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JP2016075324A - スラスト軸受 - Google Patents

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JP2016075324A
JP2016075324A JP2014205054A JP2014205054A JP2016075324A JP 2016075324 A JP2016075324 A JP 2016075324A JP 2014205054 A JP2014205054 A JP 2014205054A JP 2014205054 A JP2014205054 A JP 2014205054A JP 2016075324 A JP2016075324 A JP 2016075324A
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pieces
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直陸 大森
Naomichi Omori
直陸 大森
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IHI Corp
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    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C17/00Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement
    • F16C17/04Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement for axial load only
    • F16C17/042Sliding-contact bearings for exclusively rotary movement for axial load only with flexible leaves to create hydrodynamic wedge, e.g. axial foil bearings

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Abstract

【課題】トップフォイル片がスラストカラーに接触するのを抑制するとともに、より高い摩擦減衰効果を発揮して回転軸のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収できるようにした、スラスト軸受を提供する。【解決手段】スラスト軸受は、トップフォイル10と、バックフォイル20と、ベースプレート30と、を備える。バックフォイル20は、ベースプレート30の周方向に配列された複数のバックフォイル片21によって形成され、トップフォイル10は、バックフォイル片21の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片11によって形成されている。バックフォイル片21とトップフォイル片11との間には、それぞれ制振フォイル片51が配置されている。バックフォイル片21は、その周方向の少なくとも一方の側が径方向にて複数に分割され、制振フォイル片51は、その周方向の少なくとも一方の側が径方向にて複数に分割されている。【選択図】図4

Description

本発明は、スラスト軸受に関する。
従来、高速回転体用の軸受として、回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受が知られている。このようなスラスト軸受としては、フォイル式のスラスト軸受、すなわちスラストフォイル軸受がよく知られている。スラストフォイル軸受は、振動や衝撃によって発生する回転軸の動き(スラストカラーの軸方向変位と傾き)を吸収できるように、軸受面が柔軟なフォイル(金属製薄板)によって形成されており、軸受面の下に軸受面を柔軟に支持するためのフォイル構造を有している。
このようなスラストフォイル軸受の一形態として、円環板を周方向に分割して切り出した複数の円輪片(円環片)形状のフォイル片(トップフォイル片)によって軸受面を形成し、これらトップフォイル片をそれぞれ波板状のフォイル片(バンプフォイル片)で支持した構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。各々のトップフォイル片(厚さ100μm前後)はスラストカラーに対して傾斜角を有しており、これによってスラストカラーとトップフォイル片との間の軸受隙間は側面視くさび形に形成される。すなわち、スラストカラー(回転軸)の回転方向上流側から下流側に向かうに連れて軸受隙間が狭くなるように形成されている。従って、軸受隙間が広い側(上流側)から軸受隙間が狭い側(下流側)に向かってスラストカラーが回転すると、潤滑流体がくさびに流れ込み、負荷能力が発揮される。
トップフォイル片は、スラストカラー(回転軸)の回転方向上流側の端辺のみがベースプレートに固定されており、軸受荷重が増加すると、この固定辺(上流側の端辺)を支点としてトップフォイルは水平になるように傾斜を緩め、傾斜角が0.1°程度になったとき最大負荷能力を発生する。一方、バンプフォイル片は山の稜線がトップフォイル片の下流側端辺に平行になるように配置され、バンプフォイル片におけるスラストカラー(回転軸)の回転方向下流側の端辺のみがベース板に固定されている。すなわち、上流側の端辺は自由端となっている。
バンプフォイル片がこのように配置/固定されているのは、トップフォイル片に発生する流体潤滑膜の圧力が軸受隙間の狭い側(下流側)で高くなるためであり、該部位を高い剛性で支持することにより、負荷能力を高めるためである。
特開平10−331847号公報
ところで、このようなスラスト軸受を搭載した回転機械では、回転軸の軸方向(スラスト方向)への振動や衝撃を受けると、回転軸がハウジング(ケーシング)に対して相対的にスラスト方向へ振動する。このような振動や衝撃に対して回転軸の振動を減衰させるものとして、各フォイルの接触面間に作用する摩擦減衰がある。すなわち、回転軸のスラストカラーが流体潤滑膜を介してトップフォイルを押すと、トップフォイル下のバンプフォイルが押し込まれ、その際、トップフォイルとバンプフォイルとの間やバンプフォイルとベースプレートとの間で滑り(摩擦)が生じることにより、その動きを減衰させている。
また、前記のスラストフォイル軸受構造では、トップフォイルの下流側端辺側で軸受隙間が最も狭くなっており、高負荷時にはサブミクロンに達することがある。従って、この下流側端辺側ではスラストカラーとの接触が起こり易くなっており、接触が起こるとトップフォイルが摩耗して軸受寿命が低下し、最悪の場合焼き付きが生じてしまう。これを避けるには、トップフォイルの下流側端辺とスラストカラーとを常に平行にしておくのが望ましい。
しかしながら、一般にスラストフォイル軸受では、その外周端側でのスラストカラーの周速が内周端側での周速に比べて速いため、外周端側では流体潤滑膜の圧力(膜圧)が高くなり、内周端側では周速が遅いため圧力(膜圧)が低くなる。このため、トップフォイルの外周端側はバンプフォイル側へ押し込まれてスラストカラーから離れる方向へ動くものの、内周端側はスラストカラーの側へ起き上がることにより、スラストカラーに近づいてしまう。
