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JP5903603B2 - ナノファイバ製造装置および製造方法 - Google Patents

ナノファイバ製造装置および製造方法 Download PDF

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JP5903603B2 JP2012103772A JP2012103772A JP5903603B2 JP 5903603 B2 JP5903603 B2 JP 5903603B2 JP 2012103772 A JP2012103772 A JP 2012103772A JP 2012103772 A JP2012103772 A JP 2012103772A JP 5903603 B2 JP5903603 B2 JP 5903603B2
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Description

本発明は、ナノファイバを素材とする製品(例えば不織布)を製造するための製造装置および製造方法の改良に関する。
サブミクロンオーダーまたはナノオーダーの直径(繊維径)を有するナノファイバと称される糸状(繊維状)物質を製造する方法として、静電延伸現象(エレクトロスピニング)を利用する方法(以下、エレクトロスピニング法という)が知られている。
エレクトロスピニング法においては、例えば樹脂を揮発性の液体に溶解または分散させて原料液を調製する。その原料液を高い電圧により帯電させて、ノズル等から空間中に流出ないしは放出させる。そして、原料液が空間を飛行している間に原料液を静電気力により延伸させることにより、ナノファイバを得る。
より具体的に静電延伸現象によるナノファイバの生成過程を説明すると次のようになる。すなわち、帯電され、電荷が付与されて空間中に放出された原料液は、空間を飛行している間に徐々に溶媒または分散媒が蒸発していく。これにより、飛行中の原料液の体積は減少していく。溶媒等の蒸発にも拘わらず、原料液に付与された電荷は原料液に留まる。その結果、原料液の電荷密度は原料液が空間中を飛行している間に上昇する。
溶媒等が蒸発を続け、原料液の電荷密度がさらに高まると、原料液の内部で発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力を上回る。それにより、原料液が爆発的に線状に延伸される。そのような現象を静電延伸現象という。静電延伸現象は、空間中で連鎖的に引き起こされ、それにより、原料液は幾何級数的に細分化されて延伸される。その結果、サブミクロンオーダーないしはナノオーダーの直径を有する糸状物質(ナノファイバ)が生成される。
以上の原理を利用してナノファイバを製造するための具体的な装置として、特許文献1は、細長い管状の容器に、一列に並ぶように原料液放出孔を形成し、それらの原料液放出孔から原料液を空間中に放出して、ナノファイバを生成している。空間中で生成されたナノファイバは、原料液の放出方向と垂直な方向に一定の速度で送られる帯状のコレクタの表面に堆積される。これにより、ナノファイバが不織布として回収される。
ここで、特許文献1の装置では、原料液の流れに沿った気流を発生させることで、ナノファイバの生成を促進している。より具体的には、原料液から蒸発した溶媒等の揮発成分が原料液の流れに沿った空間に滞留すると、その空間の揮発成分の濃度が上昇する。揮発成分の濃度が高くなると、原料液からの揮発成分の蒸発が阻害される。特許文献1では、上記の気流により、その空間の揮発成分の濃度を低減することで、原料液からの揮発成分の蒸発を促進している。ここで、特許文献1の図7に示されているように、複数の放出体を使用することで、生産効率を向上させることが検討されている。
特開2012−26065号公報
しかしながら、複数の放出体をナノファイバの製造装置に備えさせた場合には、その分だけ装置が大型化する。装置の大型化を防止するためには、複数の放出体相互の間隔をできるだけ小さくすることが有効であると考えられる。
ところが、放出体相互の間隔を一定距離以下に小さくすると、各放出体から放出される原料液相互の間で電界干渉が生じる。そのため、放出体相互の間隔を一定距離以下に小さくするのは困難であり、これにより装置の小型化に困難を生じる。また、複数の放出体を使用することで、装置の部品点数も増大する。
そこで、本発明は、ナノファイバの製造装置の構造の簡素化および小型化を容易とし、かつナノファイバを素材とする高品質の製品を、高い生産効率で製造することができる、ナノファイバ製造装置および製造方法を提供することを目的としている。
本発明の一局面は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置であって、
前記原料液を供給する第一供給路および第二供給路、前記第一供給路により供給された前記原料液を放出する第一群放出部、並びに、前記第二供給路により供給された前記原料液を放出する第二群放出部を有する原料液放出ツールと、
前記第一群放出部および第二群放出部から放出される前記原料液をそれぞれ帯電させる帯電手段と、
前記第一群放出部および第二群放出部から放出された前記原料液から空間中でそれぞれ生成される前記ナノファイバを収集するコレクタと、を備え、
前記第一群放出部が、一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部を含み、
