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JP6065917B2 - スラスト軸受 - Google Patents

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JP6065917B2 JP2014542159A JP2014542159A JP6065917B2 JP 6065917 B2 JP6065917 B2 JP 6065917B2 JP 2014542159 A JP2014542159 A JP 2014542159A JP 2014542159 A JP2014542159 A JP 2014542159A JP 6065917 B2 JP6065917 B2 JP 6065917B2
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Description

本発明は、スラスト軸受に関する。
本願は、2012年10月16日に日本に出願された特願2012−228892号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、高速回転体用の軸受として、回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受が知られている。このようなスラスト軸受としては、フォイル式スラスト軸受がよく知られている。このフォイル式スラスト軸受は、ベースとなる円環板形状の板材(ベースプレート)の上に、バンプフォイルと呼ばれる薄い板材からなる波板が複数枚円環状に配置され、さらにその上に、トップフォイルと呼ばれる薄板がバンプフォイルと同枚数配置されて、構成される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
このような構成によってフォイル式スラスト軸受は、スラスト軸受面(トップフォイル)に対してスラストカラーが近接した状態で回転すると、スラストカラーとトップフォイルとの間にくさび効果による空気膜(流体潤滑膜)を形成し、この空気膜によってスラストカラーを支持する。くさび効果とは、広い隙間から狭い隙間に向けて流体が流れると、狭い隙間において圧力が発生する現象である。このような効果、すなわち狭い隙間で発生した圧力により、スラスト軸受は荷重(スラストカラー)を支持する。
したがって、フォイル式スラスト軸受において効率的にくさび効果を得るためには、スラストカラーとトップフォイルとの間に広い隙間と狭い隙間を連続して形成するべく、スラストカラーの回転方向に対してトップフォイルの高さを変化させる必要がある。このようにトップフォイルの高さを変化させるため、従来では、スラストカラーの回転方向に沿ってバンプフォイルの高さ(バンプ(山)の高さ)を変化させている。
また、下記特許文献3〜6にも、スラストカラーを支持するスラスト軸受が開示されている。
特表2008−513701号公報 特表2008−501922号公報 特開昭61−92316 特開2002−349551 特開昭63−195412 特開昭59−187111
しかしながら、バンプフォイルは0.1mm程度の薄板からなるため、一山毎に山の高さを例えば数十μm変化させるような加工は難しく、たとえ加工できたとしてもコストが非常に高くなる場合がある。さらに、加工精度も低くなるため、トップフォイルの高さを設計通りに精度よく変化させるのが困難である。
また、バンプフォイルの山の高さを変えることなく、これの上に配置するトップフォイルの押圧力によってバンプフォイルの山の潰し量を少しずつ変えることにより、トップフォイルの高さを変化させることも考えられる。しかし、その場合にも、トップフォイルの高さを設計通りに精度よく変化させるのが極めて困難である。
このようにトップフォイルの高さを精度よく変化させることができないと、量産性が低くなるためコストが高くなる。また、軸受負荷能力を予め設計するのが困難になるため、性能の評価が難しく、実用性が低くなる可能性がある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、トップフォイルの高さを精度よく変化させることができ、これによって軸受負荷能力の事前の設計を可能にした、優れたスラスト軸受を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様では、回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受は、前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対側の面に対向して配置されて、このトップフォイルを支持するバックフォイルと、前記バックフォイルの、前記トップフォイルと反対の側に配置されて、このバックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備える。前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成されている。前記トップフォイルは、前記複数のバックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成されている。前記ベースプレートは、前記複数のバックフォイル片をそれぞれ支持すると共に前記周方向に配列された複数の支持領域を有している。前記支持領域は、第1境界線と、該第1境界線の前記スラストカラーの回転方向側に配置される第2境界線とによって区画される傾斜面を有している。この傾斜面の高さが前記第1境界線から前記第2境界線に向かうに従って増加している。この傾斜面は、前記第1境界線から前記第2境界線まで連続的に形成されている。また、前記バックフォイル片は、前記傾斜面内にのみ配置されている。
