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JP5926609B2 - 水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタール - Google Patents

水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタール Download PDF

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Description

本発明は、残存金属成分量が少ない水溶性のポリビニルアセタールを容易に製造することができる水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタールに関する。
ポリビニルアセタールは、造膜性、顔料分散性、塗布面への接着性、アルコール可溶性等に優れた性質を有することから、塗料及びインク分野においてバインダー樹脂として用いられている。また、可塑剤を配合することにより高い柔軟性と耐貫通性とを発揮できることから、合わせガラス用中間膜用の樹脂としても使用されている。更に、アセタール化度、残存アセチル基量及び残存水酸基量を制御することにより、様々の性質を付与することができることから、その応用範囲は拡大しつつある。
例えば、20〜30モル%程度の比較的低いアセタール化度に調整したポリビニルアセタールは、透明性、耐湿性、電気絶縁性に優れ、水溶性であるという極めてユニークな性質を有している。このような性質を利用して、積層セラミックコンデンサ用バインダー樹脂等の電子材料用接着剤としての用途が検討されている(例えば、特許文献1等)。
ポリビニルアセタールは、酸触媒の存在下で、ポリビニルアルコールとアルデヒドとをアセタール化反応させることより製造される。この際、水酸化ナトリウム等のアルカリ中和剤を使用するため、得られたポリビニルアセタール中には、未反応のアルカリ中和剤や、アルカリ中和剤と酸触媒とが反応して生成した金属塩等に由来する金属成分が残存する。このような残存金属成分、特にアルカリ金属成分は、ポリビニルアセタールの特性である透明性、耐湿性、電気絶縁性等の諸性能を損なわせ、積層型セラミックコンデンサ用バインダー等の電子材料用接着剤に用いた場合に品質上の問題を引き起こすことがあった。また、顔料用のバインダーとして用いられる場合にも、顔料の分散を阻害するという問題があった。
通常のポリビニルアセタールの製造方法では、アセタール化反応後に水性媒体中に析出してきたポリビニルアセタールを水洗することにより、ある程度は残存金属成分を除去することが可能である。しかしながら、アセタール化度が20〜30モル%の水溶性ポリビニルアセタールでは、アセタール化反応後にも樹脂が水性媒体中に析出しないことから、残存金属成分を除去することが極めて困難となる。例えば、透析等の精製方法により精製する方法も考えられるが、大掛かりな装置が必要となり、製造コストも圧迫されることから、工業レベルでは実用的ではなかった。
特開平5−295016号公報
本発明は、残存金属成分量が少ない水溶性のポリビニルアセタールを容易に製造することができる水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタールを提供することを目的とする。
本発明は、アセタール化度が20〜30モル%であり、かつ、残存金属成分量が120ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールを製造する方法であって、ポリビニルアルコール、アルデヒド、及び、塩化水素換算で500ppm以下の酸触媒を溶媒に溶解した混合溶液を、前記溶媒及びアルデヒドの沸点以上の温度、大気圧以上の圧力の条件下で反応させる工程を有し、前記ポリビニルアルコールに対して、理論反応量の1.0〜1.2当量のアルデヒドを用い、かつ、アルカリ中和剤による中和工程を有しない水溶性ポリビニルアセタールの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとのアセタール化反応の反応条件等を検討したところ、一定の条件下で反応させた場合には、酸触媒を従来考えられていた量よりも大幅に低減、又は、全く酸触媒を配合しなくとも、充分にアセタール化反応を進められることを見出した。そして、このように酸触媒濃度が低い条件で反応させた場合には、アルカリ中和剤による中和工程を行う必要がなく、従ってアルカリ中和剤に起因する残存金属成分が極めて少ない水溶性ポリビニルアセタールを製造できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法は、ポリビニルアルコールとアルデヒドとを溶媒に配合した混合溶液を、一定の条件下で反応させる工程を有する。
