本発明は、感光性樹脂組成物を提供する。感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、ポリシロキサンポリマー(B)と、エチレン性不飽和基含有化合物(C)と、光開始剤(D)と、有機溶媒(E)とを含む。以下、本発明の感光性樹脂組成物に使用する各成分について、詳しく説明する。
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
アルカリ可溶性樹脂(A‐1)
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A)は、式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む。
式(1)において、Aは、フェニレン基を示し、フェニレン基の水素原子は、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、またはフェニル基によって置換されてもよく;Bは、‐CO‐、‐SO2‐、‐C(CF3)2‐、‐Si(CH3)2‐、‐CH2‐、‐C(CH3)2‐、‐O‐、9,9‐フルオレニリデン、または単結合を示し;Lは、四価のカルボン酸残基を示し;Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基を示し;R1、R2、R3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または一価の有機基を示し;Dは、水素原子またはメチル基を示し;Mは、1〜20の整数である。詳しく説明すると、本発明の感光性樹脂組成物がアルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含まない時、感光性樹脂組成物は、高精度パターン直線性が悪く、異物のサイズが比較的大きい。
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)は、少なくとも、成分(a‐1)、成分(a‐2)、および成分(a‐3)を反応させることによって得られる。成分(a‐1)は、重合性不飽和基を含有するジオール化合物であり、成分(a‐2)は、テトラカルボン酸またはその酸二無水物であり、成分(a‐3)は、下記の式(2)で表されるジカルボン酸無水物である。
式(2)において、Y’は、炭素数1〜20の三価の有機基を示し、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または一価の有機基である。
成分(a‐1)は、2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物(a‐1‐i)と、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐1‐ii)を含む混合物を反応させることによって製造される。また、混合物は、他の化合物を含んでもよい。
2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物(a‐1‐i)中の好ましいビスフェノール化合物の例は、例えば、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)メタン、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジブロモフェニル)メタン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)プロパン、2,2‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐クロロフェニル)プロパン、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)エーテル、およびビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)エーテル;および9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ジメチルフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐クロロフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ブロモフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐フルオロフェニル)フルオレン、および9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)フルオレンを含むことができる。
2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物(a‐1‐i)は、例えば、アルカリ金属水酸化物の存在下で、ビスフェノール化合物とエピハロヒドリン(epihalohydrin)を脱ハロゲン化水素反応(dehydrohalogenation reaction)において反応させることによって得ることができる。
エピハロヒドリンの具体例は、3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン(エピクロロヒドリン)(epichlorohydrin)、3‐ブロモ‐1,2‐エポキシプロパン(エピブロモヒドリン)(epibromohydrin)、およびその任意の組み合わせを含む。脱ハロゲン化水素反応を行う前、または行っている間に、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)や水酸化カリウム(potassium hydroxide)等のアルカリ金属水酸化物を添加してもよい。この脱ハロゲン化水素反応の操作温度は、20℃〜120℃であり、その操作時間の範囲は、1時間〜10時間である。
1つの実施形態において、脱ハロゲン化水素反応に添加するアルカリ金属水酸化物は、その水溶液であってもよい。詳しく説明すると、アルカリ金属水酸化物の水溶液を脱ハロゲン化水素反応システムに連続的に添加している時、減圧または常圧下で水とエピハロヒドリンを連続的に蒸留して、水を分離除去することができ、同時に、エピハロヒドリンを反応システムに連続的に回流させることができる。
さらに、脱ハロゲン化水素反応を行う前に、テトラメチルアンモニウムクロリド(tetramethyl ammonium chloride)、テトラメチルアンモニウムブロミド(tetramethyl ammonium bromide)、またはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド(trimethyl benzyl ammonium chloride)等の第四級アンモニウム塩を触媒として添加して、50℃〜150℃で1時間〜5時間反応させてもよく、その後、アルカリ金属水酸化物またはその水溶液を添加して、20℃〜120℃で1時間〜10時間反応させ、脱ハロゲン化水素反応を行う。
ビスフェノール化合物中のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、エピハロヒドリンの使用量は、1当量〜20当量であり、好ましくは、2当量〜10当量である。ビスフェノール化合物中のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、脱ハロゲン化水素反応に添加するアルカリ金属水酸化物の使用量は、0.8当量〜15当量であり、好ましくは、0.9当量〜11当量である。
さらに、脱ハロゲン化水素反応を容易に行うため、メタノールやエタノール等のアルコールの他に、ジメチルスルホン(dimethyl sulfone)やジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)等の非プロトン性(aprotic)極性溶媒も添加して反応を行ってもよい。アルコールを使用する場合、エピハロヒドリンの総量100wt%に対し、アルコールの使用量は、2wt%〜20wt%であり、好ましくは、4wt%〜15wt%である。非プロトン性極性溶媒を使用する場合、エピハロヒドリンの総量100wt%に対し、非プロトン性極性溶媒の使用量は、5wt%〜100wt%であり、好ましくは、10wt%〜90wt%である。
脱ハロゲン化水素反応が完了した後、水洗(rinse)処理を選択的に行ってもよい。その後、例えば、110℃〜250℃の温度および1.3kPa(10mmHg)以下の圧力で減圧蒸留を行うことにより、エピハロヒドリン、アルコール、非プロトン性極性溶媒等を除去する。
形成されるエポキシ樹脂が加水分解性ハロゲンを含まないよう、脱ハロゲン化水素反応後の溶液をベンゼン、トルエン、メチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)等の溶媒に添加してもよく、その後、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を添加して、再度脱ハロゲン化水素反応を行う。脱ハロゲン化水素反応において、ビスフェノール化合物中のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、アルカリ金属水酸化物の使用量は、0.01モル〜1モルであり、好ましくは、0.05モル〜0.9モルである。また、この脱ハロゲン化水素反応の操作温度の範囲は、50℃〜120℃であり、その操作時間の範囲は、30分〜2時間である。
脱ハロゲン化水素反応が完了した後、濾過(filtrating)や水洗(rinsing)等の工程を行って、塩を除去してもよい。さらに、ベンゼン、トルエン、またはメチルイソブチルケトン等の溶媒を減圧蒸留により蒸留し、2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物(a‐l‐i)を得ることができる。
2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物(a‐l‐i)は、好ましくは、式(2‐1)で表される2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物、または式(2‐2)で表される2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物モノマーを重合して形成されたポリマーである。
式(2‐1)および(2‐2)において、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基であり、Bは、‐CO‐、‐SO2‐、‐C(CF3)2‐、‐Si(CH3)2‐、‐CH2‐、‐C(CH3)2‐、‐O‐、9,9‐フルオレニリデン、または単結合を示し、M1は、好ましくは、1〜10の整数であり、より好ましくは、1〜2である。
式(2‐1)で表される2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物は、好ましくは、式(2‐3)で表される2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物である。
式(2‐3)において、R4、R5、R6、R7、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、またはフェニル基である。
式(2‐3)で表される2つのエポキシ基を含むビスフェノール化合物は、例えば、ビスフェノールフルオレン(bisphenol fluorene)系化合物とエピハロヒドリンを反応させることによって得られた2つのエポキシ基を含むビスフェノールフルオレン系化合物である。
ビスフェノールフルオレン系化合物の例は、例えば、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxyphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-methylphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐クロロフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-chlorophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ブロモフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-bromophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐フルオロフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-fluorophenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メトキシフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3-methoxyphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl)fluorene)、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3,5-dichlorophenyl)fluorene)、および9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジブロモフェニル)フルオレン(9,9-bis(4-hydroxy-3,5-dibromophenyl)fluorene)を含むことができる。
エピハロヒドリンの例は、例えば、3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンおよび3‐ブロモ‐1,2‐エポキシプロパンを含むことができる。
2つのエポキシ基を有するビスフェノールフルオレン系化合物は、(1)ESF‐300等の新日鉄化学株式会社製の商品;(2)PG‐100およびEG‐210等の大阪ガス株式会社製の商品;および(3)SMS‐F9PhPG、SMS‐F9CrG、およびSMS‐F914PG等のS.M.S.テクノロジー社製の商品等の市販品を含む。
少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐l‐ii)は、以下の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つである:アクリル酸、メタクリル酸、2‐メタクリロイルオキシエチルブタン二酸(2-methacryloyloxyethylbutanedioic acid)、2‐メタクリロイルオキシブチルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシエチルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシブチルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2‐メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシブチルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルフタル酸、2‐メタクリロイルオキシブチルフタル酸、および2‐メタクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸;水酸基含有(メタ)アクリレートと、アジピン酸、コハク酸、マレイン酸、またはフタル酸を含む(ただし、これらに限定されない)ジカルボン酸を反応させて得られた化合物;(2‐ヒドロキシエチル)アクリレート((2-hydroxyethyl)acrylate)、(2‐ヒドロキシエチルメタクリレート((2-hydroxyethyl)methacrylate)、(2‐ヒドロキシプロピル)アクリレート((2-hydroxypropyl)acrylate)、(2‐ヒドロキシプロピル)メタクリレート((2-hydroxypropyl)methacrylate)、
(4‐ヒドロキシブチル)アクリレート((4-hydroxybutyl)acrylate)、(4‐ヒドロキシブチル)メタクリレート((4-hydroxybutyl)methacrylate)、またはペンタエリスリトールトリメタクリレートを含む(ただし、これらに限定されない)水酸基含有(メタ)アクリレートとカルボン酸無水物化合物を反応させて得られた半エステル化合物。また、カルボン酸無水物化合物は、以下の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つであってもよい:ブタン二酸無水物(butanedioicanhydride)、マイレン酸無水物(maleic anhydride)、イタコン酸無水物(itaconic anhydride)、フタル酸無水物(phthalic anhydride)、テトラヒドロフタル酸無水物(tetrahydrophthalic anhydride)、ヘキサヒドロフタル酸無水物(hexahydrophthalic anhydride)、メチルテトラヒド口フタル酸無水物(methyl tetrahydrophthalic anhydride)、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(methyl hexahydrophthalic anhydride)、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物(methyl endo-methylene tetrahydrophthalic anhydride)、クロレンド酸無水物(chlorendic anhydride)、グルタル酸無水物(glutaric anhydride)、および1,3‐ジオキソイソベンゾフラン‐5‐カルボン酸無水物(1,3-dioxoisobenzofuran-5-carboxylic anhydride)等のジカルボン酸無水物化合物;ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(benzophenone tetracarboxylic dianhydride, BTDA)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、およびジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸無水物化合物。
