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JP6065271B2 - 画像形成方法、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、及び記録物 - Google Patents

画像形成方法、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、及び記録物 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成方法、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置及び記録物に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を吐出し、記録部材上に付着させて、文字や画像を形成する記録方式である。この方式は、他の記録方式に比べてフルカラー化が容易であり、簡易な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる利点があるため、近年広く用いられている。
このようなインクジェット記録方式に用いられるインクには、様々な特性が要求されている。特に、インクをヘッドから吐出する際の吐出安定性は画像品質を左右し、重要なものとなっている。
インクジェット記録方式に用いられるインクの組成物としては、着色剤と湿潤剤と水などを含有しているものが一般的である。従来、インクジェット記録方式に用いられるインクの着色剤としては、水溶性染料が用いられてきた。これは、画像品質の高さ、利用可能な色材の種類の豊富さ、水への溶解性の高さからなる吐出安定性などの点で優れていたためである。しかし、水溶性染料は耐水性や耐光性の観点において、顔料に比べて劣っており、水溶性染料によって印刷された印刷物も、耐水性、耐候性に劣ったものになってしまう。このため、近年では水溶性染料の代わりに、より耐水性や耐候性に優れる顔料を着色剤として用いるインクが主に使用されている。
水溶性染料はほぼ均一に水に溶解するため、インクはほぼニュートン流体となり、吐出に関する特別な配慮は必要なかった。しかし、難水溶性染料や顔料を用いた場合、粒体をインク中に分散させて用いるため、安定な吐出にはどうしても特別な機構が必要となる。特に、顔料インクの場合、インクの構成材料や添加量によって異なるが、インクにかかるせん断速度が大きくなると粘度が低下する傾向がある。ヘッドからインクが吐出する時には高いせん断速度がかかるため、この粘度低下が吐出安定性に影響を与える事が、知られている。
特許文献1には、25℃における、せん断速度230(1/s)での各インクの粘度差が2.0(mPa・s)以下であり、せん断速度100000(1/s)での各インクの粘度差が0.5(mPa・s)以下であるインクについて記載されている。このインクによれば、画像品質を損なうことなく、インクミストの発生を少なくできる吐出安定性に優れたインクジェット記録が可能となるとされている。
また、画像品質を向上させるために、染料インクと顔料インクとを使い分けて画像形成する方法がしられている。例えば、特許文献2には、25℃における、染料インクと顔料インクの最適なインク物性の組み合わせ(共に粘度が5mPa・s以上、粘度差が3mPa・s以下、染料インクの表面張力が40mN/m以下など)について記載されている。これにより、同一ヘッドで染料インクと顔料インクを交換して使用するインクジェット記録方法において、顕著な彩度向上が図られ、カラーの発色性に優れ、吐出安定性が高く、かつ、高品位な画像形成が可能であるとされている。
また、より高品質な画像を得る事を目的として、同一ヘッドに対し、同一色の複数の着色剤濃度を持つ濃淡インクを同時に用いた印刷方法はよく知られている。
しかしながら、同一色の複数の着色剤濃度を持つインクを、使用目的によって詰替えて用い、かつ同一波形での安定した吐出を実現した印刷方法は、これまで行われてこなかった。
本発明は、着色剤濃度が異なるインクに交換して画像を形成する場合でも、同一の吐出波形でありながら、安定した吐出性と優れた画像品質を持った画像を形成することが可能な画像形成方法を提供することを目的とする。
上記の課題は、本発明の「水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有する水性インクを、少なくとも2色以上有するインクセットを用いて画像を形成し、次いで、水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有する水性インクを、少なくとも2色以上有する別のインクセットに交換して、画像を形成する画像形成方法であって、各インクセットに含まれる各色インクは、最大泡圧法による25℃での表面寿命が1500msの時の動的表面張力の差が1mN/m以下であり、各インクセットは、各々のインクセット間での同一色のインク同士を比較したときに、インク中に含まれる着色剤濃度が異なり、かつ最大泡圧法による25℃での表面寿命が15msの時の同一色のインク間の動的表面張力の差が、5mN/m以下であるインクセットであることを特徴とする画像形成方法。」により解決することができる。
本発明により、着色剤濃度が異なるインクに交換して画像を形成する場合でも、同一の吐出波形でありながら、安定した吐出性と優れた画像品質を持ったインク画像を形成することが可能な画像形成方法を提供することができる。
動的表面張力の表面寿命時間に対するプロファイルを表したグラフである。 本発明に係るインクジェット記録装置の一例を表す模式図(側面説明図)である。 図2における制御部の概略ブロック説明図である。 本発明に係るインクジェット記録装置のヘッドユニットにおけるヘッド配列の一例を示した模式図である。 図4のヘッドユニットに配列しているヘッドを示す模式図である。 本発明に係るインクジェット記録装置に用いられるインクカートリッジの一例を示す図である。 図6のインクカートリッジのケース(外装)を含めた図である。 本発明に係るインクジェット記録装置における吐出ヘッドからの吐出方式の一例を示す模式図である。 3本ロールによる塗布方式の一例を示す模式図である。 2本ロールによる塗布方式の一例を示す模式図である。
インクジェット記録方式による画像形成方法においては、より高品質の画像を得ることを目的としてこれまでに様々な工夫がなされている(前述の特許文献1、2等)。
前記特許文献1には、各せん断速度におけるインクの粘度差を規定しているが、せん断速度1(1/s)での粘度差については何ら言及されていない。また、同一ヘッドに同一色の顔料濃度が異なる複数のインクに詰替えた場合についても考慮がされていない。このため、同一色であって着色剤濃度が異なる複数のインクを使用目的に応じて詰め替えて用いる場合に充分な吐出安定性を得るためには、更なる改良の余地がある。
前記特許文献2には、インクを交換し、かつ、吐出安定性を確保する点が記載されているが、同一ヘッドに同一色の顔料濃度が異なる複数のインクに詰替えた場合が考慮されていない。また、本発明と異なり、動的表面張力については言及されていない。粘度と表面張力が特許文献2に記載の範囲内であっても、吐出安定性に影響を与える動的表面張力はインク種によって異なった値になり、吐出安定性にも差異が生じてくる。このため、同一色であって着色剤濃度が異なる複数のインクを使用目的に応じて詰め替えて用いる場合に充分な吐出安定性を得るためには、更なる改良の余地がある。
前述のように従来においては、同一色の複数の着色剤濃度を持つインクを使用目的によって詰替えて用い、かつ、同一波形での安定した吐出を実現した印刷方法は知られていなかった。
単に着色剤濃度が異なるインクに交換した場合であっても、それぞれのインクの物性が異なっているため、その着色剤濃度のインクにそれぞれ最適化させた吐出波形を用意する必要があり、インク交換は手間のかかるものであった。また、インク交換のたびにインク流路を洗浄する必要があるなど、コスト面や、技術的な面での煩雑さなどの問題があった。
特に、商用の大型高速印刷機などの場合には一台当たりの値段が高価であるため、インク毎に印刷機を分けようとしても、複数台を用意する事が難しく、一台を用いてインクを交換することが望まれる。しかしながら一台でインク交換を行っても、上記のような問題があるため、インク交換のために長時間業務が停止してしまうなどの問題があった。
そこで本発明者等は、高品質な画像を求める時は高濃度インクを用い、画像品質を抑える代わりに低コストのインクを用いたい時には低濃度インクを用いる、というインクの使い分けを可能とする画像形成方法を提供すべく鋭意探求を重ねた。
本発明者等は鋭意検討を行った結果、インクの動的粘弾特性を特定の範囲内に調整する事により、驚くべきことに、良好な吐出安定性を示し、高画質の画像が得られることを見出した。
本発明に係る画像形成方法は、少なくとも2色以上の水性インクを有するインクセットを用いて画像を形成し、次いで、少なくとも2色以上の水性インクを有する別のインクセットに交換して画像を形成する方法である。前記インクセットと、前記別のインクセットは、同一ヘッドに入れ換えて用いられる。
上記各インクセットに含まれる各色インクは、最大泡圧法による25℃での表面寿命が1500msの時の動的表面張力の差が1mN/m以下である。なお、最大泡圧法とは、液体中に挿したプローブから気泡を連続的に発生させてプローブ内の最大圧力(最大泡圧)を計測し、この値に基づいて表面張力を算出する方法である。プローブ内の圧力は、気泡の曲率半径とプローブ先端の半径が等しくなったときに最大となる。また、表面寿命とは、プローブの先端内で新しい界面が生成した時点から最大泡圧になるまでの時間をいう。
