以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明に係る電子写真式の画像形成装置10の構成例を示す概略図である。なお、図1に示す画像形成装置10では、回転式の現像ユニット46uを備えるロータリー式を採用しているが、本発明はロータリー式の画像形成装置10に限定するものではない。
画像形成装置10は、印刷用の記録媒体Pを積み重ねた状態で収容しておく用紙収容部31と、用紙収容部31から記録媒体Pを一枚ずつ取り出す給紙部35と、給紙部35によって給紙された記録媒体Pを下から上に向けて垂直に搬送する垂直搬送部36と、垂直搬送部36によって搬送された記録媒体Pを転写時刻に合わせて転写部28に送り込むレジスト部37とを含んでいる。また、画像形成装置10は、画像データに基づいた未定着のトナー像を形成し、そのトナー像を搬送されてきた記録媒体Pに転写する画像形成部13と、未定着トナー像を担持した記録媒体Pに対して加圧及び加熱を行なうことにより、トナー像を定着する定着装置29と、印刷を終えた記録媒体Pを排出する排出部41と、排出された記録媒体Pを重ねて貯留しておく排出収容部42とを含んでいる。
画像形成部13は、電子写真方式を用いてトナー像を形成して転写する部位である。具体的には、矢印方向に回転する感光体ドラム20を備えている。感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20の像保持面を帯電させる帯電器44と、帯電した感光体ドラム20の表面に画像データに基づくレーザービームLBを照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置45と、転写後の感光体ドラム20の表面に残留するトナー等を除去して清掃するクリーナー47とを備える。
また、画像形成部13は、Y、M、C、Kの各色に対応したトナー像を形成する4つの現像器46(図2参照)を備えるロータリー式の現像ユニット46uを備えている。ロータリー式の現像ユニット46uは、回転中心46cを中心に回転可能に配置してある。また、画像形成部13は、感光体ドラム20に対応する一次転写ロール24と、中間転写体となる無端状の中間転写ベルト27と、中間転写ベルト27に一次転写されたトナー像を搬送されてきた記録媒体Pに転写する転写部28とを備える。
感光体ドラム20は、円筒状の基体に、有機感光材料からなる光導電性層(感光層)の像保持面を形成したものである。帯電器44は、例えば感光体ドラム20の表面に接触して回転する帯電ロールにおいて、所定の帯電電圧を印加して帯電させる接触帯電方式のものを使用することができる。露光装置45は、半導体レーザ走査装置等で構成される装置である。露光装置45は、画像形成装置10と通信接続した画像読取装置又はコンピュータ等の通信機器から入力される画像データに対して所定の画像処理をした後の画像データを入力して、静電潜像を形成する。
ADC(Auto Density Control Sensor)センサ60は、光センサ等を用いて、感光体ドラム20上に形成された各色のトナー像の濃度を検出する。なお、ADCセンサ60を中間転写ベルト27の近傍に配置して、中間転写ベルト27に転写された各色のトナー濃度を検出する構成を採用することもできる。濃度の検出対象として、Y、M、C、Kの各色の濃度検出用パターンを描画したパッチを、濃度に応じて1乃至複数種類用いることができる。
現像ユニット46uには、Y、M、C、Kの各色の現像器46(後段にて説明する図2参照。)が配置されており、各現像器46には、それぞれの色に応じた複数のトナーカートリッジ19(Y,M,C,K)が配置されている。このトナーカートリッジ19は、着脱して交換可能に構成されている。
中間転写ベルト27は複数の張架ロールに掛け渡されている。中間転写ベルト27は、感光体ドラム20及び一次転写ロール24とから構成される一次転写部と、記録媒体Pにトナー像を転写する転写部28と、ベルトクリーナとを周回するように構成されている。
次に、図2を用いて現像器46の構成について説明する。図2は、図1に示す現像ユニット46uに4つ配置されているうちの一つの現像器46の断面を説明する図である。
図2に示すように、各現像器46には、トナーTを収容したトナーカートリッジ19が隣接して取り付けられている。現像器46には、トナーカートリッジ19からトナーTの供給を受ける供給口46bと、トナーカートリッジ19からトナーTを排出させるための駆動を行うトナー排出手段46eとが配置されている。なお、トナー排出手段46eは、トナーカートリッジ19の内部に配置することもできるし、トナーカートリッジ19の内周に螺旋状の搬送用リブを形成し、トナーカートリッジ19を回転させてトナーTの排出を行う構成を採用することもできる。各トナー排出手段46eを所定のタイミングで所定の時間駆動することにより、各トナーカートリッジ19に収容されているY、M、C、Kのいずれかの色のトナーT(キャリアQを含むものであってもよい。)を現像器46の内部に排出することができる。また、現像器46には、トナーTとキャリアQとを攪拌混合するアドミックスオーガー46f及びサプライオーガー46gと、トナーT及びキャリアQを感光体ドラム20に供給する現像ロール46aとが配置されている。
なお、現像器46の供給口46bに、トナーTの供給を検出するトナーセンサ64を配置することもできる。このトナーセンサ64は、トナーカートリッジ19の内部に配置して、トナーTの残量を検知する構成を採用することもできる。トナーセンサ64を各色毎に配置することによって、トナーカートリッジ19内のトナーTが消耗したことを、直接検知することができる。しかし、このトナーセンサ64の配置に伴って装置全体の価格が上昇したり、画像形成装置10が大きくなるという弊害も生ずる。
