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JP5919556B2 - 体外診断ツールおよび体外診断ツール用膜 - Google Patents

体外診断ツールおよび体外診断ツール用膜 Download PDF

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Description

本発明は、高分子を含む原料液から静電気力によりナノファイバを生成させる電界紡糸機構を利用して製造される多孔質材料を含む体外診断ツールの分野に関する。
近年の在宅医療や地域医療の充実に伴い、臨床検査の専門家でなくとも、簡易かつ迅速に、高精度の体外診断を実施できる分析ツールへの要望が大きくなってきている。例えば、免疫クロマトグラフィーに代表される乾式の体外診断ツール(バイオセンサ)は、試薬の調製を必要とせず、極めて簡易に被検溶液中の被検物質を定量的または定性的に分析することが可能である。
上記のような体外診断ツールは、一般に、被検溶液が移動するシート状の多孔質材料と、これを保持する基材シートと、多孔質材料の一部に担持された試薬とで構成されている。そして、被検物質を含む血液、尿などを、多孔質材料の所定の接触部に付与する簡単な操作により、簡易かつ迅速に被検物質を分析することができる。
従来の体外診断ツールに用いられている多孔質材料の多くは、キャスト法を利用して形成される微多孔膜である。このような微多孔膜は、ポリマー溶液を支持体ウェブに塗布してフィルムを形成し、その後、フィルムを洗浄してフィルム中に内包されている物質を除去することにより形成されている(特許文献1参照)。
国際公開第2001/089673号パンフレット
しかし、キャスト法を利用して形成される微多孔膜は、比表面積が小さく、被検物質と反応する試薬を十分量かつ良好な分散性で保持することが困難である。また、微多孔膜では、フィルムを厚さ方向に貫通するように連通した被検溶液の移動経路が形成されやすく、フィルムの面方向に連通した移動経路が形成されにくい。従って、従来の微多孔膜は、体外診断ツールに用いる多孔質材料として適した構造を有するとはいえない。
一方、不織布は、比表面積は大きく、かつ方向性を持たない三次元の移動経路を形成しやすいため、一側面においては、体外診断ツールの多孔質材料として有望である。ただし、不織布構造は、疎水性を発現することが多く、被検溶液の浸透性を高めるのには限界がある。そのため、被検物質の分析に要する時間を短縮するのにも限界が生じ、不織布を用いるメリットが低減される。なお、不織布構造が疎水性を発現する理由は、定かではないが、微細な繊維がランダムな方向に配向することにより、ハス葉効果(ロータス効果)を生じ、その結果、疎水性が発現すると考えられる。
上記に鑑み、本発明の一局面は、被検溶液中の被検物質を定量的または定性的に検知する体外診断ツールであって、基材シートと、前記基材シートの表面に接合された、多孔質層と、前記多孔質層の一部に担持された、前記被検物質と反応する試薬と、を具備し、前記多孔質層は、ナノファイバのマトリックス構造を有し、前記ナノファイバの長軸が、一方向に配向しており、長軸方向が前記多孔質層の主面と30度以下の角度θを成す基準ナノファイバを前記多孔質層の主面に垂直な方向から見たとき、前記長軸方向と平行なベクトル成分をX軸とするX−Y平面において、前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの50%超の長軸方向のX軸方向のベクトル成分xとY軸方向のベクトル成分yとが、x>yを満たす、体外診断ツールに関する。
また、本発明の他の局面は、被検溶液中の被検物質を定量的または定性的に検知する体外診断ツール用膜であって、基材シートと、前記基材シートの表面に接合された、多孔質層と、を具備し、前記多孔質層は、ナノファイバのマトリックス構造を有し、前記ナノファイバの長軸が、一方向に配向しており、長軸方向が前記多孔質層の主面と30度以下の角度θを成す基準ナノファイバを前記多孔質層の主面に垂直な方向から見たとき、前記長軸方向と平行なベクトル成分をX軸とするX−Y平面において、前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの50%超の長軸方向のX軸方向のベクトル成分xとY軸方向のベクトル成分yとが、x>yを満たす、体外診断ツール用膜に関する。
上記体外診断ツールの製造方法は、例えば(i)基材シートをナノファイバ形成空間に供給する工程と、(ii)前記ナノファイバ形成空間において、溶媒および前記溶媒に溶解した樹脂原料を含む原料液から静電気力によりナノファイバを生成させる工程と、(iii)前記生成したナノファイバの長軸を一方向に配向させ、前記長軸が一方向に配向したナノファイバを、前記基材シートの表面に堆積させて、前記ナノファイバのマトリックス構造を有する多孔質層を形成する工程と、(iv)前記多孔質層の一部に、被検溶液中の被検物質と反応する試薬を担持させる工程と、を具備する。