本発明の第1の態様によれば、バックフォイル片を支持するベースプレートの各支持領域に、第1境界線から第2境界線に向かうに従って高さが増加する傾斜面を形成しているので、この傾斜面上にバックフォイル片を介してトップフォイル片を配設していることにより、トップフォイル片の高さを傾斜面に沿って精度よく変化させることができる。また、その際にバックフォイル片については、高さを変化させることなく一定の高さに作製すればよく、したがって加工コストを抑えることができる。
本発明の第2の態様では、上記第1の態様において、前記第2境界線は、前記ベースプレートの半径方向に沿って形成されている。また、前記傾斜面は、前記第2境界線と直交する方向に傾斜している。
本発明の第2の態様によれば、傾斜面の加工を容易に行うことができるとともに、この傾斜面に対応してバックフォイル片の加工も容易に行うことができる。
本発明の第3の態様では、上記第1又は第2の態様において、前記トップフォイル片の、前記スラストカラーの回転方向側の端縁部は、その高さが一定に形成されている。
本発明の第3の態様によれば、くさび効果によって発生する圧力をより高めることができ、したがってスラスト軸受の軸受負荷能力をより高めることができる。
本発明の第4の態様では、上記第1から第3のいずれか一つの態様において、前記トップフォイル片は、前記スラストカラーの回転方向と反対の側の端縁部で前記ベースプレートに固定されている。
本発明の第4の態様によれば、スラストカラーの回転方向側におけるトップフォイル片の端縁部は、バックフォイルを介してベースプレートから離れた状態となるので、スラストカラーとの間が狭くなり、したがって良好なくさび効果が得られる。
本発明の第5の態様では、上記第1から第4のいずれか一つの態様において、前記バックフォイル片は、複数の山部と複数の谷部とを交互に配置した波板状に形成されている。
本発明の第5の態様によれば、バックフォイル片によってトップフォイル片を弾性的に支持することができる。
本発明の第6の態様では、上記第5の態様において、前記バックフォイル片は、前記複数の山部の配列方向が前記傾斜面の傾斜方向に一致するように配置されている。
本発明の第6の態様によれば、バックフォイル片の複数の山部の高さを同一に形成することで、トップフォイル片の高さをベースプレートの傾斜面に合わせて変化させることができる。したがって、バックフォイル片の加工を容易にすることができる。
本発明の第7の態様では、上記第6の態様において、前記バックフォイル片は、前記スラストカラーの回転方向側の端縁部で前記ベースプレートに固定されている。
本発明の第7の態様によれば、バックフォイル片の谷部の形成方向に沿って例えば溶接でバックフォイル片をベースプレートに固定することができ、固定を容易に行うことができる。
本発明のスラスト軸受によれば、ベースプレートの各支持領域に傾斜面を形成し、この傾斜面上にバックフォイル片を介してトップフォイル片を配設することにより、トップフォイル片の高さを傾斜面に沿って精度よく変化させている。このため、加工を容易にしてスラスト軸受の量産性を向上させ、そのコストの低減化を図ることができる。また、スラスト軸受の軸受負荷能力を予め精度良く設計することができる。
本発明に係るスラスト軸受が適用されるターボ機械の一例を示す模式図である。 本発明の第1実施形態に係るスラスト軸受を示す、一部を断面視した平面図である。 図2Aの2B−2B線矢視断面図である。 本発明の第1実施形態に係るスラスト軸受のベースプレートの斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るスラスト軸受の要部分解斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るスラスト軸受の要部側断面図である。 本発明の第2実施形態に係るスラスト軸受のベースプレートの斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るスラスト軸受の変形例の要部側断面図である。 本発明の第3実施形態に係るスラスト軸受の要部側断面図である。 本発明の第3実施形態に係るスラスト軸受のベースプレートの斜視図である。
以下、図面を参照して本発明のスラスト軸受を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明のスラスト軸受が適用されるターボ機械の一例を模式的に示す側面図である。図1中符号1は回転軸、符号2は回転軸の先端部に設けられたインペラ、符号3は本発明に係るスラスト軸受を示している。
回転軸1には、インペラ2が形成された位置の近くにスラストカラー4が固定されている。このスラストカラー4を挟持するようにして一対のスラスト軸受3が配置されている。
また、インペラ2は静止部材であるハウジング5内に配置されており、ハウジング5との間にチップクリアランス6が形成されている。
また、回転軸1には、スラストカラー4より回転軸1の中央寄りに、ラジアル軸受7が設けられている。
図2A、2B、3A、3Bは、このような構成のターボ機械に適用された第1実施形態におけるスラスト軸受3A(3)を示す図である。図2Aはスラスト軸受3A(3)の一部を断面視した平面図であり、図2Bは図2Aの2B−2B線矢視断面図である。また、図3Aはベースプレートの斜視図であり、図3Bはスラスト軸受3A(3)の要部分解斜視図である。