前記第二群放出部が、一定のピッチで前記第一放出部と並ぶ二以上の第二放出部を含み、
前記第一放出部および前記第二放出部の並びの方向の位置が互いに異なっており、
前記原料液放出ツールが、前記第一群放出部と前記第二群放出部との間に配設され、前記原料液の放出方向に沿った気流を発生させる、複数の気流発生部を有しており、
前記ピッチPTが、前記第一群放出部と前記第二群放出部との距離LGよりも小さく、 複数の前記気流発生部のピッチが、前記ピッチPTよりも小さい、ナノファイバ製造装置に関する。
本発明の他の局面は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する方法であって、
(i)前記原料液を供給する第一供給路および第二供給路、一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部を含む第一群放出部、および、前記第一群放出部の各第一放出部とは並びの方向での位置を異ならせて一定のピッチで並ぶ二以上の第二放出部を含む第二群放出部、を具備した原料液放出ツールを使用して、前記第一供給路を介して供給された前記原料液を前記第一群放出部から放出するとともに、前記第二供給路を介して供給された前記原料液を前記第二群放出部から放出する工程、
(ii)前記第一群放出部および前記第二群放出部から放出される前記原料液をそれぞれ帯電させる工程、
(iii)前記第一群放出部および前記第二群放出部から放出された前記原料液から空間中でそれぞれ生成されるナノファイバをコレクタにより収集する工程、および
(iv)前記第一放出部と前記第二放出部との間の位置で、複数の気流発生部から前記原料液の放出方向に沿った気流を発生させる工程を含み、
前記ピッチPTが、前記第一群放出部と前記第二群放出部との距離LGよりも小さく、 複数の前記気流発生部のピッチが、前記ピッチPTよりも小さい、ナノファイバ製造方法に関する。
本発明のナノファイバ製造装置、または製造方法によれば、ナノファイバの製造装置の構造の簡素化および小型化を容易とし、かつナノファイバを素材とする高品質の製品を、高い生産効率で製造することができる。
本発明の一実施形態に係るナノファイバ製造装置の概略構成を示す斜視図である。 ナノファイバ製造装置が具備する原料液放出ツールの概略構成を示す断面図である。 原料液放出ツールの下面図である。 原料液放出ツールの概略構成を示す側面図である。 原料液放出ツールの先端部を示す斜視図である。 気流発生部の動作を説明するためのナノファイバ製造装置の正面図である。
本発明は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置に関する。本装置は、原料液を供給する第一供給路および第二供給路、第一供給路により供給された原料液を放出する第一群放出部、並びに、第二供給路により供給された原料液を放出する第二群放出部を有する原料液放出ツールと、第一群放出部および第二群放出部から放出される原料液をそれぞれ帯電させる帯電手段と、第一群放出部および第二群放出部から放出された原料液から空間中でそれぞれ生成されるナノファイバを収集するコレクタと、を備える。第一群放出部は、原料液を一定の方向に放出しても良い。この場合、第一群放出部が原料液を放出する方向と、第二群放出部が原料液を放出する方向とは、同じであっても良い。
第一群放出部は、一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部を含む。第二群放出部も、一定のピッチで第一放出部と並ぶ二以上の第二放出部を含む。そして、本装置においては、第一放出部および第二放出部の並びの方向の位置が互いに異なっている。つまり、第一群放出部と第二群放出部とを全体として見れば、第一放出部と第二放出部とがジグザグに並んでいる。放出部を形成するピッチは、例えば5〜30mmとすることができる。このとき、ピッチPTが、第一群放出部と第二群放出部との距離LGよりも小さいことを特徴とする。第一放出部のピッチPTと第二放出部のピッチとは、等しくても良い。また、第一群放出部と第二群放出部とは、平行であっても良い。
上記のような配置で第一放出部と第二放出部とを設けることで、第一放出部と、これに最も近い第二放出部との間隔を、第一群放出部と第二群放出部との間隔(垂直距離)LGよりも大きくすることができる(図3参照)。したがって、第一群放出部と第二群放出部との間隔を従来よりも小さくしても、帯電された原料液の間の電気力による干渉で、原料液の飛行の軌跡が不安定になる等の不都合を防止することができる。これにより、第一群放出部および第二群放出部が形成される原料液放出ツールのサイズを小さくすることができ、それが取り付けられる移動機構のヘッド等を小型化することができる。よって、装置の構造を簡素化して、装置を小型化することが容易となるとともに、ナノファイバを素材とする高品質の製品を、高い生産効率で製造することが可能となる。なお、原料液放出ツールが備える放出部の群ないしは列の数は、二に限らず、三以上とすることができる。すなわち、本発明は、放出部の群ないしは列の数が三以上の場合も包含する。
ここで、「ナノファイバ」とは、高分子物質からなる繊維径数10〜数100nmの糸状物質を言う。コレクタとしては、特に限定されないが、例えば、帯状の樹脂シート、紙シート、布シート、ガラス繊維などが用いられる。樹脂シートを構成する樹脂としては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどを用いることができる。コレクタが、例えば集塵などに用いられるフィルタの一部を構成する場合には、基材自身が多孔質構造を有していてもよい。
