JP6065917B2 - スラスト軸受 - Google Patents
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Description
本願は、2012年10月16日に日本に出願された特願2012−228892号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
また、下記特許文献3〜6にも、スラストカラーを支持するスラスト軸受が開示されている。
このようにトップフォイルの高さを精度よく変化させることができないと、量産性が低くなるためコストが高くなる。また、軸受負荷能力を予め設計するのが困難になるため、性能の評価が難しく、実用性が低くなる可能性がある。
本発明の第2の態様によれば、傾斜面の加工を容易に行うことができるとともに、この傾斜面に対応してバックフォイル片の加工も容易に行うことができる。
本発明の第3の態様によれば、くさび効果によって発生する圧力をより高めることができ、したがってスラスト軸受の軸受負荷能力をより高めることができる。
本発明の第4の態様によれば、スラストカラーの回転方向側におけるトップフォイル片の端縁部は、バックフォイルを介してベースプレートから離れた状態となるので、スラストカラーとの間が狭くなり、したがって良好なくさび効果が得られる。
本発明の第5の態様によれば、バックフォイル片によってトップフォイル片を弾性的に支持することができる。
本発明の第6の態様によれば、バックフォイル片の複数の山部の高さを同一に形成することで、トップフォイル片の高さをベースプレートの傾斜面に合わせて変化させることができる。したがって、バックフォイル片の加工を容易にすることができる。
本発明の第7の態様によれば、バックフォイル片の谷部の形成方向に沿って例えば溶接でバックフォイル片をベースプレートに固定することができ、固定を容易に行うことができる。
図1は、本発明のスラスト軸受が適用されるターボ機械の一例を模式的に示す側面図である。図1中符号1は回転軸、符号2は回転軸の先端部に設けられたインペラ、符号3は本発明に係るスラスト軸受を示している。
また、インペラ2は静止部材であるハウジング5内に配置されており、ハウジング5との間にチップクリアランス6が形成されている。
また、回転軸1には、スラストカラー4より回転軸1の中央寄りに、ラジアル軸受7が設けられている。
この第1実施形態のスラスト軸受3A(3)は、図1においてスラストカラー4よりもインペラ2寄りの位置に配置された軸受である。なお、本実施形態では、図1においてインペラ2寄りの位置に配置されたスラスト軸受3A(3)、及び図1においてスラストカラー4を挟んでその反対側、すなわちラジアル軸受7寄りの位置に配置されたスラスト軸受3は、同一の構成要素をそれぞれ備えている。ただし、ラジアル軸受7寄りのスラスト軸受3は、スラスト軸受3A(3)の構成が図1における左右方向で逆となった構成を備えている。
境界線31aは、回転軸1の中心軸に垂直な平面内に位置している。すなわち、境界線31aの高さ(上記中心軸方向での高さ)は、その長手方向において同一となっている。
傾斜面32は、境界線31aと直交する方向に傾斜している。このため、傾斜面32内のいずれかの位置において、境界線31aと平行な直線を想定した場合、この直線の高さは、その長手方向において同一となっている。
また、傾斜面32は、境界線31bから境界線31aに向かうに従いその高さが増加するように形成されている。また、傾斜面32は、境界線31bから境界線31aまで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。本実施形態の傾斜面32は、境界線31bから境界線31aまで一定の傾斜角度を有するように形成されている。なお、傾斜面32は、ベースプレート30の径方向から見たときに、境界線31bから境界線31aまでの範囲で全体的に凹状又は凸状に僅かに湾曲するように傾斜されていてもよい。
なお、本実施形態での境界線31a、31bは、ベースプレート30の中心を通る径線上に位置しているが、この径線に平行しつつ、この径線から離間した位置に設けられていてもよい。また、境界線31bは、ベースプレート30の中心を通る径線と所定の角度を形成するように配置されていてもよい。
また、バックフォイル片21は、スラストカラー4の回転方向側の端縁部21a、すなわち端縁部21aとなる谷部22の形成方向に沿って、ベースプレート30にスポット溶接されて固定されている。その際、図3Bに示すようにバックフォイル片21の端縁部21aは、全体が連続する一つの谷部22によって形成されているため、この谷部22全体を容易にベースプレート30に溶接することができる。したがって、バックフォイル片21は、溶接による固定が容易に行える。
なお、ベースプレート30への端縁部21aの固定については、スポット溶接以外にも、例えばネジ止めなどの一般的な機械的固定方法によって行うことができる。
また、本実施形態では、バックフォイル片21の、境界線31a寄りに位置する端縁部21aがベースプレート30に固定されているが、これに限定されず、バックフォイル片21の、境界線31b寄りに位置する端縁部がベースプレート30に固定されていてもよい。
