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JP6053107B2 - 血液浄化装置及びそのプライミング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ダイアライザを使用した透析治療など、患者の血液を体外循環させつつ浄化するための血液浄化装置及びそのプライミング方法に関するものである。
一般に、透析治療時においては、採取した患者の血液を体外循環させて再び体内に戻すための血液回路が用いられており、かかる血液回路は、例えば中空糸膜(血液浄化膜)を具備したダイアライザ(血液浄化手段)と接続し得る動脈側血液回路及び静脈側血液回路から主に構成されている。これら動脈側血液回路及び静脈側血液回路の各先端には、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針が取り付けられ、それぞれが患者に穿刺されて透析治療における血液の体外循環が行われることとなる。
そして、透析治療の前には、通常、生理食塩液等のプライミング液を血液回路内に供給して充填させることにより、当該血液回路内を洗浄する「プライミング」と称される工程が行われる。従来のプライミング方法として、例えば特許文献1にて開示されているように、プライミング液としての生理食塩液を動脈側血液回路及び静脈側血液回路に供給しつつオーバーフローラインから排出させるとともに、生理食塩液内に気泡が検出されなくなったことを条件として、プライミングを終了させる方法が挙げられる。
特開2010−273693号公報
上記従来の血液浄化装置においては、以下の如き問題があった。
ダイアライザが具備する血液浄化膜(中空糸膜)には、通常、中空糸膜を保護するための種々の保護剤(例えば、膜の親水化剤としてのPVP(ポリビニルピロリドン)若しくは膜の凍結防止のための保湿剤としてのグリセリン等)が塗布されているとともに、当該血液浄化膜の製造又は滅菌工程に生じる溶出物や残留薬液等が付着している場合があり、プライミング時に、そのような不純物が生理食塩液等のプライミング液に混入し、そのまま残存してしまう虞があった。
すなわち、従来の血液浄化装置においては、予め定められた所定量のプライミング液を供給するとともに、単にプライミング液内に気泡がなくなったことを条件として、プライミングを終了させていたため、プライミング液内に保護剤等の不純物が残存しているか否かを確認しておらず、不純物の残存の可能性が高くなってしまうという不具合があったのである。また、従来の血液浄化装置においては、プライミング液内に不純物が残存することがないように、比較的多めのプライミング液を血液回路に供給する必要があるので、プライミングの使用量が多くなってしまうとともにプライミング時間が長くなってしまうという不具合がある。
さらに、他の従来の血液浄化装置においては、ダイアライザの膜材質や膜面積に関わらず一律の量のプライミング液をプライミング時に使用する場合があり、この場合、過剰な量のプライミング液を使用していることが多い。特に、透析液をプライミング液として使用するものの場合、プライミング液の使用量の増加は、透析液作製量の増加に繋がってしまい、コストが嵩んでしまうという不具合がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プライミングによる血液回路及び血液浄化膜の洗浄をより確実に行わせることができるとともに、プライミング液の使用量を適正とすることができる血液浄化装置及びそのプライミング方法を提供することにある。
請求項1記載の発明は、動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成るとともに、当該動脈側血液回路の先端から静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環させ得る血液回路と、該血液回路の動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて当該血液回路を流れる血液を浄化するとともに、血液を浄化するための血液浄化膜を介して患者の血液が流れる血液流路及び透析液が流れる透析液流路が形成された血液浄化手段と、前記血液浄化手段の透析液流路の入口及び出口に接続された透析液導入ライン及び透析液排出ラインとを具備し、血液浄化治療前に前記血液浄化手段の血液浄化膜には保護剤が塗布されており、当該治療前のプライミング時、前記血液回路及び前記血液浄化手段の血液流路と、前記血液浄化手段の透析液流路とにプライミング液を供給して充填可能とされた血液浄化装置において、プライミング時、プライミング液に含まれる不純物としての前記保護剤を検出可能な検出手段を具備し、当該検出手段により前記保護剤が検出されなくなったことを条件としてプライミングを終了させる制御が行われることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の血液浄化装置において、前記検出手段は、前記プライミング液に対して光を照射し得る発光手段と、前記プライミング液を透過又は反射した前記発光手段からの透過光又は反射光を受け得る受光手段と、前記受光手段による受光強度を検出し得る受光強度検出手段とを具備し、当該受光強度検出手段により検出された受光強度に基づきプライミング液内の前記保護剤を検出し得ることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2記載の血液浄化装置において、前記検出手段は、前記受光強度検出手段で検出された受光強度に基づいて、前記プライミング液内の前記保護剤に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出し得ることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローラインに配設されたことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記検出手段は、当該透析液排出ラインに配設されたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の血液浄化装置において、プライミング時、前記血液浄化手段の血液浄化膜を介して前記血液流路から透析液流路に透析液を濾過させる正濾過工程を行わせる制御手段を具備するとともに、前記検出手段は、当該正濾過工程時に前記透析液排出ラインを流れるプライミング液内の前記保護剤を検出可能とされたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6記載の血液浄化装置において、前記検出手段は、治療中、前記透析液排出ラインを流れる透析液中の不純物の濃度を検出し得ることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置において、前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローライン又は前記血液回路と、前記透析液排出ラインとにそれぞれ配設されたことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成るとともに、当該動脈側血液回路の先端から静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環させ得る血液回路と、該血液回路の動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて当該血液回路を流れる血液を浄化するとともに、血液を浄化するための血液浄化膜を介して患者の血液が流れる血液流路及び透析液が流れる透析液流路が形成された血液浄化手段と、前記血液浄化手段の透析液流路の入口及び出口に接続された透析液導入ライン及び透析液排出ラインと、具備し、血液浄化治療前に前記血液浄化手段の血液浄化膜には保護剤が塗布されており、当該治療前のプライミング時、前