以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された適切な開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるメモリ24に記録される。メモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。なお、撮像素子22の撮像面の前方には、赤外光をカットするための赤外線カットフィルタ、および画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタが配置されている。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
操作部28は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換や、オートフォーカスモードの中でも、ワンショットモード/コンティニュアスモードの切換が行えるようになっている。ここで、ワンショットモードとは、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードであるのに対し、コンティニュアスモードとは、フォーカスレンズ32の位置を固定することなく被写体に応じてフォーカスレンズ位置を調節するモードである。また、操作部28は、静止画撮影モード/動画撮影モードの切換が行えるようにもなっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
また、撮像素子22の撮像面の中心、ならびに中心から左右対称位置の3箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22cが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22b,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所にすることもでき、また、四箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22cの中から、撮影者が操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出位置として選択することもできる。
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算して焦点電圧を検出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算して焦点電圧を検出することでも求めることができる。
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図9は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。また、以下においては、静止画撮影モードが選択されており、さらに、ワンショットモード、すなわち、一度調節したフォーカスレンズ32の位置を固定し、そのフォーカスレンズ位置で撮影するモードが選択されている場合を例示して説明を行なう。
まず、ステップS101では、カメラ制御部21による、スルー画像の生成、および観察光学系の電子ビューファインダ26による、スルー画像の表示が開始される。具体的には、撮像素子22により露光動作が行なわれ、カメラ制御部21により、撮像画素221の画素データの読み出しが行なわれる。そして、カメラ制御部21は、読み出したデータに基づきスルー画像を生成し、生成されたスルー画像は液晶駆動回路25に送出され、観察光学系の電子ビューファインダ26に表示される。そして、これにより、接眼レンズ27を介して、ユーザは被写体の動画を視認することが可能となる。なお、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示は、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS102では、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理が開始される。本実施形態では、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、次のように行われる。すなわち、まず、撮像素子22により、撮影光学系からの光束の受光が行われ、カメラ制御部21により、撮像素子22の3つの焦点検出画素列22a〜22cを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが行われる。この場合、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出位置が選択されているときは、その焦点検出位置に対応する焦点検出画素からのデータのみを読み出すような構成としてもよい。そして、カメラ制御部21は、読み出された一対の像データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、3つの焦点検出画素列22a〜22cに対応する焦点検出位置における像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。
また、ステップS102において、カメラ制御部21は、算出したデフォーカス量について、その信頼性の評価を行う。本実施形態において、カメラ制御部21は、たとえば、一対の像データの一致度やコントラストなどに基づいて、デフォーカス量の信頼性を、「高」、「中」、「低」、および「測距不能」の4段階で評価する。例えば、カメラ制御部21は、一対の像データの一致度が高く、デフォーカス量の信頼性が第1の判定値以上である場合には、デフォーカス量の信頼性を「高」と評価し、デフォーカス量の信頼性が、第1の判定値未満であり、かつ、第1の判定値よりも小さい第2の判定値以上である場合には、デフォーカス量の信頼性を「中」と評価する。さらに、カメラ制御部21は、デフォーカス量の信頼性が、第2の判定値未満であり、かつ、第2の判定値よりも小さい第3の判定値以上である場合には、デフォーカス量の信頼性を「低」と評価し、デフォーカス量の信頼性が、第3の判定値未満である場合には、デフォーカス量の信頼性を「測距不能」と評価する。このように得られたデフォーカス量およびデフォーカス量の信頼性は、デフォーカス量の履歴データとして、メモリ24に記憶される。
なお、このような位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理は、このカメラ1の動作が行われている間、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS103では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合はステップS104に進む。一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、シャッターレリーズボタンの半押しされるまで、ステップS103を繰り返す。すなわち、シャッターレリーズボタンが半押しされるまで、スルー画像の生成・表示、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理、およびデフォーカス量の信頼性の評価処理が繰り返し実行される。
ステップS104では、カメラ制御部21により、ステップS102で記憶したデフォーカス量の履歴データが参照され、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)直前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」であると判断された場合は、ステップS105に進み、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であると判断された場合は、ステップS113に進む。
