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JP6155088B2 - 弁装置 - Google Patents

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JP6155088B2 JP2013100432A JP2013100432A JP6155088B2 JP 6155088 B2 JP6155088 B2 JP 6155088B2 JP 2013100432 A JP2013100432 A JP 2013100432A JP 2013100432 A JP2013100432 A JP 2013100432A JP 6155088 B2 JP6155088 B2 JP 6155088B2
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栄治 高田
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Description

本発明は、弁装置に関するものである。
従来、雨水などの下水をフィルタで濾過するシステムにおいては、一定のサイクルでフィルタに対して逆洗処理が行われている。逆洗処理とは、フィルタに対して、通常の流れの向きとは逆の向きに水を流すことにより、フィルタに捕獲された異物をフィルタから除去する処理である。逆洗処理においては、逆洗用の排水流路に設けられた弁を短時間で開く必要がある。また、処理流体中への異物の混入が前提となるため、ある程度、弁の開閉のために大トルクが要求される。このため、従来、逆洗処理においては、エアシリンダを用いて弁が駆動されている。
株式会社ハイダック、自動逆洗フィルタRF3、カタログ、J7.709.1/04.09インターネット<URL:http://www.ipros.jp/catalog/detail/16119?hub=60+894537>
しかし、エアシリンダによって弁を駆動する態様においては、弁を駆動するための圧縮空気の供給源が必要となる。このため、従来の技術による逆洗処理を行う下水処理システムは、圧縮空気の供給源を備えている工場や下水処理場などには設置できるが、圧縮空気の供給源を備えない場所には設置できない。
また、エアシリンダによって弁を駆動する態様においては、比較的騒音が大きい。このため、従来の技術による逆洗処理を行う下水処理システムは、住宅街の近くなど、静粛性が要求される場所には、設置できない。
さらに、エアシリンダによって弁を駆動する態様においては、空気を作動流体とする。このため、空気が清浄ではない場所から空気を取り入れる場合は、空気をシステム内に取り込む際に空気中の異物を除去するためのエアフィルタが必要となる。また、エアシリンダが作動不良を起こさないようにするために、エアドライヤーや圧力調整機などの付属機器も必要となる。
すなわち、従来の技術による逆洗処理用の開閉弁を用いた下水処理システムには、設置場所が限定される、という課題があった。そのほか、従来の逆洗処理用の開閉弁においては、その小型化や、低コスト化、高出力化、省資源化、製造の容易化、使い勝手の向上等が望まれていた。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、弁装置が提供される。この弁装置は、弁体の回転動作によって開閉される弁であって、全閉状態を含む第1の動作範囲における前記回転動作の必要トルクが、前記第1の動作範囲よりも弁開度が大きい第2の動作範囲における前記回転動作の必要トルクよりも大きい、弁と、前記弁を駆動する直流モータと、を備える。
直流モータは、低速回転時には大トルクを発生させる。そして、直流モータは、発生トルクが小さいときには、高速で回転する。上記の態様においては、回転動作の必要トルクが大きい弁の全閉近傍の動作状態では、直流モータが低速で大トルクを発生させるため、弁を確実に全閉させ、または全閉の状態から確実に弁を開くことができる。そして、回転動作の必要トルクが小さい弁の全閉近傍以外の動作状態においては、高速に弁を駆動させることができる。その結果、高速な弁の開閉と確実な弁の開閉とを両立させることができる。すなわち、上記の態様においては、エアシリンダに比べて騒音が小さく、圧縮空気を必要としない電機モータを採用しつつ、異物を含む流体のフィルタを逆洗処理するための性能を達成できる。よって、上記態様の弁装置を用いた下水処理システムは、従来の技術による逆洗処理用の開閉弁を用いた下水処理システムに比べて、設置場所が限定されない。
(2)上記弁装置において、さらに;前記直流モータに電流を供給する回路に設けられ、前記直流モータが連続運転可能な電流値より大きい所定値以上の電流が流れた場合に前記直流モータへの電流の供給を遮断する電流遮断部を備え;前記弁装置は、前記連続運転可能な電流値より大きく、かつ前記所定値より小さい電流値の電流を前記直流モータに供給できるように構成されていることができる。
このような態様とすれば、直流モータは、連続運転可能な電流値より大きい電流値を供給されることができる。このため、連続運転可能な電流値を超える電流を供給しない弁装置に比べて、直流モータは、より大きいトルクを発生させることができる。その結果、同じ駆動トルクを発生させうる弁装置との比較において、直流モータをより小型のものとすることができる。一方、上記態様において、直流モータは、上記(1)の弁を駆動するために用いられるものである。このため、直流モータは大電流で動作するのは、弁の全閉近傍の動作状態のみであり、直流モータが大電流で長時間、連続運転されるわけではない。よって、上記態様においては、同様の大電流を直流モータに供給するシステムであって、その電流で直流モータが長時間、連続運転されるシステムに比べて、直流モータが焼損する可能性は低い。
また、上記態様においては、直流モータが連続運転可能な電流値より大きい電流値において、直流モータに供給される電流を遮断する電流遮断部が設けられている。このため、直流モータに過剰な電流が流れて直流モータが焼損する事態を防止することもできる。
(3)上記弁装置において、前記弁は偏心構造弁とすることができる。
このような態様とすれば、蝶型弁を採用する態様に比べて、弁開時の弁による流過抵抗を小さくすることができる。
(4)上記弁装置において、前記弁は蝶型弁とすることができる。
このような態様とすれば、偏心構造弁を採用する態様に比べて、製造が容易となる。
(5)上記弁装置において、さらに;外部から交流電力の供給を受けて、前記直流モータに供給すべき直流電力に変換する、A/D変換器を備えることができる。
弁装置をこのような態様とすれば、その弁装置、およびその弁装置を用いた下水処理システムは、交流電源を備え、直流電源を備えない場所においても、設置することができる。
(6)上記弁装置において、さらに;前記直流モータに供給すべき電力を蓄えることができる電池を備えることができる。
弁装置をこのような態様とすれば、その弁装置、およびその弁装置を用いた下水処理システムは、電源を備えない場所においても、設置することができる。また、上記態様の弁装置、およびその弁装置を用いた下水処理システムは、弁装置や下水処理システムに電力を供給する電源が故障した場合にも、弁装置が備える電池が供給する電力により、弁の開閉を行うことができる。
