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JP6164900B2 - 硫黄系ガス吸着用樹脂組成物 - Google Patents

硫黄系ガス吸着用樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、硫黄系のガスを吸着する吸着剤を含む硫黄系ガス吸着用樹脂組成物及びその成形体に関する。
硫黄系のガス、例えば硫化水素、メルカプタン等は、引火性及び毒性を有する有害なガスであり、また微量であっても刺激臭をもたらす。さらに、これらは高い腐食性を有するため、これらが発生する機器等では腐食等の問題が生じる場合がある。そこで、1つの解法として、硫黄系ガスを除去するための吸着剤を用いることできる。
例えば硫化物系固体電解質膜を用いる全固体型リチウム電池では、硫化物系固体電解質膜が水分と接触することで内部に硫化水素が発生し、その性能が著しく劣化するという問題がある。そのため、この機器中で硫化水素等の硫黄系ガスを吸着するために、例えば特許文献1では、未加硫ゴムを硫化水素吸収剤として含む流動性の封止剤を開示している。ただし、このようなリチウム電池の使用温度においては、未加硫ゴムが硫化水素を吸着する能力は高くないために、特許文献1に記載の発明の効果は限定的であると考えられる。
一方で、吸着剤を用いる際には、吸着剤が単体では通常は粒状又は粉状であるために、吸着剤を通気性の高い繊維等と共に用いることが多い。しかしながら、吸着剤の用途によっては、繊維等に含ませて用いることが不適切な場合があり、粒状又は粉状の吸着剤を樹脂に混合して用いる方法が知られている。例えば、特許文献2では、ゼオライト等の吸湿剤をLDPEに混練させて得た吸湿層に、補強フィルムを積層した積層フィルムを開示している。また、特許文献3においては、炭酸カルシウム等の吸湿剤、ブチルゴム及びポリオレフィンを混練して得られる、複層ガラス用及び太陽電池パネル端部用のシーリング組成物を開示している。
このような吸着剤を含有する樹脂組成物は、成形体に加工して様々な用途に様々な態様で用いることができる一方で、吸着剤単体で用いる場合及び通気性の高い繊維等と組み合わせて用いる場合と比較して、吸着剤の能力が低下する場合があることが知られている。
特開2009−218010号公報 特開2005−280188号公報 特開2011−231309号公報
そこで、本発明は、様々な用途に用いることができる、硫黄系ガスの吸着性能が高い樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決することができることを見出した。
[1] 芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含むバインダー、並びに硫化水素を化学的に吸着する無機吸着剤を含む、硫黄系ガス吸着用樹脂組成物。
[2] 前記芳香族ビニルモノマーが、スチレン、α―メチルスチレン、o―メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、及びビニルナフタレン並びにこれらの混合物からなる群より選択される、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 前記ジエンモノマーが、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜10の脂肪族ジエン又は脂環族ジエン及びこれらの混合物から選択されるである、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4] 前記ジエンモノマーが、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び1,3−ペンタジエン並びにこれらの混合物からなる群より選択される、[3]に記載の樹脂組成物。
[5] 前記共重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である、[1]に記載の樹脂組成物。
[6] 前記無機吸着剤が、銅、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物を含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
[7] 前記無機吸着剤が、銅(II)ケイ酸塩である、[6]に記載の樹脂組成物。
[8] 前記バインダーが、前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体以外の熱可塑性樹脂をさらに含む、[1]〜[7]のいずれか一つに記載の樹脂組成物。
[9] 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、[8]に記載の樹脂組成物。
[10] 前記バインダーの重量に対して、前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、20重量%以上である、[8]又は[9]に記載の樹脂組成物。
[11] [1]〜[10]に記載の樹脂組成物の成形体。
本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物は、硫黄系ガスに対して高い吸着能力を示し、様々な態様に成形することができ、一度吸着した硫黄系ガスは再放出することがなく、外部の温度や湿度に影響することなく硫黄系ガスを吸着するため、様々な用途に用いることができる。例えば、本発明の樹脂組成物を成形して、硫化物系固体電解質膜を用いる全固体型リチウム電池内で用いた場合には、その成形体が内部で発生する硫化水素を吸着することで、電池の性能を長期間維持することができる。
