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JP5922464B2 - 歯車伝動装置 - Google Patents

歯車伝動装置 Download PDF

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JP5922464B2 JP2012079453A JP2012079453A JP5922464B2 JP 5922464 B2 JP5922464 B2 JP 5922464B2 JP 2012079453 A JP2012079453 A JP 2012079453A JP 2012079453 A JP2012079453 A JP 2012079453A JP 5922464 B2 JP5922464 B2 JP 5922464B2
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Description

本明細書は歯車伝動装置に関する技術を開示する。
外歯歯車が内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する歯車伝動装置が知られている。このような歯車伝動装置では、偏心体を備えたシャフト(クランクシャフト)を用いて、外歯歯車又は内歯歯車を偏心回転させる。特許文献1には、外歯歯車が内歯歯車と噛み合いながら偏心回転する歯車伝動装置が開示されている。特許文献1の歯車伝動装置では、偏心体が、円筒ころ軸受を介して外歯歯車に形成されている貫通孔に係合している。特許文献1では、円筒ころ軸受に潤滑剤を供給するために、クランクシャフトの内部に、クランクシャフトの端部から円筒ころ軸受に至る孔を設けている。潤滑剤はその孔を通じて円筒ころ軸受に供給される。
特開2006−29393号公報
特許文献1の歯車伝動装置は、クランクシャフトの軸方向への移動を規制するために、リング(ワッシャ、インナーレース)が偏心体に隣接する位置でクランクシャフトに取り付けられている。このリングは、潤滑剤が円筒ころ軸受の内部に侵入することを邪魔している。そのため、特許文献1の技術は、リングに邪魔されることなく円筒ころ軸受の内部に潤滑剤を供給するために、クランクシャフトの内部に潤滑剤の通路を設けている。しかしながら、転動体(円筒ころ)が潤滑剤の通路の出口を塞いでしまい、潤滑剤が円筒ころ軸受の内部に供給されにくくなることが起こり得る。本明細書は、円筒ころ軸受の内部に潤滑剤を供給する性能に優れた歯車伝動装置を提供する。
本明細書が開示する歯車伝動装置は、内歯歯車と、外歯歯車と、内歯歯車又は外歯歯車を偏心回転させるシャフトと、シャフトに取り付けられているリングを備えている。外歯歯車は、内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する。シャフトは偏心体を有している。その偏心体が、内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車に形成されている貫通孔に係合し、係合している歯車を偏心回転させる。リングは、偏心体に隣接する位置でシャフトに同軸に取り付けられている。リングは、例えば、シャフトを支持する軸受のインナーレースである。この歯車伝動装置では、シャフトの外周面に、偏心体からリングの内側を通過してシャフトの軸方向の両端に向けて溝が形成されている。なお、本明細書では、シャフトと偏心体を併せて、「クランクシャフト」と呼ぶことがある。また、以下の説明では、主として外歯歯車が偏心回転するタイプについて説明する。しかしながら、本明細書が開示する技術は、内歯歯車が偏心回転するタイプの歯車伝動装置にも適用可能である。
外歯歯車が偏心回転するタイプの歯車伝動装置の場合、偏心体は、円筒ころ軸受を介して外歯歯車に形成されている貫通孔に係合する。上記の歯車伝動装置の場合、シャフトの軸方向端部に存在する潤滑剤が、リングに邪魔されることなく、シャフトに形成されている溝を通って(リングの内側を通って)偏心体に供給される。より具体的には、潤滑剤は、リングの内側を通って偏心体の表面(軸方向の端面)に供給される。偏心体の表面に供給された潤滑剤は、偏心体の外周側に移動し、円筒ころ軸受の内部に供給される。上記の歯車伝動装置では、潤滑剤の出口(偏心体の表面)が、転動体(円筒ころ)によって塞がれることがない。そのため、円筒ころ軸受の内部に従来よりも多くの潤滑剤を供給することができる。
