマー100重量部に対して、上記エポキシ樹脂を5〜20重量部含有することが好ましい。
本発明に係る接着剤組成物では、上記着色剤が、染料又は顔料であることが好ましい。
本発明に係る接着シートは、上記接着剤組成物の何れか1つにより形成されたものである。
本発明に係る接着剤組成物は、視認性と接着力とを両立した接着剤組成物及び接着シートを提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る接着剤組成物は、アクリル系ポリマーと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂と、着色剤とを含有する。
尚、本明細書では、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを意味し、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
また、本明細書における「主成分」とは、その組成において重量基準で最も含有割合が高い成分を意味し、通常は50〜100重量であることを意味する。更には、本明細書において「接着シート」とは、テープ状の構成、即ち、「接着テープ」も含まれる。
[アクリル系ポリマー]
上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分(単量体成分)として構成(又は形成)されたポリマーであれば、特に限定されないが、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)、シアノ基含有モノマー(b)が用いられていることが好ましい。更に、カルボキシル基含有モノマー(c)が用いられていることが特に好ましい。中でも、モノマー成分全量に対して、(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)を50〜85重量%、シアノ基含有モノマー(b)を10〜45重量%、及び、カルボキシル基含有モノマー(c)を0.1〜7重量%の割合で含むモノマー成分から構成されていることが好ましい。尚、モノマー成分としては、上記以外の他のモノマー成分が用いられてもよい。
上記(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)としては、炭素数が2〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであれば特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル等が挙げられる。中でも、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適であり、特に、アクリル酸n−ブチルを好適に用いることができる。上記(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)は、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)は、アクリル系ポリマーを構成するモノマー主成分として用いることが好ましい。(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)の割合は、モノマー成分全量に対して、50〜85重量%であることが好ましく、より好ましくは60〜75重量%である。
上記シアノ基含有モノマー(b)としては、シアノ基を有するモノマーであれば特に制限されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルを好適に用いることができる。シアノ基含有モノマー(b)は、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アクリル系ポリマーでは、耐熱性及び接着性(柔軟性)を改善させるために、シアノ基含有モノマー(b)を用いることが好ましい。そのため、シアノ基含有モノマー(b)の割合は、モノマー成分全量に対して、10〜45重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜35重量%である。シアノ基含有モノマー(b)の割合が上記範囲内であれば、耐熱性と柔軟性とにより優れる。
上記カルボキシル基含有モノマー(c)としては、カルボキシル基を有するモノマーであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有モノマーとして用いることが可能である。カルボキシル基含有モノマー(c)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸を用いることが好ましい。カルボキシル基含有モノマー(c)は、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記アクリル系ポリマーでは、耐熱性及び接着性を改善するために、カルボキシル基含有モノマー(c)を用いることが好ましい。そのため、カルボキシル基含有モノマー(c)の割合は、モノマー成分全量に対して、0.1〜7重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜6重量%である。カルボキシル基含有モノマー(c)の割合が上記範囲内であると、柔軟性により優れる。
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、(メタ)アクリル酸C2-14アルキルエステル(a)、シアノ基含有モノマー(b)及びカルボキシル基含有モノマー(c)の他に、他のモノマー成分(共重合性モノマー)が用いられていてもよい。
このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル;(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の(メタ)アクリル酸C15-20アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等]や、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニル等]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等]や、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステル]等の芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー等が挙げられる。
また、共重合性モノマーとして、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、ジビニルベンゼン等の多官能モノマーを用いることもできる。
アクリル系ポリマーは、公知乃至慣用の重合方法(例えば、溶液重合方法、エマルション重合方法、懸濁重合方法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法等)により調製することができる。
尚、アクリル系ポリマーの重合に際して用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤等は、特に限定されず、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。より具体的には、重合開始剤としては、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2´−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。重合開始剤の使用量は、通常の使用量の範囲から適宜選択することができる。
また、連鎖移動剤としては、例えば、2−メルカプトエタノール、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメチルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のノニオン系乳化剤等が挙げられる。
尚、溶液重合では、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量としては、特に制限されないが、例えば、20万〜160万(好ましくは30万〜140万)の範囲から適宜選択することができる。アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度等によりコントロールすることができる。尚、アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができ、その際の測定条件は特に制限されず、公知の測定条件から適宜選択することができる。
[フェノール樹脂]
上記フェノール樹脂としては、特に制限されず、レゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂や、各種の変性フェノール樹脂(例えば、アルキル変性フェノール樹脂等)等から適宜選択して用いることができる。中でも、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。尚、フェノール樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記フェノール樹脂としては、市販されているフェノール樹脂を使用することができ、レゾール型フェノール樹脂としては、例えば、商品名「スミライトレジンPR−51283」(住友ベークライト(株)製)、ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、商品名「タマノル758」(荒川化学工業(株)製)を使用することができる。
上記フェノール樹脂は、熱硬化性、耐熱性を付与するために用いられる。フェノール樹脂の配合割合は、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して、3〜20重量部が好ましく、より好ましくは4〜18重量部、更に好ましくは6〜15重量部である。
フェノール樹脂の割合が上記範囲内であれば、熱硬化性、耐熱性(接着剤層の強度)により優れる。
[エポキシ樹脂]
上記エポキシ樹脂としては接着剤の分野で一般的に使用されている樹脂を用いることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂等を使用し得る。中でもビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が好適に使用される。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ樹脂の配合量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、より好ましくは5〜20重量部である。20重量部以下とすることで、プレスキュアした場合における気泡の発生や接着性の低下を抑制し得る。
[着色剤]