<本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含むバインダー、並びに硫化水素を化学的に吸着する無機吸着剤を含む。通常、吸着剤を樹脂中に分散させると、樹脂のガス透過性の低さに起因して、吸着剤の性能は大きく低下する。しかしながら、本発明者らは、本発明の構成の樹脂組成物においては、硫黄系ガスの吸着能力に関して、予想外にも性能が一定程度維持できることを発見した。理論に拘束されるものではないが、これは、上記芳香族ビニル−ジエン系共重合体に対する硫黄系ガスの透過性が高いことに起因していると推測される。ここで硫黄系ガスとは、硫化水素、及びチオール、例えばメタンチオール、エタンチオール等をいう。
(バインダー)
本発明の樹脂組成物に用いられるバインダーには、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体が含まれる。芳香族ビニル−ジエン系共重合体は、バインダーの全重量に対して、好ましくは10重量%、20重量%、30重量%、40重量%以上、50重量%以上、又は70重量%以上含まれ、バインダーが全て芳香族ビニル−ジエン系共重合体から構成されていてもよい。
この芳香族ビニル−ジエン系共重合体には、芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位以外に、他の繰返し単位が含まれていてもよい。この芳香族ビニル−ジエン系共重合体は、イオン重合又はラジカル重合により調製することができ、また溶液重合又は乳化重合によって調製することができる。芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位のこの共重合体中に占める割合は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下である。ジエンモノマー由来の繰返し単位のこの共重合体中に占める割合は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは60重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
この共重合体を得るために用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、例えばスチレン、α―メチルスチレン、o―メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、ビニルナフタレン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種単独又は2種以上併用して用いることができる。
さらにジエンモノマーとしては、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜10の脂肪族ジエン又は脂環族ジエン及びこれらの混合物を挙げることができる。具体的には、1,3ーブタジエン、1,2ーブタジエン、1,2ーペンタジエン、1,3ーペンタジエン、2,3ーペンタジエン、イソプレン、1,2ーヘキサジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,3−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、2−エチル−1,3ブタジエン、1,2−ヘプタジエン、1,3−ヘプタジエン、1,4−ヘプタジエン、1,5−ヘプタジエン、1,6−ヘプタジエン、2,3−ヘプタジエン、2,5−ヘプタジエン、3,4−ヘプタジエン、3,5−ヘプタジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン等が挙げられ、これらの中から選ばれる1種単独又は2種以上を併用して用いることができる。この中でも、好ましくは1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンである。
このような共重合体の例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン共重合体(SIR)、スチレン−イソプレンスチレン−ブロック共重合体(SIS)、α−メチルスチレン−ブタジエン共重合体(MSBR)、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体(PSBR)、アクリル酸等を共重合したカルボキシル化SBR(XSBR)、アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)又はこれらの誘導体、例えば水素化スチレンブタジエン共重合体が挙げられる。これらは、架橋されていてもよいが、成形性を考慮して、好ましくは未架橋の状態であることが好ましい。
共重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」という。)は2,000以上、5,000以上、10,000以上、又は100,000以上であることが好ましく、2,000,000以下、1,500,000以下、1,200,000以下、1,000,000以下又は800,000以下であることが好ましい。共重合体のMwと数平均分子量(以下、「Mn」という。)との比Mw/Mnは、1.0以上であることが好ましく、10.0以下、7.0以下、5.0以下、又は2.5以下であることが好ましい。なお、Mw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で以て標準サンプルとしてポリスチレンを用いて測定した値である。25℃のトルエン溶液粘度は、この共重合を25重量%含むトルエン溶液の粘度をキャノンフェンスケ型動粘度計を使用して測定した場合に、100mPa・s以上、500mPa・s以上、又は1,000mPa・s以上であることが好ましく、100,000mPa・s以下、50,000mPa・s以下、又は30,000mPa・s以下であることが好ましい。JIS K6300に準拠して測定した場合のムーニー粘度ML(1+4)は、30以上、40以上、45以上、又は50以上であることが好ましく、80以下、70以下、又は60以下であることが好ましい。