さらに、「放出部」は、代表的には、原料液放出ツールの内部に設けた原料液の供給路に一端が開口し、かつ原料液放出ツールの表面に他端が開口する貫通孔を含む。そのような貫通孔は、ツール表面に形成した凸部の頂点に他端開口が形成された形態を取り得る。あるいは、「放出部」は、上記の貫通孔と接続されるノズルをツール表面に取り付けた形態を取り得る。しかしながら、そのような凸部あるいはノズルをツール表面に設けると、電荷の集中によるイオン風が生じやすくなる。このため、放出部は、ツール表面に開口する単なる貫通孔だけを含むのが好ましい。
そして、本発明では、第一供給路と第二供給路とは互いに独立して形成される。これに対して、第一供給路および第二供給路を一体に形成して、共通の供給路により第一放出部および第二放出部に原料液を供給することも考えられる。しかしながら、その場合には、第一供給路および第二供給路により各放出部に供給される原料液の圧力を独立に設定することができなくなる。本発明によれば、第一供給路および第二供給路を独立に形成することで、各供給路から各放出部に供給される原料液の圧力を自由に設定することが可能となる。その結果、均一な圧力で各放出部に原料液を供給することも容易となる。また、各放出部から放出される原料液の間で電界干渉が生じないように、放出圧を調節することも容易となる。
また、本発明のナノファイバ製造装置において、原料液放出ツールは、第一群放出部と第二群放出部との間に配設され、原料液の放出方向に沿った気流を発生させる、少なくとも一つの気流発生部を有している。第一群放出部および第二群放出部は、上記と同様に、それぞれ一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部、一定のピッチで第一放出部と並ぶ二以上の第二放出部を含み、第一放出部と第二放出部とはジグザグに並んでいる。このとき、複数の気流発生部のピッチが、ピッチPTよりも小さいことを特徴とする。
このように、原料液放出ツールに原料液の流れに沿った気流を発生させる気流発生部を設けることで、原料液ないしはナノファイバが飛行する経路に沿った空間(以下、そのような空間を、原料液の飛行経路あるいは単に飛行経路ともいう)の揮発成分の濃度を速やかに低減することができる。また、第一群放出部および第二群放出部から放出される原料液同士の間に気流を介在させることで、各群放出部相互の電界干渉を抑制することができる。その結果、製造装置の小型化等が容易になるとともに、ナノファイバを素材とするより高品質な製品を、より高い生産効率で製造することが可能となる。以下、この点を詳しく説明する。
上述したとおり、ナノファイバの原料液は、空間中を飛行する間に蒸発するような揮発性の高い成分を含んでいる。そのような揮発成分の蒸発速度は、原料液の飛行経路における揮発成分の濃度に影響される。その濃度が高いほどに、揮発成分の蒸発速度は低下し、静電延伸現象によって原料液の細分化が進む速度も低下する。
したがって、高品質のナノファイバを製造するためには、原料液の飛行経路における揮発成分の濃度は可能な限り低くするのが好ましい。本形態の装置においては、飛行経路に沿った気流を発生させることで、原料液の飛行の軌跡が不安定にならないような態様で、飛行経路の揮発成分の濃度を効果的に低減することが可能となる。そして、そのような気流発生部を原料液放出ツールと別に設けるのではなく、原料液放出ツールと一体的に設けることで、装置の構造を簡素化することができるとともに、装置を小型化することが容易となる。
さらに、第一群放出部と第二群放出部との間に気流発生部を配設することで、第一群放出部の近傍でイオン風が発生しても、第一群放出部と第二群放出部との間の気流により、第二群放出部から放出される原料液の流れに、そのイオン風の影響が及ぶのを防止することができる。逆に、第二群放出部の近傍でイオン風が発生しても、第一群放出部から放出される原料液の流れに、そのイオン風の影響が及ぶのを防止することができる。なお、この点については、図5を参照して、後で詳細に説明する。
また、複数の気流発生部が、第一群放出部と第二群放出部との間に配設されることで、より少ない個数の気流発生部によって、揮発成分の濃度低減、およびイオン風の影響防止の両方の十分な効果が達成される。したがって、装置構造の簡素化等がさらに容易となる。
ここで、「気流発生部」は、代表的には、エアポンプ等から供給される圧縮空気を原料液の流れに沿って放出あるいは噴出するように、原料液放出ツールの表面に開口する通気孔を含む。または、気流発生部は、例えば複数個の軸流ファンを、第一群放出部と第二群放出部との間に配設することによっても実現し得る。十分な流量の気流をコンパクトな構造で得るためには、気流発生部は、上記した通気孔を含む構成が好ましい。
本発明のさらに好ましい一形態においては、気流発生部の配置は、最近接する第一放出部と第二放出部との間の位置に設定するのが好ましい。つまり、気流発生部が発生する気流の中心軸が、隣接する第一放出部および第二放出部の開口を結ぶ線分と交わるように気流発生部を配設するのが好ましい(図3参照)。このような気流発生部の配置によって、より確実に、上述した揮発成分の濃度低減、およびイオン風の影響防止の効果を達成することができる。