また、現像器46の内部にトナー濃度検出用のTCセンサ(Toner Concentration Sensor)61を配置することもできる。TCセンサ61は、例えば各色の現像器46の内部にそれぞれ配置して、現像剤中の透磁率を測定して、当該透磁率に応じた電圧値を取得することが可能な透磁率センサである。検出した透磁率は、後段にて説明する印刷制御部50にてトナー濃度に換算することができる。但し、TCセンサ61は一般的に高価であることや、各現像器46毎に配置する必要があるなど、画像形成装置10の小型化と低価格化の要請に対しては、適応が難しい側面を有する。
次に、画像形成装置10を用いた画像形成の概略工程について説明する。まず、画像形成部13において感光体ドラム20を回転させる。そして、その回転する感光体ドラム20の表面を、帯電器44により所定の電位に帯電させた後、帯電された感光体ドラム20の表面に、露光装置45から画像データに基づく光を照射して、所定の潜像電位からなる静電潜像を、第1の色について形成する。
続いて、その静電潜像を感光体ドラム20の回転に伴って移動させて、現像ユニット46uの現像ロール46aから供給されるトナーTを、潜像部分に静電的に付着させる。このようにして、第1の色について、感光体ドラム20上におけるトナー像の現像が終了する。
他の色を重ね合わせる場合には、回転中心46cを中心にして現像ユニット46u回転させて、他の色の現像ロール46aを感光体ドラム20と対向する位置まで移動させる。そして、第1色の場合と同様にして、感光体ドラム20の表面にトナー像を形成する。例えばフルカラーの画像を形成する場合は、帯電・露光・現像の各工程を、Y、M、C、Kの各色について4回繰り返す。
このように形成した各色のトナー像は、一次転写ロール24を用いて中間転写ベルト27に転写する。中間転写ベルト27に形成されたトナー像は、当該中間転写ベルト27に保持した状態で、予め設定した転写時刻に合わせて転写部28へ搬送する。このトナー画像の転写、搬送と並行して、予め設定した転写時刻に合わせて記録媒体Pを転写部28へ搬送する。
中間転写ベルト27上のトナー像は、転写部28において、記録媒体Pに対して、静電的に転写される。トナー像の転写が終了した後の中間転写ベルト27の表面は、クリーナーによって清掃される。
画像形成部13においてトナー像が形成された記録媒体Pは、定着装置29に搬送される。定着装置29の圧接定着部では、記録媒体Pが加圧ロールの間に挟まれて圧接された状態で搬送される。その際に、未定着のトナー像を加圧及び加熱することで、記録媒体Pに定着させる。定着後の記録媒体Pは、定着装置29から排出された後に搬送ロール対等により搬送されて、排出部41を介して排出収容部42に排出される。
このようにして、記録媒体Pの片面にトナーTによる画像が形成される。
画像を形成する対象物の記録媒体Pとして一般に用いられる物は、記録用の用紙、厚紙、透明性シート、OHPシートなどのプラスチックス製シート等のシート状の物である。これらの他にも、封筒に代表されるような袋状の物を使用することもできる。これらの記録媒体Pは、予め用紙収容部31に収容しておき、画像形成時に給紙部35を用いて取り出して、搬送ロール対を駆動することによりレジスト部37へ搬送する。その後、所定のタイミングで画像形成部13の転写部28へ搬送する。
次に、画像形成装置10の制御構成について説明する。図3は画像形成装置10における印刷制御部50の一例を示すブロック図である。
印刷制御部50は、画像形成装置10全体の処理動作を統括的に制御する部位である。印刷制御部50は、CPU(中央演算処理装置)等の演算部と、メモリ等の記憶手段と、I/Oと、タイマと、各種通信手段とをバスを介して接続したコンピュータ等で構成される装置を用いることができる。印刷制御部50には、操作パネル52と、画像処理部53と、用紙検知センサ54と、給紙用モータ55と、搬送用モータ56と、各色毎のトナー排出手段46eと接続されている。
また、印刷制御部50は、感光体ドラム20上に形成された各色のトナー像の濃度を検出するADCセンサ60と、現像器46内部のトナー濃度を検出するTCセンサ61と、画像形成装置10が設置されている環境における温度を測定する温度センサ62と、湿度を測定する湿度センサ63と、現像器46に対するトナーTの供給を検出するトナーセンサ64と接続されている。
操作パネル52は、画像形成装置10を利用する利用者が各種の情報を入力したり、利用者に対して各種の情報を表示したり、音を発したりするユーザーインターフェースである。操作パネル52は、各種のボタン、スイッチ、キー等を有する入力部と、タッチパネル付きの液晶ディスプレイからなる表示部と、警告音等を発するスピーカーを含んで構成される。操作パネル52は、利用者に対して空状態と検知されたトナーカートリッジ19の交換要請を報知する報知部として機能する。
画像処理部53は、外部の通信機器から送られた画像データに対して所定の画像処理を施すことにより、当該画像データを印刷用のデータに変換するものである。
用紙検知センサ54は、用紙搬送装置14の用紙搬送路上における記録媒体P(用紙)の先端通過や、後端通過を検知するものである。用紙検知センサ54は、用紙搬送路の適所に必要に応じて配置してある。用紙検知センサ54は、例えば発光素子と受光素子とを同一面に配置した反射型のフォトセンサを用いることができる。用紙検知センサ54は、例えばセンサ面と近接して対向する所定範囲のセンサ検知位置に記録媒体Pが存在するときはオン状態となり、記録媒体Pが存在しないときはオフ状態となる。この場合における用紙検知センサ54の出力は、下流方向に流れる記録媒体Pの先端がセンサ検知位置を通過した場合には、オフ状態からオン状態に切り替わり、その後、下流方向に搬送される記録媒体Pの後端がセンサ検知位置を通過した際には、オン状態からオフ状態に切り替わる。
