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JP6036491B2 - 車両の制御装置 - Google Patents

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JP6036491B2 JP2013076479A JP2013076479A JP6036491B2 JP 6036491 B2 JP6036491 B2 JP 6036491B2 JP 2013076479 A JP2013076479 A JP 2013076479A JP 2013076479 A JP2013076479 A JP 2013076479A JP 6036491 B2 JP6036491 B2 JP 6036491B2
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Description

本発明は、電動機と、その電動機と駆動輪との間に設けられた変速機とを備え、電動機のみを駆動源とするEV走行を行う車両の制御装置に関し、特に、そのEV走行での走行可能距離を向上させる技術に関する。
エンジンと、電動機と、その電動機と駆動輪との間に設けられた自動変速機とを備え、前記電動機のみを駆動源とするEV走行と、前記エンジンおよび前記電動機を駆動源とするHEV走行とを選択的に行う、例えば特許文献1に示すような1モータ型ハイブリッド車両がある。
上記特許文献1のハイブリッド車両では、前記EV走行と前記HEVとの間で、前記自動変速機の変速パターンを変更して、前記EV走行に適した変速を行っている。
特開2000−220732号公報
ところで、上記特許文献1において、前記EV走行中の駆動力の要求に対して、その要求された駆動力を満たすために前記自動変速機のダウンシフトを行うことが考えられる。ところが、前記自動変速機のダウンシフトによって要求された駆動力を達成する場合、前記自動変速機の変速段によっては変速前に比べて伝達効率(%)が悪化すなわち低下することがあり、前記EV走行での走行可能距離の拡大が妨げられてしまう問題があった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電動機のみを駆動源とするEV走行において、そのEV走行での走行可能距離を拡大させる車両の制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、(a) 電動機と、その電動機と駆動輪との間に設けられた変速機と、前記電動機と前記変速機との間にロックアップクラッチ付きのトルクコンバータとを備える車両において、前記電動機のみを駆動源とするEV走行を行う車両の制御装置であって、(b) 前記EV走行中の要求駆動力の増加に対する前記変速機のダウン変速に際して、(c) 前記要求駆動力を満たすように予め定められた変速規則に従って定められる変速段が、変速前の変速段に比べて伝達効率が向上する場合には、その要求駆動力を満たす変速段へ変速し、(d) 前記要求駆動力を満たす変速段が、変速前の変速段の伝達効率以下であれば、現在の変速段を維持し、前記ロックアップクラッチがスリップしないトルクとなるように前記電動機のトルクを増大させることにある。
このように構成された車両の制御装置によれば、前記要求駆動力を満たすように予め定められた変速規則に従って定められる変速段が変速前の変速段に比べて伝達効率が向上する場合には、その要求駆動力を満たす変速段への変速を許容し、前記変速機の伝達効率が高くなるように変速する。このため、前記EV走行時の前記変速機でのエネルギ損失が低下するので、前記EV走行においてそのEV走行での走行可能距離を拡大させることができる。また、前記要求駆動力を満たす変速段が、変速前の変速段の伝達効率以下であれば、現在の変速段を維持し、前記ロックアップクラッチがスリップしないトルクとなるように前記電動機のトルクを増大させる。このため、前記現在の変速段を維持することで前記EV走行時のエネルギ損失を悪化させず、且つ、前記電動機のトルクを増大させることで前記EV走行中の要求駆動力を満足させるEV走行を実現することができる。また、前記要求駆動力に対して前記電動機のトルクが前記ロックアップクラッチがスリップしない大きさに増大されるので、前記電動機のトルクによって前記ロックアップクラッチがスリップすることが防止される。これによって、前記トルクコンバータでの前記電動機のトルク損失の増大を防ぐことができ、前記EV走行での走行可能距離を拡大することができる。