上記体外診断ツール用膜の製造方法は、例えば(i)基材シートをナノファイバ形成空間に供給する工程と、(ii)前記ナノファイバ形成空間において、溶媒および前記溶媒に溶解した樹脂原料を含む原料液から静電気力によりナノファイバを生成させる工程と、(iii)前記生成したナノファイバの長軸を一方向に配向させ、前記長軸が一方向に配向したナノファイバを、前記基材シートの表面に堆積させて、前記ナノファイバのマトリックス構造を有する多孔質層を形成する工程と、を具備する。
本発明によれば、被検溶液の移動と被検物質の分析に適した構造の体外診断ツールが得られる。具体的には、本発明の体外診断ツールは、ナノファイバのマトリックス構造を有する多孔質層(不織布)で形成されていることから、試薬を保持させる比表面積が大きくなり、必要量の試薬を、良好な分散状態で保持することができる。また、不織布は、その厚さ方向のみならず、面方向にも連通した移動経路を形成しやすいため、被検溶液の移動に対する抵抗が小さくなる。そして、ナノファイバの長軸が一方向に配向していることにより、多孔質層の親水性が高められ、被検溶液の浸透性が向上する。よって、体外診断ツールによる迅速かつ高精度な被検物質の分析が可能となる。
ナノファイバの長軸が一方向に配向している状態を説明する図である。 本発明の一実施形態に係る体外診断ツールの断面(a)および上面(b)の構成を概略的に示す図である。 同体外診断ツールによる被検物質の測定原理を概念的に示す説明図である。 体外診断ツール用膜の製造システムの一例の構成を示す図である。 電界紡糸ユニットの一例の構成を示す上面図である。 ガス流を衝突させることによりナノファイバが一方向に配向し、その状態で基材シートに堆積する原理を概念的に説明する図である。 体外診断ツール用膜の製造システムの別の一例の構成を示す図である。
本発明の体外診断ツールは、基材シートと、基材シートの表面に接合された、多孔質層と、多孔質層の一部に担持された、被検物質と反応する試薬と、を具備し、多孔質層は、電界紡糸法により形成されたナノファイバのマトリックス構造を有する。ただし、ナノファイバの長軸は一方向に配向している。
以下、基材シートと、基材シートの表面に接合された多孔質層との組み合わせは、体外診断ツール用膜ともいう。
ナノファイバの長軸が一方向に配向しているかどうかは、以下のように判断される。
ここでは、多孔質層を、その主面に垂直な方向から見た図1(a)および図1(b)を参照しながら説明する。
(i)はじめに対象となるマトリックス構造1を構成するナノファイバ2の中から、その長軸方向が多孔質層の主面と30度以下の角度θを成すナノファイバ(基準ナノファイバ2a)を任意に選択する。ただし、ナノファイバ2aの長軸方向は、ナノファイバ2aの長さ方向における両端2x、2yを結ぶ直線の方向(図1(a)中、白抜き矢印の方向)と見なしてよい。
(ii)次に、図1(b)に示すように、基準ナノファイバ2aの長軸方向のうち、多孔質層の主面と平行なベクトル成分をX軸とするX−Y平面をマトリックス構造1の内部に想定する。
(iii)想定されたX−Y平面において、基準ナノファイバ2a以外のナノファイバ2の50%超、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上において、長軸方向のX軸方向のベクトル成分x(3)とY軸方向のベクトル成分y(4)とが、x>yを満たすとき、マトリックス構造を形成するナノファイバは一方向(X軸方向)に配向していると判断できる。この場合、当該50%超のナノファイバにおいて、ナノファイバの長軸方向のX−Y平面に垂直なZ軸方向のベクトル成分zは、x>zを満たすことが好ましい。
上記(iii)のプロセスにおいて、x>yの関係を満たすナノファイバの割合は、例えば20本以上のナノファイバ2における割合として算出すればよい。例えば、20本のナノファイバのうち、その50%超に相当する11本以上が、x>yの関係を満たせば、ナノファイバは一方向に配向していると判断できる。ナノファイバの配向の程度は、大きいほど好ましく、30%以上のナノファイバにおいて、x≧2yを満たすことが好ましい。
ここで、電界紡糸法とは、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を利用して多孔質材料(不織布)を形成する方法である。静電延伸現象とは、溶媒中に高分子樹脂などの溶質を分散または溶解させた原料液を、空間中に流出もしくは噴射させるとともに、原料液に電荷を付与して帯電させたときに、空間を飛行中の原料液が電気的に延伸され、ナノファイバを生成する現象である。静電延伸現象によれば、サブミクロンスケールやナノスケールの繊維径を有するナノファイバの製造が可能である。生成したナノファイバを、基材シートもしくはコレクタに堆積させることで、不織布が形成される。
試薬を保持する多孔質層は、三次元に連通する細孔もしくは空隙を有する不織布である。従って、各層には、その面方向に連通した被検溶液の移動経路が形成され、被検溶液の面方向へのスムーズな移動が可能である。また、不織布は、空隙率が高いため、微多孔膜(特許文献1参照)に比べて、より多くの被検溶液を迅速に吸収することができる。
電界紡糸法では、原料液の状態、原料液を空間中に流出もしくは噴射させる治具の構造、原料液に電荷を付与する電界の大きさなどにより、ナノファイバの繊維径が変化する。従って、これらの条件を適宜選択することにより、ナノファイバの繊維径を比較的容易に制御できる。
