JP2013010831A - 熱硬化型接着シート及びフレキシブル印刷回路基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化後には高い接着性と極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮できる熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シートを提供する。
【解決手段】本発明の熱硬化型接着シートは、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層を有することを特徴とすることを特徴とする。上記アクリル系ポリマー(X)は、炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の熱硬化型接着シートは、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層を有することを特徴とすることを特徴とする。上記アクリル系ポリマー(X)は、炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シートに関する。さらに詳細には、フレキシブル印刷回路基板等に好ましく用いることができる熱硬化型接着シートに関する。また、該熱硬化型接着シートを有するフレキシブル印刷回路基板に関する。
電子機器では、フレキシブル印刷回路基板(「FPC」と称する場合がある)が広く利用されている。このようなFPCでは、(1)ポリイミド製基材やポリアミド製基材等の耐熱基材に、銅箔やアルミニウム箔等の導電性金属箔を接着積層して、FPCを作製する過程や、(2)FPCをアルミニウム板、ステンレス板、ポリイミド板等の補強板に接着する過程などで、接着剤が使用される。
このようなFPCの接着の際に用いられる接着剤としては、フェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を含む熱硬化型接着剤が知られている。これら熱硬化型接着剤は、例えば、150℃以上の加熱により、接着剤に含まれる熱硬化性樹脂が硬化することで接着力を発揮する。
上記熱硬化型接着剤を用いて被着体(FPC等)を接着して作製した積層体を、リフロー工程等の高温工程で処理する際には、接着剤や被着体に含まれる水分等が蒸発することにより、接着剤の発泡(膨れ)や浮き剥がれが生じることがあった。そこで、上記問題を解決し、硬化後には優れた接着性及び湿熱後耐熱性(高温高湿条件下で保存後、高温工程で処理した場合にも接着剤層の発泡(膨れ)や浮き剥がれが生じにくい特性)を発揮できる熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シートとして、アクリル系ポリマーを主成分とし、さらにエーテル化フェノール樹脂を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シートが知られている(特許文献1参照)。
しかしながら、近年では、従来のリフロー工程や高温工程よりも厳しい処理条件(より長時間、高温下で処理する条件)でも発泡や浮き剥がれが生じない、より高い湿熱後耐熱性が求められるようになってきている。このような要求に対しては、上記の熱硬化型接着シートであっても、湿熱後耐熱性が不十分となる場合があった。
従って、本発明の目的は、硬化後には高い接着性(高い接着力)と極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮できる熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シートを提供することにある。
高温高湿条件下で保存後、高温工程で処理した場合に接着剤(接着剤層)の発泡や浮き剥がれが生じる現象は、接着剤の強度不足が原因と考えられるが、接着剤を硬くして接着剤層の強度を向上させようとすると、被着体への密着が悪くなり、接着力が低下してしまうという問題があった。
そこで、上記問題を解決するために本発明者は鋭意検討した結果、アクリル系ポリマーを含有し、さらにエーテル化フェノール樹脂、特定のフィラーを含有する熱硬化型接着剤組成物から熱硬化型接着剤層を形成することで、硬化後には高い接着性と極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮できる熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シートが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層を有することを特徴とする熱硬化型接着シートを提供する。
上記アクリル系ポリマー(X)は、炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
上記アクリル系ポリマー(X)は、さらに、シアノ基含有モノマー(b)及びカルボキシル基含有モノマー(c)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。
上記熱硬化型接着剤組成物中の上記エーテル化フェノール樹脂(Y)の含有量は、上記アクリル系ポリマー(X)100重量部に対して、1〜40重量部であることが好ましい。
上記熱硬化型接着シートは、フレキシブル印刷回路基板用熱硬化型接着シートであることが好ましい。
さらに、本発明は、上記熱硬化型接着シートを有するフレキシブル印刷回路基板を提供する。
さらに、本発明は、上記熱硬化型接着シートを熱硬化して得られた、熱硬化された熱硬化型接着シートを提供する。
さらに、本発明は、上記の熱硬化された熱硬化型接着シートを有するフレキシブル印刷回路基板を提供する。
本発明の熱硬化型接着シートは、上記構成上の特徴を有することにより、硬化後には、熱硬化型接着剤層が、高い接着性と極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮できる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の熱硬化型接着シートは、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層を少なくとも有する。なお、本明細書においては、上記「アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物」を「本発明の熱硬化型接着剤組成物」と称する場合がある。また、上記「アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層」(即ち、本発明の熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層)を「本発明の熱硬化型接着剤層」と称する場合がある。
本発明の熱硬化型接着シートにおいて、本発明の熱硬化型接着剤組成物は、アクリル系ポリマー(X)を35重量%以上含有することが好ましい。
また、「熱硬化型接着シート」には、「熱硬化型接着テープ」の意味も含むものとする。即ち、本発明の熱硬化型接着シートは、テープ状の形態を有する熱硬化型接着テープであってもよい。
[本発明の熱硬化型接着剤組成物]
本発明の熱硬化型接着剤組成物は、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を、必須の成分として含有する。本発明の熱硬化型接着剤組成物は、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)の他に、溶剤(溶剤及び/又は分散媒)を含有していてもよく、添加剤を含有していてもよい。上記の各成分(アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、シリカフィラー(Z1)、銅フィラー(Z2)、溶剤や添加剤は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の熱硬化型接着剤組成物は、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を、必須の成分として含有する。本発明の熱硬化型接着剤組成物は、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)の他に、溶剤(溶剤及び/又は分散媒)を含有していてもよく、添加剤を含有していてもよい。上記の各成分(アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、シリカフィラー(Z1)、銅フィラー(Z2)、溶剤や添加剤は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