記血液回路及び前記血液浄化手段の血液流路と、前記血液浄化手段の透析液流路とにプライミング液を供給して充填可能とされた血液浄化装置のプライミング方法において、プライミング時、プライミング液に含まれる不純物としての前記保護剤を検出し、当該保護剤が検出されなくなったことを条件としてプライミングを終了させることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記血液浄化装置は、前記プライミング液に対して光を照射し得る発光手段と、前記プライミング液を透過又は反射した前記発光手段からの透過光又は反射光を受け得る受光手段と、前記受光手段による受光強度を検出し得る受光強度検出手段とを具備した検出手段を有し、当該受光強度検出手段により検出された受光強度に基づきプライミング液内の前記保護剤を検出することを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記検出手段は、前記受光強度検出手段で検出された受光強度に基づいて、前記プライミング液内の前記保護剤に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出することを特徴とする。
請求項12記載の発明は、請求項10又は請求項11記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記血液浄化装置は、前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローラインに配設されたことを特徴とする。
請求項13記載の発明は、請求項10〜12の何れか1つに記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記検出手段は、当該透析液排出ラインに配設されたことを特徴とする。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記血液浄化装置は、プライミング時、前記血液浄化手段の血液浄化膜を介して前記血液流路から透析液流路にプライミング液として透析液を濾過させる正濾過工程を行わせる制御手段を具備するとともに、前記検出手段は、当該正濾過工程時に前記透析液排出ラインを流れるプライミング液内の前記保護剤を検出することを特徴とする。
請求項15記載の発明は、請求項13又は請求項14記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記検出手段は、治療中、前記透析液排出ラインを流れる透析液中の不純物の濃度を検出することを特徴とする。
請求項16記載の発明は、請求項10又は請求項11記載の血液浄化装置のプライミング方法において、前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローライン又は前記血液回路と、前記透析液排出ラインとにそれぞれ配設されたことを特徴とする。
請求項1、の発明によれば、プライミング時、プライミング液に含まれる不純物としての保護剤を検出するので、プライミングによる血液回路及び血液浄化膜の洗浄をより確実に行わせることができるとともに、プライミング液の使用量を適正とすることができる。
請求項2、10の発明によれば、プライミング液に対して光を照射し得る発光手段と、プライミング液を透過又は反射した発光手段からの透過光又は反射光を受け得る受光手段と、受光手段による受光強度を検出し得る受光強度検出手段とを具備した検出手段を有し、当該受光強度検出手段により検出された受光強度に基づきプライミング液内の保護剤を検出し得るので、より高精度な保護剤の検出を行わせることができる。
また、検出手段における光学的検出(光の照射及び受光)によりプライミング液内の保護剤を検出可能とされているので、保護剤の検出精度を高めることができるとともに、流路を流動するプライミング液中の保護剤を検出可能であることから、プライミング液の採取等が不要とされ、保護剤の検出を容易かつ円滑に行わせることができる。
請求項3、11の発明によれば、検出手段は、受光強度検出手段で検出された受光強度に基づいて、プライミング液内の保護剤に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出し得るので、プライミング液内の保護剤の検出機能と気泡の検出機能とを兼ね備えさせることができ、プライミング内の保護剤を検出するための手段と気泡を検出するための手段とをそれぞれを具備したものに比べ、装置構成を簡素化することができ、製造コスト及びメンテナンスコストを低下させることができる。
請求項4、12の発明によれば、動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、検出手段は、当該オーバーフローラインに配設されたので、オーバーフローラインから排出されるプライミング液内の保護剤を検出することができ、より確実に保護剤を外部に排出させることができる。
請求項5、13の発明によれば、検出手段は、当該透析液排出ラインに配設されたので、透析液排出ラインを流れるプライミング液内の保護剤を検出することができ、血液流路に加え、透析液流路の洗浄を確実に行わせることができる。
請求項6、14の発明によれば、プライミング時、血液浄化手段の血液浄化膜を介して血液流路から透析液流路に透析液を濾過させる正濾過工程を行わせる制御手段を具備するとともに、検出手段は、当該正濾過工程時に透析液排出ラインを流れるプライミング液内の保護剤を検出可能とされたので、血液浄化膜に形成された孔に充填された保護剤も確実に除去することができ、血液浄化膜の洗浄をより確実に行わせることができ、かつ、透析液排出ラインを介して保護剤を確実に外部へ排出させることができる。
請求項7、15の発明によれば、検出手段は、治療中、透析液排出ラインを流れる透析液中の不純物の濃度を検出し得るので、プライミング時においては、血液浄化膜の洗浄を確認し得るとともに、治療時においては、血液浄化膜にて血液から濾過された不純物の濃度に基づいて、透析効率を確認することができる。
本発明の第1の実施形態に係る血液浄化装置を示す模式図 同血液浄化装置における血液浄化手段(ダイアライザ)を示す模式図 同血液浄化装置における検出手段を示す模式図 同血液浄化装置における検出手段を示すブロック図 同血液浄化装置における検出手段の受光強度検出手段で検出された受光電圧の変化を示すグラフ 同血液浄化装置におけるプライミング時の血液回路側の状態を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミング時の血液回路側の状態を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミング時の血液回路側の状態を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミング時の透析液導入ライン及び透析液排出ライン側の状態を示す模式図 本発明の第2の実施形態に係る血液浄化装置におけるプライミングのための作業過程を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミングのための作業過程を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミングのための作業過程を示す模式図 本発明の第3の実施形態に係る血液浄化装置を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミング時の状態を示す模式図 本発明の第4の実施形態に係る血液浄化装置を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミング時の状態を示す模式図 同血液浄化装置におけるプライミング時の状態を示す模式図
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