なお、被検物質の迅速な定量分析または定性分析を実現する観点からは、各層における被検溶液の移動速度は、速いほど望ましい。そして、被検溶液の移動速度を速めるためには、多孔質層の親水性を高めることが有効である。多孔質層の親水性を高める方法としては、界面活性剤を含む水溶液に多孔質層を浸漬するなどして、多孔質層に親水性基を導入する方法が考えられる。しかし、このような方法は、体外診断ツールの製造コストを増大させることとなる。更に、多孔質層は、界面活性剤を含む水溶液との親和性自体が乏しいため、十分な親水性を付与することが困難である。
一方、電界紡糸法によれば、形成されるナノファイバのマトリックス構造の制御が可能である。そして、ナノファイバの長軸が一方向に配向するようにマトリックス構造を制御することにより、疎水性の発現を抑制し、被検溶液との親和性を高めることが可能となる。また、ナノファイバの長軸を一方向に配向させることにより、その長軸が配向する方向への被検溶液の移動速度が速められる。従って、ナノファイバの長軸を配向させる方向は、被検溶液の進行方向と小さな鋭角(例えば45度未満)を成す程度に近いことが望ましく、被検溶液の進行方向と一致することが最も望ましい。
体外診断ツールは、被検溶液と接触させるための接触部を具備する。従って、ナノファイバの長軸の配向する方向は、被検溶液との接触部から試薬に向かう方向であることが望ましい。具体的には、任意の20本以上のナノファイバの50%超、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上の長軸(ただし、多孔質層の主面と平行なベクトル成分)が、接触部から試薬に向かう方向と45度未満の角度を有することが望ましい。
なお、接触部は、ナノファイバのマトリックス構造を有する多孔質層の一部に設けてもよく、被検溶液を一時的に滞留させるのに適した素材のサンプルパッドなどでもよい。
体外診断ツール用膜に用いるナノファイバの繊維径は、例えば、100〜400nmであり、200〜300nmが好ましい。
このような繊維径のナノファイバによりマトリックス構造を形成することで、多孔質層の比表面積が十分に大きくなり、保持させる試薬の量を増量することが容易となり、かつ試薬の分散性を高めることができる。その結果、体外診断ツールの感度は、極めて高くなり、被検物質の量が微量である場合でも正確な分析が可能となる。
ここで、ナノファイバの繊維径とは、例えば、任意に選択される10個のナノファイバの任意の箇所の直径の平均値として求めればよい。ナノファイバの直径とは、ナノファイバの長さ方向に対して垂直な断面の直径である。そのような断面が円形でない場合には、最大径を直径と見なしてよい。
本発明の体外診断ツール用膜は、例えば、基材シートを準備する工程と、基材シートの一方の表面に、電界紡糸法により、ナノファイバを堆積させ、多孔質層を形成する工程と、を具備する製造方法により得ることができる。また、本発明の体外診断ツールは、上記膜の製造方法に、更に、多孔質層の一部に被検溶液中の被検物質と反応する試薬を担持させる工程、を付与した製造方法により得ることができる。
ここで、基材シートを準備する工程は、例えば、(i)基材シートをナノファイバ形成空間に供給する工程を含む。また、多孔質層を形成する工程は、(ii)ナノファイバ形成空間において、溶媒および溶媒に溶解した樹脂原料を含む原料液から静電気力によりナノファイバを生成させる工程、(iii)生成したナノファイバの長軸を一方向に配向させ、長軸が一方向に配向したナノファイバを、基材シートの表面に堆積させる工程と、を含む。
ナノファイバの長軸を一方向に配向させる方法は、特に限定されないが、一例として、生成したナノファイバに基材シートの面方向への外力を付与する方法が挙げられる。基材シートの面方向への外力とは、基材シートの主面と平行な成分を含む外力であり、そのような外力は、基材シートの主面と垂直な成分を含んでもよい。
基材シートの面方向への外力は、ガス流もしくは風力を利用して、ナノファイバに付与することができる。例えば、ナノファイバ生成空間の下流側で、ナノファイバに基材シートの面方向に向かうガス流を衝突させることが好ましい。ナノファイバ生成空間の下流側とは、ナノファイバ生成空間のうち、ナノファイバの原料液が放出される位置よりも、基材シートに近い領域である。例えば、重力方向に移動中の生成直後のナノファイバに、基材シート近傍で、ガス流を衝突させる。これにより、ナノファイバの下端部が最初にガス流に流されるため、ナノファイバは基材シートの主面と角度を持った状態で堆積する。
あるいは、一方向に高速で移動する基材シートに、ナノファイバを堆積させることにより、ナノファイバの長軸を一方向に配向させることもできる。ナノファイバの下端部が高速で移動する基材シートに接触すると、下端部と基材シートとの摩擦により、ナノファイバは基材シートの移動方向に引っ張られる。その結果、ナノファイバに張力が付与され、一方向に配向した状態となる。
上記のような体外診断ツール用膜の製造方法は、例えば、ラインの上流から下流に基材シートを搬送し、搬送される基材シートの主面に多孔質層を形成する製造システムにより実施することが可能である。このような製造システムは、例えば、(i)基材シートをラインに供給する基材シート供給装置と、(ii)原料液から静電気力によりナノファイバを生成させる電界紡糸機構を有する多孔質層形成装置と、(iii)多孔質層形成装置から送り出される膜を捲き取る回収装置と、を具備する。電界紡糸機構は、搬送される基材シートの上方でナノファイバを生成させる。生成したナノファイバは、重力により下方に移動し、基材シートの主面に堆積して多孔質層を形成する。
