JP6086205B2 - 位相差検出装置およびそれを備えた回転角検出装置 - Google Patents
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Description
ここでは、第1磁気センサ221からは、S1=A1・sinθの出力信号が出力され、第2磁気センサ222からは、S2=A2・cosθの出力信号が出力されるものとする。A1,A2は、振幅である。両出力信号S1,S2の振幅A1,A2が互いに等しいとみなすと、ロータ201の電気角θは、両出力信号S1,S2を用いて、次式に基づいて求めることができる。
=tan−1(S1/S2)
このようにして、求められた電気角θを使って、ブラシレスモータを制御する。
この発明の目的は、2つの磁気センサの出力信号間の位相差を、特殊な装置を用いることなく簡単に検出することができる位相差検出装置およびそれを備えた回転角検出装置を提供することである。
請求項2記載の発明は、nを今回のサンプリング周期番号として、前記6つの出力信号を次式(a1)〜(a6)で表すと、前記第1演算手段は、次式(b)に基づいて前記任意の磁極のE(i)・Cの値を演算するように構成されている、請求項1に記載の位相差検出装置である。
S1[n-1]=A1sin(E(i)・θ[n-1]) …(a2)
S1[n-2]=A1sin(E(i)・θ[n-2]) …(a3)
S2[n]=A2sin(E(i)・θ[n]+C) …(a4)
S2[n-1]=A2sin(E(i)・θ[n-1]+C) …(a5)
S2[n-2]=A2sin(E(i)・θ[n-2]+C) …(a6)
請求項5記載の発明は、前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差検出装置(61,71,72,77A)と、前記2つの磁気センサ(71,72)における3つの異なるタイミングでサンプリングされた6つの出力信号と、前記位相差検出装置によって検出された位相差Cとを用いて、前記回転体(8)の回転角を演算する回転角演算手段(77A)とを含む、回転角検出装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る位相差検出装置が適用された電動パワーステアリング装置の概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリング装置1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、運転者の操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
操舵補助機構5は、操舵補助力を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを転舵機構4に伝達するための減速機構19とを含む。電動モータ18は、この実施形態では、三相ブラシレスモータからなる。減速機構19は、ウォーム軸20と、このウォーム軸20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機構19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。
電動モータ18によってウォーム軸20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォーム軸20を回転駆動することによって、転舵輪3が転舵されるようになっている。
図2は、モータ制御用ECU12の電気的構成を示す概略図である。
電流指令値設定部41は、dq座標系の座標軸に流すべき電流値を電流指令値として設定する。具体的には、電流指令値設定部41は、d軸電流指令値Id *およびq軸電流指令値Iq *(以下、これらを総称するときには「二相電流指令値Idq *」という。)を設定する。さらに具体的には、電流指令値設定部41は、q軸電流指令値Iq *を有意値とする一方で、d軸電流指令値Id *を零とする。より具体的には、電流指令値設定部41は、トルクセンサ11によって検出される操舵トルク(検出操舵トルク)Thに基づいて、q軸電流指令値Iq *を設定する。
電流検出部32は、電動モータ18のU相電流IU、V相電流IVおよびW相電流IW(以下、これらを総称するときは、「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。電流検出部32によって検出された三相検出電流IUVWは、UVW/dq変換部46に与えられる。