その結果、トップフォイルの下流側端辺側では、内周端側における流体潤滑膜の膜厚が極端に薄くなり、高負荷に耐えられなくなる。そこで、従来のスラスト軸受では、例えば特許文献1に示されるようにバンプフォイルを径方向にて複数に分割している。すなわち、内外周のバンプフォイル間にスリットを設け、これによってバンプフォイルを内周側から外周側まで計4分割し、内周側から外周側に向けて支持力をより滑らかに変化させている。
しかしながら、このようなバンプフォイルを分割したスラスト軸受でも、前記の振動や衝撃に対して回転軸の振動を減衰させる効果が十分とは言えず、回転軸と静止部(ハウジング)とが接触を起こすおそれがある。例えば、回転機械がターボ機械である場合、インペラがハウジングを擦ってしまうおそれがある。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、トップフォイル片がスラストカラーに接触するのを抑制するとともに、より高い摩擦減衰効果を発揮して回転軸のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収できるようにした、スラスト軸受を提供することにある。
本発明のスラスト軸受は、回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受であって、前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対の面側に配置されたバックフォイルと、前記バックフォイルの、前記トップフォイル側と反対の側に配置されて、該バックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備え、前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成され、前記トップフォイルは、前記バックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成され、前記バックフォイル片と前記トップフォイル片との間には、それぞれ制振フォイル片が配置され、前記バックフォイル片は、その周方向の少なくとも一方の側が径方向にて複数に分割され、前記制振フォイル片は、その周方向の少なくとも一方の側が径方向にて複数に分割されていることを特徴とする。
このスラスト軸受によれば、バックフォイル片とトップフォイル片との間にそれぞれ制振フォイル片を配置したので、回転軸がその軸方向(スラスト方向)への振動や衝撃を受け、トップフォイル片が流体潤滑膜を介してスラストカラーに押し込まれた際、従来ではトップフォイルとバックフォイル(バンプフォイル)との間で滑り(摩擦)が生じていたのに対し、このスラスト軸受ではトップフォイル片と制振フォイル片との間、および制振フォイル片とバックフォイル片との間でそれぞれ滑り(摩擦)が生じる。従って、摩擦減衰を生じる部位が増えることで従来に比べてより高い摩擦減衰効果を発揮するようになり、回転軸のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収することができる。
また、バックフォイル片を径方向にて複数に分割しているので、内周側の分割片と外周側の分割片とがそれぞれ独立して動作するため、トップフォイル片がバックフォイル片側へ押し込まれたときに生じるバックフォイル片の変形が径方向において滑らかになり、従ってバックフォイル片による支持力も内周側から外周側に向けてより滑らかに変化する。一方、制振フォイル片も径方向にて複数に分割しているので、分割片がバックフォイルの分割片に対応して独立して動くことにより、バックフォイル片の個々の分割片の動きに対して抵抗なく追従する。従って、バックフォイル片と制振フォイル片とを共に径方向にて分割していることにより、トップフォイル片の径方向における変形が滑らかになる。
また、前記スラスト軸受において、前記バックフォイル片は、その周方向の一方の側が径方向にて複数に分割され、且つ、他方の側が径方向にて連続する連続辺とされ、前記制振フォイル片は、その周方向の一方の側が径方向にて複数に分割され、且つ、他方の側が径方向にて連続する連続辺とされていることを特徴とする。
この構成によれば、バックフォイル片、制振フォイル片のそれぞれの分割された分割片が、連続辺によって一体化されているため、バックフォイル片、制振フォイル片のベースプレート上への固定が容易になる。
また、前記スラスト軸受において、前記バックフォイル片には、径方向にて分割された複数のバックフォイル分割片間に第1スリットが形成され、前記制振フォイル片には、径方向にて分割された複数の制振フォイル分割片間に、前記第1スリットに重なる第2スリットが形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、制振フォイル分割片間の第2スリットをバックフォイル分割片間の第1スリットに重なるように形成しているので、個々の制振フォイル分割片が対応するバックフォイル分割片の個々の動きにより良好に追従する。
また、前記スラスト軸受において、前記トップフォイル片は、前記回転軸の回転方向上流側の端辺が、前記ベースプレートに固定されるトップフォイル固定辺とされており、前記制振フォイル片は、前記回転軸の回転方向上流側の端辺、あるいは回転方向下流側の端辺が前記連続辺とされ、該連続辺が、前記トップフォイル片の前記トップフォイル固定辺とともに、前記ベースプレートに固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、トップフォイル片の形状を従来のものから変更することなく、従来と同じに形成することができる。また、制振フォイル片の連続辺をトップフォイル固定辺とともにベースプレートに固定しているので、点付溶接などによるフォイル片の固定点の数を従来と同じにすることができ、従って製造コストの上昇を抑えることができる。
また、前記スラスト軸受において、前記制振フォイル片は、前記回転軸の回転方向下流側の端辺が前記連続辺とされ、該連続辺が、前記トップフォイル片の前記トップフォイル固定辺とともに、前記ベースプレートに固定されていることを特徴とする。
この構成によれば、制振フォイル片をその下流側の連続辺でトップフォイル固定辺とともにベースプレートに固定しているので、トップフォイル片が流体潤滑膜を介してスラストカラーに押し込まれた際、トップフォイル片と制振フォイル片とが互いに対向する方向、すなわち相反する方向に滑るようになり、従ってこれらトップフォイル片と制振フォイル片との間の相対的な滑り量が増加し、より高い摩擦減衰効果が発揮される。
また、前記スラスト軸受において、前記制振フォイル片が、制振合金によって形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、フォイル間の滑りによる摩擦減衰に加えて、制振合金からなる制振フォイル片が曲げ変形することによる減衰効果も加わり、したがってより高い摩擦減衰効果が発揮される。
本発明のスラスト軸受によれば、バックフォイル片とトップフォイル片との間にそれぞれ制振フォイル片を配置して摩擦減衰を生じる部位を増やしているので、より高い摩擦減衰効果を発揮することができ、これによって回転軸のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収することができる。
また、バックフォイル片と制振フォイル片とを共に径方向にて分割してトップフォイル片の径方向における変形を滑らかにしているので、トップフォイル片がスラストカラーに局所的に接触するのを抑制することができ、これによってトップフォイル片の局所摩耗を防止し、軸受寿命の低下や焼き付きを防止することができる。