ここで、好適には、前記現在の変速段がローギヤ側の変速段であるほど、前記現在の変速段が前記ローギヤ側の変速段よりもハイギヤ側の変速段である場合に比べてその現在の変速段を維持する頻度が高くなる。このため、前記現在の変速段がローギヤ側の変速段となり易い、例えば登坂走行時や、トーイング時等には、好適に前記現在の変速段を維持して前記変速機の伝達効率の低下を抑制し前記EV走行での走行可能距離を拡大することができる。
本発明が好適に適用されるハイブリッド車両に係る駆動系統及び制御系統の構成を概念的に示す図である。 図1のハイブリッド車両に備えられた自動変速機の構成の一例を示す骨子図である。 図2の自動変速機の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表である。 図1のハイブリッド車両における電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図1のハイブリッド車両において、電動機を駆動源とするEV走行とエンジン及び電動機を駆動源とするHEV走行とを切り替えるための判定に用いられる関係の一例を示し、且つ、自動変速機で変速する変速段を決定するために用いられるアップシフト線およびダウンシフト線を示す図である。 図4の電子制御装置における伝達効率向上判定部において、所定のギヤ比に設定された変速段とその変速段が成立した場合の自動変速機の伝達効率との関係の一例を示す図である。 図1の電子制御装置において、ロックアップクラッチが係合状態でのEV走行中において運転者から要求される要求駆動力の増加に対するパワーオンダウンシフト要求に際して自動変速機の変速制御および電動機のトルク制御の制御作動の一例を説明するフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は理解を容易とするために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両用駆動装置10(以下、単に駆動装置10という)に係る駆動系統及び制御系統の構成を概念的に示す図である。図1に示すように、本実施例の駆動装置10は、駆動源として機能するエンジン12及び電動機MGを備えており、それらエンジン12及び電動機MGにより発生させられた駆動力は、トルクコンバータ14、自動変速機(変速機)16、差動歯車装置18、及び左右1対の車軸20をそれぞれ介して左右1対の駆動輪22へ伝達されるように構成されている。上記電動機MG、トルクコンバータ14、及び自動変速機16は、何れもトランスミッションケース24(以下、ケース24という)内に収容されている。斯かる構成から、上記駆動装置10は、エンジン12及び電動機MGの少なくとも一方を走行用の駆動源として駆動される。すなわち、駆動装置10においては、例えば、電動機MGを走行用の駆動源とするEV走行(モータ走行)、及びエンジン12及び電動機MGを走行用の駆動源とするHEV走行(ハイブリッド走行)等が選択的に成立させられる。
エンジン12は、例えば、燃料が燃焼室内に直接噴射される筒内噴射型のガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関である。エンジン12の駆動(出力トルク)を制御するために、電子スロットル弁を開閉制御するスロットルアクチュエータ、燃料噴射制御を行う燃料噴射装置、及び点火時期制御を行う点火装置等を備えた出力制御装置26が設けられている。
電動機MGと自動変速機16との間の動力伝達経路に設けられたトルクコンバータ14には、ポンプ翼車14p及びタービン翼車14tが一体的に回転させられるように直結するロックアップクラッチLUが設けられている。このロックアップクラッチLUは、油圧制御回路28から供給される油圧に応じてその係合状態が係合(完全係合)、スリップ係合、乃至開放(完全開放)の間で制御されるようになっている。すなわち、油圧制御回路28のリニアソレノイド弁に対する指令値を後述する電子制御装置50で制御することにより、そのリニアソレノイド弁からロックアップクラッチLUに備えられた油圧アクチュエータへ供給される油圧を制御する。また、トルクコンバータ14のポンプ翼車14pには機械式の油圧ポンプ30が連結されており、そのポンプ翼車14pの回転に伴いその油圧ポンプ30により発生させられた油圧が油圧制御回路28に元圧として供給されるようになっている。
図2は、電動機MGと駆動輪22との間の動力伝達経路に設けられた自動変速機16の構成の一例を示す骨子図である。自動変速機16は、その軸心に対して対称的に構成されているため、図2の骨子図においてはその下側が省略されている。図2に示すように、自動変速機16は、トルクコンバータ14のタービン翼車14tに連結された入力軸32と、差動歯車装置18に連結された出力軸34との間の動力伝達経路に、例えばシングルピニオン型の遊星歯車装置36、38を主体として構成され、予め定められた複数の変速段(変速比)の何れかが選択的に成立させられる有段式の自動変速機構である。遊星歯車装置36、38は、それぞれサンギヤS1、S2、遊星歯車P1、P2、それら遊星歯車P1、P2を自転及び公転可能に支持するキャリアCA1、CA2、遊星歯車P1、P2を介してサンギヤS1、S2と噛み合うリングギヤR1、R2を備えている。