(7)上記弁装置において、さらに;前記弁の弁体を収容し、内部を流体が流通する弁体収容部と;前記弁体収容部を貫通して前記弁体に接続され、前記直流モータからの駆動力を受けて前記弁体を回転させる回転軸と;前記弁体収容部と前記回転軸との間に間隙が設けられるように、前記弁体収容部の外部において前記回転軸を支持する軸支持部と;前記間隙において前記回転軸を囲むように配され、前記弁体収容部からの前記流体の漏出を防止するシール部材と;前記軸支持部と前記回転軸との間において前記回転軸を囲むように配されたすべり軸受けと、を備えることができる。
このような態様においては、弁体収容部と回転軸とが直接接触しない。このため、回転軸が回転する際に、弁体収容部との間でかじりが生じない。また、回転軸は、弁体収容部の外部において、すべり軸受けを介して軸支持部に支持される。このため、弁体収容部の肉厚や大きさに制限されることなく、十分な受圧面積を有するようにすべり軸受けを構成することができ、その結果、回転軸とすべり軸受けの間において、かじりが生じる事態を防止することができる。
(8)上記弁装置において、さらに;回転速度を低減しトルクを増大させて、前記直流モータの回転出力を前記回転軸に伝える伝達機構と;前記直流モータと、前記電流遮断部を含む前記直流モータを駆動させるための回路と、前記回転軸の一部と、を収容し、防水性を有する保護ケースと、を備えることができる。
このような態様とすれば、直流モータや、直流モータを駆動させるための回路の腐食を防止しつつ、直流モータの駆動力を回転軸の回転として出力することができる。
(9)上記弁装置において、前記保護ケースは、前記保護ケースの内部と前記保護ケースの外部との間で空気を流通させることができ、かつ、液体の水を流通させない通気部を備えることができる。
このような態様とすれば、環境温度の変化に応じて保護ケースからの空気の出入りを許容しつつ、内部に液体水が進入して、直流モータや、直流モータを駆動させるための回路が腐食する事態を防止することができる。
(10)上記弁装置において、前記保護ケースは、防食塗料が塗られていることができる。
このような態様とすれば、保護ケースの腐食による劣化を低減することができる。
上述した本発明の各形態の有する複数の構成要素はすべてが必須のものではなく、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、適宜、前記複数の構成要素の一部の構成要素について、その変更、削除、新たな他の構成要素との差し替え、限定内容の一部削除を行うことが可能である。また、上述の課題の一部または全部を解決するため、あるいは、本明細書に記載された効果の一部または全部を達成するために、上述した本発明の一形態に含まれる技術的特徴の一部または全部を上述した本発明の他の形態に含まれる技術的特徴の一部または全部と組み合わせて、本発明の独立した一形態とすることも可能である。
こうした装置は、例えば弁装置として実現できるが、逆洗装置や流量制御装置など、弁装置以外の他の装置としても実現可能である。このような形態によれば、装置の小型化や、低コスト化、省資源化、製造の容易化、対環境性能の向上、使い勝手の向上等の種々の課題の少なくとも1つを解決することができる。前述した弁装置の各形態の技術的特徴の一部又は全部は、いずれもこの装置に適用することが可能である。
本発明は、装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、弁装置の製造方法や弁装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
本発明の実施例である弁装置1の説明図。 保護ケース230に収容された駆動機構260を示す図。 伝達機構側ケースと駆動回路側ケースとの接続部分の一部Pmの拡大断面図。 軸支持部220と回転軸210と弁体収容部120の関係を示す説明図。 閉弁状態にある弁機構部100の断面図。 閉弁状態にある弁機構部100の平面図。 閉弁状態から開弁動作を開始した直後の状態にある弁機構部100の断面図。 閉弁状態から開弁動作を開始した直後の状態にある弁機構部100の平面図。 開弁状態にある弁機構部100の断面図。 開弁状態にある弁機構部100の平面図。 弁装置1のバルブ開度に応じた直流モータ270の発生トルクを示すグラフ。 直流モータ270の発生トルクと回転数の関係、および発生トルクと電流の関係を示すグラフ。 直流モータ270の連続運転時間と内部温度の関係を示すグラフ。 本発明の変形例である弁装置1bの説明図。
A.実施例:
図1は、本発明の実施例である弁装置1の説明図である。図1は、弁装置1の構造の一部を、断面図として示している。弁装置1は、下水などの異物を含む流体の流路の途中に設けられて、流路を開閉する装置である。弁装置1は、弁機構部100と、弁駆動部200とを備えている。弁機構部100は、流体を流通させる流路の途中に接続される。弁機構部100は、接続されている流路を開くことができ、また、流路を閉じることができる。弁駆動部200は、弁機構部100を駆動して、流路を開閉させることができる。
弁機構部100は、偏心構造弁を構成する。弁機構部100は、弁体110と、弁体収容部120とを備えている。弁体収容部120は、主としてステンレスで設けられており、弁体110を収容している。弁体収容部120は、流体を流通させる流路の途中に接続される。図1の例では具体的に示していないが、弁体収容部120の左側には、上流側の流路Puを形成する円筒状の配管が接続され、弁体収容部120の右側には、下流側の流路Pdを形成する円筒状の配管が接続される。弁装置1が開弁しているときには、上流側の配管から流れ出た流体は、弁体収容部120内を流れて、下流側の配管に排出される。ただし、図1の状態においては、弁体110が弁体収容部120内の流路を塞いでいる。すなわち、弁装置1は、閉弁している。
弁体110は、主としてステンレスで設けられており、略円盤状の形状を有している。さらに詳しくは、弁体110は、球体の一つの半径方向に垂直な二つの平面であって、球体の中心に対して同じ側に位置する互いに平行な二つの平面で、球体を切り取ったような形状を有している。すなわち、略円盤状の弁体110の側端面の形状は、球面の一部を構成する曲面である。弁体110は、弁体収容部120内において二つの腕部112,114に支持されている。
腕部112,114は、同一軸上で回転運動が可能なように、弁体収容部120内において支持されている。腕部112,114は、弁体110とともに、弁体収容部120内において90°の角度範囲で回転運動する。弁体110は、腕部112,114が弁体収容部120内において回転することにより、流れの上流側(図1において左向き)を向く姿勢と、流れの向きに対して90°の方向(図1において手前向き)を向く姿勢と、の間で移動される。弁体110は、流れの上流側を向く姿勢において、円盤の中心が流路Pu,Pdの中心軸PCと一致するように配されている。図1においては、弁体110は、流れの上流側を向いている。
