JP5920632B2 - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Description
ブッシュは、ボス部とともに回転可能なようボス部に設けられ、ボス部の径方向外側へ延びるよう形成される係合溝を有している。付勢部材は、素線を巻回すことにより渦巻状に形成されている。付勢部材は、内周端がブッシュの係合溝に係合し、外周端がハウジングの板部の係合部に係合するよう板部の、ハウジングの筒部とは反対側に設けられている。付勢部材は、素線の最外周巻目と最外周巻目から1周内側の巻目との間において線間隙間がゼロとなる接触点を素線の巻き方向に3つ以上有している。付勢部材は、ハウジングに対しベーンロータを進角方向または遅角方向に付勢する。規制ピンは、素線の最外周巻目の各接触点とは反対側に位置するようブッシュまたは板部に設けられ、素線を係止することにより素線の最外周巻目の径方向外側への広がりを規制可能である。
そこで、本発明では、素線を係止することにより素線の最外周巻目の径方向外側への広がりを規制可能な規制ピンを、素線の最外周巻目の各接触点とは反対側に位置するようブッシュまたは板部に設けている。そのため、付勢部材がベーンロータおよびハウジングとともに高速回転するとき、付勢部材の素線の最外周巻目は、振動および遠心力により径方向外側へ広がるようにして変形しようとしても、規制ピンにより係止され、変形が規制される。これにより、接触点における素線同士の接触の解除を抑制することができる。その結果、付勢部材の固有振動数が高い値に維持され、共振を抑制する効果を維持することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置、および、これを適用した駆動力伝達系を図1〜5に示す。
ハウジング20は、図1に示すように、それぞれ別部材であるリアプレート21、シューハウジング22およびフロントプレート23から構成されている。リアプレート21、シューハウジング22およびフロントプレート23は、例えば鉄等の金属により焼結または鋳造等によって形成されている。ボルト13は、フロントプレート23のボルト穴、シューハウジング22のボルト穴を通り、ボルト穴が形成されたリアプレート21にねじ締め固定されている。これにより、リアプレート21、シューハウジング22およびフロントプレート23は同軸上に固定されている。
ここで、シューハウジング22は、特許請求の範囲における「筒部」に対応している。また、リアプレート21およびフロントプレート23のそれぞれは、特許請求の範囲における「板部」に対応している。また、係合ピン24は、特許請求の範囲における「係合部」に対応している。
フランジ部41は、略円環状に形成されている。筒部42は、フランジ部41の内縁端からフランジ部41の板厚方向へ筒状に突出するよう形成されている。延伸部43、44、45は、それぞれ、フランジ部41の外縁端からフランジ部41の径方向外側へ延びるようにして形成されている。本実施形態では、延伸部43、44、45は、フランジ部41の周方向に概ね等間隔で形成されている。
ここで、カムシャフト4が吸気弁11を駆動するときに吸気弁11から受ける変動トルクは正・負に変動している。変動トルクの正方向はハウジング20に対しベーンロータ30の遅角方向を表し、変動トルクの負方向はハウジング20に対しベーンロータ30の進角方向を表している。変動トルクの平均は正方向、つまり遅角方向に働く。スプリング50がベーンロータ30に加える進角方向のトルクはカムシャフト4が受ける変動トルクの平均以上である。
切換弁70は、スリーブ71、スプール72およびスプリング73等を有している。
スリーブ71は、中空のボルト状に形成されている。スリーブ71は、カムシャフト4の端部の内壁にねじ込み固定されている。これにより、ブッシュ40は、スリーブ71の頭部により、筒部42がベーンロータ30のボス部31に押し付けられている。
スプリング73は、スプール72の一端とスリーブ71の内壁との間に設けられ、スプール72をカムシャフト4とは反対側へ付勢している。
図1、2に示すように、第1ストッパピストン81はベーン311に設けられ、第2ストッパピストン82はベーン313に設けられている。第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82は、共に略円筒状に形成されている。
エンジン10が停止している状態では第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82は穴部212および穴部213に入り込んでいる(図1、2参照)。エンジン10を始動した直後の状態では、遅角油路34および進角油路35にポンプ16から十分に作動油が供給されていないので、第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82は穴部212および穴部213に入り込んだ状態を維持し、ベーンロータ30は「中間位相」であり、クランクシャフト2に対しカムシャフト4は「中間位相」に保持されている。これにより、作動油が各油圧室に供給されるまでの間、カムシャフト4が受けるトルク変動によりハウジング20とベーンロータ30とが揺動振動して衝突し打音が発生することが防止されている。
