JP5926609B2 - 水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタール - Google Patents
水溶性ポリビニルアセタールの製造方法及び水溶性ポリビニルアセタール Download PDFInfo
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例えば、20〜30モル%程度の比較的低いアセタール化度に調整したポリビニルアセタールは、透明性、耐湿性、電気絶縁性に優れ、水溶性であるという極めてユニークな性質を有している。このような性質を利用して、積層セラミックコンデンサ用バインダー樹脂等の電子材料用接着剤としての用途が検討されている(例えば、特許文献1等)。
以下に本発明を詳述する。
上記ポリビニルアルコールとしては、例えば、ポリ酢酸ビニルをアルカリ、酸、アンモニア水等によりけん化することにより製造された樹脂等の、従来公知のポリビニルアルコールを用いることができる。
また、上記ポリビニルアルコールとしては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体等の、ビニルアルコールと共重合可能なモノマーとビニルアルコールとの共重合体も用いることができる。
上記ポリ酢酸ビニル系樹脂は、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
上記酸触媒としては、例えば、塩酸、硝酸等が挙げられる。
上記混合溶液の反応時の温度の好ましい上限は200℃である。反応時の温度が200℃を超えると、アルデヒドの縮合反応によって分子内に共役二重結合を有する副生成物が発生し、樹脂が着色する原因となったり、原料であるポリビニルアルコールの脱水反応が起こって分子内に共役二重結合を有する構造が発生し、得られるポリアセタール樹脂に着色が生じたり、樹脂の劣化が発生して得られる水溶性ポリビニルアセタールの重合度が低下してしまうことがある。上記混合溶液を反応させる温度のより好ましい上限は180℃である。
上記混合溶液を反応させる圧力の好ましい上限は3MPaである。反応時の圧力が3MPaを超えると、製造に必要な装置に高い耐圧設計が必要となり、実質的に製造装置を製造することが困難となることがある。上記混合溶液を反応させる圧力のより好ましい上限は2.8MPaである。
残存金属成分の原因となるアルカリ中和剤による中和工程を不要とすることにより、本願発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法によれば、残存金属成分量が少ない水溶性ポリビニルアセタールを容易に製造することができる。
図1の回分式反応装置は、反応部3に対して、原料タンクA1と原料タンクB2とが耐圧性のラインで接続されており、例えば、原料タンクA1には原料となるビニルアルコール系樹脂を、原料タンクB2には原料となるアルデヒドを貯留する。原料タンクA1と反応部3とを結ぶ耐圧性のライン上には、スラリーポンプ8とバルブA4とが配置されている。原料タンクB2と反応部3とを結ぶ耐圧性のライン上には、高圧液送ポンプ9とバルブB5とが配置されている。反応部3には、反応容器内圧力計15が取り付けられている。また、反応部3には、反応の状況を目視にて確認するための反応容器サイドグラス17が取り付けられている。更に反応部3には、反応部撹拌機10と反応部加熱ヒーター7とが設置されている。
一方、原料となるアルデヒドを原料タンクB2に投入し、バルブB5を閉じた状態で高圧液送ポンプ9で送液することにより、アルデヒドを所定の温度、圧力にまで加熱、加圧する。バルブB5を開いて加熱、加圧されたアルデヒドを、ビニルアルコール系樹脂が投入された反応部3に導き、系内の温度、圧力を所定の温度、圧力に保った状態で撹拌することにより、アセタール化反応を進める。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの製造方法で製造された、アセタール化度が20〜30モル%であり、かつ、残存金属成分量が120ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールもまた、本発明の1つである。
なお、上記アセタール化度は、13C−NMRを用いて測定することができる。また、上記アセタール化度を求めるときは、アセタール基をアセタール化された2つの水酸基として数える。
従来の製造方法により製造された水溶性ポリビニルアセタールは、残存金属成分量の低減が困難であり、数百〜数千ppmの残存金属成分を含んでいた。このような従来の水溶性ポリビニルアセタールは、残存金属成分が原因となって保存中に電気絶縁性等が著しく変化してしまうことから、積層型セラミックコンデンサ用バインダー等の電子材料用接着剤用途への応用が困難であった。
これに対して、残存金属成分量が120ppm以下である本発明の水溶性ポリビニルアセタールでは、このような保管中の電気絶縁性等の変化がほとんどないことから、積層型セラミックコンデンサ用バインダー等の電子材料用接着剤用途にも好適に用いることができる。