第1の実施形態に係る血液浄化装置は、血液透析治療を行うための透析装置から成り、図1に示すように、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2から成る血液回路と、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2の間に介装されて血液回路を流れる血液を浄化するダイアライザ3(血液浄化手段)と、動脈側血液回路1に配設されたしごき型の血液ポンプ4と、動脈側血液回路1に接続された動脈側エアトラップチャンバ5と、静脈側血液回路2に接続された静脈側エアトラップチャンバ6と、プライミング液としての生理食塩液を収容した収容手段10と、該収容手段10と動脈側血液回路1とを連結したプライミング液供給ラインL8と、複式ポンプ7と、制御手段11と、検出手段(12a、12b)とから主に構成されている。
動脈側血液回路1には、その先端にコネクタaを介して動脈側穿刺針(不図示)が接続されるとともに、途中にしごき型の血液ポンプ4及び動脈側エアトラップチャンバ5が配設されている一方、静脈側血液回路2には、その先端にコネクタbを介して静脈側穿刺針(不図示)が接続されるとともに、途中に静脈側エアトラップチャンバ6が接続されている。
そして、動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を患者に穿刺した状態で、血液ポンプ4を駆動させると、患者の血液は、動脈側エアトラップチャンバ5で除泡がなされつつ動脈側血液回路1を通ってダイアライザ3に至った後、該ダイアライザ3によって血液浄化が施され、静脈側エアトラップチャンバ6で除泡がなされつつ静脈側血液回路2を通って患者の体内に戻る。しかして、患者の血液を血液回路の動脈側血液回路1の先端から静脈側血液回路2の先端まで体外循環させつつダイアライザ3にて浄化するのである。
静脈側エアトラップチャンバ6には、その上部(空気層側)から延びて先端が大気開放とされたオーバーフローラインL7が延設されており、動脈側血液回路1又は静脈側血液回路2に供給されて当該静脈側エアトラップチャンバ6をオーバーフローしたプライミング液等の液体を外部に排出させ得るよう構成されている。このオーバーフローラインL7には、電磁弁V9が配設されており、当該オーバーフローラインL7の流路を任意に閉塞又は開放可能とされている。
しかるに、治療前のプライミング時、動脈側血液回路1の先端のコネクタaと静脈側血液回路先端2の先端のコネクタbとを接続して当該動脈側血液回路1と静脈側血液回路2とを連通可能とされている。このような連通状態においては、血液回路はプライミング液(透析液)を循環可能な閉回路とされており、電磁弁V9を開状態とすることにより、オーバーフローラインL7を開放させて、血液回路の内部のプライミング液(透析液)を外部に排出可能とされている。
ダイアライザ3は、その筐体部に、血液導入口3a(血液導入ポート)、血液導出口3b(血液導出ポート)、透析液導入口3c(透析液流路入口:透析液導入ポート)及び透析液導出口3d(透析液流路出口:透析液導出ポート)が形成されており、このうち血液導入口3aには動脈側血液回路1の基端部が、血液導出口3bには静脈側血液回路2の基端部がそれぞれ接続されている。また、透析液導入口3c及び透析液導出口3dは、透析装置本体から延設された透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2とそれぞれ接続されている。
ダイアライザ3内には、図2に示すように、複数の中空糸膜Mが収容されており、この中空糸膜Mが血液を浄化するための血液浄化膜を構成している。より具体的には、かかる中空糸膜Mは、内部が血液流路αかつ外部(中空糸膜Mの外周面と筐体を構成するケースCの内周面との間に形成された流路)が透析液流路βとされるとともに、当該中空糸膜Mの外周面と内周面とを貫通した微小な孔(ポア)が多数形成されている。
しかして、中空糸膜Mを介して患者の血液が流れる血液流路α及び透析液が流れる透析液流路βが形成されているのである。そして、動脈側血液回路1を流れた血液は、血液流路αを通過して静脈側血液回路2に至るとともに、透析液導入ラインL1を流れた透析液は、透析液流路βを通過して透析液排出ラインL2に至るものとされ、当該中空糸膜Mを介して血液中の不純物等が透析液内に濾過し得るよう構成されている。
複式ポンプ7は、透析装置本体内で透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2に跨って配設され、透析液を送液させるためのポンプから成るとともに、当該透析装置本体には、ダイアライザ3中を流れる患者の血液から水分を除去するための除水ポンプ8が配設されている。なお、透析液導入ラインL1の一端は、ダイアライザ3(透析液導入口3c)に接続されるとともに、他端は、所定濃度の透析液を調製する透析液供給装置(不図示)に接続されている。
透析液導入ラインL1における複式ポンプ7(吸入側)とダイアライザ3との間には、透析液を清浄化するための濾過フィルタ9a、9bが接続されている。また、濾過フィルタ9a、9bと透析液排出ラインL2との間には、バイパスラインL5、L6が連結されており、当該バイパスラインL5、L6には、流路を閉塞又は開放可能な電磁弁V6、V7がそれぞれ配設されている。
さらに、透析液排出ラインL2の一端は、ダイアライザ3(透析液導出口3d)に接続されるとともに、他端が図示しない排液手段と接続されており、透析液供給装置から供給された透析液が透析液導入ラインL1を通ってダイアライザ3の透析液流路βに至った後、透析液排出ラインL2を通って排液手段に送られるようになっている。また、透析液排出ラインL2には、複式ポンプ7(吐出側)を迂回するバイパスラインL3、L4が接続されている。そして、バイパスラインL3には、除水ポンプ8が配設されるとともに、バイパスラインL4には、流路を閉塞又は開放可能な電磁弁V5が配設されている。
また、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2における一端側(ダイアライザ3との接続端側)には、それぞれ電磁弁V3、V4が配設されており、ダイアライザ3に導入又は排出される透析液の流路を閉塞又は開放可能とされている。一方、動脈側血液回路1の先端側(コネクタa近傍)及び静脈側血液回路2の先端側(コネクタb近傍)には、流路を閉塞又は開放し得る電磁弁V1及びV2がそれぞれ接続されている。
収容手段10(所謂「生理食塩液バッグ」と称されるもの)は、可撓性の透明な容器から成り、生理食塩液(プライミング液)を所定容量収容し得るもので、例えば透析装置本体に突設されたポール(不図示)の先端に取り付けられている。プライミング液供給ラインL8は、動脈側血液回路1における電磁弁V1と血液ポンプ4との間の部位に接続され、収容手段10内の生理食塩液(プライミング液)を血液回路内に供給し得るものである。このプライミング液供給ラインL8の途中には、電磁弁V8が配設されており、当該プライミング液供給ラインL8の流路を閉塞又は開放し得るようになっている。
しかるに、治療前のプライミング時、動脈側血液回路1の先端と静脈側血液回路2の先端とを接続して連通(具体的には、コネクタaとコネクタbとを接続して互いの流路を連通)可能とされている。ここで、プライミングとは、生理食塩液や透析液等のプライミング液を血液の流路(血液回路及びダイアライザ3の血液流路α)に供給し、当該流路を流動させることにより洗浄するとともに、当該プライミング液を血液の流路に充填させておく作業をいう。なお、本発明においては、透析液をダイアライザ3の透析液流路βに供給して洗浄し、充填させる所謂「ガスパージ」と称される作業もプライミングの一つの工程として定義するものとし、このときのプライミング液は、透析液導入ラインL1及び透析液排出ラインL2を流れる透析液とされる。