ステップS113では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行われ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。そして、ステップS114において、フォーカスレンズ駆動モータ36により、ステップS113で算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。
また、上述したように、ステップS102におけるデフォーカス量の算出処理およびデフォーカス量の信頼性の評価処理は、シャッターレリーズボタンの半押し後においても、所定の間隔で繰り返し行われている。そこで、カメラ制御部21は、シャッターレリーズボタンの半押し後に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」である場合に、このデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量を繰り返し算出し、新たに算出したレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動する。なお、レンズ駆動量の演算は、後述するステップS116において、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれるまで、所定の間隔で繰り返し実行される。
そして、フォーカスレンズ32が合焦位置まで駆動された場合に、ステップS115に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS116に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS115における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、位相差検出方式により合焦動作が行われた旨をユーザに報知するための表示を併せて行なってもよい。
一方、ステップS104において、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」であると判断された場合は、ステップS105に進む。ステップS105〜S108では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量よりも、さらに前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。
具体的には、まず、ステップS105において、カメラ制御部21により、所定のパラメータであるnが1に設定される。そして、ステップS106では、ステップS102で記憶したデフォーカス量の履歴データが参照され、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量およびデフォーカス量の信頼性が読み出され、読み出されたn個前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。例えば、ステップS105においてnが1に設定された直後のステップS106では、nが1に設定されているため、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量よりも1つ前に算出されたデフォーカス量および該デフォーカス量の信頼性の読み出しが行われ、読み出された1つ前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。
シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」である場合は、ステップS109に進み、ステップS109において、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量が、レンズ駆動量を演算するためのデフォーカス量として決定される。そして、続くステップS113,S114において、ステップS109で決定されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。一方、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」である場合は、ステップS107に進む。
ステップS107では、カメラ制御部21により、nの値が所定数未満であるか否かの判断が行われる。nの値が所定数未満である場合は、ステップS108に進み、nの値に1が加えられた後、ステップS106に戻り、ステップS108において設定されたnを用いて、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりもn個前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる。一方、ステップS107において、nの値が所定数以上である場合は、ステップS110に進む。
このように、ステップS106〜S108では、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではない場合に、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量よりも前に算出されたデフォーカス量の信頼性が、新しく算出されたデフォーカス量から順に所定の数だけ遡って判断される。そして、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量よりも所定数前までに算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではある場合には、この信頼性が「高」または「中」であるデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量の算出およびフォーカスレンズ32の駆動が行われる。
次いで、ステップS110では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」であるか否かの判断が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、ステップS102で記憶したデフォーカス量の履歴データを参照し、シャッターレリーズボタンが半押しされる直前に算出されたデフォーカス量、および、シャッターレリーズボタンが半押しされる直前に算出されたデフォーカス量よりもn個前までに算出されたデフォーカス量について、デフォーカス量の信頼性が「低」であるか否かを、新しく算出されたデフォーカス量から順に遡って判断する。信頼性が「低」のデフォーカス量がある場合は、ステップS111に進み、ステップS111において、カメラ制御部21により、後述するスキャン動作におけるフォーカスレンズ32の駆動方向が、信頼性が「低」であるデフォーカス量に対応する方向に設定される。一方、信頼性が「低」のデフォーカス量がない場合は、スキャン動作におけるフォーカスレンズ32の駆動方向は設定されずに、ステップS112に進む。