本発明に係るスラスト軸受が適用されるターボ機械の一例を示す模式図である。 本発明に係るスラスト軸受の第1実施形態を示す図であり、スラストカラーを挟んだ状態のスラスト軸受の側面図である。 本発明に係るスラスト軸受の第1実施形態の平面図である。 本発明に係るスラスト軸受の第1実施形態を示す図であり、(a)は図3のA−A線矢視断面図、(b)は制振フォイル片の平面図、(c)はバンプフォイル片の平面図、(d)は制振フォイル片およびバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図とを対応させた説明図である。 本発明に係るスラスト軸受の第2実施形態の平面図である。 本発明に係るスラスト軸受の第2実施形態を示す図であり、(a)は図5のB−B線矢視断面図、(b)は制振フォイル片の平面図、(c)はバンプフォイル片の平面図、(d)は制振フォイル片およびバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図とを対応させた説明図である。 本発明に係るスラスト軸受の第3実施形態を示す図であり、(a)はスラスト軸受の平面図、(b)は(a)のC−C線矢視断面図、(c)は制振フォイル片およびバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図を対応させた説明図である。
以下、図面を参照して本発明のスラスト軸受を詳しく説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明のスラスト軸受が適用されるターボ機械の一例を模式的に示す側面図であり、図1中符号1は回転軸、2は回転軸の先端部に設けられたインペラ、3は本発明に係るスラスト軸受である。
回転軸1には、インペラ2が形成された側にスラストカラー4が固定されており、このスラストカラー4には、このスラストカラー4を挟持するようにして一対のスラスト軸受3が配置されている。
また、インペラ2は静止側となるハウジング5内に配置されており、ハウジング5との間にチップクリアランス6を有している。
また、回転軸1には、スラストカラー4より中央側に、ラジアル軸受7が設けられている。
図2、図3、図4(a)〜(d)は、このような構成のターボ機械に適用されたスラスト軸受3の第1実施形態を示す図であり、図2はスラストカラー4を挟んだ状態のスラスト軸受3の側面図である。また、図3はスラスト軸受3の平面図、図4(a)は図3のA−A線矢視断面図、図4(b)は制振フォイル片の平面図、図4(c)はバンプフォイル片の平面図、図4(d)は制振フォイル片およびバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図を対応させた説明図である。
図2に示すようにこの第1実施形態では、スラスト軸受3A(3)はスラストカラー4を挟んでその両側にそれぞれ配置されている。これら一対のスラスト軸受3A(3)は、共に同じ構成となっており、回転軸1に固定された円環板状のスラストカラー4に対向して配置された円環状(円筒状)のもので、回転軸1に外挿されて設けられている。
スラスト軸受3Aは、スラストカラー4に対向して配置されたトップフォイル10と、このトップフォイル10の、前記スラストカラー4に対向する面と反対側の面に対向して配置されたバックフォイル20と、このバックフォイル20の、前記トップフォイル10側と反対の側に配置された円環板状のベースプレート30と、を備え、さらに、トップフォイル10とバックフォイル20との間に制振フォイル50を有して構成されている。
本実施形態では、一対のスラスト軸受3Aの、それぞれのベースプレート30間に、二点鎖線で示す円筒状の軸受スペーサ40が挟持されており、ベースプレート30は締結ボルト41によって軸受スペーサ40を介して連結されている。また、一方のベースプレート30は、その外面が締結ボルト41によってハウジング5に固定されており、従って一対のスラスト軸受3A、3Aは、スラストカラー4を挟んだ状態で締結ボルト41によってハウジング5に固定されている。
ベースプレート30は、図3に示すように円環板状で金属製のもので、その外周部に前記締結ボルト41を挿通するための貫通孔42を複数(本実施形態では8個)形成している。このベースプレート30には、前記スラストカラー4側の面に、前記バックフォイル20や制振フォイル50、トップフォイル10を支持するための支持領域が設けられている。本実施形態では、後述するようにバックフォイル20、制振フォイル50、トップフォイル10がいずれも複数枚(6枚)のバックフォイル片21、制振フォイル片51、トップフォイル片11によって形成されており、従ってベースプレート30は、その周方向を6分割(6つに等分割)して6つの支持領域31を形成している。ただし、本実施形態では、これら6つの支持領域31は設計上の領域であり、これら支持領域31を形成するベースプレート30の表面は単なる平面となっている。
これら各支持領域31には、図2に示したようにそれぞれバックフォイル片21、制振フォイル片51、トップフォイル片11がこの順に配置され、支持されている。
図3に示すようにバックフォイル20は、ベースプレート30の周方向に配列された6枚のバックフォイル片21によって形成されている。これらバックフォイル片21は、ベースプレート30の各支持領域31上にそれぞれ配置され、これによってベースプレート30の周方向に配列されている。また、これらバックフォイル片21は、後述する制振フォイル片51やトップフォイル片11より僅かに小さく形成され、従って図3に示すようにベースプレート30上にてスラストカラー4側に露出することなく、トップフォイル片11および制振フォイル片51に覆われている。
これらバックフォイル片21からなるバックフォイル20は、フォイル(薄板)で形成されてトップフォイル10(トップフォイル片11)を弾性的に支持する。このようなバックフォイル20としては、例えば、バンプフォイル、特開2006−57652号公報や特開2004−270904号公報などに記載されているスプリングフォイル、特開2009−299748号公報などに記載されているバックフォイルなどが用いられる。なお、特開2006−57652号公報や特開2004−270904号公報に記載されているスプリングフォイル、特開2009−299748号公報に記載されているバックフォイルは、ラジアル軸受に用いられるフォイルであるが、これらを平面状に展開して円環板状に形成すれば、スラスト軸受に用いられるフォイルとなる。
本実施形態では、図3、図4(a)、(c)、(d)に示すようにバックフォイル20がバンプフォイルからなり、従ってバックフォイル片21はバンプフォイル片からなっている。バンプフォイル片(バックフォイル片)21は、厚さ数百μm程度のフォイル(金属製薄板)がプレス成形によって波板状に成形されたもので、図4(c)に示すように全体が台形状に近い略五角形状に形成されている。
このように波板状に成形されたバンプフォイル片21は、図4(d)に示すようにベースプレート30に接する谷部22と、トップフォイル片11に接する山部23とが交互に配置されて形成されている。ここで、バンプフォイル片21は、回転軸1の回転方向下流側の端辺21aが、バンプフォイル片21の固定辺(バンプフォイル固定辺)となっている。前記谷部22及び山部23は、図3に示すようにバンプフォイル片21の固定辺21a(端辺)と直交する方向に配列されている。すなわち、谷部22、山部23の配列方向は、前記固定辺21aと直交する方向に形成されており、従って谷部22、山部23は、前記固定辺21aと平行に延在するように形成されている。