この第1実施形態のスラスト軸受3A(3)は、図1においてスラストカラー4よりもインペラ2寄りの位置に配置された軸受である。なお、本実施形態では、図1においてインペラ2寄りの位置に配置されたスラスト軸受3A(3)、及び図1においてスラストカラー4を挟んでその反対側、すなわちラジアル軸受7寄りの位置に配置されたスラスト軸受3は、同一の構成要素をそれぞれ備えている。ただし、ラジアル軸受7寄りのスラスト軸受3は、スラスト軸受3A(3)の構成が図1における左右方向で逆となった構成を備えている。
図2A、2Bに示すように本実施形態のスラスト軸受3A(3)は、回転軸1に固定された円板状のスラストカラー4に対向して配置された円環状(円筒状)の軸受であり、回転軸1を取り囲むように設けられている。このスラスト軸受3Aは、図2B、図3Bに示すようにスラストカラー4に対向して配置されるトップフォイル10と、このトップフォイル10の、スラストカラー4に対向する面と反対側の面に対向して配置されたバックフォイル20と、このバックフォイル20の、前記トップフォイル10と反対の側に配置された円環板状のベースプレート30と、を備えて構成されている。
ベースプレート30は、図3Aに示すように金属製の円環板状の部材である。ベースプレート30のスラストカラー4に対向する面には、バックフォイル20やトップフォイル10を支持するための支持領域が形成されている。本実施形態では、後述するようにバックフォイル20が複数枚(6枚)のバックフォイル片21によって形成され、トップフォイル10が複数枚(6枚)のトップフォイル片11によって形成されている。したがってベースプレート30は、その表面領域を周方向に6分割(6つに等分割)して形成されると共にベースプレート30の周方向に配列されている6つの支持領域31を有している。すなわち、図3Bに示すように各支持領域31はそれぞれ、バックフォイル片21、トップフォイル片11を支持するように構成されている。各支持領域31は、平面視で略台形状に形成されている。
また、図3A、3Bに示すように各支持領域31の全体には、図3A中に矢印Qで示すスラストカラー4(回転軸1)の回転方向に沿って高さが増加する傾斜面32が、それぞれ形成されている。すなわち、傾斜面32の高さ(回転軸1の軸方向での高さ)が、スラストカラー4の回転方向に向かうに従い増加している。なお、本発明において「回転方向に沿って傾斜面の高さが増加する」とは、円環板状のベースプレート30の周方向に沿って漸次高さが増加することのみを意味するのではなく、回転方向にほぼ向かうような方向、例えばベースプレート30の接線方向などに向かうに従い漸次高さが増加することも意味している。
本実施形態では、隣り合う支持領域31間の境界線31aはベースプレート30の半径方向に沿って形成されている。より詳細には、図3Aに示すように、隣り合う支持領域31の間には回転軸1の軸方向に平行な境界面33が設けられており、境界面33を介して隣り合う支持領域31が接続されている。本実施形態での境界面33は軸方向に平行するように形成されているが、これに限定されず、軸方向と所定の角度を形成するように配置されていてもよい。境界面33のスラストカラー4寄りの縁部には一方の支持領域31との境界線31a(第2境界線)が設けられ、境界面33の、境界線31aと逆側の縁部には他方の支持領域31との境界線31b(第1境界線)が設けられている。傾斜面32は、境界線31a、31bによって区画されている。各支持領域31においては、境界線31aは、境界線31bのスラストカラー4の回転方向側(回転方向進行側)に配置されている。
境界線31aは、回転軸1の中心軸に垂直な平面内に位置している。すなわち、境界線31aの高さ(上記中心軸方向での高さ)は、その長手方向において同一となっている。
傾斜面32は、それぞれの傾斜面32が形成される支持領域31における、スラストカラー4の回転方向側(回転方向進行側)の境界線31a(第2境界線)と直交する方向に傾斜している。すなわち、図3A中矢印Pで示すように、このスラストカラー4の回転方向Q側の境界線31aより、この境界線31aと直交する方向に高さが漸次低くなるように傾斜している。したがって、各境界線31aが形成された箇所では、隣り合う支持領域31のうち一方の支持領域31と他方の支持領域31との間に、段差が形成されている。なお、前記の矢印P方向は、図2Aに示した矢印2B−2Bを結ぶ線の方向に一致しており、したがって図2Bは、矢印P方向に沿う断面を矢印P方向と直交する方向で見た断面図である。
傾斜面32は、境界線31aと直交する方向に傾斜している。このため、傾斜面32内のいずれかの位置において、境界線31aと平行な直線を想定した場合、この直線の高さは、その長手方向において同一となっている。
また、傾斜面32は、境界線31bから境界線31aに向かうに従いその高さが増加するように形成されている。また、傾斜面32は、境界線31bから境界線31aまで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。本実施形態の傾斜面32は、境界線31bから境界線31aまで一定の傾斜角度を有するように形成されている。なお、傾斜面32は、ベースプレート30の径方向から見たときに、境界線31bから境界線31aまでの範囲で全体的に凹状又は凸状に僅かに湾曲するように傾斜されていてもよい。
境界線31a、31bはベースプレート30の径方向に沿って形成されている。さらに、本実施形態の境界線31a、31bは、ベースプレート30の中心(回転軸1の中心)を通る径線上(又はこの径線の近傍)に位置している。そのため、本実施形態の各支持領域31は、内周側円弧と内周側円弧よりも長い外周側円弧とが一対の径線によって接続された略台形状に形成されている。支持領域31における内周側円弧と境界線31aとの接続部では、この内周側円弧の接線と境界線31aとが互いに略直交している。同様に、支持領域31における外周側円弧と境界線31aとの接続部では、この外周側円弧の接線と境界線31aとが互いに略直交している。