なお、「ナノファイバ」とは、高分子物質を含み、繊維径が、例えば10〜800nm、好ましくは10〜100nmの糸状物質を言う。ナノファイバは、種々の添加剤を含んでもよい。
高分子物質としては、セルロース、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチドなどのバイオポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレートなどのポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド等の石油樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
ナノファイバの原料液は、高分子物質を溶媒に溶解した溶液である。溶媒は、高分子物質に応じて、適切なものを選択すればよいが、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
原料液には、無機質固体材料を添加してもよい。無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバの耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。これらは単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
原料液における溶媒と高分子物質との混合比率は、選定される溶媒の種類と高分子物質の種類により異なる。原料液における溶媒は、例えば、60質量%から95質量%である。
以下、図面を参照しながら、発明の体外診断ツールの構造の一例について説明する。
(実施形態1)
図2は、本発明の一実施形態に係る体外診断ツールの構成を概略的に示している。図2(a)は、体外診断ツールの断面図であり、図2(b)は同ツールの上面図である。
ここでは、体外診断ツール100が、抗原抗体反応を利用する免疫クロマトグラフィー試験片である場合について説明する。
体外診断ツール100は、基材シート10bと、基材シートの一方の表面に配置された多孔質層10aとの積層体である体外診断ツール用膜10を具備する。多孔質層10aは、電界紡糸法により形成されたナノファイバのマトリックス構造を有する不織布により形成されている。
体外診断ツール用膜10の形状は、特に限定されないが、例えば、図2(b)に示すような長方形である。長方形の一方の短辺側は、血液、尿、唾液などの被検溶液を添加する被検溶液導入部11として機能する。被検溶液導入部11は、例えば、図2(a)に示すように、多孔質層10aのオープンな表面に設定される。なお、被検溶液導入部11は、多孔質層10aとは別素材のサンプルパッドなどでもよい。
多孔質層10aの被検溶液導入部11から少し離れた第1試薬保持部12には、浸透作用により移動してきた被検溶液中に含まれる被検物質(抗原)に対して特異的に結合する標識試薬12aが保持されている。また、多孔質層10aの被検溶液導入部11から更に離れた第2試薬保持部13には、標識試薬12aと被検物質との結合体を固定化する検知試薬13aが保持されている。標識試薬12aと被検物質との結合体は、検知試薬13aにより第2試薬保持部13に固定化される。これにより、第2試薬保持部13の物性が変化する。その変化を検知することにより、被検物質の定量または定性分析が可能となる。そして、第2試薬保持部13よりも被検溶液導入部11から離れた位置には、体外診断ツール用膜10と連続するように、流れてきた被検溶液を回収する吸液部14が設けられている。
次に、図3を参照しながら、体外診断ツール100により、被検溶液中の被検物質が検知される原理を説明する。
まず、体外診断ツール100の被検溶液導入部11に、被検溶液15が数滴添加される(図3(a)参照)。添加される被検溶液15は、通常、生体から採取される体液であり、様々な物質を含んでいる。ここでは、体液が被検物質であるインフルエンザA抗原15aを含む場合について説明する。
被検溶液導入部11に滴下された被検溶液15は、毛細管現象により多孔質層の内部を移動して、まず、標識試薬12aが保持されている第1試薬保持部12に到達する。標準試薬12aは、第1試薬保持部12から容易に溶け出すことができるように、多孔質層に弱い力で担持されている。第1試薬保持部12では、図3(b)に示すように、インフルエンザA抗原15aだけが、標準試薬12aと特異的に結合し、結合体15bを生成する。なお、標準試薬12aには、金コロイドなどで標識された抗インフルエンザA抗体が用いられる。