自動変速機16は、複数の油圧式摩擦係合装置を備え、それら係合装置の係合乃至解放の組み合わせに応じて予め定められた複数の変速段を選択的に成立させる変速機構である。すなわち、自動変速機16においては、サンギヤS1が第1ブレーキB1を介してケース24に選択的に連結されるようになっている。キャリアCA1とリングギヤR2とが一体的に連結され、第2ブレーキB2を介してケース24に選択的に連結されるようになっていると共に、一方向クラッチF1を介してそのケース24に対する一方向の回転が許容されつつ逆方向の回転が阻止されるようになっている。サンギヤS2が第1クラッチC1を介して入力軸32に選択的に連結されるようになっている。一体的に連結されたキャリアCA1及びリングギヤR2が第2クラッチC2を介して入力軸32に選択的に連結されるようになっている。リングギヤR1とキャリアCA2とが一体的に連結されると共に出力軸34に連結されている。
第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2(以下、特に区別しない場合はクラッチC、ブレーキBと表す)は、何れも従来の車両用自動変速機においてよく用いられている係合要素としての油圧式摩擦係合装置であって、例えば互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型などにより構成され、ブレーキBは回転するドラムの外周面に巻き付けられたバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキ等によっても構成される。
図3は、自動変速機16の変速作動に用いられる油圧式摩擦係合装置の作動の組み合わせを説明する作動図表である。この図3に示すように、自動変速機16においては、第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により変速比(ギヤ比)γ1が最大値例えば「3.20」程度である第1速変速段「1st」が成立させられる。第2速変速段(或いは第3速変速段)から第1速変速段へのダウン変速時には、一方向クラッチF1によりキャリアCA1及びリングギヤR2のケース24に対する相対回転が阻止されるため、第2ブレーキB2は係合させられなくともよい。第1クラッチC1及び第1ブレーキB1の係合により変速比(ギヤ比)γ2が第1速変速段よりも小さい値例えば「1.72」程度である第2速変速段「2nd」が成立させられる。第1クラッチC1及び第2クラッチC2の係合により変速比(ギヤ比)γ3が第2速変速段よりも小さい値例えば「1.00」程度である第3速変速段「3rd」が成立させられる。第2クラッチC2及び第1ブレーキB1の係合により変速比(ギヤ比)γ4が第3速変速段よりも小さい値例えば「0.67」程度である第4速変速段「4th」が成立させられる。第1クラッチC1及び第2ブレーキB2の係合により変速比γRが例えば「3.20」程度である後進変速段「R」が成立させられる。第1クラッチC1、第2クラッチC2、第1ブレーキB1、及び第2ブレーキB2の解放によりニュートラル「N」状態とされる。
図1に示すように、電動機MGは、ケース24により軸心まわりの回転可能に支持されたロータ40と、そのロータ40の外周側においてケース24に一体的に固定されたステータ42とを備えており、駆動力を発生させるモータ(発動機)及び反力を発生させるジェネレータ(発電機)としての機能を有するモータジェネレータである。この電動機MGは、インバータ44を介してバッテリやコンデンサ等の蓄電装置46に接続されており、後述する電子制御装置50によりインバータ44を介してコイルに供給される駆動電流が調節されることにより、電動機MGの駆動が制御されるようになっている。換言すれば、インバータ44を介しての制御により電動機MGの出力トルクが増減させられるようになっている。
エンジン12と電動機MGとの間の動力伝達経路には、係合状態に応じてその動力伝達経路における動力伝達を制御するクラッチK0が設けられている。すなわち、エンジン12の出力部材であるクランク軸48は、クラッチK0を介して電動機MGのロータ40に選択的に連結されるようになっている。