一方、本実施形態に係る電磁弁V1〜V9は、開閉動作により、配設された所定部位における流路を任意に閉塞又は開放し得る弁手段を構成するものであり、その開閉動作がマイコン等から成る制御手段11にて制御されるよう構成されている。また、制御手段11は、血液ポンプ4及び複式ポンプ7の駆動制御手段と電気的にそれぞれ接続されており、当該血液ポンプ4及び複式ポンプ7の駆動を制御することが可能とされている。かかる制御手段11により、透析治療やプライミング時、任意の構成部品に対して必要な制御が行われ得るようになっている。
検出手段(12a、12b)は、プライミング時、プライミング液(プライミング液供給ラインL8から供給される生理食塩液、又は透析液流路βに供給される透析液)内の不純物を検出可能なものであり、本実施形態においては、オーバーフローラインL7における電磁弁V9より先端側に配設された第1検出手段12aと、透析液排出ラインL2における電磁弁V4とバイパスラインL6の接続部との間の部位に配設された第2検出手段12bとの2つを具備している。
具体的には、検出手段(12a、12b)は、図3、4に示すように、プライミング液(生理食塩液又は透析液)に対して光を照射し得る発光手段13と、プライミング液(生理食塩液又は透析液)を透過した発光手段13からの透過光を受け得る受光手段14と、受光手段14による受光強度を検出し得る受光強度検出手段15とを具備したセンサから成る。なお、受光強度検出手段15は、制御手段11と電気的に接続されており、当該受光強度検出手段15で検出された受光強度を制御手段11に送信可能とされている。
発光手段13は、液体(プライミング液としての生理食塩液又は透析液)に対して光(本実施形態においては、紫外領域 200〜350(nm)の波長)を照射し得るLEDから成る光源であり、図3に示すように、当該液体の流路(オーバーフローラインL7、透析液排出ラインL2)を挟んで受光手段14と対向して配設されている。受光手段14は、液体(プライミング液としての生理食塩液又は透析液)を透過した発光手段13からの透過光を受け得るものであり、本実施形態においては、受光強度に応じた電圧を生じさせ得る受光素子から成る。
これにより、プライミング液(生理食塩液又は透析液)が流れた状態において発光手段13から光を照射させれば、その照射された光が当該プライミング液を透過することとなるので、プライミング液における不純物の有無に応じて光の一部が吸収された後、受光手段14にて受光することとなる。このようにして、受光手段14による受光強度(すなわち、受光強度に応じて生じた電圧)を検出すれば、プライミング液の濃度の変化を検出することができるのである。
受光強度検出手段15は、受光手段14と電気的に接続されて当該受光手段14による受光強度を検出し得るもので、本実施形態においては受光手段14による受光強度に応じて生じた電圧をプライミング過程でリアルタイムに検出し得るようになっている。例えば、プライミング液内に不純物が混入している場合、図5に示すように、受光強度検出手段15の検出値が変化(受光電圧(V)の一時的な低下)するので、予め閾値Aを設定し、当該閾値Aを検出値が超えたことを認識可能とすれば、プライミング液内の不純物を検出することが可能とされている。
また、上記構成の検出手段(12a、12b)は、プライミング液内に気泡が混入している場合、受光強度検出手段15の検出値が図5で示すグラフと同様に変化(受光電圧(V)の一時的な低下)するので、予め設定した閾値Aを検出値が超えたことを認識させれば、プライミング液内の気泡を検出することが可能とされている。すなわち、本実施形態に係る検出手段(12a、12b)は、受光強度検出手段15で検出された受光強度に基づいて、プライミング液内の不純物に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出し得るのである。
さらに、透析液排出ラインL2に配設された検出手段12bは、プライミング後の治療中(血液浄化治療中)、透析液排出ラインL2を流れる透析液中の不純物の濃度を検出し得るよう構成されている。すなわち、治療中、透析液排出ラインL2に透析液が流れた状態において発光手段13から光を照射させれば、その照射された光が透析液排出ラインL2にて流れる透析液(ダイアライザ3から排出された排液)を透過することとなるので、排液の濃度に応じて光の一部が吸収された後、受光手段14にて受光することとなる。
しかして、受光強度検出手段15にて受光手段14による受光強度(すなわち、受光強度に応じて生じた電圧)を検出すれば、ダイアライザ3から排出された透析液の濃度の変化を検出することができるのである。これにより、血液浄化に伴って流れる液体(本実施形態においては、血液浄化手段としてのダイアライザ3から排出された透析液)の濃度を検出することにより、例えば尿素濃度の変化(「Kt/V」なる指標)をリアルタイムで把握することができ、透析治療中の血液浄化効率を監視することができる。
次に、上記構成の血液浄化装置におけるプライミング方法について説明する。
治療前のプライミング時、先ず、動脈側血液回路1の先端のコネクタaと静脈側血液回路2の先端のコネクタbとを接続して互いの流路を連通させるとともに、制御手段11の制御により、電磁弁V1、V2、V8、V9を開状態とする(図6参照)。これにより、収容手段10内の生理食塩液(プライミング液)が自重によりプライミング液供給ラインL8を介して動脈側血液回路1に至り、当該動脈側血液回路1における血液ポンプ4の配設位置より上流側(コネクタa側)、及び静脈側血液回路2に供給され、充填されることとなる(落差充填工程)。なお、上述の如く供給された生理食塩液のうち所定量は、オーバーフローラインL7から排出されるものとされている。
その後、図7に示すように、電磁弁V2を閉状態としつつ血液ポンプ4を正転駆動(治療時と同一方向の駆動)させることにより、収容手段10内の生理食塩液(プライミング液)を動脈側エアトラップチャンバ5側へ供給させる。これにより、動脈側血液回路1における血液ポンプ4の配設位置より下流側(ダイアライザ3側)、ダイアライザ3における血液流路α、及び静脈側血液回路2におけるダイアライザ3と静脈側エアトラップチャンバ6との間に生理食塩液を供給するとともに、オーバーフローラインL7から排出させることができる(送液工程)。なお、電磁弁V2を閉状態としているが、電磁弁V2に代え、或いは電磁弁V2と共に、電磁弁V1を閉状態としてもよい。しかるに、動脈側エアトラップチャンバ5及び静脈側エアトラップチャンバ6は、使用時とは上下逆の状態(反転状態)としておくのが好ましい。
ここで、上記送液工程において、検出手段12aにて不純物及び気泡を検出し得るよう制御されている。すなわち、検出手段12aは、プライミングの送液工程時において、オーバーフローラインL7から排出される生理食塩液に不純物又は気泡が含有されているか否かを検出することができ、不純物や気泡が検出される状態(例えば、受光強度検出手段15の検出値が閾値Aを超えた状態)においては、洗浄が不十分であることが把握されるのである。
なお、本実施形態においては、上記落差充填工程の後、送液工程を行うものとされているが、当該落差充填工程と送液工程とを同時に行う(例えば、血液ポンプ4によるプライミング液(生理食塩液)の流量を制御して、動脈側エアトラップチャンバ5側に流れるプライミング液と静脈側エアトラップチャンバ4側に流れるプライミング液とを得る等)ものであってもよい。また、検出手段12aによる不純物及び気泡の検出は、上述の如く送液工程でのみ行われるものに限定されず、落差充填工程及び送液工程のそれぞれで行うよう構成してもよい。
そして、上記送液工程が所定時間行われた後、図8に示すように、血液ポンプ4の駆動を維持しつつ電磁弁V8を閉状態とする。これにより、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2(ダイアライザ3の血液流路αも同様)に充填された生理食塩液が循環することとなる(循環工程)。このような送液工程と循環工程とが繰り返し行われるよう制御され、検出手段12aによる不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、血液回路側のプライミングが終了することとなる。