ステップS112では、カメラ制御部21により、スキャン動作を実行するためのスキャン動作実行処理が行なわれる。ここで、スキャン動作とは、フォーカスレンズ駆動モータ36により、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、および焦点評価値の算出を、所定の間隔で同時に行い、これにより、位相差検出方式による合焦位置の検出と、コントラスト検出方式による合焦位置の検出とを、所定の間隔で、同時に実行する動作である。以下においては、図10を参照して、本実施形態に係るスキャン動作実行処理を説明する。なお、図10は、本実施形態に係るスキャン動作実行処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS201では、カメラ制御部21により、スキャン動作の開始処理が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、レンズ制御部37にスキャン駆動開始指令を送出し、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を光軸L1に沿ってスキャン駆動させる。なお、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」であると判断され、上述したステップS111において、フォーカスレンズ32の駆動方向が設定されている場合は、設定された方向に、フォーカスレンズ32のスキャン駆動を行う。一方、ステップS111においてフォーカスレンズ32の駆動方向が設定されていない場合は、スキャン駆動を行う方向は特に限定されず、フォーカスレンズ32のスキャン駆動を、無限端から至近端に向かって行なってもよいし、あるいは、至近端から無限端に向かって行なってもよい。
そして、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しを行い、これに基づき、位相差検出方式により、デフォーカス量の算出および算出されたデフォーカス量の信頼性の評価を行うとともに、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の撮像画素221から画素出力の読み出しを行い、これに基づき、焦点評価値を算出し、これにより、異なるフォーカスレンズ位置における焦点評価値を取得することで、コントラスト検出方式により合焦位置の検出を行う。
ステップS202では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS205に進み、一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS203に進む。なお、ステップS202においては、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」と評価された場合には、デフォーカス量の算出ができなかったものとして扱い、ステップS203に進むこととする。
ステップS203では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができたか否かの判定が行なわれる。コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができた場合には、ステップS210に進み、一方、合焦位置の検出ができなかった場合には、ステップS204に進む。
ステップS204では、カメラ制御部21により、スキャン動作を、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について行なったか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作を行なっていない場合には、ステップS202に戻り、ステップS202〜S204を繰り返すことにより、スキャン動作、すなわち、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を、所定の間隔で同時に実行する動作を継続して行なう。一方、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行を完了している場合には、ステップS214に進む。
そして、スキャン動作を実行した結果、ステップS202において、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、ステップS205に進み、ステップS205〜S209において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。
すなわち、まず、ステップS205において、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、ステップS206に進み、カメラ制御部21により、スキャン動作禁止処理が行なわれる。
そして、ステップS207では、ステップS202において位相差検出方式により算出されたデフォーカス量から、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行なわれ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、レンズ駆動モータ36に送出される。そして、レンズ駆動モータ36は、カメラ制御部21により算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる。
なお、本実施形態においては、レンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させている間においても、制御部21は、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出を繰り返し行い、その結果、新たなデフォーカス量が算出された場合には、制御部21は、新たなデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる。
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS208に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS209に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS208における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、位相差検出方式により合焦動作が行われた旨をユーザに報知するための表示を併せて行なってもよい。
また、スキャン動作を実行した結果、ステップS203において、コントラスト検出方式により、合焦位置が検出できたと判定された場合には、ステップS210に進み、ステップS210〜S213において、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づく、フォーカスレンズ32の駆動動作が行なわれる。
すなわち、まず、ステップS210において、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、ステップS211に進み、上述したステップS206と同様に、カメラ制御部21により、スキャン動作禁止処理が行なわれる。
そして、ステップS212に進み、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づいて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させるレンズ駆動処理が行なわれる。なお、コントラスト検出方式による検出結果に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置への駆動を行なう際には、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了するまでは、位相差検出方式による焦点検出結果に基づく、フォーカスレンズ32の駆動を禁止することが好適である。これにより、フォーカスレンズ32のハンチング現象を抑制することができる。