第1実施例の歯車伝動装置の断面図を示す。 図1の破線IIで囲った部分の拡大断面図を示す。 第1実施例の歯車伝動装置で用いているシャフトの正面図(シャフトの軸線に直交する方向から見た図)を示す。 図3のIV−IV線に沿った断面図を示す。 図3のV-V線に沿った断面図を示す。 第2実施例のシャフトの断面図(第1縦溝が形成されている部分)を示す。 第2実施例のシャフトの断面図(第2縦溝が形成されている部分)を示す。 第3実施例の歯車伝動装置で用いているシャフトの正面図を示す。 図8のIX−IX線に沿った断面図を示す。 図8のX−X線に沿った断面図を示す。 第4実施例の歯車伝動装置で用いているシャフトの正面図を示す。 第5実施例の歯車伝動装置で用いているシャフトの正面図を示す。 第6実施例の歯車伝動装置の断面図を示す。 第6実施例の歯車伝動装置で用いているシャフトの正面図を示す。 図14のXV−XV線に沿った断面図を示す。
以下、本明細書で開示する実施例の技術的特徴の幾つかを記す。なお、以下に記す事項は、各々単独で技術的な有用性を有している。
(特徴1)複数の偏心体が、シャフトに嵌合されていてよい。この場合、シャフトの軸方向において、夫々の偏心体の間に隙間が設けられていることが好ましい。そして、シャフトに形成されている溝が、その隙間まで延びていることが好ましい。このような構造にすれば、潤滑剤が、偏心体と偏心体の隙間にも供給される。潤滑剤が、円筒ころ軸受の内部に一層供給されやすくなる。
(特徴2)シャフトに形成されている溝は、シャフトの軸方向の一端から他端まで連続していてもよい。潤滑剤が、シャフトの軸方向に移動しやすい。
(特徴3)上記の溝がシャフトの軸方向の一端から他端まで連続している場合、その溝に、歯車がスプライン結合していてもよい。歯車伝動装置では、一般的に、シャフトを回転させるために、モータの出力シャフトに係合する入力歯車をシャフトに固定することが多い。潤滑剤を供給するための溝に入力歯車をスプライン結合することにより、入力歯車を固定するためだけの加工をシャフトに施す必要がなくなる。入力歯車の一例として、平歯車が挙げられる。
(特徴4)シャフトに形成されている溝は、シャフトの軸線に対して斜めに延びていてよい。シャフトの回転に伴って、潤滑剤に、溝内を移動する力が作用する。その結果、多くの潤滑剤を円筒ころ軸受の内部に供給することができる。
(特徴5)シャフトに形成されている溝は、らせん状であってもよい。らせん状の溝であっても、シャフトの回転に伴って、潤滑剤に、溝内を移動する力が作用する。また、シャフトの軸方向における溝の長さを長くすることができる。多くの潤滑剤が溝内に蓄積されるので、円筒ころ軸受の内部に潤滑剤が供給されやすい。
(特徴6)シャフトに取り付けられているリングが、シャフトを回転可能に支持する軸受のインナーレースであってよい。軸受の種類によっては、インナーレースが必要なものがある。リングが軸受のインナーレースを兼ねていれば、歯車伝動装置を構成する部品数を少なくすることができる。
(第1実施例)
図1〜図5を参照し、歯車伝動装置100について説明する。以下の説明では、複数個が存在する同一種類の部品に共通な特徴を説明する場合に、符号のアルファベットを省略することがある。歯車伝動装置100は、外歯歯車20が内歯歯車24と噛み合いながら偏心回転するタイプの減速装置である。歯車伝動装置100は、外歯歯車20と内歯歯車24の歯数差を利用し、クランクシャフト10に伝達されたトルクを増大して(回転を減速して)キャリア2から出力する。別言すると、外歯歯車20と内歯歯車24の歯数差を利用し、キャリア2をケース42に対して回転させる。以下、歯車伝動装置100について詳細に説明する。