これら谷部22および山部23は、それぞれほぼ等ピッチで形成されている。また、山部23の高さは、前記固定辺21aと反対の側から固定辺21a側に向かって、すなわち図3中に矢印で示す回転軸1(スラストカラー4)の回転方向の下流側に向かうに連れて、所定の高さずつ高くなるように形成されている。なお、バンプフォイル片21の、固定辺21aと反対の側の外周側端部は、図4(c)に示すように谷部22の長さ方向に沿って切り欠かれている。
また、バンプフォイル片21は、その周方向の一方の側、本実施形態では回転軸1の回転方向下流側の端辺21aと反対の側が、径方向にて4つ(複数)に等分割され、他方の側となる端辺21a(固定辺)が径方向にて連続する連続辺とされている。このように端辺21aと反対の側が4つに分割されたことで、バンプフォイル片21は、4つの帯状のバンプフォイル分割片21b(バックフォイル分割片)と固定辺21a(連続辺)とによって構成されている。
4つの帯状のバンプフォイル分割片21b間には、それぞれ第1スリット21cが形成されている。これら第1スリット21cは、本実施形態ではバンプフォイル片21の外周が形成する円と同心円の一部を形成する円弧状に形成されている。これら第1スリット21cの幅は、径方向に隣り合うバンプフォイル分割片21bが互いに干渉することなく、独立して動けるような寸法に設定されている。このような幅の第1スリット21cによってバンプフォイル片21の一方の側が4つの帯状のバンプフォイル分割片21bに分割されていることにより、これら4つの帯状のバンプフォイル分割片21bはそれぞれ独立して動くようになっている。
また、本実施形態では、特に外周側に位置する二つのバンプフォイル分割片21bの山部23は、同じ列上にある山部23同士を比べた場合に、頂部の高さが内周側に位置する二つのバンプフォイル分割片21bの山部23に比べて少し高くなるように形成されている。これにより、バンプフォイル片21は、トップフォイル片11を支持する力が外周側で強く、内周側で弱くなり、流体潤滑膜の圧力と釣り合うようになる。すなわち、流体潤滑膜の圧力はトップフォイル片11の外周側で高圧となり、内周側で低圧となるため、バンプフォイル片21が外周側でトップフォイル片11を相対的に強く支持し、内周側で弱く支持することにより、トップフォイル片11にかかる力が外周側と内周側とで釣り合うようになり、トップフォイル片11は外周側、内周側共に、概ね等しくバンプフォイル片21側へ押し込まれるようになる。
また、バンプフォイル片21は、その固定辺21aが、後述する制振フォイル片51やトップフォイル片11における回転軸1の回転方向下流側の端辺と、平面視した状態でほぼ一致する位置に配置されている。そして、この端辺21aとなる谷部22の形成方向に沿って、ベースプレート30にスポット溶接(点付溶接)され、固定されている。
その際、バンプフォイル片21の端辺21aは、全体が連続する一つの谷部22によって形成されているため、この谷部22全体を容易に溶接することができる。従って、バンプフォイル片21は、溶接による固定が容易に行えるようになっている。
なお、ベースプレート30への端辺21aの固定については、スポット溶接以外にも、例えばネジ止めなどによって行うことができる。
制振フォイル50も、図3に示すようにベースプレート30の周方向に配列された6枚の制振フォイル片51によって形成されている。これら制振フォイル片51は、金属製または合金製の薄板(フォイル)によって形成されるが、特に制振合金によって形成されているのが好ましい。制振合金としては、複合型、強磁性型、転位型、双晶型が知られているが、いずれのものも使用可能である。具体的には、複合型として片状黒鉛鋳鉄(Fe−C−Si系)、Cosmal−Z(Al−Zn系)などが、強磁性型としてTDニッケル(Ni系)、13%クロム鋼(Fe−Cr系)、サイレンタロイ(Fe−Cr−Al系)、トランカロイ(Fe−Cr−Al−Mn系)、ジェンタロイ(Fe−Cr−Mo系)、NIVCO10(Co−Ni系)などが、転位型としてKIXI合金(Mn−Zr系)などが、双晶型としてソノストン(Mn−Cu系)、インクラミュート(Cu−Mn−Al系)、ニチノール(Ni−Ti系)などが用いられる。このような制振合金によって制振フォイル片51を作製することにより、制振フォイル片51は滑り(摩擦)だけでなくその変形(曲げ変形)によっても制振機能を発揮し、高い減衰効果を奏するようになる。なお、これら制振合金に代えて、例えばアルミニウムや銅などの金属によって形成してもよい。
このような制振フォイル片51は、後述するトップフォイル片11の厚さに対して1/5〜1/2程度の厚さ、具体的には30μm〜75μm程度の厚さに形成されている。このような範囲の厚さに形成することにより、制振フォイル片51はトップフォイル片11に対して良好な追従性を有し、これによって高い摩擦減衰効果を発揮するようになる。制振フォイル片51の厚さがトップフォイル片11の厚さに対して1/5未満になると、トップフォイル片11やバンプフォイル片21との間の擦れによる摩擦発生が低くなり、摩擦減衰効果が低下する。また、1/2を超えると、剛性が高くなる分、トップフォイル片11に対する追従性が低下する。
また、制振フォイル片51は、図4(b)に示すようにその外形が、扇形の頂点側を切り除いて内周側、外周側をそれぞれ円弧状とした、略台形状に形成されている。そして、周方向の一方の側、本実施形態では回転軸1の回転方向下流側が、径方向にて4つ(複数)に等分割され、他方の側(回転方向上流側)となる固定辺51aが径方向にて連続する連続辺とされている。このように固定辺51aと反対の側が4つに分割されたことで、制振フォイル片51は、4つの帯状の制振フォイル分割片51bと固定辺51a(連続辺)とによって構成されている。
4つの帯状の制振フォイル分割片51b間には、それぞれ第2スリット51cが形成されている。これら第2スリット51cは、本実施形態では制振フォイル片51の外周が形成する円と同心円の一部を形成する円弧状に形成されている。これら第2スリット51cの幅は、径方向に隣り合う制振フォイル分割片51bが互いに干渉することなく、独立して動けるような寸法に設定されている。また、これら第2スリット51cは、図4(d)に示すようにバンプフォイル片21の第1スリット21cに重なるように形成配置されている。
このような第2スリット51cによって制振フォイル片51の一方の側が4つの帯状の制振フォイル分割片51bに分割されていることにより、これら4つの帯状の制振フォイル分割片51bはそれぞれ独立して動くようになっている。また、4つの帯状の制振フォイル分割片51bは、4つの帯状のバンプフォイル分割片21bの山部23の頂部に接した状態に載せられていることにより、これら4つの帯状のバンプフォイル分割片21bのうちの対応する(接する)バンプフォイル分割片21bの動きに容易に追従するようになっている。
そして、このような形状の制振フォイル片51は、ベースプレート30の各支持領域31上にて前記バンプフォイル片21を覆ってそれぞれ配置され、ベースプレート30の周方向に等間隔で配列されて全体として略円環板状に配置されたことにより、制振フォイル50を形成している。