(アクリル系ポリマー(X))
上記アクリル系ポリマー(X)は、特に限定されないが、炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須のモノマー成分として構成(又は形成)されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。なお、本明細書においては、上記「炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)」を、「(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)」又は単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)」と称する場合がある。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち一方又は両方)を意味し、以下も同様である。
上記アクリル系ポリマー(X)は、特に限定されないが、炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須のモノマー成分として構成(又は形成)されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。なお、本明細書においては、上記「炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)」を、「(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)」又は単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)」と称する場合がある。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」(「アクリル」及び「メタクリル」のうち一方又は両方)を意味し、以下も同様である。
上記アクリル系ポリマー(X)は、特に、(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)、シアノ基含有モノマー(b)及びカルボキシル基含有モノマー(c)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーであることが好ましい。中でも、上記アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分全量(100重量%)中の、(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)の含有量が50〜75重量%、シアノ基含有モノマー(b)の含有量が20〜49.5重量%、カルボキシル基含有モノマー(c)の含有量が0.5〜10重量%であることが好ましい。なお、アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分としては、上記(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)、シアノ基含有モノマー(b)及びカルボキシル基含有モノマー(c)以外のモノマー成分(他のモノマー成分)が用いられてもよい。上記アクリル系ポリマー(X)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記アクリル系ポリマー(X)は、ゴム弾性(エラストマー性)を発現するアクリル系ポリマー(アクリル系エラストマー)であることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシルなどが挙げられる。中でも、炭素数が4〜12である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸C4-12アルキルエステル)が好ましく、さらに好ましくはアクリル酸n−ブチルである。なお、上記(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分中の、(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)の含有量(含有割合)は、特に限定されないが、本発明の熱硬化型接着剤層の接着力の点から、アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、50重量%以上が好ましく、より好ましくは50〜75重量%、さらに好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは60〜72重量%である。
上記シアノ基含有モノマー(b)は、シアノ基を有するモノマーであり、特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。中でも、アクリロニトリルが好ましい。上記シアノ基含有モノマー(b)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。シアノ基含有モノマー(b)を用いることにより、本発明の熱硬化型接着剤層の強度(バルク強度)を向上させ、湿熱後耐熱性を向上させることができるため好ましい。
アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分中の、シアノ基含有モノマー(b)の含有量は、アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、20〜49.5重量%が好ましく、より好ましくは24〜40重量%、さらに好ましくは26〜35重量%である。上記含有量が20重量%以上であることにより、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性がより向上するため好ましい。一方、上記含有量が49.5重量%を超えると、熱硬化型接着剤層の柔軟性が低下する場合がある。
上記カルボキシル基含有モノマー(c)は、カルボキシル基を有するモノマーであり、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などが挙げられる。また、これらのカルボキシル基含有モノマーの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)も、カルボキシル基含有モノマーに含まれるものとする。中でも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸が好ましく、特に好ましくはアクリル酸である。上記カルボキシル基含有モノマー(c)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。カルボキシル基含有モノマー(c)を用いることにより、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性及び接着力を向上させることができるため好ましい。
アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分中の、カルボキシル基含有モノマー(c)の含有量は、アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜8重量%、さらに好ましくは2〜6重量%である。上記含有量が0.5重量%以上であることにより、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性及び接着力が向上するため好ましい。一方、上記含有量が10重量%を超えると、熱硬化型接着剤層の柔軟性が低下する場合がある。