生成した結合体15bは、第1試薬保持部12から溶出し、吸液部14に向かって移動し、やがて検知試薬13aが保持されている第2試薬保持部13に到達する。検知試薬13aは、第2試薬保持部13から溶出することがないように、第2多孔質層に強固に結合した状態で担持されている。検知試薬13aは、例えば、標識を有さない抗インフルエンザA抗体である。標識された抗インフルエンザA抗体を有する結合体15bは、図3(c)に示すように、検知試薬13aによりキャッチされる。その結果、第2試薬保持部13の物性は変化する。そのような変化は、例えば、色相の変化として示される。色相の変化は、試験者の目視により、容易に確認することができる。結合体15b以外の被検溶液成分は、第2試薬保持部13を通過して、吸液部14に回収される。
なお、第2試薬保持部13に存在する標識された抗インフルエンザA抗体は、目視による検知のほか、例えば、レーザを用いる光学的分析方法や、電気化学的分析方法により検出することも可能である。
基材シート10bは、特に限定されないが、例えば、帯状の樹脂シート、紙シート、布シート、ガラス繊維シートなどを用いることができる。樹脂シートを構成する樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)などを用いることができる。基材シート10bは、多孔質構造を有していてもよい。
多孔質層10aは、電界紡糸法により形成された第1ナノファイバのマトリックス構造を有する。体外診断ツールの用途が、図1、2に示すような免疫クロマトグラフィーである場合、多孔質層10aの厚さは、例えば50〜200μmが好適である。また、ナノファイバの材質としては、例えばニトロセルロースが好適である。
上記のように、被検溶液は、被検溶液導入部11から吸液部14に向かって移動する。従って、ナノファイバの長軸は、被検溶液導入部11から吸液部14に向かう方向(以下、方向D)に配向していることが望ましい。これにより、被検溶液の移動に対する抵抗が抑制され、被検溶液の移動速度が速められる。具体的には、任意の20本以上のナノファイバの50%超、好ましくは60%以上、更に好ましくは70%以上の長軸(ただし、多孔質層の主面と平行なベクトル成分)が、方向Dと45度未満の角度を有することが望ましい。
吸液部14は、分析終了後の被検溶液を回収できるものであればよく、特に限定されないが、紙シートなどを用いればよい。また、吸液部14の材質は、基材シートや多孔質層と同じ材質であってもよい。
第1試薬保持部12に保持される標準試薬12aは、体外診断ツールの用途に応じて相違する。免疫クロマトグラフィーの標準試薬12aとしては、被検溶液に含まれ得る様々な抗原物質に特異的に結合する抗体をベースとする試薬が用いられる。また、標準試薬12aは、分析が容易となるような標識を有することが望ましい。標識を有する抗体は、ナノファイバに固定化されていない場合、自由に移動可能であり、抗原と結合した状態で被検溶液に溶出しやすい。
第2試薬保持部13に保持される検知試薬13aも、標準試薬12aと同様に、体外診断ツールの用途に応じて選択される。例えば、標準試薬12aに用いる抗体と同じ抗体をベースとする試薬が用いられる。検知試薬13aとして用いる抗体は、第2試薬保持部13でナノファイバに固定化される。これにより、標識された抗体に結合した抗原は、第2試薬保持部13で検知試薬13aにキャッチされ、固定化される。そのため、第2試薬保持部13の物性の変化を測定すれば、抗原の定量や定性が可能となる。
例えば、第2試薬保持部13の色相が変化する場合には、色相の変化の有無により、特定の抗原(被検物質)が被検溶液に含まれていること、すなわち被検溶液の性質の少なくとも一部を解明することができる。また、色相の変化の程度により、被検溶液に含まれている被検物質の濃度を評価することができる。
次に、体外診断ツール用膜の製造方法の一例について、より具体的に説明する。
体外診断ツール用膜は、ラインの上流から下流に基材シートを搬送し、搬送される基材シートの主面に多孔質層を形成する一連の工程により製造することができる。
上記製造方法は、より具体的には、(i)基材シートをナノファイバ形成空間に供給する工程と、(ii)ナノファイバ形成空間において、原料液から静電気力により第1ナノファイバを生成させるとともに、生成した第1ナノファイバを基材シートの主面に堆積させて多孔質層を形成する工程と、(iii)完成した膜を回収する工程と、を有する。
工程(ii)におけるナノファイバの生成から多孔質層の形成までは、電界紡糸機構を用いて行われる。電界紡糸機構は、例えば、原料液を収容する収容部を具備するとともに原料液を一定の方向に放出する放出口を有する放出体と、放出された原料液を帯電させる帯電手段と、原料液から空間中で生成されるナノファイバを収集するコレクタ部とを備えている。コレクタ部は、搬送されている基材シートにナノファイバが堆積されるように、基材シートと平行に構成することが好ましい。すなわち、放出体は、ナノファイバを生成させる空間の上方に配置され、コレクタ部は同空間の下方に配置され、基材シートはコレクタ部に沿って一方向に搬送される。
電界紡糸機構において、放出体から原料液が放出されると、空間中に流出され、帯電した原料液からは、空間を飛行中に徐々に溶媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は徐々に減少していくが、原料液に付与された電荷は、原料液に留まる。その結果、空間を飛行中の原料液の電荷密度は、徐々に上昇することとなる。そして、原料液の電荷密度が高まり、原料液の中に発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力よりも勝った時点で、原料液が爆発的に線状に延伸される現象が生じる。この現象が静電延伸現象である。静電延伸現象によれば、繊維径がサブミクロンからナノオーダーのナノファイバを効率よく製造することができる。