上記ポリビニルアルコールとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルをアルカリ、酸、アンモニア水等によりけん化することにより製造された樹脂等の、従来公知のポリビニルアルコールを用いることができる。
上記ポリビニルアルコールは、完全けん化されていてもよいが、少なくとも主鎖の1カ所にメソ、ラセミ位に対して2連の水酸基を有するユニットが最低1ユニットあれば、完全けん化されている必要はなく、部分けん化ポリビニルアルコールであってもよい。
また、上記ポリビニルアルコールとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体等の、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとビニルアルコールとの共重合体も用いることができる。
上記ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
上記ポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルをけん化する際に用いた酢酸ナトリウム等のアルカリに由来する金属成分が含まれていることがある。特に金属成分量の少ない水溶性ポリビニルアセタールを得るためには、金属成分量の少ないポリビニルアルコールを原料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、ソックスレー抽出器を用いて、メタノールを洗浄溶媒として洗浄することにより、不純物として含まれる酢酸ナトリウム等の金属成分を除去したポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
上記アルデヒドは、例えば、炭素数1〜19の直鎖状、分枝状、環状飽和、環状不飽和、又は、芳香族のアルデヒド等が挙げられる。具体的には例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオニルアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクロヘキシルアルデヒド等が挙げられる。上記アルデヒドは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、上記アルデヒド化合物はホルムアルデヒドを除き、1以上の水素原子がハロゲン等により置換されたものであってもよい。
上記ポリビニルアルコールに対する上記アルデヒドの配合量は、ポリビニルアルコールに対して理論反応量の1.0〜1.2当量であることが好ましい。上記アルデヒドの配合量をこの範囲とすることにより、アセタール化度が20〜30モル%である水溶性ポリビニルアセタールを得ることができる。上記アルデヒドの配合量が1.0当量未満であると、充分にアセタール化反応が進まずに、所期のアセタール化度を有する水溶性ポリビニルアセタールを得られないことがあり、1.2当量を超えると、30モル%超えてアセタール化が進んだポリビニルアセタールが析出してくることがある。上記アルデヒドの配合量のより好ましい上限は1.1当量である。
上記溶媒としては、例えば、水、アルコール又はその混合媒体を用いることができる。
上記混合溶液には、塩化水素換算で500ppm以下の酸触媒を配合する。本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法では、混合溶液を一定の条件下で反応させることから、酸触媒の配合量が500ppm以下であっても充分にアセタール化反応が進行する。上記酸触媒の配合量は塩化水素換算で100ppm以下であることがより好ましい。ブチルアルデヒドやアセトアルデヒド等の比較的反応しやすいアルデヒドを用いる場合には、酸触媒を配合しなくとも反応を進めることができる。
上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸等が挙げられる。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法では、上記混合溶液を、上記溶媒及びアルデヒドの沸点以上の温度、大気圧以上の圧力の条件下で反応させる。このような高温条件下で反応させることにより、酸触媒の配合量が500ppm以下であっても充分にアセタール化反応を進行させることができる。
上記混合溶液の反応時の温度は上記溶媒及びアルデヒドの沸点以上であるが、具体的には100℃以上であることが好ましい。上記混合溶液を反応させる温度が100℃未満であると、反応が充分に進まず、アセタール化度が20〜30モル%であるポリビニルアセタール系樹脂が得られないことがある。上記混合溶液を反応させる温度のより好ましい下限は110℃である。
