図1は、本発明の第1実施例であるツインレゾルバ式トルクセンサ10を備える電動パワーアシスト装置12の構成図を示す。図2は、本実施例のツインレゾルバ式トルクセンサ10によるトルク検出原理を説明するための図を示す。また、図3は、本実施例の電動パワーアシスト装置12の有する演算装置の内部ブロック図を示す。
本実施例の電動パワーアシスト装置12は、車両操舵のためのステアリング系に搭載される。このステアリング系は、車両運転者により操作されるステアリングホイール14に接続するステアリングシャフト16と、ステアリングシャフト16に設けられたピニオン18と、ピニオン18に係合するラック20と、ラック20の両端にボールジョイント、タイロッド、及びナックルアームを介して連結された車輪と、を有している。
上記の構成において、車両運転者によりステアリングホイール14が操作されると、それに伴ってピニオン18が回転し、ラック20が車幅方向に沿って長手方向に変位する。ラック20が車幅方向に沿って変位すると、タイロッド及びナックルアームが動作し、車輪が転舵される。すなわち、ステアリング系は、ピニオン18の回転運動をラック20の長手方向の直進運動に変換することで、運転者によるステアリング操作により車輪を転舵させる機能を有している。
電動パワーアシスト装置12は、車両運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるべく、車両運転者がステアリングホイール14を操作して車輪を転舵させる際に必要なトルクを電動モータを用いてアシストする電動パワーステアリングシステムである。ステアリングシャフト16は、ステアリングホイール14側に固定される入力シャフト22と、ラック20側に連結する出力シャフト24と、入力シャフト22と出力シャフト24との間に介在するトーションバー26と、により構成されている。トーションバー26は、ステアリングホイール14に加わる操舵トルクに応じたねじれを生ずる。尚、トーションバー26のねじれ角は、機械的なストッパにより所定の範囲内に制限される。
電動パワーアシスト装置12は、ステアリングホイール14に加わる操舵トルクを検出するためのツインレゾルバ式トルクセンサ(以下、単にトルクセンサと称す)10を備えている。トルクセンサ10は、入力シャフト22の回転角θ1と出力シャフト24の回転角θ2との角度差Δθ(=θ1−θ2)、すなわち、トーションバー26のねじれ角Δθに応じた信号を出力する。トーションバー26のねじれ角Δθは、運転者がステアリングホイール14を操作した際にステアリングホイール14に加わる操舵トルクに対応する。従って、トルクセンサ10は、運転者によるステアリング操作によりステアリングホイール14に加わる操舵トルクに応じた信号を出力する。
電動パワーアシスト装置12は、また、操舵トルクの検出演算や目標モータ電流の算出演算などの各種演算を行う演算装置30を備えている。演算装置30には、上記したトルクセンサ10が接続されている。トルクセンサ10の出力信号は、演算装置30に供給される。演算装置30は、マイクロコンピュータを主体に構成された電子制御ユニットである。演算装置30は、トルクセンサ10の出力信号に基づいてトーションバーのねじれ角Δθを検出し、そのねじれ角Δθの大きさにトーションバーのバネ定数を乗算することによりステアリングホイール14に加わる操舵トルクTを検出する。
電動パワーアシスト装置12は、また、電動モータ32を備えている。電動モータ32は、例えば三相交流モータである。電動モータ32は、ラック20を覆う車体側のハウジングに固定されたステータと、ラック20に係合してハウジングにベアリングを介して回転可能に支持されたロータと、を有している。電動モータ32において、ステータの励磁によりロータが回転すると、ラック20が車幅方向に沿って長手方向に変位する。すなわち、電動パワーアシスト装置12において、電動モータ32は、その回転駆動によりラック20を車幅方向に沿って変位させるトルク(すなわち、運転者による操舵トルクをアシストするアシストトルク)を発生する。
電動モータ32の各相にはそれぞれ、演算装置30が接続されている。演算装置30は、トルクセンサ10により検出される操舵トルクTに基づいてラック20に付与すべきアシストトルクを演算する。具体的には、操舵トルクTに比例するアシストトルクを演算する。尚、この演算されるアシストトルクは、車速に応じたものであってもよく、具体的には車速が大きいほど小さくされてもよい。演算装置30は、アシストトルクを演算すると、そのアシストトルクがラック20に付与されるように電動モータ32を駆動するために必要な目標モータ電流を算出する。そして、電動モータ32にその目標モータ電流が流れるように電源34から電動モータ32へ電力を供給する。
演算装置30は、電動モータ32の制御方式の簡素化を図るべく、三相交流の電流や電圧を2軸で表したdq変換を行う。電動モータ32のステータコイルに流す電流制御においては、ロータと共に回転するd−q座標系で表した電流値が用いられる。このd−q座標系において、d軸はモータロータに取り付けられた磁石により磁束が流れる方向であり、また、q軸はd軸に直交する方向である。ステータコイルに流れる電流のうちd軸成分を表すd軸電流は磁束生成を行う成分であり、また、q軸成分を表すq軸電流は回転トルクを発生させる成分である。演算装置30は、電動モータ32の各相に目標のモータ電流が流れるように電動モータ32への電圧印加を指令する。