また、上記各インクセットは、各々のインクセット間での同一色のインク同士を比較したときに、インク中に含まれる着色剤濃度が異なっている。更に、表面寿命が15msの時の同一色のインク間の動的表面張力の差が5mN/m以下であることを特徴とする。
近年の高速印刷技術の発達により、インクジェットプリンターの印刷速度は年々高速化が進み、現在では数十m/分の速さでの連続印刷が可能となっている。この高速印刷を可能とするため、インクジェットプリンターのノズル面におけるインクメニスカスは、104〜106Hzの周期で振動しており、インク液滴も同様の周期で形成され続ける。
このため、インク吐出時の動的表面張力は、マイクロ秒オーダーの微小時間での表面張力を測定する必要があるが、これを簡易に測定する事は難しい。ここで、動的表面張力の表面寿命時間に対するプロファイルを見た場合、図1のように表面寿命時間に対して単調に増減する事が分かる。そこで本発明では、最大泡圧法での測定限界に近い15ms付近での動的表面張力を求め、実際の吐出時のインクの動的表面張力の近似値とした。
同一色の着色剤濃度が異なるインクに交換して画像を形成する際に、前記表面寿命が15msでの動的表面張力の差が5mN/mを超えると、同一波形を用いているため、吐出時におけるノズル面でのインクメニスカス形成時にかかる表面張力が異なってくる。このため前記動的表面張力の差が5mN/mを超えていると、インク吐出時に液滴の大きさが異なったり、サテライトやインクミストが発生したりしてしまう。即ち、インクジェットプリンターでは、記録ヘッドのノズルから記録媒体上に液体のインク滴を吐出して画像を形成しているが、このとき主滴が長く尾を引き、小さなインク滴(サテライト)となって主滴から分離することがある。また、サテライトよりも小さな細かい霧状のインク滴(インクミスト)も発生する。このサテライトは画像品質を劣化させるおそれがあり、インクミストはプリンターの動作不良を招くおそれがある。
このため、上記の通り本発明において前記各インクセットに含まれる各色インクは、最大泡圧法による25℃での表面寿命が15msの時の同一色のインク間の動的表面張力の差が5mN/m以下であることを特徴とする。
また、吐出後の記録メディアに対する吸収プロセスはミリ秒オーダー以上で行われ、にじみやブリードに関わってくる。このため、表面寿命1000ms以上の動的表面張力が画像品質に影響を与えるものとなる。そこで本発明では、1500ms付近での動的表面張力に注目した。
前記表面寿命が1500msでの各色インクの動的表面張力の差が、1mN/mを超えると、インクが記録媒体に着弾した際の浸透速度に差が生じるため、隣接した異なる色のインクドット間で画像にじみが発生しやすくなってしまう。
このため、上記の通り本発明において前記各インクセットに含まれる各色インクは、最大泡圧法による25℃での表面寿命が1500msの時の動的表面張力の差が1mN/m以下であることを特徴とする。
なお、動的表面張力とは、微小時間における表面張力の事であり、測定方法としては、最大泡圧法、振動ジェット法、メニスカス法、滴下法などが一般に知られている。本発明では、短時間で簡易に測定が可能な最大泡圧法で測定を行った。
上記本発明の画像形成方法によれば、同一のヘッド内で着色剤濃度が異なるインクに交換して画像を形成する場合でも、同一の吐出波形でありながら、安定した吐出性と優れた画像品質を持った画像を形成することが可能となる。すなわち、同一の画像形成装置で、特別な作業をせずに、インクを入れ替えて使用する事ができる。これにより、使用者の用途に適した顔料濃度のインクを自由に選択できるようになり、利便性やコスト面で有利となる。
前記のように、本発明に係る画像形成方法によれば、交換後のインクセットが全て同一波形で吐出できるという効果が得られる。このためにはインク毎に供給量が揃っていることが好ましく、本発明者等は、上記のように動的表面緒力の差を特定の範囲にすることに加えて、あるせん断速度におけるインクの粘度を一定の範囲内に揃えることに着目した。
前述のように高速印刷を可能とするために、インクジェットプリンターのノズル面におけるインクメニスカスは104〜106Hzの周期で振動しており、インク液滴も同様の周期で形成され続ける。このため、この高速振動領域におけるヘッド内液室におけるインクの挙動がインクの吐出に影響を与える。この事より、せん断速度10000〜1000000(1/s)の領域でのインク粘度がインクの吐出安定性に重要である。
また前述のように、吐出後の記録メディアに対する吸収プロセスはミリ秒オーダー以上で行われ、にじみやブリードに関わってくる。この事から、せん断速度1〜100(1/s)の領域でのインク粘度が、画像品質に影響を与えるものとなる。
このため、本発明では25℃におけるせん断速度1、230、100000(1/s)での各色インクの粘度に注目した。
本発明においては、25℃におけるせん断速度1(1/s)での各色インクの粘度差が1.5(mPa・s)以下である事が好ましい。前記せん断速度1(1/s)での各色インクの粘度差が1.5(mPa・s)以下であることにより、インクが記録媒体に着弾した際に各色インクの粘度差をより均一にすることができ、画像にじみの発生を抑制することができる。また、低いせん断速度での各色インクの粘度差を均一にすることで、インクジェットプリンター内部でインクカートリッジから記録ヘッドにインクを供給する際のインク供給量をより均一にすることができる。
また、本発明においては、25℃におけるせん断速度230(1/s)での各色インクの粘度を7.0(mPa・s)以上、9.0(mPa・s)以下とする事が好ましい。これにより、同一色であって着色剤濃度が異なるインクに交換しても、同一の吐出波形で、より安定した吐出を得られる。
更に、本発明においては、25℃におけるせん断速度100000(1/s)での各色インクの粘度差が2(mPa・s)以下である事が好ましい。前記せん断速度100000(1/s)での各色インクの粘度差が、2.0(mPa・s)であることにより、インク吐出時にサテライトやインクミストが発生することを抑制し、吐出安定性がより良好になる。
また、本発明においては、前記インクセットに含まれる各色インクの回転式粘度計により50rpmで測定した25℃における粘度差は、7.0(mPa・s)以上、9.0(mPa・s)以下であることが好ましい。これにより、同一色で着色剤の濃度が異なるインクセットに交換しても、同一ヘッドで同一の吐出波形により、より安定した吐出を得ることができる。
更に、本発明においては、前記インクセットに含まれる各色インクの回転式粘度計により50rpmで測定した25℃における粘度差が0.5(mPa・s)以下であることが好ましい。前記粘度差が0.5(mPa・s)以下であることにより、吐出時のインク液滴の大きさをより均一にすることができ、高画質の画像をえることができる。
なお、同様の理由から、1つのインクセットと別のインクセットとの間で、同一色間で回転式粘度計による50rpmでの粘度差も0.5(mPa・s)以下であることが好ましい。
本発明では、同一インクセット内に含まれる界面活性剤種を同一のものとすることが好ましい。すなわち、前記インクセットに含まれる全色のインクが界面活性剤を含み、該界面活性剤が、全色で、同じ構造の界面活性剤であることが好ましい。
界面活性剤種が異なると、図1のように各表面寿命に対する動的表面張力のプロファイルも異なり、また、各せん断速度に対する粘度のプロファイルも異なるため、これらのプロファイルが近似する界面活性剤種を選択して用いることが好ましい。このため、インクセットにおいて前色のインクが同じ構造の界面活性剤を含むようにすることで、より容易に前記プロファイルを同じにすることができる。これにより、吐出不良やにじみの発生をより抑制することができる。
前述のようにせん断速度230(1/s)での各インクの粘度を7.0〜9.0(mPa・s)の範囲に収めるように調整し、かつ、各インクに同一の界面活性剤を用いることにより、各インクのハイシェア粘度が近しい値となる。これにより、吐出安定性や画像品質をより優れたものにすることができる。
また、前述のように、各色インクの粘度を7.0〜9.0(mPa・s)の範囲に収めるように調整し、かつ、各インクに同一の界面活性剤を用いることで、各インクの動的表面張力が近しい値となる。これにより、吐出安定性や画像品質をより優れたものにすることができる。
<インクの処方調製について>
複数種(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色)のインクからなるインクセットを搭載したインクジェットプリンターでは、インク種毎に着色剤の種類や含有量等が異なる。このためインク種毎に物性が異なり、動的表面張力や粘度がインク種毎に異なってくる。従って、複数種のインク間で動的表面張力差や粘度差を小さくするためには工夫が必要となる。
また、インク種毎に物性が異なる場合には、せん断速度の変化量に対する粘度変化量(粘度のせん断速度依存性)も、インク種毎に異なってくる。そのため、複数種のインク間で低いせん断速度から高いせん断速度にわたって粘度差を小さくするためには工夫が必要となる。また、同一の着色剤、同一のその他の材料を用いたインクでも、着色剤濃度が異なると、せん断速度に対する粘度には変化が生じてしまう。
上記の理由から、同一色の着色剤濃度の異なるインク間では、添加する溶剤や樹脂の量を変化させ、粘度を合わせなければならない。この時、樹脂と溶剤の相溶性、樹脂の膨潤率の変化などの影響が出てくるため、これを考慮した処方調製が必要となってくる。