駆動装置10は、図1に例示するような制御系統を備えている。この図1に示す電子制御装置50は、CPU、RAM、ROM、及び入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン12の駆動制御、電動機MGの駆動制御、自動変速機16の変速制御、クラッチK0の係合制御、及びロックアップクラッチLUの係合制御等の各種制御を実行する。また、電子制御装置50は、必要に応じてエンジン12の制御用、電動機MGの制御用、自動変速機16の制御用といったように、複数の制御装置に分けて構成され、相互に情報の通信が行われることで各種制御を実行するものであっても良い。本実施例においては、電子制御装置50が車両(駆動装置10)の制御装置に相当する。
図1に示すように、電子制御装置50には、駆動装置10に設けられた各センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、図示しないアクセルペダルの踏込量に対応してアクセル開度センサ52により検出されるアクセル開度Acc(%)を表す信号、車速センサ54により検出される車速V(km/h)を表す信号等が電子制御装置50に入力される。
電子制御装置50から、駆動装置10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、エンジン12の駆動制御のためにそのエンジン12の出力制御装置26に供給される信号、電動機MGの駆動制御のためにインバータ44に供給される信号、自動変速機16の変速制御のために油圧制御回路28における複数の電磁制御弁に供給される信号、クラッチK0の係合制御のために油圧制御回路28におけるリニアソレノイド弁に供給される信号、ロックアップクラッチLUの係合制御のために油圧制御回路28におけるリニアソレノイド弁に供給される信号、及びライン圧制御のために油圧制御回路28におけるリニアソレノイド弁に供給される信号等が、電子制御装置50から各部へ供給される。
図4は、電子制御装置50に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図4に示すLU係合判定部56は、ロックアップクラッチLUが完全係合しているか否かを判定する。すなわち、LU係合判定部56は、例えば、油圧制御回路28のリニアソレノイド弁に対する電子制御装置50から供給される指令値により或いはトルクコンバータ14の回転速度差により、ロックアップクラッチLUが完全係合しているか否かを判定する。
図5は、駆動装置10において電動機MGを駆動源として走行するEV走行とエンジン12および電動機MGを駆動源として走行するHEV走行とを切り替えるための判定に用いられる関係の一例を示す図である。なお、図5においては、前記EV走行を実行するEV走行領域Aと、前記HEV走行を実行するHEV走行領域Bとが設けられており、例えばアクセル開度Acc[%]および車速V[km/h]により決定される車両走行状態がEV走行領域A内或いはHEV走行領域B内であるかによって、駆動装置10でEV走行或いはHEV走行が実行されるようになっている。図4のEV走行判定部58は、例えば上記図5を用いて、アクセル開度センサ52により検出されるアクセル開度Accと車速センサ54により検出される車速Vとから、その車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両走行状態を示す点がEV走行領域A内であるか否かすなわち車両がEV走行中であるか否かを判定する。
また、図5には、駆動装置10において自動変速機16で変速する変速段を決定するために用いられるアップシフト線(実線)およびダウンシフト線(破線)を含む変速線図が示されている。つまり、図5においては、例えばアクセル開度Acc[%]および車速V[km/h]により決定される車両走行状態と上記アップシフト線、ダウンシフト線とに基づいて、自動変速機16において成立させられるべき変速段が決定される。そして、その決定された変速段が成立させられるように油圧制御回路28を介して自動変速機16におけるクラッチC及びブレーキBの係合乃至解放が制御されるようになっている。図4のダウンシフト要求判定部60は、アクセル開度センサ52により検出されるアクセル開度Accと車速センサ54により検出される車速Vとから、例えば、運転者から要求される要求駆動力の増加要求により図示しないアクセルペダルが踏み込まれて車速Vおよびアクセル開度Accで示される車両走行状態を示す点が図5に示すダウンシフト線を横切った場合に、ダウンシフト要求(パワーオンダウンシフト要求)があったと判定する。なお、図5のEV走行領域Aでは、予め定められた変速規則に従って変速段(アップシフト線、ダウンシフト線)が定められている。例えば、電動機MGの最大回転を超えないように或いは駆動効率が得られるように変速段が定められている。また、電動機MGの効率が維持されるように変速段が定められている。