成分(a‐2)は、飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸、脂環式テトラカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸、およびその酸二無水物からなる群より選ばれた少なくとも1つである。
飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸の例は、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、およびヘキサンテトラカルボン酸を含むことができる。飽和直鎖炭化水素テトラカルボン酸は、置換基を有してもよい。
脂環式テトラカルボン酸の例は、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、およびノルボルナンテトラカルボン酸を含むことができる。脂環式テトラカルボン酸は、置換基を有してもよい。
芳香族テトラカルボン酸の例は、ピロメリット酸(pyromellitic acid)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(benzophenone tetracarboxylic acid)、ビフェニルテトラカルボン酸(biphenyl tetracarboxylic acid)、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、および1,2,3,6‐テトラヒドロフタル酸を含むことができる。
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)において、成分(a‐2)は、好ましくは、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、またはその酸二無水物であり、より好ましくは、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、またはその酸二無水物である。
成分(a‐1)と成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)は、0.2〜1.0であり、好ましくは、0.3〜0.9であり、より好ましくは、0.4〜0.8である。成分(a‐1)と成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.2〜1.0の時、感光性組成物は、高精度パターン直線性が比較的良好である。
成分(a‐3)は、上記の式(2)で表されるジカルボン酸無水物である。さらに、成分(a‐3)は、以下の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つである:トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、メチルジメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリメトキシシリルブチルコハク酸無水物、トリエトキシシリルブチルコハク酸無水物、メチルジエトキシシリルブチルコハク酸無水物、p‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(メチルジメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(メチルジエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、m‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、m‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、およびm‐(メチルジエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物。
成分(a‐3)は、好ましくは、以下の化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つである:トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、p‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、p‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、m‐(トリメトキシシリル)フェニルコハク酸無水物、およびm‐(トリエトキシシリル)フェニルコハク酸無水物。
成分(a‐1)と成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)は、0.02〜1.6であり、好ましくは、0.05〜1.4であり、より好ましくは、0.1〜1.2である。成分(a‐1)と成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.02〜1.6である時、感光性組成物は、高精度パターンの直線性が比較的良好である。
成分(a‐1)、成分(a‐2)、および成分(a‐3)の他に、本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)は、成分(a‐4)も含むことができる。
成分(a‐4)は、ジカルボン酸またはその無水物を含むが、成分(a‐3)を含まない。ジカルボン酸の例は、飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸、飽和環状炭化水素ジカルボン酸、および不飽和ジカルボン酸を含むことができる。
飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸の例は、コハク酸、アセチルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、シトラマル酸(citramalic acid)、マロン酸、グルタル酸(glutaric acid)、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、およびジグリコール酸(diglycolic acid)を含むことができる。飽和直鎖炭化水素ジカルボン酸の炭化水素基は、置換されてもよい。
飽和環状炭化水素ジカルボン酸の例は、ヘキサヒドロフタル酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、およびヘキサヒドロトリメリット酸を含むことができる。飽和環状炭化水素ジカルボン酸は、飽和炭化水素が置換された脂環式ジカルボン酸であってもよい。
不飽和ジカルボン酸の例は、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(methyl endo-methylene tetrahydrophthalic acid)、クロレンド酸(chlorendic acid)、およびトリメリット酸(trimellitic acid)を含むことができる。
ジカルボン酸は、好ましくは、コハク酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、フタル酸、またはトリメリット酸であり、より好ましくは、コハク酸、イタコン酸、またはテトラヒドロフタル酸である。
成分(a‐4)は、好ましくは、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロトリメリット酸無水物、フタル酸無水物、またはトリメリット酸無水物であり、より好ましくは、コハク酸無水物、イタコン酸無水物、またはテトラヒドロフタル酸無水物である。
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)の製造方法は、特に限定されない。アルカリ可溶性樹脂(A‐1)は、成分(a‐1)、成分(a‐2)および成分(a‐3)を反応させることによって得ることができる。例えば、本発明のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)は、成分(a‐1)として用いるビスフェノールフルオレン系エポキシ(メタ)アクリレートをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒中で加熱し、成分(a‐2)および成分(a‐3)と反応させることによって得ることができる。
さらに、成分(a‐1)およびアルカリ可溶性樹脂(A‐1)の製造に使用する溶媒と触媒の反応条件は、特に限定されないが、ヒドロキシル基を有さず、且つ反応温度よりも高い沸点を有する溶媒が好ましい。溶媒の例は、好ましくは、エチルセロソルブアセテート(ethyl cellosolve acetate)およびブチルセロソルブアセテート(butyl cellosolve acetate)等のセロソルブ溶媒;ダイグライム(diglyme)、エチルカルビトールアセテート(ethylcarbitol acetate)、ブチルカルビトールアセテート(butylcarbitol acetate)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)等の沸点の高いエーテルまたはエステル溶媒;シクロヘキサノンおよびジイソブチルケトン等のケトン溶媒を含む。また、触媒の例は、テトラエチルアンモニウムブロミド(tetraethylammonium bromide)およびトリエチルベンジルアンモニウムクロリド(triethylbenzylammonium chloride)等のアンモニウム塩、およびトリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)およびトリス(2,6‐ジメトキシフェニル)ホスフィン(tris(2,6-dimethoxyphenyl)phosphine)等の周知のホスフィン触媒を含むことができる。
さらに、成分(a‐1)、成分(a‐2)、成分(a‐3)、および/または成分(a‐4)の反応方法は、特に限定されない。例えば、日本特開平9‐325494において言及されているように、90℃〜140℃の反応温度でジオール化合物とテトラカルボン酸二無水物を反応させる周知の方法を使用することができる。好ましくは、成分(a‐1)、成分(a‐2)、および成分(a‐3)を化合物の末端がカルボキシル基になるように反応させ、且つモル比(a‐1):(a‐2):(a‐3):(a‐4)=1:0.2〜1:0.02〜1.6:0〜0.3になるように定量的に反応させる。さらに、好ましくは、これらの成分を均一に溶解し、且つ90℃〜130℃の反応温度で反応させた後、40℃〜80℃の反応温度で反応および熟成させる。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(gel permeation chromatography, GPC)で測定した式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂(A‐1)の数平均分子量(Mn)は、ポリスチレン当量において、好ましくは、1,000以上、10,000以下である。式(1)で表されるアルカリ可溶性樹脂(A‐1)の数平均分子量が1,000よりも小さい時、耐アルカリ性が低下し、光硬化プロセス後のアルカリ現像によりパターンにギャップが生じて、微細線パターンの再現性が大幅に減少する。数平均分子量が10,000よりも大きい時、現像後に現像性が悪くなりやすい。
アルカリ可溶性樹脂(A‐2)
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A)は、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)の他に、さらに、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)を含んでもよく、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)は、混合物の重合反応により得られる。特に、混合物は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)と、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)とを含む。また、混合物は、さらに、カルボン酸無水物化合物(a‐iii)および/またはエポキシ基含有化合物(a‐iv)を含んでもよい。
さらに、本発明の感光性樹脂組成物がアルカリ可溶性樹脂(A‐2)を含む時、感光性樹脂組成物は、高精度パターン直線性が比較的良好である。本発明の感光性樹脂組成物において、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)とアルカリ可溶性樹脂(A‐2)の重量比が10/90〜100/0である時、感光性樹脂組成物は、高精度パターン直線性が比較的良好である。
詳しく説明すると、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、式(3)または式(4)で表される構造を有する。この「少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、式(3)または式(4)で表される構造を有する」という説明は、式(3)で表される構造を有する化合物と式(4)で表される構造を有する化合物がいずれも存在し、且つ少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)として作用する状況も含む。詳しく説明すると、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、式(3)で表される構造を有する。
(3)
式(3)において、B1、B2、B3およびB4は、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよく、B1、B2、B3およびB4は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、または炭素数6〜12のアラルキル基を示す。
式(3)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、ビスフェノールフルオレン系化合物とエピハロヒドリンを反応させることによって得られたエポキシ基含有ビスフェノールフルオレン系化合物を含むことができるが、これに限定されない。
ビスフェノールフルオレン系化合物の具体例は、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メチルフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐クロロフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐ブロモフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐フルオロフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3‐メトキシフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジメチルフェニル)フルオレン、9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジクロロフェニル)フルオレン、および9,9‐ビス(4‐ヒドロキシ‐3,5‐ジブロモフェニル)フルオレンを含むことができるが、これらに限定されない。
エピハロヒドリンは、3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンまたは3‐ブロモ‐1,2‐エポキシプロパンを含むことができるが、これらに限定されない。
ビスフェノールフルオレン系化合物とエピハロヒドリンを反応させることによって得られたエポキシ基含有ビスフェノールフルオレン系化合物の具体例は、ESF‐300等の新日鉄化学株式会社製の商品;PG‐100およびEG‐210等の大阪ガス株式会社製の商品;およびSMS‐F9PhPG、SMS‐F9CrG、およびSMS‐F914PG等のS.M.S.テクノロジー社製の商品を含むことができるが、これらに限定されない。
少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、式(4)で表される構造を有してもよい。
式(4)において、D1〜D14は、同じであっても、互いに異なっていてもよく、D1〜D14は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜15の芳香族基を示し、nは、0〜10の整数を示すことができる。
式(4)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、アルカリ金属水酸化物の存在下で、式(4‐1)で表される構造を有する化合物とエピハロヒドリンを反応させることによって得ることができる。
(4-1)
式(4‐1)において、各D1〜D14およびnの定義は、上記で説明しているため、ここでは繰り返し説明しない。
さらに、式(4)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、以下のステップにより形成することもできる。まず、酸触媒の存在下で、式(4‐2)で表される構造を有する化合物とフェノールの間で縮合反応を行い、式(4‐1)で表される構造を有する化合物を形成する。そして、過剰量のエピハロヒドリンを添加して脱ハロゲン化水素反応を行い、式(4)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)を得る。
(4-2)