この時、特に、粘度のせん断速度依存性のような変形速度に関連する物性である、動粘性及び動的表面張力の差をなるべく少なくするよう調製を行う事が好ましい。これにより、回転式粘度計により50rpmで測定したインクセット中の各色インクの粘度を7.0(mPa・s)以上、9.0(mPa・s)以下で、かつ各色インクの粘度差を0.5(mPa・s)以下とする事が容易になる。また、インクセットにおけるせん断速度230(1/s)での各インクの粘度を7.0(mPa・s)以上、9.0(mPa・s)以下で、かつインクセット間での同一色の粘度差を0.5(mPa・s)以下とする事が容易になる。
本発明のインクジェット記録用インクセットにおいては、ブラックインクとカラーインクとを含むようにすることが好ましい。これによりフルカラー画像を形成することが可能となる。
<着色剤>
本発明に用いる着色剤としては、染料または顔料を用いることができるが、記録物の耐水性や耐光性の点から顔料が好ましい。このような顔料としては特に限定はないが、例えば以下に挙げる顔料が好ましい。また、これら顔料は複数種類を混合して用いても良い。
前記顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジゴ系、ペリレン系、イソインドレノン系、アニリンブラック、アゾメチン系、ローダミンBレーキ顔料等の有機顔料や、カーボンブラック、酸化鉄、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、紺青、カドミウムレッド、クロムイエロー、金属粉等の無機顔料が挙げられる。
ブラック顔料の具体例としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
イエロー顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、20、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、75、81、83(ジスアゾイエローHR)、86、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185等が挙げられる。
マゼンタ顔料の具体例としては、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、9、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:1〔パーマネントレッド2B(Ba)〕、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3〔パーマネントレッド2B(Sr)〕、48:4〔パーマネントレッド2B(Mn)〕、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、97、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、175、176、178、179、180、184、185、190、192、193、202、209、215、216、217、219、220、223、226、227、228、238、240、254、255、272等が挙げられる。
シアン顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、22、56、60、63、64、バットブルー4、バットブルー60等が挙げられる。
また、中間色顔料の具体例としては、レッド、グリーン、ブルー用としてC.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、71、C.I.ピグメントバイオレット3、19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントグリーン7、36等が挙げられる。
本発明のインクセットに含まれる各色インクは、印字濃度及び印字耐久性向上のため、前記着色剤として、色剤を含有するポリマー微粒子を用いることが好ましい。
色剤を含有するポリマー微粒子の分散体としては、疎水性染料を含有するポリマー微粒子の分散体及び顔料を含有するポリマー微粒子を使用できるが、顔料、特に有機顔料又はカーボンブラックを含有するポリマー微粒子の分散体がより好ましい。
顔料を含有するポリマー微粒子の分散体に用いられるポリマーとしては、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられる。該ポリマーの中では、ビニル系ポリマーが好ましい。
ビニル系ポリマーとしては、(a)アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル及びスチレン系モノマーからなる群より選ばれた1種以上のビニル系モノマーと、(b)塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと、(c)ビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能な成分とを含有するモノマー組成物を共重合させて得られたポリマーが好ましい。
(a)のビニル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル;及びスチレン、ビニルトルエン、2−メチルスチレン等のスチレン系モノマーが挙げられる。
(b)の塩生成基を有する重合性不飽和モノマーとしては、塩生成基を有するカチオン性モノマー及び塩生成基を有するアニオン性モノマーが挙げられる。
塩生成基を有するカチオン性モノマーとしては、不飽和3級アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。その好ましい例としては、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
塩生成基を有するアニオン性モノマーとしては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。その好ましい例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
(c)のビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能な成分としては、アクリルアミド系モノマー、メタクリルアミド系モノマー、水酸基含有モノマー、片末端に重合性官能基を有するマクロマー、例えば、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー、ポリエステル系マクロマー、ポリウレタン系マクロマー、ポリアルキルエーテルマクロマー、特に、CH2=C(R5)COO(R6O)p7(式中、R5は水素原子又は低級アルキル基、R6はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、R7は水素原子又はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の1価の炭化水素基、pは1〜60の数を示す)で表されるマクロマー等が挙げられ、それらのモノマーは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。なお、それらのモノマーは、例示であり、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
前記CH2=C(R5)COO(R6O)p7のマクロマーとしては、ポリエチレングリコール(2〜30)(メタ)アクリレート及びメトキシポリエチレングリコール(1〜30)(メタ)アクリレートが好ましい。なお、本明細書における「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを示す。
前記共重合可能な成分の中では、マクロマーが好ましく、シリコーンマクロマー、スチレン系マクロマー及びポリアルキルエーテルマクロマーがより好ましい。
モノマー組成物におけるビニル系モノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上及びインクジェットプリンターヘッドの焦げつきの回避の観点から、1〜75質量%、好ましくは5〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%であることが望ましい。
モノマー組成物における塩生成基を有する重合性不飽和モノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上及びインクジェットプリンターヘッドの焦げつきの回避の観点から、2〜40質量%、好ましくは5〜20質量%であることが望ましい。
モノマー組成物におけるビニル系モノマー及び塩生成基を有する重合性不飽和モノマーと共重合可能なモノマーの含有量は、ポリマーエマルジョンの分散安定性の向上及びインクジェットプリンターヘッドの焦げつきの回避の観点から、5〜90質量%、好ましくは10〜85質量%、さらに好ましくは20〜60質量%であることが望ましい。
また、ポリマー微粒子の平均粒径は、分散安定性の観点から、20〜200nmであることが好ましく、インク中のポリマー微粒子の含有量は10質量%〜40質量%であることが好ましい。