アクリル系ポリマー(X)を構成するモノマー成分としては、上記(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)、シアノ基含有モノマー(b)及びカルボキシル基含有モノマー(c)の他に、他のモノマー成分(共重合性モノマー)が用いられていてもよい。上記他のモノマー成分(共重合性モノマー)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。上記他のモノマー成分(共重合性モノマー)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル等の炭素数が15〜20である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸C15-20アルキルエステル);(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど]や(メタ)アクリル酸イソボルニル等の非芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、(メタ)アクリル酸アリールオキシアルキルエステル[(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなど]、(メタ)アクリル酸アリールアルキルエステル[(メタ)アクリル酸ベンジルエステルなど]等の芳香族性環含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等のヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸アミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等の(N−置換)アミド系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマー;メチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマーなどが挙げられる。
また、上記他のモノマー成分(共重合性モノマー)としては、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーを用いることもできる。
言い換えると、アクリル系ポリマー(X)は、(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)に由来する構成単位、シアノ基含有モノマー(b)に由来する構成単位、及びカルボキシル基含有モノマー(c)に由来する構成単位を少なくとも含むアクリル系ポリマーであることが好ましい。各構成単位は、それぞれ、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。アクリル系ポリマー(X)(100重量%)中の、(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル(a)に由来する構成単位の含有量は、50重量%以上が好ましく、より好ましくは50〜75重量%、さらに好ましくは55〜75重量%、最も好ましくは60〜72重量%である。シアノ基含有モノマー(b)に由来する構成単位の含有量は、20〜49.5重量%が好ましく、より好ましくは24〜40重量%、さらに好ましくは26〜35重量%である。カルボキシル基含有モノマー(c)に由来する構成単位の含有量は0.5〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜8重量%、さらに好ましくは2〜6重量%である。
上記アクリル系ポリマー(X)は、公知乃至慣用の重合方法(例えば、溶液重合方法、エマルション重合方法、懸濁重合方法、塊状重合方法や紫外線照射による重合方法など)により調製することができる。
なお、アクリル系ポリマー(X)の重合に際して必要に応じて用いられる重合開始剤、乳化剤、連鎖移動剤などは、特に限定されず、公知乃至慣用のものの中から適宜選択して使用することができる。より具体的には、上記重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等の過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。上記重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。上記重合開始剤の使用量は、特に限定されず、通常の使用量の範囲から適宜選択することができる。
上記連鎖移動剤としては、例えば、1−ドデカンチオール、tert−ラウリルメルカプタン、sec−ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。上記乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系乳化剤などが挙げられる。上記連鎖移動剤及び上記乳化剤は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
なお、溶液重合では、各種の一般的な溶剤を用いることができる。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記アクリル系ポリマー(X)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、本発明の熱硬化型接着剤組成物の塗工性を向上させ生産性を向上させる観点、本発明の熱硬化型接着剤層の強度を向上させ湿熱後耐熱性を向上させる観点から、50万〜200万が好ましく、より好ましくは60万〜180万、さらに好ましくは80万〜120万である。アクリル系ポリマー(X)の重量平均分子量は、重合開始剤や連鎖移動剤の種類やその使用量、重合の際の温度や時間の他、モノマー濃度、モノマー滴下速度などによりコントロールすることができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により測定することができる。より具体的には、例えば、以下の<GPCの測定方法>で測定して求めることができる。
<GPCの測定方法>
(サンプルの調製)
測定対象であるアクリル系ポリマーを溶離液に溶解して、該アクリル系ポリマーの0.1%THF溶液を調製し、1日放置した後、0.45μmメンブレンフィルターにてろ過し、得られたろ液をサンプルとして、下記測定条件でGPC測定を行う。
(測定条件)
装置:HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel GMH−H(S)(東ソー株式会社製)
カラムサイズ:7.8mmI.D,×300mm
カラム温度:40℃
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.5ml/min
入口圧:4.6MPa
注入量:100μL
標準試料:ポリスチレン
データ処理装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
<GPCの測定方法>
(サンプルの調製)
測定対象であるアクリル系ポリマーを溶離液に溶解して、該アクリル系ポリマーの0.1%THF溶液を調製し、1日放置した後、0.45μmメンブレンフィルターにてろ過し、得られたろ液をサンプルとして、下記測定条件でGPC測定を行う。
(測定条件)
装置:HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
カラム:TSKgel GMH−H(S)(東ソー株式会社製)
カラムサイズ:7.8mmI.D,×300mm
カラム温度:40℃
溶離液:THF(テトラヒドロフラン)
流速:0.5ml/min
入口圧:4.6MPa
注入量:100μL
標準試料:ポリスチレン
データ処理装置:GPC−8020(東ソー株式会社製)
本発明の熱硬化型接着剤組成物中の、上記アクリル系ポリマー(X)の含有量(含有割合、配合割合)は、特に限定されないが、接着力の点から、本発明の熱硬化性接着剤組成物の全不揮発分(100重量%)に対して、35重量%以上が好ましく、より好ましく35〜90重量%、さらに好ましくは40〜85重量%である。
(エーテル化フェノール樹脂(Y))