図1に示すように、歯車伝動装置100は、内歯歯車24とキャリア2とクランクシャフト10と2個の外歯歯車20X,20Yを備えている。内歯歯車24は、ケース42と、ケース42の内周に配置されている複数の内歯ピン22で構成されている。キャリア2は、一対のアンギュラ玉軸受40によって、内歯歯車24と同軸にケース42に支持されている。一対のアンギュラ玉軸受40は、キャリア2がケース42に対してアキシャル方向及びラジアル方向に移動することを規制している。
キャリア2は、第1プレート2aと第2プレート2cで構成されている。第1プレート2aと第2プレート2cには、軸線36方向に延びている貫通孔2dが形成されている。第1プレート2aから第2プレート2cに向けて柱状部2bが延びており、柱状部2bと第2プレート2cが固定されている。キャリア2の柱状部2bが、外歯歯車20の貫通孔4を通過している。貫通孔4の内壁と柱状部2bの間には、隙間が確保されている。なお、軸線36が、キャリア2及び内歯歯車24の軸線である。キャリア2は、クランクシャフト10と外歯歯車20を支持している。
クランクシャフト10の軸線32は、軸線36に平行である。すなわち、クランクシャフト10は、軸線36からオフセットした位置で、軸線36に平行に延びている。クランクシャフト10は、シャフト6と2個の偏心体8X,8Yで構成されている。偏心体8は、シャフト6に嵌合している。より詳しくは、偏心体8X,8Yの中央の孔にシャフト6が圧入され、偏心体8がシャフト6に固定されている。軸線32方向において、偏心体8Xと偏心体8Yの間に隙間が設けられている。なお、偏心体8の表面(軸線32方向の端面)には、径方向(軸線32に直交する方向)に延びる溝が形成されていてもよい。特に、リングが隣接している側の表面に、径方向に延びる溝が形成されているとよい。リングについては後述する。クランクシャフト10は、一対の円錐ころ軸受14によって、キャリア2に支持されている。一対の円錐ころ軸受14は、クランクシャフト10がキャリア2に対してアキシャル方向及びラジアル方向に移動することを規制している。
円錐ころ軸受14は、シャフト6(クランクシャフト10)に嵌合しているインナーレース14aと、円錐ころ14bと、キャリア2に取り付けられているアウターレース14cを備えている。インナーレース14aと偏心体8の間には、ワッシャ16が介在している。ワッシャ16は、偏心体8に接している。インナーレース14aとワッシャ16は、ともにリング状であり、シャフト6に同軸に取り付けられている。ワッシャ16は、円筒ころ軸受18が軸方向に移動することを規制している。軸線32方向において、円筒ころ軸受18X,18Yが、2個のワッシャ16の間に配置されている。円筒ころ軸受18Xの一端がワッシャ16に接し、円筒ころ軸受18Xの他端が円筒ころ軸受18Yの一端に接し、円筒ころ軸受18Yの他端がワッシャ16に接することによって、円筒ころ軸受18X,18Yが軸方向に移動することを規制している。
ワッシャ16は、インナーレース14aによって位置決めされている。そのため、インナーレース14aとワッシャ16が一体となって、円筒ころ軸受18の軸方向への移動を規制しているといえる。すなわち、インナーレース14aとワッシャ16は、機能的な一体性を有している。そのため、ワッシャ16だけでなく、インナーレース14aも偏心体8に隣接しているといえる。インナーレース14aとワッシャ16は、リングの一例である。なお、インナーレース14aとワッシャ16は、一体に形成されていてもよい。また、リング(ワッシャ16)の偏心体8側の表面に、径方向に延びる溝が形成されていてもよい。
軸線32方向において、偏心体8X,8Yは、2個のインナーレース14aの間でシャフト6(クランクシャフト10)に嵌合している。偏心体8X,8Yの夫々が、外歯歯車20X,20Yの貫通孔内に位置している。円筒ころ軸受18が、外歯歯車20の貫通孔の内周面と偏心体8の外周面との間に介在している。偏心体8は、円筒ころ軸受18を介して外歯歯車20の貫通孔に係合している。外歯歯車20は、クランクシャフト10を介してキャリア2に支持されている。なお、歯車伝動装置100は、複数のクランクシャフト10を備えていてよい。具体的には、歯車伝動装置100は、3個のクランクシャフト10を備えている。図1には、3個のクランクシャフト10のうちの1個が現れている。各々のクランクシャフト10は、軸線36の周りに等間隔に配置されている。