本発明の水溶性ポリビニルアセタールの残存金属成分量の好ましい上限は110ppm、更に好ましい上限は10ppmである。
図1に示す回分式反応装置を用いて水溶性ポリビニルアセタール系樹脂を製造した。
ポリビニルアルコール(重合度650、けん化度88モル%、不純物として酢酸ナトリウム分を0.4重量%含む)15g、水140g、1.0M塩酸0.78mL(塩化水素換算で、最終全形の500ppmの量)を原料タンクA1に投入し、バルブA4を開けて、スラリーポンプ8で容積200mLの耐圧性の反応部3に全量投入した後、バルブA4を閉めた。反応部加熱ヒーター7により反応部3を130℃で1時間加熱した。このとき反応部3内の圧力は0.25MPaとなった。サイドグラスより内部の様子を確認すると、ポリビニルアルコールが溶解していることが確認された。
1時間攪拌しながら反応を行った後、バルブC6を開放し、反応後の混合溶液を回収タンク11に投入した。混合溶液が全て落ちきった後にバルブC6を閉め、冷却器13を用いて回収タンク11を冷却し、回収タンク圧力計16が0MPaを示したことを確認した後、圧力調整弁14を開放して、水溶性ポリビニルアセタールを含む透明な樹脂溶液を回収した。得られた樹脂溶液をポリチエレンフィルム上に流延し、乾燥させて、透明な樹脂フィルムを得た。
ポリビニルアルコール(重合度650、けん化度88モル%、不純物として酢酸ナトリウム分を0.4重量%含む)を、ソックスレー抽出器を用いて、メタノールを洗浄溶媒として3時間洗浄し、不純物として含まれる酢酸ナトリウム分をNMRで検出できない程度まで除去した。
得られた精製ポリビニルアルコールを原料として用い、かつ、塩酸を加えなかった以外は実施例1と同様にして、水溶性ポリビニルアセタールを含む樹脂溶液を回収し、樹脂フィルムを得た。
ブチルアルデヒドの代わりにアセトアルデヒド1.75gを加えたこと以外は実施例1と同様と同様にして、水溶性ポリビニルアセタールを含む樹脂溶液を回収し、樹脂フィルムを得た。
反応時の温度を180℃、圧力を1.1MPaとした以外は実施例1と同様にして、水溶性ポリビニルアセタールを含む樹脂溶液を回収し、樹脂フィルムを得た。
ポリビニルアルコール(重合度650、けん化度88モル%、不純物として酢酸ナトリウム分を0.4重量%含む)200gと水1600gとを耐圧装備のない通常のガラス製の容量5Lのセパラブルフラスコに入れ、90℃、2時間攪拌して溶解して溶液を調製した。得られた溶液を45℃に冷却し、35重量%濃度の塩酸50gを加え、35℃まで冷却した。次に、純度99%のブチルアルデヒド30gを2時間かけて滴下し、35℃で3時間反応させたところ、白濁した反応混合物が得られた。
得られた反応混合物を20℃まで冷却し、攪拌下において10重量%の水酸化ナトリウム水溶液192gを加えて中和し、透明な樹脂溶液を得た。得られた樹脂溶液をポリチエレンフィルム上に流延し、乾燥させて、透明な樹脂フィルムを得た。
ブチルアルデヒドの配合量を4.6gにしたこと以外は、実施例1と同様の方法により反応を行った。しかしながら、反応部3内部で高アセタール化されたポリビニルアセタールが水に不溶化して析出したため、溶液の状態で取り出すことができなかった。
実施例、比較例及び参考例で得られた樹脂フィルムについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
得られた樹脂フィルムをDMSO−d6 に溶解し、13C−NMRを用いてアセタール化度を測定した。
得られた樹脂フィルム1.0gを、イオン分を含まない超純水(抵抗値が18MΩ以上)8.04gに加え、95度で1時間加熱することにより完全に溶解させた。得られた溶液を原子吸光光度計(サーモサイエンティフィック社、iCE3400)を用いてナトリウム分を測定した。
2 原料タンクB
3 反応部
4 バルブA
5 バルブB
6 バルブC
7 反応部加熱ヒーター
8 スラリーポンプ
9 高圧液送ポンプ
10 反応部攪拌機
11 回収タンク
12 メッシュ
13 冷却器
14 圧力調整弁
15 反応容器内圧力計
16 回収タンク圧力計
17 反応容器サイドグラス
Claims (1)
- アセタール化度が20〜30モル%であり、かつ、残存金属成分量が120ppm以下である水溶性ポリビニルアセタールを製造する方法であって、
ポリビニルアルコール、アルデヒド、及び、塩化水素換算で500ppm以下の酸触媒を溶媒に溶解した混合溶液を、前記溶媒及びアルデヒドの沸点以上の温度、大気圧以上の圧力の条件下で反応させる工程を有し、
前記ポリビニルアルコールに対して、理論反応量の1.0〜1.2当量のアルデヒドを用い、かつ、
アルカリ中和剤による中和工程を有しない
ことを特徴とする水溶性ポリビニルアセタールの製造方法。
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