なお、本実施形態での境界線31a、31bは、ベースプレート30の中心を通る径線上に位置しているが、この径線に平行しつつ、この径線から離間した位置に設けられていてもよい。また、境界線31bは、ベースプレート30の中心を通る径線と所定の角度を形成するように配置されていてもよい。
図2A、図3Bに示すようにバックフォイル20は、ベースプレート30の周方向に配列された6枚のバックフォイル片21によって形成されている。これらバックフォイル片21は、ベースプレート30の各支持領域31上にそれぞれ配置され、したがって傾斜面32上に配置され、これによってベースプレート30の周方向に配列されている。バックフォイル片21は、傾斜面32内に配置されている。また、これらバックフォイル片21は、後述するトップフォイル片11より平面視において僅かに小さく形成されている。したがって図2Aに示すように、バックフォイル片21はベースプレート30上にてスラストカラー4に対して露出することなく、トップフォイル片11に覆われている。
これらバックフォイル片21からなるバックフォイル20は、フォイル(薄板)で形成されており、トップフォイル10(トップフォイル片11)を弾性的に支持する。このようなバックフォイル20としては、例えば、バンプフォイル、特開2006−57652号公報や特開2004−270904号公報などに記載されているスプリングフォイル、特開2009−299748号公報などに記載されているバックフォイルなどが用いられる。なお、特開2006−57652号公報や特開2004−270904号公報に記載されているスプリングフォイル、特開2009−299748号公報に記載されているバックフォイルは、ラジアル軸受に用いられるフォイルであるが、これらを平面状に展開して円環板状に形成すれば、スラスト軸受に用いられるフォイルとなる。
本実施形態では、図2B、図3Bに示すようにバックフォイル20がバンプフォイルからなり、したがってバックフォイル片21はバンプフォイル片からなっている。バックフォイル片21(バンプフォイル片)は、フォイル(金属製薄板)が波板状に成形され、図2Aに示すように全体がトップフォイル片11より僅かに小さい略台形状に形成されている。
このように波板状に成形されたバックフォイル片21は、図2B、図3Bに示すようにベースプレート30に接する複数の谷部22と、トップフォイル片11に接する複数の山部23(バンプ)とが交互に配置されて形成されている。これら谷部22及び山部23は、支持領域31の傾斜面32の傾斜方向に沿って、すなわち図3A中の矢印P方向で示す傾斜方向に沿って配列されている。つまり、谷部22、山部23の配列方向は、傾斜面32の傾斜方向(矢印Pで示す傾斜方向)に一致している。
これら谷部22と山部23とは、傾斜方向に亘ってほぼ同じピッチで形成され、また、山部23の高さは均一に形成されている。したがって、山部の高さを変化させる必要があった従来構造に比べて、その加工が容易になっている。
また、バックフォイル片21は、スラストカラー4の回転方向側の端縁部21a、すなわち端縁部21aとなる谷部22の形成方向に沿って、ベースプレート30にスポット溶接されて固定されている。その際、図3Bに示すようにバックフォイル片21の端縁部21aは、全体が連続する一つの谷部22によって形成されているため、この谷部22全体を容易にベースプレート30に溶接することができる。したがって、バックフォイル片21は、溶接による固定が容易に行える。
なお、ベースプレート30への端縁部21aの固定については、スポット溶接以外にも、例えばネジ止めなどの一般的な機械的固定方法によって行うことができる。
また、本実施形態では、バックフォイル片21の、境界線31a寄りに位置する端縁部21aがベースプレート30に固定されているが、これに限定されず、バックフォイル片21の、境界線31b寄りに位置する端縁部がベースプレート30に固定されていてもよい。
バックフォイル片21は、略台形状に形成された支持領域31や傾斜面32と相似形に形成されている。そのため、本実施形態のバックフォイル片21は、内周側円弧と外周側円弧が一対の径線によって接続された略台形状に形成されている。バックフォイル片21における内周側円弧と端縁部21aとの接続部では、この内周側円弧の接線と端縁部21aとが互いに略直交している。同様に、バックフォイル片21における外周側円弧と端縁部21aとの接続部では、この外周側円弧の接線と端縁部21aとが互いに略直交している。
トップフォイル10も、図2A、図3Bに示すようにベースプレート30の周方向に配列された6枚のトップフォイル片11によって形成されている。これらトップフォイル片11は、金属製の薄板(フォイル)によって支持領域31とほぼ同じ形状、すなわち扇形からその頂点を含む部分を除いた、上底(径方向内側の辺)、下底(径方向外側の辺)をそれぞれ円弧状とする略台形状に形成されている。このような形状のトップフォイル片11は、ベースプレート30の各支持領域31上にバックフォイル片21を覆ってそれぞれ配置され、ベースプレート30の周方向に等間隔で配列されて全体として円環板状に配置されたことにより、トップフォイル10を形成している。
なお、トップフォイル片11は図2Aに示すように支持領域31より僅かに小さく形成されるとともに、バックフォイル片21より僅かに大きく形成されている。これによって複数のトップフォイル片11は、互いに干渉することなく配置されている。また、トップフォイル片11は、バックフォイル片21をスラストカラー4に対して露出させることなく、その上面を覆った状態で各支持領域31に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されることなく、バックフォイル片21をトップフォイル片11と同じ大きさに形成してもよく、あるいは、トップフォイル片11より大きく形成してもよい。