バインダーには、上記の芳香族ビニル−ジエン系共重合体以外に、他の熱可塑性樹脂を配合することができる。熱可塑性樹脂を、上記の芳香族ビニル−ジエン系共重合体と共に組み合わせて用いることによって、本発明の樹脂組成物の物性、例えば耐熱性、加工性、シール性等の設計の自由度を高めることができる。例えば、バインダーが上記の芳香族ビニル−ジエン系共重合体のみからなる場合に、本発明の樹脂組成物の軟化温度は、50℃〜80℃程度となることがあるが、この軟化温度では不十分な場合がある。そこで、バインダーに他の熱可塑性樹脂を配合することによって、硫黄系ガスの吸着能力を一定程度維持しながら、軟化温度を好ましくは5℃以上、10℃以上、又は30℃以上向上させることができる。なお、ここで軟化温度とは、動的粘弾性測定装置TAインスツルメント製DMA Q−800により、3℃/minで昇温させながら測定した貯蔵弾性率の傾きが変化し始める温度である。
配合する熱可塑性樹脂の量は、その配合による効果を得るために、バインダーの重量に対して、熱可塑性樹脂が10重量%、好ましくは20重量%以上となる量である。一方で、本発明の効果を得るために、ポリオレフィン系樹脂の添加量は、90重量%以下、好ましくは80重量%以下となる量である。
配合することができる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリアリレート、液晶性ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン樹脂、高衝撃ポリスチレン樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、アクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレン系ゴム−スチレン共重合体(AES)等のスチレン系樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状オレフィン樹脂、環状オレフィン共重合体樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリオキシメチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、各種エラストマー等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(例えば、線状低密度ポリエチレンなどの低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。また、ポリオレフィンとして、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酸素含有エチレン性不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられる。酸素含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコールなどが挙げられる。また、ポリオレフィンが、共重合体である場合には、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられる。
用いることができる熱可塑性樹脂の熱特性としては、例えば、そのメルトマスフローレートが、ポリエチレンの条件を用いてJIS K6922−1に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、又は5.0g/10min以上であり、200g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下である。また、例えばメルトマスフローレートは、ポリプロピレンの条件を用いてJIS K7210に準拠して測定した場合に、好ましくは0.1g/10min以上、0.5g/10min以上、1.0g以上、3.0g/10min以上、5.0g/10min以上、又は10g/10min以上であり、200g/10min以下、100g/10min以下、50g/10min以下、又は30g/10min以下である。
(硫黄系ガス吸着剤)
本発明で用いる硫黄系ガス吸着剤は、硫化水素を化学的に吸着する無機吸着剤である。すなわち、本発明で用いる硫黄系ガス吸着剤は、その表面で硫化水素と反応して硫化物を形成することにより吸着する、硫化水素を配位結合によって吸着する等の吸着機構を有する無機吸着剤である。この無機吸着剤は、本発明の組成物が含む樹脂100重量部に対して、混練性及び吸着性能を考慮して、0.1重量部以上、1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上又は10重量部以上含むことが好ましく、500重量部以下、300重量部以下、100重量部以下、50重量部以下、40重量部以下、又は30重量部以下で含むことが好ましい。
そのような無機吸着剤の例としては、銅、鉄、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物が挙げられる。ジルコニウム及びランタノイド元素の化合物については、特にこれらの水酸化物又は含水酸化物を挙げることができ、例えば特開平1−223968号公報に記載の吸着剤を挙げることができる。また、亜鉛及びマンガンの化合物については、これらの金属イオンを担持させた4価金属リン酸塩を挙げることができ、例えば特開平10−155883号公報に記載の吸着剤を挙げることができる。
特に好ましい無機吸着剤としては、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属ケイ酸塩であり、さらに好ましくは金属とケイ素の元素組成(モル)比が、金属/ケイ素=0.60〜0.80の範囲となるものである。このような無機吸着剤は、金属塩とケイ酸アルカリ塩とを反応させて製造することができる。上記金属塩としては、銅、亜鉛、マンガン、コバルト、ニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属の、硫酸、塩酸、硝酸等の無機塩、及び/又はギ酸、酢酸、シュウ酸などの有機塩を用いることができる。これらの内で、金属として好ましいのは銅(I)、銅(II)、亜鉛(I)である。上記ケイ酸塩としては、MO.nSiO.xHO(ここで、式中Mは1価アルカリ金属を表し、nは1以上、かつxは0以上である。)の式のケイ酸アルカリ塩をあげることができる。最も好ましい金属ケイ酸塩は、硫酸銅(II)とケイ酸ナトリウムとの反応生成物である銅(II)ケイ酸塩であり、例えば特開2011−104274号公報に記載のものである。また、市販品では、東亞合成株式会社のケスモン(商標)NS−10C、NS−10N、及びNS−20C等が挙げられる。