ここで、放出体と基材シートとで挟まれた空間には、一方向(好ましくは基材シートの進行方向)に向かうガス流を供給するノズルが設けられる。これにより、基材シートに到達する前のナノファイバにガス流を衝突させることができる。
以下、図面を参照しながら、体外診断ツール用膜の製造システムと製造方法について説明するが、以下のシステムおよび製造方法は、本発明を限定するものではない。
図4は、体外診断ツール用膜の製造システムの一例の構成を概略的に示す図である。
製造システム200は、体外診断ツール用膜を製造するための製造ラインを構成している。製造システム200では、基材シートが製造ラインの上流から下流に搬送される。
製造システム200の最上流には、ロール状に捲回された基材シート10bを内部に収容した基材シート供給装置20が設けられている。基材シート供給装置20は、ロール状の基材シート10bを捲き出して、自身の下流側に隣接する別の装置に基材シート10bを供給する。具体的には、基材シート供給装置20は、モータ24により供給リール22を回転させて、供給リール22に捲回された基材シート10bを第1搬送コンベア21に供給する。
捲き出された基材シート10bは、搬送コンベア21により、電界紡糸ユニット25に移送される。電界紡糸ユニット25が具備する電界紡糸機構は、装置内の上方に設置された原料液を放出するための放出体26と、放出された原料液を帯電させる帯電手段と、放出体26と対向するように基材シート10bを上流側から下流側に搬送する第2搬送コンベア28と、を備えている。第2搬送コンベア28は、基材シート10bとともにナノファイバを収集するコレクタ部として機能する。コレクタ部の近傍には、空気ポンプ45と連通する送風ノズル46が設けられている。送風ノズル46からは基材シート10bの進行方向に向かって、ガス流としての空気が放出される。
なお、電界紡糸ユニット25の台数は、図4では2台となっているが、台数は特に限定されず、1台でも3台以上でもよい。
図5は、電界紡糸ユニット25の構成を概略的に示す上面図である。
電界紡糸ユニット25では、放出体26が基材シート10bの移動方向(図4中の白抜き矢印の方向)に対して斜めに交わるように設置されている。このように放出体26を斜めに設置することで、第2搬送コンベア28と放出体26との対向面積が大きくなるため、多孔質層の生産性を高めることが可能である。なお、放出体26と矢印との成す鋭角θは、特に限定されないが、30〜60°程度とすることが、生産性を十分に向上させる上で好ましい。放出体26は、電界紡糸ユニット25の上方に設置された基材シート10bの移動方向と平行な第1支持体41から下方に延びる第2支持体42により、自身の長手方向が基材シート10bの主面と平行になるように支持されている。
放出体26の基材シート10bの主面と対向する側には、原料液の放出口26aが複数箇所設けられている。放出口26aを規則的なパターンで放出体26に配列させることで、基材シート10bの主面に堆積するナノファイバの量を、主面の広い領域に渡って均一化することができる。放出体26の放出口26aと、基材シート10bとの距離は、製造システムの規模にもよるが、例えば、100〜600mmであればよい。
帯電手段は、放出体26に電圧を印加する電圧印加装置29と、第2搬送コンベア28と平行に設置された対電極30とで構成されている。対電極30は接地されている。これにより、放出体26と対電極30との間には、電圧印加装置29により印加される電圧に応じた電位差(例えば20〜200kV)を設けることができる。なお、帯電手段の構成は、特に限定されず、例えば、対電極30は必ずしも接地しなくてもよい。また、対電極30を設ける代わりに、第2搬送コンベア28のベルト部分を導体から構成してもよい。
放出体26は、導体で構成されており、長尺の形状を有し、その内部は中空になっている。中空部は原料液32を収容する収容部となる。放出体26の基材シート10bと対向する側には、複数の放出口が、一定の間隔で、規則的な配列で設けられている。原料液32は、放出体26の中空部と連通するポンプ33の圧力により、原料液タンク34から放出体26の中空に供給される。そして、原料液32は、ポンプ33の圧力により、複数の放出口から基材シート10bの主面に向かって放出される。放出された原料液は、帯電した状態で放出体26と第2搬送コンベア28との間の空間を移動中に静電爆発を起し、ナノファイバを生成する。
次に、ガス流を衝突させることによりナノファイバの長軸が一方向に配向し、その状態で基材シートに堆積する原理を、図6を参照しながら説明する。
空間を移動中、静電爆発により生成したナノファイバ2は、静電誘引力によって第2搬送コンベア28を移動する基材シート10bの主面に向かって移動する(図6(a))。ナノファイバ2が基材シート10bの近傍に達すると、送風ノズル46からのガス流47により、ナノファイバ2の下端部2bが基材シート10bの移動方向に向かって流される(図6(b))。その結果、ナノファイバ2は、基材シート10bの主面と角度を持つようになり、基材シート10bの進行方向に向かって適度に配向する。