なお、制振フォイル片51は支持領域31より一回り小さく形成されるとともに、バンプフォイル片21より僅かに大きく形成されている。これによって制振フォイル片51は、互いに干渉することなく、また、バンプフォイル片21をスラストカラー4側に露出させることなく、その上面を覆った状態で各支持領域31に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されることなく、制振フォイル片51をバンプフォイル片21と同じ大きさに形成してもよく、あるいは、バンプフォイル片21より小さく形成してもよい。
また、この制振フォイル片51は、前述したように回転軸1(スラストカラー4)の回転方向上流側の端辺を連続した固定辺51a(連続辺)としており、この固定辺51aによってベースプレート30に固定されている。この固定辺51aでのベースプレート30への固定は、前記バンプフォイル片21の端辺21aと同様に、スポット溶接(点付溶接)によってなされている。
ただし、本実施形態では、図4(a)に示すように固定辺51aは後述するトップフォイル片11の固定辺12とともに、ベースプレート30にスポット溶接されている。なお、これら固定辺51a、固定辺12のベースプレート30への固定についても、スポット溶接以外に、例えばネジ止めなどで行うこともできる。また、制振フォイル片51は、固定辺51aより回転方向下流側が曲げ加工されており、これによってバンプフォイル片21の山部23の高さ分の段差を吸収できるように立ち上げられ、回転方向下流側がバンプフォイル片21の山部23上に載せられている。一方、回転方向下流側は、本実施形態では固定されることなく単にバンプフォイル片21の山部23上に支持された自由端となっている。
トップフォイル10も、図3に示すようにベースプレート30の周方向に配列された6枚のトップフォイル片11によって形成されている。これらトップフォイル片11は、厚さ数百μm程度、例えば150μm程度の金属製の薄板(フォイル)により、扇形の頂点側を切り除いて内周側、外周側をそれぞれ円弧状とした、略台形状に形成されている。すなわち、制振フォイル片51とほぼ同じ大きさ、形状に形成されている。このような形状のトップフォイル片11は、ベースプレート30の各支持領域31上にて前記制振フォイル片51を覆ってそれぞれ配置され、ベースプレート30の周方向に等間隔で配列されて全体として略円環板状に配置されたことにより、トップフォイル10を形成している。
なお、トップフォイル片11は前記制振フォイル片51と同様に支持領域31より一回り小さく形成されるとともに、バンプフォイル片21より僅かに大きく形成されている。これによってトップフォイル片11は、互いに干渉することなく、また、バンプフォイル片21や制振フォイル片51をスラストカラー4側に露出させることなく、その上面を覆った状態で各支持領域31に配置されている。ただし、本発明はこれに限定されることなく、例えばトップフォイル片11を制振フォイル片51又はバンプフォイル片21と同じ大きさに形成してもよく、あるいは、制振フォイル片51又はバンプフォイル片21より小さく形成してもよい。
また、このトップフォイル片11は、回転軸1(スラストカラー4)の回転方向上流側の端辺を固定辺12としており、この固定辺12によってベースプレート30に固定されている。すなわち、この固定辺12は、図4(a)に示したように制振フォイル片51の固定辺51a上に重ねられて、該固定辺51aとともにスポット溶接(点付溶接)によってベースプレート30に固定されている。これにより、スポット溶接による溶接点(固定点)を、制振フォイル片51を用いない従来の場合と同じにすることができ、従って製造コストの上昇を抑えることができる。
また、トップフォイル片11は、図4(a)に示すようにその固定辺12より回転方向下流側が曲げ加工されており、これによってバンプフォイル片21の山部23の高さ分の段差を吸収できるように立ち上げられ、回転方向下流側がバンプフォイル片21の山部23上に載せられている。一方、回転方向下流側の端辺(トレーリングエッジ)側は、制振フォイル片51と同様に、固定されることなく単にバンプフォイル片21の山部23上に支持された自由端となっている。
本実施形態ではバンプフォイル片21を、前記したようにその谷部22及び山部23がバンプフォイル片21の固定辺21aと直交する方向に配列するように配置している。従って、このバンプフォイル片21上に載置されることによって制振フォイル片51やトップフォイル片11は、前記山部23の配列方向に沿って固定辺51aや固定辺12側からバンプフォイル片21の固定辺21a側に向かうに連れて、漸次ベースプレート30の内面から遠ざかるようにバンプフォイル片21の山部23によって設定された初期傾斜角で傾斜して配置されている。
ここで、初期傾斜角とは、荷重がゼロのときのベースプレート30に対するトップフォイル片11の傾斜角である。また、傾斜角とは、図4(d)に示すようにバンプフォイル片21の山部23の高さ増加量によって決まる角度(勾配)θである。従って、荷重が増すとバンプフォイル片21の山部23がベースプレート30側に押し込まれ、全体が平坦化することにより、傾斜角θは初期傾斜角より小さくなる。
また、トップフォイル片11には、図4(a)に示すように固定辺12の近傍部、すなわち固定辺12に対して回転軸1の回転方向下流側に位置する近傍部が、その他の部位に比べて薄肉に形成された薄肉部14となっている。薄肉部14は、固定辺12に沿って直線状に形成されたもので、トップフォイル片11を構成するその他の部位の厚さ(数百μm程度)の、50%〜70%程度の厚さに形成されている。このような薄肉部14の形成は、例えばエッチング加工によって行うことができる。
また、この薄肉部14は、図4(a)に示すバンプフォイル片21に対して、その山部23のうち固定辺12に最も近い山部23の頂点(稜線)にかからないように、形成されている。すなわち、薄肉部14は、固定辺12と該固定辺12側の山部23の頂点(稜線)との間に位置するように、その幅が設定され、形成されている。これにより、トップフォイル片11は、薄肉部14以外の箇所(その他の部位)が制振フォイル片51を介して全ての山部23上に載ってこれらに均等に支持されるようになる。また、薄肉部14を形成したことにより、該薄肉部14より回転方向下流側がより容易に且つ円滑に傾斜できる(傾くことができる)ようになっている。さらに、このような薄肉部14を形成することにより、該薄肉部14以外の箇所の肉厚を、従来に比べて厚くすることも可能になる。
次に、このような構成からなるスラスト軸受3A(3)の作用について説明する。
本実施形態では、図2に示したようにスラスト軸受3Aをスラストカラー4の両側に設けている。このようにスラストカラー4の両側に設けることにより、スラスト方向の移動量を極力抑えることができる。すなわち、スラスト移動量を小さくすることにより、図1に示したチップクリアランス6を狭くすることができ、これによって流体性能を向上することができる。
スラスト方向の移動量を極力抑えるため、両スラスト軸受3Aはスラストカラー4に対して大きな隙間が生じないように近接して設置される。これにより、両スラスト軸受3Aのトップフォイル片11(トップフォイル10)はスラストカラー4に対して若干押し付けられた状態になる。その際、本実施形態ではトップフォイル片11に薄肉部14を形成しているので、回転方向下流側(自由端側)が傾き易く(曲がり易く)なっている。そのため、押し付け量に比して押し付け力が小さくなっており、これにより、始動トルクが小さくなっている。