エーテル化フェノール樹脂(Y)は、フェノール樹脂の有するメチロール基(フェノール樹脂中のメチロール基)の一部がエーテル化されているフェノール樹脂である。即ち、エーテル化されていないメチロール基及びエーテル化されたメチロール基を少なくとも有するフェノール樹脂である。エーテル化フェノール樹脂(Y)は、熱硬化性、湿熱後耐熱性を付与するために用いられる。
エーテル化フェノール樹脂(Y)は、フェノール樹脂の有するメチロール基(フェノール樹脂中のメチロール基)の一部がエーテル化されているフェノール樹脂である。即ち、エーテル化されていないメチロール基及びエーテル化されたメチロール基を少なくとも有するフェノール樹脂である。エーテル化フェノール樹脂(Y)は、熱硬化性、湿熱後耐熱性を付与するために用いられる。
さらに、上記エーテル化フェノール樹脂(Y)は、フェノール樹脂の有するメチロール基の一部がアルキル基でエーテル化されているフェノール樹脂である、アルキルエーテル化フェノール樹脂が好ましい。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などの炭素数が1〜20のアルキル基が挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好ましく、さらに好ましくはn−ブチル基である。
上記エーテル化フェノール樹脂(Y)において、骨格となるフェノール樹脂は、特に限定されない。エーテル化フェノール樹脂(Y)としては、例えば、エーテル化ノボラック型フェノール樹脂、エーテル化レゾール型フェノール樹脂、エーテル化クレゾール樹脂などが挙げられる。中でも、エーテル化クレゾール樹脂が好ましく、より好ましくはブチルエーテル化クレゾール樹脂(メチロール基の一部がブチルエーテル化されたクレゾール樹脂)である。エーテル化フェノール樹脂(Y)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
上記エーテル化フェノール樹脂(Y)における、エーテル化されたメチロール基の割合としては、例えば、エーテル化されたメチロール基とエーテル化されていないメチロール基の合計(100モル%)に対する、エーテル化されたメチロール基の割合が、50モル%以上(50モル%以上、100モル%未満)であることが好ましく、より好ましくは70モル%以上である。エーテル化されたメチロール基の割合が50モル%未満では、エーテル化フェノール樹脂の常温での反応が促進されたり、加熱硬化時の反応性が低下する場合がある。
上記エーテル化フェノール樹脂(Y)としては、市販されているエーテル化フェノール樹脂を使用することもでき、例えば、商品名「スミライトレジンPR−55317」(住友ベークライト株式会社製、ブチルエーテル化クレゾール樹脂、エーテル化されたメチロール基の割合:90モル%)、商品名「CKS−3898」(昭和電工株式会社製、ブチルエーテル化クレゾール樹脂)などを使用することができる。
本発明の熱硬化型接着剤組成物中の、上記エーテル化フェノール樹脂(Y)の含有量(含有割合、配合割合)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(X)100重量部に対して、1〜40重量部が好ましく、より好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部である。上記エーテル化フェノール樹脂(Y)の含有量1重量部以上とすることにより、本発明の熱硬化型接着剤層の熱硬化性が向上する。また、40重量部以下とすることにより、高温プレス時に接着剤がはみ出さないため好ましい。
(シリカフィラー(Z1)、銅フィラー(Z2))
シリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)は、本発明の熱硬化型接着剤層の強度(見かけ強度)を向上させ、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性を向上させるために用いられる。
シリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)は、本発明の熱硬化型接着剤層の強度(見かけ強度)を向上させ、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性を向上させるために用いられる。
上記のシリカフィラー(Z1)や銅フィラー(Z2)の形状としては、特に限定されないが、例えば、球状、フィラメント状、フレーク状、樹枝状、不規則形状などが挙げられる。中でも、上記フィラーの形状は、熱硬化型接着剤層で均一に分散させる点から、球状であることが好ましい。
上記のシリカフィラー(Z1)や銅フィラー(Z2)の平均粒径は、特に限定されないが、0.005〜10μmが好ましく、より好ましくは0.05〜5μmである。上記平均粒径を0.005μm以上とすることにより、本発明の熱硬化型接着剤層の濡れ性及び接着力が向上するため好ましい。また、上記上記平均粒径を10μm以下とすることにより、本発明の熱硬化型接着剤層の強度が向上し、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性が向上するため好ましい。なお、フィラーの平均粒径は、例えば、光度式の粒度分布計(装置名「LA−910」、株式会社堀場製作所製)により求めることができる。
上記のシリカフィラー(Z1)や銅フィラー(Z2)には、表面処理が施されていてよい。
本発明の熱硬化型接着剤組成物は、シリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)のうち、少なくとも1のフィラーを含有する。すなわち、本発明の熱硬化型接着剤組成物は、シリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)の両方を含有していてもよいし、シリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)のうち、どちらか一方のみを含有していてもよい。
本発明の熱硬化型接着剤組成物中の、上記シリカフィラー(Z1)の含有量と上記銅フィラー(Z2)の含有量の合計量(合計含有量、合計含有割合、合計配合割合)は、特に限定されないが、アクリル系ポリマー(X)100重量部に対して、1〜150重量部が好ましく、より好ましくは5〜140重量部、さらに好ましくは10〜120重量部である。上記含有量を1重量部以上とすることにより、本発明の熱硬化型接着剤層の強度が向上し、本発明の熱硬化型接着シートの湿熱後耐熱性が向上する。また、上記含有量を150重量部以下とすることにより、本発明の熱硬化型接着剤層が、脆くなり、その強度が低下することを防ぐことができる。なお、本発明の熱硬化型接着剤組成物中にシリカフィラー(Z1)又は銅フィラー(Z2)のどちらか一方が含まれる場合、その含まれるシリカフィラー(Z1)又は銅フィラー(Z2)の含有量である。
(溶剤、添加剤)
本発明の熱硬化型接着剤組成物は、溶剤を含むことが好ましい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、上記溶剤には分散媒の意味も含むものとする。
本発明の熱硬化型接着剤組成物は、溶剤を含むことが好ましい。上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。上記溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、上記溶剤には分散媒の意味も含むものとする。
本発明の熱硬化型接着剤組成物には、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、上記のシリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)以外に、必要に応じて、老化防止剤、上記のシリカフィラー(Z1)及び銅フィラー(Z2)以外のフィラー(充填剤)、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、架橋剤、粘着付与剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤が本発明の特性を損なわない範囲で含まれていてもよい。上記添加剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の熱硬化型接着剤組成物は、例えば、アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)と、必要に応じて用いられる各種添加剤等とを混合することにより調製することができる。なお、上記アクリル系ポリマー(X)及びエーテル化フェノール樹脂(Y)は、溶剤に溶解させることにより溶液の状態として、又は分散媒に分散させることにより分散液の状態として、本発明の熱硬化型接着剤組成物の調製に用いることもできる。また、シリカフィラー(Z1)や銅フィラー(Z2)は、分散媒に分散させることにより分散液の状態として、本発明の熱硬化型接着剤組成物の調製に用いることもできる。