上記の構成において、車両乗員によりステアリングホイール14が操作されると、その操舵トルクTに応じたアシストトルクがラック20に付与されるように電動モータ32が駆動される。具体的には、電動モータ32の駆動は、操舵トルクTが大きいほど大きなアシストトルクが発生するように行われる。また、このアシストトルクは、車両の車速に応じた値であってもよく、具体的には、車速が大きいほど小さくなるように設定されてもよい。従って、本実施例の電動パワーアシスト装置12によれば、電動モータ32を用いて車両乗員によるステアリング操作の負担を軽減することができる。
本実施例において、トルクセンサ10は、ステアリングホイール14に加わる操舵トルクを検出するためのレゾルバ40を備えている。具体的には、トルクセンサ10は、入力シャフト22の回転角θ1に応じた信号を出力する第1レゾルバ42と、出力シャフト24の回転角θ2に応じた信号を出力する第2レゾルバ44とを有している。すなわち、レゾルバ40は、第1レゾルバ42と第2レゾルバ44とからなる。
第1レゾルバ42は、入力シャフト22が車体側に対して機械的に一回転する過程においてm周期(例えば、5周期等)の信号、すなわち、機械角360°/mごとに同一レベルの信号を出力するように構成されている。この点、第1レゾルバ42の出力信号は、軸倍角がmxとなる信号である。また、第2レゾルバ44は、出力シャフト24が車体側に対して機械的に一回転する過程においてn周期(例えば、6周期等)の信号、すなわち、機械角360°/nごとに同一レベルの信号を出力するように構成されている。この点、第2レゾルバ44の出力信号は、軸倍角がnxとなる信号である。尚、上記の値m及び値nは互いに異なる値であることが望ましい。
各レゾルバ42,44はそれぞれ、図2に示す如く、一定周波数の励磁信号が印加される励磁コイル46、並びに、励磁コイル46への励磁信号の印加により信号を発生するsinコイル48及びcosコイル50を備えている。sinコイル48とcosコイル50とは、互いに直交する向きに延在する。sinコイル48及びcosコイル50はそれぞれ、励磁コイル46に一定周波数の励磁信号(=A・sinωt)が供給された際に、対象の回転角度位置θ(すなわち、θ1やθ2)に応じた正弦波状の電流,電圧を発する。具体的には、sinコイル48は、対象の回転角度位置θに応じて振幅が正弦波状に変化する正弦波信号(sin相出力;=a・sinωt・sinθ)を出力し、また、cosコイル50は、対象の回転角度位置θに応じて振幅が余弦波状に変化する余弦波信号(cos相出力;=a・sinωt・cosθ)を出力する。この際、sinコイル48とcosコイル50とは、機械角360°/m又は360°/nを一周期として、互いに電気角90°だけ位相のずれた電気信号を出力する。
演算装置30は、入力側回転角検出部52と、出力側回転角検出部54と、を有している。入力側回転角検出部52は、第1レゾルバ42のsinコイル48及びcosコイル50に接続されており、そのsinコイル48から供給される正弦波信号sinθ1及びcosコイル50から供給される余弦波信号cosθ1に基づいて入力シャフト22の回転角θ1を検出する。また、出力側回転角検出部54は、第2レゾルバ44のsinコイル48及びcosコイル50に接続されており、そのsinコイル48から供給される正弦波信号sinθ2及びcosコイル50から供給される余弦波信号cosθ2に基づいて出力シャフト24の回転角θ2を検出する。
演算装置30は、また、トルク検出部56と、目標モータ電流算出部58と、を有している。トルク検出部56は、入力側回転角検出部52の出力及び出力側回転角検出部54の出力に接続されており、入力側回転角検出部52において検出された入力シャフト22の回転角θ1と出力側回転角検出部54において検出された出力シャフト24の回転角θ2との角度差(回転角差)を算出し、その角度差をトーションバー26のねじれ角Δθとして検出する。そして、そのねじれ角Δθの大きさにトーションバーのバネ定数を乗算することによりステアリングホイール14に加わる操舵トルクTを検出する。目標モータ電流算出部58は、トルク検出部56の出力に接続されており、その検出された操舵トルクTに基づいて適切なアシストトルクがラック20に付与されるように電動モータ32を駆動するために必要な目標モータ電流(具体的には、q軸電流)を算出する。
図4は、本実施例においてレゾルバ40が正常である場合に検出される操舵トルクの一例の時間波形を表した図を示す。また、図5は、本実施例においてレゾルバ40の第1及び第2レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が発生した場合に実現される処理の流れを表した図を示す。尚、図5には、第1レゾルバ42の余弦波信号cosθ1に異常が発生した状態が示されている。