すなわち、従来では荷重が増大したときにトップフォイル片の傾斜角が最適角になるように、予め最適角より大きい傾斜角が付けられている。従って、回転停止状態ではトップフォイル片はスラストカラー4を両面から挟み込み、押し付けられた状態(プリロードが掛かった状態)となる。しかしながら、従来ではトップフォイル片の肉厚も一定であることから、スラストカラー4への押し付け力(プリロード)が強く、始動トルクが大きくなっている。
これに対して本実施形態では、前記したようにトップフォイル片11に薄肉部14を形成しているため、始動トルクが小さくなる。
また、回転軸1が回転してスラストカラー4が回転を始めると、スラストカラー4とトップフォイル片11は擦れ合いつつ、両者の間に形成されたくさび形の空間に周囲流体が押し込まれる。そして、スラストカラー4が一定の回転速度に達すると、両者の間に流体潤滑膜が形成される。この流体潤滑膜の圧力によってトップフォイル片11(トップフォイル10)は制振フォイル片51(制振フォイル50)を介してバンプフォイル片21(バックフォイル20)側へ押し付けられ、スラストカラー4はトップフォイル片11との接触状態を脱し、非接触で回転するようになる。
この状態で図2中に矢印で示すように回転軸1の軸方向への振動や衝撃が作用すると、スラストカラー4がトップフォイル片11に近接し、これによって流体潤滑膜の圧力が高まり、トップフォイル片11はさらにバンプフォイル片21側へ押し込まれる。
その際、トップフォイル片11と制振フォイル片51との接触面、および制振フォイル片51とバンプフォイル片21との接触面でそれぞれ滑りによる摩擦を生じることにより、トップフォイル片11が押し込まれる動きが抑えられる。また、押し込まれたトップフォイル片11が元の状態に戻る際にも、滑りによる摩擦を生じる。
よって、摩擦によって発熱することで振動等の運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、消費されることにより、摩擦減衰効果が得られる。従って、このようなスラスト軸受3Aの摩擦減衰効果により、図1に示したインペラ2がハウジング5を擦ってしまうおそれが確実に回避される。
また、流体潤滑膜の圧力が高まってトップフォイル片11がバンプフォイル片21側へ押し込まれると、トップフォイル片11の外周側では周速が速く流体潤滑膜の圧力(膜圧)は高くなっており、内周側では周速が遅く膜圧が低くなっているので、トップフォイル片11の外周部はバンプフォイル片21側へ押し込まれてスラストカラー4から離れる方向へ動こうとし、内周部はスラストカラー4の側へ起き上がろうとする。
しかし、本実施形態ではバンプフォイル片21を内外周にて4分割しており、外周側のバンプフォイル分割片21bに比べて内周側のバンプフォイル分割片21bの山部23の高さを低くしているので、トップフォイル片11を支える力は外周側が強く、内周側が弱くなり、従って流体潤滑膜の圧力(外周側が高圧、内周側が低圧)と釣り合うようになる。これにより、トップフォイル片11は内外周側ともに概ね等しくバンプフォイル片21側に押し込まれるようになり、トップフォイル片11の下流側端辺側で内周側の流体潤滑膜の膜厚が極端に薄くなるのが抑制され、高負荷時においてもトップフォイル片11とスラストカラー4との非接触状態が維持される。
また、バンプフォイル片21を径方向にて4つ(複数)に分割しているので、内周側のバンプフォイル分割片21bと外周側のバンプフォイル分割片21bとがそれぞれ独立して動作するため、トップフォイル片11がバンプフォイル片21側へ押し込まれたときに生じるバンプフォイル片21の変形が径方向において滑らかになり、従ってバックフォイル片による支持力も内周側から外周側に向けてより滑らかに変化する。一方、制振フォイル片51も径方向にて4つ(複数)に分割しているので、制振フォイル分割片51bがバンプフォイル分割片21bに対応して独立して動くことにより、制振フォイル分割片51bは個々のバンプフォイル分割片21bの動きに対して抵抗なく追従する。
本実施形態のスラスト軸受3A(3)にあっては、バンプフォイル片(バックフォイル片)21とトップフォイル片11との間にそれぞれ制振フォイル片51を配置したので、回転軸1がその軸方向(スラスト方向)への振動や衝撃を受け、トップフォイル片11が流体潤滑膜を介してスラストカラー4に押し込まれた際、従来ではトップフォイル10とバックフォイル20(バンプフォイル20)との間で滑り(摩擦)が生じていたのに対し、このスラスト軸受3A(3)ではトップフォイル片11と制振フォイル片51との間、および制振フォイル片51とバンプフォイル片21との間でそれぞれ滑り(摩擦)が生じる。従って、摩擦減衰を生じる部位が増えることで従来に比べてより高い摩擦減衰効果を発揮するようになり、回転軸1のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収することができる。
また、バンプフォイル片21と制振フォイル片51とを共に径方向にて分割してトップフォイル片11の径方向における変形を滑らかにしているので、トップフォイル片11がスラストカラー4に局所的に接触するのを抑制することができ、これによってトップフォイル片11の局所摩耗を防止し、軸受寿命の低下や焼き付きを防止することができる。
また、バンプフォイル分割片21b、制振フォイル分割片51bをそれぞれ連続辺によって一体化してバンプフォイル片21(バックフォイル片21)、制振フォイル片51を形成しているので、バンプフォイル片21、制振フォイル片51のベースプレート30上へのスポット溶接等による固定を容易に行うことができる。
また、制振フォイル分割片51b間の第2スリット51cを、バンプフォイル分割片21b間の第1スリット21cに重なるように形成しているので、個々の制振フォイル分割片51bを、対応するバンプフォイル分割片21bの個々の動きに対してより良好に追従させることができる。
また、制振フォイル片51の、回転軸1の回転方向上流側の端辺を固定辺51aとし、この固定辺51aをトップフォイル片11の固定辺12とともにベースプレート30に固定しているので、トップフォイル片11の形状を従来のものから変更することなく、従来と同じに形成することができ、従ってコストの増加を抑えることができる。すなわち、制振フォイル片51の固定辺51aをトップフォイル片11の固定辺12の下に差し入れずに、トップフォイル片11の固定辺12を直接ベースプレート30に取り付ける場合には、トップフォイル片11の高さを、従来に比べて制振フォイル片51の厚さ分増やさなければならない。しかし、トップフォイル片11の固定辺12を制振フォイル片51の固定辺51aに重ねて固定することにより、そのような設計変更を不要にすることができ、金型などを新たに製作する必要がなくなる。
また、制振フォイル片51の固定辺51aをトップフォイル片11の固定辺12とともにベースプレート30に固定しているので、スポット溶接(点付溶接)などによるフォイル片の固定点の数を、制振フォイル片51を用いない従来と同じにすることができ、従って製造コストの上昇を抑えることができる。
また、制振フォイル片51を制振合金によって形成した場合には、フォイル間の滑りによる摩擦減衰に加えて、制振フォイル片51が変形(曲げ変形)することによる減衰効果も加わるため、より高い摩擦減衰効果を得ることができる。
また、トップフォイル片11の、固定辺12に対する回転方向下流側の近傍部に薄肉部14を形成しているので、荷重がかかった際に回転方向下流側がより容易に且つ円滑に傾斜できるようになり、従って始動トルクが低減する。また、回転軸1が回転を開始した後も、トップフォイル片11が容易に且つ円滑に傾斜するため、最適傾斜角が得られ易くなり、負荷能力が向上する。