上記混合溶液の反応時の温度の好ましい上限は200℃である。反応時の温度が200℃を超えると、アルデヒドの縮合反応によって分子内に共役二重結合を有する副生成物が発生し、樹脂が着色する原因となったり、原料であるポリビニルアルコールの脱水反応が起こって分子内に共役二重結合を有する構造が発生し、得られるポリアセタール樹脂に着色が生じたり、樹脂の劣化が発生して得られる水溶性ポリビニルアセタールの重合度が低下してしまうことがある。上記混合溶液を反応させる温度のより好ましい上限は180℃である。
上記混合溶液の反応時の圧力は大気圧以上であるが、具体的には0.1MPa以上であることが好ましい。上記混合溶液を反応させる圧力が0.1MPa未満であると、反応が充分に進まず、アセタール化度が20〜30モル%であるポリビニルアセタール系樹脂が得られないことがある。上記混合溶液を反応させる圧力のより好ましい下限は0.12MPaである。
上記混合溶液を反応させる圧力の好ましい上限は3MPaである。反応時の圧力が3MPaを超えると、製造に必要な装置に高い耐圧設計が必要となり、実質的に製造装置を製造することが困難となることがある。上記混合溶液を反応させる圧力のより好ましい上限は2.8MPaである。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法では、アルカリ中和剤による中和工程は行わない。上述のように本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法では、酸触媒の配合量を最小限に抑えることにより、中和工程を行わずとも長期保存時の脱アセタール化による品質の低下、加熱条件での樹脂の黄変、劣化による重合度の低下等の不具合は発生しない。
残存金属成分の原因となるアルカリ中和剤による中和工程を不要とすることにより、本願発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法によれば、残存金属成分量が少ない水溶性ポリビニルアセタールを容易に製造することができる。
本発明のビニルアセタール樹脂の製造方法は、例えば、図1に示したような回分式反応装置を用いて行うことができる。
図1の回分式反応装置は、反応部3に対して、原料タンクA1と原料タンクB2とが耐圧性のラインで接続されており、例えば、原料タンクA1には原料となるビニルアルコール系樹脂を、原料タンクB2には原料となるアルデヒドを貯留する。原料タンクA1と反応部3とを結ぶ耐圧性のライン上には、スラリーポンプ8とバルブA4とが配置されている。原料タンクB2と反応部3とを結ぶ耐圧性のライン上には、高圧液送ポンプ9とバルブB5とが配置されている。反応部3には、反応容器内圧力計15が取り付けられている。また、反応部3には、反応の状況を目視にて確認するための反応容器サイドグラス17が取り付けられている。更に反応部3には、反応部撹拌機10と反応部加熱ヒーター7とが設置されている。
一方、反応部3は、バルブC6が配置された耐圧性のラインで回収タンク11に接続されている。回収タンク11には、冷却器13が配置されており、反応後の混合溶液を速やかに冷却できる。また、回収タンク11の内部はメッシュ12で画分されており、固形状の不純物(例えば、生成した粒子状の樹脂)を、生成した水溶性ポリビニルアセタールから分離できる。また、回収タンク11には、回収タンク圧力計16が取り付けられている。圧力調整弁14を開放することにより、生成した水溶性ポリビニルアセタールを含む液を回収タンク11から排出できる。
図1の回分式反応装置を用いた本発明の水溶性ビニルアセタール樹脂の製造方法では、まず原料となるビニルアルコール系樹脂を水等の適当な媒体に溶解又は懸濁させた流体を原料タンクA1に投入する。この原料流体をスラリーポンプ8を反応部3に送液し、バルブA4を閉じた後、撹拌、加熱して、系内の温度、圧力を所定の温度、圧力とする。
一方、原料となるアルデヒドを原料タンクB2に投入し、バルブB5を閉じた状態で高圧液送ポンプ9で送液することにより、アルデヒドを所定の温度、圧力にまで加熱、加圧する。バルブB5を開いて加熱、加圧されたアルデヒドを、ビニルアルコール系樹脂が投入された反応部3に導き、系内の温度、圧力を所定の温度、圧力に保った状態で撹拌することにより、アセタール化反応を進める。