次に、ナノファイバ2の下端部2bが基材シート10bに接触すると、下端部2bは基材シート10bとの摩擦により、基材シート10bの移動方向に引っ張られる(図6(c))。基材シート10bの移動方向に引っ張られている状態のナノファイバ2を破線で示す。その結果、図6に示すように、矢印48の方向に沿って、ナノファイバ2に張力が付与される。これにより、ナノファイバ2は、一方向に配向した状態で基材シート10bの表面に堆積する。
第2搬送コンベア28の最も上流側には、基材シート10bの主面と接触するスキージを設けてもよい。このようなスキージにより、ナノファイバを堆積させる前の基材シート10bの主面の凹凸や皺を除くことができる。これにより、基材シート10bは、第2搬送コンベア28のベルト部分の表面に密着する。従って、ナノファイバは、基材シート10bの主面に、部分的に集中することなく、均一に堆積する。よって、形成される多孔質層の表面は平坦な状態になり、多孔質層の厚みが均一になりやすい。
電界紡糸ユニット25から搬出された基材シート10bと多孔質層10aとの積層体(すなわち体外診断ツール用膜)は、搬送ローラ36を介して、より下流側に配置されている回収装置37に回収される。回収装置37は、搬送されてくる膜を捲き取る回収リール38を内蔵している。回収リール38はモータ39により回転駆動される。
なお、多孔質層を形成する電界紡糸機構は、上記の構成に限定されない。所定のナノファイバ形成空間において、原料液から静電気力によりナノファイバを生成させ、生成したナノファイバを基材シート10bの主面に堆積させることができる機構であれば、特に限定なく用いることができる。例えば、放出体の長手方向に垂直な断面の形状は、上方から下方に向かって次第に小さくなる形状(V型ノズル)であってもよい。また、放出体を回転体により構成してもよい。具体的には、自転車用タイヤのチューブのような中空の放出体に形成し、当該中空に原料液を収容してもよい。そして、中空放出体の外周面に沿って複数の放出口を設け、中心を軸にして環状体を回転させれば、遠心力により放出口から原料液を放出させることができる。放射状に放出された原料液から生成するナノファイバは、環状体を囲うように配置されたコレクタにより回収してもよく、風力により、ナノファイバの移動方向を変化させてから回収してもよい。
また、体外診断ツール用膜の製造システムは、上記の構成に限定されない。例えば、図7に示すように、電界紡糸ユニット25を単独で用い、第2搬送コンベア28に、環状の基材シート10bを巻きつけ、第2搬送コンベア28を高速で回転させてもよい。このような操作によれば、ナノファイバに回転方向の大きな張力を付与することができる。また、基材シート10bの同じ領域に繰り返しナノファイバを堆積させることができるため、所望の厚さを有する多孔質層を形成することができる。
次に、体外診断ツール用膜の多孔質層の一部に、被検溶液中の被検物質と反応する試薬を担持させる工程について説明する。
多孔質層の所定領域(例えば第1試薬保持部または第2試薬保持部に対応する領域)に試薬を担持させる方法は、特に限定されないが、例えば、試薬の水溶液を調製し、適量の水溶液を多孔質層のオープンな表面から滴下して乾燥させることにより、試薬を担持させることができる。
試薬が被検溶液に溶出するのを避けたい場合、すなわち試薬をナノファイバに強固に固定したい場合には、例えば、試薬の水溶液(抗体溶液)を第2多孔質層に塗布後、完全に乾燥させたり、第2多孔質層に親水性を付与する際に用いる界面活性剤の使用量を最小限にしたりすることが有効である。
抗体溶液には、溶液の極性を小さくするために、1〜10質量%のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノールなど)を添加することが好ましい。また、抗体溶液には、リン酸緩衝溶液を添加して、pHを7.4付近に調整することが望ましい。
試薬として用い得る抗体としては、上記インフルエンザ抗体などの他に、例えば、体液中に含まれる蛋白に対する抗体、体液中に含まれるホルモンに対する抗体などが挙げられる。このような抗体は人工的に産生させることができる。例えば、アルブミン等の蛋白、hCG、LH等のホルモンを抗原として用い、マウス、ウサギ等に抗原を感作させると、抗原に対する抗体を産生する細胞が得られる。必要に応じて抗原と抗体による凝集反応を促進させるポリエチレングリコールなどの化合物を試薬保持部に共存させてもよい。
以上、本発明の体外診断ツールおよびそれに用いる膜について、免疫クロマトグラフィーを主要例として説明したが、本発明は、被検物質を含む被検溶液を多孔質層に滴下し、多孔質層中で被検溶液を移動させ、その後、試薬と反応させるステップを含む、様々な体外診断に適用することができる。
本発明は、免疫クロマトグラフィーなどの体外診断を行う様々なツール(バイオセンサ)に適用することができる。体外診断ツールの主要構成材料として、ナノファイバの長軸方向が一方向に配向している多孔質層を用いることにより、多孔質層の疎水性が抑制される(親水性が増大する)ため、体外診断に必要な分析を、迅速かつ高精度で行うことが可能となる。