次に、本発明のスラスト軸受3の第2実施形態について、図5、図6(a)〜(d)を参照して説明する。なお、図5はスラスト軸受の平面図、図6(a)は図5のB−B線矢視断面図、図6(b)は制振フォイル片の平面図、図6(c)はバンプフォイル片の平面図、図6(d)は制振フォイル片およびバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図を対応させた説明図である。
第2実施形態のスラスト軸受3B(3)が第1実施形態のスラスト軸受3A(3)と主に異なるところは、図6(a)〜(d)に示すように、制振フォイル50を構成する制振フォイル片55の、回転軸1の回転方向下流側の端辺が、固定辺55aとしてトップフォイル片11の固定辺12とともに、ベースプレート30に固定されている点である。
すなわち、本実施形態の制振フォイル片55は、図6(b)に示すように回転軸1の回転方向上流側が、径方向にて4つ(複数)に等分割され、他方の側(回転方向下流側)となる固定辺55aが径方向にて連続する連続辺とされている。このように固定辺55aと反対の側が4つに分割されたことで、制振フォイル片55は、4つの帯状の制振フォイル分割片55bと固定辺55a(連続辺)とによって構成されている。
4つの帯状の制振フォイル分割片55b間には、それぞれ第2スリット55cが形成されている。これら第2スリット55cは、本実施形態では制振フォイル片55の外周が形成する円と同心円の一部を形成する円弧状に形成されている。そして、これら第2スリット55cは、図6(d)に示すようにバンプフォイル片21の第1スリット21cに重なるように形成配置されている。
また、制振フォイル片55は、図3、図4(a)〜(d)に示した第1実施形態の制振フォイル片51に比べ、回転方向下流側が長く形成されており、その端辺、すなわち固定辺55aが、図5、図6(a)に示すように回転方向下流側に隣り合うトップフォイル片11の、固定辺12とともにベースプレート30に固定されている。一方、回転方向上流側は、本実施形態では固定されることなく単にバンプフォイル片21の山部23上に支持された自由端となっている。
このような制振フォイル片55を備えたスラスト軸受3B(3)にあっても、バンプフォイル片(バックフォイル片)21とトップフォイル片11との間にそれぞれ制振フォイル片55を配置したので、回転軸1がその軸方向(スラスト方向)への振動や衝撃を受け、トップフォイル片11が流体潤滑膜を介してスラストカラー4に押し込まれた際、従来に比べてより高い摩擦減衰効果を発揮するようになり、回転軸1のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収することができる。
また、バンプフォイル片21と制振フォイル片55とを共に径方向にて分割してトップフォイル片11の径方向における変形を滑らかにしているので、トップフォイル片11がスラストカラー4に局所的に接触するのを抑制することができ、これによってトップフォイル片11の局所摩耗を防止し、軸受寿命の低下や焼き付きを防止することができる。
また、制振フォイル片55の、回転軸1の回転方向下流側の端辺を固定辺55aとし、この固定辺55aを回転方向下流側に隣り合うトップフォイル片11の固定辺12とともにベースプレート30に固定しているので、第1実施形態と同様にトップフォイル片11の形状を従来のものから変更することなく、従来と同じに形成することができ、従ってコストの増加を抑えることができる。
また、制振フォイル片55の固定辺55aをトップフォイル片11の固定辺12とともにベースプレート30に固定しているので、スポット溶接(点付溶接)などによるフォイル片の固定点の数を、制振フォイル片55を用いない従来と同じにすることができ、従って製造コストの上昇を抑えることができる。
さらに、制振フォイル片55の固定辺55aを回転方向下流側に隣り合うトップフォイル片11の固定辺12とともにベースプレート30に固定しているので、トップフォイル片11が流体潤滑膜を介してスラストカラー4に押し込まれた際、上下に重ねられたトップフォイル片11と制振フォイル片55とはその自由端側が互いに対向する方向、すなわち相反する方向(互いの固定辺の方向)に滑るようになる。従って、これらトップフォイル片11と制振フォイル片55との間の相対的な滑り量が増加するため、より高い摩擦減衰効果が得られるようになる。
次に、本発明のスラスト軸受3の第3実施形態について、図7(a)〜(c)を参照して説明する。なお、図7(a)はスラスト軸受の平面図、図7(b)は図7(a)のC−C線矢視断面図、図7(c)は制振フォイル片およびバンプフォイル片の形状を説明するためにその平面図と側面図を対応させた説明図である。
第3実施形態のスラスト軸受3C(3)が第1実施形態のスラスト軸受3A(3)と主に異なるところは、図7(a)〜(c)に示すように、ベースプレート30の前記支持領域31に傾斜面32を形成した点と、バンプフォイル片21の山部23の高さを、全て同一にした点である。
本実施形態では、図7(a)に示すように支持領域31における、前記バンプフォイル片21、制振フォイル片51、トップフォイル片11を支持する領域全体を、トップフォイル片11の固定辺12側から下流側の端辺側に向かうに連れて高さが増加する傾斜面32としている。すなわち、傾斜面32を、図7(b)に示すようにバンプフォイル片21の固定辺21aに対して直交する方向に傾斜させて形成している。
また、バンプフォイル片21については、前記第1実施形態と同様に、ベースプレート30に接する谷部22と、トップフォイル片11に接する山部23とを交互に配置した波板状に形成している。ただし、本実施形態では、図7(b)、(c)に示すように、山部23の高さをベースプレート30の周方向では全て同一に形成している。なお、外周側に位置する二つのバンプフォイル分割片21bの山部23を、同じ列上にある山部23同士を比べた場合に、頂部の高さが内周側に位置する二つのバンプフォイル分割片21bの山部23に比べて少し高くなるように形成している点は、第1実施形態と同様である。
また、谷部22及び山部23については、前記実施形態と同様に、バンプフォイル片21の固定辺21aに対して直交する方向に配列させている。これにより、バンプフォイル片21の山部23は、その高さがベースプレート30の傾斜面32の傾斜方向に沿って、すなわち回転軸1の回転方向の下流側に向かうに連れて、所定の高さずつ高くなっている。つまり、第1実施形態と見かけ上同一になっている。従って、このバンプフォイル片21上に配置されるトップフォイル片11は、その傾斜角θが、第1実施形態と同様に形成される。本実施形態では、この傾斜角θは図7(c)に示すように傾斜面32の傾斜角θによって決まる。
本実施形態のスラスト軸受3C(3)にあっても、バンプフォイル片(バックフォイル片)21とトップフォイル片11との間にそれぞれ制振フォイル片51を配置したので、回転軸1がその軸方向(スラスト方向)への振動や衝撃を受け、トップフォイル片11が流体潤滑膜を介してスラストカラー4に押し込まれた際、従来に比べてより高い摩擦減衰効果を発揮するようになり、回転軸1のスラスト方向へ振動や衝撃を良好に吸収することができる。
また、バンプフォイル片21と制振フォイル片51とを共に径方向にて分割してトップフォイル片11の径方向における変形を滑らかにしているので、トップフォイル片11がスラストカラー4に局所的に接触するのを抑制することができ、これによってトップフォイル片11の局所摩耗を防止し、軸受寿命の低下や焼き付きを防止することができる。