なお、本発明における平均粒径は、日機装社製マイクロトラックUPA−150を用いて測定した50%平均粒径(D50)のことをいう。具体的には、測定サンプル中の顔料濃度が0.01質量%になるように純水で希釈したサンプルを、粒子屈折率1.51、粒子密度1.4g/cm3、溶媒パラメーターとして純水のパラメーターを用いて、23℃で測定する。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、着色剤の種類や湿潤剤の組み合わせによって分散安定性を損なわず、表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましくい。例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
これら界面活性剤は、1種を単独、又は2種以上を混合して用いることができる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16であるものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16であるものがより好ましい。前記フッ素置換した炭素数が2以上であることによりフッ素による効果を充分に得ることができる。また、フッ素置換した炭素数が16以下であることにより、インク保存性に影響を与えずにフッ素の効果を得ることができる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
さらに好ましくは、下記構造式(I)で表されるフッ素系界面活性剤である。
Figure 0006065271
構造式(I)中、nは2〜6の整数であり、aは15〜50の整数であり、Y’は−Cb2b+1(bは11〜19の整数である)又は−CH2CH(OH)CH2−Cd2d+1(dは2〜6の整数である)を表す。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしてはLi、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、株式会社ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、下記構造式で表されるものが好適である。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中Rfは下記構造式で表されるフッ素含有疎水基の混合物を表す。Aは、−SO3X、−COOX、又は−PO3X(ただし、Xは対アニオンであり、具体的には、水素原子、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、又はNH(CH2CH2OH)3が挙げられる)を表す。
Figure 0006065271
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rf’は下記構造式(A)で表されるフッ素含有基を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。nは1又は2の整数、mは2−nを表す。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、nは3〜10の整数を表す。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rf’及びXは、上記と同じ意味を表す。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rf’及びXは、上記と同じ意味を表す。
(2)ノニオン系フッ素系界面活性剤
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rfは、上記と同じ意味を表す。nは5〜20の整数を表す。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rf’は、上記と同じ意味を表す。nは1〜40の整数を表す。
(3)両性フッ素系界面活性剤
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rfは、上記と同じ意味を表す。
(4)オリゴマー型フッ素系界面活性剤
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rf”は、下記構造式(B)で表されるフッ素含有基を表す。nは1〜10の整数を表す。Xは、上記と同じ意味を表す。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、nは1〜4の整数を表す。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、Rf”は、上記と同じ意味を表す。lは0〜10の整数、mは0〜10の整数、nは0〜10の整数をそれぞれ表す。なお、lとnは同時に0になることはない。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表されるポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。
Figure 0006065271
ただし、前記構造式中、m、n、a、及びbは整数を表す。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表す。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(いずれも、信越化学工業株式会社製)、などが挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
前記界面活性剤の前記記録用インク中における含有量は、0.01〜3.0質量%が好ましく、0.03〜2.0質量%がより好ましい。
前記界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であることにより、界面活性剤を添加した効果を充分に得ることができる。また、前記界面活性剤の含有量が3.0質量%以下とすることで、記録用メディアへの浸透性が高くなり過ぎることを抑制し、画像濃度の低下や裏抜けが発生しないようにすることができる。
<水溶性有機溶媒>
本発明に用いるインクは、インクの乾燥防止及び分散安定性を向上のため、水溶性有機溶媒をも含む。なお、本発明においてこれらの水溶性有機溶剤は湿潤剤として機能するものも含まれる。
水溶性有機溶媒の例としては、以下のようなものが挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は複数混合して使用してもよい。
グリセリン、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;
エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;
エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;
2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;
ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;
モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;
ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;
プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等
上記水溶性有機溶剤に加えて他の湿潤剤を用いてもよく、そのような湿潤剤としては、尿素化合物や糖を含有するものが好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)及び多糖類が挙げられ、好ましくはグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースなどが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖(例えば、糖アルコール〔一般式HOCH2(CHOH)nCH2OH(n=2〜5の整数)〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。特に糖アルコールが好ましく、具体例としては、D−ソルビトール、ソルビタン、マルチトール、エリスリトール、ラクチトール、キシリトールなどが挙げられる。
特に、本発明においては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、プロピレングリコール、1、5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、テトラメチロールプロパン、3−メチル−1,3−ブタンジオール、D−ソルビトール、キシリトールを用いると、保存安定性、及び吐出安定性に優れたインクを作製することができる。
顔料インクの場合、顔料と水溶性有機溶媒との比は、ヘッドからのインクの吐出安定性に大きな影響がある。顔料固形分比率が高いのに水溶性有機溶媒の配合量が少ないと、ノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらす。
水溶性有機溶媒の配合量はインク全体の10〜50質量%程度であることが好ましい