弁体収容部120の内面の上流側の位置には、環状のシート130が設けられている。環状のシート130は、環の中心が流路Pu,Pdの中心軸PCと一致するように、弁体収容部120の内壁に配されている。シート130は樹脂で設けられている。環状のシート130の内側面は、略球面状の凹面を形成している。弁装置1が開弁しているときには、環状のシート130の内側を流体が流通する。弁装置1が閉弁しているときには、シート130には、弁体110が押し付けられている。より詳細には、シート130の球面凹状の内面に、円盤状の弁体110の略球面凸状の側端面が押しつけられている。その結果、環状のシート130の内側は、弁体110によって塞がれ、流体は環状のシート130の内側を流通することができない。
弁駆動部200は、回転軸210と、軸支持部220と、保護ケース230と、手動回転軸240と、手動ハンドル250と、を備える。回転軸210は、弁機構部100の弁体収容部120を貫通して、腕部112と接続されている。すなわち、回転軸210は、腕部112を介して弁体110に接続されている。一方、回転軸210は、保護ケース230を貫通して、保護ケース230内の駆動機構260とも接続されている。保護ケース230内の駆動機構260によって回転軸210が回転されることにより、腕部112が弁体収容部120内において回転し、弁体収容部120内において弁体110が移動される。
軸支持部220は、弁機構部100の弁体収容部120に対して固定されている。軸支持部220は、主としてステンレスで設けられており、回転軸210を回転可能なように支持している。その結果、回転軸210は、回転可能な状態を保ちつつ、弁体収容部120に対して位置を固定されている。一方、軸支持部220は、保護ケース230に対しても固定されている。
保護ケース230は、アルミ製の略円筒状の容器であり、回転軸210を回転させるための駆動機構260を収容している。保護ケース230は、防水性を有する。また、保護ケース230は、Oリングでシールすることによって、防水性能を維持しつつ、回転軸210を保護ケース230内に受け入れている。
図2は、保護ケース230に収容された駆動機構260を示す図である。駆動機構260は、直流モータ270と、駆動回路275と、伝達機構280と、電源ケーブル290と、を含む。なお、電源ケーブル290は、他の構成の理解を容易にするため、図1において図示していない。
直流モータ270は、直流電力の供給を受けて、直流モータ270の出力軸を回転させる。直流モータ270の出力軸の回転出力は、伝達機構280を介して回転軸210を回転させ、弁体110を移動させる。本実施例においては、直流モータ270により弁体110を駆動するため、装置の大きさが同程度である電磁弁を採用する弁装置に比べて、より大きな力で弁を開閉することができる。また、弁を開閉する力が同程度である電磁弁を採用する弁装置に比べて、装置をより小さくすることができる。
また、電磁弁を採用する弁装置は、電磁石による直線状の往復動作によって弁を開閉する。このため、弁を設けるための流路部分として、弁装置の上流および下流における流れの方向とは異なる方向に流体を流す流路部分を、設ける必要がある。このため、当該屈曲部分が流路抵抗となり、開弁により一気に流体及び異物などを流す必要がある逆洗処理には不適である。しかし、本実施例においては、直流モータ270を採用するため、回転運動によって弁体110を駆動することができる。このため、流路を途中で屈曲させることなく弁装置を配することができる。よって、電磁弁を採用する弁装置に比べて、開弁により一気に流体を流す必要がある逆洗処理に好適である。
さらに、電磁弁を採用する弁装置においては、閉弁時に、電磁力によって一気に弁が閉じる。このため、ウォーターハンマー現象が生じ、流路の下流に設けられた配管などの設備が破壊される可能性がある。しかし、本実施例においては、モータ270によって弁体110を回転させて弁を閉じるため、そのような問題が生じる可能性が低い。
駆動回路275は、交流電力の供給を受けて、直流モータ270を駆動させるための回路である。駆動回路275は、A/D変換器276と、ポリスイッチ277とを含む。A/D変換器276は、交流電力の供給を受けて、交流電力を直流電力に変換する。ポリスイッチ277は、直流モータ270に直流電力を供給する回路上に直列に配される。ポリスイッチ277は、所定値以上の電流が回路に流れた場合に、回路を遮断する。ポリスイッチ277が回路を遮断する際のしきい値となる電流は、直流モータ270が定常運転可能な電流値よりも高い値に設定されている。そして、駆動回路275は、直流モータ270が定常運転可能な電流値よりも高い値の電流であって、ポリスイッチ277が回路を遮断する際のしきい値よりも低い電流を、直流モータ270に供給することができる。このため、定常運転可能な電流値以下の電流しか直流モータ270に供給されない態様に比べて、直流モータ270は、より大きなトルクを発生させることができる。
伝達機構280は、複数の平歯車を介して、直流モータ270の回転出力を回転軸210に伝える歯車機構である。伝達機構280は、直流モータ270の回転出力の回転速度を低減し、トルクを増大させて、回転軸210に伝える。このため、弁装置1は、直流モータ270として、弁体110の移動に必要な大きさのトルクを発生し得ないモータを、採用しうる。なお、図2においては、回転軸210の一部である伝達機構280の出力軸285を示す。出力軸285は、保護ケース230を貫通して、保護ケース230外の回転軸210の他の一部に接続されている。保護ケース230は、Oリングでシールすることによって、防水性能を維持しつつ、出力軸285を囲んでいる。
電源ケーブル290は、外部から駆動回路275のA/D変換器276に交流電力を供給する。電源ケーブル290は、保護ケース230を貫通して、保護ケース230内の駆動回路275に接続されている。保護ケース230は、Oリングでシールすることによって、防水性能を維持しつつ、電源ケーブル290を保護ケース230内に受け入れている。
手動回転軸240は、手動で出力軸285すなわち回転軸210を回転させ、弁体110を移動させる際に、手動ハンドル250(図1参照)によって回転される回転軸である。伝達機構280は、手動回転軸240と出力軸285とを接続している。伝達機構280は、クラッチを備えている。手動で回転軸210を回転させる際には、伝達機構280は、直流モータ270の回転出力の回転速度を低減するための歯車列を、出力軸285および手動回転軸240から、クラッチにより切り離すことができる。
保護ケース230は、伝達機構側ケース232と、駆動回路側ケース234とを備える。伝達機構側ケース232は、主として伝達機構280を収容している。駆動回路側ケース234は、主として直流モータ270と駆動回路275とを収容している。伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234とは、互いの端部に設けられたインロー構造により嵌り合う。
図3は、伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234との接続部分の一部Pm(図2参照)の拡大断面図である。伝達機構側ケース232は、その端部の開口を囲むように内側壁部233を有する。駆動回路側ケース234は、その端部の開口を囲むように外側壁部235を有する。伝達機構側ケース232の内側壁部233が、駆動回路側ケース234の外側壁部235内に嵌り込み、伝達機構側ケース232および駆動回路側ケース234の端部外周にそれぞれ設けられたフランジ部237,238(図2参照)をボルト等で固定されることで、伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234は、防水性を保って接続される。