本実施例において、演算装置30は、レゾルバ40の第1及び第2レゾルバ42,44の正弦波信号(sin相出力)sinθ1,sinθ2及び余弦波信号(cos相出力)cosθ1,cosθ2の異常有無を判定する。例えば、レゾルバ42,44の各相の出力が“0”近傍の所定範囲内になく所定しきい値を超えている場合は、レゾルバ42,44が正常状態にあると判定し、一方、その出力が“0”近傍の所定範囲内にあり所定しきい値を下回る場合は、レゾルバ42,44の何れかの出力信号に断線異常が生じていると判定する。
ここで、上記の手法を用いてレゾルバ42,44の出力の異常が検知された場合に、対象の回転角θ1,θ2が検出・推定されないものとすると、かかる異常に起因して電動モータ32を用いたアシストトルクを発生させることが不可能となる。そこで、本実施例のシステムは、レゾルバ42,44の各正弦波信号及び各余弦波信号のうち何れか一の信号に断線異常が発生しても、電動モータ32を用いたアシストトルクを発生させる制御を継続すべく、その異常が生じたレゾルバ42,44による対象の回転角を精度よく検出することとしている。以下、本実施例のシステムの特徴部について説明する。
本実施例において、演算装置30は、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が生じていると判定すると、予め定められた規則に従って、その異常が生じた出力信号の出力値を他の出力信号の出力値で代替する処理を行う。具体的には、入力シャフト22側の第1レゾルバ42の出力信号sinθ1,cosθ1に異常が生じた場合は出力シャフト24側の第2レゾルバ44の出力信号sinθ2,cosθ2で代替し、一方、出力シャフト24側の第2レゾルバ44の出力信号sinθ2,cosθ2に異常が生じた場合は入力シャフト22側の第1レゾルバ42の出力信号sinθ1,cosθ1で代替する。例えば、第1レゾルバ42の余弦波信号cosθ1に異常が発生した場合は、図5に示す如く、その第1レゾルバ42の余弦波信号cosθ1の出力値を第2レゾルバ44の余弦波信号cosθ2の出力値で代替する。
第1レゾルバ42の出力信号sinθ1,cosθ1に異常が生ずると、演算装置30の入力側回転角検出部52は、代替値を用いて、入力シャフト22の回転角θ1として回転角θ1´を推定する。例えば、図5に示す如く、第1レゾルバ42の余弦波信号cosθ1に異常が発生している場合は、第1レゾルバ42の正弦波信号sinθ1と代替値である第2レゾルバ44の余弦波信号cosθ2とに基づいて入力シャフト22の回転角θ1´を推定する。この場合、トルク検出部56は、基準検出部56aにて、その推定した入力シャフト22の回転角θ1´と、第2レゾルバ44の出力信号に基づいて検出した出力シャフト24の回転角θ2と、の角度差をトーションバー26のねじれ角Δθ´として推定し、操舵トルクT´を推定する。
また、第2レゾルバ44の出力信号sinθ2,cosθ2に異常が生ずると、演算装置30の出力側回転角検出部54は、代替値を用いて、出力シャフト24の回転角θ2として回転角θ2´を推定する。例えば、第2レゾルバ44の正弦波信号sinθ2に異常が発生している場合は、第2レゾルバ44の余弦波信号cosθ2と代替値である第1レゾルバ42の正弦波信号sinθ1とに基づいて出力シャフト24の回転角θ2´を推定する。この場合、トルク検出部56は、基準検出部56aにて、第1レゾルバ42の出力信号に基づいて検出した入力シャフト22の回転角θ1と、その推定した出力シャフト24の回転角θ2´と、の角度差をトーションバー26のねじれ角Δθ´として推定し、操舵トルクT´を推定する。
レゾルバ42,44のすべての出力信号の何れにも異常が生じていない場合、トルク検出部56で検出される操舵トルクTは、0°〜360°の電気角範囲全体において落ち込みが生ずることは無い(図4)。一方、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れかの出力信号に異常が生じている場合、トルク検出部56で推定される推定操舵トルクT´は、0°〜360°の電気角範囲において落ち込みが生ずる(図5)。
具体的には、異常発生に伴って正弦波信号sinθ1又はsinθ2が代替された場合は、0°及び180°の電気角近傍において推定操舵トルクT´の落ち込みが生じ、電気角0°及び180°で推定操舵トルクT´がゼロとなる。また、異常発生に伴って余弦波信号cosθ1又はcosθ2が代替された場合は、90°及び270°の電気角近傍において推定操舵トルクT´の落ち込みが生じ、電気角90°及び270°で推定操舵トルクT´がゼロとなる。これら推定操舵トルクT´の落ち込みの波形は、異常が生じた出力信号を正常な出力信号のうち同じ正弦波信号又は余弦波信号で代替したことに起因して、電気角に対して正弦波状に形成される。
これに対して、演算装置30は、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が生じたと判定した場合、その異常が生じた出力信号が正弦波信号(sin相出力)であるか或いは余弦波信号(cos相出力)であるかを判定すると共に、正弦波信号及び余弦波信号が共に正常であるレゾルバ44,42の出力信号に基づいて出力シャフト24又は入力シャフト22の回転角θ2又はθ1を検出するうえで、その正常なレゾルバ44,42における電気角を検出する。