本発明で用いられる吸着剤の硫黄系ガスの吸着能力は、好ましくは25℃において吸着剤1gあたり、メチルメルカプタン10ml/g以上、20ml/g以上、又は40ml/g以上であり、かつ/又は硫化水素に対して20ml/g以上、40ml/g以上、又は60ml/g以上である。
本発明で用いられる吸着剤が粉体状である場合に、その好ましい粒径d50は、0.5〜10.0μmが好ましく、さらに好ましくは1.0〜8.0μmであり、より好ましくは2.0〜5.0μmである。また、d90粒径は、1〜50μmが好ましく、さらに好ましくは2〜30μmである。d50とd90の値の関係は、近いほど吸着剤の粒度が揃っていることになり、加工性などに優れるため、好ましくはd90の値がd50の2倍から15倍の間、さらに好ましくは3倍から12倍の間である。なお、この場合のd50及びd90の測定は、レーザー回折法により測定され、具体的にはマルバーン社製レーザー回折式粒度分布測定装置「MS2000」で測定される。また、好ましい比表面積は、50m/g以上、100m/g以上、200m/g以上、又は250m/g以上であり、この場合、JIS Z8830−2001に準拠して、堀場製作所製連続流動式表面積計「SA−6200」を用いて測定する。
上記の吸着剤を、他の吸着剤、例えば活性炭、ゼオライト、シリカゲル、ケイ酸アルミニウム、含水酸化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、酸化亜鉛、及びセピオライト等とさらに組み合わせて用いることもできる。
(硫黄系ガス吸着用樹脂組成物の製造方法)
本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物は、上記の共重合体及び吸着剤、随意にポリオレフィンを混練することによって製造することができる。混練は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。
(硫黄系ガス吸着用樹脂組成物の使用方法)
本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物を、製造後に他の容器等に入れて用いることができ、また成形した後に成形体として用いることができる。または本発明の組成物を、他の基材と共に用いることができ、例えば繊維に含浸させて用いることができる。これらを、硫黄系ガスが存在する場所又は発生する場所に与えて、本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物又はその成形体を用いることができる。
<本発明の硫黄系ガス吸着用成形体>
上記の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物を成形体、例えばフィルム状、シート状、球体状、円柱状、直方体状、リング状、筒状等の様々な形状に成形して用いることができる。例えば、上記の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物を、プレス成型、インフレーション法、Tダイ法、共押出等の押出成型又は射出成型等することによりフィルム状又はシート状に形成することができるが、特にこの場合、インフレーション法、Tダイ法が好ましい。
本発明の成形体は、例えばリチウム電池に用いることができる。このようなリチウム電池は、正極、負極、電解質、及び上記の硫黄系ガス吸着用成形体を少なくとも容器内に含み、いずれかの要素が硫化物を含む。硫化物は、例えば、正極が金属硫化物である場合があり、及び/又は電解質が硫化物系の固体電解質膜である場合がある。そのような電池としては、例えば特開2012−094446号公報及び特開2012−190553号公報に記載の電池が挙げられる。ここでは、例えばフィルム状成形体を、硫化物系固体電解質膜を用いる全固体型リチウム電池の内部のいずれかの箇所に貼り合せて用いることができる。
また、本発明の成形体は、リチウム電池以外にも、特開昭62−64737号公報に記載の食品包装用のフィルムのように用いることができる。例えば、従来のレトルトパウチでは、生の魚介類等を加熱殺菌すると、硫化水素が発生し、この硫化水素によって内容食品特有の風味が失われ、硫化水素の異臭が残存し、商品価値を著しく低下させてしまう。このような場合、本発明の樹脂組成物をレトルトパウチを構成するフィルムの1層に、或いは、内部に封入することにより、発生した硫化水素を吸着することが可能であるため、内容物の風味を損なうことがない。
例1:様々なポリマーを用いた樹脂組成物の硫化水素吸着性能の評価
下記の表1に記載の樹脂100重量部と、硫黄系ガス吸着剤であるケスモンNS−20C(東亞合成社製)11.1重量部(phr)とをバンバリーミキサーで、回転数50rpm、温度140℃で10分混練し、吸着剤を含有する混練体を得た。上記混練体をプレス機で温度140℃圧力20MPaで30秒間プレスし、厚み50μmの硫黄系ガス吸着用シートを得た。但し、比較例5においては、吸着剤を含有させなかった。
このシートを25mm×10mmにカットし、アルミパックに入れ100ppmの硫化水素標準ガス(残部:窒素)を一定量注入し、24時間後のアルミパック内の硫化水素量をガスクロマトグラフィー(FPD)でアルミパック内の硫化水素量を測定することで吸着量を得た。
Figure 0006164900
なお、アサプレン411、432、及び437はスチレン比が30%の溶液重合SBRであり、分子量はこれら3つの中でアサプレン411が最も高く、次にアサプレン432であり、最も低いのはアサプレン437である。Nipol 1502は、スチレン比が23.5%の乳化重合SBRである。
