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JP5910794B2 - 波長変換素子及び光源装置 - Google Patents

波長変換素子及び光源装置 Download PDF

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Description

本発明は、波長変換素子及び光源装置に関する。
近年、擬似位相整合を用いて波長変換を行う技術が開発されている。擬似位相整合は、強誘電体結晶に分極反転構造を周期的に形成した素子を用いて行われる。
例えば特許文献1には、レーザ光を、波長変換素子を用いて波長変換することが記載されている。詳細には、特許文献1に記載の技術は、半導体レーザが発熱した場合にレーザ光の波長がシフトするため、波長変換した後のレーザ光の出力が低下することを課題としている。そしてこの課題を解決するために、波長変換素子における分極反転周期にバラツキを持たせている。
国際公開第2004/025363号
レーザ光源としては、マルチモードのレーザ光を生成する光源と、シングルモードのレーザ光を生成する光源とがある。マルチモードのレーザ光の光源は、シングルモードのレーザ光の光源と比較してコスト的に有利である。そこで、本発明者は、マルチモードのレーザ光を波長変換することにより、所望の波長のレーザ光を得ることを検討した。しかし、マルチモードのレーザ光は発振モードが変化するため、出力光の強度が安定しない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マルチモードのレーザ光を波長変換することにより、所望の波長のレーザ光を得る場合において、出力光の強度を安定させることにある。
本発明によれば、光源装置は、光源及び波長変換部を備えている。光源は、マルチモードのレーザ光を発生させる。波長変換部は、光源が生成したレーザ光を波長変換する。そして波長変換部は、強誘電体結晶を備えている。強誘電体結晶には、分極反転構造が形成されている。分極反転構造は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有している。第1の領域における分極反転の周期Λ0は、下記(1)式を満たしており、残りの領域における分極反転の周期Λは、下記(2)式を満たしている。
Figure 0005910794
Figure 0005910794
ここで、λpは、光源が生成したレーザ光の0次モードの波長である。λoutは、λpの第2次高調波の波長である。n(λp)は、λpでの強誘電体結晶の屈折率である。mは整数であり、Δλは、光源が生成したレーザ光における隣り合うモードの間の波長の差である。
この光源装置において、分極反転構造の周期は、上記(1)式及び(2)式の代わりに、下記(3)式を満たしていても良い。
Figure 0005910794
なお、Λは、−m次モードおよび+m次モードの和周波の波長を、前記0次モードの光の2次高調波と同一の波長にするための分極反転周期である。
本発明によれば、マルチモードのレーザ光を波長変換することにより、所望の波長のレーザ光を得る場合において、出力光の強度を安定させることができる。
上述した目的、およびその他の目的、特徴および利点は、以下に述べる好適な実施の形態、およびそれに付随する以下の図面によってさらに明らかになる。
第1の実施形態に係る光源装置の構成を示す図である。 光源から出力されるレーザ光のスペクトル分布を説明するための図である。 波長変換部の第1例を示す図である。 波長変換部の第2例を示す図である。 第2の実施形態に係る波長変換部を示す図である。 第3の実施形態に係る波長変換部を示す図である。 図6の変形例を示す図である。 実施例に係る光源装置において、λpの2次高調波となる波長の光の出力の強度の時間依存性を示すグラフである。 比較例に係る光源装置において、λpの2次高調波となる波長の光の出力の強度の時間依存性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る光源装置10の構成を示す図である。光源装置10は、光源100及び波長変換部200を備えている。光源装置10は、例えば、眼底検査装置の光源や、ガス分析装置の光源として使用される。光源100は、マルチモードのレーザ光を発生させる。波長変換部200は、光源100が生成したレーザ光を波長変換する。そして波長変換部200は、強誘電体結晶210(後述)を備えている。強誘電体結晶210には、分極反転構造220が形成されている。分極反転構造220は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有している。第1の領域における分極反転の周期は、下記(4)式を満たしており、残りの領域における分極反転の周期は、下記(5)式を満たしている。