式(4‐2)において、D15およびD16は、同じであっても、互いに異なっていてもよく、D15およびD16は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数6〜15の芳香族基を示すことができ;D17およびD18は、同じであっても、互いに異なっていてもよく、D17およびD18は、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基を示すことができる。好ましくは、ハロゲン原子は、塩素原子または臭素原子であってもよく、アルキル基は、メチル基、エチル基、または第三ブチル基であってもよく、アルコキシ基は、メトキシ基またはエトキシ基であってもよい。
フェノールは、フェノール(phenol)、クレゾール(cresol)、エチルフェノール(ethylphenol)、n‐プロピルフェノール(n-propylphenol)、イソブチルフェノール(isobutylphenol)、t‐ブチルフェノール(t-butylphenol)、オクチルフェノール(octylphenol)、ノニルフェノール(nonylphenol)、キシレノール(xylenol)、メチルブチルフェノール(methylbutylphenol)、ジ‐t‐ブチルフェノール(di-t-butylphenol)、ビニルフェノール(vinylphenol)、プロペニルフェノール(propenylphenol)、エチニルフェノール(ethinylphenol)、シクロペンチルフェノール(cyclopentylphenol)、シクロヘキシルフェノール(cyclohexylphenol)、またはシクロヘキシルクレゾール(cyclohexylcresol)を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、フェノールは、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。
式(4‐2)で表される構造を有する化合物の使用量1モルに対し、フェノールの使用量は0.5モル〜20モルであり、好ましくは、2モル〜15モルである。
酸触媒の具体例は、塩酸(hydrochloric acid)、硫酸(sulfuric acid)、p‐トルエンスルホン酸(p-toluenesulfonic acid)、シュウ酸(oxalic acid)、三フッ化ホウ素(boron trifluoride)、無水塩化アルミニウム(aluminium chloride anhydrous)、および塩化亜鉛(zinc chloride)を含む。また、酸触媒は、好ましくは、p‐トルエンスルホン酸、硫酸、または塩酸である。さらに、酸触媒は、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。
酸触媒の使用量は、特に限定されない。しかしながら、式(4‐2)で表される構造を有する化合物の使用量100wt%に対し、酸触媒の使用量は、好ましくは、0.1wt%〜30wt%である。
縮合反応は、無溶媒下で行ってもよく、有機溶媒の存在下で行ってもよい。有機溶媒の具体例は、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、およびメチルイソブチルケトン(methyl isobutyl ketone)を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、有機溶媒は、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。
式(4‐2)で表される構造を有する化合物とフェノールの総重量100wt%に対し、有機溶媒の使用量は、50wt%〜300wt%であり、好ましくは、100wt%〜250wt%である。縮合反応の操作温度は、40℃〜180℃であり、縮合反応の操作時間は、1時間〜8時間である。
縮合反応が完了した後、反応溶液に対して中和処理または水洗処理を行うことができる。中和処理において、反応溶液のpHは、pH3〜pH7に調整され、好ましくは、pH5〜pH7に調整される。水洗処理は、中和剤を用いて行うことができる。中和剤は、アルカリ性物質であり、その具体例は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム(calcium hydroxide)および水酸化マグネシウム(magnesium hydroxide)等のアルカリ土類金属水酸化物;ジエチレントリアミン(diethylene triamine)、トリエチレンテトラミン(triethylenetetramine)、アニリン(aniline)、およびフェニレンジアミン(phenylene diamine)等の有機アミン;アンモニア(ammonia)およびリン酸二水素ナトリウム(sodium dihydrogen phosphate)を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、水洗処理は、周知の方法で行うことができる。例えば、反応溶液に中和剤を含んだ水溶液を添加し、繰り返し抽出操作を行う。中和処理または水洗処理の後、減圧加熱下で、未反応のフェノールと溶媒を蒸留して、濃縮し、式(4‐1)で表される構造を有する化合物を得る。
エピハロヒドリンの具体例は、3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、3‐ブロモ‐1,2‐エポキシプロパン、およびその任意の組み合わせを含む。脱ハロゲン化水素反応を行う前、または反応過程中に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を反応溶液に添加してもよい。さらに、この脱ハロゲン化水素反応の温度は、20℃〜120℃であり、その時間は、1時間〜10時間である。
1つの実施形態において、添加するアルカリ金属水酸化物は、アルカリ金属水酸化物の水溶液であってもよい。詳しく説明すると、アルカリ金属水酸化物の水溶液を脱ハロゲン化水素反応システムに連続的に添加している時、減圧または常圧下で、水とエピハロヒドリンを蒸留する。それにより、水を除去し、同時に、エピハロヒドリンを反応システムに連続的に回流させることができる。
さらに、脱ハロゲン化水素反応を行う前に、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、またはトリメチルベンジルアンモニウムクロリド等の第四級アンモニウム塩を触媒として反応システムに添加して、50℃〜150℃で1時間〜5時間反応させてもよい。その後、アルカリ金属水酸化物またはその水溶液を添加して、20℃〜120℃で1時間〜10時間反応させ、脱ハロゲン化水素反応を行う。
式(4‐1)で表される構造を有する化合物中のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、エピハロヒドリンの使用量は、1当量〜20当量であってもよく、好ましくは、2当量〜10当量である。式(4‐1)で表される構造を有する化合物中のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、脱ハロゲン化水素反応に添加するアルカリ金属水酸化物の使用量は、0.8当量〜15当量であってもよく、好ましくは、0.9当量〜11当量である。
さらに、脱ハロゲン化水素反応を容易に行うため、メタノールやエタノール等のアルコールの他に、ジメチルスルホンやジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒も添加して反応を行ってもよい。アルコールを使用する場合、エピハロヒドリンの総量100wt%に対し、アルコールの使用量は、2wt%〜20wt%であってもよく、好ましくは、4wt%〜15wt%である。エピハロヒドリンの総量100wt%に対し、非プロトン性極性溶媒の使用量は、5wt%〜100wt%であってもよく、好ましくは、10wt%〜90wt%である。
脱ハロゲン化水素反応が完了した後、水洗処理を選択的に行ってもよい。その後、減圧蒸留により、エピハロヒドリン、フェノール、および非プロトン性極性溶媒等を除去する。減圧蒸留は、例えば、110℃〜250℃の温度および1.3kPa(10mmHg)以下の圧力で行うことができる。
形成されるエポキシ樹脂が加水分解性ハロゲンを含まないよう、脱ハロゲン化水素反応後の溶液にトルエンまたはメチルイソブチルケトン等の溶媒を添加してもよく、その後、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の水溶液を添加して、再度脱ハロゲン化水素反応を行う。脱ハロゲン化水素反応において、式(4‐1)で表される構造を有する化合物中のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、アルカリ金属水酸化物の使用量は、0.01モル〜0.3モルであり、好ましくは、0.05モル〜0.2モルである。さらに、この脱ハロゲン化水素反応の温度は、50℃〜120℃であり、その操作時間の範囲は、30分〜2時間である。
脱ハロゲン化水素反応が完了した後、濾過や水洗等の工程を行って、塩を除去してもよく、トルエンおよびメチルイソブチルケトン等の溶媒を減圧蒸留により除去して、式(4)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)を得る。式(4)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、NC‐3000、NC‐3000H、NC‐3000S、またはNC‐3000P等の日本化薬株式会社製の商品を含むことができるが、これらに限定されない。
少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)は、(1)〜(3)から成る群より選ばれる:(1)アクリル酸、メタクリル酸、2‐メタクリロイルオキシエチルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシブチルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシエチルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシブチルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2‐メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシブチルマレイン酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルブタン二酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルヘキサン二酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2‐メタクリロイルオキシプロピルフタル酸、2‐メタクリロイルオキシブチルフタル酸、および2‐メタクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸;(2)水酸基含有(メタ)アクリル酸と、ヘキサン二酸、ブタン二酸、マレイン酸、またはフタル酸を含む(ただし、これらに限定されない)ジカルボン酸化合物を反応させて得られた化合物;および(3)(2‐ヒドロキシエチル)アクリレート、(2‐ヒドロキシエチル)メタクリレート、(2‐ヒドロキシプロピル)アクリレート、(2‐ヒドロキシプロピル)メタクリレート、(4‐ヒドロキシブチル)アクリレート、(4‐ヒドロキシブチル)メタクリレート、またはペンタエリスリトールトリメタクリレートを含む(ただし、これらに限定されない)水酸基含有(メタ)アクリル酸とカルボン酸無水物化合物を反応させて得られた半エステル化合物。さらに、カルボン酸無水物化合物は、下記のアルカリ可溶性樹脂(A‐2)の混合物に含まれるカルボン酸無水物化合物(a‐iii)と同じであってもよい。
上述したように、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)の混合物は、さらに、カルボン酸無水物化合物(a‐iii)および/またはエポキシ基含有化合物(a‐iv)を選択的に含むことができる。カルボン酸無水物化合物(a‐iii)は、(1)〜(2)から成る群から選ばれる:(1)ブタン二酸無水物、マイレン酸無水物、イタコン酸無水物、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒド口フタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、クロレンド酸無水物、グルタル酸無水物、および1,3‐ジオキソイソベンゾフラン‐5‐カルボン酸無水物等のジカルボン酸無水物化合物;および(2)ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、およびジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸無水物化合物。
エポキシ基を有する化合物(a‐iv)は、グリシジルメタクリレート、3,4‐エポキシシクロヘキシルメタクリレート、不飽和基含有グリシジルエーテル化合物、エポキシ基を有する不飽和化合物、およびその任意の組み合わせからなる群より選ばれる。不飽和基含有グリシジルエーテル化合物は、デナコール(Denacol)EX‐111、デナコールEX‐121、デナコールEX‐141、デナコールEX‐145、デナコールEX‐146、デナコールEX‐171、またはデナコールEX‐192等のナガセ化成工業株式会社製の商品を含むことができるが、これらに限定されない。
1つの実施形態において、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)と、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)を重合することによって形成されたヒドロキシル基を含有する反応物であってもよい。特に、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、式(3)によって表される構造を有する。そして、反応液にカルボン酸無水物化合物(a‐iii)を添加して、重合反応を行う。ヒドロキシル基を含有する反応物のヒドロキシル基の総当量1当量に対し、カルボン酸無水物化合物(a‐iii)中に含まれる酸無水物基の当量は、0.4当量〜1当量であり、より好ましくは、0.75当量〜1当量である。複数のカルボン酸無水物化合物(a‐iii)を使用する時は、それらのカルボン酸無水物化合物を順番に、または同時に、反応に添加することができる。ジカルボン酸無水物化合物およびテトラカルボン酸無水物化合物をカルボン酸無水物化合物(a‐iii)として使用した時、ジカルボン酸無水物化合物とテトラカルボン酸無水物化合物のモル比は、好ましくは、1/99〜90/10であり、より好ましくは、5/95〜80/20である。さらに、反応の操作温度は、50℃〜130℃であってもよい。
別の実施形態において、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)と、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)を重合することによって形成されたヒドロキシル基を含有する反応物であってもよい。特に、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)は、式(3)によって表される構造を有する。そして、カルボン酸無水物化合物(a‐iii)および/またはエポキシ基含有化合物(a‐iv)を反応液に添加して、重合反応を行う。式(a‐3)で表される構造を有する少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)中のエポキシ基の総当量1当量に対し、少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)の酸価の当量は、0.8当量〜1.5当量であり、より好ましくは、0.9当量〜1.1当量である。ヒドロキシル基を含有する反応物のヒドロキシル基の総使用量100モル%に対し、カルボン酸無水物化合物(a‐iii)の使用量は、10モル%〜100モル%であり、好ましくは、20モル%〜100モル%であり、より好ましくは、30モル%〜100モル%である。
アルカリ可溶性樹脂(A‐2)を製造する時は、反応時間を短縮するため、通常、アルカリ化合物を反応触媒として反応液に添加する。反応触媒は、トリフェニルホスフィン(triphenylphosphine)、トリフェニルスチビン(triphenylstibine)、トリエチルアミン(triethylamine)、トリエタノールアミン(triethanolamine)、テトラメチルアンモニウムクロリド(tetramethyl ammonium chloride)、またはベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(benzyltriethylammonium chloride)を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、反応触媒は、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。
2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)と少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)の総使用量100重量部に対し、反応触媒の使用量は、好ましくは、0.01重量部〜10重量部であり、より好ましくは、0.3重量部〜5重量部である。
さらに、重合度を制御するため、通常、反応液に重合抑制剤(polymerization inhibitor)を添加する。重合抑制剤は、メトキシフェノール(methoxyphenol)、メチルヒドロキノン(methylhydroquinone)、ヒドロキノン(hydroquinone)、2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール(2,6-di-t-butyl-p-cresol)、またはフェノチアジン(phenothiazine)を含むことができるが、これらに限定されない。さらに、重合抑制剤は、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。