シャフト6の外周面には、シャフト6の軸方向(軸線32方向)に沿って複数の縦溝30が形成されている。また、シャフト6には、周方向に沿って、2個の横溝33が形成されている(図3も参照)。縦溝30は、インナーレース14aの内側を通過している。より詳細には、縦溝30は、偏心体8のインナーレース14a側の端部から、インナーレース14aの内側を通過して、シャフト6の軸方向端部に向けて延びている。これにより、シャフト6の軸方向端部から偏心体8のインナーレース14a側の表面に潤滑剤を供給することができる。また、縦溝30は、偏心体8の内側を通過している。より詳細には、縦溝30は、偏心体8のインナーレース14a側の端部から、偏心体8の内側を通過して、偏心体8Xと偏心体8Yの隙間部分にまで延びている。これにより、シャフト6の軸方向端部から偏心体8Xと偏心体8Yの隙間に潤滑剤を供給することができる。以下の説明では、シャフト6のうち、インナーレース14a及び偏心体8が取り付けられている部分を第1部分6aと称し、第1部分6aに形成されている縦溝30を第1縦溝30aと称することがある(図3も参照)。
入力歯車34が、シャフト6(クランクシャフト10)に固定されている。入力歯車34は、シャフト6に形成されている縦溝30にスプライン結合している。シャフト6の軸方向において、入力歯車34は、一対の円錐ころ軸受14の外側でシャフト6に固定されている。以下の説明では、シャフト6のうち、入力歯車34が取り付けられている部分を第2部分6bと称し、第2部分6bに形成されている縦溝30を第2縦溝30bと称することがある(図3も参照)。
第1プレート2aとケース42の間にオイルシール44が配置されている。また、第1プレート2aの貫通孔2dにキャップ5が嵌め込まれている。オイルシール44及びキャップ5は、歯車伝動装置100の内部に注入された潤滑剤等が歯車伝動装置100の外部に漏れることを防止している。
歯車伝動装置100の動作を簡単に説明する。モータ(図示省略)のトルクが入力歯車34に伝達されると、クランクシャフト10が回転する。偏心体8は、クランクシャフト10の回転に伴って、軸線32に対して偏心回転する。外歯歯車20は、偏心体8の偏心回転に伴って、内歯歯車24と噛み合いながら偏心回転する。外歯歯車20の歯数と内歯歯車24の歯数(内歯ピン22の数)は異なる。上記したように、外歯歯車20はキャリア2に支持されており、内歯歯車24はケース42の内周面に形成されている。よって、外歯歯車20が偏心回転すると、外歯歯車20と内歯歯車24の歯数差に応じて、キャリア2がケース42に対して回転する。
図2を参照し、歯車伝動装置100の利点を説明する。上記したように、シャフト6の外周に縦溝30が形成されている。潤滑剤は、シャフト6の軸方向端部から縦溝30内に浸入する。縦溝30内の潤滑剤は、矢印50に示すように、ワッシャ16と偏心体8の隙間を通って、円筒ころ軸受18の内部に供給される。また、潤滑剤は、矢印52に示すように、偏心体8Xと8Yの隙間を通って、円筒ころ軸受18の内部に供給される。具体的には、縦溝30内の潤滑剤は、偏心体8の表面(軸線32方向の端面)を伝って、円筒ころ軸受18の内部に供給される。円筒ころ軸受18の転動体(円筒ころ)は、偏心体8の表面に接触しない。そのため、歯車伝動装置100では、円筒ころ軸受18の転動体に邪魔されることなく、円筒ころ軸受18の内部に潤滑剤を供給することができる。
上記したように、ワッシャ16は、偏心体8に接している。ワッシャ16と偏心体8が密接すると、潤滑剤の通路(ワッシャ16と偏心体8の隙間)が狭くなる。その結果、潤滑剤が、矢印50に示すように移動することが困難になり得る。このような場合、ワッシャ16の偏心体8側の表面及び/又は偏心体8のワッシャ16側の表面に、径方向に延びる溝を形成すればよい。ワッシャ16と偏心体8の間に隙間が確保され、潤滑剤が、円筒ころ軸受18の内部に供給されやすくなる。