図1の回分式反応装置を用いた本発明のビニルアセタール樹脂の製造方法では、バルブC6を開いて、反応後の混合溶液を回収タンク11中に投入する。冷却器13により回収タンク11中の反応後の混合溶液を冷却することにより、混合溶液の圧力を大気圧付近にまで低下させることができる。その後、圧力調整弁14を開放することにより、生成した水溶性ポリビニルアセタールを含む液を回収することができる。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法によれば、残存金属成分量が少ない水溶性ポリビニルアセタールを容易に製造することができる。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法で製造された、アセタール化度が20〜30モル%であり、かつ、残存金属成分量が120ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールもまた、本発明の1つである。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールは、アセタール化度が20〜30モル%である。この範囲内であると、成型したフィルムが柔軟かつ高強度というポリビニルアセタール本来の性能と、水溶性とを両立することができ、積層型セラミックコンデンサ用バインダー等の電子材料用接着剤に好適に用いることができる。
なお、上記アセタール化度は、13C−NMRを用いて測定することができる。また、上記アセタール化度を求めるときは、アセタール基をアセタール化された2つの水酸基として数える。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの重合度は、好ましい下限が150、好ましい上限が3300である。上記水溶性ビニルアセタール樹脂の重合度が150未満であると、フィルムに成形した際の強度が低下したりすることがある。上記水溶性ビニルアセタール樹脂の重合度が3300を超えると、熱溶融粘度が高くなりすぎて成形性が悪くなることがある。上記水溶性ビニルアセタール樹脂の重合度のより好ましい下限は300、より好ましい上限は2700である。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールは、残存金属成分量が120ppm以下である。
従来の製造方法により製造された水溶性ポリビニルアセタールは、残存金属成分量の低減が困難であり、数百〜数千ppmの残存金属成分を含んでいた。このような従来の水溶性ポリビニルアセタールは、残存金属成分が原因となって保存中に電気絶縁性等が著しく変化してしまうことから、積層型セラミックコンデンサ用バインダー等の電子材料用接着剤用途への応用が困難であった。
これに対して、残存金属成分量が120ppm以下である本発明の水溶性ポリビニルアセタールでは、このような保管中の電気絶縁性等の変化がほとんどないことから、積層型セラミックコンデンサ用バインダー等の電子材料用接着剤用途にも好適に用いることができる。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの残存金属成分量の好ましい上限は110ppm、更に好ましい上限は10ppmである。
本発明によれば、残存金属成分量が少ない水溶性のポリビニルアセタールを容易に製造することができる水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタールを提供することができる。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法に好適な回分式反応装置を示す模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す回分式反応装置を用いて水溶性ポリビニルアセタール系樹脂を製造した。
ポリビニルアルコール(重合度650、けん化度88モル%、不純物として酢酸ナトリウム分を0.4重量%含む)15g、水140g、1.0M塩酸0.78mL(塩化水素換算で、最終全形の500ppmの量)を原料タンクA1に投入し、バルブA4を開けて、スラリーポンプ8で容積200mLの耐圧性の反応部3に全量投入した後、バルブA4を閉めた。反応部加熱ヒーター7により反応部3を130℃で1時間加熱した。このとき反応部3内の圧力は0.25MPaとなった。サイドグラスより内部の様子を確認すると、ポリビニルアルコールが溶解していることが確認された。
ブチルアルデヒドを原料タンクB2に投入し、加圧ポンプにて流速10g/分で耐圧性のラインに投入し、圧力が0.4MPaとなったところでバルブB5を開放し、2.4gのアルデヒドを反応部3に送り込み、バルブB5を閉めた。このとき、反応部3内の圧力は0.35MPaとなった。