そして特に、気流発生部が発生する気流の中心軸が、隣接する第一放出部および第二放出部の開口を結ぶ線分の中点と交わるように気流発生部を配設するのが好ましい。つまり、気流発生部の配置は、最近接する第一放出部と第二放出部との間の中央に設定するのが特に好ましい。これにより、一つの気流発生部により発生される気流によって、二つの放出部から放出される原料液の各飛行経路の揮発成分を同じ程度に除去することが可能となる。その結果、各飛行経路の間で揮発成分の濃度に差異が生じるのを防止することが可能となり、均一なナノファイバの生成が容易となる。よって、ナノファイバを素材とするより高品質な製品を製造することが容易となる。
このとき、気流発生部を、第一放出部および第二放出部よりも、原料液の放出方向における後方側に配置するのが好ましい。これにより、各放出部から放出された直後の原料液の飛行経路からも揮発成分を有効に除去することができる。さらに、放出孔の開口部の近傍における気流を層流にすることも容易となる。これにより、放出孔の開口部に原料液によって形成されるテーラーコーン(図5参照)が気流により乱されるのを防止することができる。
一方、本発明のナノファイバ製造方法は、原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する方法であって、(i)原料液を供給する第一供給路および第二供給路、一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部を含む第一群放出部、および、第一群放出部の各第一放出部とは並びの方向での位置を異ならせて一定のピッチで並ぶ二以上の第二放出部を含む第二群放出部、を具備した原料液放出ツールを使用して、第一供給路を介して供給された原料液を第一群放出部から放出するとともに、第二供給路を介して供給された原料液を第二群放出部から放出する工程、(ii)第一群放出部および第二群放出部から放出される原料液をそれぞれ帯電させる工程、および(iii)第一群放出部および第二群放出部から放出された原料液から空間中でそれぞれ生成されるナノファイバをコレクタにより収集する工程、を含む。このとき、ピッチPTが、第一群放出部と第二群放出部との距離LGよりも小さいことを特徴とする。
さらに、本発明のナノファイバ製造方法は、(iv)第一放出部と第二放出部との間の位置で、複数の気流発生部から原料液の放出方向に沿った気流を発生させる工程、を含む。このとき、複数の気流発生部のピッチが、ピッチPTよりも小さいことを特徴とする。

このとき、上記の気流をシート状のコレクタと衝突させることで生じる新たな気流により、第一放出部から放出され原料液の流れの方向と、第二放出部から放出され原料液の流れの方向とを、互いの反対方向に偏向させるのも好ましい。以下、この点を説明する。
上述したように、各放出部から放出された原料液からは徐々に揮発成分が蒸発して、原料液の電荷密度が上昇する。そして、その電荷密度が一定値を超えたときに静電延伸現象が連鎖的に発生する。このため、放出体から放出された原料液は、ある程度の距離を飛行した後に、細分化が開始され、これによりナノファイバが生成される。したがって、ツールないしは放出部と、コレクタとの距離は、原料液の飛行の間に原料液の揮発成分がほとんど蒸発するような距離に設定されるのが好ましいといえる。
ところが、ツールないしは放出部は、原料液に電荷を付与するための一方の電極として機能している。このため、ツールとコレクタとの距離を大きくし過ぎると、ツールから見て、通常、コレクタの背後に配置される(図1等参照)、他方電極との距離が大きくなる。その結果、原料液に電荷を付与するために使用する電源に、出力電圧、ないしは出力電力が非常に高い電源を使用する必要性が生じる。そのような電源は高価であるために、ナノファイバの製造コストが増大する。
本形態の装置によれば、放出体から放出された後の原料液ないしはナノファイバの飛行の軌跡が、単純な直線状ではなく、段差や曲線部を含んだ延長された軌跡に変わる。これにより、ツールとコレクタとの距離を大きくすることなく、上記の軌跡だけを長くすることができる。その結果、製造コストの増大を抑えながら、製造されるナノファイバの品質を向上させることができる。また、ツールとコレクタとの距離を小さくできることから、装置のコンパクト化が容易となる。
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るナノファイバ製造装置を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に、ナノファイバ製造装置を斜視図により示す。図2に、原料液放出ツールの構造を断面図により示す。図3に、原料液放出ツールの下面を拡大して示す。図4に、原料液放出ツールを側面図により示す。
図1に示すナノファイバ製造装置1は、原料液RFを空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバNFを製造する装置であって、原料液放出ツール2と、帯電手段3と、ナノファイバNFを例えば不織布22として回収するナノファイバ回収ユニット4とを備えている。
図2〜図4に示す原料液放出ツール2は、所定のピッチPTで一方向(図1のY軸方向)に沿って並ぶ複数の放出部14Aを含む第一群放出部16Aと、同じ所定のピッチPTで放出部14Aと平行に一列に並ぶ複数の放出部14Bを含む第二群放出部16Bと、を備える。原料液放出ツール2は、さらに、第一群放出部16Aおよび第二群放出部16Bの中間の位置に、放出部14Aおよび放出部14Bと平行に一列に並ぶ複数の気流発生部18を備える。