エンジン始動後、ポンプ16から作動油が十分に供給されると、供給される油圧により第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82が穴部212および穴部213から抜け出すので、ハウジング20に対しベーンロータ30は相対回転自在となる。そして、ECU19により各遅角油圧室および各進角油圧室に加わる油圧を制御することによって、クランクシャフト2に対するカムシャフト4の位相差が調整される。
バルブタイミング調整装置1が遅角作動するとき、ECU19は、リニアソレノイド18に供給する駆動電流を制御する。これにより、切換弁70は、ポンプ16と遅角油路34とを接続し、進角油路35とオイルパン15とを接続する。ポンプ16から吐出される作動油は、遅角油路34を経由し、遅角油圧室101、102、103に供給される。遅角油圧室101、102、103の油圧がベーン311、312、313に作用し、ベーンロータ30を遅角方向に付勢するトルクを発生する。このとき、進角油圧室111、112、113の作動油は進角油路35を経由し、オイルパン15に排出される。遅角油圧室101、102、103の油圧の発生するトルクが、スプリング50の発生する進角方向のトルクに抗し、ベーンロータ30は、ハウジング20に対し遅角方向に回動する。
バルブタイミング調整装置1が進角作動するとき、ECU19は、リニアソレノイド18に供給する駆動電流を制御する。これにより、切換弁70は、ポンプ16と進角油路35とを接続し、遅角油路34とオイルパン15とを接続する。ポンプ16から吐出される作動油は、進角油路35を経由し、進角油圧室111、112、113に供給される。進角油圧室111、112、113の油圧は、ベーン311、312、313に作用し、ベーンロータ30を進角方向に付勢するトルクを発生する。このとき、遅角油圧室101、102、103の作動油は、遅角油路34を経由し、オイルパン15に排出される。ベーンロータ30が「中間位相」より遅角側にあるとき、進角油圧室111、112、113の油圧の発生するトルクと、スプリング50の付勢力(復元力)がベーンロータ30を進角方向へ回動させるトルクとの合力により、ベーンロータ30は、ハウジング20に対し進角方向に回動する。一方、ベーンロータ30が「中間位相」より進角側にあるとき、進角油圧室111、112、113の油圧の発生するトルクにより、ベーンロータ30は、ハウジング20に対し進角方向に回動する。
ベーンロータ30が目標位相に到達すると、ECU19はリニアソレノイド18に供給する駆動電流のデューティ比を制御する。これにより、切換弁70は、ポンプ16と、遅角油路34および進角油路35との接続を遮断し、遅角油圧室101、102、103および進角油圧室111、112、113からオイルパン15に作動油が排出されることを規制する。このため、ベーンロータ30は目標位相に保持される。
バルブタイミング調整装置1の作動中にエンジン停止が指示されると、ベーンロータ30は、上記遅角作動時または進角作動時と同様の作動によりハウジング20に対して遅角方向または進角方向に回転する。ベーンロータ30は、第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82が穴部212および穴部213に入り込み可能になるまで遅角方向または進角方向へ回転する(図2参照)。この状態において、ECU19は、ポンプ16の作動を停止するとともに、切換弁70によって例えば進角油路35とオイルパン15とを接続する。これにより、進角油路35の圧力が低下し、第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82はスプリング84および図示しないスプリングの付勢力によりリアプレート21側へ付勢される。その結果、第1ストッパピストン81および第2ストッパピストン82は、穴部212および穴部213に入り込む。
また、スプリング50は、素線501の最外周巻目の形状が略真円となるよう形成されているため、ベーンロータ30が「中間位相」から遅角方向に相対回転しても、規制ピン61、62、63に干渉することが抑制されている(図5参照)。
スプリング50は、素線501を巻回すことにより渦巻状に形成されている。スプリング50は、内周端51がブッシュ40の係合溝421に係合し、外周端52がハウジング20のフロントプレート23の係合ピン24に係合するようフロントプレート23の、ハウジング20のシューハウジング22とは反対側に設けられている。スプリング50は、素線501の最外周巻目と最外周巻目から1周内側の巻目との間において線間隙間がゼロとなる接触点P1、P2、P3を素線501の巻き方向に有している。スプリング50は、ハウジング20に対しベーンロータ30を進角方向に付勢する。