その後、ガスパージ工程と称されるダイアライザ3側(透析液流路β)のプライミングが行われる。当該ガスパージ工程においては、図9に示すように、電磁弁V3、V4、V5を開状態及び電磁弁V6、V7を閉状態としつつ複式ポンプ7を駆動させる。これにより、透析液導入ラインL1から導入された透析液は、ダイアライザ3の透析液流路βを介して透析液排出ラインL2に至り、排出されることとなる。
ここで、上記ガスパージ工程において、検出手段12bにて不純物及び気泡を検出し得るよう制御されている。すなわち、検出手段12bは、プライミングのガスパージ工程時において、透析液排出ラインL2から排出される透析液に不純物又は気泡が含有されているか否かを検出することができ、不純物や気泡が検出される状態(例えば、受光強度検出手段15の検出値が閾値Aを超えた状態)においては、洗浄が不十分であることが把握されるのである。
そして、検出手段12bによる不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、一連のプライミングが終了する。かかるプライミングが終了した後、コネクタa、bの連結を外すとともに、当該コネクタa、bに動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を取り付け、患者に穿刺して透析治療が行われることとなる。治療時においては、透析液排出ラインL2に配設された検出手段12bにより、透析液排出ラインL2を流れる透析液中の不純物の濃度を検出することにより、血液浄化効率を監視することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1の実施形態と同様、血液透析治療を行うための透析装置から成り、図1に示すように、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2から成る血液回路と、ダイアライザ3(血液浄化手段)と、しごき型の血液ポンプ4と、動脈側エアトラップチャンバ5と、静脈側エアトラップチャンバ6と、生理食塩液を収容した収容手段10と、プライミング液供給ラインL8と、複式ポンプ7と、制御手段11と、検出手段12b及び検出手段16とから主に構成されている。ここで、本実施形態に係る血液回路は、第1の実施形態に係る検出手段12aに代えて、静脈側血液回路2の先端部に配設された検出手段16を有するものとされている。なお、先の実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
検出手段16は、プライミング時、プライミング液内の不純物を検出可能なもので、第1の実施形態における検出手段(12a、12b)と同様の構成とされている。かかる検出手段16は、静脈側血液回路2の先端部(クランプ手段Vbと静脈側エアトラップチャンバ6との間)に配設されており、当該静脈側血液回路2の先端から排出される生理食塩液(プライミング液)内の不純物及び気泡を検出可能とされている。
本実施形態に係る血液浄化装置におけるプライミング方法について以下に説明する。
先ず、図10に示すように、ダイアライザ3に取り付けられる前の状態の動脈側血液回路1において、電磁弁V8を開状態とするとともに動脈側エアトラップチャンバ5を逆向き(使用時とは上下反対)とする。これにより、収容手段10内の生理食塩液(プライミング液)を自重によりプライミング液供給ラインL8を介して動脈側血液回路1に至らせる。
そして、動脈側血液回路1の先端まで生理食塩液が至った状態にて、鉗子等のクランプ手段Vaにて流路を閉塞させた後、血液ポンプ4を駆動させることにより、動脈側血液回路1の下流側(ダイアライザ3との接続部側)に生理食塩液を供給させる。その後、図11に示すように、動脈側血液回路1の基端をダイアライザ3(予め静脈側血液回路2が接続された状態とされている)に接続させるとともに、動脈側エアトラップチャンバ5の向きを反対として使用時の状態とする。
このとき、静脈側血液回路2の先端部に配設されたクランプ手段Vbは開状態とされるとともに静脈側エアトラップチャンバ6を逆向き(使用時とは上下反対)とする。これにより、収容手段10内の生理食塩液が動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2に供給され、当該静脈側血液回路2の先端から排出される。ここで、本実施形態においては、検出手段16により、静脈側血液回路2の先端から排出される生理食塩液に不純物及び気泡が含有しているか否かを検出し得るよう構成されている。
すなわち、検出手段16は、プライミングにおいて、動脈側血液回路2の先端から排出される生理食塩液に不純物又は気泡が含有されているか否かを検出することができ、不純物や気泡が検出される状態(例えば、受光強度検出手段15の検出値が閾値Aを超えた状態)においては、洗浄が不十分であることが把握されるのである。かかる検出手段16による不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、図12に示すように、クランプ手段Vbを閉状態とした後、静脈側エアトラップチャンバ6の向きを反対として使用時の状態とする。
これにより、血液回路側のプライミングが終了することとなる。その後、第1の実施形態と同様のガスパージ工程と称されるダイアライザ3側(透析液流路β)のプライミングが行われることとなる(図9参照)。かかるガスパージ工程においては、第1の実施形態と同様、検出手段12bにて透析液排出ラインL2を流れる透析液内の不純物及び気泡が検出される。しかして、本実施形態に係る鉗子等のクランプ手段Va、Vbのように、プライミング液の流路を手動操作にて開状態又は閉状態とする弁手段を用いることもできる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1、2の実施形態と同様、血液透析治療を行うための透析装置から成り、図13に示すように、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2から成る血液回路と、ダイアライザ3(血液浄化手段)と、しごき型の血液ポンプ4と、動脈側エアトラップチャンバ5と、静脈側エアトラップチャンバ6と、複式ポンプ7と、制御手段11と、検出手段(12a、12b)とから主に構成されている。なお、先の実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る血液浄化装置におけるプライミング方法について以下に説明する。
治療前のプライミング時、図14に示すように、動脈側血液回路1の先端のコネクタaと静脈側血液回路2の先端のコネクタbとを接続して互いの流路を連通させるとともに、制御手段11の制御により、電磁弁V4、V6、V7を閉状態、及び他の電磁弁(V1〜V3、V5、V9)を開状態とした後、複式ポンプ7を駆動させるとともに血液ポンプ4を逆転駆動(治療時と逆方向の駆動)させる。
しかして、透析液導入ラインL1から導入された透析液は、ダイアライザ3の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して透析液流路βから血液流路αに濾過(逆濾過)され、当該血液流路αから動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2に向かって流れることとなる。すなわち、本実施形態においては、ダイアライザ3の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して透析液流路βから血液流路αに濾過(逆濾過)された透析液が血液回路に供給及び充填されるプライミング液とされるのである。なお、血液ポンプ4の駆動速度は、血液流路αに逆濾過された透析液が動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2の双方に流れるよう設定されている。