また、このトップフォイル片11は、スラストカラー4の回転方向と反対の側の端縁部11a(リーディングエッジ)にて、ベースプレート30にスポット溶接で直接固定されている。これにより、端縁部11aは固定端となっている。一方、スラストカラー4の回転方向側の端縁部11b(トレーディングエッジ)は、図2Bに示すように固定されることなく単にバックフォイル片21の山部23上に支持された自由端となっている。なお、ベースプレート30へのトップフォイル片11の端縁部11aの固定については、スポット溶接以外にも、例えばネジ止めなどの一般的な機械的固定方法によって行うことができる。
本実施形態の端縁部11aは、傾斜面32のうち、その高さが最も低くなる境界線31bの近傍に固定されている(図2B、3A参照)。なお、これに限定されず、一の傾斜面32に配置されているトップフォイル片11の端縁部11aが、隣り合う他の傾斜面32のうちその高さが最も高くなる境界線31aの近傍に固定されていてもよい。
端縁部11bは、図2Aに示すように本実施形態では隣り合う支持領域31間の境界線31aと平行に配置されており、したがってベースプレート30の傾斜面32上の同じ高さ位置にバックフォイル片21を介して配置されている。また、バックフォイル片21はその複数の山部23の配列方向が傾斜面32の傾斜方向に一致しており、したがって山部23はその長さ方向において高さが一定になっている。よって、端縁部11bは、ベースプレート30の傾斜面32上の同じ高さ位置に配置され、さらに高さが一定に形成されたバックフォイル片21の山部23上に支持されていることにより、その高さが一定になっている。言い替えれば、端縁部11bの高さは、その長手方向において同一となっている。すなわち、端縁部11bは、トップフォイル片11において最も高さが高くなるように位置し、したがってスラストカラー4の非回転時において、端縁部11bはスラストカラー4に対して最も近接するように配置されている。
次に、このような構成からなるスラスト軸受3A(3)の作用について説明する。
回転軸1が高速で回転すると、スラストカラー4とスラスト軸受3A(3)の軸受面であるトップフォイル片11(トップフォイル10)との間に、くさび効果による空気膜(流体潤滑膜)が形成される。すなわち、トップフォイル片11は、山部23の高さが一定に形成されて配置されたバックフォイル片21を介して、支持領域31に形成された傾斜面32上に配置されている。そのため、トップフォイル片11の高さは、傾斜面32の傾斜に沿って端縁部11aから端縁部11bに向かって漸次高くなっている。
したがって、スラストカラー4とトップフォイル片11との間の隙間は、端縁部11aからスラストカラー4(回転軸1)の回転方向側となる端縁部11bに向かって漸次狭くなり、そのため特に端縁部11bにおいてくさび効果による圧力が発生し、空気膜(流体潤滑膜)が形成される。このようなくさび効果によって空気膜が形成されることにより、スラスト軸受3A(3)は荷重(スラストカラー4)を安定して支持する。
本実施形態のスラスト軸受3A(3)にあっては、バックフォイル片21(バンプフォイル片)を支持するベースプレート30の各支持領域31に、スラストカラー4の回転方向に沿って高さが増加する傾斜面32を形成している。このため、この傾斜面32上にバックフォイル片21を介してトップフォイル片11を配設することにより、トップフォイル片11の高さを傾斜面32に沿って精度よく変化させることができる。また、その際にバックフォイル片21については、山部23の高さを変化させることなく一定の高さに作製すればよく、したがってその加工コストを抑えることができる。
よって、このスラスト軸受3A(3)によれば、加工を容易にして量産性を向上し、コストの低減化を図ることができる。また、加工が容易になってバラツキが少なくなるため、軸受負荷能力を予め精度良く設計することができる。
また、傾斜面32を、ベースプレート30の半径方向に沿って形成された境界線31aと直交する方向に傾斜させているので、傾斜面32の加工を容易に行うことができる。また、この傾斜面32の形状に対応してバックフォイル片21(バンプフォイル片)の加工も容易に行うことができる。すなわち、ベースプレート30の周方向に沿って漸次高さが増加するように傾斜面を形成する場合、この傾斜面は平面でなく曲面(湾曲面)となり、その加工が難しくなる。また、このような曲面からなる傾斜面に対応してバンプフォイル片を形成しようとすると、山部と谷部を互いに平行に形成するのではなく、山部や谷部のピッチがベースプレート30の内周側で狭く、外周側で広くなるように形成する必要があり、やはりその加工が難しくなる。これに対して本実施形態では、傾斜面32が平面となり、バンプフォイル片の山部や谷部も同一ピッチで互いに平行に形成すればよいことから、その加工が容易になる。
ただし、本発明では、ベースプレート30の周方向に沿って漸次高さが増加するように傾斜面を形成してもよく、その場合に、バンプフォイル片を、その山部や谷部のピッチがベースプレート30の内周側で狭く、外周側で広くなるように形成してもよい。その場合にも、ベースプレート30に傾斜面32を形成したことで、バンプフォイル(バンプフォイル片)の山部の高さを一山毎に変化させるような加工を行う必要が無いため、従来技術に比べれば加工が容易になり、コストを抑えることができる。
また、トップフォイル片11の、スラストカラー4の回転方向側の端縁部11bの高さを一定に形成しているので、くさび効果によって発生する圧力をより高めることができ、したがって軸受負荷能力をより高めることができる。すなわち、くさび効果によって最も高い圧力を発生する、トップフォイル片11において高さが高い部位(スラストカラー4との隙間を最も狭くする部位)を、端縁部11b全体(ベースプレート30の径方向に亘る範囲)としているので、端縁部11bの一部のみが高くなっている場合などに比べ、発生する圧力を高めることができる。