図3に示すように、駆動回路側ケース234の外側壁部235の内側角部は、伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234の接続方向DCに対して所定の角度(0より大きく90°より小さい)を有する斜面をなすように構成される。本実施例では、外側壁部235の内側角部は、伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234の接続方向に対して45°を有する斜面をなすように構成される。一方、当該部分に対応する伝達機構側ケース232の内側壁部233の部分は、接続方向に対して平行および垂直な面をそれぞれ構成する直角断面を有するように凹状に構成されている。このため、略直角三角形の断面を有する空隙が、伝達機構側ケース232の内側壁部233の基部の周りに形成されている。この空隙には、Oリング236が配されている。Oリング236は、インロー構造内において、内側壁部233を囲むように配される。このように、二つの部材の間に形成される空隙にOリング236を配することにより、目的とする位置に、容易にOリング236を配することができる。
以上のように、保護ケース230は、防水性を有するように構成される。このため、湿度の高い環境下においても、直流モータ270、駆動回路275、伝達機構280などを、腐食から守ることができる。
伝達機構側ケース232は、さらに、弁機構部100と向かい合う側に通気部239を備える。通気部239は、保護ケース230の内部と外部の間で空気および水蒸気を流通させることができ、かつ、液体の水を流通させないように構成される。具体的には、通気部239は、伝達機構側ケース232に設けられた貫通穴を、空気および水蒸気を流通させることができ、かつ液体の水を流通させない樹脂シートで塞ぐことにより、構成される。
通気部239を備えない態様においては、以下のような事態が生じる。すなわち、昼間、環境温度が上昇した際には、保護ケース230内の空気が膨張して、保護ケース230の各構成の隙間を介して保護ケース230内から空気が流出する。一方、夜、環境温度が下降した際には、保護ケース230内の空気が収縮して、各構成の隙間を介して保護ケース230内に空気が流入する。その際、水分を含んだ空気が保護ケース230内に流入する。その後、再び環境温度が上昇して、各構成の隙間を介して保護ケース230内から空気が流出する際には、保護ケース230内から水分が十分排出されない。その結果、保護ケース230内に水分が蓄積される。そして、その水分が、直流モータ270、駆動回路275、伝達機構280などの腐食をもたらす。
しかし、本実施例においては、通気部239を介して空気が水蒸気を伴って外部に排出される。このため、保護ケース230内に水分が蓄積されることがなく、直流モータ270、駆動回路275、伝達機構280などの腐食が防止される。
また、たとえば、駆動回路側ケース234の上面に通気部が設けられている態様においては、次のような問題が生じる可能性がある。すなわち、通気部上に液体の水が乗った場合には、液体の水にかかる重力のために、大気圧以上の圧力で液体の水が通気部に接することとなる。このため、液体の水が通気部を通過する可能性がある。しかし、本実施例においては、伝達機構側ケース232の弁機構部100と向かい合う側、すなわち、弁装置を設置する際の姿勢における下面側に、通気部239が設けられている。このため、仮に通気部239に液体の水が付着した場合にも、重力は水に対して通気部239から離れる向きに作用する。このため、本実施例の態様は、駆動回路側ケース234の上面に通気部が設けられている態様に比べて、通気部239から液体の水が進入しにくい。
また、保護ケース230の外面には、防食塗料が塗布されている。より具体的には、保護ケース230の外面には、ポリウレタン系の塗料が塗布されている。このため、保護ケース230が腐食して、防水性能が低下する可能性を低減できる。
図4は、軸支持部220と回転軸210と弁体収容部120の関係を示す説明図である。回転軸210は、軸支持部220に支持され、弁体収容部120を貫通して、腕部112に接続されている。より詳細には、軸支持部220は滑り軸受222を備えており、回転軸210は、滑り軸受222を介して軸支持部220に支持されている。滑り軸受222は、内面を樹脂で被覆された略円筒状のドライベアリングである。
回転軸210が弁体収容部120を貫通する部分における回転軸210の表面には、腕部112から保護ケース230に向かって、3個のフランジ212,213,214が設けられている。これらのフランジ212,213,214は、回転軸210が弁体収容部120を貫通する部分に設けられているが、弁体収容部120には接していない。すなわち、回転軸210のフランジ212,213,214と弁体収容部120の間には間隙g01,g02,0g03が設けられている。そして、回転軸210と弁体収容部120の間であって、フランジ212とフランジ213の間の空隙には、回転軸210を囲むOリング216が配されている。また、回転軸210と弁体収容部120の間であって、フランジ213とフランジ214の間の空隙には、回転軸210を囲むOリング217が配されている。Oリング216,217は、それぞれ回転軸210の表面と、弁体収容部120の端面の両方に、ともに回転軸210の全周にわたって接している。その結果、Oリング216,217によって、回転軸210の表面と弁体収容部120との隙間から、弁体収容部120内の流体が漏出する事態が防止される。
回転軸210の回転軸方向についての滑り軸受222の長さLbは、回転軸210が貫通する部分における弁体収容部120の厚さTcよりも長い。このため、回転軸210が弁体収容部120を貫通する厚さTcの部分において回転軸210を支持する態様に比べて、滑り軸受222が回転軸210から受ける圧力は小さい。その結果、滑り軸受222がかじりを生じる可能性は低い。
図5は、閉弁状態にある弁機構部100の断面図である。図6は、閉弁状態にある弁機構部100の平面図である。図5は、図1の下部と同じ状態を表している。図6は、図5のA−A断面図である。なお、図5〜図10は、動作状態を説明するための図であり、実際の弁機構部100の各構造の寸法や角度を、正確に反映するものではない。弁装置1が閉弁しているときには、図6に示すように、円盤状の弁体110の中心軸VCは、流路の中心軸PCと一致する。一方、腕部112,114の回転の中心軸RCは、略円盤状の弁体110の円の中心軸VCとは交差しない位置にある(図6参照)。すなわち、腕部112,114の回転の中心軸RCは、流路の中心軸PCとも交差しない。この状態にあるとき、弁体110の全外周の球面状凸部は、シート130の球面凹状の内面に押しつけられている。その結果、弁機構部100において、流路は塞がれている。