給紙用モータ55は、画像形成装置本体15内の各用紙収容部31から記録媒体Pを個別に給紙する駆動力を供給する。搬送用モータ56は、用紙収容部31から給紙された記録媒体Pを、垂直搬送部36、レジスト部37、転写部28を順に経由して、定着装置29へと搬送するための駆動力を供給する。各色毎のトナー排出手段46eは、各色のトナーTを、各色のトナーカートリッジ19から、各色毎に配置されている現像器46へ排出する駆動を行う。各々のモータ55、56、及びトナー排出手段46eは、必要に応じて複数個配置することができる。
印刷制御部50は、検知部50a、ピクセルカウント部50b、ディスペンスカウント部50c、トナー排出制御部50d、トナー濃度取得部50eとして機能する。ピクセルカウント部50bは、トナーカートリッジ19の交換以降、画像形成時の画像ピクセル数をトナーカートリッジ19毎に累積してカウントしてピクセルカウント値を記憶する。
ピクセルカウント値は、印刷制御部50における不揮発性メモリ等の記憶手段に一時記憶しておく。トナーカートリッジ19の寿命は、ISO等の規格に定められている条件で印刷を行った場合において、公称の印刷可能枚数(100%)を印刷できるものでなければならない。印刷に必要なトナーTの量は、印刷時の気温や湿度、現像ロール46aの経年変化によっても変化するものである。従って、どのような環境においても公称の印刷可能枚数を維持すべく、トナーカートリッジ19には、公称の印刷可能枚数よりも多めにトナーTを充填するのが一般的である。このような事情により、トナーカートリッジ19におけるトナーTが消耗して空になる頃には、ピクセルカウント値は100%を超えていることになる。
ディスペンスカウント部50cは、各トナーカートリッジ19の交換以降、トナー排出手段46eによるトナーの排出駆動量を累積してカウントしてディスペンスカウント値として記憶する。
トナーTの排出駆動量は、トナー排出手段46eの駆動時間を積算した値を用いることもできる。トナー排出手段46eが螺旋状のオーガーを用いた排出手段を用いている場合には、そのオーガーの回転数を積算した値を、排出駆動量として用いることもできる。ディスペンスカウント値は、印刷制御部50における不揮発性メモリ等の記憶手段に一時記憶しておく。これら積算したトナーTの排出駆動量を換算することによって、トナーカートリッジ19から排出したトナーTの質量を算出することができる。このディスペンスカウント値に基づいて算出されたトナーTの排出量は、実際の排出量に近い値となる可能性が高いものである。
検知部50aは、各トナーカートリッジ19内のトナーの空状態を検知するものである。検知部50aは、最初に空検知する一のトナーカートリッジ19の空検知時には、ピクセルカウント値やディスペンスカウント値を用いて空検知を行っても良いし、これらを用いずにセンサによってトナーカートリッジ19内のトナーを物理的に計測してもよい。
検知部50aは、ピクセルカウント値とディスペンスカウント値を用いて最初のトナーカートリッジ19を検知する際、ピクセルカンウント値とディスペンスカウント値の関係によって定まる消耗判定領域を用いて最初のトナーカートリッジ19の空状態を検知する。
トナー排出制御部50dは、トナーカートリッジ19からトナーを排出するようトナー排出手段46eを制御する。トナー濃度取得部50eは、現像器46におけるトナー濃度を取得する。
次に、検知部50aによるトナーTの消耗を判定する際の一形態について、図4を用いて説明する。図4は、トナーカートリッジ19の残容量を推定する際に用いるディスペンスカウント値−ピクセルカウント値線図である。
図4に示す横軸は、トナー排出手段46eによるトナーTの排出駆動量を累積したディスペンスカウント値(%)である。この値は、トナーカートリッジ19に収容されているトナーTの質量に対する、トナーカートリッジ19から排出したトナーTの質量を推測した値の割合に相当する。
図4に示す縦軸は、トナーカートリッジ19のトナーTを用いた印刷の画素数を累積したピクセルカウント値(%)である。この値は、公称の印刷可能枚数に対する現在までの累積値の割合に相当する。なお、理想的には、ディスペンスカウント値=100%のときに、丁度ピクセルカウント値=100%となることが好ましい。
図4に示す黒塗りの領域は、トナーカートリッジ消耗判定領域であり、ディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係により定まる領域である。検知部50aは、現在のディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係が、消耗判定領域に入っていた場合(例えば、ディスペンスカウント値=101%、ピクセルカウント値=101%の場合)には、当該トナーカートリッジ19内のトナーTは消耗して空になっていると判断して、印刷処理を中断する。そして、操作パネル52の表示部に、当該トナーカートリッジ19内のトナーTが消耗した旨と交換要請の表示(トナーエンプティ)を行うとともに、警告音を発して利用者に通知する。