駆動力制御部62は、LU係合判定部56でロックアップクラッチLUが完全係合していると判定され、且つ、EV走行判定部58でEV走行中であると判定され、且つ、ダウンシフト要求判定部60で運転者からの駆動力の増加要求によりダウンシフト要求があったと判定されると、すなわち、EV走行中における運転者から要求される要求駆動力の増加に対する自動変速機16のダウンシフト(変速)が判定されると、その要求駆動力を満たすように駆動装置10から出力される駆動力を制御する。
伝達効率向上判定部64は、LU係合判定部56でロックアップクラッチLUが完全係合していると判定され、且つ、EV走行判定部58でEV走行中であると判定され、且つ、ダウンシフト要求判定部60で運転者からの駆動力の増加要求によりダウンシフト要求があったと判定されると、予め定められた例えば図6に示すマップから自動変速機16における変速前の現在の変速段の伝達効率η(%)と変速後すなわちダウンシフト後の変速段の伝達効率η(%)とを求めて、その変速後の変速段が変速前の変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が向上しているか否かを判定する。例えば、EV走行中の第4速変速段(4th)から第3速変速段(3rd)へのダウンシフトの場合には、図6に示すマップから第4速変速段が成立した際の自動変速機16の伝達効率η(%)が第3速変速段が成立した際の自動変速機16の伝達効率η(%)より低くダウンシフトによって自動変速機16の伝達効率η(%)が向上するので、伝達効率向上判定部64では、自動変速機16において変速後の変速段が変速前の変速段に比べて伝達効率η(%)が向上すると判定する。また、例えば、EV走行中の第2速変速段(2nd)から第1速変速段(1st)へのダウンシフトの場合には、図6に示すマップから第2速変速段が成立した際の自動変速機16の伝達効率η(%)が第1速変速段が成立した際の自動変速機16の伝達効率η(%)より高くダウンシフトによって自動変速機16の伝達効率η(%)が悪化すなわち低下するので、伝達効率向上判定部64では、自動変速機16において変速後の変速段が変速前の変速段に比べて伝達効率η(%)が向上しないと判定する。なお、図6に示すマップでは、自動変速機16においてギヤの噛み合い損失等のエネルギ損失が最も小さいギヤ比(変速比)が「1.00」の第3変速段(3rd)が成立する場合に伝達効率η(%)が最も高く、そのギヤ比(変速比)が「1.00」から離れるにつれて伝達効率η(%)が低下している。
ダウンシフト指令部66は、伝達効率向上判定部64においてダウンシフト要求判定部60で要求されたダウンシフト後の変速段が変速前の現在の変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が向上すると判定されると、そのダウンシフト要求判定部60で要求されたダウンシフトが成立するように油圧制御回路28を介して自動変速機16におけるクラッチC及びブレーキBの係合乃至解放を制御する。また、ダウンシフト指令部66は、伝達効率向上判定部64においてダウンシフト要求判定部60で要求されたダウンシフト後の変速段が変速前の現在の変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が向上しないと判定されると、ダウンシフト要求判定部60で要求されたダウンシフトを成立させず現在の変速段が維持されるように油圧制御回路28を介して自動変速機16におけるクラッチC及びブレーキBの係合乃至解放を制御する。
MGトルク調整部68は、ダウンシフト指令部66でダウンシフトが実施されると、運転者からの要求駆動力を満たすように電動機MGから出力されるトルクを調整する。
MGトルクアップ指令部70は、ダウンシフト指令部66でダウンシフトが実施されず現在の変速段が維持されると、現在の変速段を維持した状態で運転者の要求駆動力を満たすように電動機MGから出力されるトルクを制御すなわち増大する。また、MGトルクアップ指令部70は、運転者からの要求駆動力を得るためのトルクが予め定められたMG最大出力トルクTMGより大きいか否かを判定し、大きいと判定される場合には、電動機MGから出力されるトルクをMG最大出力トルクTMG以下になるように制限する。また、前記要求駆動力を得るためのトルクが予め定められたMG最大出力トルクTMG以下であると判定される場合には、運転者からの要求駆動力を満たすように電動機MGから出力されるトルクを制限せずに増大する。なお、MG最大出力トルクTMGとは、電動機MGのトルクによって所定の係合油圧で完全係合しているロックアップクラッチLUをスリップさせないように予め実験的に定められた電動機MGで出力可能なトルクの最大値である。