演算装置30は、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の正弦波信号である場合は、検出した電気角が、0°の電気角近傍範囲又は180°の電気角近傍範囲内にあるか否かを判別し、一方、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の余弦波信号である場合は、検出した電気角が、90°の電気角近傍範囲又は270°の電気角近傍範囲内にあるか否かを判別する。尚、この「近傍」とは、基準値に対して予め定められた上下範囲を示すものであって、例えば±10°などに設定されている。
図6は、本実施例においてレゾルバ42,44のすべての出力信号のうちの一の出力信号の異常時に行われる補間処理を説明するための図を示す。また、図7は、本実施例における補間処理の効果を説明するための図を示す。
演算装置30は、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が生じたと判定した場合に、上記の如く、基準検出部56aにて、回転角θ1と回転角θ2´との角度差に基づいて或いは回転角θ1´と回転角θ2との角度差に基づいて操舵トルクT´を推定すると、次に、補間部56bにて、その推定操舵トルクT´をゲイン補正する。この補間部56bにおける推定操舵トルクT´のゲイン補正は、得られる操舵トルクTが正弦波状に落ち込むのを抑制すべく電気角に応じてゲインGを変化させて行われる。
具体的には、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の正弦波信号である場合は、ゲインGは、電気角0°近傍から180°近傍にかけては0°近傍から90°までは徐々に“1”に向けて小さくなりかつ90°から180°近傍までは“1”から徐々に大きくなり電気角180°近傍で非常に大きくなり、また、電気角180°近傍から360°(=0°)近傍にかけては180°近傍から270°までは徐々に“1”に向けて小さくなりかつ270°から360°近傍までは“1”から徐々に大きくなり電気角360°近傍で非常に大きくなる。
一方、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の余弦波信号である場合は、ゲインGは、図6に示す如く、電気角0°から90°近傍にかけては“1”から徐々に大きくなり電気角90°近傍で非常に大きくなり、電気角90°近傍から270°近傍にかけては90°近傍から180°までは徐々に“1”に向けて小さくなりかつ180°から270°近傍までは“1”から徐々に大きくなり電気角270°近傍で非常に大きくなり、また、電気角270°近傍から360°(=0°)にかけては徐々に“1”に向けて小さくなる。
このように補間部56bにて推定操舵トルクT´のゲイン補正が行われると、推定操舵トルクT´が検出電気角に応じて補間されることで、正弦波状に落ち込むのが抑制された操舵トルクTが得られることとなる(T=G・T´)。このため、本実施例によれば、レゾルバ42,44の何れかの出力信号が上記の如く代替されても、得られる操舵トルクTが正弦波状に落ち込むのは抑制される。
また、演算装置30は、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の正弦波信号である場合において、検出電気角が0°の電気近傍範囲又は180°の電気近傍範囲内にないと判別するときは、補間部56bにて上記のゲイン補正を行う。一方、検出電気角が0°の電気角近傍範囲又は180°の電気角近傍範囲内にあると判別するときは、補間部56bにて、基準検出部56aからの推定操舵トルクT´を用いることなく操舵トルクTの検出を行う。具体的には、基準検出部56aからの推定操舵トルクT´を所定値で置換し、例えば、電気角がその0°の電気角近傍範囲又は180°の電気角近傍範囲に入る直前に得られた操舵トルクTの値(前回値)を保持し或いはその前回値を更に補正して、今回の操舵トルクTとして検出する。
演算装置30は、また、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の余弦波信号である場合において、検出電気角が90°の電気近傍範囲又は270°の電気近傍範囲内にないと判別するときは、補間部56bにて上記のゲイン補正を行う。一方、検出電気角が90°の電気角近傍範囲又は270°の電気角近傍範囲内にあると判別するときは、補間部56bにて、基準検出部56aからの推定操舵トルクT´を用いることなく操舵トルクTの検出を行う。具体的には、基準検出部56aからの推定操舵トルクT´を所定値で置換し、例えば、電気角がその90°の電気角近傍範囲又は270°の電気角近傍範囲に入る直前に得られた操舵トルクTの値(前回値)を保持し或いはその前回値を更に補正して、今回の操舵トルクTとして検出する。