図3〜図5を参照し、シャフト6に形成されている縦溝30の特徴について説明する。なお、図3は、シャフト6に形成されている縦溝30の特徴を模式的に示しており、縦溝30の数、ピッチ等を正確に示すものではない。図3に示すように、縦溝30は、シャフト6の軸方向に沿って、第1部分6aの一端から他端まで延びている。縦溝30は、横溝33によって、第1縦溝30aと第2縦溝30bに分断されている。後述するが、第1縦溝30aと第2縦溝30bは一度に加工されており、実質的に同一の溝である。そのため、縦溝30は、シャフト6の一端から他端まで(第1部分6aと第2部分6bの全体)連続して延びているといえる。
図4,図5に示すように、第1縦溝30aの深さ(第1縦溝30aの最大深さ)D1は、第2縦溝30bの深さD2と等しい。また、第1縦溝30aのピッチ(周方向の間隔)R1は、第2縦溝30bのピッチR2と等しい。すなわち、インナーレース14a,偏心体8が嵌合する第1部分6aに形成されている第1縦溝30aの形状が、入力歯車34がスプライン結合する第2部分6bに形成されている第2縦溝30bの形状と等しい。
上記したように、シャフト6では、第1縦溝30aと第2縦溝30bの形状が等しいので、第1縦溝30aと第2縦溝30bを一度に加工することができる。別言すると、シャフト6の軸方向の一端から他端に至る縦溝30を形成した後、横溝33を形成することにより、第1縦溝30aと第2縦溝30bが形成される。歯車伝動装置100では、潤滑剤の移動通路である縦溝30を用いて、入力歯車34をシャフト6にスプライン結合することができる。別言すると、入力歯車34をシャフトにスプライン結合するための縦溝30を用いて、潤滑剤を円筒ころ軸受18の内部に供給することができる。
(第2実施例)
図6,図7を参照し、第2実施例の歯車伝動装置について説明する。本実施例の歯車伝動装置は、シャフト(クランクシャフト)に形成されている溝の形状が第1実施例の歯車伝動装置100と異なるだけである。図6は、歯車伝動装置100の図4に示した断面に相当する。図7は、歯車伝動装置100の図5に示した断面に相当する。
図6,図7に示すように、第1縦溝130aの深さD11が、第2縦溝130bの深さD12よりも深い。第1縦溝130aのピッチR11は、第2縦溝130bのピッチと等しい。第2縦溝130bの形状は、第1実施例におけるシャフト6の第2縦溝30bの形状と等しい(図5も参照)。シャフト106は、シャフト6と比較して、第1縦溝130a内に多くの潤滑剤を通すことができる。そのため、円筒ころ軸受18(図1を参照)の内部に、一層多くの潤滑剤を供給することができる。なお、上記したように、第1縦溝130aのピッチR11と第2縦溝130bのピッチR12は等しい。シャフト106は、ピッチR11(R12),深さD12の溝をシャフト106の一端から他端まで形成した後に、軸線方向の一部(図3の第1部分6aに相当する部分)の溝の深さを深さD11まで深くするだけで形成することができる。そのため、縦溝130も、シャフトの一端から他端まで連続して延びているといえる。
(第3実施例)
図8〜図10を参照し、第3実施例の歯車伝動装置について説明する。本実施例の歯車伝動装置も、シャフト(クランクシャフト)に形成されている溝の形状が第1実施例の歯車伝動装置100と異なるだけである。なお、図8は、シャフト206に形成されている縦溝230の特徴を模式的に示したものである。
図8に示すように、第1縦溝230aの数は、第2縦溝230bの数よりも少ない。すなわち、第1部分206aと第2部分206bでは、縦溝の形状が大きく異なる。図9,図10に示すように、第1縦溝230aの深さD21は、第2縦溝230bの深さD22と等しい。第1縦溝230aのピッチR21は、第2縦溝130bのピッチR22よりも広い。なお、第2縦溝230bの形状は、シャフト6の第2縦溝30bの形状と等しい(図5も参照)。
第1縦溝230aは、隣り合う第2縦溝230b間の凸部を、1個おきに削除した形態に相当する。シャフト206を用いることにより、シャフト6を用いる場合と比較して、第1縦溝230a内に多くの潤滑剤を通すことができる。その結果、円筒ころ軸受18(図1を参照)の内部に、一層多くの潤滑剤を供給することができる。なお、シャフト206は、ピッチR22,深さD21(D22)の溝をシャフト206の一端から他端まで形成した後に、シャフト206の第1部分206aについて、縦溝230間の凸部を1個おきに削除するだけで形成することができる。そのため、縦溝230も、シャフトの一端から他端まで連続して延びているといえる。