2つのエポキシ基を有するエポキシ化合物(a‐i)と少なくとも1つのカルボン酸基および少なくとも1つのエチレン性不飽和基を有する化合物(a‐ii)の総使用量100重量部に対し、重合抑制剤の使用量は、好ましくは、0.01重量部〜10重量部であり、より好ましくは、0.1重量部〜5重量部である。
アルカリ可溶性樹脂(A‐2)を製造する時は、重合溶媒を選択的に使用することができる。重合溶媒は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、2‐ブタノール、ヘキサノール、またはエチレングリコール等のアルコール溶媒;メチルエチルケトンまたはシクロヘキサノン等のケトン溶媒;トルエンまたはキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;セロソルブまたはブチルセロソルブ(butyl cellosolve)等のセロソルブ溶媒;カルビトール(carbitol)またはブチルカルビトール(butyl carbitol)等のカルビトール溶媒;プロピレングリコールモノメチルエーテル(propylene glycol monomethyl ether)等のプロピレングリコールアルキルエーテル溶媒;ジプロピレングリコールメチルエーテル(di(propylene glycol) methyl ether)等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル溶媒;エチルアセテート、ブチルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ethylene glycol monoethyl ether acetate)、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(propylene glycol monomethyl ether acetate)等のアセテート溶媒;乳酸エチル(ethyl lactate)または乳酸ブチル(butyl lactate)等の乳酸アルキル溶媒;またはジアルキルグリコールエーテルを含むことができるが、これらに限定されない。さらに、重合溶媒は、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。さらに、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)の酸価は、好ましくは、50mgKOH/g〜200mgKOH/gであり、より好ましくは、60mgKOH/g〜150mgKOH/gである。
アルカリ可溶性樹脂(A‐3)
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A)は、別のアルカリ可溶性樹脂(A‐3)を選択的に含むことができる。別のアルカリ可溶性樹脂(A‐3)は、カルボン酸基またはヒドロキシル基を含有する樹脂を含むことができるが、これらに限定されない。詳しく説明すると、別のアルカリ可溶性樹脂(A‐3)の具体例は、アクリル系樹脂、ウレタン(urethane)系樹脂、およびノボラック(novolac resin)樹脂等のアルカリ可溶性樹脂(A‐1)およびアルカリ可溶性樹脂(A‐2)以外の樹脂を含むことができる。
ポリシロキサンポリマー(B)
本発明のポリシロキサンポリマー(B)は、シランモノマーを加水分解および部分縮合して得られたコポリマーである。特に、シランモノマーは、式(5)で表される化合物を含む。
Si(R12)t(OR13)4-t (5)
式中、tは、0〜3の整数であり、tが2または3を示す時、複数のR12は、同じであっても、互いに異なっていてもよく;R12は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数6〜15の芳香族基、酸無水物で置換された炭素数1〜10のアルキル基、エポキシ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、またはエポキシ基で置換されたアルコキシ基を示し;R13は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、または炭素数6〜15の芳香族基を示し、4‐tが2または3を示す時、複数のR13は、同じであっても、互いに異なっていてもよい。さらに、少なくとも1つのR12は、酸無水物基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、エポキシ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基、またはエポキシ基で置換されたアルコキシ基を示す。しかしながら、本発明はこれらに限定されない。別の実施形態において、ポリシロキサンポリマー(B)は、選択的に、ポリシロキサンまたはシランモノマーとポリシロキサンの組み合わせを用いて加水分解および部分縮合することによって得てもよい。つまり、ポリシロキサンポリマー(B)の種類は、特に限定されず、本発明の目的を達成しさえすればよい。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリシロキサンポリマー(B)が含まれていない時、感光性樹脂組成物は、高精度パターン直線性が悪い。さらに、本発明の感光性樹脂組成物において、ポリシロキサンポリマー(B)が式(5)で表されるシランモノマーを加水分解および部分縮合して得られたコポリマーである時、感光性樹脂組成物は、異物のサイズが小さいという利点を有する。
詳しく説明すると、R12の定義において、炭素数1〜10のアルキル基は、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、n‐ブチル基、t‐ブチル基、n‐ヘキシル基、n‐デシル基、トリフルオロメチル基、3,3,3‐トリフルオロプロピル、3‐アミノプロピル、3‐メルカプトプロピル、または3‐イソシアネートプロピルを含むが、これらに限定されない。炭素数2〜10のアルキル基は、ビニル基、3‐アクリロイルプロピル、または3‐メチルアクリロイルプロピル含むが、これらに限定されない。炭素数6〜15の芳香族基は、ペンチル基、トリル(tolyl)基、p‐ヒドロキシフェニル、1‐(p‐ヒドロキシフェニル)エチル、2‐(p‐ヒドロキシフェニル)エチル、4‐ヒドロキシ‐5‐(p‐ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル(4-hydroxy-5-(p-hydroxyphenylcarbonyloxy)pentyl)、またはナフチル(naphthyl)基を含むが、これらに限定されない。酸無水物基で置換された炭素数1〜10のアルキル基は、エチルコハク酸無水物、プロピルコハク酸無水物、またはプロピルグルタル酸無水物を含むが、これらに限定されない。エポキシ基で置換された炭素数1〜10のアルキル基は、オキセタニルペンチル(oxetanylpentyl)または2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチル(2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyl)を含むが、これらに限定されない。エポキシ基で置換されたアルコキシ基は、グリシドキシプロピル(glycidoxypropyl)、または2‐オキセタニルブトキシ(2-oxetanylbutoxy)を含むが、これらに限定されない。
R13の定義において、炭素数1〜6のアルキル基は、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、またはn‐ブチル基を含むが、これらに限定されない。炭素数1〜6のアシル基は、アセチル基を含むが、これらに限定されない。炭素数6〜15の芳香族基は、ペニル基を含むが、これらに限定されない。
さらに、式(5)において、tは、0〜3の整数を示し、t=0は、シランモノマーが4官能性シランであることを示し、t=1は、シランモノマーが3官能性シランであることを示し、t=2は、シランモノマーが2官能性シランであることを示し、t=3は、シランモノマーが1官能性シランであることを示す。
シランモノマーの具体例は、(1)テトラメトキシシラン(tetramethoxysilane)、テトラエトキシシラン(tetraethoxysilane)、テトラアセトキシシラン(tetraacetoxysilane)、またはテトラフェノキシシラン(tetraphenoxy silane)等の4官能性シラン;(2)メチルトリメトキシシラン(methyltrimethoxysilane, MTMS)、メチルトリエトキシシラン(methyltriethoxysilane)、メチルトリイソプロポキシシラン(methyltriisopropoxysilane)、メチルトリ‐n‐ブトキシシラン(methyltri-n-butoxysilane)、エチルトリメトキシシラン(ethyltrimethoxysilane)、エチルトリエトキシシラン(ethyltriethoxysilane)、エチルトリイソプロポキシシラン(ethyltriisopropoxysilane)、エチルトリ‐n‐ブトキシシラン(ethyltri-n-butoxysilane)、n‐プロピルトリメトキシシラン(n-propyltrimethoxysilane)、n‐プロピルトリエトキシシラン(n-propyltriethoxysilane)、n‐ブチルトリメトキシシラン(n-butyltrimethoxysilane)、n‐ブチルトリエトキシシラン(n-butyltriethoxysilane)、n‐ヘキシルトリメトキシシラン(n-hexyltrimethoxysilane)、n‐ヘキシルトリエトキシシラン(n-hexyltriethoxysilane)、デシルトリメトキシシラン(decyltrimethoxysilane)、ビニルトリメトキシシラン(vinyltrimethoxysilane)、ビニルトリエトキシシラン(vinyltriethoxysilane)、3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(3-acryoyloxypropyltrimethoxysilane)、3‐メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(3-methylacryloyloxypropyltrimethoxysilane)、3‐メチルアクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン(3-methylacryloyloxypropyltriethoxysilane)、フェニルトリメトキシシラン(phenyltrimethoxysilane, PTMS)、フェニルトリエトキシシラン(phenyltriethoxysilane, PTES)、p‐ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン(p-hydroxyphenyltrimethoxysilane)、1‐(p‐ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン(1-(p-hydroxyphenyl)ethyltrimethoxysilane)、2‐(p‐ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン(2-(p-hydroxyphenyl)ethyltrimethoxysilane)、4‐ヒドロキシ‐5‐(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン(4-hydroxy-5-(p-hydroxyphenylcarbonyloxy)pentyltrimethoxysilane)、トリフルオロメチルトリメトキシシラン(trifluoromethyltrimethoxysilane)、トリフルオロメチルトリエトキシシラン(trifluoromethyltriethoxysilane)、3,3,3‐トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(3,3,3-trifluoropropyltrimethoxysilane)、3‐アミノプロピルトリメトキシシラン(3-aminopropyltrimethoxysilane)、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン(3-aminopropyltriethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3-glycidoxypropyltrimethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3-glycidoxypropyltriethoxysilane)、
2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(2-(3,4-epoxycyclohexyl)ethyltrimethoxysilane)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(3-mercaptopropyltrimethoxysilane)、3‐エチル‐3‐[(3‐(トリフェノキシシリル)プロポキシ)メチル]オキセタン(3-ethyl-3-[(3-(triphenoxysilyl)propoxy)methyl]oxetane)、東亜合成株式会社製の市販品:3‐エチル‐3‐[(3‐(トリメトキシシリル)プロポキシ)メチル]オキセタン(3-ethyl-3-[(3-(trimethoxysilyl)propoxy)methyl]oxetane)(商品名:TMSOX‐D)、3‐エチル‐3‐[(3‐(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル]オキセタン(3-ethyl-3-[(3-(triethoxysilyl)propoxy)methyl]oxetane)(商品名:TESOX‐D)、2‐(トリメトキシシリル)エチルコハク酸無水物(2-(trimethoxysilyl) ethyl succinic anhydride)、3‐トリフェノキシシリルプロピルコハク酸無水物(3-triphenoxysilyl propyl succinic anhydride)、信越化学株式会社製の市販品:3‐(トリメトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(3-(trimethoxysilyl) propyl succinic anhydride)(商品名:X‐12‐967)、ワッカー(Wacker)社製の商品:3‐(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(3-(triethoxysilyl) propyl succinic anhydride)(商品名:GF‐20)、3‐(トリメトキシシリル)プロピルグルタル酸無水物(3-(trimethoxysilyl) propyl glutaric anhydride, TMSG)、3‐(トリエトキシシリル)プロピルグルタル酸無水物(3-(triethoxysilyl) propyl glutaric anhydride)、または3‐(トリフェノキシシリル)プロピルグルタル酸無水物(3-(triphenoxysilyl) propyl glutaric anhydride)等の3官能性シラン;(3)ジメチルジメトキシシラン(dimethyldimethoxysilane, DMDMS)、ジメチルジエトキシシラン(dimethyldiethoxysilane)、ジメチルジアセトキシシラン(dimethyldiacetyloxysilane)、ジ‐n‐ブチルジメトキシシラン(di-n-butyldimethoxysilane)、ジフェニルジメトキシシラン(diphenyldimethoxysilane)、ジイソプロポキシ‐ジ(2‐オキセタニルプロピルブトキシプロピル)シラン(diisopropoxy-di(2-oxetanylpropylbutoxypropyl)silane, DIDOS)、ジ(3‐オキセタニルフェニル)ジメトキシシラン(di(3-oxetanylpentyl)dimethoxy silane)、(ジ‐n‐ブトキシシリル)ジ(プロピルコハク酸無水物)((di-n-butoxysilyl) di(propyl succinic anhydride))、または(ジメトキシシリル)ジ(エチルコハク酸無水物)((dimethoxysilyl) di(ethyl succinic anhydride))等の2官能性シラン;および(4)トリメチルメトキシシラン(trimethylmethoxysilane)、トリ‐n‐ブチルエトキシシラン(tri-n-butylethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン(3-glycidoxypropyldimethylmethoxysilane)、3‐グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン(3-glycidoxypropyldimethylethoxysilane)、ジ(2‐オキセタニルブトキシペンチル)‐2‐オキセタニルペンチルエトキシシラン(di(2-oxetanylbutoxypentyl)-2-oxetanylpentylethoxy silane)、トリ(2‐オキセタニルペンチル)メトキシシラン(tri(2-oxetanylpentyl)methoxy silane)、(フェノキシシリル)トリ(プロピルコハク酸無水物)((phenoxysilyl) tri(propyl succinic anhydride))、または(メトキシシリル)ジ(エチルコハク酸無水物)( (methoxysilyl) di(ethyl succinic anhydride))等の1官能性シランを含むが、これらに限定されない。
