JP5929328B2 - 金属帯の圧延方法 - Google Patents
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Description
このような規制は工程管理を複雑化するばかりでなく、圧延ラインより上流の加熱炉の操業をも規制するなど、大きな障害となっていた。このため、板幅や板厚の異なった製品をランダムに生産する、いわゆるスケジュールフリーの圧延が要請されていた。
なお、圧延荷重によるロールの撓みを補償する機構としてワークロールクロスやベンダーがあるが、これらは摩耗や熱膨張のような幅方向に不均一なプロフィルを制御することはできない。
すなわち本発明は以下の手段を採用する。
[1]金属帯の圧延ラインにて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構および上下ワークロールをクロスするクロス機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延サイクル内で一定とした被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、シフト移動方向を反転する折り返し位置とを仮定して、該シフト位置変更量と該折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、被圧延材とワークロールの接触部分におけるワークロールプロフィルの予測計算値とワークロールプロフィル目標値との誤差を求め、該誤差を当該圧延サイクルの全被圧延材について合計した値を求め、こうして求まる値同士を比較して、この値が最小となる組み合せのシフト位置変更量と折り返し位置とを、それぞれ、圧延サイクルにおける、一定の被圧延材1本毎のシフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置と決定し、次いで各被圧延材について予測ワークロールプロフィル、予測圧延荷重および目標板幅からワークロールのクロス角を決定することを特徴とする金属帯の圧延方法。
[2]金属帯の圧延ラインにて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構および上下ワークロールをクロスするクロス機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延サイクル内で一定とした被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、シフト移動方向を反転する折り返し位置とを仮定して、該シフト位置変更量と該折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、ワークロールプロフィルの予測計算値と目標値との差から求まる評価関数J1を式(1)に基づいて被圧延材幅方向の1点以上の評価点について計算し、次いでJ1をすべての評価点について式(2)に基づいて合計して評価関数J2を求め、さらに圧延サイクル内の全被圧延材について式(3)に基づいて合計して評価関数J3を求め、このようにして得られたJ3同士を比較して、J3が最小となる組み合わせのシフト位置変更量と折り返し位置とを、それぞれ、圧延サイクルにおける、一定の被圧延材1本毎のシフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置と決定し、次いでワークロールのクロス角を式(4)に基づき決定して、圧延することを特徴とする金属帯の圧延方法。
[3]圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量に上限を設けることを特徴とする[1]または[2]に記載の金属帯の圧延方法。
[4]前記ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構および上下ワークロールをクロスするクロス機構を備えた圧延機がタンデム圧延機の1つ以上のスタンドに設けられていることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の金属帯の圧延方法。
本発明では、予め設定した圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、被圧延材1本毎のシフト位置変更量(シフトピッチ)を一定とし、シフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置を例えば乱数表を用いて仮定し、このように定められたシフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、各組合わせ毎に、ワークロールプロフィルの目標値と予測計算値から決まる評価関数を、被圧延材幅方向の1点以上の評価点すべてについて計算し、次いで、これを全評価点について合計し、1本の被圧延材について評価関数の値を求める。さらに、このように合計して求められた各被圧延材についての評価関数の値を当該圧延サイクルの全被圧延材について合計する。
次いで各被圧延材圧延時のワークロールのクロス角をワークロールプロフィルの予測計算値、予測圧延荷重、目標板幅に応じて決定する。
本発明の評価関数の計算手法は以下のステップ1〜5からなる。
(ステップ1)
被圧延材の幅方向に1点以上の評価点A、B、C・・・を定め、各評価点について、ワークプロフィルの予測値と目標値とから下記の式(1)に基づいて被圧延材1本についての評価関数J1を計算する。
評価点は、例えば、図1のA(最板端から25mm)、B(同50mm)、C(同75mm)、D(同100mm)、E(同150mm)、F(同200mm)という具合に、板幅方向の1点以上に仮定する。
上記評価点の最板端からの距離についても具体的な数値はあくまで一例であり、本発明は、ここでの例に一義的に限定するものではない。
評価点A、B、C・・・の全てについて下記の式(2)に基づいて式(1)の評価関数を合計して評価関数J2を求める。
圧延サイクルにおける全被圧延材について、下記の式(3)に基づいて式(2)の評価関数を合計して評価関数J3を求める。
このようにして、シフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、このJ3を求める。
ここで、予め設定した圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、被圧延材1本毎のシフト位置変更量(シフトピッチ)を一定とし、該シフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置は、例えば乱数表を用いて仮定し、このように定められたシフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置とについてJ1〜J3を求める。
なお、シフト移動方向を反転する折り返し位置は、シフト移動しないときのワークロールの軸方向中心位置を基準とすればよい。
シフト位置変更量とワークロールのシフト移動方向を反転する折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて求められた、全被圧延材についての式(3)のJ3の値同士を比較して、その中で最も小さい場合の、シフト位置変更量とシフト移動方向の折り返し位置とを当該圧延サイクルのものとして決定する。
圧延サイクルにおける全圧延材のワークロールのシフト位置とシフト移動方向を反転する折り返し位置とを決定した後に、各被圧延材のワークロールプロフィル予測計算値、予測荷重および予測板幅に応じて、下記の式(4)に基づきワークロールのクロス角を決定する。