(第4実施例)
図11を参照し、第4実施例の歯車伝動装置について説明する。本実施例の歯車伝動装置は、シャフト(クランクシャフト)に形成されている縦溝の形状が第1実施例の歯車伝動装置100と異なるだけである。なお、図11は、シャフト306に形成されている縦溝330の特徴を模式的に示しており、縦溝330の数、ピッチ等を正確に示すものではない。
図11に示すように、第1縦溝330aが軸方向に対して斜めに延びている。第2縦溝330bは、軸方向に沿って延びている。シャフト306の場合、シャフト306が回転すると、第1縦溝330a内の潤滑剤に、第1縦溝330a内を移動する力が作用する。その結果、円筒ころ軸受18(図1を参照)に供給される潤滑剤の量が増し、円筒ころ軸受18の劣化を一層抑制することができる。なお、第1縦溝330aは、はすば歯車を製造する技術を用いて形成することができる。また、第2縦溝330bが軸方向に沿って延びているので、第2縦溝330bを利用して入力歯車34(図1を参照)を固定することができる。
(第5実施例)
図12を参照し、第5実施例の歯車伝動装置について説明する。本実施例の歯車伝動装置は、シャフト(クランクシャフト)に形成されている縦溝の形状が第1実施例の歯車伝動装置100と異なるだけである。なお、図12は、シャフト406に形成されている縦溝430の特徴を模式的に示しており、縦溝430の数、ピッチ等を正確に示すものではない。
図12に示すように、シャフト406では、第1縦溝430aが軸方向に対して斜めに延びているとともに、第1縦溝430aがらせん状である。シャフト406の場合も、シャフト406が回転すると、第1縦溝430a内の潤滑剤に、第1縦溝430a内を移動する力が作用する。さらに、第4実施例のシャフト306の第1縦溝330aと比較して、第1縦溝430aの長さを長くすることができる。そのため、第1縦溝430a内に、多くの潤滑剤を保持することができる。なお、第2縦溝430bが軸方向に沿って延びているので、第2縦溝430bを利用して入力歯車34(図1を参照)を固定することができる。
(第6実施例)
図13〜図15を参照し、歯車伝動装置500について説明する。歯車伝動装置500は歯車伝動装置100の変形例であり、歯車伝動装置100と同じ部品には、同じ符号又は下二桁が同じ符号を付すことにより説明を省略することがある。歯車伝動装置500は、クランクシャフト510の構造が、歯車伝動装置100のクランクシャフト10と異なるだけである。より正確には、シャフト506の構造が、歯車伝動装置100のシャフト6と異なる。
図13に示すように、シャフト506の内部に、貫通孔507が形成されている。より詳細には、中央貫通孔507aが、シャフト506の軸線の周りを、シャフト506の一端から他端まで連続して延びている。第1貫通孔507b,第2貫通孔507c及び第3貫通孔507dが、シャフト506の径方向(軸線32に直交する方向)に向けて延びている。貫通孔507b〜507dは、中央貫通孔507aと第1縦溝30aに繋がっている。第1貫通孔507bと第3貫通孔507dは、軸線32方向において、偏心体8とインナーレース14aの間、すなわち、ワッシャ16が配置されている位置で第1縦溝30aに連通している。第2貫通孔507cは、軸線32方向において、偏心体8X,8Yの間で第1縦溝30aに連通している。
図14,図15に示すように、貫通孔507b〜507dは、中央貫通孔507aと全ての第1縦溝30aとを繋いでいる。すなわち、貫通孔507b〜507dの夫々の数は、第1縦溝30aの数に等しい。また、貫通孔507b〜507dの形状は、全て等しい。貫通孔507を備えることにより、シャフト506の外周面からだけでなく、シャフト506の内部からも円筒ころ軸受18の内部に潤滑剤が供給される。すなわち、シャフト506を用いることにより、円筒ころ軸受18の劣化を一層抑制することができる。