さらに、上述したように、式(5)で表されるシランモノマーを使用してポリシロキサンポリマー(B)を形成する他に、式(5‐1)で表されるポリシロキサンによりポリシロキサンポリマー(B)を形成してもよい。
(5-1)
式(5‐1)において、R14、R15、R16およびR17は、同じであっても、互いに異なっていてもよく、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、または炭素数6〜15の芳香族基を示す。特に、アルキル基、アルケニル基、および芳香族基のうちのいずれか1つは、選択的に、置換基を含むことができる;sが2〜1000の整数である時、各R14は、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよく、各R15は、互いに同じであっても、互いに異なっていてもよい。R14、R15、R16およびR17のそれぞれの定義において、アルキル基は、メチル基、エチル基、またはn‐プロピル基を含むが、これらに限定されず;アルケニル基は、ビニル基、アクリロイルプロピル、またはメチルアクリロイルプロピル含むが、これらに限定されず;芳香族基は、ペンチル基、トリル基、またはナフチル基を含むが、これらに限定されない。
さらに、式(5‐1)において、R18およびR19は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアシル基、または炭素数6〜15の芳香族基を示す。特に、アルキル基、アシル基、および芳香族基のうちのいずれか1つは、選択的に、置換基を含むことができる。各R18およびR19の定義において、アルキル基は、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、イソプロピル基、またはn‐ブチル基を含むが、これらに限定されず;アシル基は、アセチル基を含むが、これに限定されず;芳香族基は、フェニル基を含むが、これに限定されない。
さらに、式(5‐1)において、sは、1〜1000の整数である。好ましくは、sは、3〜300の整数である。より好ましくは、sは、5〜200の整数である。
式(5‐1)で表されるポリシロキサンは、単独で使用しても、複数種類を組み合わせて使用してもよく、式(5‐1)で表されるポリシロキサンは、1,1,3,3‐テトラメチル‐1,3‐ジメトキシジシロキサン、1,1,3,3‐テトラメチル‐1,3‐ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3‐テトラエチル‐1,3‐ジエトキシジシロキサン、ゲレスト(Gelest)社製のシラノール末端ポリシロキサンの市販品、例えば、DM‐S12(分子量:400〜700)、DMS‐S15(分子量:1500〜2000)、DMS‐S21(分子量:4200)、DMS‐S27(分子量:18000)、DMS‐S31(分子量26000)、DMS‐S32(分子量:36000)、DMS‐S33(分子量:43500)、DMS‐S35(分子量:49000)、DMS‐S38(分子量:58000)、DMS‐S42(分子量:77000)、またはPDS‐9931(分子量:1000〜1400)等を含むが、これらに限定されない。
さらに、シランモノマーとポリシロキサンを組み合わせて使用する時の混合率は、特に限定されない。1つの実施形態において、シランモノマーとポリシロキサンのモル比は、100:0.01〜50:50である。
ポリシロキサンポリマー(B)は、シランモノマーおよび/またはポリシロキサンの加水分解および部分縮合により得られるだけでなく、シランモノマーおよび/またはポリシロキサンと二酸化ケイ素(silicon dioxide)粒子を混合することによって、共重合により得ることもできる。二酸化ケイ素粒子の粒径は、特に限定されず、その範囲は、2nm〜250nmであり、好ましくは、5nm〜200nmであり、より好ましくは、10nm〜100nmである。
二酸化ケイ素粒子は、単独で使用しても、複数種類を組み合わせて使用してもよい。二酸化ケイ素粒子は、オスカル(OSCAR)1132(粒径:12nm、分散媒:メタノール)、オスカル1332(粒径:12nm、分散媒:n‐プロパノール)、オスカル105(粒径:60nm、分散媒:γ‐ブチロラクトン)、またはオスカル106(粒径:120nm、分散媒:ジアセトンアルコール)等の触媒化成工業株式会社製の市販品;クォートロン(Quartron)PL‐1‐IPA(粒径:13nm、分散媒:イソプロパノン)、クォートロンPL‐1‐TOL(粒径:13nm、分散媒:トルエン)、クォートロンPL‐2L‐PGME(粒径:18nm、分散媒:プロピレングリコールモノメチルエーテル)、またはクォートロンPL‐2L‐MEK(粒径:18nm、分散媒:メチルエチルケトン)等の扶桑化学工業株式会社製の市販品;IPA‐ST(粒径:12nm、分散媒:イソプロパノール)、EG‐ST(粒径:12nm,分散媒:エチレングリコール)、IPA‐ST‐L(粒径:45nm,分散媒:イソプロパノール)、IPA‐ST‐ZL(粒径:100nm,分散媒:イソプロパノール)等の日産化学工業株式会社製の市販品を含むが、これらに限定されない。
二酸化ケイ素粒子とシランモノマーおよび/またはポリシロキサンを混合する時、使用量は、特に限定されない。1つの実施形態において、二酸化ケイ素粒子中のシリコン原子とポリシロキサン中のシリコン原子のモル比は、1%〜50%である。
一般的に、シランモノマー、ポリシロキサン、および/または二酸化ケイ素粒子の重合反応(すなわち、加水分解および部分縮合)は、従来の方法を用いることができる。例えば、溶媒、水、または選択的に触媒をシランモノマーおよび/またはポリシロキサンおよび/または二酸化ケイ素粒子の混合物に添加した後、50℃〜150℃で30分〜120時間加熱攪拌する。攪拌している間、アルコールや水等の副産物をさらに蒸留によって除去してもよい。
溶媒は、特に限定されず、本発明の感光性樹脂組成物に含まれる有機溶媒(E)と同じであっても、異なっていてもよい。1つの実施形態において、シランモノマーおよび/またはポリシロキサンの総量100gに対し、溶媒の使用量の範囲は、好ましくは、15g〜1200gであり、より好ましくは、20g〜1100gであり、さらに好ましくは、30g〜1000gである。
シランモノマー、ポリシロキサンおよび/または二酸化ケイ素粒子の加水分解基1モルに対し、重合反応に使用する水(すなわち、加水分解に使用する水)の使用量の範囲は、0.5モル〜2モルである。
触媒は、特に限定されず、好ましくは、酸触媒(acidic catalyst)または塩基触媒(basic catalyst)から選ばれる。酸触媒は、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸、シュウ酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、多価カルボン酸、またはその無水物、あるいはイオン交換樹脂を含むが、これらに限定されない。塩基触媒は、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アミノ基含有アルコキシシラン、またはイオン交換樹脂を含むが、これらに限定されない。
シランモノマーおよび/またはポリシロキサンの総量100gに対し、触媒の使用量の範囲は、好ましくは、0.005g〜15gであり;より好ましくは、0.01g〜12gであり;さらに好ましくは、0.05g〜10gである。
安定性を考慮すると、縮合反応により得られるポリシロキサンポリマー(B)は、副産物(例えば、アルコールまたは水等)および触媒を含んでいないのが好ましい。そうすることによって、得られたポリシロキサン(B)を選択的に精製することができる。精製方法は、特に限定されない。好ましくは、疎水性溶媒を使用してポリシロキサン(B)を希釈する。そして、水で数回洗浄した有機層を介してアルコールまたは水を除去し、エバポレーターで濃縮する。さらに、イオン交換樹脂を用いて触媒を除去してもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、ポリシロキサンポリマー(B)の使用量は、10重量部〜100重量部であり、好ましくは、12重量部〜90重量部であり、より好ましくは、15重量部〜80重量部である。
エチレン性不飽和基含有化合物(C)
本発明のエチレン性不飽和基含有化合物(C)は、式(6)で表される化合物および式(7)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物、または他のエチレン性不飽和基含有化合物を含む。
(6)
(7)
式(6)および式(7)において、各Eは、独立して、‐((CH2)yCH2O)‐または‐((CH2)yCH(CH3)O)‐を示す。詳しく説明すると、各yは、独立して、1〜10の整数を示し;各Xは、独立して、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、またはカルボキシル基を示す。式(6)において、Xで表されるアクリロイル基とメタクリロイル基の合計数は、5または6であり、各qは、独立して、0〜10の整数を示し、各qの合計は、1〜60の整数である。式(7)において、Xで表されるアクリロイル基とメタクリロイル基の合計数は、3または4であり、各nは、独立して、0〜10の整数を示し、各nの合計は、1〜40の整数である。
式(6)または式(7)で表される化合物は、以下の周知のステップにより合成することができる:ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトールを開環付加反応によりエチレンオキシド(ethylene oxide)またはプロピレンオキシド(propylene oxide)の開環骨格に結合するステップ;および、例えば、(メタ)アクリロイルクロリドと反応させることによって、(メタ)アクリロイル基を開環骨格の末端ヒドロキシル基に導入するステップ。各ステップは周知であるため、本技術分野において通常の知識を有する者であれば、式(6)または式(7)で表される化合物を容易に合成することができる。
式(6)または式(7)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体および/またはジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
式(6)で表される化合物の具体例は、式(6‐1)〜式(6‐4)で表される化合物であり、式(6‐1)および式(6‐2)が好ましい。特に、式(6‐1)と式(6‐4)中の各nの合計は、6であり;式(6‐2)と式(6‐3)中の各nの合計は、12である。式(6)表される化合物は、カヤラッド(KAYARAD)DPEA‐12(日本化薬株式会社製)等の市販品であってもよい。
(6-1)
(6-2)
(6-3)
(6-4)
式(7)で表される化合物の具体例は、式(7‐1)および式(7‐2)で表される化合物、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(ethoxylated pentaerythritol tetraacrylate)、およびプロポキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(propoxylated pentaerythritol tetraacrylate)である。特に、式(7‐1)中の各mの合計は、4であり;式(7‐2)中の各mの合計は、12である。式(7)表される化合物は、EM2411またはEM2421(長興化学工業株式会社製);またはミラマー(Miramer)M4004(東洋化学株式会社製)等の市販品であってもよい。
(7-1)
(7-2)
他のエチレン性不飽和基含有化合物は、カプロラクトン変性ポリアルコールと(メタ)アクリル酸を反応させて得られた(メタ)アクリレート化合物、および式(8)で表される官能基を有する化合物からなる群より選ばれた化合物を含む。
(8)
式(8)において、R20は、水素またはメチル基を示す。
カプロラクトン変性ポリアルコールは、カプロラクトンと4つ以上の官能基を有するポリアルコールを反応させることによって製造される。特に、カプロラクトンは、γ‐カプロラクトン、δ‐カプロラクトン、またはε‐カプロラクトンであってもよく、好ましくは、ε‐カプロラクトンである。4つ以上の官能基を有するポリアルコールは、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、またはジペンタエリスリトールであってもよい。
(メタ)アクリレート化合物の具体例は、ペンタエリスリトールカプロラクトン変性テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジトリメチロールプロパンカプロラクトン変性テトラ(メタ)アクリレート化合物、およびジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物を含むことができる。特に、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物の具体例は、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ジ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性トリ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性テトラ(メタ)アクリレート化合物、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート化合物、およびジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサ(メタ)アクリレート化合物を含む。
さらに具体的に説明すると、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物の構造は、下記の式(9)で表すことができる。
(9)
式(9)において、R21およびR22は、それぞれ、水素原子またはメチル基を示し;mは、1〜2の整数を示し;aは、1〜6の整数を示し;bは、0〜5の整数を示す。詳しく説明すると、a+b=2〜6であり、好ましくは、a+b=3〜6であり、より好ましくは、a+b=5〜6であり、最も好ましくは、a+b=6である。
さらに具体的に説明すると、(メタ)アクリレート化合物は、例えば、日本化薬株式会社製の製品であり、その例は、例えば、カヤラッドDPCA‐20、DPCA‐30、DPCA‐60、およびDPCA‐120を含む。
式(8)で表される官能基を有する化合物の具体例は、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォリン、7‐アミノ‐3,7‐ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t‐オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N‐ジメチル(メタ)アクリルアミド、テトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2‐テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2‐テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2‐トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2‐トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルカプロラクタム、N‐ビニルピロリドン、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリ(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリ(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリ(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロピルトリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、n‐ペンチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロピルテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、およびフェノールポリグリシジルエーテル(メタ)アクリレートを含むことができる。
式(8)で表される官能基を有する化合物は、トリメチロールプロピルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロピルテトラアクリレート、日本東亜合成株式会社製のTO‐1382、およびその組成物からなる群より選ばれるのが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、エチレン性不飽和基含有化合物(C)の使用量は、40重量部〜400重量部であり、好ましくは、80重量部〜350重量部であり、より好ましくは、100重量部〜300重量部である。
光開始剤(D)
本発明の光開始剤(C)は、アセトフェノン(acetophenone)化合物、ビイミダゾール(biimidazole)化合物、およびアシルオキシム(acyl oxime)化合物からなる群より選ばれた少なくとも1つの化合物である。