また、トップフォイル片11を、スラストカラー4の回転方向と反対の側の端縁部11aでベースプレート30に固定しているので、スラストカラー4の回転方向側の端縁部11bがバックフォイル片21(バックフォイル20)を介してベースプレート30から浮いた状態となり、スラストカラー4との間が狭くなる。したがって、端縁部11bにおいて前記したように良好なくさび効果が得られる。
また、バックフォイル片21を、その山部23及び谷部22の配列方向が傾斜面32の傾斜方向に一致するように配置しているので、山部23の高さを同一に形成することにより、トップフォイル片11の高さをベースプレート30の傾斜面32に合わせて変化させることができる。したがって、バックフォイル片21はその山部23の高さを同一に形成すればよいため、バックフォイル片21の加工を容易にすることができる。
また、バックフォイル片21を、スラストカラー4の回転方向側の端縁部21aでベースプレート30に固定しているので、バックフォイル片21の谷部22の形成方向(ベースプレート30の径方向)に沿って例えばスポット溶接でベースプレート30に固定することができ、したがってその固定を容易に行うことができる。
スラスト軸受3では、トップフォイル片11から作用する荷重により、バックフォイル片21(バンプフォイル片)の山部23が傾斜面32に沿う方向に拡がり、各山部23が上記方向にスライドすることで柔軟なバネ特性が発揮される。ここで、山部23(谷部22)のスライドが傾斜面32との抵抗等により制限されると、山部23が適切にスライドすることが難しくなり、軸受のバネ定数が過度に上昇する場合がある。この場合、厚さ数μmで形成される流体潤滑膜の変化にトップフォイルが適切に追従できず、衝撃等により流体潤滑膜が破断し、スラストカラーとトップフォイルが接触する可能性がある。この接触により、軸受の正常な動作が妨げられる可能性がある。
本実施形態の傾斜面32は、境界線31bから境界線31aまで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。また、バックフォイル片21は、このような傾斜面32内に配置されている。そのため、トップフォイル片11から荷重を受けたときの、山部23のスライドに対する傾斜面32の抵抗を低減することができ、低い荷重に対しても山部23は柔軟にスライドすることができる。よって、軸受のバネ定数が過度に上昇することを防止し、トップフォイル片11は流体潤滑膜の変化に適切に追従でき、良好な流体潤滑膜を常に維持することが可能となる。すなわち、軸受の正常な動作が維持できる。
(第2実施形態)
次に、本発明のスラスト軸受3の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のスラスト軸受3B(3)が第1実施形態のスラスト軸受3A(3)と主に異なるところは、図4A、4Bに示すように、ベースプレート40に傾斜面と平坦面とを形成した点である。なお、図4Aは図2Bに対応した位置での側断面図であり、図4Bはベースプレート40の斜視図である。
図4Bに示すように本実施形態のベースプレート40は、第1実施形態のベースプレート30と同様に6つの支持領域31を有し、各支持領域31に、スラストカラー4(回転軸1)の回転方向に沿って高さが増加する傾斜面41が形成されている。また、隣り合う支持領域31間の境界線31aは、本実施形態においてもベースプレート40の半径方向に沿って形成されている。ただし、第1実施形態では、支持領域31全体に傾斜面32を形成していたのに対し、本実施形態では、支持領域31の一部、すなわちスラストカラー4の回転方向と反対の側(境界線31b寄りの位置)にのみ、傾斜面41を形成している。また、スラストカラー4の回転方向側(回転方向進行側、境界線31a寄りの位置)には、平坦面42が形成されている。すなわち、本実施形態の支持領域31には、傾斜面41と平坦面42とがそれぞれ形成されている。
平坦面42は、図4Aに示すように傾斜面41の最も高い位置(スラストカラー4の回転方向進行側での端部)から、スラストカラー4(回転軸1)の回転方向側の境界線31aまで続く平面であり、傾斜面41と異なりベースプレート40の裏面と平行な面である。すなわち、平坦面42は、偏った負荷のない正常な状態において、スラストカラー4の外面(回転軸1の回転軸に垂直な面)に対して平行に配置されるように形成された面である。よって、平坦面42も、回転軸1の軸方向に垂直となるように配置されている。これら傾斜面41と平坦面42との間の境界線43(第2境界線)は、図4Bに示すようにベースプレート40の径方向に沿って形成されている。なお、本実施形態の境界線43は、ベースプレート40の中心を通る経線上(又はその近傍)に設けられているが、これに限られず、この経線から離間した位置に設けられていてもよい。
また、傾斜面41は、境界線43と直交する方向に高さが漸次低くなるように傾斜している(図4Bの矢印P参照)。したがって、本実施形態でも、各境界線31aが形成された箇所、すなわち境界線31aを挟んで隣り合う一方の支持領域31と他方の支持領域31との間に、段差が形成されている。
傾斜面41は、境界線43と直交する方向に傾斜している。このため、傾斜面41内のいずれかの位置において、境界線43と平行な直線を想定した場合、この直線の高さは、その長手方向において同一となっている。