Figure 0005910794
Figure 0005910794
ここで、λpは、光源100が生成したレーザ光の0次モードの波長である。λoutは、λpの第2次高調波の波長である。n(λp)は、λpでの強誘電体結晶210の屈折率である。mは整数であり、Δλは、光源100が生成したレーザ光における隣り合うモードの間の波長の差である。
そして、上記した(4)式は、光源100が生成したレーザ光の0次モードの光の2次高調波を生成するための条件(SHG位相整合条件)を示している。また、上記した(5)式は、光源100が生成したレーザ光の+m次モードの光と−m次の光の和周波によって、0次モードの光の2次高調波と同一の波長の光を生成するための条件である。以下、詳細に説明する。
光源100は、光源素子110及び外部共振器120を有している。光源素子110は、例えばレーザダイオードなどの半導体レーザであり、光源100が生成するレーザ光の光源となっている。光源素子110が生成する光の0次モードの波長は、特に限定されない。
外部共振器120は、例えばファイバーブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:FBG)であり、光源素子110が生成した光を共振させる。ここで、外部共振器120は、0次モードで共振する場合もあれば、それとは異なるモード(m次モード)で共振する場合もある。すなわち外部共振器120から出力される光の共振モードは安定していない。
なお、光源素子110の中に共振器を内蔵させる場合と比較して、外部共振器120を用いると、光源100のコストは低くなる。また、外部共振器120を取り替えることにより、光源100から出力されるレーザ光の波長を容易に変えることができる。
光源100から出力された光は、光路410を介して波長変換部200に入射される。そして波長変換部200で波長変換された光は、光路420を介して出力部300から外部に出射する。なお、光路410,420は、例えば光ファイバーである。この光ファイバーは、どのようなタイプの光ファイバーであっても良い。
図2は、光源100から出力されるレーザ光のスペクトル分布を説明するための図である。この図に示すように、光源100から出力されるレーザ光には、複数の共振モードが含まれている。そして、最も強度が高いのは、外部共振器120における共振モードが0次の場合(波長:λp)である。そして、共振モードが+1次(−1次)、+2次(−2次)・・・となるにつれて、光の強度は徐々に低下している。また、隣り合うモードの波長の差(Δλ)は同一である。このため、例えば+m次モードの光の波長はλp+mΔλとなり、−m次モードの光の波長はλp−mΔλとなる。
図3は、波長変換部200の第1例を示す図である。本図に示す例において、波長変換部200は一つの強誘電体結晶210から構成されている。そしてこの強誘電体結晶210は、図中x方向に光が進む。そして強誘電体結晶210は、バルク型の波長変換素子となっており、幅方向(図中y方向)において全体が分極反転構造220となっている。なお、強誘電体結晶210を構成する強誘電体は、例えばLiNbOであるが、他の強誘電体、例えばLiTaOであってもよいし、これらにMgOを添加したものであってもよい。
そして、分極反転構造220には、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域が含まれている。本図に示す例では、分極反転構造220には、周期がΛとなっている第1の領域と、周期がΛとなっている第2の領域とを有している。第1の領域の周期Λは、上記した(4)式を満たしており、第2の領域の周期Λは、上記した(5)式(ただしm=1)を満たしている。
図4は、波長変換部200の第2例を示す図である。本図に示す例は、分極反転構造220が第3の領域を含む点を除いて、図3に示した例と同様の構成である。すなわち、第1の領域の周期Λは、上記した(4)式を満たしており、第2の領域の周期Λは、上記した(5)式(ただしm=1)を満たしている。そして第3の領域の周期Λは、上記した(5)式(ただしm=2)を満たしている。
なお、図3及び図4に示す例において、レーザ光が進む方向(図中x方向)において、複数の領域は繰り返し配置されている。
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態によれば、波長変換部200の分極反転構造220は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有している。第1の領域における分極反転の周期は、上記した(4)式を満たしており、残りの領域における分極反転の周期は、上記した(5)式を満たしている。そして、上記した(4)式は、光源100が生成したレーザ光の0次モードの光の2次高調波を生成するための条件(SHG位相整合条件)を示している。また、上記した(5)式は、光源100が生成したレーザ光の+m次モードの光と−m次の光の和周波によって、0次モードの光の2次高調波と同一波長の光を生成するための条件である。