アセトフェノン化合物の具体例は、p‐ジメチルアミノ‐アセトフェノン(p-dimethylamino-acetophenone)、α,α’‐ジメトキシアゾキシ‐アセトフェノン(α,α’-dimethoxyazoxy-acetophenone)、2,2’‐ジメチル‐2‐フェニル‐アセトフェノン(2,2’-dimethyl-2-phenyl-acetophenone)、p‐メトキシ‐アセトフェノン(p-methoxy-acetophenone)、2‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン(2-methyl-1-(4-methylthio phenyl)-2-morpholino-1-propanone)、および2‐ベンジル‐2‐N,N‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)‐1‐ブタノン(2-benzyl-2-N,N-dimethylamino-1-(4-morpholinophenyl)-1-butanone)を含む。
ビイミダゾール化合物の具体例は、2,2’‐ビス(o‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐フルオロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-fluorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐メチルフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-methyl phenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐メトキシフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-methoxyphenyl)-4,4’,5,5-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(o‐エチルフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(o-ethylphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(p‐メトキシフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(p-methoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(2,2’,4,4’‐テトラメトキシフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(2,2’,4,4’-tetramethoxyphenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、2,2’‐ビス(2‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(2-chlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)、および2,2’‐ビス(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(2,2’-bis(2,4-dichlorophenyl)-4,4’,5,5’-tetraphenyl-biimidazole)を含む。
アシルオキシム化合物の具体例は、式(10)で表される構造を有するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のCGI‐242等のエタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐メチルベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)(ethanone,1-[9-ethyl-6-(2-methylbenzoyl)-9H-carbazole-3-yl]-,1-(O-acetyl oxime))、式(11)で表される構造を有するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製のCGI‐124等の1‐(4‐フェニル‐チオ‐フェニル)‐オクタン‐1,2‐ジオン2‐オキシム‐O‐ベンゾエート(1-(4-phenyl-thio-phenyl)-octane-1,2-dion 2-oxime-O-benzoate)、および式(12)で表される構造を有する旭電化工業株式会社製のエタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐クロロ‐4‐ベンジル‐チオ‐ベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)(ethanone,1-[9-ethyl-6-(2-chloro-4-benzyl-thio-benzoyl)-9H-carbazole-3-yl]-,1-(O-acetyl oxime))を含む。
(10)
(11)
(12)
光開始剤(D)は、好ましくは、2‐メチル‐1‐(4‐メチルチオフェニル)‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン、2‐ベンジル‐2‐N,N‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モルホリノフェニル)‐1‐ブタノン、2,2’‐ビス(O‐クロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニルビイミダゾール、エタノン,1‐[9‐エチル‐6‐(2‐メチルベンゾイル)‐9H‐カルバゾール‐3‐イル]‐,1‐(O‐アセチルオキシム)、またはこれらの化合物の組み合わせである。
必要であれば、光開始剤(D)は、さらに、以下の化合物を選択的に含むことができる:チオキサントン(thioxanthone)、2,4‐ジエチル‐チオキサントン(2,4-diethyl-thioxanthone)、チオキサントン‐4‐スルホン(thioxanthone-4-sulfone)、ベンゾフェノン(benzophenone)、4,4’‐ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4’-bis(dimethylamino)benzophenone)、および4,4’ビス‐(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4’-bis(diethylamino)benzophenone)等のベンゾフェノン(benzophenone)化合物;ベンジル(benzil)等のα‐ジケトン(α-diketone)化合物;ベンゾイン(benzoin)等のアシロイン(acyloin)化合物;ベンゾインメチルエーテル(benzoin methylether)、ベンゾインエチルエーテル(benzoin ethylether)、およびベンゾインイソプロピルエーテル(benzoin isopropyl ether)等のアシロインエーテル(acyloin ether)化合物;2,4,6‐トリメチル‐ベンゾイル‐ジフェニル‐ホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-diphenyl-phosphineoxide)およびビス‐(2,6‐ジメトキシ‐ベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチル‐ベンジル‐ホスフィンオキシド(bis-(2,6-dimethoxy-benzoyl)-2,4,4-trimethyl-benzyl-phosphineoxide)等のアシルホスフィンオキシド(acylphosphineoxide)化合物;アントラキノン(anthraquinone)、1,4‐ナフトキノン(1,4-naphthoquinone)等のキノン(quinone)化合物;塩化フェナシル(phenacyl chloride)、トリブロモメチルフェニルスルホン(tribromomethyl-phenylsulfone)、およびトリス(トリクロロメチル)‐s‐トリアジン(tris(trichloromethyl)-s-triazine)等のハロゲン化合物;およびジ‐tert‐ブチルペルオキシド(di-tertbutylperoxide)等の過酸化物。特に、ベンゾフェノン化合物が好ましく、4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが最も好ましい。
ア ルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、光開始剤(D)の使用量は、10重量部〜100重量部であり、好ましくは、12重量部〜80重量部であり、より好ましくは、15重量部〜60重量部である。
有機溶媒(E)
本発明の有機溶媒(E)は、アルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサンポリマー(B)、エチレン性不飽和基含有化合物(C)および光開始剤(D)を溶解できるものでなければならない。さらに、有機溶媒(E)は、これらの成分と反応せず、適切な揮発性を有する。
有機溶媒(E)の具体例は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル(propylene glycol monoethyl ether, PGEE)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ‐n‐プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ‐n‐ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、およびトリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、およびプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート化合物;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、およびテトラヒドロフラン等の他のエーテル化合物;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2‐ヘプタノン、3‐ヘプタノン、およびジアセトンアルコール(diacetone alcohol, DAA)等のケトン化合物;メチル2‐ヒドロキシプロピオネートおよびエチル2‐ヒドロキシプロピオネート等の乳酸アルキル;メチル2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオネート、エチル2‐ヒドロキシ‐2‐メチルプロピオネート、メチル3‐メトキシプロピオネート、エチル3‐メトキシプロピオネート、メチル3‐エトキシプロピオネート、エチル3‐エトキシプロピオネート(ethyl 3-ethoxypropanoate, EEP)、エチルエトキシアセテート、エチルヒドロキシアセテート、メチル2‐ヒドロキシ‐3‐メチルブチレート、3‐メチル‐3‐メトキシブチルアセテート、3‐メチル‐3‐メトキシブチルプロピオネート、エチルアセテート、n‐プロピルアセテート、i‐プロピルアセテート、n‐ブチルアセテート、イソブチルアセテート、n‐アミルアセテート、イソアミルアセテート、n‐ブチルプロピオネート、エチルブチレート、n‐プロピルブチレート、イソプロピルブチレート、n‐ブチルブチレート、メチルピルベート、エチルピルベート、n‐プロピルピルベート、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、およびエチル2‐オキシブチレート等の他のエステル化合物;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素化合物;およびN‐メチルピロリドン、N,N‐ジメチルホルムアミド、およびN,N‐ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド化合物を含むことができる。有機溶媒(E)は、好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートまたはエチル3‐エトキシプロピオネートである。さらに、有機溶媒(E)は、単独で使用しても、上述した化合物を複数種類組み合わせて使用してもよい。
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、有機溶媒(E)の使用量は、500重量部〜5000重量部であり、好ましくは、800重量部〜4000重量部であり、より好ましくは、1000重量部〜3000重量部である。
着色剤(F)
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、着色剤(F)を含んでもよい。着色剤(F)は、有機顔料および無機顔料からなる群より選ばれた少なくとも1つである。
無機顔料は、金属酸化物および金属錯塩等の金属化合物を含む。無機顔料の例は、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属酸化物、および上述した金属の複合酸化物を含む。
有機顔料の例は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73、74、81、83、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、126、127、128、129、138、139、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175;C.I.ピグメントオレンジ1、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、61、63、64、71、73;C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、193、194、202、206、207、208、209、215、216、220、224、226、242、243、245、254、255、264、265;C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38、39;C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、66;C.I.ピグメントグリーン7、36、37;C.I.ピグメントブラウン23、25、28;C.I.ピグメントブラック1、7を含む。
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、着色剤(F)の使用量は、20重量部〜150重量部であり、好ましくは、25重量部〜120重量部であり、より好ましくは、30重量部〜100重量部である。
添加物(G)
本発明の感光性樹脂組成物は、さらに、添加物(G)を含んでもよい。添加物(G)は、例えば、界面活性剤、充填剤、高分子化合物(アルカリ可溶性樹脂(A)以外)、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、または凝集抑制剤を含む。
界面活性剤は、本発明の感光性樹脂組成物のコーティング特性を向上させることができ、その例は、ポリエチレンオキシドラウリルエーテル、ポリエチレンオキシドステアリルエーテル、およびポリエチレンオキシドオレイルエーテル等のポリエチレンオキシドアルキルエーテル;ポリエチレンオキシドオクチルフェニルエーテルおよびポリエチレンオキシドノニルフェニルエーテル等のポリエチレンオキシドアルキルフェニルエーテル;ポリエチレングリコールジラウレートおよびポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジアルキルエーテル;ソルビタン脂肪酸エステル;脂肪酸変性ポリエステル;三級アミン変性ポリウレタン;および信越化学工業株式会社製のKPシリーズ、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製のSF‐8427、共栄社油脂化学工業株式会社製のポリフロー(Polyflow)、トーケムプロダクツ製のエフトップ(F-Top)、DIC株式会社製のメガファック(Megafac)、住友スリーエム株式会社製のフロラード(Fluorade)、および旭硝子株式会社製のサーフロン(Surflon)を含むことができる。
充填剤の例は、例えば、ガラス、アルミニウム等を含むことができる。高分子化合物の例は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、およびポリフルオロアルキルアクリレートを含むことができる。密着促進剤の例は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N‐(2‐アミノエチル)‐3‐アミノプロピルトリメトキシシラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、2‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3‐クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、および3‐メルカプトプロピルトリメトキシシランを含むことができる。酸化防止剤の例は、例えば、2,2’‐チオビス(4‐メチル‐6‐t‐ブチルフェノール)および2,6‐ジ‐t‐ブチルフェノールを含むことができる。紫外線吸収剤の例は、例えば、2‐(3‐t‐ブチル‐5‐メチル‐2‐ヒドロキシフェニル)‐5‐クロロフェニルアザイドおよびアルコキシフェノンを含むことができる。凝集抑制剤の例は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムを含むことができる。
アルカリ可溶性樹脂(A)100重量部に対し、添加剤(G)の使用量は、1重量部〜10重量部であり、好ましくは、1.5重量部〜8重量部であり、より好ましくは、2重量部〜6重量部である。
本発明は、また、カラーフィルターの製造方法を提供する。本発明のカラーフィルターの製造方法について、以下に詳しく説明する。
<感光性樹脂組成物の製造>
アルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサンポリマー(B)、エチレン性不飽和基含有化合物(C)、光開始剤(D)および有機溶媒(E)をミキサーに入れて攪拌し、これらの成分を均等に混合して溶液状態にする。そして、必要であれば、着色剤(F)または添加剤(G)を添加してもよい。これらの成分を均等に混合した後、溶液状態の感光性樹脂組成物を製造することができる。
透明感光性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、まず、アルカリ可溶性樹脂(A)の一部およびエチレン性不飽和基含有化合物(C)の一部を有機溶媒(E)の媒体の一部に分散させて分散液を形成してもよく、その後、その分散液中に残りのアルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサンポリマー(B)、エチレン性不飽和基含有化合物(C)、光開始剤(D)、および有機溶媒(E)を混合して、感光性樹脂組成物を得る。
カラー感光性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されない。例えば、着色剤(F)をカラーフィルター用の感光性樹脂組成物の中に直接添加して分散させてもよく;あるいは、まず、着色剤(F)の一部をアルカリ可溶性樹脂(A)および有機溶媒(E)の一部に分散させて着色剤分散液を形成した後、その着色剤分散液中に残りのアルカリ可溶性樹脂(A)、ポリシロキサンポリマー(B)、エチレン性不飽和基含有化合物(C)、光開始剤(D)および有機溶媒(E)を混合してもよい。着色剤(F)の分散プロセスでは、ビーズミル(beads mill)やロールミル(roll mill)等のミキサーを使用することによって、これらの成分を混合することができる。
<画素層の形成>
例えば、スピンコーティング法、流延(cast)コーティング法、ロールコーティング法等により、基板上に本発明の溶液状態の感光性樹脂組成物溶液をコーティングする。基板は、例えば、無アルカリガラス、ソーダライムガラス、ハードガラス(パイレックス(Pyrex)ガラス)、石英ガラス、または、透明導電膜を付着したこれらのガラス等の液晶ディスプレイ用ガラス;光電変換装置(例えば、固体撮像デバイス)用の基板(例えば、シリコン基板);または、赤、緑、青等の画素着色層を隔離することのできる遮光用ブラックマトリックス(black matrix)が形成された基板を含むことができる。
感光性樹脂組成物をコーティングした後、まず、減圧乾燥プロセスを行って感光性樹脂組成物溶液に含まれる有機溶媒の大部分を除去してから、プリベーク(pre-bake)処理を行って残りの有機溶媒を完全に除去し、プリベークコーティング膜を形成する。プロセスの間、減圧乾燥プロセスおよびプリベーク処理の操作条件は、各成分の種類と配合率によって変わる。一般的に、減圧乾燥プロセスは、0mmHg〜200mmHgの圧力で1秒〜60秒間行われ、プリベーク処理は、70℃〜110℃の温度で1分〜15分間行われる。
プリベーク処理の後、所定のパターンを有するフォトマスクを使用して、プリベークコーティング膜に対し露光プロセスを行う。露光プロセスに使用する光は、好ましくは、g線、h線、またはi線等の紫外(UV)線であり、紫外線を出射する装置は、例えば、(超)高圧水銀ランプまたはメタルハライドランプである。
露光プロセスの後、プリベークコーティング膜を23±2℃の温度で現像液中に浸して、約15秒〜5分間現像し、プリベークコーティング膜の不必要な部分を除去することによって、基板上に所定のパターンを形成する。現像液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムメチル、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、または1,8‐ジアザビシクロ[5,4,0]‐7‐ウンデセン等のアルカリ水溶液含有アルカリ化合物であってもよい。その濃度は、0.001wt%〜10wt%であり、好ましくは、0.005wt%〜5wt%であり、より好ましくは、0.01wt%〜1wt%である。
次に、基板上のパターンを水で洗った後、圧縮空気または窒素を用いてパターンを乾燥させる。最後に、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を使用して、パターンに対しポストベーク(post-bake)処理を行う。特に、加熱温度は、150℃〜250℃の範囲に設定し、ホットプレートを使用する時の加熱時間は、5分〜60分であり、オーブンを使用する時の加熱時間は、15分〜150分である。こうすることによって、パターンが固定され、画素層が形成される。これらのステップを繰り返すことにより、例えば、赤、緑、および青色の画素層を基板上に順番に形成することができる。
<保護膜の形成>
本発明の保護膜の形成方法は、例えば、赤、緑、青色の画素層が形成された基板上に透明感光性樹脂組成物をコーティングした後、プリベーク処理等の加熱プロセスを行って中の溶媒を除去し、保護膜を形成することを含む。
コーティング方法は、例えば、スプレーコーティング(spray coating)法、ロールコーティング(roller coating)法、スピンコーティング(spin coating)法、バーコーティング(bar coating)法、またはインクジェット(ink jet)法を含むことができる。これらのコーティング法は、スピンコータ(spin coater)、スピンレスコーティング装置(spin-less coating machine)、またはスリットダイコーティング装置(slit-die coating machine)を使用して行うのが好ましい。
プリベーク処理の条件は、各成分の種類と配合率によって変わる。一般的に、プリベーク処理は、70℃〜90℃の温度で1分〜15分間行われる。プリベーク処理を行った後、形成されるプリベークコーティング膜の厚さは、0.15μm〜8.5μmであり、好ましくは、0.15μm〜6.5μmであり、より好ましくは、0.15μm〜4.5μmである。理解すべきこととして、プリベークコーティング膜の厚さは、溶媒が除去された後の厚さを指す。
プリベークコーティング膜を形成した後、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を使用して、加熱プロセスを行う。加熱処理の温度は、一般的に、150℃〜250℃であり、ホットプレートを使用する時の加熱時間は、5分〜30分であり;オーブンを使用する時の加熱時間は、30分〜90分である。
透明感光性樹脂組成物が光開始剤を含む時、必要であれば、透明感光性樹脂組成物を基板の表面にコーティングし、且つプリベーク処理により溶媒を除去してプリベークコーティング膜を形成した後、プリベークコーティング膜に対して露光処理を行ってもよい。
露光プロセスに使用する光は、例えば、可視光、紫外線、遠紫外線、電子ビーム(electron beam)、またはX線等を含むことができる。また、190nm〜450nmの波長を有する紫外線が好ましい。
露光処理の露光量は、好ましくは、100J/m2〜20,000J/m2であり、より好ましくは、150J/m2〜10,000J/m2である。
露光処理を行った後、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を使用して、加熱処理を選択的に行うことができる。加熱処理の温度は、通常、150℃〜250℃であり、ホットプレートを使用する時の加熱時間は、5分〜30分であり;オーブンを使用する時の加熱時間は、30分〜90分である。
<カラーフィルターの形成>
例えば、赤、緑、青色の画素層および保護膜を形成した後、真空環境において、220℃〜250℃の温度で保護膜の表面にスパッタリングプロセスを行い、ITO保護膜を形成する。必要であれば、ITO保護膜に対しエッチングプロセスおよび配線プロセスを行ってもよい。その後、ITO保護膜の表面に配向膜をコーティングしてもよい。このようにして、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて形成された硬化物を含むカラーフィルターを製造する。配向膜は、特に限定されず、周知の配向膜を使用することができる。
本発明は、さらに、液晶表示装置を提供する。その製造方法は、以下の通りである。
<液晶表示装置の製造>
カラーフィルターの製造方法により形成されたカラーフィルターを有する基板と薄膜トランジスタ(thin film transistor, TFT)を設置した駆動基板を、セルギャップ(cell gap)を開けて対向配置する。封止剤で2つの基板の周辺部を接着して、注入孔を残し、注入孔を介して基板の表面と封止剤によって定義されたセルギャップに液晶を充填する。最後に、注入孔を密封して、液晶セル(cell)を形成する。その後、液晶セルの外表面(つまり、各基板の液晶側と反対側の表面)に偏光板を付着させて、液晶表示装置を製造する。液晶は、特に限定されず、周知の液晶を使用することができる。
以下、実施形態を例として本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施形態の内容に限定されるものではない。
<製造例>
<成分(a‐1)の製造例>
製造例(a‐1‐1)
500mLの四つ口フラスコに、100重量部のフルオレンエポキシ化合物(新日鐵化学株式会社製のESF‐300;エポキシ当量:231)、30重量部のアクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、および130重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続的に添加する。供給量を25重量部/分に制御する。特に、反応プロセスの温度を100℃〜110℃に維持して、15時間反応させる。それにより、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液が得られる。その後、抽出、濾過、加熱および乾燥等の工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐1)が得られる。
製造例(a‐1‐2)
500mLの四つ口フラスコに、100重量部のフルオレンエポキシ化合物(大阪ガス株式会社製のPG‐100;エポキシ当量:259)、35重量部のメタクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、および135重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続的に添加する。供給量を25重量部/分に制御する。特に、反応プロセスの温度を100℃〜110℃に維持し、15時間反応させる。それにより、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液が得られる。抽出、濾過、加熱および乾燥等の工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐2)が得られる。
製造例(a‐1‐3)
500mLの四つ口フラスコに、100重量部のフルオレンエポキシ化合物(新日鐵化学株式会社製のESF‐300;エポキシ当量:231)、100重量部の2‐メタクリロイルエトキシサクシネート、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、および200重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続的に添加する。供給量を25重量部/分に制御する。反応プロセスの温度を100℃〜110℃に維持し、15時間反応させる。それにより、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液が得られる。抽出、濾過、加熱および乾燥等の工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐3)が得られる。
製造例(a‐1‐4)
機械攪拌器、温度計および還流冷却器を設置した1000mLの三つ口フラスコに、0.3モルのビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホン、9モルの3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、および0.003モルのテトラメチルアンモニウムクロリドを添加する。混合物を攪拌しながら105℃に加熱し、9時間反応させる。未反応の3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンを減圧下で蒸留する。反応システムを室温に冷却し、9モルのベンゼンと0.5モルの水酸化ナトリウムを水に溶解することによって形成された30wt%水溶液を攪拌しながら添加した後、反応システムを60℃に加熱して、3時間60℃に維持する。次に、Cl−がなくなるまで(AgNO3を用いて試験)反応溶液を繰り返し水洗いする。最後に、溶媒であるベンゼンを減圧下で蒸留し、75℃で24時間乾燥させて、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホンのエポキシ化合物を得る。
500mLの四つ口フラスコに、100重量部のビス(4‐ヒドロキシフェニル)スルホンのエポキシ化合物(エポキシ当量:181)、30重量部のアクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、および130重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続的に添加する。供給量を25重量部/分に制御する。特に、反応プロセスの温度を100℃〜110℃に維持し、15時間反応させる。それにより、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液が得られる。抽出、濾過、加熱および乾燥等の工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐4)が得られる。
製造例(a‐1‐5)
機械攪拌器、温度計および還流冷却器を設置した1000mLの三つ口フラスコに、0.3モルのビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9モルの3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、および0.003モルのテトラメチルアンモニウムクロリドを添加する。混合物を攪拌しながら105℃に加熱して、9時間反応させる。未反応の3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンを減圧下で蒸留する。反応システムを室温に冷却し、9モルのベンゼンと0.5モルの水酸化ナトリウムを水に溶解することによって形成された30wt%水溶液を攪拌しながら添加した後、反応システムを60℃に加熱して、3時間60℃に維持する。次に、Cl−がなくなるまで(AgNO3を用いて試験)反応溶液を繰り返し水洗いする。最後に、溶媒であるベンゼンを減圧下で蒸留し、75℃で24時間乾燥させて、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化合物を得る。
500mLの四つ口フラスコに、100重量部のビス(4‐ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンのエポキシ化合物(エポキシ当量:224)、35重量部のメタクリル酸、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、および135重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続的に添加する。供給量を25重量部/分に制御する。特に、反応プロセスの温度を100℃〜110℃に維持して、15時間反応させる。それにより、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液が得られる。抽出、濾過、加熱および乾燥等の工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐5)が得られる。
製造例(a‐1‐6)
機械攪拌器、温度計および還流冷却器を設置した1000mLの三つ口フラスコに、0.3モルのビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、9モルの3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパン、および0.003モルのテトラメチルアンモニウムクロリドを添加する。混合物を攪拌しながら105℃に加熱して、9時間反応させる。未反応の3‐クロロ‐1,2‐エポキシプロパンを減圧下で蒸留する。反応システムを室温に冷却し、9モルのベンゼンと0.5モルの水酸化ナトリウムを水に溶解することによって形成された30wt%水溶液を攪拌しながら添加した後、60℃に加熱して、3時間60℃に維持する。次に、Cl−がなくなるまで(AgNO3を用いて試験)反応溶液を繰り返し水洗いする。最後に、溶媒であるベンゼンを減圧下で蒸留し、75℃で24時間乾燥させて、ビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシランのエポキシ化合物を得る。
500mLの四つ口フラスコに、100重量部のビス(4‐ヒドロキシフェニル)ジメチルシランのエポキシ化合物(エポキシ当量:278)、100重量部の2‐メタクリロイルエトキシサクシネート、0.3重量部のベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.1重量部の2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾール、および200重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを連続的に添加する。供給量を25重量部/分に制御する。特に、反応プロセスの温度を100℃〜110℃に維持して、15時間反応させる。それにより、固体成分含有量が50wt%の黄色がかった透明の混合液が得られる。抽出、濾過、加熱および乾燥等の工程を行った後、固体成分含有量が99.9wt%の重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐6)が得られる。