dq/UVW変換部44は、二相電圧指令値Vdq *を三相電圧指令値VUVW *に座標変換する。この座標変換には、回転角演算部47によって演算されたロータ角θSが用いられる。三相電圧指令値VUVW *は、U相電圧指令値VU *、V相電圧指令値VV *およびW相電圧指令値VW *からなる。この三相電圧指令値VUVW *は、PWM制御部45に与えられる。
駆動回路31は、U相、V相およびW相に対応した三相インバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部45から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相電圧指令値VUVW *に相当する電圧が電動モータ18の各相のステータ巻線101,102、103に印加されることになる。
図5は、トルクセンサ11の構成を図解的に示す模式図である。
出力軸9には、環状の第2の磁石(多極磁石)62が一体回転可能に連結されている。第2の磁石62の上側には、第2の磁石62の回転に応じて互いに位相差を有する正弦波状の信号をそれぞれ出力する2つの磁気センサ74,75が配置されている。
トルク演算用ECU77は、マイクロコンピュータを含んでいる。マイクロコンピュータは、CPUおよびメモリ(ROM,RAM,不揮発性メモリ等)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能する。この複数の機能処理部には、第1の回転角演算部77Aと、第2の回転角演算部77Bと、トルク演算部77Cと、第1の位相差演算部77Dと、第2の位相差演算部77Eとを含んでいる。
第1の磁石61、磁気センサ71,72および第1の回転角演算部77Aによって、入力軸8の回転角θAを検出するための第1の回転角検出装置が構成されている。また、第2の磁石62、磁気センサ74,75および第2の回転角演算部77Bによって、出力軸9の回転角θBを検出するための第2の回転角検出装置が構成されている。第1の回転角検出装置(第1の回転角演算部77A)の動作と第2の回転角検出装置(第2の回転角演算部77B)動作は同様であるので、以下、第1の回転角検出装置(第1の回転角演算部77A)の動作についてのみ説明する。
第1の磁石61は、周方向に等角度間隔で配された4組の磁極対(M1,M2),(M3,M4),(M5,M6),(M7,M8)を有している。つまり、第1の磁石61は、等角度間隔で配置された8個の磁極M1〜M8を有している。各磁極M1〜M8は、入力軸8の中心軸を中心として、ほぼ45°(電気角ではほぼ180°)の角度間隔(角度幅)で配置されている。各磁極M1〜M8の磁力の大きさは、ほぼ一定である。
図6に矢印で示す方向を入力軸8の正方向の回転方向とする。そして、入力軸8が正方向に回転されると入力軸8の回転角が大きくなり、入力軸8が逆方向に回転されると、入力軸2の回転角が小さくなるものとする。各磁気センサ71,72からは、図7に示すように、入力軸8の回転に伴って、正弦波状の信号S1,S2が出力される。なお、図6の横軸の回転角[deg]は、機械角を表している。
以下においては、説明の便宜上、入力軸8の回転角をθAではなく、θで表すことにする。各出力信号S1,S2が正弦波信号であるとみなし、入力軸8の回転角をθ(電気角)とすると、第1磁気センサ71の出力信号S1は、S1=A1・sinθと表され、第2磁気センサ72の出力信号S2は、S2=A2・sin(θ+C)と表される。A1,A2は、それぞれ振幅を表している。Cは、第1出力信号S1と第2出力信号S2との位相差を表している。
位相差Cおよびサンプリング周期の番号[n],[n-1]を用いると、今回サンプリングされた第1出力信号S1、前回サンプリングされた第1出力信号S1、今回サンプリングされた第2出力信号S2および前回サンプリングされた第2出力信号S2を、それぞれ次式(2a),(2b),(2c),(2d)で表すことができる。
S1[n-1]=A1[n-1]sinθ[n-1] …(2b)
S2[n]=A2[n]sin(θ[n]+C) …(2c)
S2[n-1]=A2[n-1]sin(θ[n-1]+C) …(2d)
Cが既知であるとすると、これら4つの式に含まれる未知数(A1[n],A1[n-1],A2[n],A2[n-1],θ[n],θ[n-1])の数は6となる。つまり、未知数の数が方程式の数より多いため、このままでは、4つの式からなる連立方程式を解くことができない。
S1[n-1]=A1sinθ[n-1] …(3b)
S2[n]=A2sin(θ[n]+C) …(3c)
S2[n-1]=A2sin(θ[n-1]+C) …(3d)
これら4つの式に含まれる未知数(A1,A2,θ[n],θ[n-1])の数は4となる。つまり、未知数の数が方程式の数以下となるため、4つの式からなる連立方程式を解くことができる。したがって、前記4つの式(3a),(3b),(3c)および(3d) からなる連立方程式を解くことにより、入力軸8の回転角θ[n]を演算することができる。