このように補間部56bにて、推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍では、ゼロを超える前回値などが操舵トルクTとして用いられる。このため、本実施例によれば、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号が異常に起因して上記の如く正常な出力信号のうち同じ正弦波信号又は余弦波信号で代替された場合に、推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍においても、得られる操舵トルクTがゼロとなるのは回避される(図7参照)。
トルク検出部56は、レゾルバ42,44の何れかの出力信号に異常が生じた場合に補間部56bにて操舵トルクTを検出すると、その操舵トルクTの値を目標モータ電流算出部58に向けて出力する。そして、目標モータ電流算出部58は、その操舵トルクTに基づいて電動モータ32を駆動するための目標モータ電流を算出する。
従って、本実施例によれば、一対のレゾルバ42,44の出力信号のうち一つのレゾルバ42,44の正弦波信号(sin相出力)に断線などの異常が生じた場合は、0°及び180°の電気角近傍で、目標モータ電流を算出するうえで用いられる操舵トルクTがゼロ近傍の小さい値となるのを回避することができ、また、何れかのレゾルバ42,44の余弦波信号(cos相出力)に断線などの異常が生じた場合は、90°及び270°の電気角近傍で、目標モータ電流を算出するうえで用いられる操舵トルクTがゼロ近傍の小さい値となるのを回避することができる。
この点、本実施例のトルクセンサ10によれば、一対のレゾルバ42,44の出力信号の何れか一つで異常が生じた場合にも、0°〜360°の電気角範囲全体で操舵トルクTをある程度精度良く検出することが可能である。また、0°〜360°の電気角範囲全体で、得られる操舵トルクTが過大となるのは回避される。このため、検出操舵トルクTに基づく目標モータ電流を0°〜360°の電気角範囲全体である程度精度良く求めることができ、その結果として、電動モータ32を用いて運転者によるステアリング操作をアシストするアシストトルクを発生させることができ、電動モータ32を用いた運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるアシスト制御を暫定的に継続させることが可能である。
尚、上記の第1実施例においては、演算装置30のトルク検出部56が特許請求の範囲に記載した「トルク検出手段」に、演算装置30がレゾルバ42,44のすべての出力信号のうち異常が生じた一の出力信号の出力値を他の出力信号の出力値で代替することが特許請求の範囲に記載した「代替手段」に、補間部56bが推定操舵トルクT´のゲイン補正を行うことが特許請求の範囲に記載した「ゲイン補正手段」に、補間部56bが推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍で推定操舵トルクT´を前回値などで置換することが特許請求の範囲に記載した「置換手段」に、補間部56bがゲイン補正により得た値、及び、推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍で置換されて得た値を操舵トルクTとして検出することが特許請求の範囲に記載した「補間後トルク検出手段」に、それぞれ相当している。
上述した第1実施例では、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうちの一の出力信号が代替された後に推定される推定操舵トルクT´を補間することとした。これに対して、本発明の第2実施例は、上記図1〜図3に示す構成において、トルク検出部56での推定操舵トルクT´の補間に代えて目標モータ電流算出部58での目標モータ電流の補間を行うことにより実現される。
図8は、本実施例においてレゾルバ40の第1及び第2レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が発生した場合に実現される処理の流れを表した図を示す。尚、図8には、第1レゾルバ42の余弦波信号cosθ1に異常が発生した状態が示されている。
本実施例において、演算装置30は、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が生じていると判定すると、上記した第1実施例と同様に、予め定められた規則に従って、その異常が生じた出力信号の出力値を他の出力信号の出力値で代替する処理を行う。具体的には、第1レゾルバ42の出力信号sinθ1,cosθ1に異常が生ずると、演算装置30の入力側回転角検出部52は、代替値を用いて、入力シャフト22の回転角θ1として回転角θ1´を推定し、トルク検出部56は、その推定した入力シャフト22の回転角θ1´と、第2レゾルバ44の出力信号に基づいて検出した出力シャフト24の回転角θ2と、の角度差をトーションバー26のねじれ角Δθとして検出し、操舵トルクTを検出する。また、第2レゾルバ44の出力信号sinθ2,cosθ2に異常が生ずると、演算装置30の出力側回転角検出部54は、代替値を用いて、出力シャフト24の回転角θ2として回転角θ2´を推定し、トルク検出部56は、第1レゾルバ42の出力信号に基づいて検出した入力シャフト22の回転角θ1と、その推定した出力シャフト24の回転角θ2´と、の角度差をトーションバー26のねじれ角Δθとして検出し、操舵トルクTを検出する。