上記の如き逆濾過によって動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2に供給された透析液は、オーバーフローラインL7を介して外部に排出されるのであるが、その排出される際、検出手段12aにて不純物及び気泡を検出し得るよう制御されている。すなわち、検出手段12aは、プライミング時の逆濾過において、オーバーフローラインL7から排出される透析液に不純物又は気泡が含有されているか否かを検出することができ、不純物や気泡が検出される状態(例えば、受光強度検出手段15の検出値が閾値Aを超えた状態)においては、洗浄が不十分であることが把握されるのである。
しかるに、検出手段12aによる不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、血液回路側のプライミングが終了することとなる。その後、第1の実施形態と同様、ガスパージ工程と称されるダイアライザ3側(透析液流路β)のプライミングが行われ、検出手段12bにて不純物及び気泡を検出し得るよう制御されている。すなわち、検出手段12bは、プライミングのガスパージ工程時において、透析液排出ラインL2から排出される透析液に不純物又は気泡が含有されているか否かを検出することができ、不純物や気泡が検出される状態(例えば、受光強度検出手段15の検出値が閾値Aを超えた状態)においては、洗浄が不十分であることが把握されるのである。
そして、検出手段12bによる不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、一連のプライミングが終了する。かかるプライミングが終了した後、コネクタa、bの連結を外すとともに、当該コネクタa、bに動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を取り付け、患者に穿刺して透析治療が行われることとなる。治療時においては、透析液排出ラインL2に配設された検出手段12bにより、透析液排出ラインL2を流れる透析液中の不純物の濃度を検出することにより、血液浄化効率を監視することができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係る血液浄化装置について説明する。
本実施形態に係る血液浄化装置は、第1〜3の実施形態と同様、血液透析治療を行うための透析装置から成り、図15に示すように、動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2から成る血液回路と、ダイアライザ3(血液浄化手段)と、しごき型の血液ポンプ4と、動脈側エアトラップチャンバ5と、静脈側エアトラップチャンバ6と、複式ポンプ7と、制御手段11と、検出手段12bと、連結ラインL9とから主に構成されている。なお、先の実施形態と同様の構成要素には、同一の符号を付し、それらの詳細な説明を省略する。
連結ラインL9は、基端が透析液導入ラインL1の採取ポート17に取り付けられて接続されるとともに、先端が動脈側血液回路1における電磁弁V1と血液ポンプ4との間の部位に接続されている。すなわち、連結ラインL9は、透析液導入ラインL1と動脈側血液回路1とを連結する流路から成り、当該連結ラインL9を介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路(動脈側血液回路1)に供給可能とされているのである。
本実施形態に係る連結ラインL9は、透析液導入ラインL1と動脈側血液回路1とを連結する流路とされているが、これに代えて、透析液導入ラインL1と静脈側血液回路2とを連結する流路、又は透析液排出ラインL2と動脈側血液回路1若しくは静脈側血液回路2とを連結する流路であってもよい。なお、本実施形態に係る連結ラインL9の先端側(動脈側血液回路1との接続部位近傍)には、流路を閉塞又は開放し得る電磁弁V10が配設されている。かかる電磁弁V10に代えて補液ポンプを配設してもよい。
本実施形態に係る血液浄化装置におけるプライミング方法について以下に説明する。
治療前のプライミング時、動脈側血液回路1の先端のコネクタaと静脈側血液回路2の先端のコネクタbとを接続して互いの流路を連通させるとともに、電磁弁V9を開状態としておく。そして、複式ポンプ7や血液ポンプ4等の駆動により、連結ラインL9を介して透析液導入ラインL1の透析液を血液回路に供給させて、当該血液回路及びダイアライザ3の血液流路αに対して透析液を充填させ、続いて、ダイアライザ3の透析液流路βに対しても透析液を充填させる。
なお、血液回路及びダイアライザ3の血液流路αに対する透析液の供給及び充填は、連結ラインL9を介して透析液を供給するものに限らず、例えばダイアライザ3の中空糸膜Mを逆濾過させた透析液を供給及び充填させるものとしてもよい。また、例えば動脈側血液回路1における血液ポンプ4と電磁弁V1との間にプライミング液としての生理食塩液を供給可能な収容バッグを備え、当該生理食塩液を血液回路に充填させるようにしてもよい。
その後、制御手段11の制御により、図16に示すように、電磁弁V3、V4、V10を開状態、その他の電磁弁(V1、V2、V5〜V7、V9)を閉状態とするとともに、複式ポンプ7を駆動させつつ血液ポンプ4を正転駆動(治療時と同一方向の駆動)させる。これにより、透析液導入ラインL1における透析液の一部(血液ポンプ4による流量分)が連結ラインL9を介して血液回路(動脈側血液回路1)に供給されることとなる。
すなわち、本実施形態においては、連結ラインL9を介して供給された透析液が血液回路に供給及び充填されるプライミング液とされるのである。しかるに、複式ポンプ7は、透析液導入ラインL1との接続部(吸入側)を流れる透析液と、透析液排出ラインL2との接続部(吐出側)を流れる透析液とが等量となるよう駆動される構成とされており、かつ、閉回路とされた血液回路内に透析液導入ラインL1側の透析液が供給されることにより、血液流路αが透析液流路βに対して正圧となる。
しかして、血液ポンプ4の正転駆動による流量と略等しい透析液が、ダイアライザ3の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して血液流路αから透析液流路βに濾過(正濾過)されることとなる。これにより、血液流路α及び透析液流路β内の保護剤に加え、ダイアライザ3の中空糸膜Mにおける微小な孔(ポア)内に充填されていた保護剤もプライミング液としての透析液と共に透析液排出ラインL2に排出して除去することができる。
上記の如き動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2に供給された透析液は、正濾過によって透析液排出ラインL2を介して排出されるのであるが、その排出される際、検出手段12bにて不純物及び気泡を検出し得るよう制御されている。すなわち、検出手段12bは、プライミング時の正濾過において、透析液排出ラインL2から排出される透析液に不純物又は気泡が含有されているか否かを検出することができ、不純物や気泡が検出される状態(例えば、受光強度検出手段15の検出値が閾値Aを超えた状態)においては、洗浄が不十分であることが把握されるのである。そして、検出手段12bによる不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、血液回路側及び透析液流路βのプライミングが終了することとなる。
なお、上記の如き正濾過が終了した後、図17に示すように、電磁弁V1〜V7、V9、V10の状態を維持しつつ血液ポンプ4を逆転駆動させることにより、ダイアライザ3の中空糸膜Mを介して透析液を逆濾過させるようにしてもよい。このとき、血液回路内のプライミング液(本実施形態においては透析液)が連結ラインL9を介して透析液導入ラインL1に供給されることとなる。