上記着色剤としては、特には限定されないが、従来公知の顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、タルク、カリオン、炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア、酸化鉄系、水酸化鉄系、酸化クロム系、スピネル型焼成系、クロム酸系、クロムバーミリオン系、紺青系、アルミニウム粉末系、ブロンズ粉末系、リン酸カルシウム等の無機顔料や、フタロシアニン系、アゾ系、縮合アゾ系、アゾレーキ系、アンスラキノン系、ペリレン・ペリノン系、インジゴ・チオインジゴ系、イソインドリノン系、アゾメチンアゾ系、ジオキサジン系、キナクリドン系、アニリンブラック系、トリフェニルメタン系、カーボンブラック系等の有機顔料が挙げられる。
染料としては、例えば、アゾ系染料、アントラキノン、キノンフタロン、スチリル、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、オキサジン、トリアジン、キサンタン、メタン、アゾメチン、アクリジン、ジアジンが挙げられる。
被着体との色差が大きくなるような顔料又は染料を用いると、視認性の観点から好ましい。例えば、被着体がポリイミドフィルムの場合、ポリイミドフィルムは半透明の黄色であるため、黒色、青色、緑色等の濃色の顔料又は染料を用いるとよい。
また、特に黒色に着色する場合は、一般的に黒色の顔料カーボンブラックが使用されるが、カーボンブラックの種類によっては電気抵抗を低下させるものもあり、顔料を含んだテープの体積低効率が最低でも1×1011(Ω・cm)以上にするような、顔料の選定と量の調整をすることが好ましい。
[接着剤組成物]
上記接着剤組成物中には、アクリル系ポリマー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及び着色剤以外に、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を含有してもよい。上記接着剤組成物は、これらの各成分を混合することにより調製することができる。
上記接着剤組成物又は接着剤組成物により形成された接着剤層を、150℃、3時間の条件で硬化させた後の250℃における貯蔵弾性率は、1.0×105Pa以上であることが好ましく、より好ましくは1.0×106Pa以上である。上記250℃における貯蔵弾性率が上記範囲内であると、耐熱性により優れる。
尚、上記の貯蔵弾性率は、装置名「ARES」(レオメトリックス社製)の粘弾性測定装置を用いて、フィルム治具を使用し、昇温速度:5℃/分、周波数:1Hz、歪み:0.1%の測定条件により測定することができる。
[接着シート]
本発明に係る接着シートは、上記接着剤組成物により形成された接着剤層を有するシートである。接着シートは、上記接着剤層を有していれば、基材を有していてもよく、基材を有していなくてもよい。
尚、接着シートが基材付き接着シートである場合、基材の少なくとも一方の面に、上記接着剤組成物による接着剤層が形成されていればよく、基材の他方の面には、公知の粘着剤層や接着剤層の他、上記接着剤層以外の接着剤層が形成されていてもよい。
また、上記接着シートは、ロール状に巻回された形態で形成されていてもよく、シートが積層された形態で形成されていてもよく、シート状、テープ状等の形態を有することができる。
尚、接着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層等)を有していてもよい。
上記接着シートは、通常の粘着テープ又はシートの製造方法に従って製造することができる。例えば、接着シートが基材レス接着シートである場合、剥離ライナーの剥離面に、上記接着剤組成物溶液を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、乾燥する方法により、作製することができる。
尚、接着剤組成物溶液の塗布に際しては、慣用のコーター(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーロールコーター等)を用いることができる。
上記接着シートの好ましい実施形態では、常温では硬化反応がほとんど進行せず、常温で長期保存が可能であり、加熱により硬化させて、強固に被着体に接着させることができる接着シートである。
上記接着シートの好ましい実施形態では、常温で粘着性を示して被着体に容易に仮接着できることが、仮固定性や位置決め等の観点から好ましい。具体的には、仮接着の際の接着力として、ポリイミドに対して2Kgローラーにて一往復圧着後、15分静置したのちの剥離速度100mm/min剥離角度180°の条件における接着力は0.5〜8N/20mmが好ましい。
フレキシブル印刷回路基板(FPC)は最終製品に組み込まれるまでに高温のリフロー工程を通ることが多く、使用される接着シートには、リフロー工程を通った後に、浮きや膨れが発生しないことが求められる。更に、信頼性の観点から、より厳しい条件の湿熱後の耐熱性試験においても浮き・膨れが起きないこと(良好な湿熱後耐熱性)が求められている。本発明に係る接着シートは、熱硬化型接着剤としての性能をバランスよく発揮することができ、しかも、熱硬化後には優れた耐熱性(特に、湿熱後耐熱性)を発揮することができる。
従って、上記接着シートは、常温で長期保管可能であり、しかも、優れた耐熱性かつ良好な接着性で接着させることができる。そのため、本発明の接着シートは、常温での長期保存を必要としながら、加熱により強固に且つ優れた耐熱性で接着することが求められている用途等で好適に用いることができる。具体的には、上記接着シートは、フレキシブル印刷回路基板(FPC)における接着の際に好適に用いることができる。
尚、FPCの接着とは、前述のようにFPCを作製する際の接着や、FPCを補強板に貼り合わせる際の接着を意味する。上記接着の際には、FPCに上記接着シートを貼り合わせることにより、FPC上に前述の接着層を形成して用いることができる。