演算装置30は、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が生じたと判定した場合、その異常が生じた出力信号が正弦波信号(sin相出力)であるか或いは余弦波信号(cos相出力)であるかを判定すると共に、正弦波信号及び余弦波信号が共に正常であるレゾルバ44,42の出力信号に基づいて出力シャフト24又は入力シャフト22の回転角θ2又はθ1を検出するうえで、その正常なレゾルバ44,42における電気角を検出する。
演算装置30は、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の正弦波信号である場合は、検出した電気角が、0°の電気角近傍範囲又は180°の電気角近傍範囲内にあるか否かを判別し、一方、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の余弦波信号である場合は、検出した電気角が、90°の電気角近傍範囲又は270°の電気角近傍範囲内にあるか否かを判別する。尚、この「近傍」とは、基準値に対して予め定められた上下範囲を示すものであって、例えば±10°などに設定されている。
図9は、本実施例においてレゾルバ42,44のすべての出力信号のうちの一の出力信号の異常時に行われる補間処理を説明するための図を示す。また、図10は、本実施例における補間処理の効果を説明するための図を示す。
トルク検出部56で検出された操舵トルクTの情報は、目標モータ電流算出部58に供給される。演算装置30は、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が生じたと判定した場合、目標モータ電流算出部58にて、まず、トルク検出部56からの操舵トルクTに基づいて適切なアシストトルクがラック20に付与されるように電動モータ32を駆動するために必要な基準となる目標モータ電流Ibaseを算出する。そして、その基準目標モータ電流Ibaseをゲイン補正する。この基準目標モータ電流Ibaseのゲイン補正は、得られる目標モータ電流Iが操舵トルクTの正弦波状の落ち込みに伴って正弦波状に落ち込むのを抑制すべく電気角に応じてゲインGを変化させて行われる。
具体的には、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の正弦波信号である場合は、ゲインGは、電気角0°近傍から180°近傍にかけては0°近傍から90°までは徐々に“1”に向けて小さくなりかつ90°から180°近傍までは“1”から徐々に大きくなり電気角180°近傍で非常に大きくなり、また、電気角180°近傍から360°(=0°)近傍にかけては180°近傍から270°までは徐々に“1”に向けて小さくなりかつ270°から360°近傍までは“1”から徐々に大きくなり電気角360°近傍で非常に大きくなる。
一方、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の余弦波信号である場合は、ゲインGは、電気角0°から90°近傍にかけては“1”から徐々に大きくなり電気角90°近傍で非常に大きくなり、電気角90°近傍から270°近傍にかけては90°近傍から180°までは徐々に“1”に向けて小さくなりかつ180°から270°近傍までは“1”から徐々に大きくなり電気角270°近傍で非常に大きくなり、また、電気角270°近傍から360°(=0°)にかけては徐々に“1”に向けて小さくなる。
このように目標モータ電流算出部58にて基準目標モータ電流Ibaseのゲイン補正が行われると、基準目標モータ電流Ibaseが検出電気角に応じて補間されることで、正弦波状に落ち込むのが抑制された目標モータ電流Iが得られることとなる(I=G・Ibase)。このため、本実施例によれば、レゾルバ42,44の何れかの出力信号が上記の如く代替されることで得られる操舵トルクTが正弦波状に落ち込んでも、電動モータ32に供給すべき目標モータ電流Iが正弦波状に落ち込むのは抑制される。
また、演算装置30は、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の正弦波信号である場合において、検出電気角が0°の電気近傍範囲又は180°の電気近傍範囲内にないと判別するときは、目標モータ電流算出部58にて上記のゲイン補正を行う。一方、検出電気角が0°の電気角近傍範囲又は180°の電気角近傍範囲内にあると判別するときは、目標モータ電流算出部58にて、操舵トルクTに基づく基準目標モータ電流Ibaseを用いることなく目標モータ電流Iの算出を行う。具体的には、トルク検出部56からの操舵トルクTに基づく基準目標モータ電流Ibaseを所定値で置換し、例えば、電気角がその0°の電気角近傍範囲又は180°の電気角近傍範囲に入る直前に得られた目標モータ電流Iの値(前回値)を保持し或いはその前回値を更に補正して、今回の目標モータ電流Iとして算出する。