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS213に進み、合焦表示が行なわれ、次いで、ステップS209に進み、合焦ロック(フォーカスレンズ32の駆動を禁止する処理)が行なわれる。なお、ステップS213における合焦表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。また、合焦表示を行なう際には、コントラスト検出方式により合焦動作が行われた旨をユーザに報知するための表示を併せて行なってもよい。
なお、本実施形態のスキャン動作においては、上述したステップS202〜S204を繰り返し実行することで、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を所定の間隔で同時に実行する。そして、上述したステップS202〜S204を繰り返し実行した結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のうち、先にデフォーカス量の算出、または合焦位置の検出ができた検出方式による、焦点検出結果を用いて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させる処理を行なう。また、上述したように、本実施形態のスキャン動作においては、位相差検出方式によりデフォーカス量が算出できたか否かを判断した(ステップS202)後に、コントラスト検出方式により合焦位置の検出ができたか否かの判断を行う(ステップS203)ことで、位相差検出方式とコントラスト検出方式とで同時期にデフォーカス量の算出および合焦位置の検出ができた場合に、位相差検出方式による焦点検出結果を、コントラスト検出方式による焦点検出結果よりも優先して、採用するものである。
一方、ステップS204において、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行が完了していると判定された場合には、ステップS214に進む。ステップS214では、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のいずれの方式によっても、焦点検出を行うことができなかったため、スキャン動作の終了処理が行なわれ、次いで、ステップS215に進み、合焦不能表示が行なわれる。合焦不能表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。
そして、ステップS216に進み、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされた状態が継続しているか否かの判定が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされている場合はステップS217に進み、シャッターレリーズボタンの半押しされていない場合は、ステップS219に進む。
ステップS216において、シャッターレリーズボタンが半押しされていると判定された場合には、ステップS217に進み、上述したステップS202と同様に、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。その結果、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、ステップS218に進み、合焦不能表示をオフとする処理が行なわれた後、ステップS206に進み、ステップS206〜S209において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。一方、デフォーカス量が算出できなかったと判定された場合には、ステップS216に戻り、シャッターレリーズボタンが半押しされている状態が継続している間、ステップS216、S217を繰り返し実行する。なお、この場合においては、フォーカスレンズ32は、停止した状態であるため、コントラスト検出方式による焦点検出は実行されず、位相差検出方式による焦点検出のみが行われることとなる。
一方、ステップS216において、シャッターレリーズボタンが半押しされていないと判定された場合には、ステップS219に進み、合焦不能表示をオフとする処理が行なわれる。
このように、ステップS112のスキャン動作実行処理は行われ、ステップS112のスキャン動作実行処理が終了した後は、このカメラ1の動作も終了する。
次に、本実施形態に係るカメラ1の動作例を、図11に基づいて説明する。図11は、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明するための図であり、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」である場面を例示している。また、図11では、横軸に時間を示しており、時刻t6においてシャッターレリーズボタンが半押しされた場面を示している。たとえば、図11に示す例では、時刻t1において、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bにより、入射光に応じた電荷の蓄積が開始される。また、本実施形態において、焦点検出画素222a,222bは、例えば、CMOSイメージセンサーであり、電荷の蓄積と並行して、時刻t1以降に蓄積された電荷の量に応じた画素信号の転送が開始される。そして、時刻t3では、時刻t2で開始された画素信号の転送が終了し、デフォーカス量の演算が開始される(ステップS102)。これにより、時刻t4において、デフォーカス量が算出されるとともに、デフォーカス量の信頼性が評価され、メモリ24に記憶される。そして、図11に示すように、このような電荷の蓄積、画素信号の転送、デフォーカス量の演算、およびデフォーカス量の信頼性の評価が、所定の間隔で繰り返し行われる。なお、図11においては、「高」または「中」と評価されたデフォーカス量の信頼性を「○」で表している(図12,13においても同様)。
そして、時刻t6において、シャッターレリーズボタンが半押しされる(ステップS103=Yes)と、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量(図11中では時刻t5において算出されたデフォーカス量)の信頼性が「高」または「中」であるか否かの判断が行われる(ステップS104)。ここで、図11に示す例では、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量(時刻t5において算出されたデフォーカス量)の信頼性は「高」または「中」であるため(ステップS104=Yes)、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量(時刻t5において算出されたデフォーカス量)に基づいて、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量の演算が開始される(ステップS113)。その結果、時刻t7において、レンズ駆動量が算出され、算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が指示され、フォーカスレンズ32の駆動が開始される(ステップS114)。
また、本実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた後も、デフォーカス量の算出が繰り返し行われ、算出されたデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量の演算が繰り返し行われる。例えば、図11に示す例では、シャッターレリーズボタンが半押しされた後に、時刻t8において、デフォーカス量が算出され、時刻t9において、レンズ駆動量が算出される。これにより、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量が、時刻t7において算出したレンズ駆動量から、時刻t9において新たに算出したレンズ駆動量に更新され、時刻t9において算出したレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される。同様に、時刻t9以降においても、フォーカスレンズ32が合焦位置に駆動するまで、デフォーカス量の演算とレンズ駆動量の算出とが繰り返され、新たに算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われることとなる。