[本発明の熱硬化型接着剤層]
本発明の熱硬化型接着剤層は、本発明の熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型の接着剤層である。本発明の熱硬化型接着剤層は単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。
本発明の熱硬化型接着剤層は、本発明の熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型の接着剤層である。本発明の熱硬化型接着剤層は単層、複層のいずれの形態を有していてもよい。
本発明の熱硬化型接着剤層の厚みは、特に限定されないが、5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μm、特に好ましくは20〜40μmである。上記厚みが5μm以上であることにより、接着力が向上するため好ましい。一方、上記厚みが100μmを超える場合は、高温プレス時に接着剤がはみ出す場合がある。
[本発明の熱硬化型接着シート]
本発明の熱硬化型接着シートは、本発明の熱硬化型接着剤層(本発明の熱硬化型接着剤組成物により形成された熱硬化型接着剤層)を少なくとも1層有する。本発明の熱硬化型接着シートは、本発明の熱硬化型接着剤層以外にも、基材、本発明の熱硬化型接着剤層以外の熱硬化型接着剤層等を有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。本発明の熱硬化型接着剤層以外の層は、それぞれ、1層のみ設けられていても、2層以上設けられていてもよい。
本発明の熱硬化型接着シートは、本発明の熱硬化型接着剤層(本発明の熱硬化型接着剤組成物により形成された熱硬化型接着剤層)を少なくとも1層有する。本発明の熱硬化型接着シートは、本発明の熱硬化型接着剤層以外にも、基材、本発明の熱硬化型接着剤層以外の熱硬化型接着剤層等を有していてもよい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。本発明の熱硬化型接着剤層以外の層は、それぞれ、1層のみ設けられていても、2層以上設けられていてもよい。
本発明の熱硬化型接着シートは、該シートの片面のみが接着剤層表面(接着面)である(即ち、本発明の熱硬化型接着剤層表面である)片面接着シートであってもよいし、該シートの両面が接着剤層表面(接着面)である両面接着シートであってもよい。本発明の熱硬化型接着シートは、特に限定されないが、物品(被着体)同士の貼り合わせに用いる等の観点から、両面接着シートであることが好ましく、より好ましくは、該シートの両面が熱硬化型接着剤層の表面である両面接着シートである。
本発明の熱硬化型接着シートは、基材を有する熱硬化型接着シート(基材付き熱硬化型接着シート)であってもよく、基材を有していない熱硬化型接着シート(基材レス熱硬化型接着シート)であってもよい。本発明の熱硬化型接着シートとしては、例えば、(1)本発明の熱硬化型接着剤層のみからなる熱硬化型接着シート(基材レス熱硬化型接着シート)、(2)基材の少なくとも一方の面側(両面側又は片面側)に本発明の熱硬化型接着剤層を有する熱硬化型接着シート(基材付き熱硬化型接着シート)などが挙げられる。本発明の熱硬化型接着シートとしては、基材レス熱硬化型接着シートが好ましく、中でも、製造の簡便さの観点から、上記(1)の構成の、本発明の熱硬化型接着剤層のみからなる基材レス熱硬化型接着シートが好ましい。なお、上記「基材」には、熱硬化型接着シートの使用時に剥離される剥離ライナー(セパレータ)は含まない。
なお、本発明の熱硬化型接着シートが基材付き熱硬化型接着シートである場合、基材の少なくとも一方の面側に、本発明の熱硬化型接着剤層が設けられていればよい。基材の、本発明の熱硬化型接着剤層が設けられた側とは反対面側には、本発明の熱硬化型接着剤層以外の熱硬化型接着剤層や、熱硬化型接着剤層以外の公知の接着剤層[例えば、粘着剤層(感圧性接着剤層)等]が設けられていてもよい。
上記基材としては、特に限定されず、例えば、紙などの紙系基材;布、不織布、ネットなどの繊維系基材;金属箔、金属板などの金属系基材;各種樹脂(ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)など)によるフィルムやシートなどのプラスチック系基材;ゴムシートなどのゴム系基材;発泡シートなどの発泡体系基材や、これらの積層体(特にプラスチック系基材と他の基材との積層体や、プラスチックフィルム(又はシート)同士の積層体など)等の適宜なシート状物を用いることができる。
上記基材の厚みは、特に限定されないが、10〜500μmが好ましく、より好ましくは12〜200μm、さらに好ましくは15〜100μmである。なお、基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。また、基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理などの各種処理が施されていてもよい。
本発明の熱硬化型接着シートは、例えば、ロール状に巻回された形態や、シートが積層された形態であってもよい。すなわち、本発明の熱硬化型接着シートは、シート状、テープ状などの形態を有することができる。なお、本発明の熱硬化型接着シートがロール状に巻回された形態を有している場合、例えば、熱硬化型接着剤層が、剥離ライナーや基材の背面側に形成された剥離処理層により保護された状態でロール状に巻回された形態であってもよい。
本発明の熱硬化型接着シートにおける接着剤層(例えば、本発明の熱硬化型接着剤層)の表面は、剥離ライナー(セパレータ)によって保護されていてもよい。上記剥離ライナーとしては、特に限定されず、公知の剥離ライナーから適宜選択して用いることができる。上記剥離ライナーとしては、例えば、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がシリコーン処理された剥離ライナー、又は、紙やプラスチックフィルム等の基材(ライナー基材)の表面がポリオレフィン系樹脂によりラミネートされた剥離ライナーが好ましい。上記ポリオレフィン系樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
本発明の熱硬化型接着シートは、公知乃至慣用の接着シートの製造方法に従って製造することができる。例えば、本発明の熱硬化型接着シートが基材レス熱硬化型接着シートである場合、剥離ライナーの剥離面に、本発明の熱硬化型接着剤組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、乾燥させる方法により本発明の熱硬化型接着剤層を形成して、本発明の熱硬化型接着シートを作製することができる。
本発明の熱硬化型接着シートが基材付き熱硬化型接着シートである場合、上記と同様にして、剥離ライナーの剥離面上に本発明の熱硬化型接着剤層を形成した後、該熱硬化型接着剤層を基材の表面上に転写する方法により、本発明の熱硬化型接着シートを作製することができる。また、基材の表面上に、本発明の熱硬化型接着剤組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、乾燥させる方法により本発明の熱硬化型接着剤層を形成して、本発明の熱硬化型接着シートを作製することができる。
本発明の熱硬化型接着シートが基材付き熱硬化型接着シートである場合、上記と同様にして、剥離ライナーの剥離面上に本発明の熱硬化型接着剤層を形成した後、該熱硬化型接着剤層を基材の表面上に転写する方法により、本発明の熱硬化型接着シートを作製することができる。また、基材の表面上に、本発明の熱硬化型接着剤組成物を、乾燥後の厚さが所定の厚さとなるように塗布し、乾燥させる方法により本発明の熱硬化型接着剤層を形成して、本発明の熱硬化型接着シートを作製することができる。