原料液放出ツール2の内部で、第一群放出部16A(図3参照)の上には、第一群放出部16Aから空間中に放出される原料液を供給するための第一供給路12A(図2参照)が第一群放出部16Aに沿って形成されている。放出部14Aは、第一供給路12Aに一端が開口し、原料液放出ツール2の下面に他端が開口する貫通孔を含む。さらに、原料液放出ツール2の内部で、第二群放出部16Bの上には、第二群放出部16Bから空間中に放出される原料液を供給するための第二供給路12Bが第二群放出部16Bに沿って形成されている。放出部14Bは、第二供給路12Bに一端が開口し、原料液放出ツール2の下面に他端が開口する貫通孔を含む。それらの孔の径は、0.25〜0.4mmにするのが望ましい。貫通孔の長さは、0.1〜5mmの範囲に設定するのが望ましい。これにより、様々な粘度の原料液を、一定の放出圧で各放出部から放出することが容易となる。また、貫通孔の形状は、円筒形状に限定されるわけではなく、三角形や四角形などの多角形、星形など内側に突出する部分のある形状など任意の形状を選択することができる。
第一供給路12Aおよび第二供給路12Bは互いに平行であり、図4に示すように、それぞれの両端部には、図示しない原料液供給装置に接続された導管68が接続されている。導管68を通して、第一供給路12Aおよび第二供給路12Bに原料液が導入される。
以上のように、図示例のナノファイバ製造装置1では、第一供給路12Aおよび第二供給路12Bは互いに独立して形成されている。ここで、第一供給路12Aおよび第二供給路12Bを一体に形成して、共通の供給路により放出部14Aおよび14Bに原料液を供給することも考えられる。しかしながら、その場合には、導管86を通して第一供給路12Aおよび第二供給路12Bに導入される原料液の圧力を独立に設定することができなくなる。これに対して、図示例のように、第一供給路12Aおよび第二供給路12Bを独立に形成する形態では、各供給路から各放出部に供給される原料液の圧力を自由に設定することが可能となる。その結果、均一な圧力で各放出部に原料液を供給することも容易となる。また、各放出部から放出される原料液の間で電界干渉が生じないように、放出圧を調節することも容易となる。
原料液放出ツール2は、各放出部から放出させる原料液に電荷を供給するための電極としても機能する。このため、原料液放出ツール2の原料液と接触する部分の少なくとも一部分(例えば放出部)は導体(黄銅やステンレス鋼などの金属)から形成される。そして、原料液放出ツール2は、帯電手段3を構成するアース線3aにより接地されるとともに、ナノファイバ回収ユニット4に設けられた他方電極88と所定距離で対向するように配置されている。原料液放出ツール2と他方電極88との距離は、各放出部から放出された原料液がナノファイバ回収ユニット4のコレクタ42に到達するまでの間に、静電延伸現象により原料液からナノファイバが生成されるのに十分な距離(例えば、100〜600mm)に設定される。
図3に示すように、放出部14Aおよび14Bが並ぶ方向(Y軸方向とする)において、各放出部14Aが配設される位置と、各放出部14Bが配設される位置とは、1/2ピッチPTだけ相違している。つまり、第一群放出部16Aと第二群放出部16Bとを全体として見ると、放出部14Aと放出部14Bとはジグザグに並んでいる。
上記のような態様で放出部14Aおよび放出部14Bを配置することで、隣り合う放出部14Aと放出部14Bとの距離LT(=L1+L2)を、第一群放出部16Aと第二群放出部16Bとの距離(垂直距離)LGよりも大きくすることができる。よって、原料液放出ツール2を小型化しながら、放出部14Aから放出される原料液と、放出部14Bから放出される原料液との間の静電気力による干渉をできるだけ排除して、原料液の飛行の軌跡を安定化することができる。これにより、装置の小型化が可能となるとともに、高品質なナノファイバを高い生産効率で製造できる。なお、図示例(図3参照)では、距離LGがピッチPTよりも大きくなっている。これに拘わらず、距離LGはピッチPTよりも小さくすることができる。隣り合う放出部14Aと放出部14Bとの距離LTは、ピッチPTと等しく設定し得るからである。つまり、LT>LGであるので、LT=PTに設定すれば、PT>LGとなる。さらに、隣り合う放出部14Aと放出部14Bとの間に気流が介在することで、距離LGをさらに小さくしても電界干渉を防止することができる。これにより、さらに装置の小型化は容易となる。
なお、放出部14Aと放出部14Bとの間のY軸方向の位置ずれは1/2ピッチPTに限られない。その位置ずれが1/2ピッチPTであるとき、最も近い第一放出部14Aおよび第二放出部14Bの距離を最大化できる点では好ましい。しかしながら、1/2ピッチPT以外の位置ずれであっても、最も近い放出部14Aおよび放出部14Bの距離は、少なくとも距離LGよりも大きくなるので、その程度に応じて上記の効果が得られる。
各気流発生部18は、図示例の装置においては、図示しないエアポンプ等により供給される圧縮空気を放出するための通気孔を含む。その通気孔の一端は、原料液放出ツール2の下面に開口しており、他端は、原料液放出ツール2の内部で気流発生部18の上に形成された気体供給路20に開口している。圧縮空気は、導管70(図4参照)を通して気体供給路20に導入される。