演算装置30は、また、異常が生じた出力信号がレゾルバ42又は44の余弦波信号である場合において、検出電気角が90°の電気近傍範囲又は270°の電気近傍範囲内にないと判別するときは、目標モータ電流算出部58にて上記のゲイン補正を行う。一方、検出電気角が90°の電気角近傍範囲又は270°の電気角近傍範囲内にあると判別するときは、目標モータ電流算出部58にて、操舵トルクTに基づく基準目標モータ電流Ibaseを用いることなく目標モータ電流Iの算出を行う。具体的には、トルク検出部56からの操舵トルクTに基づく基準目標モータ電流Ibaseを所定値で置換し、例えば、電気角がその90°の電気角近傍範囲又は270°の電気角近傍範囲に入る直前に得られた目標モータ電流Iの値(前回値)を保持し或いはその前回値を更に補正して、今回の目標モータ電流Iとして算出する。
このように目標モータ電流算出部58にて、検出操舵トルクT及び基準目標モータ電流Ibaseがゼロとなる電気角近傍では、ゼロを超える前回値などが目標モータ電流Iとして用いられる。このため、本実施例によれば、レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号が異常に起因して上記の如く正常な出力信号のうち同じ正弦波信号又は余弦波信号で代替された場合に、検出操舵トルクT及び基準目標モータ電流Ibaseがゼロとなる電気角近傍においても、得られる目標モータ電流Iがゼロとなるのは回避される(図10参照)。
従って、本実施例によれば、一対のレゾルバ42,44の出力信号のうち一つのレゾルバ42,44の正弦波信号(sin相出力)に断線などの異常が生じた場合は、0°及び180°の電気角近傍で、算出される目標モータ電流がゼロ近傍の小さい値となるのを回避することができ、また、何れかのレゾルバ42,44の余弦波信号(cos相出力)に断線などの異常が生じた場合は、90°及び270°の電気角近傍で、算出される目標モータ電流がゼロ近傍の小さい値となるのを回避することができる。
この点、本実施例の電動パワーアシスト装置12によれば、一対のレゾルバ42,44の出力信号の何れか一つで異常が生じた場合にも、0°〜360°の電気角範囲全体で目標モータ電流Iをある程度精度良く算出することが可能である。また、0°〜360°の電気角範囲全体で、得られる目標モータ電流Iが過大となるのは回避される。このため、電動モータ32を用いて運転者によるステアリング操作をアシストするアシストトルクを発生させることができ、電動モータ32を用いた運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるアシスト制御を暫定的に継続させることが可能である。また、電動モータ32へのモータ電流の変動量が小さいため、ステアリング操作過程で引っ掛かりが生ずるのを改善することができる。
尚、上記の第2実施例においては、演算装置30のトルク検出部56が特許請求の範囲に記載した「トルク検出手段」に、目標モータ電流算出部58が特許請求の範囲に記載した「目標モータ電流算出手段」に、演算装置30がレゾルバ42,44のすべての出力信号のうち異常が生じた一の出力信号の出力値を他の出力信号の出力値で代替することが特許請求の範囲に記載した「代替手段」に、目標モータ電流算出部58が操舵トルクTに基づく基準目標モータ電流Ibaseのゲイン補正を行うことが特許請求の範囲に記載した「ゲイン補正手段」に、目標モータ電流算出部58が基準目標モータ電流がゼロとなる電気角近傍で基準目標モータ電流Ibaseを前回値などで置換することが特許請求の範囲に記載した「置換手段」に、目標モータ電流算出部58がゲイン補正により得た値、及び、基準目標モータ電流がゼロとなる電気角近傍で置換されて得た値を目標モータ電流として算出することが特許請求の範囲に記載した「補間後目標モータ電流算出手段」に、それぞれ相当している。
上述した第1及び第2実施例では、操舵トルクTに比例したアシストトルクが演算され、そのアシストトルクがラック20に付与されるように電動モータ32を駆動するために必要な目標モータ電流を算出し、電動モータ32にその目標モータ電流が流れるようにアシスト制御が実施される。これに対して、本発明の第3実施例は、上記図1〜図3に示す構成において、操舵トルクTに応じて目標操舵角速度を求め、実際の操舵角速度がその目標操舵角速度に一致するように電動モータ32に流すべき目標モータ電流を算出し、電動モータ32にその目標モータ電流が流れるようにアシスト制御を実施することにより実現される。
図11は、本実施例においてレゾルバ40の第1及び第2レゾルバ42,44のすべての出力信号のうち何れか一の出力信号に異常が発生した場合に実現される処理の流れを表した図を示す。尚、図11には、第1レゾルバ42の余弦波信号cosθ1に異常が発生した状態が示されている。図12は、本実施例においてレゾルバ42,44のすべての出力信号のうちの一の出力信号の異常時に行われる補間処理を説明するための図を示す。また、図13は、本実施例における補間処理の効果を説明するための図を示す。