図7は、閉弁状態から開弁動作を開始した直後の状態にある弁機構部100の断面図である。図8は、閉弁状態から開弁動作を開始した直後の状態にある弁機構部100の平面図である。図8は、図7のB−B断面図である。閉弁状態から開弁動作を開始した直後の状態においては、弁体110の一部は、まだシート130に接触している。このため、閉弁状態からしばらくの間(図5〜図8参照)は、弁体110とシート130との間の摩擦のために、弁体110を移動させるのに大きなトルクが必要となる。閉弁状態から開弁動作が始まった後、まだ弁体110の一部がシート130に接触している状態は、本実施例においては、回転軸210の回転角度にして約10°の間である。この後、弁体110は、シート130から離れていて接触していない。すると、弁体110とシート130との間の摩擦抵抗がなくなるため、弁体110を移動させるのに必要なトルクは、大幅に小さくなる。
図9は、開弁状態にある弁機構部100の断面図である。図10は、開弁状態にある弁機構部100の平面図である。図10は、図9のC−C断面図である。弁装置1が完全に開弁しているときには、図10に示すように、円盤状の弁体110の中心軸VCは、流路の中心軸PCに対して90°の角度を有する。この状態にあるとき、弁体110は流路の外に待避している。その結果、環状のシート130の内側を通って、流体は流通可能である。すなわち、弁機構部100において、流路は開かれている。
以上では、弁機構部100が閉弁状態から開弁動作を開始して、開弁状態になる動作を想定して説明した。しかし、弁機構部100が開弁状態から閉弁動作を開始して、閉弁状態になる動作においても、各状態は同様である。すなわち、開弁状態、および開弁状態から閉弁動作を開始した後、しばらくの間(図9、図10、ならびに図7、図8参照)は、弁体110は、シート130に接触していない。このため、弁体110を移動させるのに必要なトルクは、小さい。そして、図7および図8に示す閉弁状態に至る直前の状態(回転軸210の回転角度にして約10°手前)において、弁体110の一部が、シート130に接触し始める。このため、その後(図5〜図8参照)は、弁体110を移動させるのに大きなトルクが必要となる。
図11は、弁装置1が完全に閉じているときを0とし、弁装置1が完全に開弁しているときを100%としたときの、直流モータ270の発生トルクを示すグラフである。なお、バルブ開度(弁開度)は、弁装置が完全に閉弁しているとき(図5および図6参照)を0とし、弁装置が完全に開弁しているとき(図9および図10参照)を100%とする、回転軸の角度位置に比例する値である。図11に示されるように、閉弁状態からから8%程度までの範囲R1では、直流モータ270の発生トルク、すなわち、回転軸210の回転に必要なトルクは、大きい。そして、直流モータ270の発生トルク、すなわち、回転軸210の回転に必要なトルクは、バルブ開度(弁開度)が10%を超えており、バルブ開度が範囲R1より大きい範囲R2では、範囲R1よりも小さくなる。図11の例では、範囲R2における直流モータ270の発生トルクは、完全に開弁する直前に生じる最大トルクの約1/9である。なお、回転軸210の回転に必要なトルクは、回転軸210を開弁方向(図6、図8、図10において時計回り)に動かす場合も、回転軸210を閉弁方向(同、反時計回り)に動かす場合も、ほぼ同じである。このため、図11では、発生トルクを1本のグラフで示している。
図12は、直流モータ270の発生トルクと回転数の関係、および発生トルクと電流の関係を示すグラフである。直流モータにおいては、グラフGrで示されるように、発生トルクと回転数は、負の傾きで比例する。すなわち、回転速度が0のとき発生トルクは最大となり、発生トルクが0のとき回転速度は最大となる。また、直流モータにおいては、グラフGiで示されるように、発生トルクと電流の値は、正の傾きで比例する。すなわち、電流値が0のとき発生トルクは0となり、電流値が最大のとき発生トルクは最大となる。
閉弁状態からの開弁動作について、発生トルクと回転数の関係を示すグラフGrに沿って説明する。まず、閉弁状態Scr1からしばらくの間は、弁体110がシート130に接触しているため、弁体110を移動させるのに大きなトルクが必要となる(図5〜図8、ならびに図11の範囲R1参照)。そして、開弁動作が進むにつれて必要トルクが小さくなるため(図11の右側参照)、直流モータ270の状態は、閉弁状態Scr1から徐々に左に進む。すなわち、直流モータ270の発生トルクは小さくなり、回転速度は上昇する。そして、バルブ開度が10%の状態Sor1で、弁体110がシート130から離れ、発生トルクは、最大トルクの約1/9程度となる。このとき、直流モータ270の回転速度は、閉弁状態Scr1から大きく増大している。その結果、バルブ開度が10%より大きい状態(図7〜図10、ならびに図11の範囲R2参照)においては、状態Sor1において、高速に弁体110が移動される。
閉弁状態からの開弁動作について、発生トルクと電流の関係を示すグラフGiに沿って説明する。まず、閉弁状態Sci1からしばらくの間は、弁体110を移動させるのに大きなトルクが必要となる(図5〜図8、ならびに図11の範囲R1参照)。そして、開弁動作が進むにつれて必要トルクが小さくなるため(図11の右側参照)、直流モータ270の状態は、閉弁状態Sci1から徐々に左に進む。すなわち、直流モータ270の発生トルクは小さくなり、電流の値は小さくなる。そして、弁体110がシート130から離れるバルブ開度が10%の状態Soi1では、直流モータ270の電流は、閉弁状態Sci1から大きく低下している。以降は、直流モータ270は、低電流で運転される。
開弁状態からの閉弁動作について、発生トルクと回転数の関係を示すグラフGrに沿って説明する。まず、開弁状態Sor2から閉弁動作を開始した後、しばらくの間は、弁体110はシート130に接触していないため、弁体110を移動させるのに必要なトルクは、小さい(図7〜図10、ならびに図11の左側参照)。このため、バルブ開度が10%より大きい状態(図7〜図10、ならびに図11の範囲R2参照)においては、状態Sor2において、高速に弁体110が移動される。そして、閉弁状態に至る直前の状態(回転軸210の回転角度にして約10°手前。図7、図8参照)において、弁体110の一部が、シート130に接触し始める。そして、閉弁動作が進むにつれて必要トルクが大きくなるため(図11の範囲R1参照)、直流モータ270の状態は、開弁状態Sor2から徐々に右に進む。すなわち、直流モータ270の発生トルクは大きくなり、回転速度は低下する。そして、閉弁直前において、直流モータ270の発生トルクは最大となる。その結果、閉弁直前(図5〜図8)においては、状態Scr2において、大トルクで弁体110が移動され、弁装置1は完全に閉じられる。
開弁状態からの閉弁動作について、発生トルクと電流の関係を示すグラフGiに沿って説明する。まず、開弁状態Sor2から閉弁動作を開始した後、しばらくの間は、弁体110を移動させるのに必要なトルクは、小さい(図7〜図10、ならびに図11の範囲R2参照)。このため、バルブ開度が10%より大きい状態(図11の範囲R2)においては、状態Soi2において、直流モータ270は低電流で運転される。そして、閉弁状態に至る直前の状態(回転軸210の回転角度にして約10°手前。図7、図8参照)から、必要トルクが大きくなるため(図11の範囲R1参照)、直流モータ270の状態は、開弁状態Soi2から徐々に右に進む。すなわち、直流モータ270の発生トルクは大きくなり、電流値は増大する。そして、閉弁直前の状態Sci2において、直流モータ270の電流は最大となる。