図3に示すように、複数の気流発生部18は、放出部14Aおよび14Bと平行に、例えば1/2ピッチPTで一列に並んでいる。そして、図3に示すように、各気流発生部18は、軸心が、隣接する放出部14Aと放出部14Bとを結ぶ線分の中点と交わるように配設されている。つまり、図中の距離L1と、距離L2とが等しくなるように、各気流発生部18は配設されており、各気流発生部18により発生される気流の軸心も、上記の中点と交わる。
このように、気流発生部18を配置することで、放出部14Aおよび14Bから放出される原料液の飛行経路から、少ない個数の気流発生部18により効果的に揮発成分を除去することができる。そして、各飛行経路の揮発成分の濃度を同じ程度に低減できるので、各放出部により生成されるナノファイバを均質にすることもできる。
さらに、気流発生部18の原料液放出ツール2の下面の開口は、放出部14Aおよび14Bの原料液放出ツール2の下面の開口よりも上にある(図2参照)。つまり、気流発生部18により発生される気流の始点は、放出部14Aおよび放出部14Bから放出される原料液の流れの始点よりも、これらの流れの方向で、後方ないしは上流側にある。これにより、各放出部から放出された直後の原料液から蒸発した揮発成分も有効に除去することが可能となる。
原料液放出ツール2の下部の形状をさらに詳しく説明する。
原料液放出ツール2の下部には、放出部14Aおよび放出部14Bをそれぞれ中心として横断面の幅が下に向かって徐々に小さくなる二つのテーパ状部が形成されている。その結果、原料液放出ツール2の下部には、放出部14Aを間に挟む二つの斜面(外側斜面2a、内側斜面2b)と、放出部14Bを間に挟む二つの斜面(外側斜面2d、内側斜面2c)の合計四つの斜面が形成されている。そして、放出部14Aを間に挟む二つの斜面(外側斜面2a、内側斜面2b)の間に、放出部14Aが開口する先端部2eが形成されている。そして、放出部14Bを間に挟む二つの斜面(外側斜面2d、内側斜面2c)の間に、放出部14Bが開口する先端部2fが形成されている。
図5に示すように、先端部2eおよび2fは、細長い矩形の平面に形成されており、放出部14Aおよび放出部14Bの開口21は、先端部2eまたは2fにより滑らかな平面で接続されている。先端部2eおよび2fの幅は、開口21の径よりも大きくなるように設定されている。開口21の周囲が滑らかな平面に形成されていることにより、各開口21の周りに液溜まり22(いわゆるテーラーコーン)が発生する。液溜まり22は、原料液の粘性により発生すると考えられ、開口21よりも大きな円形の底面を備える円錐形状となる。液溜まり22は、開口21を覆うように先端部2eまたは2fに付着する。そして、円錐状の液溜まり22から原料液が空間中に細い糸状部23となって流出する。これにより開口21が空気と直接接触しないので、開口21でイオン風が発生するのを抑制することが可能となる。
以上のように、先端部2eおよび2fは、複数の開口21の間を滑らかな平面でつなげているために、複数の開口21を独立した凸状部あるいはノズルに形成したときに発生する電界干渉を抑制することが可能となる。また、隣接する各開口21の間の領域に凹部がないので、そのような凹部で発生するイオン風を抑制することができる。従って、開口21の間隔を従来よりも小さくしても、良好にナノファイバを製造することができる。これにより、生産効率を向上させることが可能となる。
また、外側斜面と内側斜面とを形成することで、各放出部の開口21に向かって、その周囲の部分の断面形状の幅を徐々に小さくすることができる。これにより、開口21で電荷を適度に集中させることができ、放出部14から放出される原料液に効率的に電荷を供給することができる。
さらに、外側斜面2aおよび2dで発生するイオン風は、放出部14Aおよび14Bから放出される原料液の流れと交わらない。これにより、ナノファイバの生成を安定化できる。一方、内側斜面2bで発生するイオン風は、放出部14Bから放出される原料液の流れと交わり、内側斜面2cで発生するイオン風は、放出部14Aから放出される原料液の流れと交わることが考えられる。しかしながら、本実施形態の装置においては、第一群放出部16Aと第二群放出部16Bとの間に複数の気流発生部18が設けられ、それらが原料液の流れに沿った気流を発生させることで、各原料液の流れに対して、イオン風が干渉するのを防止することができる。これにより、各原料液の安定的な流れを確保して、高品質のナノファイバを生成することができる。
また、気流発生部18と、放出部14Aおよび14Bとの間に内側斜面2bおよび2cが介在しており、気流発生部18から放出あるいは噴出された気流の流路面積を滑らかに拡げることができる。これにより、気流に乱流が発生するのを防止することができ、原料液の流れが攪乱されるのを防止することができる。また、先端部2eおよび2fに発生する原料液の液溜まり22が破壊されるのを防止して、イオン風の発生を抑えるとともに、液溜まり22近傍の空間から揮発成分を速やかに除去することができる。これにより、製造されるナノファイバの品質を高い状態で維持させることが可能となる。
さらに、気流発生部18を第一群放出部16Aと第二群放出部16Bとの間に配設することで、図6に示すように、気流がコレクタ42と垂直に衝突する。これにより、放射状に拡がる新しい気流AFが生成される。その結果、放出部14Aから放出される原料液ないしはナノファイバの流れの方向と、放出部14Bから放出される原料液ないしはナノファイバの流れの方向とを、互いの反対方向に偏向させることができる。これにより、原料液ないしはナノファイバがコレクタ42に到達するまでの飛行距離が長くなる。よって、従来よりも、放出部とコレクタ42との間隔を小さくしても、飛行中に十分に原料液から揮発成分を蒸発させることが可能となり、コンパクトな装置で、高品質のナノファイバを高い生産効率で製造することが可能となる。