傾斜面41は、境界線31bと境界線43とによって区画され、境界線31bから境界線43に向かうに従いその高さが増加するように形成されている。また、傾斜面41は、境界線31bから境界線43まで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。本実施形態の傾斜面41は、境界線31bから境界線43まで一定の傾斜角度を有するように形成されている。なお、傾斜面41は、ベースプレート40の径方向から見たときに、境界線31bから境界線43までの範囲で全体的に凹状又は凸状に僅かに湾曲するように傾斜されていてもよい。
境界線43は、回転軸1の中心軸に垂直な平面内に位置している。すなわち、境界線43の高さ(上記中心軸方向での高さ)は、その長手方向において同一となっている。
本実施形態の傾斜面41は、平面視で、内周側円弧と内周側円弧よりも長い外周側円弧とが一対の径線によって接続された略台形状に形成されている。傾斜面41における内周側円弧と境界線43との接続部では、この内周側円弧の接線と境界線43とが互いに略直交している。同様に、傾斜面41における外周側円弧と境界線43との接続部では、この外周側円弧の接線と境界線43とが互いに略直交している。
本実施形態のスラスト軸受3にあっては、支持領域31の傾斜面41におけるスラストカラー4の回転方向側に隣り合うように、平坦面42を形成している。すなわち、傾斜面41のその高さが最も高い部位に平坦面42を接続して形成していることにより、図4Aに示すように特にスラストカラー4の回転時に、トップフォイル片11の高さが最も高くなる箇所が平坦面42に相当する比較的広い面積を有する。
したがって、スラストカラー4(回転軸1)の回転初期時において空気膜(流体潤滑膜)が形成されるまでの間に、トップフォイル片11の一部分のみがスラストカラー4に接触して損耗するのを防止することができる。また、ピーク荷重(最大荷重)が発生する面積を広く取ることで、ピーク荷重を下げることができ、スラスト軸受3の総荷重負荷能力を高めることができる。
また、第1実施形態に比べて傾斜面41の範囲を狭くすることにより、加工を容易にすることができる。
この第2実施形態においては、以下に説明する変形例が考えられる。図4Cは、本発明の第2実施形態に係るスラスト軸受の変形例の要部側断面図である。図4Cは、図2B(図4A)に対応した位置での側断面図である。
この変形例でのバックフォイル片21は、傾斜面41内に配置されている。トップフォイル片11は、平面視でバックフォイル片21よりも僅かに大きく形成されており、バックフォイル片21を覆うように配置されている。
上述したように、本実施形態での傾斜面41は、境界線31bから境界線43まで連続的に形成されており、傾斜角度が急激に変化する凹部や凸部等がその傾斜面内に設けられていない。バックフォイル片21はこのような傾斜面41内に配置されているため、トップフォイル片11から荷重を受けたときの、山部23のスライドに対する傾斜面41の抵抗を低減することができ、低い荷重に対しても山部23は柔軟にスライドすることができる。よって、軸受のバネ定数が過度に上昇することを防止し、トップフォイル片11は流体潤滑膜の変化に適切に追従でき、良好な流体潤滑膜を常に維持することが可能となる。すなわち、軸受の正常な動作が維持できる。
なお、本実施形態及び本変形例の端縁部11aは、傾斜面41のうち、その高さが最も低くなる境界線31bの近傍に固定されている(図4A〜4C参照)。ベースプレート40への端縁部11aの固定は、スポット溶接や、ネジ止めなどの一般的な機械的固定方法によって行うことができる。なお、一の支持領域31に配置されているトップフォイル片11の端縁部11aが、隣り合う他の支持領域31の平坦面42における境界線31aの近傍に固定されていてもよい。
(第3実施形態)
次に、本発明のスラスト軸受3の第3実施形態について説明する。
第3実施形態のスラスト軸受3C(3)が第2実施形態のスラスト軸受3B(3)と異なるところは、図5A、5Bに示すように、ベースプレート50に形成される平坦面と傾斜面との間の位置関係を、ベースプレート50の周方向において第2実施形態での位置関係とは逆にした点である。なお、図5Aは図2Bに対応した位置での側断面図であり、図5Bはベースプレート50の斜視図である。
図5Bに示すように本実施形態のベースプレート50は、第1実施形態のベースプレート30と同様に6つの支持領域31を有し、各支持領域31に、スラストカラー4(回転軸1)の回転方向に沿って高さが増加する傾斜面51が形成されている。また、隣り合う支持領域31間の境界線31aは、本実施形態においてもベースプレート50の半径方向に沿って形成されている。第1実施形態では、支持領域31全体に傾斜面32を形成していたのに対し、本実施形態では、支持領域31の一部、すなわちスラストカラー4の回転方向側(回転方向進行側)にのみ、傾斜面51が形成されている。一方、支持領域31の、スラストカラー4の回転方向と反対の側には、平坦面52が形成されている。
平坦面52は、図5Aに示すように傾斜面51の最も低い位置から、スラストカラー4(回転軸1)の回転方向と反対の側の境界線31bまで続く平面であり、第2実施形態の平坦面42と同様に、傾斜面51と異なりベースプレート50の裏面と平行な面である。すなわち、偏った負荷のない正常な状態において、スラストカラー4の外面(回転軸1の中心軸に垂直な面)に対して平行に配置されるように形成された面である。これら傾斜面51と平坦面52との間の境界線53は、図5Bに示すように境界線31aと平行に形成されている。また、傾斜面51は、第1実施形態と同様に、境界線31aと直交する方向に高さが漸次低くなるように傾斜している。したがって、本実施形態でも、各境界線31aが形成された箇所、すなわち境界線31aを挟んで隣り合う一方の支持領域31と他方の支持領域31との間に、段差が形成されている。