なお、技術の理解を容易にするため、図12では、グラフGr上の状態Sor1とSor2、状態Scr1とScr2を、グラフGrから上下にずらして区別して表示している。しかし、状態Sor1とSor2は、グラフGr上のほぼ同じ状態であり、状態Scr1とScr2は、グラフGr上のほぼ同じ状態である。また、技術の理解を容易にするため、図12では、グラフGi上の状態Soi1とSoi2、状態Sci1とSci2を、グラフGiから上下にずらして区別して表示している。しかし、状態Soi1とSoi2は、グラフGi上のほぼ同じ状態であり、状態Sci1とSci2は、グラフGr上のほぼ同じ状態である。
図12において、直流モータ270が連続運転可能な電流値の範囲をRriで示す。直流モータ270が連続運転可能な発生トルクの範囲をRrtで示す。直流モータ270が連続運転可能な回転数の範囲をRrrで示す。直流モータ270の連続運転可能な電流値の範囲は、0〜Irmaxである。直流モータ270は、Irmax以下の電流で運転される限り、焼損しない。これに対して、ポリスイッチ277(図2参照)が、直流モータ270に直流電力を供給する回路を遮断する際の電流値は、Ith(Ith>Irmax)である。このため、本実施例において、直流モータ270には、Irmaxを超える電流が供給され、直流モータ270は、連続運転可能な発生トルクの範囲Rrtを超えるトルクで運転される(図12のSci1,Sci2参照)。また、直流モータ270は、連続運転可能な回転数の範囲Rrrを下回る回転数で運転される(図12のScr1,Scr2参照)。
本実施例においては、図12の状態Sci1,2ならびにScr1,2に示したように、直流モータ270が連続運転可能な電流値を超える電流値で運転される。このため、直流モータが連続運転可能な状態で運転される弁装置に比べて、大きなトルクで弁装置1を確実に全閉させることができ、または全閉の状態から確実に開弁させることができる。そして、シート130との間の摩擦抵抗がない動作状態(図7〜図10参照)においては、低トルクで高速に弁体110を移動させることができる。その結果、高速な弁の開閉と確実な弁の開閉とを両立させることができる。すなわち、本実施例においては、エアシリンダに比べて騒音が小さく、圧縮空気を必要としない電機モータを採用しつつ、異物を含む流体のフィルタを逆洗処理するための性能を達成できる。よって、本実施例の弁装置1を用いた下水処理システムは、設置場所が限定されない。
また、本実施例においては、図12の状態Sci1,2ならびにScr1,2に示したように、直流モータ270が連続運転可能な電流値Irmaxを超える電流値で運転される。しかし、本実施例においては、直流モータ270がそのような電流値で運転されるのは、開弁動作および閉弁動作のバルブ開度が約10%以下の領域(図11の範囲R1参照)のみである。すなわち、連続運転可能な電流値を超える電流値で連続運転される時間は、直流モータ270が連続運転される時間の中でごく短い。また、本実施例の直流モータ270は、弁の開閉動作に使用されるものであるため、弁の全閉から全開まで、および全閉から全開までの区間においてのみ使用される。このため、直流モータ270は、連続運転可能な電流値Irmaxを超える電流値で、長時間、連続運転されることがなく、焼損に至るほどの温度には達しない。
また、異物の噛み込みなどにより、弁が全閉に至らないまま直流モータ270が大電流で連続運転される可能性もある。しかし、そのような状態においては、電流値が本実施例が想定している状態Sci2(図12参照)を超えて増大するため、ポリスイッチ277により直流モータ270が遮断される。その結果、直流モータ270が焼損に至ることはない。
図13は、直流モータ270の連続運転時間と内部温度の関係を示すグラフである。実験に際しては、直流モータ270の一例としての、澤村電気工業株式会社製、SS40E8U2−BCを使用して、[開弁動作−0.5秒休止−閉弁動作−0.5秒休止]を繰り返した。図13の横軸は、そのような繰り返し運転の連続時間であり、縦軸は、モータ内の測定温度である。図13に示すように、モータ内の測定温度は、約110度近傍で一定となり、それ以上に上昇しない。すなわち、仮に弁の開閉を連続して行ったとしても、モータ内の温度は、焼損に至るほどには上昇しない。
B.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
B1.変形例1:
上記実施例においては、円盤状の弁体110が腕部112,114に支持されている偏心構造弁について説明した。しかし、偏心構造弁は他の態様とすることもできる。たとえば、弁体は、半球状により近い形状とすることもできる。また、腕部は、回転軸と弁体を接続する1本の腕部のみであってもよい。弁体が半球状に近い態様においては、腕部を介さずに回転軸が弁体に接続されていてもよい。また、上記実施例においては、全閉前の10°の範囲で弁を移動させるトルクが大きくなる。しかし、弁を移動させるトルクが大きい範囲は、弁装置の設計により様々な範囲となりうる。
図14は、本発明の変形例である弁装置1bの説明図である。上記実施例では、本発明に係る弁装置の一態様を、偏心構造弁である弁機構部100を例に説明した。しかし、弁装置の弁機構部は、他の態様とすることもできる。本変形例では、弁装置1bの弁機構部100bは、蝶型弁(バタフライバルブ)を構成する。このため、弁機構部100bは、弁機構部100の弁体110、腕部112,114、ならびにシート130(図1参照)に代えて、弁体111、支持部113,115、ならびにシート131を備えている。本変形例の他の構成および動作は、実施例の弁装置1と同じである。
弁機構部100bは、蝶型弁を構成する。弁機構部100bは、弁体111と、弁体収容部120bとを備えている。弁体収容部120bは、主としてアルミで設けられており、弁体111を収容している。弁体収容部120bは、流体を流通させる流路の途中に接続される。実施例の弁体収容部120と同様(図1参照)、弁体収容部120bの左側には、上流側の流路Puを形成する円筒状の配管が接続され、弁体収容部120bの右側には、下流側の流路Pdを形成する円筒状の配管が接続される。弁装置1bが開弁しているときには、上流側の配管から流れ出た流体は、弁体収容部120b内を流れて、下流側の配管に排出される。図14の状態においては、弁装置1bは、開弁している。
弁体111は、主としてステンレスで設けられており、略円盤状の形状を有している。弁体111は、弁体収容部120b内において回転可能なように、二つの支持部113,115に支持されている。より詳細には、弁体111は、略円盤状の形状を有する弁体111の円の中心を通る軸VCbと垂直に交わる軸RCbを中心に回転運動が可能なように、支持部113,115に支持されている。弁体111は、弁体収容部120b内において90°の角度範囲で回転運動する。弁体111は、弁体収容部120b内において回転することにより、円盤の一方の面が流れの上流側(図14において左向き)を向く姿勢と、円盤の一方の面が流れの向きに対して90°の方向(図14において手前向き)を向く姿勢と、の間で移動される。弁体111は、流れの上流側を向く姿勢において、円盤の中心VCbが流路Pu,Pdの中心軸PCと一致するように配されている。図14においては、弁体111の一方の面が流れの向きに対して90°の方向(図14において手前向き)を向いている。円盤の一方の面が流れの上流側を向く姿勢にある弁体111の断面を、図14において破線で示す。