さらに、原料液放出ツール2の下部に二つのテーパ状部を設けることで、一つの平面に放出部14Aおよび14Bの両方を開口させる場合と比較すると、各放出部の開口の周囲の空間を拡げることができ、開口の近傍の揮発成分の濃度の上昇を抑制することができる。
次に、帯電手段を説明する。他方電極88は、帯電手段3を構成する電源90の正極および負極の一方の極の端子に接続されている。電源90の他方の極の端子は接地されている。電源90としては、原料液に与える電荷を一定とする観点から直流電源が好ましいが、整流器を介することで交流電源でも使用することができる。電源90は、原料液放出ツール2と他方電極88との距離を考慮して、5KV以上の出力を有するのが好ましい。これにより、上記の距離を確保しながら、十分な電荷を原料液に与えることができる。より好ましい電源90の出力電圧は、20KV以上であり、50KV以上がさらに好ましい。
上記の構成の帯電手段3(アース線3aおよび電源90)により、原料液放出ツール2と他方電極88との間には例えば5KV以上の電位差が発生しており、原料液放出ツール2には電荷が生じる。その電荷により放出部14Aおよび14Bから放出される原料液が帯電される。なお、上記の場合と反対に、電源90を原料液放出ツール2と接続し、他方電極88を接地しても、放出部14Aおよび14Bから放出される原料液を帯電させることができる。
ナノファイバ回収ユニット4は、さらに、他方電極88と近接する位置で、原料液放出ツール2の長手方向と垂直な方向に送られる帯状のコレクタ42と、コレクタ42を長手方向に送る送り機構44とを含む。ナノファイバ回収ユニット4は、原料液放出ツール2の下方に配置することができる。ナノファイバ回収ユニット4には、空間中で生成されたナノファイバのコレクタ42による収集を、空気の吸引により補助する収集補助ユニット43を設けることができる。
コレクタ42は、空気の吸引によるナノファイバ収集の補助を容易にするために、網状のシートであるのが好ましく、さらに、表面に堆積したナノファイバを容易にはがせるようにシリコン等でコーティングが施されているのが好ましい。送り機構44は、巻き出し用および巻き取り用の各ローラ44aおよび44bを含むことができる。さらに、コレクタ42を、水平面内で、送りの方向と垂直な方向に往復動させる機構を設けることで、より均一な不織布の厚みを実現することもできる。
ここで、ナノファイバを構成する樹脂であって、原料液に溶解、または、分散させる樹脂組成物としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体等の高分子物質を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記樹脂に限定されるものではない。
原料液に使用される溶媒または分散媒としては、揮発性のある有機溶剤などを例示することができる。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を挙示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明に用いられる原料液は上記溶媒を採用することに限定されるものではない。
さらに、原料液には、無機質固体材料を添加してもよい。無機質固体材料としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、製造されるナノファイバの耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明の原料液に添加される物質は、上記添加剤に限定されるものではない。
原料液における溶媒または分散媒と溶質または分散質との混合比率は、選定される媒体の種類と媒質の種類とにより異なるが、媒体量は、約70質量%から95質量%の間が望ましい。好適には媒質が5〜30質量%となる。
次に、上記ナノファイバ製造装置1を用いてナノファイバを製造する製造方法について説明する。
先ず、各導管68を通して原料液を第一供給路12Aおよび第二供給路12Bに導入することで、第一供給路12Aおよび第二供給路12Bに原料液を充填する。次に、帯電手段3により、原料液放出ツール2と他方電極88との間に所定の電位差を付与する。これにより、原料液を正電荷または負電荷により帯電させる。そして、気流発生部18から例えば圧縮空気を放出することで、第一群放出部16Aと第二群放出部16Bとの間に気流を発生させる。
次に、帯電させた原料液を、各原料液放出ツール2と、他方電極88との間に生じた電界により、放出部14Aおよび14Bから他方電極88に向かう方向に放出する。この放出は、導管68を介した原料液の供給圧により補助することができる。
以上により、原料液は、帯電された状態で原料液放出ツール2から空間中に放出され、空間中で原料液から静電延伸現象によりナノファイバが生成される。空間中で生成されたナノファイバは、原料液とは逆極性の電荷を有する他方電極88の方に引き寄せられ、コレクタ42の表面に堆積する。
このとき、気流発生部18により発生された気流によって、原料液の飛行経路の揮発成分の濃度が低減され、原料液からの新たな揮発成分の蒸発が促進される。これにより、静電延伸現象の発生が促進されて、高品質のナノファイバが生成される。