従って、波長変換部200を用いることにより、光源100が生成した0次モードの光と、m次モードの光の双方を、0次モードの光の2次高調波と同一の波長の光に変換することができる。従って、レーザ光の発振モードが発信中に変化しても、光源装置10の出力光の強度を安定させることができる。
また、分極反転構造220が有する領域の種類を2つ又は3つにすると、この効果は最も大きくなる。
また、バルク型の波長変換素子において、波長変換効率が最も高くなるのは、光の進行方向における中央部である。そこで本実施形態のように、分極反転構造220において、複数の領域は繰り返し配置されているようにすると、0次モードの光の波長変換効率、並びにm次モード及び−m次モードの光の波長変換効率の双方を、高くすることができる。
なお、上記した(4)式及び(5)式は、以下の(6)式に変形することができる。この変形においては、以下の(7)式が使われる。
Figure 0005910794
Figure 0005910794
そして、(4)式及び(5)式の代わりに、(6)式を満たすように波長変換部200を設計しても、上記した効果を得ることができる。また(6)式を用いると、波長変換部200の設計が容易になる。
(第2の実施形態)
本実施形態に係る光源装置10は、波長変換部200の構成を除いて第1の実施形態に係る光源装置10と同様の構成である。
図5は、本実施形態に係る波長変換部200の構成を示す図である。本実施形態において、波長変換部200は、複数の強誘電体結晶及びそれらの間に配置されたレンズ250を有している。複数の強誘電体結晶のそれぞれには、単一周期の分極反転構造が形成されている。ただし、第1の強誘電体結晶の分極反転構造の周期は式(4)を満たしており、残りの強誘電体結晶の分極反転構造の周期は式(5)を満たしている。第1の強誘電体結晶は、最も入射側に位置していても良いし、最も出射側に位置していても良いし、残りの強誘電体結晶に挟まれるように配置されていてもよい。そして、レンズ250は、そのレンズ250の手前の強誘電体結晶から出射した光を、その次の強誘電体結晶に入射させる。
例えば図5に示す例では、強誘電体結晶212及び強誘電体結晶214が設けられている。強誘電体結晶212の分極反転構造222の周期は式(4)を満たしており、強誘電体結晶214の分極反転構造224の周期は式(5)(ただしm=1)を満たしている。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(第3の実施形態)
本実施形態に係る光源装置10は、波長変換部200の構成を除いて第1の実施形態に係る光源装置10と同様の構成である。
図6は、本実施形態に係る波長変換部200の構成を示す図である。本実施形態において、波長変換部200は導波路型の波長変換素子となっている。詳細には、強誘電体結晶210には導波路230が形成されている。導波路230の形成方法はどのような方法であっても良い。例えば導波路230は、メサ型であっても良いし、埋め込み型であってもよい。そして、分極反転構造220は導波路230に形成されている。分極反転構造220の構造は、例えば図3と同様であっても良いし、図4と同様であっても良いし、領域の数がさらに多くても良い。
なお、図7に示すように、分極反転構造220は複数の領域に分割して形成されていても良い。この場合、各領域には、単一周期の分極反転構造が形成されていてもよい。例えば図7に示す例では、導波路230には分極反転構造222,224が形成されている。分極反転構造222の周期は式(4)を満たしており、分極反転構造224の周期は式(5)(ただしm=1)を満たしている。
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
第1の実施形態に係る光源装置10を作製し、その光源装置10の出力を分析した。本実施例において、光源素子110としてはレーザダイオードを使用し、外部共振器120としてはFBGを使用した。また、波長変換部200の強誘電体結晶210としては、LiNbOを使用した。そして、分極反転構造220は、図4に示す構造のものを使用した。
また、比較例として、分極反転構造220を、式(4)式を満たす領域のみで形成したものを準備した。
図8は、比較例に係る光源装置10において、λpの2次高調波となる波長の光の出力の強度の時間依存性を示すグラフである。図9は、実施例に係る光源装置10における同様のグラフである。このグラフから、実施例に係る光源装置10は、λpの2次高調波となる波長の光の出力の強度が安定していることが分かる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