1:マトリックス構造、2:ナノファイバ、2a:基準ナノファイバ、2x,2y:長さ方向における両端、3:X軸方向のベクトル成分x、4:Y軸方向のベクトル成分y、10:体外診断ツール用膜、10a:多孔質層、10b:基材シート、11:被検溶液導入部、12:第1試薬保持部、12a:標準試薬、13:第2試薬保持部、13a:検知試薬、14:吸液部、15:被検溶液、15a:被検物質(抗原)、15b:結合体、20:基材シート供給装置、21:第1搬送コンベア、22:供給リール、24:モータ、25:電界紡糸ユニット、26:放出体、26a:放出口、28:第2搬送コンベア、29:電圧印加装置、30:対電極、32:原料液、33:ポンプ、34:原料液タンク、36:搬送ローラ、37:回収装置、38:回収リール、39:モータ、41:第1支持体、42:第2支持体、45:空気ポンプ、46:送風ノズル、47:ガス流、100:体外診断ツール、200:製造システム

Claims (13)

  1. 被検溶液中の被検物質を定量的または定性的に検知する体外診断ツールであって、
    基材シートと、
    前記基材シートの表面に接合された、多孔質層と、
    前記多孔質層の一部に担持された、前記被検物質と反応する試薬と、を具備し、
    前記多孔質層は、ナノファイバのマトリックス構造を有し、
    前記ナノファイバの長軸が、一方向に配向しており、
    長軸方向が前記多孔質層の主面と30度以下の角度θを成す基準ナノファイバを前記多孔質層の主面に垂直な方向から見たとき、前記長軸方向と平行なベクトル成分をX軸とするX−Y平面において、前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの50%超の長軸方向のX軸方向のベクトル成分xとY軸方向のベクトル成分yとが、x>yを満たす、体外診断ツール。
  2. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの50%超の長軸方向が、x>yかつx>zを満たし、zは、前記X−Y平面に垂直なZ軸方向のベクトル成分である、請求項1に記載の体外診断ツール。
  3. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの60%以上が、x>yを満たす、請求項1または2に記載の体外診断ツール。
  4. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの70%以上が、x>yを満たす、請求項3に記載の体外診断ツール。
  5. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの30%以上が、x≧2yを満たす、請求項1〜4のいずれか1項に記載の体外診断ツール。
  6. 前記ナノファイバは、電界紡糸法により形成されたものである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の体外診断ツール。
  7. 前記対外診断ツールが、前記被検溶液と接触させるための接触部を有し、
    前記ナノファイバの長軸の配向する方向が、前記接触部から前記試薬に向かう方向である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の体外診断ツール。
  8. 被検溶液中の被検物質を定量的または定性的に検知する体外診断ツール用膜であって、
    基材シートと、
    前記基材シートの表面に接合された、多孔質層と、を具備し、
    前記多孔質層は、ナノファイバのマトリックス構造を有し、
    前記ナノファイバの長軸が、一方向に配向しており、
    長軸方向が前記多孔質層の主面と30度以下の角度θを成す基準ナノファイバを前記多孔質層の主面に垂直な方向から見たとき、前記長軸方向と平行なベクトル成分をX軸とするX−Y平面において、前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの50%超の長軸方向のX軸方向のベクトル成分xとY軸方向のベクトル成分yとが、x>yを満たす、体外診断ツール用膜。
  9. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの50%超の長軸方向が、x>yかつx>zを満たし、zは、前記X−Y平面に垂直なZ軸方向のベクトル成分である、請求項8に記載の体外診断ツール用膜
  10. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの60%以上が、x>yを満たす、請求項8または9に記載の体外診断ツール用膜。
  11. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの70%以上が、x>yを満たす、請求項10に記載の体外診断ツール用膜。
  12. 前記基準ナノファイバ以外のナノファイバの30%以上が、x≧2yを満たす、請求項8〜11のいずれか1項に記載の体外診断ツール用膜。
  13. 前記ナノファイバは、電界紡糸法により形成されたものである、請求項8〜12のいずれか1項に記載の体外診断ツール用膜
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