スチレン−ブタジエンゴム(SBR)に吸着剤を含む本発明の実施例1〜4においては、上記の測定方法による硫化水素吸着量が、全て10.0μL/mg・24h以上の高い値となっているが、ブタジエンゴム(BR)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、及びポリポリプロピレン(PP)に吸着剤を含む比較例1〜4は、硫化水素吸着量が非常に低くなっている。また、吸着剤を含まない比較例5では、硫化水素は吸着されなかった。
一般的にBRは、SBRよりも水素、窒素、酸素及び二酸化炭素の気体透過率が高いために(「新版 ゴム技術の基礎」、平成14年1月30日改訂版、社団法人日本ゴム協会、第115頁、表5.14を参照)、通常は、硫化水素についてもSBRよりBRの方が、透過率が低いもの考えるのが自然である。したがって、SBRとBRとに吸着剤を同じように含有させた樹脂組成物においては、BRの組成物の方が、SBRの組成物よりも高い吸着性能を発揮できると考えるのが通常である。しかしながら、上記の実験では、この推測とは正反対の結果が得られており、SBRの組成物が予想外にも高い吸着性能を示した。理論に拘束されないが、水素、窒素、酸素及び二酸化炭素の透過率に対してはBRの方が高いが、硫化水素に対しては、SBRの方が透過率が高いためと推測される。
例2:ポリオレフィン樹脂を配合した本発明の樹脂組成物の硫化水素吸着性能及び熱特性の評価
次に、11.1phrの吸着剤(ケスモンNS−20C(東亞合成))を、PE(ペトロセン342(東ソー株式会社))又はPP(ノバテックFL02A(日本ポリプロ株式会社)及びSBR(アサプレン432(旭化成ケミカルズ株式会社))と、バンバリーミキサーで回転数50rpm、一定温度で10分混練した。これを例1と同じ方法でシート状に成形し、さらに例1と同じ方法で吸着性能を評価した。さらにTAインスツルメント製DMA Q−800でそれらの軟化温度を調べた。
Figure 0006164900
この結果から、SBRに、PEを配合すると、硫化水素の吸着量を高めたままで、軟化温度を一定程度高めることができ、またPPを配合すると、吸着量を一定程度維持したままで、軟化温度を大幅に高められることがわかる。したがって、本発明の組成物にポリオレフィン系樹脂を配合することは、組成物の熱特性を設計するうえで特に有用であることが分かった。
本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物は、硫黄系ガスに対して高い吸着能力を示し、様々な態様に成形することができるため有用である。また、本発明の硫黄系ガス吸着用樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂と混合することで物性を変化させることができるため、様々な用途に用いることができ有用である。例えば、本発明の樹脂組成物を成形して、硫化物系固体電解質膜を用いる全固体型リチウム電池内で用いた場合には、その成形体が内部で発生する硫化水素を吸着することで、電池の性能を長期間維持することができるため有用である。

Claims (11)

  1. 芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含むバインダー、並びに硫化水素を化学的に吸着する無機吸着剤を含み、かつ
    前記無機吸着剤が、銅、亜鉛、マンガン、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属ケイ酸塩を含む、
    硫黄系ガス吸着用樹脂組成物の混練体(ただし、発泡体を除く)。
  2. 前記芳香族ビニルモノマーが、スチレン、α―メチルスチレン、o―メチルスチレン、p―メチルスチレン、m―メチルスチレン、及びビニルナフタレン並びにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の混練体。
  3. 前記ジエンモノマーが、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数4〜10の脂肪族ジエン又は脂環族ジエン及びこれらの混合物から選択されるである、請求項1又は2に記載の混練体。
  4. 前記ジエンモノマーが、1,3−ブタジエン、イソプレン、及び1,3−ペンタジエン並びにこれらの混合物からなる群より選択される、請求項3に記載の混練体。
  5. 前記共重合体が、スチレン−ブタジエン共重合体である、請求項1に記載の混練体。
  6. 前記無機吸着剤が、銅(II)ケイ酸塩である、請求項に記載の混練体。
  7. 前記バインダーが、前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体以外の熱可塑性樹脂をさらに含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の混練体。
  8. 前記熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である、請求項に記載の混練体。
  9. 前記バインダーの重量に対して、前記芳香族ビニル−ジエン系共重合体が、20重量%以上である、請求項又はに記載の混練体。
  10. フィルム状又はシート状の形状である、請求項1〜のいずれか一項に記載の混練体の硫黄系ガス吸着用成形体。
  11. 芳香族ビニルモノマー由来の繰返し単位及びジエンモノマー由来の繰返し単位を有する芳香族ビニル−ジエン系共重合体を含むバインダー、並びに硫化水素を化学的に吸着する無機吸着剤を混練することを含み、かつ
    前記無機吸着剤が、銅、亜鉛、マンガン、コバルト及びニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属を含む金属ケイ酸塩を含む、
    発泡体ではない硫黄系ガス吸着用樹脂組成物の製造方法。
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