(接着剤層)
上記接着剤層は、前述のように、上記接着剤組成物により形成されている。上記接着剤層は、常温では、安定した保存性を有しており、更に、加熱することにより、硬化反応が生じて、接着強度が増して、強固に且つ優れた耐熱性で接着させることが可能な接着性を有している熱硬化型接着剤層であることが好ましい。
上記接着剤層の厚みは、接着性、加工性の観点から、例えば、5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μm、更に好ましくは20〜40μmである。尚、接着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。
上記の接着剤層は、剥離ライナーにより保護されていてもよい。このような剥離ライナーとしては、特に制限されず、公知の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。
(基材)
接着シートが基材を有している場合、基材としては、特に制限されず、例えば、紙等の紙系基材;布、不織布、ネット等の繊維系基材;金属箔、金属板等の金属系基材;各種樹脂(オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、アミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等)によるフィルムやシート等のプラスチック系基材;ゴムシート等のゴム系基材;発泡シート等の発泡体や、これらの積層体(特に、プラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体等)等の適宜な薄葉体を用いることができる。
上記基材の厚みとしては、特に制限されず、例えば、10〜500μmが好ましく、より好ましくは12〜200μm、更に好ましくは15〜100μmである。尚、基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。また、基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理等の各種処理が施されていてもよい。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例及び比較例に何ら制限されるものではない。尚、以下の説明において、「部」及び「%」は、特に明記のない限り、重量基準であり、固形分換算した値である。
〔実施例1〕
冷却管、窒素導入管、温度計及び撹拌機を備えた反応器に、2,2´−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド(商品名「VA−060」、和光純薬工業(株)製)(開始剤)0.279g及びイオン交換水100gを投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。これを60℃に保ち、ここに、ブチルアクリレート72重量部、アクリロニトリル27重量部、アクリル酸1重量部、ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.04重量部及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(乳化剤)2重量部をイオン交換水41重量部に添加して乳化したもの(モノマー原料のエマルジョン)400gを3時間かけて徐々に滴下して乳化重合反応を進行させた。モノマー原料エマルジョンの滴下終了後、更に3時間同温度に保持して熟成させた。このようにして重合したアクリル系ポリマーの水分散液(エマルション)を乾燥し、アクリル系ポリマーを得た。
上記アクリル系ポリマー100重量部が溶解された酢酸エチル溶液に、50℃において液体状の形態を有している石炭酸系レゾール型フェノール樹脂として商品名「スミライトレジンPR−51283」(住友ベークライト(株)製)7.5重量部が溶解されたメタノール溶液と、軟化点64℃でエポキシ当量が450〜500のビスフェノールA型エポキシ樹脂として商品名「JER1001」(ジャパンエポキシレジン(株)製)7.5重量部と、黒色顔料(商品名「AT DN102ブラック」、大日精化工業社製)5重量部とが溶解された酢酸エチル溶液を混合して攪拌させて、熱硬化型接着剤組成物溶液を調製した。
上記熱硬化型接着剤組成物溶液を、乾燥後の厚みが35μmとなるように、剥離ライナーの剥離層面に塗布し、100℃で3分間乾燥して、熱硬化型接着シートを得た。
〔実施例2〜14、比較例1〜5〕
表1に記載の成分及び仕込み量に変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行ない、各熱硬化型接着シートを作製した。
〔評価方法〕
各実施例及び比較例で得られた接着シートについて、下記の評価を行った。
(1)視認性
ポリイミドフィルム25μm/接着剤層25μm/Cu配線層35μm/接着剤層15μm/ポリイミドフィルム25μm/接着剤層15μm/Cu配線層35μm/接着剤層25μm/ポリイミドフィルム25μmの層構成からなるモデルフレキシブル印刷回路基板(FPC、サイズ:5cm×8cm、厚み:0.2mm、Cu配線層の幅150μm、Cu配線間の隙間100μm)と、実施例及び比較例で得られた接着シートとを130℃でラミネートした。FPCを裏返し、FPCの透過部分(Cu配線層間の隙間)を介して、他方の面から1m離れたところでテープ貼りあわせの有無が明確に確認できた場合を○、確認できた場合を△、確認できなかった場合を×とした。
(2)接着力