上記水溶性有機溶剤に加えて他の浸透剤を用いてもよい。
本発明で使用される浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2質量%以上5.0質量%未満のポリオールの少なくとも1種を含有することが望ましい。
このようなポリオールのうち、脂肪族ジオールとしては、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが、具体例として挙げられる。
これらのなかで最も望ましいものは2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及びまたは2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールである。
その他の併用できる浸透剤として、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられるが、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば、これらに限らない。
浸透剤の添加量としては0.1〜4.5質量%の範囲が望ましい。添加量を0.1質量%以上とすることで、速乾性に優れ良好な画像が得られる。添加量を4.5質量%以下とすることで、着色剤の分散安定性が良好となり、ノズルの目詰まりを防止することが可能である。また記録媒体への適度な浸透性が得られ、画像濃度が高い画像となり、インクの裏抜けを防止することも可能である。
<抑泡剤>
インクの起泡を防ぐため、抑泡剤を添加してもよい。例えば、下記構造式(II)で表されるものが挙げられる。
Figure 0006065271
式(II)中、R1およびR2は、独立に炭素数3〜6個を有するアルキル基であり、R3およびR4は、独立に炭素原子1〜2個を有するアルキル基であり、nは1〜6の整数である。
前記の中でも、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオールは抑泡性において、優れた効果を示す。
<その他成分>
本発明のインクには、上記したものの他に、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、キレート試薬などの従来公知の添加剤を加えることができる。
pH調整剤は、インクをアルカリ性に保って分散状態を安定化し、吐出を安定化する目的で添加する。なお、pH11以下にすることで、インクジェット記録装置のヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量を抑制することができる。これにより、長期間使用した場合にもインクの変質や、漏洩、吐出不良等の問題が発生することを防止できる。
顔料の場合には、顔料を分散剤と共に水に混練分散する際にpH調整剤を加える方が、混練分散後、湿潤剤、浸透剤等の添加剤とともに加えるよりも望ましい。これは、pH調整剤によっては添加により分散を破壊する場合もあるためである。
pH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩を一種類以上含むものが好ましい。
アルコールアミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アンモニウム水酸化物としては、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物等が、ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物が、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
キレート試薬としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
<物性>
本発明の記録用インクの静的表面張力、pHは、使用目的に応じて適宜選択することができる。前記記録用インクの静的表面張力は、25℃で、22〜55mN/mが好ましい。前記静的表面張力が25℃で22mN/m以上であることにより、紙上での滲みを生じさせずに、安定した噴射を行うことができる。また、前記静的表面張力が25℃で55mN/m以下であることにより、紙へのインク浸透を良好にすることができ、乾燥時間を短くすることができる。
また、前記記録用インクのpHは7〜10であることが好ましい。
<カラー化>
本発明の記録用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
<同一ヘッド>
本願明細書において、「同一ヘッド」とは、同じインクジェット記録装置において、少なくともヘッドは同じヘッドで、異なるインクセットを適宜交換して使用するという意味である。ただし、インクジェット記録装置の一部が、別々のものを使用する場合も含み、例えば、カートリッジはあるインクセットAと異なるインクセットBが専用のものを使用する場合も含む。また、インクセットAだけを印写した後、カートリッジにインクセットBを詰め替えて印写する場合(交換時に洗浄が入る場合も含む)も含む。要するに、「同一ヘッド」とは、異なるインクセットのインクが、インクジェット記録装置内のインク通路内(廃液が溜まる部分も含む)のどこかで、わずかでも混合する時が存在する場合を全て含む意味である。
<インクカートリッジ>
本発明の水性記録用インクを充填するカートリッジは、前記インクセットに含まれるそれぞれのインクを容器中に収容したものであり、必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有する。
容器としては特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、プラスチック製容器、アルミニウムラミネートフィルム等で形成されたインク袋等を有するものが挙げられる。
具体例としては、例えば後述する図5、図6に示す構造のものが挙げられる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録装置は、インクにエネルギーを加えて飛翔させ、記録媒体に画像を形成するインク飛翔手段を有し、前記インクカートリッジを搭載していることを特徴とする。また、必要に応じて、処理液を貯留する貯留手段と、前記インク飛翔手段による画像形成の前もしくは後に、前記記録媒体の表面に対して処理を行う処理手段とを備えていてもよい。
図1に、本発明に係るインクジェット記録装置の一例の模式図(側面説明図)を示す。
インクジェット記録装置101には、水性記録用インクを吐出するヘッドを集積したヘッドユニット110K、110C、110M、110Yと、それぞれのヘッドユニットに対応し、ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット111K、111C、111M、111Y、インクを供給するインクカートリッジ107K、107C、107M、107Y、カートリッジからのインクを一部貯蔵し、ヘッドに適切な圧力でインクを供給するサブインクタンク108K、108C、108M、108Yを備えている。
更に記録媒体114を吸引ファン120によって吸着し搬送する搬送ベルト113、搬送ベルト113を支える搬送ローラ119、121、搬送ベルト113が適切な張力を保つようにコントロールするテンションローラ115、搬送ベルト113が適切な平面性を保つためのプラテン124及びプラテンローラー118、記録媒体114を吸着するための静電帯電を与える帯電ローラ116、記録媒体114を押さえる排紙コロ117、排紙した記録媒体114をストックしておく排紙トレイ104からなる排紙機構、印写する記録媒体114をストックする給紙トレイ103、給紙トレイより一枚ずつ記録媒体114を送り出す分離パッド112及び122、送られてきた記録媒体114を帯電ベルトに確実に吸着させるカウンターローラ123、手差しにて給紙した場合に用いられる手差しトレイ105からなる給紙機構を有している。
また、メンテナンス後に排出される廃液を回収する廃液タンク109や、装置を操作し装置状態を表示することができる操作パネル106も備えている。
各ヘッドユニットのノズル列は、記録媒体114の搬送方向に直行するように配列されており、記録領域以上の長さのノズル列を形成している。給紙トレイから記録媒体114が分離コロにて一枚に分離され、加圧コロにて搬送ベルトに密着されることで搬送ベルト上に固定される。そして、記録媒体がヘッドユニット下を通過する際に記録媒体に液滴を吐出することで、高速に液滴にて記録媒体にパターンニングができる。その後、記録媒体は分離爪にて搬送ベルトから分離され、排紙ローラと排紙コロにて支えられて排紙トレイに記録物が排出される。
この装置では、処理液で記録媒体表面を処理する機構として塗布機構を設けており、ローラ塗布を採用している。処理液135は処理液貯蔵タンク140から図示しない経路によって供給され、汲み上げローラ137でローラ表面に汲み上げられ、膜圧制御ローラ138に転写される。続いて塗布ローラ136に転写された処理液は、塗布用カウンターローラ139との間に通す記録媒体114に転写され、塗布される。
塗布ローラ136に転写される前処理液の塗布量は、塗布ローラ136とのニップ厚を制御することにより行う。処理液を塗布したくない時は、塗布ローラ136に処理液が残らないように、可動ブレード134を塗布ローラ136に押し付け、塗布ローラ表面の処理液を掻き取ることができる。これにより、処理液が塗布ローラ136に残留することで発生する乾燥による増粘や、塗布用カウンターローラ139との固着、塗布ムラなどの機能障害を未然に防ぐことができる。また、図1のように、給紙部を上下で1つずつ設け、処理液を塗布する場合には下の給紙部を、処理液を塗布しない場合には上の給紙部を使用するといった方式にしても良い。