なお、貫通孔507b〜507dは、中央貫通孔507aと一部の第1縦溝30aを繋いでいてもよい。すなわち、貫通孔507b〜507dの夫々の数は、第1縦溝30aの数よりも少なくてもよい。クランクシャフト510が回転すると、円筒ころ軸受18は、偏心体8の周りを移動する。そのため、貫通孔507b〜507dが一部の第1縦溝30aにのみ繋がっていても、貫通孔507b〜507dを通過してきた潤滑剤は、円筒ころ軸受18の全ての転動体(円筒ころ)に行き渡る。なお、貫通孔507b〜507dの全てが、シャフト506に形成されている必要はない。例えば、第1貫通孔507bと第3貫通孔507dが、シャフト506に形成されていてもよい。あるいは、第2貫通孔507cのみが、シャフト506に形成されていてもよい。
上記実施例では、縦溝がシャフトの一端から他端まで連続している例を示した。いずれの場合も、偏心体は、一端から他端まで連続している縦溝を有するシャフトに圧入されて固定されている。しかしながら、縦溝は、円錐ころ軸受のインナーレースの内側を通過していればよい。この場合、クランクシャフトは、偏心体とシャフトが一体に形成されたものであってもよい。また、偏心体は1個であってもよい。溝が円錐ころ軸受のインナーレースの内側を通過していれば、シャフトの軸方向端部に存在する潤滑剤が偏心体の表面に移動することができ、円筒ころ軸受内に潤滑剤を供給することができる。
また、複数の偏心体がシャフトに嵌合しており、夫々の偏心体の内側に溝が形成される場合であっても、必ずしも溝がシャフトの一端から他端まで連続していなくてもよい。溝が偏心体の隙間にまで延びていれば、偏心体間に潤滑剤を供給することができる。
シャフト(クランクシャフト)を支持する軸受は、円錐ころ軸受でなくてもよい。例えば、円筒ころ軸受であってもよい。この場合、シャフトにインナーレースを嵌合させることなく、円筒状のリングを嵌合させればよい。
上記実施例では、外歯歯車が偏心回転する歯車伝動装置について説明した。しかしながら、本明細書で開示する技術は、内歯歯車が偏心回転する歯車伝動装置に適用することもできる。重要なことは、偏心体が固定されているシャフトの外周面に溝が形成されていることである。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
6:シャフト
8:偏心体
14aリング(インナーレース)
16:リング(ワッシャ)
20:外歯歯車
24:内歯歯車
30:溝
100:歯車伝動装置

Claims (6)

  1. 内歯歯車と、
    内歯歯車と噛み合いながら相対的に偏心回転する外歯歯車と、
    内歯歯車又は外歯歯車の一方の歯車に形成されている貫通孔に係合する偏心体を有しているとともに、前記一方の歯車を偏心回転させるシャフトと、
    前記シャフトに同軸に取り付けられているとともに偏心体に隣接しているリングと、を備えており、
    前記シャフトには、複数の偏心体が嵌合されており、
    前記シャフトの軸方向において、夫々の偏心体の間に隙間が設けられており、
    前記シャフトの外周面に、偏心体の前記隙間から前記リングの内側を通過して前記シャフトの軸方向の両端に向けて溝が形成されていることを特徴とする歯車伝動装置。
  2. 前記溝が、前記シャフトの軸方向の一端から他端まで連続していることを特徴とする請求項に記載の歯車伝動装置。
  3. 前記溝に、歯車がスプライン結合していることを特徴とする請求項に記載の歯車伝動装置。
  4. 前記溝が、シャフトの軸線に対して斜めに延びていることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の歯車伝動装置。
  5. 前記溝が、らせん状であることを特徴とする請求項に記載の歯車伝動装置。
  6. 前記リングが、シャフトを回転可能に支持する軸受のインナーレースであることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の歯車伝動装置。
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