実施例及び比較例で得られた接着シートにおける硬化後の接着剤層について、23℃における接着力(N/cm)を以下の方法で評価した。
フレキシブル印刷回路基板(FPC;サイズ:5cm×8cm、厚み:0.2mm)と、接着シートとを130℃でラミネートした後、1cm幅に切断した(接着シートはFPCの片面側(表面の材質:ポリイミド)の全面にラミネートされている)。これを、SUS304BA板(サイズ:5cm×5cm)に貼り付け、130℃でラミネートした後、160℃、1MPaで90秒間加熱圧着した。更に、150℃で3時間キュアして試験体を作製した。
上記試験体について、装置商品名「TCM−1kNB」(ミネベア(株)製)を用いて、FPC側を引張ることにより、90°ピール接着力(引張速度:50mm/分、23℃)(N/cm)を測定した。
また、キュア後の上記試験体に対して、特開2010−65078号公報に記載の0081段落に記載の条件でリフロー工程を行った後、上記と同様の方法により、90°ピール接着力(引張速度:50mm/分、23℃)(N/cm)を測定した。
更には、上記リフロー工程後、試験体を50℃のイオン交換水に1時間浸漬させ、その後、イオン交換水から試験体を引き上げ、試験体表面の水滴をウエスにて拭き取った後、遅滞なく、上記と同様の方法により90°ピール接着力(引張速度:50mm/分、23℃)(N/cm)を測定した。
(3)耐熱性
銅張積層板(CCL;ポリイミド/銅の積層体、サイズ:5cm×8cm、厚み:45μm)と、接着シートとを130℃でラミネートした後、1cm幅に切断した(接着シートはCCLのポリイミド面の全面にラミネートされている)。これを、ポリイミド板(PI;サイズ:5cm×5cm、厚み:0.13mm)に貼り付け、130℃でラミネートした後、160℃、2MPaで90秒間加熱圧着した。更に、150℃で3時間キュアして試験体を作製した。
上記試験体を、加湿(温度:60℃、湿度90%RH)の条件下で24時間静置させた後、赤外線による加熱炉(IR加熱炉)で、ピーク温度:270℃の条件のリフロー工程(特開2010−65078号公報に記載の0081段落に記載の条件)にて加熱し、各工程において、接着シートにおける接着剤層の浮き剥がれ、発泡の状態を目視にて観察した。
接着剤層に浮き剥がれ、発泡が確認されなかったものを「○」、貼付部分の端部に限り少量の浮き剥がれがあったものを「△」、接着剤層に浮き剥がれや発泡が確認されたものを「×」として耐熱性を評価した。
(4)ゲル分率
実施例及び比較例で得られた接着シートを、それぞれ、5cm×5cmのサイズで剥離ライナーから剥がし、平均孔径0.2μmの孔を有する多孔質テトラフルオロエチレンシート(商品名「NTF1122」、日東電工(株)製)に包んだ後、凧糸で縛り、その際の重量を測定し、該重量を浸漬前重量とする。なお、該浸漬前重量は、接着剤層と、テトラフルオロエチレンシートと、凧糸との総重量である。また、テトラフルオロエチレンシートと凧糸の合計重量も測定しておき、該重量を包袋重量とする。
なお、上記接着シートとしては、キュア前の接着シートとキュア後の接着シートとを用いた。
次に、上記接着シートをテトラフルオロエチレンシートで包み凧糸で縛ったもの(以下、「サンプル」と称する)を、メチルエチルケトンで満たした50ml容器に入れ、室温(23℃)にて1週間(7日間)静置する。その後、容器からサンプル(メチルエチルケトン処理後)を取り出して、アルミニウム製カップに移し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥してメチルエチルケトンを除去した後、重量を測定し、該重量を浸漬後重量とする。
そして、下記の式からゲル分率を算出する。
ゲル分率(重量%)=(A−B)/(C−B)×100 (1)
(式(1)において、Aは浸漬後重量であり、Bは包袋重量であり、Cは浸漬前重量で
ある。)
尚、表中の略語は以下の意味である。
着色剤1 黒色顔料(商品名「AT DN102ブラック」、大日精化工業社製)
着色剤2 白色顔料(商品名「NPE-1006」、大日精化工業社製)
着色剤3 白色顔料(商品名「R-2228」、大日精化工業社製)
着色剤4 青色染料(商品名「ORIPACS GN-28」、オリエント化学工業社製)
着色剤5 緑色染料(商品名「OPLAS GREEN 533」、オリエント化学工業社製)
着色剤6 緑色染料(商品名「OIL GREEN 502」、オリエント化学工業社製)
本発明は前述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。

Claims (5)

  1. ポリイミドに貼り付けられる接着シートを形成するための接着剤組成物であって、
    アクリル系ポリマーと、フェノール樹脂と、エポキシ樹脂と、着色剤とを含有し、
    前記フェノール樹脂として、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して5〜20重量部のレゾール型フェノール樹脂を含有し、
    前記着色剤として、前記アクリル系ポリマー100重量部に対して10重量部以下の黒色、青色または緑色の着色剤を含有する、接着剤組成物。
  2. アクリル系ポリマー100重量部に対して、上記エポキシ樹脂を5〜20重量部含有する請求項1記載の接着剤組成物。
  3. 上記着色剤が、染料又は顔料である請求項1又は2記載の接着剤組成物。
  4. 上記着色剤が染料である、請求項3記載の接着剤組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか1項記載の接着剤組成物により形成された接着シート。
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