弁体収容部120bの内面であって支持部113,115を含む位置には、弁体収容部120bの内面に沿って環状のシート131が設けられている。環状のシート131は、環の中心が流路Pu,Pdの中心軸PCと一致するように、弁体収容部120bの内壁に配されている。支持部113,115は、それぞれ環状のシート131の一部を貫通するように、環の中心を挟んで互いに向かい合う位置に設けられている。環状のシート131の他の部分の内側面は、凹面を形成している。シート131は樹脂で設けられている。弁装置1bが開弁しているときには、環状のシート131の内側を流体が流通する。その際、弁体111は、環状のシート131の内側において、流体の抵抗が最小となるように、円盤が流れの向きに平行である状態にある(図14の破線の状態参照)。弁装置1bが閉弁しているときには、環状のシート131の内側は、円盤状の弁体111によって塞がれる。その際、円盤状の弁体111の端は、全周にわたってシート131に押し付けられている。より詳細には、シート131の内側の凹面に、円盤状の弁体111の側端面が押しつけられている。その結果、流体は環状のシート131の内側を流通することができない。
本変形例のような蝶型弁においても、偏心構造弁と同様、閉弁状態からから所定の動作範囲までは、弁体の端部と弁座の摩擦のために、直流モータ270の発生トルク、すなわち、回転軸210の回転に必要なトルクは、大きい(図11のR1参照)。そして、バルブ開度(弁開度)が所定の範囲を超えると、弁体の端部が弁座を離れるため、直流モータ270の発生トルク、すなわち、回転軸210の回転に必要なトルクは、小さくなる(図11のR2参照)。
よって、弁機構部100bとして本変形例のような態様を採用しても、直流モータと組み合わせることにより、大きなトルクで弁装置1bを確実に全閉させることができ、または全閉の状態から確実に開弁させることができる。そして、シート131との間の摩擦抵抗がない動作状態においては、低トルクで高速に弁体111を移動させることができる。その結果、高速な弁の開閉と確実な弁の開閉とを両立させることができる。すなわち、本変形例によっても、エアシリンダに比べて騒音が小さく、圧縮空気を必要としない電機モータを採用しつつ、異物を含む流体のフィルタを逆洗処理するための性能を達成できる。よって、本変形例の弁装置1bを用いた下水処理システムは、設置場所が限定されない。
なお、本変形例では、本発明に係る弁装置の一態様を、蝶型弁である弁機構部100bを例に説明した。しかし、弁装置の弁機構部は、さらに他の態様とすることもできる。すなわち、弁装置の弁機構部は、弁体の回転動作によって開閉される弁であって、回転動作の動作範囲であって全閉状態を含む第1の動作範囲における回転動作の必要トルクが、回転動作の動作範囲であって第1の動作範囲とは重ならない第2の動作範囲における回転動作の必要トルクに比べて大きい、弁とすることができる。なお、第2の動作範囲は、第1の動作範囲よりも動作範囲が大きい(広い)ことが好ましい。そのような弁には、偏心構造弁と蝶型弁とが含まれる。
なお、「偏心構造弁」とは、流路内において、弁体から離れた位置にある軸を中心に、弁体が回転動作することにより、流路を開閉する弁である。「蝶型弁」とは、流路内において、弁体を通る軸を中心に、弁体が回転動作することにより、流路を開閉する弁である。なお、弁体を通る軸は、略円盤状の外形形状を有する弁体の厚さ方向の中心面に含まれる軸であってもよいし、中心面とは離れた位置にある軸であってもよい。
なお、以上では、保護ケース230はアルミ製であり、弁体110,111、弁体収容部120,120bならびに軸支持部220は、ステンレス製であるものとして説明した。しかし、これらの各要素は、ダクタイル鋳鉄(球状黒鉛鋳鉄)、ステンレス、アルミなどの金属や、樹脂などの任意の素材で形成することができる。たとえば、弁体収容部120bは、主としてダクタイル鋳鉄で設けられていてもよい。
B2.変形例2:
上記実施例では、直流モータ270を駆動する駆動回路275は、所定値以上の電流が流れた場合に直流モータへの電流の供給を遮断する電流遮断部として、ポリスイッチ277を備えている。しかし、電流遮断部は、ヒューズやブレーカなど、他の態様であってもよい。なお、しきい値としての所定値以上の電流が回路に流れた後、ポリスイッチが反応して回路を遮断するまでには数秒かかる。これに対して、ヒューズやブレーカは、一般に、しきい値としての所定値以上の電流が回路に流れた場合には、瞬時に反応して、回路を遮断する。このため、ポリスイッチ277を採用する態様においては、軽度の異物噛み込みのために所定値以上の電流が流れた場合においては、軽度の異物噛み込みの異常を解除する時間的余裕が数秒間ある。すなわち、その間に軽度の異物噛み込みが解消されれば、回路は遮断されない。よって、ポリスイッチ277を採用する態様によれば、ヒューズやブレーカに比べて、頻繁な回路遮断を回避できる。また、ポリスイッチ277を採用する態様は、弁に噛み込まれた異物が下流に流れ去るなど、モータに大電流が流れる状況が解消された場合には、そのまま弁装置の運転の再開が可能である。
また、弁装置は、電流遮断部を備えない態様として構成することもできる。電源側に、過大な電流の供給を阻止する回路を設けておくことにより、そのような弁装置におけるモータの焼損を防止することができる。なお、電源側において過大な電流の供給を阻止する回路を設け、弁遮断部においても電流遮断部を備えることがより好ましい。
B3.変形例3:
上記実施例においては、電源ケーブル290を介して外部から交流電力を供給され、A/D変換器276を経て、直流電力が直流モータ270に供給される。しかし、弁装置は、さらに、A/D変換器276から直接または間接に直流電力を受け取って、直流モータに供給すべき電力を蓄えることができる電池を、さらに備える態様とすることもできる。そのような態様とすれば、外部からの電力の供給が途絶えた場合にも、弁装置は動作することができる。
また、弁装置は、直流モータに供給すべき電力をあらかじめ蓄えた電池を備えることもできる。そのような態様とすれば、弁装置は、電源がない場所に設置されても、動作することができる。
B4.変形例4:
上記実施例の弁装置1は、A/D変換器276を備える。しかし、弁装置は、A/D変換器を備えない態様とすることもできる。たとえば、別途、A/D変換器を用意することにより、交流電源のみを備える場所においても、直流モータにより駆動する弁装置を設置することができる。また、蓄電池、燃料電池などの直流電源を用意することにより、直流モータにより駆動する弁装置を設置することができる。一方、弁装置1内にA/D変換器を備えない態様とすることにより、A/D変換器を備える弁装置に比べて、弁装置を小型化できる。このため、そのような態様の弁装置は、より様々な場所に設置することができる。また、弁装置に電力を供給するための外部の制御盤の設置場所は、弁装置の設置場所にくらべて設置空間に余裕があることが多い。このため、外部の制御盤にA/D変換器を設けることが好ましい。
B5.変形例5:
上記実施例においては、回転軸210の表面と弁体収容部120との隙間は、Oリング216,217によって、シールされている。しかし、回転軸と弁体収容部の隙間からの流体の漏出を防止するシール部材は、他の態様とすることもできる。たとえば、シール部材一つであってもよく。3個以上であってもよい。また、フランジの間に配されておらず、所定の方法で、回転軸または弁体収容部に固定または保持されていてもよい。
B6.変形例6:
上記実施例においては、軸支持部220は、滑り軸受222としての樹脂コーティングされたドライベアリングを備えている。しかし、軸支持部220は、転がり軸受など、他の機構で回転軸210を支持する態様とすることもできる。ただし、軸受けは、潤滑剤が不要なものとすることが好ましい。
B7.変形例7:
上記実施例においては、保護ケース230は、防水性能を備えている。しかし、保護ケースは、防水性能を備えていない態様とすることもできる。ただし、冠水したり水に濡れる可能性のある場所に設置される場合には、保護ケースは、防水性能を備えていることが好ましい。
B8.変形例8:
上記実施例においては、通気部239は、保護ケース230の内部と外部の間で空気および水蒸気を流通させることができ、かつ、液体の水を流通させないように構成される。しかし、通気部239は、他の構成とすることもできる。たとえば、通気部は、保護ケース230の内部と外部の間で空気を流通させることができ、かつ、液体および気体の水を流通させないように構成されることもできる。そのように構成しても、保護ケース内に水が蓄積される事態を防止することができる。
また、上記実施例においては、通気部239は、伝達機構側ケース232に設けられている(図2参照)。しかし、通気部239は、駆動回路側ケース234に設けることもできる。
さらに、保護ケース230は、通気部を備えない態様とすることもできる。そのような態様においても、水分の少ない環境下や温度変化の少ない環境下で使用される場合には、弁装置は有効に機能を発揮し得る。また、高度の気密性を備えることにより、保護ケース内に水が蓄積される事態を防止することもできる。
B9.変形例9:
上記実施例においては、保護ケース230の外面には、ポリウレタン系の塗料が塗布されている。しかし、保護ケース230の外面に塗布される塗料は、フッ素樹脂系塗料やエポキシ系塗料など、他の塗料とすることができる。
1,1b…弁装置
100…弁機構部
100b…弁機構部
110…弁体
111…弁体
112,114…腕部
113,115…支持部
120…弁体収容部
120b…弁体収容部
130…シート
131…シート
200…弁駆動部
210…回転軸
212,213,214…フランジ
216,217…Oリング
220…軸支持部
222…滑り軸受
230…保護ケース
232…伝達機構側ケース
233…内側壁部
234…駆動回路側ケース
235…外側壁部
236…Oリング
237,238…フランジ部
239…通気部
240…手動回転軸
250…手動ハンドル
260…駆動機構
270…直流モータ
275…駆動回路
276…A/D変換器
277…ポリスイッチ
280…伝達機構
285…伝達機構280の出力軸
290…電源ケーブル
g01〜g03…回転軸のフランジと弁体収容部の間の間隙
DC…伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234の接続方向
Gi…直流モータにおける電流とトルクの関係を示すグラフ
Gr…直流モータにおける回転数とトルクの関係を示すグラフ
PC…流路の中心軸
Pm…伝達機構側ケース232と駆動回路側ケース234との接続部分の一部
RC…腕部112,114の回転の中心軸
RCb…支持部113,115の回転の中心軸
Pd…弁装置1に対して下流側の流路
Pu…弁装置1に対して上流側の流路
Rri…直流モータ270が連続運転可能な電流値の範囲
Rrr…直流モータ270が連続運転可能な回転数の範囲
Rrt…直流モータ270が連続運転可能な発生トルクの範囲
Sci1,2…閉弁状態にあるときの電流およびトルクの状態
Scr1,2…閉弁状態にあるときの回転数およびトルクの状態
Soi1,2…開弁状態にあるときの電流およびトルクの状態
Sor1,2…開弁状態にあるときの回転数およびトルクの状態
VC…円盤状の弁体110の中心軸
VCb…円盤状の弁体111の中心軸

Claims (9)

  1. 弁装置であって、
    弁体の回転動作によって開閉される弁であって、全閉状態を含む第1の動作範囲における前記回転動作の必要トルクが、前記第1の動作範囲よりも弁開度が大きい第2の動作範囲における前記回転動作の必要トルクよりも大きい、弁と、
    前記弁を駆動する直流モータと、
    前記直流モータに電流を供給する回路に設けられ、前記直流モータが連続運転可能な電流値より大きい所定値以上の電流が流れた場合に前記直流モータへの電流の供給を遮断する電流遮断部と、を備え
    前記弁装置は、前記連続運転可能な電流値より大きく、かつ前記所定値より小さい電流値の電流を前記直流モータに供給できるように構成されている、弁装置。
  2. 請求項記載の弁装置であって、
    前記弁は偏心構造弁である、弁装置。
  3. 請求項記載の弁装置であって、
    前記弁は蝶型弁である、弁装置。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の弁装置であって、さらに、
    外部から交流電力の供給を受けて、前記直流モータに供給すべき直流電力に変換する、A/D変換器を備える、弁装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の弁装置であって、さらに、
    前記直流モータに供給すべき電力を蓄えることができる電池を備える、弁装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の弁装置であって、さらに、
    前記弁体を収容し、内部を流体が流通する弁体収容部と、
    前記弁体収容部を貫通して前記弁体に接続され、前記直流モータからの駆動力を受けて前記弁体を回転させる回転軸と、
    前記弁体収容部と前記回転軸との間に間隙が設けられるように、前記弁体収容部の外部において前記回転軸を支持する軸支持部と、
    前記間隙において前記回転軸を囲むように配され、前記弁体収容部からの前記流体の漏出を防止するシール部材と、
    前記軸支持部と前記回転軸との間において前記回転軸を囲むように配されたすべり軸受けと、を備える、弁装置。
  7. 請求項6記載の弁装置であって、さらに、
    回転速度を低減しトルクを増大させて、前記直流モータの回転出力を前記回転軸に伝える伝達機構と、
    前記直流モータと、前記電流遮断部を含む前記直流モータを駆動させるための回路と、前記回転軸の一部と、を収容し、防水性を有する保護ケースと、を備える、弁装置。
  8. 請求項7記載の弁装置であって、
    前記保護ケースは、
    前記保護ケースの内部と前記保護ケースの外部との間で空気を流通させることができ、かつ、液体の水を流通させない通気部を備える、弁装置。
  9. 請求項7または8記載の弁装置であって、
    前記保護ケースは、防食塗料が塗られている、弁装置。
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