なお、本発明の熱硬化型接着剤組成物の塗布に際しては、慣用のコーター(例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーロールコーターなど)を用いることができる。
本発明の熱硬化型接着シート及び本発明の熱硬化型接着剤層は、加熱によって硬化反応を進行(熱硬化)させることにより、優れた接着力を発揮することができる。本発明の熱硬化型接着シートを加熱して本発明の熱硬化型接着剤層を硬化させる(熱硬化する)ことにより、強固な接着力を有する接着シート(熱硬化された熱硬化型接着シート)が得られる。上記硬化条件(加熱条件)は、特に限定されないが、100℃以上(例えば、100〜200℃)の温度にて30分以上(例えば、30〜360分)加熱することが好ましく、より好ましくは150℃以上(例えば、150〜200℃)の温度にて60分以上(例えば、60〜360分)である。
本発明の熱硬化型接着剤層は、本発明の熱硬化型接着剤組成物がアクリル系ポリマー(X)を含有するので、高い接着力(接着性)を有する。また、本発明の熱硬化型接着剤層は、本発明の熱硬化型接着剤組成物がエーテル化フェノール樹脂(Y)を含有し、エーテル化フェノール樹脂(Y)が加熱により硬化することで、接着力及び湿熱後耐熱性に優れる。
しかしながら、アクリル系ポリマー(X)とエーテル化フェノール樹脂(Y)のみでは、熱硬化型接着剤層が、接着後に、高温、長時間の処理条件等の非常に厳しい温度条件下に晒された場合、接着剤層の発泡や浮き剥がれが生じることがあった。
これに対して、本発明の熱硬化型接着剤層は、本発明の熱硬化型接着剤組成物がアクリル系ポリマー(X)及びエーテル化フェノール樹脂(Y)に加えて、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有するので、強度(バルク強度)が高い接着剤層となる。このため、本発明の熱硬化型接着剤層が、接着後に、高温、長時間の処理条件等の非常に厳しい温度条件下に晒された場合であっても、接着剤層の発泡や浮き剥がれが抑制される。従って、本発明の熱硬化型接着シートは、極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮する。
よって、本発明の熱硬化型接着シートは、接着力と湿熱後耐熱性を極めて高いレベルで両立することが可能となる。
しかしながら、アクリル系ポリマー(X)とエーテル化フェノール樹脂(Y)のみでは、熱硬化型接着剤層が、接着後に、高温、長時間の処理条件等の非常に厳しい温度条件下に晒された場合、接着剤層の発泡や浮き剥がれが生じることがあった。
これに対して、本発明の熱硬化型接着剤層は、本発明の熱硬化型接着剤組成物がアクリル系ポリマー(X)及びエーテル化フェノール樹脂(Y)に加えて、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有するので、強度(バルク強度)が高い接着剤層となる。このため、本発明の熱硬化型接着剤層が、接着後に、高温、長時間の処理条件等の非常に厳しい温度条件下に晒された場合であっても、接着剤層の発泡や浮き剥がれが抑制される。従って、本発明の熱硬化型接着シートは、極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮する。
よって、本発明の熱硬化型接着シートは、接着力と湿熱後耐熱性を極めて高いレベルで両立することが可能となる。
本発明の熱硬化型接着シートは、加熱による硬化後には高い接着力と特に優れた湿熱後耐熱性を発揮することができる。そのため、本発明の熱硬化型接着シートは、強固に接着し、かつ、接着後に極めて厳しい温度条件下で処理される場合でも発泡や浮き剥がれなどが生じない優れた湿熱後耐熱性が求められる用途等に好ましく使用することができる。具体的には、本発明の熱硬化型接着シートは、例えば、フレキシブル印刷回路基板(FPC)における接着の際に好ましく使用できる。即ち、本発明の熱硬化型接着シートは、好ましくは、FPC用熱硬化型接着シートである。なお、FPCにおける接着とは、例えば、FPCを作製する際の接着や、FPCを補強板に貼り合わせる際の接着を意味している。
FPCは最終製品に組み込まれるまでに高温のリフロー工程を通ることが多く、使用される熱硬化型接着シートには、リフロー工程を通った後に、発泡や浮き剥がれが発生しないことが求められる。このようなFPC用途では特に、信頼性の観点から、「湿熱後耐熱性」が重要視されている。なお、上記「湿熱後耐熱性」とは、熱硬化型接着シートを用いて被着体を接着して作製した積層体を、高温高湿下(例えば、温度40〜60℃、湿度60〜95%RHの環境下)で保存した後に、厳しい温度条件(例えば、温度250〜270℃で1〜3分間)で処理した場合にも、上記熱硬化型接着シート(熱硬化型接着剤層)に発泡や浮き剥がれが生じにくい特性を意味する。本発明の熱硬化型接着シートは、熱硬化後には、高い接着力と共に、極めて優れた湿熱後耐熱性を発揮することができるため、特にFPC用途において信頼性の高い熱硬化型接着シートとして使用することができる。
[フレキシブル印刷回路基板(FPC)]
本発明の熱硬化型接着シートを用いてFPCを作製することにより、又は、本発明の熱硬化型接着シートを用いてFPCを補強板に貼り合わせることにより、本発明の熱硬化型接着シートを有するFPCを得ることができる。
本発明の熱硬化型接着シートを用いてFPCを作製することにより、又は、本発明の熱硬化型接着シートを用いてFPCを補強板に貼り合わせることにより、本発明の熱硬化型接着シートを有するFPCを得ることができる。
本発明の熱硬化型接着シートを有するFPCにおいては、該接着シートを熱硬化させることにより、強固な接着力を有する熱硬化型接着シートを有するFPC(熱硬化された熱硬化型接着シートを有するFPC)を得ることができる。上記の熱硬化における硬化条件としては、特に限定されないが、100℃以上(例えば、100〜200℃)の温度にて30分以上(例えば、30〜360分)加熱することが好ましく、より好ましくは150℃以上(例えば、150〜200℃)の温度にて60分以上(例えば、60〜360分)である。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
表1には、実施例及び比較例における、アクリル系ポリマーのモノマー組成、重量平均分子量(Mw)及び熱硬化型接着剤組成物中の含有量(配合量)、エーテル化フェノール樹脂(熱硬化性樹脂)の熱硬化型接着剤組成物中の含有量(配合量)、並びに、フィラーの種類及び熱硬化型接着剤組成物中の含有量(配合量)を示した。
なお、表1において、アクリル系ポリマーのモノマー組成は、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)中の各モノマーの含有量(重量%)で表した。また、アクリル系ポリマー、エーテル化フェノール樹脂及びフィラーの含有量は、不揮発分としての含有量(重量部)で表した。
なお、表1において、アクリル系ポリマーのモノマー組成は、該アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)中の各モノマーの含有量(重量%)で表した。また、アクリル系ポリマー、エーテル化フェノール樹脂及びフィラーの含有量は、不揮発分としての含有量(重量部)で表した。
実施例1
(アクリル系ポリマーの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応器に、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド(商品名「VA−060」、和光純薬工業株式会社製)(重合開始剤)0.279g、イオン交換水100gを投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。これを60℃に保ち、ここにブチルアクリレート(アクリル酸n−ブチル)(BA)66重量部、アクリロニトリル(AN)29重量部、アクリル酸(AA)5重量部、1−ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.04重量部及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(乳化剤)2重量部をイオン交換水41重量部に添加して乳化したもの(モノマー原料のエマルション)400gを3時間かけて徐々に滴下して、乳化重合反応を進行させた。モノマー原料のエマルションの滴下終了後、さらに3時間同温度に保持して熟成させた。このようにして重合したアクリル系ポリマーの水分散液(エマルション)を乾燥し、アクリル系ポリマー(重量平均分子量100万)を得た。