なお、図4に示すように、現在のディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係が「Point A」にある場合(ディスペンスカウント値=36%、ピクセルカウント値=44%の場合)には、「Point A」の延長線上にある「Point Ai」において、消耗判定領域に突入すると予測される。従って、現在のトナーTの消費率を、40%と算出することができる。以下の式1に、「Point A」におけるトナー消費率TRを算出する計算式を示す。なお、記号「^」は、累乗を表す。
TR=((36^2+44^2)/(90^2+110^2))^(1/2)…(式1)
上記の式1を用いることによって、トナー容量が少なくなった旨の警告(ニアエンプティ)を利用者に対して通知することもできる。例えば、現在のトナー消費率TRが80%を超えた場合には、次の交換用のトナーカートリッジ19の準備が必要である旨の警告(プレワーニング)を、操作パネル52の表示部に表示しておくことができる。
上述のように、検知部50aは、図4に示すディスペンスカウント値−ピクセルカウント値線図を用いることによって、特段のトナーセンサ64を配置することなく、トナーの残量を推測することができる。現像器46やトナーカートリッジ19にトナーセンサ64が配置されている場合には、印刷制御部50は、当該トナーセンサ64の出力結果に基づいて、各トナーカートリッジ19におけるトナーTが消耗したことを判定することができる。
検知部50aは、最初のトナーカートリッジ19の空状態を検知した際、さらにピクセルカウント部50bに記憶されている他のトナーカートリッジ19のピクセルカウント値を参照し、他のトナーカートリッジ19のピクセルカウント値と、予め定められているピクセル閾値(例えば100%)とに基づいて他のトナーカートリッジ19を追加で空状態と検知する。
検知部50aは、他のトナーカートリッジ19の空検知では、ピクセルカンウント値とディスペンスカウント値の関係によって定まる消耗判定領域を用いて他のトナーカートリッジ19の空状態を検知する。
そして、トナー排出制御部50dは、追加で空検知された他のトナーカートリッジ19内のトナーを強制的に現像器46内へ排出するようトナー排出手段46eを制御する。
その後、最初に空検知したトナーカートリッジ19と追加で空検知したトナーカートリッジ19の交換要請を利用者に依頼する。
当該処理の詳細については、後段にて図5〜図7を用いて説明する。
トナー濃度取得部50eは、現像器46における現在のトナー濃度を取得するものであって、プロセルコントロールを行って現在の各色のトナーTの濃度を検出する。例えば、所定の印刷間隔、又は所定の時間経過毎に印刷制御部50がプロセスコントロールを行って、各色のトナーTの濃度を検出して、トナー濃度の補正を行う。プロセスコントロールは、例えばY、M、C、Kの各色の濃度検出用パターンを描画したトナー像のパッチを、1乃至複数種類、感光体ドラム20上に形成する。そのトナー像を、ADCセンサ60を用いて読み取って、感光体ドラム20上に形成された各色のトナー像の濃度を検出する。このトナー像の濃度から、トナー濃度の補正量を算出する。そして、トナー濃度が低いと判断した場合には、トナー排出手段46eを所定時間駆動して、現像器46にトナーカートリッジ19からトナーTを供給して、現像器46内におけるトナー濃度を上昇させる処理を行う。
各現像器46内にTCセンサ61が配置されている場合には、プロセスコントロールを行うことなく、TCセンサ61の値からトナー濃度を算出することができる。TCセンサ61が設けられている場合、トナー濃度取得部50eは、TCセンサ61からトナー濃度を取得する。
トナー排出制御部50dは、現像器46に許容されるトナーTの許容濃度と、トナー濃度取得部50eが取得した現在のトナー濃度とに基づいて、現像器46に供給可能なトナーの所定値を決定する。現像器46に許容されるトナーの許容濃度は、一般的には、5%〜10%であるので、トナーの許容濃度と、現在のトナー濃度と、現像器46の容量とに基づいて、現像器46内に供給しても印刷時のカラーバランスに大きく影響しないであろうトナーTの所定値を算出する。
トナーの濃度取得部50eは、また、温度、湿度、及び現像ロール46aの累積使用回数のうちの少なくとも一つの要因に応じて、現像器46に許容されるトナーの許容濃度を取得する。現像器46に供給可能なトナーの許容濃度は、室温や湿度、現像ロール46aの経年変化によって適宜変更することもできる。
次に、トナーカートリッジ19におけるトナーTの消耗判定、及び交換時期判定と、その後の交換要請の通知までの処理について、図5〜図9を用いて説明する。
図5は、トナーカートリッジ19の空検知処理を説明するフローチャートである。
図5に示すトナーカートリッジ空検知処理は、ポーリング、印刷終了後、又は印刷終了前に印刷制御部50が実行する処理である。
検知部50aが実行する処理が、図5に示すトナーカートリッジ空検知処理に分岐してくると、検知部50aが実行する処理は、ステップS102に進む。
ステップS102にて検知部50aは、全てのトナーカートリッジ19のディスペンスカウント値とピクセルカウント値とを、ディスペンスカウント部50cとピクセルカウント部60bからそれぞれ取得する。
そして、次のステップS104に進む。
ステップS104にて検知部50aは、ステップS102にて取得したディスペンスカウント値とピクセルカウント値とを、図4に示すトナーカートリッジの残容量推定用のディスペンスカウント値−ピクセルカウント値線図に適用する。
そして、全てのトナーカートリッジ19について、トナーTの消費率を推定する。
