JP6066770B2 - 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
2ピース缶用ラミネート金属板は、金属板と、容器成形後に容器外面となる金属板の表面側にラミネートされた缶外面フィルムと、容器成形後に容器内面となる金属板の表面側にラミネートされた缶内面フィルムと、を備えている。
金属板としては、缶用材料として広く使用されている鋼板やアルミニウム板を用いることができる。金属板としては、特に、JIS G 3315に記載の、ティンフリースチール(TFS)等が好適である。
本発明の金属板ラミネート用ポリエステルフィルムは、2ピース缶用ラミネート金属板のフィルムに適用することができ、特に、缶外面用フィルムとして好適である。本発明のフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(B)と、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(C)と、ポリエチレンテレフタレート(D)との3成分を含有するポリエステルフィルムである。
本発明のフィルムの厚さは、金属板にラミネートした後の成形性、金属板に対する被覆性、耐衝撃性、味特性の点で、3〜50μmの範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは8〜30μmの範囲内である。
本発明のフィルムの製造方法としては、公知のポリエステルフィルムの製造方法が適用できる。一例を挙げると、ポリブチレンテレフタレート(B)とイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(C)とポリエチレンテレフタレート(D)との混合物を押出機に投入し、270〜300℃の温度で3〜15分間溶融混合した後、Tダイを通じてシート状に押出す。このシートを室温以下に温度調整した冷却ドラム上に密着させて冷却し、得られた未延伸フィルムをその後同時二軸延伸機に導き、40〜120℃の温度でMD及びTDにそれぞれ2〜4倍程度の延伸倍率となるように二軸延伸し、さらにTDの弛緩率を数%として、140〜190℃で数秒間熱処理を施すことによって、本発明のフィルムを製造することができる。
本発明のフィルムを缶外面および缶内面フィルムとして用い、このフィルムをそれぞれ金属板の両表面にラミネートする方法としては、金属板を予め200〜250℃まで予熱しておき、これとフィルムとを金属板より30℃、さらには50℃以上低く温度制御されたロールによって圧接して熱圧着させた後、室温まで冷却することによって連続的に製造される。金属板の加熱方法としては、ヒーターロール伝熱方式、誘導加熱方式、抵抗加熱方式、熱風伝達方式等が挙げられる。また、ラミネート後の冷却方法については、水等の冷媒中に浸漬する方法や冷却ロールと接触させる方法を用いることができる。
実施例及び比較例におけるフィルムの原料、および、特性値の測定法は、次の通りである。
(1−1)ポリブチレンテレフタレート(B)
固相重合品、極限粘度1.08dl/g、Tm223℃、Ti触媒40ppm含有
(C−1):固相重合品、イソフタル酸共重合量6モル%、極限粘度0.75dl/g、Tm233℃、Ge触媒40ppm含有
(C−2):固相重合品、イソフタル酸共重合量4モル%、極限粘度0.75dl/g、Tm239℃、Ge触媒40ppm含有
(C−3):固相重合品、イソフタル酸共重合量9モル%、極限粘度0.75dl/g、Tm224℃、Ge触媒40ppm含有
固相重合品、極限粘度0.77dl/g、Tm255℃、Ti触媒40ppm含有
(E−1):クラリアントジャパン社製 リコワックスPE190 数平均分子量5500
(E−2):三洋化成工業社製 サンワックス171P 数平均分子量1500
(E−3):クラリアントジャパン社製 リコワックスPED136 数平均分子量900
(2−1)融点(Tm)
Perkin Elmer社製DSCを用い、20℃/minで昇温し、吸熱量のピークとなる温度を融点とした。フィルムの測定サンプルは、延伸フィルムを溶融後、100℃/min以上の速度で急冷して非晶状態としたものを用いた。各実施例及び比較例では2つの融点が観測されたが、低い方(Tm1)をポリブチレンテレフタレート由来とし、高い方(Tm2)をイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンテレフタレート由来とした。
測定サンプル0.25gをフェノール/テトラクロロエタン=5/5(質量比)50mlに溶解し、ウベローデ粘度管を用いて25℃で測定した。
ラミネート金属板の製缶前の平板サンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。
◎:10.0(N)/15(mm)以上
○:5.0(N)/15(mm)以上、10.0(N)/15(mm)未満
×:5.0(N)/15(mm)未満
DI成形は、まずラミネート金属板の両面に融点45℃のパラフィンワックスを50mg/m2塗布した後に、123mmφのブランクを打ち抜き、そのブランクを市販のカッピングプレスで、内径71mmφ、高さ36mmのカップに絞り成形した。次いでこのカップを市販のDI成形装置に装入して、ポンチスピード200mm/s、ストローク560mmで、再絞り加工及び3段階のアイアニング加工で総リダクション率50%(それぞれのリダクション20%、19%、23%)を行い、最終的に缶内径52mm、缶高さ90mmの缶を成形した。なお、DI成形中には、水道水を50℃の温度で循環させた。
◎:スクラッチ無く製缶
○:表面スクラッチが発生した缶体の個数が製缶個数の5%未満
△:表面スクラッチが発生した缶体の個数が製缶個数の5%以上15%未満
×:表面スクラッチが発生した缶体の個数が製缶個数の15%以上
××:製缶時にフィルム剥離、破胴発生
上記耐スクラッチ性評価で成形可能(××以外)であった缶の、底部(缶外面側)を対象とした。缶内に常温の水道水を満たした後、蓋を巻き締めて密閉した。その後、缶底部を下向きにして、蒸気式レトルト殺菌炉の中に配置し、125℃で90分間、レトルト殺菌処理を行った。処理後、缶底部外面の外観変化を目視で観察した。