しかるに、複式ポンプ7は、透析液導入ラインL1との接続部(吸入側)を流れる透析液と、透析液排出ラインL2との接続部(吐出側)を流れる透析液とが等量となるよう駆動される構成とされており、かつ、閉回路とされた血液回路内の透析液が透析液導入ラインL1側に供給されることにより、透析液流路βが血液流路αに対して正圧となる。しかして、血液ポンプ4の逆転駆動による流量と略等しい透析液が、ダイアライザ3の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して透析液流路βから血液流路αに濾過(逆濾過)されることとなる。これにより、プライミング時、ダイアライザ3の中空糸膜Mにおける微小な孔(ポア)に対し、正濾過時とは逆方向の流れで透析液を流通させることができるので、当該微小な孔の洗浄をより確実に行わせることができる。
そして、正濾過及び逆濾過を繰り返し行わせ、検出手段12bによる不純物及び気泡の検出がない状態が所定時間継続したことを条件として、一連のプライミングが終了する。かかるプライミングが終了した後、コネクタa、bの連結を外すとともに、当該コネクタa、bに動脈側穿刺針及び静脈側穿刺針を取り付け、患者に穿刺して透析治療が行われることとなる。治療時においては、透析液排出ラインL2に配設された検出手段12bにより、透析液排出ラインL2を流れる透析液中の不純物の濃度を検出することにより、血液浄化効率を監視することができる。
なお、上記の如く正濾過工程及び逆濾過工程を行わせるものに限定されず、プライミング時、ダイアライザ3(血液浄化手段)の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して血液流路αから透析液流路βに透析液を濾過させる正濾過工程のみを行わせるものとし、ダイアライザ3(血液浄化手段)の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して透析液流路βから血液流路αに透析液を濾過させる逆濾過工程を行わせないものとしてもよい。
上記第1〜4の実施形態によれば、プライミング時、プライミング液(生理食塩液又は透析液)内の不純物を検出するので、プライミングによる血液回路(動脈側血液回路1及び静脈側血液回路2)及び血液浄化膜(中空糸膜M)の洗浄をより確実に行わせることができるとともに、プライミング液の使用量を適正とすることができる。さらに、検出手段(12a、12b、16)は、受光強度検出手段15で検出された受光強度に基づいて、プライミング液内の不純物に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出し得るので、プライミング液内の不純物の検出機能と気泡の検出機能とを兼ね備えさせることができ、プライミング内の不純物を検出するための手段と気泡を検出するための手段とをそれぞれを具備したものに比べ、装置構成を簡素化することができ、製造コスト及びメンテナンスコストを低下させることができる。
また、プライミング液に対して光を照射し得る発光手段13と、プライミング液を透過した発光手段13からの透過光を受け得る受光手段14と、受光手段14による受光強度を検出し得る受光強度検出手段15とを具備した検出手段(12a、12b、16)を有し、当該受光強度検出手段15により検出された受光強度に基づきプライミング液内の不純物を検出し得るので、より高精度な不純物の検出を行わせることができる。
特に、検出手段(12a、12b、16)における光学的検出(光の照射及び受光)によりプライミング液内の不純物を検出可能とされているので、不純物の検出精度を高めることができるとともに、流路を流動するプライミング液中の不純物を検出可能であることから、プライミング液の採取等が不要とされ、不純物の検出を容易かつ円滑に行わせることができる。
またさらに、上記実施形態における検出手段12bは、治療中、透析液排出ラインL2を流れる透析液中の不純物の濃度を検出し得るので、プライミング時においては、中空糸膜M(血液浄化膜)の洗浄を確認し得るとともに、治療時においては、中空糸膜M(血液浄化膜)にて血液から濾過された不純物の濃度に基づいて、透析効率を確認することができる。
また、第1、3の実施形態によれば、静脈側血液回路2に接続された静脈側エアトラップチャンバ6から延設され、当該静脈側血液回路2に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインL7を具備するとともに、検出手段12aは、当該オーバーフローラインL7に配設されたので、オーバーフローラインL7から排出されるプライミング液内の不純物を検出することができ、より確実に不純物を外部に排出させることができる。なお、検出手段12aが配設されるオーバーフローラインは、静脈側血液回路2に接続された静脈側エアトラップチャンバ6から延設されたものに限らず、動脈側血液回路1に接続された動脈側エアトラップチャンバ5から延設されたものであってもよい。
さらに、第1〜4の実施形態によれば、検出手段12bは、透析液排出ラインL2に配設されたので、透析液排出ラインL2を流れるプライミング液内の不純物を検出することができ、血液流路αに加え、透析液流路βの洗浄を確実に行わせることができる。特に、第4の実施形態によれば、プライミング時、ダイアライザ3の中空糸膜M(血液浄化膜)を介して血液流路αから透析液流路βに透析液を濾過させる正濾過工程を行わせる制御手段11を具備するとともに、検出手段12bは、当該正濾過工程時に透析液排出ラインL2を流れるプライミング液内の不純物を検出可能とされたので、中空糸膜M(血液浄化膜)に形成された孔(ポア)に充填された不純物も確実に除去することができ、中空糸膜Mの洗浄をより確実に行わせることができ、かつ、透析液排出ラインL2を介して不純物を確実に外部へ排出させることができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば検出手段(12a、12b、16)は、上記の如き透過型センサに限定されず、光を反射させる反射型センサとしてもよい。すなわち、検出手段(12a、12b、16)として、プライミング液に対して光を照射し得る発光手段と、プライミング液を反射した発光手段からの反射光を受け得る受光手段と、受光手段による受光強度を検出し得る受光強度検出手段とを具備し、当該受光強度検出手段により検出された受光強度に基づきプライミング液内の不純物を検出し得るものであってもよいのである。
さらに、検出手段(12a、12b、16)に代えて、光学的センサ以外のセンサ(例えば、浸透圧を検出し得るセンサ等)としてもよい。すなわち、プライミング液は、通常、血液と略程度の浸透圧である生理食塩液や透析液が使用されるのであるが、ダイアライザ3の中空糸膜Mに塗布される保護剤や血液浄化膜の製造又は滅菌工程で生じた溶出物や残留薬液等の不純物を含有していると、浸透圧が低下するので、当該浸透圧の低下を検出することにより、プライミング液内の不純物を検出することができるのである。
また、検出手段(12a、12b、16)は、オーバーフローラインL7又は透析液排出ラインL2に配設されるものに限定されず、プライミング液が流れる任意の流路に配設するようにしてもよい。さらに、本実施形態においては、血液浄化手段として中空糸膜Mを有したダイアライザ3とされているが、当該ダイアライザ3に限定されるものではなく、中空糸膜Mとは異なる血液浄化膜を有した他の形態の血液浄化手段としてもよい。
さらに、適用される血液回路は、動脈側血液回路1に動脈側エアトラップチャンバ5が接続されていないもの(すなわち、静脈側血液回路2のみに静脈側エアトラップチャンバ6が接続されたもの)、或いはT字管等の接続手段を介して種々の副ラインが接続されたもの等であってもよい。なお、本実施形態においては、透析治療時に用いられる血液透析装置に適用しているが、患者の血液を体外循環させつつ浄化し得る他の装置(例えば血液濾過透析法、血液濾過法、AFBFで使用される血液浄化装置、血漿吸着装置など)に適用してもよい。
血液浄化治療前に血液浄化手段の血液浄化膜には保護剤が塗布されており、当該治療前のプライミング時、血液回路及び血液浄化手段の血液流路と、血液浄化手段の透析液流路とにプライミング液を供給して充填可能とされた血液浄化装置及びそのプライミング方法において、プライミング時、プライミング液に含まれる不純物としての保護剤を検出し、その保護剤が検出されなくなったことを条件としてプライミングを終了させるものであれば、他の形態及び用途のものにも適用することができる。