本実施形態の端縁部11aは、傾斜面32のうち、その高さが最も低くなる境界線31bの近傍に固定されている(図2B、3A参照)。なお、これに限定されず、一の傾斜面32に配置されているトップフォイル片11の端縁部11aが、隣り合う他の傾斜面32のうちその高さが最も高くなる境界線31aの近傍に固定されていてもよい。
回転軸1が高速で回転すると、スラストカラー4とスラスト軸受3A(3)の軸受面であるトップフォイル片11(トップフォイル10)との間に、くさび効果による空気膜(流体潤滑膜)が形成される。すなわち、トップフォイル片11は、山部23の高さが一定に形成されて配置されたバックフォイル片21を介して、支持領域31に形成された傾斜面32上に配置されている。そのため、トップフォイル片11の高さは、傾斜面32の傾斜に沿って端縁部11aから端縁部11bに向かって漸次高くなっている。
よって、このスラスト軸受3A(3)によれば、加工を容易にして量産性を向上し、コストの低減化を図ることができる。また、加工が容易になってバラツキが少なくなるため、軸受負荷能力を予め精度良く設計することができる。
本実施形態の傾斜面32は、境界線31bから境界線31aまで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。また、バックフォイル片21は、このような傾斜面32内に配置されている。そのため、トップフォイル片11から荷重を受けたときの、山部23のスライドに対する傾斜面32の抵抗を低減することができ、低い荷重に対しても山部23は柔軟にスライドすることができる。よって、軸受のバネ定数が過度に上昇することを防止し、トップフォイル片11は流体潤滑膜の変化に適切に追従でき、良好な流体潤滑膜を常に維持することが可能となる。すなわち、軸受の正常な動作が維持できる。
次に、本発明のスラスト軸受3の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のスラスト軸受3B(3)が第1実施形態のスラスト軸受3A(3)と主に異なるところは、図4A、4Bに示すように、ベースプレート40に傾斜面と平坦面とを形成した点である。なお、図4Aは図2Bに対応した位置での側断面図であり、図4Bはベースプレート40の斜視図である。
また、傾斜面41は、境界線43と直交する方向に高さが漸次低くなるように傾斜している(図4Bの矢印P参照)。したがって、本実施形態でも、各境界線31aが形成された箇所、すなわち境界線31aを挟んで隣り合う一方の支持領域31と他方の支持領域31との間に、段差が形成されている。
傾斜面41は、境界線43と直交する方向に傾斜している。このため、傾斜面41内のいずれかの位置において、境界線43と平行な直線を想定した場合、この直線の高さは、その長手方向において同一となっている。
境界線43は、回転軸1の中心軸に垂直な平面内に位置している。すなわち、境界線43の高さ(上記中心軸方向での高さ)は、その長手方向において同一となっている。
本実施形態の傾斜面41は、平面視で、内周側円弧と内周側円弧よりも長い外周側円弧とが一対の径線によって接続された略台形状に形成されている。傾斜面41における内周側円弧と境界線43との接続部では、この内周側円弧の接線と境界線43とが互いに略直交している。同様に、傾斜面41における外周側円弧と境界線43との接続部では、この外周側円弧の接線と境界線43とが互いに略直交している。
したがって、スラストカラー4(回転軸1)の回転初期時において空気膜(流体潤滑膜)が形成されるまでの間に、トップフォイル片11の一部分のみがスラストカラー4に接触して損耗するのを防止することができる。また、ピーク荷重(最大荷重)が発生する面積を広く取ることで、ピーク荷重を下げることができ、スラスト軸受3の総荷重負荷能力を高めることができる。
また、第1実施形態に比べて傾斜面41の範囲を狭くすることにより、加工を容易にすることができる。
この変形例でのバックフォイル片21は、傾斜面41内に配置されている。トップフォイル片11は、平面視でバックフォイル片21よりも僅かに大きく形成されており、バックフォイル片21を覆うように配置されている。
上述したように、本実施形態での傾斜面41は、境界線31bから境界線43まで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。バックフォイル片21はこのような傾斜面41内に配置されているため、トップフォイル片11から荷重を受けたときの、山部23のスライドに対する傾斜面41の抵抗を低減することができ、低い荷重に対しても山部23は柔軟にスライドすることができる。よって、軸受のバネ定数が過度に上昇することを防止し、トップフォイル片11は流体潤滑膜の変化に適切に追従でき、良好な流体潤滑膜を常に維持することが可能となる。すなわち、軸受の正常な動作が維持できる。