本実施形態のスラスト軸受3にあっては、支持領域31の傾斜面51におけるスラストカラー4の回転方向と反対の側に接続して、平坦面52を形成しているので、第1実施形態に比べて傾斜面51の範囲を狭くでき、加工を容易にすることができる。
また、本実施形態では、バックフォイル片21の、スラストカラー4の回転方向と反対の側の端縁部となる谷部22を例えば境界線53と平行に形成することにより、スラストカラー4の回転方向側でなく、回転方向と反対の側の端縁部21bの谷部22を平坦面52上に固定してもよい。この場合、バックフォイル片21の谷部22の形成方向に沿って例えばスポット溶接でベースプレート50に固定することができ、その固定を容易に行うことができる。
また、このようにすれば、バックフォイル片21を固定する部位とトップフォイル片11を固定する部位とを、共にスラストカラー4の回転方向と反対の側の平坦面52上に揃えて固定することができ、したがってバックフォイル片21とトップフォイル片11とを、これらの相対的位置関係が設計通りとなるように精度良く配置することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前記複数の実施形態には限定されない。すなわち、前記複数の実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨を逸脱しない範囲において設計要求等に基づき、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではベースプレートの支持領域を6つ形成し、これら支持領域にそれぞれバックフォイル片(バンプフォイル片)、トップフォイル片を配置したが、支持領域については複数であれば、5つ以下でも、7つ以上であってもよい。その場合、バックフォイル片(バンプフォイル片)やトップフォイル片の数は支持領域の数に応じて変更される。
また、ベースプレートの支持領域に平坦面を形成する場合、第2実施形態や第3実施形態のように傾斜面の一方の側にのみ平坦面を形成するのに代えて、傾斜面の両側、すなわちスラストカラー4の周方向での両側に、平坦面をそれぞれ形成してもよい。
さらに、支持領域上へのトップフォイル片やバックフォイル片(バンプフォイル片)の配置、傾斜面の傾斜方向、支持領域間の境界線の長さ方向、平坦面と傾斜面との間の境界線の長さ方向など、前記実施形態以外にも種々の形態を採用することが可能である。
1 回転軸
3、3A、3B、3C スラスト軸受
4 スラストカラー
10 トップフォイル
11 トップフォイル片
11a 端縁部
20 バックフォイル
21 バックフォイル片(バンプフォイル片)
22 谷部
23 山部
30 ベースプレート
31 支持領域
31a 境界線(第2境界線)
31b 境界線(第1境界線)
32 傾斜面
40 ベースプレート
41 傾斜面
42 平坦面
43 境界線(第2境界線)
50 ベースプレート
51 傾斜面
52 平坦面

Claims (7)

  1. 回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受であって、
    前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、
    前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対側の面に対向して配置されて、前記トップフォイルを支持するバックフォイルと、
    前記バックフォイルの、前記トップフォイルと反対の側に配置されて、前記バックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備え、
    前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成され、
    前記トップフォイルは、前記複数のバックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成され、
    前記ベースプレートは、前記複数のバックフォイル片をそれぞれ支持すると共に前記周方向に配列された複数の支持領域を有し、
    前記支持領域は、第1境界線と、該第1境界線の前記スラストカラーの回転方向側に配置される第2境界線とによって区画される傾斜面を有し、
    前記傾斜面は、前記第1境界線から前記第2境界線に向かうに従ってその高さが増加し、且つ前記第1境界線から前記第2境界線まで連続的に形成され、
    前記バックフォイル片は、前記傾斜面内にのみ配置されているスラスト軸受。
  2. 前記第2境界線は、前記ベースプレートの半径方向に沿って形成され、
    前記傾斜面は、前記第2境界線と直交する方向に傾斜している請求項1に記載のスラスト軸受。
  3. 前記トップフォイル片の、前記スラストカラーの回転方向側の端縁部は、その高さが一定に形成されている請求項1又は2に記載のスラスト軸受。
  4. 前記トップフォイル片は、前記スラストカラーの回転方向と反対の側の端縁部で前記ベースプレートに固定されている請求項1〜3のいずれか一項に記載のスラスト軸受。
  5. 前記バックフォイル片は、複数の山部と複数の谷部とを交互に配置した波板状に形成されている請求項1〜4のいずれか一項に記載のスラスト軸受。
  6. 前記バックフォイル片は、前記複数の山部の配列方向が前記傾斜面の傾斜方向に一致するように配置されている請求項5に記載のスラスト軸受。
  7. 前記バックフォイル片は、前記スラストカラーの回転方向側の端縁部で前記ベースプレートに固定されている請求項6に記載のスラスト軸受。
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