そして、全てのトナーカートリッジ19において、トナーTの消費率が100%未満であると判断した場合(ディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の少なくとも一方が、図4に示すトナーカートリッジ消耗判定領域のから外れている場合。)には、検知部50aが実行する処理は、ステップS106に分岐し、印刷動作が許可され、再びステップS102の処理に戻る。
ステップS104にて、トナーカートリッジ19の消費率が、例えば80%を超えていると判断した場合には、次の交換用のトナーカートリッジ19の準備が必要である旨の警告(プレワーニング)を、操作パネル52の表示部に表示しておくことができる。
一方、ステップS104にて、少なくとも一つのトナーカートリッジ19において、トナーTの消費率が100%を超えていると判断した場合(ディスペンスカウント値及びピクセルカウント値が、図4に示すトナーカートリッジ消耗判定領域にある場合。)には、検知部50aが実行する処理は、ステップS108に進む。
ステップS108にて検知部50aは、トナーTの消費率が100%を超えている最初のトナーカートリッジ19について、トナーTの消耗による空状態を確定する。ステップS108における処理が終了すると、検知部50aが実行する処理は、次のステップS110の判断に進む。
ステップS110にて検知部50aは、空状態を確定した最初のトナーカートリッジ19とは、別の他のトナーカートリッジ19のピクセルカウント値を取得して、基準値の100%を超えているか否かの判断を行う。もし、他の全てのトナーカートリッジ19のピクセルカウント値が、基準値の100%を超えていないと判断した場合には、検知部50aが実行する処理は、ステップS122に分岐する。
一方、ステップS110にて検知部50aが、他のトナーカートリッジ19のピクセルカウント値が、基準値の100%を超えていると判断した場合には、検知部50aが実行する処理は、ステップS112に進む。
ステップS112にて検知部50aは、ピクセルカウント値が基準値の100%を超えているトナーカートリッジ19についても、追加して空状態を確定する。そして、次のステップS114の処理に進む。追加で空状態を確定したトナーカートリッジ19については、後段のステップS118又はステップS120にて、トナー排出制御部50dは、他のトナーカートリッジ19内に残っているトナーTを強制的に現像器46内に排出する処理を行う。そして、後段にて説明するステップS124にて、利用者に対する交換要請の表示を行う。
上記の実施形態では、他のトナーカートリッジ19の空検知を判定する条件として、ピクセルカウント値が基準値(100%)を超えている条件を優先して用いている。これは、プロセスコントロール等においてトナー濃度の制御を行っていることにより、ディスペンスカウント値が必要以上に上昇する場合があるからである。他のトナーカートリッジ19の空検知を判定する条件として、ディスペンスカウント値を用いることもできる。また、ピクセルカウント値の基準値も100%に限らず、110%、115%等の値を用いることができる。
ステップS114にてトナー濃度取得部50eは、追加で空検知した他のトナーカートリッジ19に対応する現像器46内における最新のトナー濃度を取得する。トナー排出制御部50dは、最大許容トナー濃度について環境補正及び経時補正を行う。そして、トナー排出制御部50dは、現像器46内において上昇させることが可能なトナー濃度を算出して、当該上昇可能なトナー濃度から、他のトナーカートリッジ19から現像器46へ排出させることが可能なトナーTの規定値N(%)(所定値)を算出する。当該ステップS114における処理の詳細は、図7を用いて後段にて説明する。他のトナーカートリッジ19から排出させるトナーTの規定値N(%)の算出処理が終了すると、次のステップS116の処理に進む。
ステップS116にてトナー排出制御部50dは、追加で空検知された他のトナーカートリッジ19のディスペンスカウント値と、ディスペンス寿命基準値(100%値)との差分ND(%)を算出し、その差分ND(%)がN(%)以下であるか否かの判断を行う。もし、差分ND(%)が規定値N(%)以下でないと判断した場合には、トナー排出制御部50dが実行する処理はステップS118の処理に分岐する。
ステップS118で、トナー排出制御部50dは、追加で空検知された他のトナーカートリッジ19からディスペンス寿命基準値(100%値)のトナーTを現像器46に排出してしまうと、規定値N(%)を超えてしまって、現像器46内におけるトナー濃度が高くなりすぎてしまい、印刷に支承が生ずる可能性があることから、トナーの排出量を規定値N(%)に制限する処理を行う。そして、トナー排出制御部50dは、規定値N(%)までの排出に必要なトナー排出手段46eの駆動時間を取得して、トナー排出手段46eの駆動を行う。このようにして、印刷に支承が生じない範囲のトナー量を、追加で空検知した他のトナーカートリッジ19から現像器46に排出して、最初に空検知したトナーカートリッジ19と共に、利用者に交換要請を通知することができる。
一方、ステップS116にてトナー排出制御部50dが、差分ND(%)が規定値N(%)以下であると判断した場合には、ステップS120の処理に進む。
ステップS120では、トナー排出制御部50dは、追加で空検知した他のトナーカートリッジ19からディスペンス寿命基準値(100%値)のトナーTを現像器46に排出しても、規定値N%を超えることは無く、現像器46内におけるトナー濃度も印刷に支承が生じない範囲に納まることから、トナーの排出量をディスペンス寿命基準値(100%)に設定する。そして、トナー排出制御部50dは、空状態を検知した他のトナーカートリッジ19内のトナーを、ディスペンスカウント値がディスペンス寿命基準値(100%)(所定値)に達するまでに排出に必要なトナー排出手段46eの駆動時間を取得して、他のトナーカートリッジ19から排出するようトナー排出手段46eの駆動を制御する。このようにして、印刷に支承が生じない範囲のトナー量を、追加検知した他のトナーカートリッジ19から現像器46に排出して、最初に空検知したトナーカートリッジ19と共に、利用者に交換要請を通知することができる。