<アルカリ可溶性樹脂(A‐1)の製造>
合成例1
1モルの重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐1)、1.9gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.6gの2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾールを900gのエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解し、同時に、0.2モルの3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a‐2‐1)および1.6モルのトリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(a‐3‐1)を添加する。混合物を110℃に加熱して、2時間反応させ(同時添加)、酸価が100mgKOH/g、数平均分子量が1566のアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐1)を得る。
合成例2
1モルの重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐2)、2.0gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、0.7gの2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾールを900gのエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解し、0.3モルの3,3’,4,4’‐ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(a‐2‐2)を添加する。混合物を90℃で2時間反応させた後、1.4モルのトリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物(a‐3‐2)を添加する。最後に、混合物を90℃で4時間反応させ(連続添加)、酸価が90mgKOH/g、数平均分子量が1981のアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐2)を得る。
合成例3〜10
表1に示した条件の他に、合成例1および2と同じ方法でアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐3)〜(A‐1‐10)を合成する。
<アルカリ可溶性樹脂(A‐2)の製造>
比較合成例1
1モルの重合性不飽和基を含有するジオール化合物(a‐1‐1)、1.9gのベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、および0.6gの2,6‐ジ‐t‐ブチル‐p‐クレゾールを700gのエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートに溶解し、同時に、0.3モルの3,3’,4,4’‐ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(a‐2‐1)および1.4モルのブタン二酸無水物(a‐4‐1)を添加する。混合物を110℃に加熱して、2時間反応させ、酸価が130mgKOH/g、数平均分子量が1888のアルカリ可溶性樹脂(以下、A‐2‐1と称す)を得る。
比較合成例2〜3
表2に示した条件の他に、比較合成例1と同じ方法でアルカリ可溶性樹脂(A‐2‐2)〜(A‐2‐3)を合成する。
<ポリシロキサンポリマー(B)の製造>
製造例B‐1
500mLの三つ口フラスコに、0.30モルのメチルトリメトキシシラン(以下、MTMSと称す)、0.65モルのフェニルトリメトキシシラン(以下、PTMSと称す)、0.05モルの3‐(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物(以下、GF‐20と称す)、および200gのプロピレングリコールモノエチルエーテル(以下、PGEEと称す)を添加し、混合物を室温で攪拌しながら、30分以内にシュウ酸の水溶液(0.40gのシュウ酸/75gのH2O)を添加する。そして、フラスコを30℃のオイルバスに浸して30分攪拌した後、30分以内にオイルバスの温度を120℃に上げる。溶液の内部温度が105℃に達した時、混合液を連続的に加熱攪拌し、重縮合を6時間行う。最後に、溶媒を蒸留法により除去して、ポリシロキサンポリマー(B‐1)を得る。製造例B‐1の原料の種類と使用量は、表3に示した通りである。
製造例B‐2
500mLの三つ口フラスコに、0.40モルのジメチルジメトキシシラン(以下、DMDMSと称す)、0.40モルのPTMS、0.20モルのフェニルトリエトキシシラン(以下、PTESと称す)、100gのPGEE、および100gのジアセトンアルコール(以下、DAAと称す)を添加し、混合物を室温で攪拌しながら、30分以内にシュウ酸の水溶液(0.40gのシュウ酸/75gのH2O)を添加する。そして、フラスコを30℃のオイルバスに浸して30分攪拌した後、30分以内にオイルバスの温度を120℃に上げる。溶液の内部温度が110℃に達した時、混合液を連続的に加熱攪拌し、重縮合を5時間行う。最後に、溶媒を蒸留法により除去して、ポリシロキサンポリマー(B‐2)を得る。製造例B‐2の原料の種類と使用量は、表3に示した通りである。
製造例B‐3
500mLの三つ口フラスコに、0.60モルのDMDMS、0.35モルのPTMS、0.05モルの3‐(トリメトキシシリル)プロピルグルタル酸無水物(以下、TMSGと称す)、および200gのPGEEを添加し、混合物を室温で攪拌しながら、30分以内にシュウ酸の水溶液(0.35gのシュウ酸/75gのH2O)を添加する。そして、フラスコを30℃のオイルバスに浸して30分攪拌した後、30分以内にオイルバスの温度を120℃に上げる。溶液の内部温度が105℃に達した時、混合液を連続的に加熱攪拌し、重縮合を6時間行う。最後に、溶媒を蒸留法により除去して、ポリシロキサンポリマー(B‐3)を得る。製造例B‐3の原料の種類と使用量は、表3に示した通りである。
製造例B‐4
500mLの三つ口フラスコに、0.65モルのMTMS、0.25モルのPTES、0.09モルの3‐エチル‐3‐[(3‐(トリメトキシシリル)プロピル)メチル]オキセタン(以下、TMSOXと称す)、0.01モルのシラノール末端ポリシロキサン(ゲレスト社製の「DMS‐S27」)、および200gのPGEEを添加し、混合物を室温で攪拌しながら、30分以内にシュウ酸の水溶液(0.45gのシュウ酸/75gのH2O)を添加する。そして、フラスコを30℃のオイルバスに浸して30分攪拌した後、30分以内にオイルバスの温度を120℃に上げる。溶液の内部温度が110℃に達した時、混合液を連続的に加熱攪拌し、重縮合を6時間行う。最後に、溶媒を蒸留法により除去して、ポリシロキサンポリマー(B‐4)を得る。製造例B‐4の原料の種類と使用量は、表3に示した通りである。
製造例B‐5
500mLの三つ口フラスコに、0.30モルのDMDMS、0.62モルのPTES、0.08モルの3‐エチル‐3‐[(3‐(トリエトキシシリル)プロピル)メチル]オキセタン(以下、TESOXと称す)、および200gのPGEEを添加し、混合物を室温で攪拌しながら、30分以内にシュウ酸の水溶液(0.40gのシュウ酸/75gのH2O)を添加する。そして、フラスコを30℃のオイルバスに浸して30分攪拌した後、30分以内にオイルバスの温度を120℃に上げる。溶液の内部温度が105℃に達した時、混合液を連続的に加熱攪拌し、重縮合を6時間行う。最後に、溶媒を蒸留法により除去して、ポリシロキサンポリマー(B‐5)を得る。製造例B‐5の原料の種類と使用量は、表3に示した通りである。
製造例B‐6
500mLの三つ口フラスコに、0.10モルのMTMS、0.40モルのDMDMS、0.45モルのPTMS、0.03モルのGF‐20、0.02モルのTMSOX、および200gのPGEEを添加し、混合物を室温で攪拌しながら、30分以内にシュウ酸の水溶液(0.45gのシュウ酸/75gのH2O)を添加する。そして、フラスコを30℃のオイルバスに浸して30分攪拌した後、30分以内にオイルバスの温度を120℃に上げる。溶液の内部温度が110℃に達した時、混合液を連続的に加熱攪拌し、重縮合を6時間行う。最後に、溶媒を蒸留法により除去して、ポリシロキサンポリマー(B‐6)を得る。製造例B‐6の原料の種類と使用量は、表3に示した通りである。
表1および表2の符号の説明は、以下の通りである。
符号 化合物
a-2-1 3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
a-2-2 3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
a-2-3 3,3’,4,4’-オキシジフェニルテトラカルボン酸二無水物
a-3-1 トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a-3-2 トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a-3-3 メチルジメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a-3-4 メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物
a-4-1 ブタン二酸無水物
a-4-2 フタル酸無水物
PGMEA プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EEP エチル3-エトキシプロピオネート
表3の符号の説明は、以下の通りである。
符号 化合物 分子量(Mw)
MTMS メチルトリメトキシシラン 136
DMDMS ジメチルジメトキシシラン 120
PTMS フェニルトリメトキシシラン 198
PTES フェニルトリエトキシシラン 240
GF-20 3-(トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物 304
TMSG 3-(トリメトキシシリル)プロピルグルタル酸無水物 276
TMSOX 3-エチル-3-[(3-(トリメトキシシリル)プロピル)メチル]オキセタン 278
TESOX 3-エチル-3-[(3-(トリエトキシシリル)プロピル)メチル]オキセタン 320
DMS-S27 シラノール末端ポリシロキサン(ゲレスト社製) 18000
PGEE ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル 104
DAA ジアセトンアルコール 116
揺動式攪拌器を使用して、100重量部のアルカリ可溶性樹脂(A‐1‐1)、10重量部のポリシロキサンポリマー(B‐1)、40重量部のTO‐1382(日本東亜合成株式会社製、以下、C‐1と称す)、5重量部の2‐メチル‐1‐[4‐(メチルチオ)フェニル]‐2‐モルホリノ‐1‐プロパノン(以下、D‐1と称す)、10重量部の2,2’‐ビス(2,4‐ジクロロフェニル)‐4,4’,5,5’‐テトラフェニル‐ビイミダゾール(以下、D‐2とする)、5重量部の4,4’‐ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(以下、D‐3とする)、20重量部のC.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントイエロー139=80/20のピグメント(以下、F‐1とする)、および500重量部のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、E‐1とする)を均一溶液状態に混合して、本発明の感光性樹脂組成物を得る。得られた感光性樹脂組成物を以下の評価方法で試験し、その結果を表4に示す。
<評価方法>
<高精度パターン直線性>
スピンコーティング法で100mm×100mmのガラスに感光性樹脂組成物をコーティングし、100mmHgの減圧下で30秒間乾燥させた後、80℃の温度で3分間プリベークし、膜厚が2.5μmのプリベークコーティング膜を形成する。次に、幅が25μm(ピッチが50μm)の縞状パターンを有するフォトマスクを介して、プリベークコーティング膜を光強度300J/cm2の紫外光(露光機キャノンPLA‐501F)で照射し、プリベークコーティング膜を露光する。そして、プリベークコーティング膜を23℃の温度で2分間現像液に浸漬して、純水で洗浄し、200℃の温度で80分間プリベークして、膜厚が2.0μmの感光性樹脂層をガラス基板上に形成する。
上述した方法により形成される縞状パターンを観察し、光学顕微鏡を用いて評価する。評価基準は、以下の通りである:
◎:直線性が良好である
○:直線性が一部不良である
×:直線性が不良である
<異物のサイズ>
膜圧が2.0μmの感光性樹脂層中の異物を光学顕微鏡で観察する。特に、異物のサイズは、小さい方が好ましい。評価基準は、以下の通りである:
◎:異物のサイズ<2μm
○:2μm≦異物のサイズ<4μm
△:4μm≦異物のサイズ<6μm
×:6μm≦異物のサイズ
実施例2〜10および比較例1〜5
表4および表5に示した条件の他に、実施例1と同じ方法で感光性樹脂組成物を製造し、評価する。その評価結果をそれぞれ表4および表5に示す。
表4および表5の符号の説明は、以下の通りである。
符号 化合物
C-1 TO-1382(日本東亞合成株式会社製)
C-2 カヤラッドDPCA-20(日本化薬株式会社製)
C-3 ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
D-1 2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルホリノ-1-プロパノン
D-2 2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-ビイミダゾール
D-3 4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
D-4 1-(4-フェニル-チオ-フェニル)-オクタン-1,2-ジオン2-オキシム-O-ベンゾエート
E-1 プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
E-2 エチル3-エトキシプロピオネート
F-1 C.I.ピグメントレッド254/C.I.ピグメントイエロー139=80/20
F-2 C.I.ピグメントグリーン36/C.I.ピグメントイエロー150=60/40
F-3 C.I.ピグメントブルー15:6
F-4 C.I.ピグメントブラック7
G-1 2,2-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)
G-2 2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロフェニルアザイド
表4および表5からわかるように、アルカリ可溶性樹脂(A‐2)を含む感光性樹脂組成物(比較例1、4および5)と比較すると、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜10)は、いずれも高精度パターンの直線性および異物のサイズに関して優れている。さらに、ポリシロキサンポリマー(B)を含まない感光性樹脂組成物(比較例2、3および5)と比較すると、ポリシロキサンポリマー(B)を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜10)は、いずれも高精度パターンの直線性および異物のサイズに関して優れている。さらに、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)とアルカリ可溶性樹脂(A‐2)のモル比が10/90〜100/0のポリシロキサンポリマー(B)を含まない感光性樹脂組成物(比較例2および3)と比較すると、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)とアルカリ可溶性樹脂(A‐2)のモル比が10/90〜100/0のポリシロキサンポリマー(B)を含む感光性樹脂組成物(実施例1〜10)は、いずれも高精度パターンの直線性および異物のサイズに関して優れている。
さらに、表4および表5からわかるように、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)中の成分(a‐1)と成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.15の感光性樹脂組成物(実施例9)と比較すると、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)中の成分(a‐1)と成分(a‐2)のモル比(a‐2)/(a‐1)が0.2〜1.0の感光性樹脂組成物(実施例1〜8)は、いずれも高精度パターンの直線性に関して優れている。
さらに、表4および表5からわかるように、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)中の成分(a‐1)と成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.01の感光性樹脂組成物(実施例10)と比較すると、アルカリ可溶性樹脂(A‐1)中の成分(a‐1)と成分(a‐3)のモル比(a‐3)/(a‐1)が0.02〜1.6の感光性樹脂組成物(実施例1〜9)は、いずれも高精度パターンの直線性に関して優れている。
以上のように、本発明の感光性樹脂組成物は、特定のアルカリ可溶性樹脂および特定のポリシロキサンポリマーを含むため、感光性樹脂組成物は、優れた高精度パターン直線性を有し、異物のサイズが小さい。その結果、感光性樹脂組成物は、カラーフィルターおよび液晶表示装置に適している。
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。