上述のように、本実施形態では、スプリング50は、素線501の最外周巻目と最外周巻目から1周内側の巻目との間において線間隙間がゼロとなる接触点P1、P2、P3を素線501の巻き方向に有している。そのため、スプリング50は、例えば接触点が2つ以下の場合と比べ、固有振動数が上昇する。これにより、スプリング50がベーンロータ30およびハウジング20とともに回転するとき、スプリング50の共振を抑制することができる。その結果、応力振幅が低下し、スプリング50の破損を抑制することができる。
本発明の第2実施形態によるバルブタイミング調整装置を図6〜8に示す。第2実施形態は、ブッシュおよび付勢部材の形状、ならびに、規制ピンの配置等が第1実施形態と異なる。
本発明の他の実施形態では、付勢部材は、素線の最外周巻目と最外周巻目から1周内側の巻目との間において線間隙間がゼロとなる接触点を、素線の巻き方向に4つ以上有していてもよい。この場合、規制ピンは、接触点の数と同数設けられる。また、付勢部材は、接触点が素線の巻き方向において不等間隔となるよう形成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、付勢部材の外周端を係合させる係合部として係合ピンを設ける例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、係合部は、ピン状の係合手段に限らず、溝等、他の係合手段であってもよい。
また、上述の実施形態では、エンジン始動時のベーンロータの位置が「中間位相」である例を示した。これに対し、本発明の他の実施形態では、ベーンロータは、エンジン始動時、最遅角位置または最進角位置にあることとしてもよい。
本発明のバルブタイミング調整装置は、排気弁のバルブタイミングを調整するために用いることもできる。
このように、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の形態に適用可能である。
20 ・・・ハウジング
21 ・・・リアプレート(板部)
22 ・・・シューハウジング(筒部)
23 ・・・フロントプレート(板部)
24 ・・・係合ピン(係合部)
30 ・・・ベーンロータ
31 ・・・ボス部
40 ・・・ブッシュ
50 ・・・スプリング(付勢部材)
51 ・・・内周端
52 ・・・外周端
61、62、63 ・・・規制ピン
100 ・・・収容室
101、102、103 ・・・遅角室
111、112、113 ・・・進角室
311、312、313 ・・・ベーン
421 ・・・係合溝
501 ・・・素線
P1、P2、P3 ・・・接触点
Claims (3)
- 内燃機関(10)の駆動力を駆動軸(2)から従動軸(4、6)に伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記従動軸により開閉駆動される吸気弁(11)および排気弁(12)の少なくとも一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置(1)であって、
筒部(22)、当該筒部の両端を塞ぐ板部(21、23)、および、当該板部に設けられる係合部(24)を有し、前記板部と前記筒部との間において前記筒部の周方向に所定の角度範囲毎に収容室(100)を形成し、前記筒部の軸を回転中心として前記駆動軸および前記従動軸の一方とともに回転するハウジング(20)と、
前記ハウジングに収容される筒状のボス部(31)、および、当該ボス部から径外方向に突出することで前記収容室を遅角室(101、102、103)および進角室(111、112、113)に仕切る複数のベーン(311、312、313)を有し、前記ボス部の軸を回転中心として前記駆動軸および前記従動軸の他方とともに回転し、前記遅角室および前記進角室に供給される作動流体の圧力により前記ハウジングに対し遅角方向または進角方向に相対回転するよう駆動されるベーンロータ(30)と、
前記ボス部とともに回転可能なよう前記ボス部に設けられ、前記ボス部の径方向外側へ延びるよう形成される係合溝(421)を有するブッシュ(40)と、
素線(501)を巻回すことにより渦巻状に形成され、内周端(51)が前記係合溝に係合し外周端(52)が前記係合部に係合するよう前記板部の前記筒部とは反対側に設けられ、前記素線の最外周巻目と最外周巻目から1周内側の巻目との間において線間隙間がゼロとなる接触点(P1、P2、P3)を前記素線の巻き方向に3つ以上有し、前記ハウジングに対し前記ベーンロータを進角方向または遅角方向に付勢する付勢部材(50)と、
前記素線の最外周巻目の各前記接触点とは反対側に位置するよう前記ブッシュまたは前記板部に設けられ、前記素線を係止することにより前記素線の最外周巻目の径方向外側への広がりを規制可能な規制ピン(61、62、63)と、
を備えるバルブタイミング調整装置。 - 前記付勢部材は、前記接触点が前記素線の巻き方向において等間隔となるよう形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記規制ピンは、前記板部に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のバルブタイミング調整装置。
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