また、ベースプレート30の各支持領域31に傾斜面32を形成し、バンプフォイル片21の山部23の高さを全て同一にするとともに、該山部23の配列方向を傾斜面32の傾斜方向に一致させているので、この傾斜面32上にバックフォイル片21、制振フォイル片51を介してトップフォイル片11を配設することにより、トップフォイル片11の高さを傾斜面32に沿って精度よく変化させることができる。すなわち、トップフォイル片11に所定の傾斜角θを付与することができる。また、その際にバンプフォイル片21については、山部23の高さを周方向で変化させることなく一定の高さに作製すればよく、従ってその加工コストを抑えることができる。よって、このスラスト軸受3C(3)によれば、加工を容易にして量産性を向上し、コストの低減化を図ることができる。また、加工が容易になってバラツキが少なくなるため、設計時に予測した軸受性能(例えば軸受負荷能力)が得やすくなる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではバックフォイル20や制振フォイル50、トップフォイル10をそれぞれ6つのバックフォイル片21(バンプフォイル片21)、制振フォイル片51(制振フォイル片55)、トップフォイル片11で構成し、従ってベースプレート30の支持領域31もこれに合わせて6つ形成(設定)したが、バックフォイル片21(バンプフォイル片21)や制振フォイル片51(制振フォイル片55)、トップフォイル片11は、複数であれば5つ以下でも7つ以上であってもよい。その場合に、支持領域31の数についても、バックフォイル片21(バンプフォイル片21)や制振フォイル片51(制振フォイル片55)、トップフォイル片11の数に合わせるのはもちろんである。
また、前記実施形態ではバックフォイル片21(バンプフォイル片21)とトップフォイル片11との間に制振フォイル片51(制振フォイル片55)を一層配置したが、制振フォイル片51(制振フォイル片55)については複数層(例えば2層または3層)重ねて配置してもよい。このように制振フォイル片51(制振フォイル片55)を複数層重ねて配置することにより、制振フォイル片51(制振フォイル片55)間での滑りによる摩擦減衰が加わり、従ってより高い摩擦減衰効果を得ることができる。
また、第3実施形態では、第1実施形態に対してベースプレート30の支持領域31に傾斜面32を形成し、バンプフォイル片21の山部23の高さを全て同一にしたが、他の実施形態として、第2実施形態に対してベースプレート30の支持領域31に傾斜面32を形成し、バンプフォイル片21の山部23の高さを全て同一にしてもよい。
また、前記実施形態では、バンプフォイル片21(バックフォイル片21)、制振フォイル片51(制振フォイル片55)を4つのバンプフォイル分割片21b、制振フォイル分割片51b(制振フォイル分割片55b)と連続辺(固定辺)とによって形成したが、各分割片については4つに限定されることなく、2つ以上であればいくつに分割してもよい。さらに、連続辺を形成することなく、従って分割片をそれぞれ連結することなく、完全に独立した形態に形成してもよい。
また、前記実施形態では、バンプフォイル片21(バックフォイル片21)や制振フォイル片51(制振フォイル片55)を径方向にて複数に分割することで形成される第1スリット21c、第2スリット51c(第2スリット55c)を、円弧状に形成したが、これらスリットを例えば直線状に形成してもよい。
また、前記実施形態では、制振フォイル片51(制振フォイル片55)の固定辺51a(固定辺55a)とトップフォイル片11の固定辺12とを上下に重ねて共にスポット溶接等によりベースプレート30に固定したが、これら固定辺を重ね合わせることなく互いにずらした状態で、それぞれ別にベースプレート30に固定してもよい。
また、トップフォイル片や制振フォイル片、バンプフォイル片の形状、支持領域上へのトップフォイル片やバンプフォイル片の配置、傾斜面の傾斜方向など、前記実施形態以外にも種々の形態を採用することが可能である。
1…回転軸、3、3A、3B、3C…スラスト軸受、4…スラストカラー、10…トップフォイル、11…トップフォイル片、12…固定辺、20…バックフォイル(バンプフォイル)、21…バックフォイル片(バンプフォイル片)、21a…固定辺(端辺)、21b…バックフォイル分割片(バンプフォイル分割片)、21c…第1スリット、22…谷部、23…山部、30…ベースプレート、31…支持領域、32…傾斜面、50…制振フォイル、51…制振フォイル片、51a…固定辺、51b…制振フォイル分割片、51c…第2スリット、55…制振フォイル片、55a…固定辺、55b…制振フォイル分割片、55c…第2スリット

Claims (6)

  1. 回転軸に設けられたスラストカラーに対向して配置されるスラスト軸受であって、
    前記スラストカラーに対向して配置されるトップフォイルと、
    前記トップフォイルの、前記スラストカラーに対向する面と反対の面側に配置されたバックフォイルと、
    前記バックフォイルの、前記トップフォイル側と反対の側に配置されて、該バックフォイルを支持する円環板状のベースプレートと、を備え、
    前記バックフォイルは、前記ベースプレートの周方向に配列された複数のバックフォイル片によって形成され、
    前記トップフォイルは、前記バックフォイル片の上にそれぞれ配設された複数のトップフォイル片によって形成され、
    前記バックフォイル片と前記トップフォイル片との間には、それぞれ制振フォイル片が配置され、
    前記バックフォイル片は、その周方向の少なくとも一方の側が径方向にて複数に分割され、
    前記制振フォイル片は、その周方向の少なくとも一方の側が径方向にて複数に分割されていることを特徴とするスラスト軸受。
  2. 前記バックフォイル片は、その周方向の一方の側が径方向にて複数に分割され、且つ、他方の側が径方向にて連続する連続辺とされ、
    前記制振フォイル片は、その周方向の一方の側が径方向にて複数に分割され、且つ、他方の側が径方向にて連続する連続辺とされていることを特徴とする請求項1記載のスラスト軸受。
  3. 前記バックフォイル片には、径方向にて分割された複数のバックフォイル分割片間に第1スリットが形成され、
    前記制振フォイル片には、径方向にて分割された複数の制振フォイル分割片間に、前記第1スリットに重なる第2スリットが形成されていることを特徴とする請求項2記載のスラスト軸受。
  4. 前記トップフォイル片は、前記回転軸の回転方向上流側の端辺が、前記ベースプレートに固定されるトップフォイル固定辺とされており、
    前記制振フォイル片は、前記回転軸の回転方向上流側の端辺、あるいは回転方向下流側の端辺が前記連続辺とされ、該連続辺が、前記トップフォイル片の前記トップフォイル固定辺とともに、前記ベースプレートに固定されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のスラスト軸受。
  5. 前記制振フォイル片は、前記回転軸の回転方向下流側の端辺が前記連続辺とされ、該連続辺が、前記トップフォイル片の前記トップフォイル固定辺とともに、前記ベースプレートに固定されていることを特徴とする請求項4記載のスラスト軸受。
  6. 前記制振フォイル片が、制振合金によって形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のスラスト軸受。
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