(アクリル系ポリマーの調製)
冷却管、窒素導入管、温度計および攪拌機を備えた反応器に、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド(商品名「VA−060」、和光純薬工業株式会社製)(重合開始剤)0.279g、イオン交換水100gを投入し、窒素ガスを導入しながら1時間攪拌した。これを60℃に保ち、ここにブチルアクリレート(アクリル酸n−ブチル)(BA)66重量部、アクリロニトリル(AN)29重量部、アクリル酸(AA)5重量部、1−ドデカンチオール(連鎖移動剤)0.04重量部及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(乳化剤)2重量部をイオン交換水41重量部に添加して乳化したもの(モノマー原料のエマルション)400gを3時間かけて徐々に滴下して、乳化重合反応を進行させた。モノマー原料のエマルションの滴下終了後、さらに3時間同温度に保持して熟成させた。このようにして重合したアクリル系ポリマーの水分散液(エマルション)を乾燥し、アクリル系ポリマー(重量平均分子量100万)を得た。
(熱硬化型接着剤組成物の調製)
上記アクリル系ポリマー[ブチルアクリレート(BA)66重量%、アクリロニトリル(AN)29重量%、アクリル酸(AA)5重量%をモノマー成分として構成された共重合体]:100重量部が溶解された酢酸エチル溶液に、エーテル化フェノール樹脂として(商品名「CKS−3898」(昭和電工株式会社製):12重量部(不揮発分)が溶解されたブタノール溶液、並びに、 シリカフィラー(商品名「SE−2050MC」、株式会社アドマテックス製、平均粒径0.5μm、最大粒径5μm、球状フィラー):10重量部が分散し、その濃度が60重量%であるメチルエチルケトン分散液を混合し攪拌して、熱硬化型接着剤組成物(溶液)を調製した。
上記アクリル系ポリマー[ブチルアクリレート(BA)66重量%、アクリロニトリル(AN)29重量%、アクリル酸(AA)5重量%をモノマー成分として構成された共重合体]:100重量部が溶解された酢酸エチル溶液に、エーテル化フェノール樹脂として(商品名「CKS−3898」(昭和電工株式会社製):12重量部(不揮発分)が溶解されたブタノール溶液、並びに、 シリカフィラー(商品名「SE−2050MC」、株式会社アドマテックス製、平均粒径0.5μm、最大粒径5μm、球状フィラー):10重量部が分散し、その濃度が60重量%であるメチルエチルケトン分散液を混合し攪拌して、熱硬化型接着剤組成物(溶液)を調製した。
(熱硬化型接着シートの作製)
上記熱硬化型接着剤組成物を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、剥離ライナーの剥離面に塗布し、100℃で3分間乾燥して、熱硬化型接着剤層(厚み25μm)を形成し、熱硬化型接着シート(熱硬化型接着剤層のみからなる基材レス熱硬化型接着シート)を得た。
上記熱硬化型接着剤組成物を、乾燥後の厚みが25μmとなるように、剥離ライナーの剥離面に塗布し、100℃で3分間乾燥して、熱硬化型接着剤層(厚み25μm)を形成し、熱硬化型接着シート(熱硬化型接着剤層のみからなる基材レス熱硬化型接着シート)を得た。
実施例2〜4
表1に示すように、シリカフィラーの含有量を変更して、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
表1に示すように、シリカフィラーの含有量を変更して、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
実施例5
表1に示すように、シリカフィラー:10重量部を、銅フィラー(商品名「Cu−HWQ5μm」、福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径4.3μm、最大粒径(D90)9μm、球状フィラー):100重量部に変更し、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
表1に示すように、シリカフィラー:10重量部を、銅フィラー(商品名「Cu−HWQ5μm」、福田金属箔粉工業株式会社製、平均粒径4.3μm、最大粒径(D90)9μm、球状フィラー):100重量部に変更し、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
実施例6
表1に示すように、銅フィラーの含有量を変更して、実施例5と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
表1に示すように、銅フィラーの含有量を変更して、実施例5と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
比較例1
表1に示すように、フィラーを用いずに、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
表1に示すように、フィラーを用いずに、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
比較例2
表1に示すように、シリカフィラー:10重量部を、ニッケルフィラー(商品名「4SP−400」、NOVAMET社製、平均粒径11μm、最大粒径(D90)28.5μm、球状フィラー):100重量部に変更して、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
表1に示すように、シリカフィラー:10重量部を、ニッケルフィラー(商品名「4SP−400」、NOVAMET社製、平均粒径11μm、最大粒径(D90)28.5μm、球状フィラー):100重量部に変更して、実施例1と同様にして、熱硬化型接着剤組成物及び熱硬化型接着シートを得た。
(評価)
実施例及び比較例で得られた各熱硬化型接着シートについて、熱硬化型接着剤層の硬化後の接着力、湿熱後耐熱性をそれぞれ、下記の測定方法又は評価方法により測定又は評価した。
実施例及び比較例で得られた各熱硬化型接着シートについて、熱硬化型接着剤層の硬化後の接着力、湿熱後耐熱性をそれぞれ、下記の測定方法又は評価方法により測定又は評価した。
(1)接着力の測定方法
実施例及び比較例で得られた各熱硬化型接着シートにおける硬化後の熱硬化型接着剤層について、23℃における接着力(N/cm)を以下の方法で測定した。
フレキシブル印刷回路基板(FPC;サイズ:幅5cm×長さ8cm、厚み0.2mm)と、熱硬化型接着シートとを130℃でラミネートした後、1cm幅に切断した(熱硬化型接着シートはFPCの片面側(表面の材質:ポリイミド)の全面にラミネートされている)。これを、ステンレス鋼板(SUS304BA板)(SUS;サイズ:長さ5cm×幅5cm、厚み0.4mm)に貼り付け、ラミネーターを用いて130℃でラミネートした後、160℃、2MPaで90秒間加熱圧着(プレス)して貼り付けた。さらに、150℃で1時間キュアー(加熱硬化)して試験体を作製した。
実施例及び比較例で得られた各熱硬化型接着シートにおける硬化後の熱硬化型接着剤層について、23℃における接着力(N/cm)を以下の方法で測定した。
フレキシブル印刷回路基板(FPC;サイズ:幅5cm×長さ8cm、厚み0.2mm)と、熱硬化型接着シートとを130℃でラミネートした後、1cm幅に切断した(熱硬化型接着シートはFPCの片面側(表面の材質:ポリイミド)の全面にラミネートされている)。これを、ステンレス鋼板(SUS304BA板)(SUS;サイズ:長さ5cm×幅5cm、厚み0.4mm)に貼り付け、ラミネーターを用いて130℃でラミネートした後、160℃、2MPaで90秒間加熱圧着(プレス)して貼り付けた。さらに、150℃で1時間キュアー(加熱硬化)して試験体を作製した。