S1[n]=A1sinθ[n] …(4a)
S1[n-1]=A1sinθ[n-1] …(4b)
S2[n]=A2sin(θ[n]+120) …(4c)
S2[n-1]=A2sin(θ[n-1]+120) …(4d)
前記4つの式(4a),(4b),(4c)および(4d)からなる連立方程式を解くと、入力軸8の回転角θ[n]は、次式(5) (以下、「基本演算式(5)」という。)で表わされる。
ただし、基本演算式(5) に含まれている分数のいずれかの分母が零になる場合には、基本演算式(5)に基づいて回転角θ[n]を演算することはできない。そこで、この実施形態では、基本演算式(5) に含まれている分数のいずれかの分母が零になる場合には、基本演算式(5)とは異なる演算式によって回転角θ[n]を演算するようにしている。さらに、この実施形態では、基本演算式(5)によって回転角θ[n]を演算することができるけれども、より簡単な演算式によって回転角θ[n]を演算できる場合には、基本演算式(5)とは異なる演算式によって回転角θ[n]を演算するようにしている。この実施形態では、基本演算式(5)より簡単に回転角θ[n]を演算できる場合とは、S2[n]=0の場合またはS1[n]=0の場合である。
S2[n]=A2sin(θ[n]+120) …(8c)
S2[n-1]=A2sin120=√3/2・ A2…(8d)
前記式(8d)から、次式(9)が得られる。
前記式(9)を前記式(8c)に代入すると、次式(10)が得られる。
sin(θ[n]+120)=(√3/2)・(S2[n]/S2[n-1]) …(10)
したがって、回転角θ[n]は、次式(11)により演算することができる。
一方、θ[n-1]=180である場合には、前記式 (4c),(4d)は、それぞれ次式(12c),(12d)で表される。
S2[n-1]=A2sin300=−√3/2・ A2…(12d)
前記式(12d)から、次式(13)が得られる。
A2=(−2/√3)・S2[n-1] …(13)
前記式(13)を前記式(12c)に代入すると、次式(14)が得られる。
したがって、回転角θ[n]は、次式(15)により演算することができる。
表1の上から5番目および6番目の演算式は、S2[n]=0となる場合に適用される演算式である。S2[n]=A2sin(θ[n]+120)であるので、sin(θ[n]+120)=0のときに、S2[n]=0となる。つまり、θ[n]が−120度または60度のときに、S2[n]=0となる。S1[n]=A1sinθ[n]であるので、θ[n]が−120度のときにはS1[n]<0となり、θ[n]が60度のときにはS1[n]>0となる。したがって、S2[n]=0でかつS1[n]>0のときにはθ[n]=60となり、S2[n]=0でかつS1[n]<0であればθ[n]=−120となる。
S1[n]=A1sinθ[n] …(16a)
S1[n-1]=A1sin60=√3/2・ A1 …(16b)
前記式(16b)から、次式(17)が得られる。
前記式(17)を前記式(16a)に代入すると、次式(18)が得られる。
sinθ[n]=(√3/2)・(S1[n]/S1[n-1]) …(18)
したがって、回転角θ[n]は、次式(19)により演算することができる。
一方、θ[n-1]=−120である場合には、前記式 (4a),(4b)は、それぞれ次式 (20a),(20b)で表される。
S1[n-1]=A1sin(−120)=−√3/2・ A2 …(20b)
前記式(20b)から、次式(21)が得られる。
A1=(−2/√3)・S1[n-1] …(21)
前記式(21)を前記式(20a)に代入すると、次式(22)が得られる。
したがって、θ[n]は、次式(23)により演算することができる。
表1の上から9番目および10番目の演算式は、S1[n]=0となる場合に適用される演算式である。S1[n]=A1sinθ[n]であるので、sinθ[n]=0のときに、S1[n]=0となる。つまり、θ[n]が0度または180度のときに、S1[n]=0となる。S2[n]=A2sin(θ[n]+120]であるので、θ[n]が0度のときにはS2[n]>0となり、θ[n]が180度のときにはS2[n]<0となる。したがって、S1[n]=0でかつS2[n]>0であればθ[n]=0となり、S1[n]=0でかつS2[n]<0であればθ[n]=180となる。
第1演算方法では、2つの磁気センサ71,72における2サンプリング分の出力信号に基づいて入力軸8の回転角θ[n]を演算しているので、精度の高い回転角を演算することが可能となる。また、第1演算方法では、入力軸8の回転角θ[n]の演算に用いられる数式の数が、これらの数式に含まれている本来の未知数の数より少なくても、入力軸8の回転角θ[n]を演算することができるので、入力軸8の回転角θ[n]を演算するために必要なセンサ値の数を少なくすることが可能となる。