上記ローラ塗布以外に、処理液を吐出方式でスプレー塗布することも可能である。例えば、110Kと同様のヘッドに処理液を充填し、インクと同様に記録媒体114へ吐出させることができ、吐出量や吐出位置の制御を高精度でかつ容易に行うことができる。また、ローラ塗布方式とスプレー塗布方式を併用しても良い。
何れの方式を用いても処理液を任意の位置に任意の量だけ塗布することができる。
また、熱風送風ファン150により、処理液及びインクが付着した記録媒体を加温することによって、乾燥促進または架橋反応促進により定着性を向上させることができる。なお、本例では加熱工程を印刷後の記録媒体に対して熱風ファンにて行っているが、加熱工程は印刷前または印刷前後の記録媒体に対して行っても良いし、その方式も熱風ファンだけではなく、加熱ローラなどの手段によって行っても良い。
図3は、上記インクジェット記録装置のヘッドユニットにおけるヘッド配列の一例を示した模式図である。
ヘッドユニットはヘッド外周部材160にヘッド154A〜154Lを固定しており、ヘッドはノズルの一部が重複するように千鳥配置で固定されている。
図4は、図3のヘッドユニットに配列しているヘッドを示す模式図である。各ヘッドには、ノズルプレート201に2列の千鳥配置で開口されているノズル200が設けられており、ヘッドとヘッド外周部材との間には充填剤202にて密閉されており、ノズル面側からの隙間をなくしている。
次に、図1に示すインクジェット記録装置の制御部の概要について、図2を参照して説明する。なお、図2は制御部の概略ブロック説明図である。
この制御部300は、装置全体の制御を司るCPU301と、CPU301が実行するプログラム、本発明において使用する所定インク吐出に対するノズル面汚染度合の値及びノズル面汚染許容閾値、駆動波形データ、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを備えている。
また、この制御部300はホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのホストI/F306と、記録ヘッド154の圧力発生手段を駆動制御するための駆動波形を生成するヘッド駆動制御部307と、記録媒体搬送モータ309を駆動するための記録媒体搬送モータ駆動制御部308と、ヘッドユニット(キャリッジ)移動モータ311を駆動するための維持ユニット移動モータ駆動制御部312と、インク経路の電磁弁315を開閉制御するためのインク経路バルブ制御部314、キャップ吸引モータ317やインク供給モータ318の駆動を制御する送液吸引モータ駆動制御部316と、搬送ベルト113の移動量及び移動速度に応じた検知信号を出力するエンコーダや、環境温度及び環境湿度(何れか一方でもよい)を検出するセンサ323からの検知信号、サブインクタンクのインク量検知信号、図示しない各種センサからの検知信号を入力するためのI/O322などを備えている。この制御部300には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル106が接続されている。
制御部300は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F306で受診する。
そして、CPU301は、ホストI/F306に含まれる受信バッファ内に印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替えを行い、記録ヘッド154のヘッド幅の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を、クロック信号に同期して、ヘッド駆動制御部307に送出する。
そして、CPU301は、ホストI/F306に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部307に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えば、ROM302にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしてもよい。
ヘッド駆動制御部307は、ページ単位で入力される記録ヘッド154の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて選択的に記録ヘッド154の圧力発生手段に印加して記録ヘッド154を駆動する。
また、図示していないが、処理液をローラ塗布する場合、塗布ローラ等の塗布用ローラ群の駆動制御が必要となるため、塗布用モータ制御部と、制御されるモータ、制御用のセンサを設ける。
更に処理液を吐出する場合には、維持動作を他のインクと異なる動作を行わないと、混色によるノズル詰まりの危険性が存在する。そのため維持ユニット移動モータは、インク用とは別に処理用のものを設けることが望ましい。
次に、インクカートリッジについて、図5及び図6を参照して説明する。ここで、図5は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図6は図5のインクカートリッジのケース(外装)を含めた図である。
インクは図5に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置にインクを供給する。インク袋241は、透気性の無いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図6に示すように、通常プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、インクカートリッジ240として、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
また、上記インクカートリッジ240に、インクの代わりに処理液を入れ、処理液用のカートリッジとして用いれば、インクカートリッジと同様に、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができる。
なお、処理液を記録媒体に塗布する形態としては、図7〜図9などの方式などの方式が考えられる。
図7は吐出ヘッドからの吐出方式について記載したものである。記録媒体114の搬送方向上流側に処理液135を吐出する記録ヘッドを設け、搬送方向下流側に水性記録用インク130を設けることで、所定の画像データに基づいて予め吐出される処理液135と水性記録用インク130を記録媒体114上で混合することができる。
図8は3本ロールによる塗布方式について記載したものであるが、詳細については図1で記載しているのでここでの説明は割愛する。
図9は2本ロールによる塗布方式について記載したものであり、吐出ヘッドから吐出された処理液135を塗布ローラ401及び膜厚制御ローラ402によって所定の膜厚に制御して記録媒体114に塗布する。また、塗布ローラ401上に残留した過剰の処理液は可動ブレード134にて回収される。なお、ここでは図示しないが、図9の搬送方向下部には水性記録用インクの吐出ヘッドが設けられている。
<記録物>
本発明に係る記録物は、前記のインクジェット記録用インクセットに含まれるインクを、記録媒体上に飛翔させて形成された画像を有することを特徴とする。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのないかぎり%は質量%を表す。
<顔料分散体の作製>
(分散体製造例1:シアン分散体)
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した。その後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成(株)製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
ポリマー溶液の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したところ、重量平均分子量は15000であった。
続いて、前記ポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。
その後、3本ロールミル((株)ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0wt%の青色のポリマー微粒子分散体(シアン分散体)160gを得た。
ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は98nmであった。
(分散体製造例2:マゼンタ分散体)
前記シアン分散体の銅フタロシアニン顔料を顔料ピグメントレッド122に変更したほかはシアン分散体の作製と同様にして赤紫色のポリマー微粒子分散体(マゼンタ分散体)を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は124nmであった。
(分散体製造例3:イエロー分散体)
前記シアン分散体の銅フタロシアニン顔料を顔料ピグメントイエロー74に変更したほかはシアン分散体の作製と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体(イエロー分散体)を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は78nmであった。