上記試験体について、引張試験機(装置商品名「TCM−1kNB」、ミネベア(株)製)を用いて、FPC側を引っ張る方法により、90°ピール接着力(引張速度:50mm/分、23℃、50%RH;N/cm)を測定した。
なお、測定結果は、表1の「接着力(N/cm) SUS」の欄に示した。
なお、測定結果は、表1の「接着力(N/cm) SUS」の欄に示した。
また、上記測定において、ステンレス鋼板のかわりに、ポリイミド板(PI;サイズ:長さ5cm×幅5cm、厚み0.13mm)を用いて、同様に90°ピール接着力を測定した。測定結果は、表1の「接着力(N/cm) PI」の欄に示した。
(2)湿熱後耐熱性の評価方法(加湿後260℃はんだディップ)
実施例及び比較例で得られた各熱硬化型接着シートにおける硬化後の熱硬化型接着剤層について、湿熱後耐熱性を評価した。
銅張積層板(CCL;ポリイミド/銅の積層体、サイズ:幅5cm×長さ8cm、厚み45μm)と、熱硬化型接着シートとを130℃でラミネートした後、1cm幅に切断した(熱硬化型接着シートはCCLのポリイミド面の全面にラミネートされている)。これを、ステンレス鋼板(SUS304BA板)(SUS;サイズ:長さ5cm×幅5cm、厚み0.4mm)に貼り付け、ラミネーターを用いて130℃でラミネートした後、160℃、2MPaで90秒間加熱圧着(プレス)し貼り付けた。さらに、150℃で1時間キュアー(加熱硬化)して試験体を作製した。
上記試験体を、加湿(温度:60℃、湿度:90%RH)の条件下で24時間静置させた後、試験体のステンレス鋼板側の表面を260℃のはんだ浴に3分間ディップ(浸漬)させた。
実施例及び比較例で得られた各熱硬化型接着シートにおける硬化後の熱硬化型接着剤層について、湿熱後耐熱性を評価した。
銅張積層板(CCL;ポリイミド/銅の積層体、サイズ:幅5cm×長さ8cm、厚み45μm)と、熱硬化型接着シートとを130℃でラミネートした後、1cm幅に切断した(熱硬化型接着シートはCCLのポリイミド面の全面にラミネートされている)。これを、ステンレス鋼板(SUS304BA板)(SUS;サイズ:長さ5cm×幅5cm、厚み0.4mm)に貼り付け、ラミネーターを用いて130℃でラミネートした後、160℃、2MPaで90秒間加熱圧着(プレス)し貼り付けた。さらに、150℃で1時間キュアー(加熱硬化)して試験体を作製した。
上記試験体を、加湿(温度:60℃、湿度:90%RH)の条件下で24時間静置させた後、試験体のステンレス鋼板側の表面を260℃のはんだ浴に3分間ディップ(浸漬)させた。
上記試験体における熱硬化型接着シート(熱硬化型接着剤層)の浮き剥がれ、発泡の状態を目視にて観察し、以下の基準で湿熱後耐熱性を評価した。なお、評価結果は、表1の「湿熱後耐熱性 SUS」の欄に示した。
湿熱後耐熱性に優れる(◎): 熱硬化型接着剤層に浮き剥がれ、発泡が確認されなかった。
湿熱後耐熱性が良好(○): 貼付部分の端部に限り少量の浮き剥がれ、発泡が確認された。
湿熱後耐熱性がやや劣るが使用可能(△): 貼付部分の端部と、端部以外の一部に浮き剥がれ、発泡が確認された。
湿熱後耐熱性が劣る(×): 熱硬化型接着剤層の全面に浮き剥がれ、発泡が確認された。
湿熱後耐熱性に優れる(◎): 熱硬化型接着剤層に浮き剥がれ、発泡が確認されなかった。
湿熱後耐熱性が良好(○): 貼付部分の端部に限り少量の浮き剥がれ、発泡が確認された。
湿熱後耐熱性がやや劣るが使用可能(△): 貼付部分の端部と、端部以外の一部に浮き剥がれ、発泡が確認された。
湿熱後耐熱性が劣る(×): 熱硬化型接着剤層の全面に浮き剥がれ、発泡が確認された。
また、上記評価において、ステンレス鋼板のかわりに、ポリイミド板(PI;サイズ:長さ5cm×幅5cm、厚み0.13mm)を用いて、同様に湿熱後耐熱性を評価した。評価結果は、表1の「湿熱後耐熱性 PI」の欄に示した。
表1から明らかなように、本発明の熱硬化型接着シートは硬化後の接着力が高く接着性に優れ、さらに、加湿後260℃はんだディップの非常に厳しい温度条件の処理を施した場合においても、高い湿熱後耐熱性を有している。
一方、熱硬化型接着剤層を形成する熱硬化型接着剤組成物中に、フィラーを含まない場合(比較例1)は、加湿後260℃はんだディップの処理により熱硬化型接着剤層と被着体との界面で発泡や浮き剥がれが生じ、湿熱後耐熱性が劣っていた。また、一方、熱硬化型接着剤層を形成する熱硬化型接着剤組成物中に、ニッケルフィラーを含む場合(比較例2)は、加湿後260℃はんだディップの処理により熱硬化型接着剤層中で発泡が生じ、湿熱後耐熱性が劣っていた。
一方、熱硬化型接着剤層を形成する熱硬化型接着剤組成物中に、フィラーを含まない場合(比較例1)は、加湿後260℃はんだディップの処理により熱硬化型接着剤層と被着体との界面で発泡や浮き剥がれが生じ、湿熱後耐熱性が劣っていた。また、一方、熱硬化型接着剤層を形成する熱硬化型接着剤組成物中に、ニッケルフィラーを含む場合(比較例2)は、加湿後260℃はんだディップの処理により熱硬化型接着剤層中で発泡が生じ、湿熱後耐熱性が劣っていた。
Claims (8)
- アクリル系ポリマー(X)、エーテル化フェノール樹脂(Y)、並びに、シリカフィラー(Z1)及び/又は銅フィラー(Z2)を含有する熱硬化型接着剤組成物から形成された熱硬化型接着剤層を有することを特徴とする熱硬化型接着シート。
- 前記アクリル系ポリマー(X)が、炭素数が1〜14である直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーである請求項1に記載の熱硬化型接着シート。
- 前記アクリル系ポリマー(X)が、さらに、シアノ基含有モノマー(b)及びカルボキシル基含有モノマー(c)を必須のモノマー成分として構成されたアクリル系ポリマーである請求項2に記載の熱硬化型接着シート。
- 前記熱硬化型接着剤組成物中の前記エーテル化フェノール樹脂(Y)の含有量が、前記アクリル系ポリマー(X)100重量部に対して、1〜40重量部である請求項1〜3の何れか1項に記載の熱硬化型接着シート。
- フレキシブル印刷回路基板用熱硬化型接着シートである請求項1〜4の何れか1項に記載の熱硬化型接着シート。
- 請求項5に記載の熱硬化型接着シートを有するフレキシブル印刷回路基板。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の熱硬化型接着シートを熱硬化して得られた、熱硬化された熱硬化型接着シート。
- 請求項7記載の熱硬化型接着シートを有するフレキシブル印刷回路基板。
Priority Applications (5)
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JP2011143453A JP2013010831A (ja) | 2011-06-28 | 2011-06-28 | 熱硬化型接着シート及びフレキシブル印刷回路基板 |
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PCT/JP2012/064680 WO2013002004A1 (ja) | 2011-06-28 | 2012-06-07 | 熱硬化型接着シート及びフレキシブル印刷回路基板 |
TW101123061A TW201313868A (zh) | 2011-06-28 | 2012-06-27 | 熱固型接著片材及可撓性印刷電路基板 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015199814A (ja) * | 2014-04-08 | 2015-11-12 | 住友ベークライト株式会社 | 樹脂組成物、接着フィルム、接着シート、ダイシングテープ一体型接着シート、バックグラインドテープ一体型接着シート、ダイシングテープ兼バックグラインドテープ一体型接着シート、および、電子装置 |
JP2019127501A (ja) * | 2018-01-22 | 2019-08-01 | 藤森工業株式会社 | 熱硬化性接着剤組成物、接着フィルム、カバーレイフィルム及びフレキシブルプリント配線板 |
-
2011
- 2011-06-28 JP JP2011143453A patent/JP2013010831A/ja not_active Withdrawn
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