S1[n]=A1[n]sin(E1[n]θ[n]) …(24a)
S1[n-1]=A1[n-1]sin(E1[n-1]θ[n-1]) …(24b)
S1[n-2]=A1[n-2]sin(E1[n-2]θ[n-2]) …(24c)
S2[n]=A2[n]sin(E2[n]θ[n]+C) …(24d)
S2[n-1]=A2[n-1]sin(E2[n-1]θ[n-1]+C) …(24e)
S2[n-2]=A2[n-2]sin(E2[n-2]θ[n-2]+C) …(24f)
前記式(24a)〜(24f)において、E1[x]は、x番目の演算周期において第1磁気センサ71が検出している磁極に対応する角度幅誤差補正値である。E2[x]は、x番目の演算周期において第2磁気センサ72が検出している磁極に対応する角度幅誤差補正値である。
θerr(i)=w(i)−180 …(25)
その磁極に対する角度幅誤差補正値をE(i)で表すと、E(i)は次式(26)で定義される。
=180/(θerr(i)+180) …(26)
各磁極の角度幅誤差補正値E(i)は、各磁極のピッチ幅に関する情報である。なお、各磁極のピッチ幅に関する情報は、各磁極の角度幅w(i)であってもよいし、各磁極の角度幅誤差θerr(i)であってもよい。
そこで、サンプリング間隔(サンプリング周期)を短く設定することにより、3サンプリング間の温度変化による振幅の変化がないとみなす。つまり、3サンプリング間の第1磁気センサ71の出力信号の振幅A1[n],A1[n-1],A1[n-2]が互いに等しいとみなして、これらをA1とする。同様に、3サンプリング間の第2磁気センサ72の出力信号の振幅A2[n],A2[n-1],A2[n-2]が互いに等しいとみなし、これらをA2とする。
S1[n-1]=A1sin(E(i)・θ[n-1]) …(27b)
S1[n-2]=A1sin(E(i)・θ[n-2]) …(27c)
S2[n]=A2sin(E(i)・θ [n]+C) …(27d)
S2[n-1]=A2sin(E(i)・θ[n-1]+C) …(27e)
S2[n-2]=A2sin(E(i)・θ[n-2]+C) …(27f)
これら6つの式に含まれる未知数(A1,A2,E(i),θ[n],θ[n-1],θ[n-2])の数は6となる。つまり、未知数の数が方程式の数以下となるため、6つの式からなる連立方程式を解くことができる。したがって、前記6つの式(27a)〜(27f) からなる連立方程式を解くことにより、入力軸8の回転角θ[n]を演算することができる。
S1[n]=A1sin(E(i)・θ[n]) …(28a)
S1[n-1]=A1sin(E(i)・θ[n-1]) …(28b)
S1[n-2]=A1sin(E(i)・θ[n-2]) …(28c)
S2[n]=A2sin(E(i)・θ[n]+120) …(28d)
S2[n-1]=A2sin(E(i)・θ[n-1]+120) …(28e)
S2[n-2]=A2sin(E(i)・θ[n-2]+120) …(28f)
前記基本演算式(5)より、E(i)・θ[n]は次式(29)で表される。
θ[n]=E(i)・θ[n]/E(i) …(31)
ただし、E(i)・θ[n]については、前記表1にしたがって、条件に応じた演算式に基づいて演算を行う。また、角度幅誤差補正値E(i)については、前記式(30) に含まれている分数のいずれかの分母が零になる場合には、前記式(30)に基づいて角度幅誤差補正値E(i)を演算することができない。そこで、この実施形態では、前記式(30) に含まれている分数のいずれかの分母が零になる場合には、前回に演算された角度幅誤差補正値E(i)を今回の角度幅誤差補正値E(i)として用いるようにしている。
トルク演算用ECU77の電源がオンすると、第1の回転角演算部77Aは、強制回転に基づく回転角演算処理を行う(ステップS1)。この処理は、電動モータ18を一時的に強制回転させることにより、入力軸8(出力軸9)を回転させ、入力軸8の回転角θを演算する処理である。この処理の詳細については後述する。
強制回転に基づく回転角演算処理では、短時間ではあるがステアリングホイール2が自動的に回転する。このため、運転者は何らかの故障が発生したと誤解するおそれがある。そこで、第1の回転角演算部77Aは、運転者への警告を行う(ステップS11)。具体的には、第1の回転角演算部77Aは、車内に設けられた表示装置(図示略)、音声出力装置(図示略)等を制御するための映像音声制御装置(図示略)に、警告出力指令を送信する。映像音声制御装置は、この警告出力指令を受信すると、「ステアリングホイールが強制的に回転しますが故障ではありません」等のメッセージを表示装置に表示したり、音声出力装置によって音声出力したりする。