(分散体製造例4:ブラック分散体)
前記シアン分散体の銅フタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社FW100)に変更したほかはシアン分散体の作製と同様にして黒色のポリマー微粒子分散体(ブラック分散体)を得た。ポリマー微粒子のマイクロトラックUPAで測定した平均粒子径(D50%)は110nmであった。
−インク調製例−
上記分散体製造例1〜4により得られたシアン分散体、マゼンタ分散体、イエロー分散体、ブラック分散体を用いて、表1〜8に示す処方で、インク調製例1〜27のインクを作製した。
水溶性有機溶剤、界面活性剤、抑泡剤(消泡剤)、浸透剤、イオン交換水の順に材料を調合して30分撹拌した後、上記各分散体を添加して30分撹拌した。次いで、孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過して各色のインクを得た。各4色のインクを組み合わせる事で、のインクセットとした。
なお、表中の数字は「質量%」である。
・界面活性剤A
前記の構造式(I)において、n=4、a=21、b=12のもの
・界面活性剤B
以下の構造式(III)中において、m=3、n=13のもの
Figure 0006065271
ただし、構造式(III)中、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数を表す。
・界面活性剤C
以下の構造式(IV)中において、m=10、n=4、R1=CH2、R2=H、a=6、b=2のもの
Figure 0006065271
式(IV)中、R1は炭素数1〜10のアルキレン基、R2は水素又は炭素数1〜5のアルキル基であり、mは0〜10の整数、nは0〜40の整数、a、bはともに1〜20の整数を表す。
・界面活性剤D
ECTD−3NEX(日光ケミカルズ製)
また、表中における略語の意味は下記の通りである。
・KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン株式会社製、成分100質量%)
[インクセット1]
下記表1に示す処方でインク調製例1〜4のインクを作製し、これらをインクセット1とした。
Figure 0006065271
[インクセット2]
下記表2に示す処方でインク調製例5〜8のインクを作製し、これらをインクセット2とした。
Figure 0006065271
[インクセット3]
下記表3に示す処方でインク調製例9〜12のインクを作製し、これらをインクセット3とした。
Figure 0006065271
[インクセット4]
下記表4に示す処方でインク調製例13〜16のインクを作製し、これらをインクセット4とした。
Figure 0006065271
[インクセット5]
前記インクセット1のイエローインク(インク調製例3)を、下記表5に示すインク調製例17の処方で作製したインクに変更した以外は、インクセット1と同様にしてインクセット5を得た。
Figure 0006065271
[インクセット6]
前記インクセット1のイエローインク(インク調製例3)を、下記表6に示すインク調製例18の処方で作製したインクに変更した以外は、インクセット1と同様にしてインクセット6を得た。
Figure 0006065271
[インクセット7]
前記インクセット1のシアンインク(インク調製例1)を前記インクセット3のインク調製例9のインクに、イエローインク(インク調製例3)をインク調製例11のインクに変更した以外は、インクセット1と同様にしてインクセット7を得た。
[インクセット8]
前記インクセット1のブラックインク(インク調製例4)を、下記表7に示すインク調製例19の処方で作製したインクに変更した以外は、インクセット1と同様にしてインクセット8を得た。
Figure 0006065271
[インクセット9]
下記表8に示す処方でインク調製例20〜23のインクを作製し、これらをインクセット9とした。
Figure 0006065271
[インクセット10]
前記インクセット1のイエローインク(インク調製例3)を、前記インクセット3のインク調製例11のインクに変更した以外は、インクセット1と同様にしてインクセット10を得た。
[実施例]
上記で得たインクセット1〜4をそれぞれ図6に示すインクカートリッジ1〜4に充填した。そしてこれらのインクカートリッジ1〜4を順番にインクジェットプリンター(リコー製IPSiO GXe3300)にセットして、それぞれ画像を形成した。
[比較例]
実施例で用いたインクセット1〜4の代わりに上記で得たインクセット5〜10を用いた以外は実施例と同様にして、インクセット5〜10による画像を形成した。
[評価]
実施例及び比較例で用いた各インクセットについて、粘度、各せん断速度における粘度、動的表面張力、静的表面張力、吐出安定性、ブリード、インクミストを下記の方法により評価した。
評価結果を表9〜11に示す。
<粘度>
前記インクセット1〜10の各色インクの、25℃における粘度(mPa・s)を、回転式粘度計としてR型粘度計(RC−500、東機産業社製)を用いて測定した。回転速度は10〜100rpmの適切な回転速度で測定した。
<各せん断速度における粘度>
前記インクセット1〜10の各色インクの粘度を粘弾性測定装置(AntonPaar社製、PhysicaMCR301)を用いて25℃にて測定した。コーンプレート(φ50mm、1.009°)を使用してせん断速度1(1/s)〜1000(1/s)の範囲をギャップ50μmで測定して、パラレルプレート(φ50mm)を使用して100(1/s)〜100000(1/s)の範囲をギャップ50μmで測定した。
<動的表面張力>
前記インクセット1〜10の各色インクの25℃における動的表面張力(mN/m)を、動的表面張力計SITA DynoTester(SITA Messtechnik社製)を用い、最大泡圧法によって測定した。
<静的表面張力>
前記インクセット1〜10の各色インクの25℃における静的表面張力(mN/m)を、全自動表面張力計(CBVP−Z、協和界面科学株式会社製)を用い、白金プレート法によって測定した。
<プリンター評価前準備>
温度25±0.5℃、50±5%RHに調整された環境下、インクジェットプリンター(リコー製IPSio GXe3300)を用い、前記インクセット3において、最も安定してインクが吐出する波形を選択し、全ての印字評価で用いた。
<吐出安定性評価>
前記インクセット1〜10を搭載した前述のプリンター(リコー製IPSio GXe3300)を用いて、マイペーパー(株式会社NBSリコー製)上に印字を行なった。印刷パターンは画像領域中、印字面積が紙面全面積中、各色印字面積が5%であるチャートにおいて、イエロー・マゼンタ・シアン・ブラックの各インクを100%dutyで印字した。
印字条件は、記録密度600dpiで、ワンパス印字とした。
また、前記インクセット1〜10のそれぞれの発色性評価を実施した後、吐出安定性評価を実施した。間欠印写としては、上記チャートを20枚連続で印写後、20分間吐出を実施しない休止状態にし、これを50回繰り返して、累計1000枚印写後、もう一度同チャートを印写したときの5%チャートベタ部の筋、白抜け、噴射乱れの有無を目視で評価した。評価基準は次のようにした。
A:ベタ部に筋・白抜け・噴射乱れがほぼ認められない。
B:ベタ部に若干の筋・白抜け・噴射乱れが認められる。
C:ベタ部全域にわたって、筋・白抜け・噴射乱れが認められる。
これらの基準において、A以上を許容範囲とする。
<ブラック−カラー間のブリード評価>
前記インクセット1〜10を搭載した前述のプリンター(リコー製IPSio GXe3300)を用いて、マイペーパー(株式会社NBSリコー製)上に印字を行なった。印刷パターンは、各カラーインクを100%dutyで印字した。
得られた各カラーインクベタ画像部中にブラックインクの文字を印字することにより、カラーインク−ブラックインク間のブリード(にじみ)を目視にて、下記基準で評価した。
印字条件の記録密度は600dpi、ワンパス印字とした。
A:ブリードの発生がなく、黒文字が鮮明に認識でき、目視でにじみは認められない。
B:ブリードが若干発生し、黒文字が少しにじむ。
C:ブリードが発生し、黒文字の認識が困難である。
これらの基準において、A以上を許容範囲とする。
<イエロー−カラー間のブリード評価>
前記インクセット1〜10を搭載した前述のプリンター(リコー製IPSio GXe3300)を用いて、マイペーパー(株式会社NBSリコー製)上に印字を行なった。印刷パターンは、各カラーインクを100%dutyで印字した。
得られた各カラーインクベタ画像部中にイエローインクの文字を印字することにより、イエローインク−カラーインク間のブリード(にじみ)を目視にて、下記基準で評価した。
印字条件の記録密度は600dpi、ワンパス印字とした。
A:ブリードの発生がなく、黄文字が鮮明に認識でき、目視でにじみは認められない。
B:ブリードが若干発生し、黄文字が少しにじむ。
C:ブリードが発生し、黄文字の認識が困難である。
これらの基準において、A以上を許容範囲とする。
<インクミスト評価>
上記インクセット1〜10をプリンター(リコー製IPSio GXe3300)に充填し、25℃50%RH環境において、以下の方法でインクミストを評価した。