1時間攪拌しながら反応を行った後、バルブC6を開放し、反応後の混合溶液を回収タンク11に投入した。混合溶液が全て落ちきった後にバルブC6を閉め、冷却器13を用いて回収タンク11を冷却し、回収タンク圧力計16が0MPaを示したことを確認した後、圧力調整弁14を開放して、水溶性ポリビニルアセタールを含む透明な樹脂溶液を回収した。得られた樹脂溶液をポリチエレンフィルム上に流延し、乾燥させて、透明な樹脂フィルムを得た。
(実施例2)
ポリビニルアルコール(重合度650、けん化度88モル%、不純物として酢酸ナトリウム分を0.4重量%含む)を、ソックスレー抽出器を用いて、メタノールを洗浄溶媒として3時間洗浄し、不純物として含まれる酢酸ナトリウム分をNMRで検出できない程度まで除去した。
得られた精製ポリビニルアルコールを原料として用い、かつ、塩酸を加えなかった以外は実施例1と同様にして、水溶性ポリビニルアセタールを含む樹脂溶液を回収し、樹脂フィルムを得た。
(実施例3)
ブチルアルデヒドの代わりにアセトアルデヒド1.75gを加えたこと以外は実施例1と同様と同様にして、水溶性ポリビニルアセタールを含む樹脂溶液を回収し、樹脂フィルムを得た。
(実施例4)
反応時の温度を180℃、圧力を1.1MPaとした以外は実施例1と同様にして、水溶性ポリビニルアセタールを含む樹脂溶液を回収し、樹脂フィルムを得た。
(比較例1)
ポリビニルアルコール(重合度650、けん化度88モル%、不純物として酢酸ナトリウム分を0.4重量%含む)200gと水1600gとを耐圧装備のない通常のガラス製の容量5Lのセパラブルフラスコに入れ、90℃、2時間攪拌して溶解して溶液を調製した。得られた溶液を45℃に冷却し、35重量%濃度の塩酸50gを加え、35℃まで冷却した。次に、純度99%のブチルアルデヒド30gを2時間かけて滴下し、35℃で3時間反応させたところ、白濁した反応混合物が得られた。
得られた反応混合物を20℃まで冷却し、攪拌下において10重量%の水酸化ナトリウム水溶液192gを加えて中和し、透明な樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液をポリチエレンフィルム上に流延し、乾燥させて、透明な樹脂フィルムを得た。
(参考例)
ブチルアルデヒドの配合量を4.6gにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により反応を行った。しかしながら、反応部3内部で高アセタール化されたポリビニルアセタールが水に不溶化して析出したため、溶液の状態で取り出すことができなかった。
(評価)
実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂フィルムについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
(1)アセタール化度の測定
得られた樹脂フィルムをDMSO−dに溶解し、13C−NMRを用いてアセタール化度を測定した。
(2)残存金属成分量(残留ナトリウム分量)の測定
得られた樹脂フィルム1.0gを、イオン分を含まない超純水(抵抗値が18MΩ以上)8.04gに加え、95度で1時間加熱することにより完全に溶解させた。得られた溶液を原子吸光光度計(サーモサイエンティフィック社、iCE3400)を用いてナトリウム分を測定した。
Figure 0005926609
本発明によれば、残存金属成分量が少ない水溶性のポリビニルアセタールを容易に製造することができる水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタールを提供することができる。
1 原料タンクA
2 原料タンクB
3 反応部
4 バルブA
5 バルブB
6 バルブC
7 反応部加熱ヒーター
8 スラリーポンプ
9 高圧液送ポンプ
10 反応部攪拌機
11 回収タンク
12 メッシュ
13 冷却器
14 圧力調整弁
15 反応容器内圧力計
16 回収タンク圧力計
17 反応容器サイドグラス

Claims (1)

  1. アセタール化度が20〜30モル%であり、かつ、残存金属成分量が120ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールを製造する方法であって、
    ポリビニルアルコール、アルデヒド、及び、塩化水素換算で500ppm以下の酸触媒を溶媒に溶解した混合溶液を、前記溶媒及びアルデヒドの沸点以上の温度、大気圧以上の圧力の条件下で反応させる工程を有し、
    前記ポリビニルアルコールに対して、理論反応量の1.0〜1.2当量のアルデヒドを用い、かつ、
    アルカリ中和剤による中和工程を有しない
    ことを特徴とする水溶性ポリビニルアセタールの製造方法。
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