図7は、電子制御装置50において、LU係合判定部56でロックアップクラッチLUが完全係合していると判定され且つEV走行判定部58でEV走行中であると判定されているロックアップクラッチLUが完全係合状態でのEV走行中において運転者から要求される要求駆動力の増加に対するパワーオンダウンシフト要求に際して自動変速機16での変速制御および電動機MGでのトルク制御における制御作動の一例を説明するフローチャートである。
先ず、ダウンシフト要求判定部60に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、運転者から要求される要求駆動力の増加要求によりアクセルペダルが踏み込まれてパワーオンダウンシフト要求があったか否かが判定される。このS1の判定が否定される場合には本ルーチンが終了させられるが肯定される場合には、伝達効率向上判定部64に対応するS2が実行される。
上記S2では、図6に示すマップから自動変速機16における変速前の現在の変速段の伝達効率η(%)とダウンシフト後すなわち変速後の変速段の伝達効率η(%)とが求められ、その変速後の変速段が変速前の現在の変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が向上(UP)するか否かが判定される。このS2の判定が肯定される場合すなわち変速後の変速段が変速前の現在の変速段に比べて自動変速機の16伝達効率η(%)が向上する場合には、ダウンシフト指令部66に対応するS3において、上記S1でのパワーオンダウンシフトが実施される。
次に、MGトルク調整部68に対応するS4において、運転者からの要求駆動力を満たすように電動機MGから出力されるトルクが調整される。
上記S2の判定が否定される場合すなわち変速後の変速段が変速前の現在の変速段の伝達効率η(%)以下となる場合には、ダウンシフト指令部66およびMGトルクアップ指令部70に対応するS5が実行される。上記S5では、上記S1でのパワーオンダウンシフトが実施されず現在の変速段が維持されると共に、現在の変速段が維持された状態で運転者の要求駆動力を満たすように電動機MGから出力されるトルクが増大される。
次に、MGトルクアップ指令部70に対応するS6において、運転者から要求される要求駆動力を得るためのトルクが予め実験的に定められたMG最大出力トルクTMGより大きいか否かが判定される。このS6の判定が肯定される場合には、MGトルクアップ指令部70に対応するS7において、要求駆動力を満たすために電動機MGから出力されるトルクが、ロックアップクラッチLUがスリップしないようにMG最大出力トルクTMG以下に制限される。上記S6の判定が否定される場合には、本ルーチンが終了させられる。すなわち、上記S5において運転者の要求駆動力を満たすように電動機MGから出力されるトルクが上記S7のように制限されずに電動機MGから出力される。
図7のフローチャートでは、例えば、第4速変速段(4th)でEV走行中に運転者から要求される要求駆動力の増加要求によりその要求駆動力を満たす第3速変速段(3rd)へのパワーオンダウンシフトが要求された場合において、上記S2において図6に示すマップから変速後の第3速変速段は変速前の第4速変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が高くダウンシフトによって自動変速機16の伝達効率η(%)が向上すると判定されるので、上記S3において上記ダウンシフトが実施される。また、図7のフローチャートでは、例えば、第2速変速段(2nd)でEV走行中に運転者から要求される要求駆動力の増加要求によりその要求駆動力を満たす第1速変速段(1st)へのパワーオンダウンシフトが要求された場合において、上記S2において図6に示すマップから変速後の第1速変速段は変速前の第2速変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が低くダウンシフトによって自動変速機16の伝達効率η(%)が向上しないと判定されるので、上記S5においてダウンシフトが実行されず現在の第2速変速段が維持されると共に、運転者からの要求駆動力を満たすように電動機MGのトルクが増大させられる。なお、図7のフローチャートにおいて、上記S2で用いられる図6のマップは、ギヤ比が「1.00」の第3速変速段から離れるにつれて伝達効率η(%)が低下している。このため、EV走行中の現在の変速段がローギヤ側の変速段例えば第3速変速段、第2速変速段であるほど、現在の変速段がハイギヤ側の変速段例えば第4変速段である場合に比べて、パワーオンダウンシフト要求があった場合にそのパワーオンダウンシフトが実施されず現在の変速段が維持される頻度が高くなっている。