なお、本実施形態及び本変形例の端縁部11aは、傾斜面41のうち、その高さが最も低くなる境界線31bの近傍に固定されている(図4A〜4C参照)。ベースプレート40への端縁部11aの固定は、スポット溶接や、ネジ止めなどの一般的な機械的固定方法によって行うことができる。なお、一の支持領域31に配置されているトップフォイル片11の端縁部11aが、隣り合う他の支持領域31の平坦面42における境界線31aの近傍に固定されていてもよい。
次に、本発明のスラスト軸受3の第3実施形態について説明する。
第3実施形態のスラスト軸受3C(3)が第2実施形態のスラスト軸受3B(3)と異なるところは、図5A、5Bに示すように、ベースプレート50に形成される平坦面と傾斜面との間の位置関係を、ベースプレート50の周方向において第2実施形態での位置関係とは逆にした点である。なお、図5Aは図2Bに対応した位置での側断面図であり、図5Bはベースプレート50の斜視図である。
また、本実施形態では、バックフォイル片21の、スラストカラー4の回転方向と反対の側の端縁部となる谷部22を例えば境界線53と平行に形成することにより、スラストカラー4の回転方向側でなく、回転方向と反対の側の端縁部21bの谷部22を平坦面52上に固定してもよい。この場合、バックフォイル片21の谷部22の形成方向に沿って例えばスポット溶接でベースプレート50に固定することができ、その固定を容易に行うことができる。
例えば、前記実施形態ではベースプレートの支持領域を6つ形成し、これら支持領域にそれぞれバックフォイル片(バンプフォイル片)、トップフォイル片を配置したが、支持領域については複数であれば、5つ以下でも、7つ以上であってもよい。その場合、バックフォイル片(バンプフォイル片)やトップフォイル片の数は支持領域の数に応じて変更される。
さらに、支持領域上へのトップフォイル片やバックフォイル片(バンプフォイル片)の配置、傾斜面の傾斜方向、支持領域間の境界線の長さ方向、平坦面と傾斜面との間の境界線の長さ方向など、前記実施形態以外にも種々の形態を採用することが可能である。
3、3A、3B、3C スラスト軸受
4 スラストカラー
10 トップフォイル
11 トップフォイル片
11a 端縁部
20 バックフォイル
21 バックフォイル片(バンプフォイル片)
22 谷部
23 山部
30 ベースプレート
31 支持領域
31a 境界線(第2境界線)
31b 境界線(第1境界線)
32 傾斜面
40 ベースプレート
41 傾斜面
42 平坦面
43 境界線(第2境界線)
50 ベースプレート
51 傾斜面
52 平坦面
Claims (7)
- 回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受であって、
前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、
前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対側の面に対向して配置されて、前記トップフォイルを支持するバックフォイルと、
前記バックフォイルの、前記トップフォイルと反対の側に配置されて、前記バックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備え、
前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成され、
前記トップフォイルは、前記複数のバックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成され、
前記ベースプレートは、前記複数のバックフォイル片をそれぞれ支持すると共に前記周方向に配列された複数の支持領域を有し、
前記支持領域は、第1境界線と、該第1境界線の前記スラストカラーの回転方向側に配置される第2境界線とによって区画される傾斜面を有し、
前記傾斜面は、前記第1境界線から前記第2境界線に向かうに従ってその高さが増加し、且つ前記第1境界線から前記第2境界線まで連続的に形成され、
前記バックフォイル片は、前記傾斜面内にのみ配置されているスラスト軸受。 - 前記第2境界線は、前記ベースプレートの半径方向に沿って形成され、
前記傾斜面は、前記第2境界線と直交する方向に傾斜している請求項1に記載のスラスト軸受。 - 前記トップフォイル片の、前記スラストカラーの回転方向側の端縁部は、その高さが一定に形成されている請求項1又は2に記載のスラスト軸受。
- 前記トップフォイル片は、前記スラストカラーの回転方向と反対の側の端縁部で前記ベースプレートに固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のスラスト軸受。
- 前記バックフォイル片は、複数の山部と複数の谷部とを交互に配置した波板状に形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のスラスト軸受。
- 前記バックフォイル片は、前記複数の山部の配列方向が前記傾斜面の傾斜方向に一致するように配置されている請求項5に記載のスラスト軸受。
- 前記バックフォイル片は、前記スラストカラーの回転方向側の端縁部で前記ベースプレートに固定されている請求項6に記載のスラスト軸受。
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