本実施例において、演算装置30は、上記第1実施例のものと同様に、トルク検出部56にて操舵トルクTを検出する。一対のレゾルバ42,44の出力信号の何れか一つで異常が生じた場合にも、操舵トルクTを上記の如くゲイン補正などを施して補間する。そして、その操舵トルクTの値を目標モータ電流算出部58に向けて出力する。目標モータ電流算出部58は、その操舵トルクTに基づいて電動モータ32を駆動するための目標モータ電流を算出する。
具体的には、目標モータ電流算出部58は、まず、トルク検出部56からの操舵トルクTに応じて、ステアリングシャフト16などのステアリング系の目標操舵角速度を求める。トルク検出部56からの操舵トルクTが予め定められた閾値以上であるか否かを判別し、目標操舵角速度の初期値をゼロとして、操舵トルクがその閾値以上であると判別したときは目標操舵角速度を所定量だけインクリメントし、一方、操舵トルクがその閾値未満であると判別したときは目標操舵角速度を所定量だけディクリメントする。
目標モータ電流算出部58には、ステアリング系に実際に生じている操舵角速度の情報が入力される。目標モータ電流算出部58は、上記の如く算出した目標操舵角速度に実際の操舵角速度が一致するように、電動モータ32に流すべき目標モータ電流を算出する。
従って、本実施例においても、上記第1実施例と同様に、一対のレゾルバ42,44の出力信号のうち一つのレゾルバ42,44の正弦波信号(sin相出力)に断線などの異常が生じた場合は、0°及び180°の電気角近傍で、目標モータ電流を算出するうえで用いられる操舵トルクTがゼロ近傍の小さい値となるのを回避することができ、また、何れかのレゾルバ42,44の余弦波信号(cos相出力)に断線などの異常が生じた場合は、90°及び270°の電気角近傍で、目標モータ電流を算出するうえで用いられる操舵トルクTがゼロ近傍の小さい値となるのを回避することができる。
この点、本実施例のトルクセンサ10によれば、一対のレゾルバ42,44の出力信号の何れか一つで異常が生じた場合にも、0°〜360°の電気角範囲全体で操舵トルクTをある程度精度良く検出することが可能である。また、0°〜360°の電気角範囲全体で、得られる操舵トルクTが過大となるのは回避される。このため、ステアリング系の操舵角速速度が検出操舵トルクTに基づく目標操舵角速度に一致するようにフィードバック制御を行って目標モータ電流を電動モータ32に流すことで、電動モータ32を用いて運転者によるステアリング操作をアシストするアシストトルクを発生させることができ、電動モータ32を用いた運転者によるステアリング操作の負担を軽減させるアシスト制御を暫定的に継続させることが可能である。また、操舵角速度のフィードバック制御が行われるため、ステアリングシャフト16のハンドル戻りが悪化するのを改善することができる。
尚、上記の第3実施例においては、演算装置30のトルク検出部56が特許請求の範囲に記載した「トルク検出手段」に、演算装置30がレゾルバ42,44のすべての出力信号のうち異常が生じた一の出力信号の出力値を他の出力信号の出力値で代替することが特許請求の範囲に記載した「代替手段」に、補間部56bが推定操舵トルクT´のゲイン補正を行うことが特許請求の範囲に記載した「ゲイン補正手段」に、補間部56bが推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍で推定操舵トルクT´を前回値などで置換することが特許請求の範囲に記載した「置換手段」に、補間部56bがゲイン補正により得た値、及び、推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍で置換されて得た値を操舵トルクTとして検出することが特許請求の範囲に記載した「補間後トルク検出手段」に、それぞれ相当している。
また、上記の第3実施例においては、目標モータ電流算出手段58がトルク検出部56からの操舵トルクTに応じてステアリング系の目標操舵角速度を求めることが特許請求の範囲に記載した「目標回転角速度算出手段」に、目標モータ電流算出部58が実際の操舵角速度がその目標操舵角速度に一致するように電動モータ32に流すべき目標モータ電流を算出することが特許請求の範囲に記載した「目標モータ電流算出手段」に、それぞれ相当している。
また、上記の第3実施例においては、第1実施例と同様にトルク検出部56からの操舵トルクTについてゲイン補正などの補間を行ったうえで、その操舵トルクTに応じて目標操舵角速度を求め、実際の操舵角速度がその目標操舵角速度に一致するように電動モータ32に流すべき目標モータ電流を算出し、電動モータ32にその目標モータ電流が流れるようにアシスト制御を実施する。しかし、ゲイン補正などの補間を行うことなく推定操舵トルクT´に応じて目標操舵角速度を求め、推定操舵トルクT´がゼロとなる電気角近傍において電気角がその電気角近傍範囲に入る直前に得られる目標操舵角速度の値(前回値)を保持し或いはその前回値を更に補正して、今回の目標操舵角速度として検出することとしてもよい。
ところで、上記の第1〜第3実施例においては、ツインレゾルバ式トルクセンサ10及び電動パワーアシスト装置12が車両に搭載されるパワーステアリング系に適用されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、車両以外の他のシステムに適用されるものとしてもよい。