○:外観変化なし
△:外観にかすかな曇り(フィルム表面積で5%未満)発生
×:外観が白濁(フィルム表面積で5%以上白化発生)
上記耐スクラッチ性評価で成形可能(××以外)であった缶を対象とした。缶胴部よりピール試験用のサンプル(幅15mm、長さ120mm)を切り出した。切り出したサンプルの長辺側端部からフィルムの一部を剥離する。剥離したフィルムを、剥離された方向とは逆方向(角度:180°)に開き、引張試験機を用いて、引張速度30mm/minでピール試験を行い、幅15mmあたりの密着力を評価した。評価対象は、缶外面の缶胴部である。
◎:10.0(N)/15(mm)以上
○:6.0(N)/15(mm)以上、10.0(N)/15(mm)未満
△:3.0(N)/15(mm)以上、6.0(N)/15(mm)未満
×:3.0(N)/15(mm)未満
(本発明のフィルムの作成)
表1に示す割合のポリブチレンテレフタレート(B)と、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(C−1)と、ポリエチレンテレフタレート(D)とに、さらに平均粒径2.5μmの凝集シリカをフィルムの0.08質量%になるように添加し、275℃の温度で溶融し、Tダイ出口より押出し、急冷固化して未延伸フィルムを得た。
次いで、この未延伸フィルムの端部をテンター式同時二軸延伸機のクリップに把持し、60℃の予熱ゾーンを走行させた後、温度80℃でMDに3.0倍、TDに3.3倍で同時二軸延伸した。その後TDの弛緩率を5%として、150℃の熱固定温度で4秒間の熱処理を施した後、室温まで冷却して巻き取り、厚さ18μmの二軸延伸フィルムを得た。
JIS G 3315に記載の、ティンフリースチール(TFS)を金属板として用い、次に、金属板のラミネート装置を用いてティンフリースチール(TFS)を、ラミネート温度225℃に加熱し、ラミネートロールでティンフリースチール(TFS)の両面に前述のフィルムをラミネートした。
DI成形は、ラミネート金属板の両面に融点45℃のパラフィンワックスを50mg/m2塗布した後に、123mmφのブランクを打ち抜き、そのブランクを市販のカッピングプレスで、内径71mmφ、高さ36mmのカップに絞り成形した。次に、このカップを市販のDI成形装置に装入して、ポンチスピード200mm/s、ストローク560mmで、再絞り加工及び3段階のアイアニング加工で総リダクション率50%(それぞれのリダクション20%、19%、23%)を行い、最終的に缶内径52mm、缶高さ90mmの缶を成形した。なお、DI成形中には水道水を50℃の温度で循環させた。
表1に示すポリブチレンテレフタレート(B)、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(C)、ポリエチレンテレフタレート(D)の種類、配合比とする以外は実施例1と同様の方法で厚さ18μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用い、実施例1に記載した方法でラミネート金属板を作成、次いで2ピースラミネート缶を成形し、評価を行った。結果を表1に示した。
表1に示す低分子量ポリエチレンを添加する以外は実施例1と同様の方法で厚さ18μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用い、実施例1に記載した方法でラミネート金属板を作成、次いで2ピースラミネート缶を成形し、評価を行った。結果を表1に示した。
実施例5において、フィルムの作成時の溶融温度を305℃とする以外は実施例5と同様の方法で厚さ18μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用い、実施例1に記載した方法でラミネート金属板を作成、次いで2ピースラミネート缶を成形し、評価を行った。結果を表1に示した。
ただし、実施例12では二軸延伸フィルムを製造する際、低分子量ポリエチレンの析出成分による工程汚染が問題となった。
比較例1、6のフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(B)の添加量が多過ぎたため、ラミネート後のフィルムの結晶化度が高くなり、成形後密着性に劣り、また耐スクラッチ性に劣るものとなった。比較例2のフィルムは、イソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(C)の添加量が多く、ポリブチレンテレフタレート(B)の添加量が少なくなったため、充分な耐レトルト白化性を有さなかった。比較例7も比較例2同様、ポリブチレンテレフタレート(B)の添加量が少なく、充分な耐レトルト白化性を得られなかった。
比較例10のフィルムは実施例5と同組成であるが、押出時における樹脂温度が高く、エステル交換反応が進行したため、PET由来の融点(Tm2)がイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(C)の融点より低くなり、耐レトルト白化性や耐スクラッチ性、成形後密着性が低下した。
Claims (2)
- ポリブチレンテレフタレート45〜65質量%と、イソフタル酸を5〜8モル%共重合したポリエチレンテレフタレート25〜52質量%と、ポリエチレンテレフタレート3〜10質量%とを含み、合計が100質量%であるポリエステルフィルムであり、前記ポリエステルフィルムが示す融点のうち高い方の融点が前記イソフタル酸を5〜8モル%共重合したポリエチレンテレフタレートの融点より高いことを特徴とする金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムは、数平均分子量が1000〜8000の範囲内にある低分子量ポリエチレンを2000〜6000ppm含有することを特徴とする請求項1に記載の金属板ラミネート用ポリエステルフィルム。
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