前記ステップS14において、M回分のセンサ値S1, S2を取得したと判別された場合には(ステップS14:YES)、第1の回転角演算部77Aは、第1方向とは反対方向である第2方向に電動モータ18を回転駆動させる(ステップS15)。具体的には、第1の回転角演算部77Aは、第2方向に電動モータ18を回転駆動させるための第2強制回転指令をモータ制御用ECU12に送信する。モータ制御用ECU12は、この第2強制回転指令を受信すると、第2方向に電動モータ18を回転駆動させる。
第1の回転角演算部77Aは、センサ値S1[n], S2[n]を取得する(ステップS21)。そして、第1の回転角演算部77Aは、今回取得したセンサ値S1[n], S2[n]を含めた最新のM回分のセンサ値S1, S2に基づいて、入力軸8の回転角θ[n]を演算する(ステップS21)。Mが2に設定されている場合には、第1の回転角演算部77Aは、前述した第1演算方法に基づいて入力軸8の回転角θ[n]を演算する。一方、Mが3に設定されている場合には、第1の回転角演算部77Aは、前述した第2演算方法に基づいて入力軸8の回転角θ[n]を演算する。
まず、第1の位相差演算部77Dによる位相差の演算方法の考え方について説明する。
第2演算方法で説明したように、2つの磁気センサ71,72における3サンプリング分の出力信号は、前記式(24a)〜(24f)で表される。
S1[n-1]=A1[n-1]sin(E1[n-1]θ[n-1]) …(24b)
S1[n-2]=A1[n-2]sin(E1[n-2]θ[n-2]) …(24c)
S2[n]=A2[n]sin(E2[n]θ[n]+C) …(24d)
S2[n-1]=A2[n-1]sin(E2[n-1]θ[n-1]+C) …(24e)
S2[n-2]=A2[n-2]sin(E2[n-2]θ[n-2]+C) …(24f)
そして、サンプリング間隔を短く設定することにより、3サンプリング間の温度変化による振幅の変化がないとみなすとともに、3サンプリング間において、両磁気センサ71,72が共に同じ1つの磁極を検出しているとみなすと、前記式(24a)〜(24f)は前記式(27a)〜(27f)で表される。
S1[n-1]=A1sin(E(i)・θ[n-1]) …(27b)
S1[n-2]=A1sin(E(i)・θ[n-2]) …(27c)
S2[n]=A2sin(E(i)・θ[n]+C) …(27d)
S2[n-1]=A2sin(E(i)・θ[n-1]+C) …(27e)
S2[n-2]=A2sin(E(i)・θ[n-2]+C) …(27f)
これらの6つの式から、E(i)・Cを求めるための演算式を導くことができる。E(i)・Cを求めるための演算式は、次式(35)となる。
前記式(26)を変形すると、θerr(i)=180/E(i)−180となる。この式を前記式(36) に代入すると、次式(37)となる。
図13は、相対的極番号の設定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
ステップS56では、第1の位相差演算部77Dは、「S1≧0かつS2>0」または「S1≦0かつS2<0」の条件を満たしているか否かを判別する。この条件を満たしている場合には(ステップS56:YES)、第1の位相差演算部77Dは、第2磁気センサ72が検出している磁極の極番号は、第1磁気センサ71が検出している磁極の極番号と同じであると判別し、第2相対的極番号r2に第1相対的極番号r1と同じ番号(r2=r1)を設定する(ステップS57)。そして、図11のステップS36に移行する。
図14において、Q1およびQ4で示す領域においては、第2磁気センサ72が検出している磁極の極番号は、第1磁気センサ71が検出している磁極の極番号と同じである。一方、Q2,Q3,Q5およびQ6で示す領域においては、第2磁気センサ72が検出している磁極の極番号は、第1磁気センサ71が検出している磁極の極番号より1だけ大きい。
ステップS34では、第1の位相差演算部77Dは、メモリに記憶されているセンサ値S1,S2に基づいて、センサ値S1,S2毎に、センサ値の符号が反転するゼロクロスを検出したか否かを判別する。ゼロクロスが検出されなかったときには(ステップS34:NO)、第1の位相差演算部77Dは、ステップS36に移行する。
ゼロクロスが検出された出力信号が第2出力信号S2である場合には、「第2出力信号S2の前回値が0より大きくかつその今回値が0以下であり、第1出力信号S1が0より大きい」という条件、または「第2出力信号S2の前回値が0未満でかつその今回値が0以上であり、第1出力信号S1が0より小さい」という条件を満たしている場合には、回転方向は正方向(図6に矢印で示す方向)であると判定される。一方、「第2出力信号S2の前回値が0以上でかつその今回値が0未満であり、第1出力信号S1が0より小さい」という条件、または「第2出力信号S2の前回値が0以下でかつその今回値が0より大きく、第1出力信号S1が0より大きい」という条件を満たしている場合には、回転方向は逆方向であると判定される。