この出願は、2013年5月20日に出願された日本出願特願2013−106201号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (7)

  1. 強誘電体結晶と、
    前記強誘電体結晶に形成された分極反転構造と、
    を備え、
    前記分極反転構造にはマルチモードのレーザ光が入射され、
    前記分極反転構造は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有しており、
    第1の前記領域における分極反転の周期Λ0は下記(1)式を満たしており、残りの領域における分極反転の周期Λは、下記(2)式を満たしている波長変換素子。
    Figure 0005910794
    Figure 0005910794
    ここで、
    λp : 前記レーザ光の0次モードの波長
    λout : λpの第2次高調波の波長
    n(λp) : λpでの前記強誘電体結晶の屈折率
    m : 整数
    Δλ : 前記レーザ光における隣り合うモードの間の波長の差
  2. 強誘電体結晶と、
    前記強誘電体結晶に形成された分極反転構造と、
    を備え、
    前記分極反転構造にはマルチモードのレーザ光が入射され、
    前記分極反転構造は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有しており、かつ下記(3)式を満たしている波長変換素子。
    Figure 0005910794
    ここで、
    λp : 前記レーザ光の0次モードの波長
    Λ0 : λpの第2次高調波の発生に必要な分極反転周期
    n(λp) : λpでの前記強誘電体結晶の屈折率
    m : 整数
    Λ : 前記レーザ光の−m次モードおよび+m次モードの和周波の波長を、前記0次モードの光の2次高調波と同一の波長にするための分極反転周期
    Δλ : 前記レーザ光における隣り合うモードの間の波長の差
  3. 請求項1又は2に記載の波長変換素子において、
    前記領域の種類は、2つ又は3つである波長変換素子。
  4. 請求項1〜3に記載の波長変換素子において、
    前記レーザ光が進む方向において、前記複数の領域は繰り返し配置されている波長変換素子。
  5. マルチモードのレーザ光を発生させる光源と、
    前記レーザ光を波長変換する波長変換部と、
    を備え、
    前記波長変換部は、
    強誘電体結晶と、
    前記強誘電体結晶に形成された分極反転構造と、
    を備え、
    前記分極反転構造にはマルチモードのレーザ光が入射され、
    前記分極反転構造は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有しており、
    第1の前記領域における分極反転の周期Λ0は、下記(1)式を満たしており、残りの領域における分極反転の周期Λは、下記(2)式を満たしている光源装置。
    Figure 0005910794
    Figure 0005910794
    ここで、
    λp : 前記レーザ光の0次モードの波長
    λout : λpの第2次高調波の波長
    n(λp) : λpでの前記強誘電体結晶の屈折率
    m : 整数
    Δλ : 前記レーザ光における隣り合うモードの間の波長の差
  6. マルチモードのレーザ光を発生させる光源と、
    前記レーザ光を波長変換する波長変換部と、
    を備え、
    前記波長変換部は、
    強誘電体結晶と、
    前記強誘電体結晶に形成された分極反転構造と、
    を備え、
    前記分極反転構造にはマルチモードのレーザ光が入射され、
    前記分極反転構造は、互いに分極反転の周期が異なる複数の領域を有しており、かつ下記(3)式を満たしている光源装置。
    Figure 0005910794
    ここで、
    λp : 前記レーザ光の0次モードの波長
    Λ0 : λpの第2次高調波の発生に必要な分極反転周期
    n(λp) : λpでの前記強誘電体結晶の屈折率
    m : 整数
    Λ : −m次モードおよび+m次モードが和周波発生するに必要な分極反転周期
    Δλ : 前記レーザ光における隣り合うモードの間の波長の差
  7. 請求項5又は6に記載の光源装置において、
    前記光源は、
    前記レーザ光の光源となる光源素子と、
    前記光源素子が生成した光を共振させる外部共振器と、
    を備える光源装置。
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