ステップS118又はステップS120にて、他のトナーカートリッジ19からトナーTの強制排出処理が終了すると、ステップS122に進む。そして、印刷制御部50は、最初のトナーカートリッジ19のトナーTが消耗して、印刷を続行すると印刷に掠れが生ずる不具合を防止するために、印刷動作を中断する。なお、現像器46においてトナー濃度が低い状態が続くと、現像器46におけるトナー濃度の復帰に時間がかかる等の不具合が生じる可能性が高くなるので、ステップS122にて印刷動作を停止する。
そして、次のステップS124に進む。
最初に空検知したトナーカートリッジ19については、トナーTが消耗して空状態が確定していると判断したものであるが、追加検知したトナーカートリッジ19については、トナーTが完全に消耗しているとは確定していない。しかし、既に印刷によりピクセルカウント値が100%を超えているために、公称の印刷可能枚数の印刷は終了している。加えて、現像器46に排出したトナー量に相当する印刷が可能となっている。これらの事情により、図5に示す処理では、利用者によるトナーカートリッジ19の交換頻度を減少させるべく、印刷を中断して、最初に空検知したトナーカートリッジ19と追加で空検知した他のトナーカートリッジ19についての交換要請を行っている。
ステップS124にて印刷制御部50は、操作パネル52の表示部に最初に空検知したトナーカートリッジと追加で空検知したトナーカートリッジ19内のトナーTが消耗した旨と、交換要請の表示を行うとともに、警告音を発して利用者に通知する。利用者により、警告中のトナーカートリッジ19の交換がなされた場合には、交換要請の表示と警告音を停止する。そして、交換がなされたトナーカートリッジ19のディスペンスカウント及びピクセルカウントをリセットして、新たに計数を開始する準備を行う。ステップS124における処理が終了すると、当該トナーカートリッジ空検知処理を終了する。
次に、図6を用いて、図5に示したステップS110における検知部50aが実行する追加空判定の具体例について説明する。図6は、トナーカートリッジ19の消耗判定領域と、トナー排出領域とを説明する図である。
図6に示す横軸は、トナー排出手段46eによるトナーTの排出駆動量を累積したディスペンスカウント値(%)である。この値は、トナーカートリッジ19に収容されているトナーTの質量に対する、トナーカートリッジ19から排出したトナーTの質量を推測した値の割合に相当する。
図6に示す縦軸は、トナーカートリッジ19のトナーTを用いた印刷の画素数を累積したピクセルカウント値(%)である。この値は、公称の印刷可能枚数に対する現在までの累積値の割合に相当する。図6に示す黒塗りのトナーカートリッジ消耗判定領域は、ディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係により定まる領域であり、印刷動作を中断する領域である。
図6に示す斜線の領域は、トナー排出領域は、ディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係により定まる領域である。この斜線の領域は、他のトナーカートリッジ19について追加で空判定した後に、トナーTを現像器46に強制排出する動作を行う領域である。
先ず、図5に示したステップS110からステップS122に分岐してゆく判断処理の具体例について説明する。例えば、他の全てのトナーカートリッジ19における現在のディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係が、図6に示す「Point D」にある場合について説明する。「Point D」は、当該トナーカートリッジ19のピクセルカウント値は95%であって、未だ100%には到達していない。また、ディスペンスカウント値も100%と、トナーカートリッジ消耗判定領域の105%には到達していない。従って、ステップS110における判断では、他の全てのトナーカートリッジ19のピクセルカウント値が、基準値の100%を超えていないと判断して、追加判定は行わずに、ステップS122に分岐する。
次に、図5に示したステップS110からステップS112に進んでゆく判断処理の具体例について説明する。例えば、他のトナーカートリッジ19における現在のディスペンスカウント値及びピクセルカウント値の関係が、図6に示す「Point B」にある場合について説明する。「Point B」は、当該トナーカートリッジ19のピクセルカウント値は102.5%であって、既に100%を超えている。しかし、ディスペンスカウント値は97%であるので、トナーカートリッジ消耗判定領域の100%には到達していない。従って、ステップS110における判断では、他のトナーカートリッジ19のピクセルカウント値が、基準値の100%を超えていると判断して、ステップS112に進む。そして、検知部50aは、追加で空判定を行う。