即ち、紙面全面積中、各色印字面積が5%である印刷パターンチャートを、前記プリンターの「普通紙はやいモード」で200枚印字後、プリンター内部のインク汚れの程度を目視観察した。評価基準は次の通りとした。
A:プリンター内部にインク汚れが見られない。
B:プリンター内部にわずかにインク汚れが見られる。
C:プリンター内部に多量のインク汚れが見られる。
これらの基準において、A以上を許容範囲とする。
<フェザリング評価>
上記インクセット1〜10をプリンター(リコー製IPSio GXe3300)に充填し、25℃50%RH環境において、以下の方法でフェザリングを評価した。
即ち、文字印刷パターンを前記プリンターの「普通紙はやいモード」で印字後、インクのにじみ具合(フェザリング)の程度を目視観察した。評価基準は次の通りとした。
A:にじみの発生がなく、文字が鮮明に認識できる。
B:にじみが若干発生している。
C:にじみが発生し、文字の認識が困難である。
これらの基準において、B以上を許容範囲とする。
Figure 0006065271
Figure 0006065271
Figure 0006065271
[考察]
(1)吐出安定性評価
インクセット1〜4と、インクセット5、6との比較によれば、回転式粘度計により50rpmで測定したインクセット中の各インクの粘度が7.0(mPa・s)以上9.0(mPa・s)以下であれば、吐出安定性が確保できる事が分かる。
インクセット1と、インクセット8との比較によれば、同一色インクの、表面寿命15msでの動的表面張力差が、5mN/mを超えると、吐出安定性が劣る事が分かる。
インクセット1〜4と、インクセット5、6、9、10との比較によれば、せん断速度230(1/s)での各インクの粘度が7.0(mPa・s)以上9.0(mPa・s)以下であれば、吐出安定性が確保できる事が分かる。
(2)ブリード評価
インクセット1〜4と、インクセット5、6との比較によれば、インクセット内の表面寿命1500msでの動的表面張力差が1mN/mを超えると、ブリードが発生しやすくなることが分かる。
インクセット1〜4と、インクセット7との比較によれば、吐出安定性は確保できていても、インクの活性剤種が異なると、ブリードが発生しやすくなることが分かる。
インクセット1〜4と、インクセット5との比較によれば、せん断速度1(1/s)での各インクの粘度差が、1.5(mPa・s)を超えると、ブリードが発生しやすくなることが分かる。
インクセット1〜4と、インクセット6との比較によれば、せん断速度1(1/s)での各インクの粘度差が、1.5(mPa・s)以内でも、インクの活性剤種が異なると、ブリードが発生しやすくなることが分かる。
(3)インクミスト評価
インクセット1〜4と、インクセット5、6との比較によれば、インクセット内の表面寿命1500msでの動的表面張力差が1mN/mを超えると、インクミストが発生しやすくなることが分かる。
インクセット1〜4と、インクセット6との比較によれば、せん断速度100000(1/s)での各インクの粘度差が、2.0(mPa・s)を超えると、インクミストが発生しやすくなることが分かる。
(4)フェザリング評価
インクセット1〜4と、インクセット5〜9との比較によれば、表面寿命1500msでの動的表面張力が大きいと、フェザリングが発生しやすくなることが分かる。これは、メディアへのインクの吸収に時間がかかるためである。
101 インクジェット記録装置
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 手差しトレイ
106 操作パネル
107K インクカートリッジ
107C インクカートリッジ
107M インクカートリッジ
107Y インクカートリッジ
108K サブインクタンク
108C サブインクタンク
108M サブインクタンク
108Y サブインクタンク
109 廃液タンク
110K ヘッドユニット
110C ヘッドユニット
110M ヘッドユニット
110Y ヘッドユニット
111K メンテナンスユニット
111C メンテナンスユニット
111M メンテナンスユニット
111Y メンテナンスユニット
112 分離パッド
113 搬送ベルト
114 記録媒体
115 テンションローラ
116 帯電ローラ
117 排紙コロ
118 プラテンローラ
119 搬送ローラ
120 吸引ファン
121 搬送ローラ
124 プラテン
122 分離パッド
123 カウンターローラ
130 水性記録用インク
134 可動ブレード
135 処理液
136 塗布ローラ
137 汲み上げローラ
138 膜圧制御ローラ
139 塗布用カウンターローラ
140 処理液貯蔵タンク
150 熱風送風ファン
154A〜L 記録ヘッド
160 外周部材
200 ノズル
201 ノズルプレート
202 充填剤
240 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
300 制御部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 不揮発性メモリ(NVRAM)
305 ASIC
306 ホストI/F
307 ヘッド駆動制御部
308 記録媒体搬送モータ駆動制御部
309 記録媒体搬送モータ
311 ヘッドユニット(キャリッジ)移動モータ
312 維持ユニット移動モータ駆動制御部
314 インク経路バルブ制御部
315 電磁弁
316 送液吸引モータ駆動制御部
317 キャップ吸引モータ
318 インク供給モータ
322 I/O
323 センサ
401 塗布ローラ
402 膜厚制御ローラ
特開2010−106141号公報 特開2005−320509号公報

Claims (10)

  1. 水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有する水性インクを、少なくとも2色以上有するインクセットを用いて画像を形成し、次いで、水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有する水性インクを、少なくとも2色以上有する別のインクセットに交換して、画像を形成する画像形成方法であって、
    各インクセットに含まれる各色インクは、最大泡圧法による25℃での表面寿命が1500msの時の動的表面張力の差が1mN/m以下であり、
    各インクセットは、各々のインクセット間での同一色のインク同士を比較したときに、インク中に含まれる着色剤濃度が異なり、かつ最大泡圧法による25℃での表面寿命が15msの時の同一色のインク間の動的表面張力の差が、5mN/m以下であるインクセットであることを特徴とする画像形成方法。
  2. 請求項1に記載の画像形成方法に使用されるインクセットであって、
    水、水溶性有機溶剤、着色剤及び界面活性剤を含有する水性インクを、少なくとも2色以上有し、
    各色インクは、最大泡圧法による25℃での表面寿命が1500msの時の動的表面張力の差が1mN/m以下であり、
    更に、25℃におけるせん断速度1(1/s)での各色インクの粘度差が1.5(mPa・s)以下、せん断速度230(1/s)での各色インクの粘度が7.0(mPa・s)以上9.0(mPa・s)以下、かつ、せん断速度100000(1/s)での各色インクの粘度差が2(mPa・s)以下であることを特徴とするインクジェット記録用インクセット。
  3. 前記インクセットに含まれる各色インクの、回転式粘度計により50rpmで測定した25℃における粘度が7.0(mPa・s)以上、9.0(mPa・s)以下であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録用インクセット。
  4. 前記インクセットに含まれる各色インクの、回転式粘度計により50rpmで測定した25℃における粘度差が0.5(mPa・s)以下であることを特徴とする請求項2又は3記載のインクジェット記録用インクセット。
  5. 前記インクセットに含まれる全色のインクが界面活性剤を含み、該界面活性剤として、全色で、同じ構造の界面活性剤を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  6. 前記着色剤は、色剤を含有するポリマー微粒子であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  7. ブラックインクとカラーインクを含むことを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセット。
  8. 請求項2乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットに含まれるインクを容器中に収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
  9. インクにエネルギーを加えてインクを飛翔させ、記録媒体に画像を形成するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置において、請求項8に記載のインクカートリッジを搭載したことを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 請求項2乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクセットに含まれるインクを、記録媒体上に飛翔させて形成された画像を有することを特徴とする記録物。
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