ここでC1,C2,C3はそれぞれ板幅、圧延荷重、ワークロールプロフィルの影響係数であり、圧延機出側目標クラウンに応じて決定すればよい。
ステップ1のワークロールプロフィルの目標値と予測値については、以下のように求める。
ワークプロフィルの目標値は、図1に示すように、被圧延材上の駆動側(ドライブサイド)と被駆動側(ワークサイド)の各評価点、例えばA〜F点と接するワークロール箇所のワークロール半径の平均と、ワークロールの胴長中央のワークロール半径との差を下記の式(5)に基づいて計算し、上下ワークロールについて合計して求める。ワークロールプロフィルの胴長中央と左右両評価点A〜Fを放物線や楕円などの2次曲線で結ぶように設定するのが好ましい。
例えば、ワークロールの熱膨張については、下記の式(6)に基づいて、また、摩耗量については下記の式(7)に基づいて予測計算しすることができる。そして、ワークロールプロフィルは、両者を合計して、下記の式(8)に基づいて予測計算値することができる。
実施例1ではF1〜F7スタンドのすべての圧延機がロールクロス機構とワークロールシフト機構を備えている。
実施例2では7スタンドのうち、後段のF4〜F7のスタンドの圧延機がロールクロス機構とワークロールシフト機構を備えている。
ワークロールシフト機構とワークロールクロス機構を備えた圧延機をF1〜F7として7スタンド有する熱間圧延ラインにて本発明を実施した。ロールクロスはワークロールとバックアップロールが一緒に動くペアクロスタイプである。圧延機の設備仕様を表2に示す。
評価点は被圧延材の板端から25mm、75mm、150mmの片側3点とした。
圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、ワークロールの軸方向中心位置からシフト移動方向を反転する折り返し位置を、乱数表を用いて仮定して評価関数を求め、逐次圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、ワークロールの軸方向中心位置からシフト移動方向を反転する折り返し位置を、乱数表を用いて仮定して評価関数J3を求め、このようにして求めた評価関数J3が最小となるときの、圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、ワークロールの軸方向中心位置からシフト移動方向を反転する折り返し位置を決定した。
被圧延材の厚みプロフィルの評価は板幅が1本前の被圧延材よりも約220mm広がる51本目にて行った。
また、従来技術との比較を行うため図3に示されるものとほぼ同じ板厚−板幅の圧延サイクルにおいて、従来のサイクリックシフト法によりシフトピッチおよびシフト移動方向の折り返し点を一定として圧延を行ったものを従来例とした。
本発明法により決定されるシフトピッチは23mmであった。従来例ではシフトピッチ15mmとした。
前段のF1〜F3スタンドには通常の圧延機であり、後段のF4〜F7スタンドにはロールクロス機構とワークロールシフト機構を備えた7スタンドの熱間圧延ラインにて本発明を実施した。ロールクロスはワークロールとバックアップロールが一緒に動くペアクロスタイプである。圧延機の設備仕様を表3に示す。
評価点は被圧延材の板端から50mm、100mm、150mm、200mmの4点とした。圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、ワークロールの軸方向中心位置からシフト移動方向を反転する折り返し位置を、乱数表を用いて仮定して評価関数を求め、逐次圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、ワークロールの軸方向中心位置からシフト移動方向を反転する折り返し位置を、乱数表を用いて仮定して評価関数J3を求め、このようにして求めた評価関数J3が最小となるときの、圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、ワークロールの軸方向中心位置からシフト移動方向を反転する折り返し位置とを決定した。
また、従来技術との比較を行うため図6とほぼ同じ板厚−板幅構成のサイクルにて、従来のサイクリックシフト法によりシフトピッチおよびシフト移動方向の折り返し点を一定として圧延を行ったものを従来例とした。
本発明法により決定されるシフトピッチは19mmである。従来例ではシフトピッチ15mmとした。
図8は80本目の板厚プロフィルであるが、従来例では約10μmの逆クラウンプロフィルとなっているのに対し、本発明では逆クラウンは生じておらず良好なクラウンプロフィルとなっていることが確認できた。また80本目以外のクラウンプロフィルについても異常プロフィルや形状不良は生じなかった。
Claims (4)
- 金属帯の圧延ラインにて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構および上下ワークロールをクロスするクロス機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延サイクル内で一定とした被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、シフト移動方向を反転する折り返し位置とを仮定して、該シフト位置変更量と該折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、
被圧延材とワークロールの接触部分におけるワークロールプロフィルの予測計算値とワークロールプロフィル目標値との誤差を求め、該誤差を当該圧延サイクルの全被圧延材について合計した値を求め、こうして求まる値同士を比較して、この値が最小となる組み合せのシフト位置変更量と折り返し位置とを、それぞれ、圧延サイクルにおける、一定の被圧延材1本毎のシフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置と決定し、次いで各被圧延材について予測ワークロールプロフィル、予測圧延荷重および目標板幅からワークロールのクロス角を決定することを特徴とする金属帯の圧延方法。 - 金属帯の圧延ラインにて、ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構および上下ワークロールをクロスするクロス機構を備えた圧延機を用いて被圧延材を圧延するに際し、
圧延サイクルにて圧延予定の全被圧延材について、圧延サイクル内で一定とした被圧延材1本毎のシフト位置変更量と、シフト移動方向を反転する折り返し位置とを仮定して、該シフト位置変更量と該折り返し位置との可能な組み合わせすべてについて、
ワークロールプロフィルの予測計算値と目標値との差から求まる評価関数J1を下記の式(1)
このようにして得られたJ3同士を比較して、J3が最小となる組み合わせのシフト位置変更量と折り返し位置とを、それぞれ、圧延サイクルにおける、一定の被圧延材1本毎のシフト位置変更量とシフト移動方向を反転する折り返し位置と決定し、
次いでワークロールのクロス角を下記の式(4)
圧延することを特徴とする金属帯の圧延方法。 - 圧延サイクル内で一定である被圧延材1本毎のシフト位置変更量に上限を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の金属帯の圧延方法。
- 前記ワークロールを軸方向にシフトするシフト機構および上下ワークロールをクロスするクロス機構を備えた圧延機がタンデム圧延機の1つ以上のスタンドに設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属帯の圧延方法。
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