次のステップS114にて算出した規定値N(%)の値が、規定値N=2%であったとする。図6に示すように、「Point B」におけるディスペンスカウント値は95%であるから、他のトナーカートリッジ19のディスペンスカウント値=95%と、ディスペンス寿命基準値(100%値)との差分ND=5%を算出する。そして、その差分ND=5%が、規定値N=2%以下であるか否かの判断を行う。ここでは、差分ND=5%は、規定値N=2%以下ではないので、ステップS118に分岐する。そして、トナー排出制御部50dは、規定値N=2%相当のトナーTを、第2のトナーカートリッジ19から現像器46へ排出する処理を行う。その結果、図2に示す「Point B」は、「Point C」に移動する。そして、操作パネル52を介して利用者に対する交換要請がなされる。
次に、図6には示していないが、他のトナーカートリッジ19におけるディスペンスカウント値=98.5%、ピクセルカウント値=102.5%であった場合の具体例について説明する。当該具体例は、ステップS120に処理が進む場合の例である。
この場合にも、当該トナーカートリッジ19のピクセルカウント値は102.5%であるので、既に100%を超えている。しかし、ディスペンスカウント値は98.5%であるので、トナーカートリッジ消耗判定領域の100%には到達していない。従って、ステップS110における判断では、他のトナーカートリッジ19のピクセルカウント値が、基準値の100%を超えていると判断して、ステップS112に進む。そして、検知部50aは、追加で空判定を行う。
次のステップS114にて算出した規定値N(%)の値が、規定値N=2%であったとする。他のトナーカートリッジ19におけるディスペンスカウント値は98.5%であるから、他のトナーカートリッジ19のディスペンスカウント値=98.5%と、ディスペンス寿命基準値(100%値)との差分ND=1.5%を算出する。そして、その差分ND=1.5%が、規定値N=2%以下であるか否かの判断を行う。ここでは、差分ND=1.5%は、規定値N=2%以下である。従って、ステップS120に進む。そして、トナー排出制御部50dは、追加判定した他のトナーカートリッジ19のディスペンスカウント値が、ディスペンス寿命基準値(100%値)に到達するまで、規定値N=1.5%相当のトナーTを、他のトナーカートリッジ19から現像器46へ排出する処理を行う。その後、操作パネル52を介して利用者に、他のトナーカートリッジ19の交換要請がなされる。
ステップS114にて算出される規定値N(%)は、現像器46の容量と、トナー濃度の変動マージンによって決定される変数である。このマージンは、環境や経時などのコンディションによって変化するものである。従って、他のトナーカートリッジ19内に残っているトナーTを有効に利用するにあたっては、これらのコンディションに応じて、規定値N(%)を変更することが好ましい。この、規定値N(%)の算出処理について、図7を用いて説明する。
図5のステップS114に実行する処理が進むと、図7に示す強制排出可能規定値Nの算出処理に分岐してくる。図7は、強制排出可能規定値Nの算出処理を説明する図であり、図5のステップS114における処理の詳細を示すフローチャートである。トナー排出制御部50dが実行する処理は、ステップS202の判断に進む。
ステップS202にてトナー濃度取得部50eは、現在設定されているモードが、他のトナーカートリッジ19の空検知の判定を行った際に、新たにプロセスコントロールを行うモードであるか否かの判断を行う。もし、トナー濃度取得部50eは、現在設定されているモードが、新たにプロセスコントロールを行うモードでない場合には、ステップS204に分岐して、前回取得した直近のプロセスコントロールの結果を取得して、トナー濃度を算出する処理を行う。
一方、ステップS202にて、トナー濃度取得部50eは、現在設定されているモードが、新たにプロセスコントロールを行うモードである場合には、ステップS206に分岐して、新たにプロセスコントロールを実施して結果を取得し、トナー濃度を算出する処理を行う。
ステップS206では、例えば、所定の印刷間隔、又は所定の時間経過毎に印刷制御部50が、各色の濃度検出用パターンを描画したトナー像のパッチを、1乃至複数種類、感光体ドラム20上に形成する。そして、そのトナー像を、ADCセンサ60を用いて読み取って、感光体ドラム20上に形成された各色のトナー像の濃度を検出する処理である。なお、現像器46にTCセンサ61が配置されている場合には、トナー濃度取得部50eがTCセンサ61の出力を読み取って、トナー濃度を算出する処理を行う。
ステップS204又はステップS206において、トナー濃度の取得処理が終了すると、次のステップS208に進む。
ステップS208にてトナー排出制御部50dは、温度センサ62及び湿度センサ63の出力を参照して、現在の画像形成装置10における温度及び湿度を取得する。そして、環境に応じた現像器46におけるトナーTの最大許容TC(%)を求める。図8は、現像器46に供給可能なトナーの許容濃度についての、室温及び湿度による環境補正値を記録した図表である。図8に示す例では、低温、低湿になるほど、トナーTの最大許容TC(%)を大きくする設定である。従って、現在の画像形成装置10における環境が、低温、低湿であるほど、多くのトナーTを、追加で空検知した他のトナーカートリッジ19から現像器46へ排出することができるようになる。ステップS208における、環境補正の処理が終了すると、次のステップS210に進む。
ステップS210にてトナー排出制御部50dは、不揮発性メモリ等の記憶手段に記憶されている、他のトナーカートリッジ19の現像器46における現像ロール46aの、交換後の累積回転数を取得する。そして、経時変化に応じた現像器46におけるトナーTの経時補正TC(%)を求める。図9は、現像器46に供給可能なトナーの許容濃度についての、現像ロール46aの経年変化による経時補正値を記録した図表である。図9に示す例では、現像ロール46aの使用を重ねるほど、トナーTの経時補正TC(%)を大きくする設定である。従って、現像ロール46aの使用回数が多いほど、多くのトナーTを、他のトナーカートリッジ19から現像器46へ排出することができるようになる。ステップS210にて、環境補正の処理が終了すると、次のステップS212に進む。