1 動脈側血液回路
2 静脈側血液回路
3 ダイアライザ(血液浄化手段)
4 血液ポンプ
5 動脈側エアトラップチャンバ
6 静脈側エアトラップチャンバ
7 複式ポンプ
8 除水ポンプ
9a、9b 濾過フィルタ
10 収容手段
11 制御手段
12a、12b 検出手段
13 発光手段
14 受光手段
15 受光強度検出手段
16 検出手段
17 採取ポート
L1 透析液導入ライン
L2 透析液排出ライン
M 中空糸膜(血液浄化膜)
α 血液流路
β 透析液流路

Claims (16)

  1. 動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成るとともに、当該動脈側血液回路の先端から静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環させ得る血液回路と、
    該血液回路の動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて当該血液回路を流れる血液を浄化するとともに、血液を浄化するための血液浄化膜を介して患者の血液が流れる血液流路及び透析液が流れる透析液流路が形成された血液浄化手段と、
    前記血液浄化手段の透析液流路の入口及び出口に接続された透析液導入ライン及び透析液排出ラインと、
    を具備し、血液浄化治療前に前記血液浄化手段の血液浄化膜には保護剤が塗布されており、当該治療前のプライミング時、前記血液回路及び前記血液浄化手段の血液流路と、前記血液浄化手段の透析液流路とにプライミング液を供給して充填可能とされた血液浄化装置において、
    プライミング時、プライミング液に含まれる不純物としての前記保護剤を検出可能な検出手段を具備し、当該検出手段により前記保護剤が検出されなくなったことを条件としてプライミングを終了させる制御が行われることを特徴とする血液浄化装置。
  2. 前記検出手段は、
    前記プライミング液に対して光を照射し得る発光手段と、
    前記プライミング液を透過又は反射した前記発光手段からの透過光又は反射光を受け得る受光手段と、
    前記受光手段による受光強度を検出し得る受光強度検出手段と、
    を具備し、当該受光強度検出手段により検出された受光強度に基づきプライミング液内の前記保護剤を検出し得ることを特徴とする請求項1記載の血液浄化装置。
  3. 前記検出手段は、前記受光強度検出手段で検出された受光強度に基づいて、前記プライミング液内の前記保護剤に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出し得ることを特徴とする請求項2記載の血液浄化装置。
  4. 前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローラインに配設されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置。
  5. 前記検出手段は、当該透析液排出ラインに配設されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の血液浄化装置。
  6. プライミング時、前記血液浄化手段の血液浄化膜を介して前記血液流路から透析液流路にプライミング液として透析液を濾過させる正濾過工程を行わせる制御手段を具備するとともに、前記検出手段は、当該正濾過工程時に前記透析液排出ラインを流れるプライミング液内の前記保護剤を検出可能とされたことを特徴とする請求項5記載の血液浄化装置。
  7. 前記検出手段は、治療中、前記透析液排出ラインを流れる透析液中の不純物の濃度を検出し得ることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の血液浄化装置。
  8. 前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローライン又は前記血液回路と、前記透析液排出ラインとにそれぞれ配設されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の血液浄化装置。
  9. 動脈側血液回路及び静脈側血液回路から成るとともに、当該動脈側血液回路の先端から静脈側血液回路の先端まで患者の血液を体外循環させ得る血液回路と、
    該血液回路の動脈側血液回路及び静脈側血液回路の間に介装されて当該血液回路を流れる血液を浄化するとともに、血液を浄化するための血液浄化膜を介して患者の血液が流れる血液流路及び透析液が流れる透析液流路が形成された血液浄化手段と、
    前記血液浄化手段の透析液流路の入口及び出口に接続された透析液導入ライン及び透析液排出ラインと、
    を具備し、血液浄化治療前に前記血液浄化手段の血液浄化膜には保護剤が塗布されており、当該治療前のプライミング時、前記血液回路及び前記血液浄化手段の血液流路と、前記血液浄化手段の透析液流路とにプライミング液を供給して充填可能とされた血液浄化装置のプライミング方法において、
    プライミング時、プライミング液に含まれる不純物としての前記保護剤を検出し、当該保護剤が検出されなくなったことを条件としてプライミングを終了させることを特徴とする血液浄化装置のプライミング方法。
  10. 前記血液浄化装置は、
    前記プライミング液に対して光を照射し得る発光手段と、
    前記プライミング液を透過又は反射した前記発光手段からの透過光又は反射光を受け得る受光手段と、
    前記受光手段による受光強度を検出し得る受光強度検出手段と、
    を具備した検出手段を有し、当該受光強度検出手段により検出された受光強度に基づきプライミング液内の前記保護剤を検出することを特徴とする請求項9記載の血液浄化装置のプライミング方法。
  11. 前記検出手段は、前記受光強度検出手段で検出された受光強度に基づいて、前記プライミング液内の前記保護剤に加えて、当該プライミング液内の気泡を検出することを特徴とする請求項10記載の血液浄化装置のプライミング方法。
  12. 前記血液浄化装置は、前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローラインに配設されたことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の血液浄化装置のプライミング方法。
  13. 前記検出手段は、当該透析液排出ラインに配設されたことを特徴とする請求項10〜12の何れか1つに記載の血液浄化装置のプライミング方法。
  14. 前記血液浄化装置は、プライミング時、前記血液浄化手段の血液浄化膜を介して前記血液流路から透析液流路にプライミング液として透析液を濾過させる正濾過工程を行わせる制御手段を具備するとともに、前記検出手段は、当該正濾過工程時に前記透析液排出ラインを流れるプライミング液内の前記保護剤を検出することを特徴とする請求項13記載の血液浄化装置のプライミング方法。
  15. 前記検出手段は、治療中、前記透析液排出ラインを流れる透析液中の不純物の濃度を検出することを特徴とする請求項13又は請求項14記載の血液浄化装置のプライミング方法。
  16. 前記動脈側血液回路又は静脈側血液回路に接続された動脈側エアトラップチャンバ又は静脈側エアトラップチャンバから延設され、当該動脈側血液回路又は静脈側血液回路に供給されたプライミング液を外部に排出し得るオーバーフローラインを具備するとともに、前記検出手段は、当該オーバーフローライン又は前記血液回路と、前記透析液排出ラインとにそれぞれ配設されたことを特徴とする請求項10又は請求項11記載の血液浄化装置のプライミング方法。
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