そして、コレクタ42は他方電極88の電荷により誘引されたナノファイバを表面に堆積させつつ、送り手段44により徐々に送られる。これにより、ナノファイバの不織布22が生成される。ナノファイバの不織布22をコレクタ42とともに、巻き取り装置44bにより巻き取ることで、ナノファイバが回収される。
本発明によれば、コンパクトな装置で、高品質のナノファイバを素材とする製品を高い生産効率で製造することができる。よって、本発明は、綿密な不織布を素材とする各種製品(電池用セパレータ、フィルタ等)の製造に有用である。
1…ナノファイバ製造装置、12A…第一供給路、12B…第二供給路、14A…第一放出部、14B…第二放出部、16A…第一群放出部、16B…第二群放出部、18…気流発生部、2…原料液放出ツール、20…気体供給路、21…開口、3…帯電手段、3a…アース線、4…ナノファイバ回収ユニット、42…コレクタ、88…他方電極、90…電源、

Claims (10)

  1. 原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する装置であって、
    前記原料液を供給する第一供給路および第二供給路、前記第一供給路により供給された前記原料液を放出する第一群放出部、並びに、前記第二供給路により供給された前記原料液を放出する第二群放出部を有する原料液放出ツールと、
    前記第一群放出部および第二群放出部から放出される前記原料液をそれぞれ帯電させる帯電手段と、
    前記第一群放出部および第二群放出部から放出された前記原料液から空間中でそれぞれ生成される前記ナノファイバを収集するコレクタと、を備え、
    前記第一群放出部が、一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部を含み、
    前記第二群放出部が、一定のピッチで前記第一放出部と並ぶ二以上の第二放出部を含み、
    前記第一放出部および前記第二放出部の並びの方向の位置が互いに異なっており、
    前記原料液放出ツールが、前記第一群放出部と前記第二群放出部との間に配設され、前記原料液の放出方向に沿った気流を発生させる、複数の気流発生部を有しており、
    前記ピッチPTが、前記第一群放出部と前記第二群放出部との距離LGよりも小さく、
    複数の前記気流発生部のピッチが、前記ピッチPTよりも小さい、ナノファイバ製造装置。
  2. 複数の前記気流発生部のピッチが、前記ピッチPTの1/2である、請求項に記載のナノファイバ製造装置。
  3. 互いに最近接する前記第一放出部と前記第二放出部との間の位置に、それぞれ、前記気流発生部が配置されている、請求項またはに記載のナノファイバ製造装置。
  4. 前記気流発生部が、前記第一放出部および前記第二放出部よりも、前記原料液の放出方向における後方側に配置されている、請求項のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  5. 前記第一群放出部が前記原料液を放出する方向が一定であり、
    前記第一群放出部が前記原料液を放出する方向と、前記第二群放出部が前記原料液を放出する方向とが、同じである、請求項1〜のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  6. 前記ピッチPTと前記第二放出部の前記ピッチとが、等しい、請求項1〜のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  7. 前記第一群放出部と前記第二群放出部とが、平行である、請求項1〜のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  8. 前記ピッチPTが、5〜30mmである、請求項1〜のいずれか一項に記載のナノファイバ製造装置。
  9. 原料液を空間中で静電気力により延伸させて、ナノファイバを製造する方法であって、
    (i)前記原料液を供給する第一供給路および第二供給路、一定のピッチPTで直線状に並ぶ二以上の第一放出部を含む第一群放出部、および、前記第一群放出部の各第一放出部とは並びの方向での位置を異ならせて一定のピッチで並ぶ二以上の第二放出部を含む第二群放出部、を具備した原料液放出ツールを使用して、前記第一供給路を介して供給された前記原料液を前記第一群放出部から放出するとともに、前記第二供給路を介して供給された前記原料液を前記第二群放出部から放出する工程、
    (ii)前記第一群放出部および前記第二群放出部から放出される前記原料液をそれぞれ帯電させる工程、
    (iii)前記第一群放出部および前記第二群放出部から放出された前記原料液から空間中でそれぞれ生成されるナノファイバをコレクタにより収集する工程、および
    (iv)前記第一放出部と前記第二放出部との間の位置で、複数の気流発生部から前記原料液の放出方向に沿った気流を発生させる工程を含み、
    前記ピッチPTが、前記第一群放出部と前記第二群放出部との距離LGよりも小さく、
    複数の前記気流発生部のピッチが、前記ピッチPTよりも小さい、ナノファイバ製造方法。
  10. 前記気流をシート状の前記コレクタと衝突させることで生じる新たな気流により、前記第一放出部から放出された前記原料液の流れの方向と、前記第二放出部から放出された前記原料液の流れの方向とを、互いの反対方向に偏向させる、請求項記載のナノファイバ製造方法。
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