上述のように、本実施例の駆動装置10の電子制御装置50によれば、伝達効率向上判定部64によって運転者からの要求駆動力を満たす変速段が変速前の変速段に比べて自動変速機16の伝達効率η(%)が向上すると判定される場合には、その要求駆動力を満たす変速段への変速を許容し、自動変速機16の伝達効率η(%)が高くなるように変速する。このため、自動変速機16での伝達効率η(%)が向上することによりEV走行時の自動変速機16でのエネルギ損失が低下するので、EV走行においてそのEV走行での走行可能距離を拡大させることができる。
また、本実施例の駆動装置10の電子制御装置50によれば、前記要求駆動力を満たす変速段が変速前の現在の変速段の伝達効率η(%)以下であれば、現在の変速段を維持し、電動機MGのトルクを増大させる。このため、現在の変速段を維持することでEV走行時の自動変速機16でのエネルギ損失を悪化させず、且つ、電動機MGのトルクを増大させることでEV走行中の運転者からの要求駆動力を満足させる走行を実現することができる。
また、本実施例の駆動装置10の電子制御装置50によれば、前記現在の変速段がローギヤ側の変速段例えば第3速変速段、第2速変速段であるほど、前記現在の変速段がハイギヤ側の変速段例えば第4速変速段である場合に比べてその現在の変速段を維持する頻度が高くなる。このため、前記現在の変速段がローギヤ側の変速段となり易い、例えば登坂走行時や、トーイング時等には、好適に現在の変速段を維持して自動変速機16の伝達効率η(%)の低下を抑制しEV走行での走行可能距離を拡大することができる。
また、本実施例の駆動装置10の電子制御装置50によれば、電動機MGと自動変速機16との間にロックアップクラッチLU付きのトルクコンバータ14を備え、要求駆動力を満たす変速段が変速前の変速段の伝達効率η(%)以下であれば、前記現在の変速段を維持し、ロックアップクラッチLUがスリップしないトルクとなるように電動機MGのトルクを制限する。このため、前記要求駆動力に対して電動機MGのトルクがロックアップクラッチLUがスリップしない大きさにすなわちMG最大出力トルクTMG以下に制限されるので、電動機MGから出力されるトルクによってロックアップクラッチLUがスリップすることが防止される。これによって、トルクコンバータ14での電動機MGのトルク損失の増大を防ぐことができ、EV走行での走行可能距離を拡大することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、その他の態様においても適用される。
本実施例では、エンジン12と、電動機MGと、電動機MGと駆動輪22との間に設けられた自動変速機16を備える1モータ型ハイブリッド車両が用いられていたが、例えば2モータ型ハイブリッド車両、シリーズバイブリッド車両等に本発明を適用させることができる。さらに、エンジン12を設けない例えば電気自動車等に本発明を適用させることができる。要するに、電動機MGが変速機を介して駆動輪22を駆動する形式の車両であればよい。
また、本実施例の自動変速機16は、遊星歯車式の変速機であったが、これ以外の変速機例えば平行軸式の変速機、CVT等を適用させても良い。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
16:自動変速機(変速機)
22:駆動輪
50:電子制御装置(制御装置)
58:EV走行判定部
60:ダウンシフト要求判定部
64:伝達効率向上判定部
66:ダウンシフト指令部
70:MGトルクアップ指令部
MG:電動機
η:伝達効率

Claims (2)

  1. 電動機と、該電動機と駆動輪との間に設けられた変速機と、前記電動機と前記変速機との間にロックアップクラッチ付きのトルクコンバータとを備える車両において、前記電動機のみを駆動源とするEV走行を行う車両の制御装置であって、
    前記EV走行中の要求駆動力の増加に対する前記変速機のダウン変速に際して、
    前記要求駆動力を満たすように予め定められた変速規則に従って定められる変速段が、変速前の変速段に比べて伝達効率が向上する場合には、該要求駆動力を満たす変速段へ変速し、
    前記要求駆動力を満たす変速段が、変速前の変速段の伝達効率以下であれば、現在の変速段を維持し、前記ロックアップクラッチがスリップしないトルクとなるように前記電動機のトルクを増大させることを特徴とする車両の制御装置。
  2. 前記現在の変速段がローギヤ側の変速段であるほど、前記現在の変速段が前記ローギヤ側の変速段よりもハイギヤ側の変速段である場合に比べて該現在の変速段を維持する頻度が高くなる請求項の車両の制御装置。
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