図15Aおよび図15Bは、第1の位相差演算部77Dによって実行される位相差演算処理の他の例の手順を示すフローチャートである。図15Aおよび図15Bにおいて、図11に示された各ステップと同様の処理が行われるステップには、図11中と同一参照符号を付して示す。
図15Aおよび図15Bの位相差演算処理では、ステップS33の相対的極番号の設定処理が終了したとき、ステップS34のゼロクロス検出処理においてゼロクロスが検出されなかったとき、またはステップS35の相対的極番号の更新処理が終了したときには、第1の位相差演算部77DはステップS41に移行する。
ステップS41において、第1相対的番号r1と第2相対的番号r2とが等しいと判別された場合には(ステップS41:YES)、第1の位相差演算部77Dは、メモリのエリアe1内の記憶場所のうち、現在設定されているr1(=r2)の値に対応する記憶場所に既にE(i)・Cの値が既に記憶されているか否かを判別する(ステップS42)。前記記憶場所に既にE(i)・Cの値が既に記憶されている場合には(ステップS42:YES)、第1の位相差演算部77DはステップS31に戻る。ステップS42において、前記記憶場所に既にE(i)・Cの値が既に記憶されていないと判別された場合には(ステップS42:NO)、第1の位相差演算部77Dは、ステップS36に移行する。
Claims (5)
- 回転体の回転に応じて回転し、複数の磁極を有する多極磁石と、
前記多極磁石の回転に応じて、互いに所定の位相差を有する正弦波信号をそれぞれ出力する2つの磁気センサと、
前記2つの磁気センサの出力信号を用いて、前記位相差を演算する位相差演算手段とを含み、
一方の第1磁気センサの出力信号S1を、その振幅をA1、前記第1磁気センサが検出している磁極の磁極幅誤差補正値をE1、前記回転体の回転角をθとして、S1=A1sin(E1θ)で表し、他方の第2磁気センサの出力信号S2を、その振幅をA2、前記第2磁気センサが検出している磁極の磁極幅誤差補正値をE2、前記第1磁気センサの出力信号S1との位相差をCとして、S2=A2sin(E2θ+C)で表し、前記多極磁石の磁極数をmとし、各磁極に対応する磁極幅誤差補正値をE(i)(iは磁極を相対的に識別するための1からmまでの自然数)で表すと、
前記位相差演算手段は、
前記回転体が回転しているときにおいて、前記両磁気センサが共に同じ1つの任意の磁極を検出している間の3つの異なるタイミングでサンプリングされた6つの出力信号を用いて当該任意の磁極に対応するE(i)・Cの値を演算する処理を、全ての磁極に対応するE(i)・Cの値が演算されるまで行う第1演算手段と、
前記第1演算手段によって演算された全ての磁極に対応するE(i)・Cの値と、前記多極磁石の磁極数mとを用いて、前記位相差Cを演算する第2演算手段とを含む、位相差検出装置。 - nを今回のサンプリング周期番号として、前記6つの出力信号を次式(a1)〜(a6)で表すと、前記第1演算手段は、次式(b)に基づいて前記任意の磁極のE(i)・Cの値を演算するように構成されている、請求項1に記載の位相差検出装置。
S1[n]=A1sin(E(i)・θ[n]) …(a1)
S1[n-1]=A1sin(E(i)・θ[n-1]) …(a2)
S1[n-2]=A1sin(E(i)・θ[n-2]) …(a3)
S2[n]=A2sin(E(i)・θ[n]+C) …(a4)
S2[n-1]=A2sin(E(i)・θ[n-1]+C) …(a5)
S2[n-2]=A2sin(E(i)・θ[n-2]+C) …(a6)
- 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差検出装置と、
前記2つの磁気センサにおける2つの異なるタイミングでサンプリングされた4つの出力信号と、前記位相差検出装置によって検出された位相差Cとを用いて、前記回転体の回転角を演算する回転角演算手段とを含む、回転角検出装置。 - 前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の位相差検出装置と、
前記2つの磁気センサにおける3つの異なるタイミングでサンプリングされた6つの出力信号と、前記位相差検出装置によって検出された位相差Cとを用いて、前記回転体の回転角を演算する回転角演算手段とを含む、回転角検出装置。
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