ステップS212にてトナー排出制御部50dは、ステップS210にて算出した現像器46に許容される最大許容TC(%)から、現在のトナー濃度(ProCon結果のTC(%))を減算する。そして、現像器46において上昇させることが可能なトナー濃度の値である、上昇可能TC[U(%)]を算出する処理を行う。そして、次のステップS214の判断に進む。
ステップS214にてトナー排出制御部50dは、上昇可能TC[U(%)]が正の数であるか否かの判断を行う。もし、上昇可能TC[U(%)]の値がゼロ以下でないと判断した場合(正の数である場合)には、ステップS218の処理に進む。
一方、ステップS214にて、トナー排出制御部50dは、上昇可能TC[U(%)]の値がゼロ以下であると判断した場合(負の数である場合)には、ステップS216「U(%)=0」に進み、U(%)として負の数は不適切であることから、U(%)の値に0を代入する。そして、ステップS218の処理に進む。
ステップS218にてトナー排出制御部50dは、ステップS212又はステップS216にて求めた上昇可能TC[U(%)]の値を、ディスペンスカウント値(規定値N(%))に換算する処理を行う。ここで算出したディスペンスカウント値は、図5のステップS116、ステップS118、及びステップS120にて演算を行う際に用いられる。次にステップS218にてトナー排出制御部50dは、上昇可能TC[U(%)]の値を、トナー排出手段46eにおけるトナー排出のための駆動時間に換算する処理を行う。ステップS218における処理が終了すると、図7に示す強制排出可能規定値Nの算出処理を終了して、図5に示したステップS116の処理に進む。
このように、トナー排出制御部50dは、現像器46におけるトナー濃度を取得して、環境補正及び経時補正を行って、他のトナーカートリッジ19内のトナーを排出する規定値N(%)(所定値)を算出して決定することができる。そして、この規定値N(%)の値に基づいて、印刷濃度に影響を及ぼさない範囲内で、より多くのトナーTを、追加で空検知したトナーカートリッジ19から現像器46に排出することができる。そして、同時に複数のトナーカートリッジ19の交換要請を行うことで、利用者の利便性を向上させることができる。
次に、図7に示した強制排出可能規定値Nの算出処理について、具体的な数値を代入した計算例を示す。
先ず、ステップS204又はステップS206にて、追加で空検知したトナーカートリッジ19に対応した現像器46内における最新のトナー濃度が、5.5%と推定されたとする。すると、次のステップS208にて、トナー排出制御部50dは、現在の温度及び湿度の温度環境を取得する。そして、図8に示す図表を参照して、当該現像器46に許容される最大許容TC(%)を求める。ここで、測定した現在の温度及び湿度が、常温、常湿であったとすると、図8を参照して、最大許容TC=10.0%の値を得る。
次に、ステップS210にてトナー排出制御部50dは、追加で空検知した他のトナーカートリッジ19に対応した現像ロール46aの累積回転数を、不揮発性メモリ等の記憶手段から取得する。もし、現像ロール46aの累積回転数が、150000回転であったとすると、図9に示す図表を参照して、当該現像器46に許容される経時補正TC=+0.5%の値を得る。本実施例では、ステップS208にて取得した最大許容TC=10.0%に、ステップS210にて取得した経時補正TC=+0.5%を加算して、最大許容TC=10.5%を得ることができる。
次に、ステップS212にて、トナー排出制御部50dは、最大許容TC=10.5%から、最新のトナー濃度=5.5%を減算することで、上昇可能TCのU=5.0%を得る。そして、ステップS218にて、上昇可能TC[U(%)]を、トナーカートリッジの寿命を定義するディスペンスカウントの閾値(%)に換算することで、規定値N(%)を確定することができる。更に、トナー排出制御部50dは、規定値N(%)を、トナー排出手段46eのモータ駆動時間に換算する。この換算したモータ駆動時間を用いて、トナー排出手段46eを駆動する。このようにして、追加で空検知した他のトナーカートリッジ19からトナーTを現像器46に排出することができる。
本発明の実施形態によれば、累積ピクセルカウント値が公称印字可能頁数を超過しているトナーカートリッジについても追加で交換要請を同時に行うことで、利用者の利便性を向上させることができる。また、ピクセルカウント値を用いることによって、トナーの容量センサ等をトナーカートリッジ毎に配置する必要が無くなる。したがって、簡単な構成によりトナーカートリッジの交換作業回数を減らすことができる。特に、小型のプリンタの場合、印字可能公称トナー量が小さい(例えば1,000枚)ため、小型プリンタを利用して大量にプリントするユーザーにはトナーカートリッジの交換作業回数を減らすことができる。
また、追加で空検知されたトナーカートリッジを現像装置へ排出することにより残っていたトナーを有効利用できる。 また、現像器に許容されるトナーの許容濃度まで、追加で空検知されたトナーカートリッジのトナーを現像器へ排出することで、残っていたトナーを有効利用できる。また、最大許容トナー濃度の環境補正や経時補正を行うことによって、追加で空と検知されたトナーカートリッジ内のトナーを現像器に排出することで、残っていたトナーを有効に利用することができる。