そして、時刻t10において、フォーカスレンズ32が合焦位置まで駆動されると、合焦表示が点灯され(ステップS115)、フォーカスレンズ32の駆動が停止される(ステップS116)。なお、フォーカスレンズ32が合焦位置まで駆動された後は、デフォーカス量に基づいたレンズ駆動量の演算は行われない。
一方、図12は、従来のカメラの動作例を説明するための図であり、図11と同様に、横軸に時間を示している。図12に示す例では、図11に示す例と同様に、時刻t11において、入射光に応じた電荷の蓄積が開始され、時刻t12において、蓄積された電画の量に応じた画素信号の転送が開始される。しかしながら、図12に示す例では、図11に示す例と異なり、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、デフォーカス量の演算が行われない。そして、時刻t13において、シャッターレリーズボタンが半押しされると、シャッターレリーズボタンが半押しされた後に転送された画素信号に基づいて、デフォーカス量の演算が開始される(時刻t14)。デフォーカス量が算出された後は、算出したデフォーカス量の信頼性が判断され、デフォーカス量の信頼性が高い場合に、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量の演算が開始される(時刻t15)。そして、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量が算出され、算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる(時刻t16)。このように、図12に示す例では、シャッターレリーズボタンが半押しされてから、フォーカスレンズ32が駆動するまでに、デフォーカス量の演算およびフォーカスレンズ32の駆動量の演算が行われる。
これに対して、本実施形態では、図11に示すように、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出したデフォーカス量を用いて、フォーカスレンズ32を駆動させることで、シャッターレリーズボタンが半押しされてから、フォーカスレンズ32が駆動するまでに、デフォーカス量の演算を省くことができるため、図12に示す例と比較して、シャッターレリーズボタンが半押されてからフォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を短縮することができる。
また、図13は、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明するための図であり、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が「低」または「測距不能」である場面を例示している。なお、図13においては、「低」または「測距不能」と評価されたデフォーカス量の信頼性を「×」で表している。図13に示す場面例では、時刻t21において、入射光に応じた電荷の蓄積が開始され、時刻t22において、蓄積された電荷に応じた画素信号の転送が開始され、時刻t23において、画素信号に基づくデフォーカス量の演算が開始される(ステップS102)。これにより、時刻t24において、デフォーカス量が算出されるとともに、デフォーカス量の信頼性が評価され、メモリ24に記憶される。同様に、電荷の蓄積、画素信号の転送、デフォーカス量の演算、およびデフォーカス量の信頼性の評価が繰り返される。図13に示す例では、時刻t24において算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」と評価され、時刻t24において算出されたデフォーカス量の次に算出されたデフォーカス量(時刻t25において算出されたデフォーカス量)の信頼性は「低」または「測距不能」と評価されたものとする。さらに、時刻t25において算出されたデフォーカス量の次に算出されたデフォーカス量(時刻t26において算出されたデフォーカス量)の信頼性も「低」または「測距不能」と評価されたものとする。
図13に示す例において、時刻t27において、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合(ステップS103=Yes)に、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量、すなわち、時刻t26において算出されたデフォーカス量の信頼性が判断される(ステップS104)。ここで、図13に示す例において、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量(時刻t26において算出されたデフォーカス量)の信頼性は「高」または「中」ではないため(ステップS104=No)、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量(時刻t26において算出されたデフォーカス量)よりも1つ前に算出されたデフォーカス量(時刻t25において算出されたデフォーカス量)の信頼性が判断される(ステップS106〜S108)。シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも1つ前に算出されたデフォーカス量(時刻t25において算出されたデフォーカス量)の信頼性も「高」または「中」ではないため(ステップS106=No)、続いて、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも2つ前に算出されたデフォーカス量(時刻t24において算出されたデフォーカス量)の信頼性が判断される(ステップS106〜S108)。図13に示す例では、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも2つ前に算出されたデフォーカス量(時刻t24において算出されたデフォーカス量)の信頼性が「高」または「中」であるため(ステップS106=Yes)、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも2つ前に算出されたデフォーカス量(時刻t24において算出されたデフォーカス量)が、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量を算出するためのデフォーカス量に決定される(ステップS109)。そして、このデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動量が演算され(ステップS113)、その結果、時刻t28において、フォーカスレンズ32が駆動される(ステップS114)。
このように、図13に示す例でも、シャッターレリーズボタンが半押しされてから、フォーカスレンズ32が駆動するまでに、デフォーカス量の演算を省くことができるため、図12に示す例と比較して、シャッターレリーズボタンが半押されてからフォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を短縮することができる。
また、図13に示す例では、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではない場合でも、シャッターレリーズボタンが半押しされたタイミングにより近いタイミングで算出されたデフォーカス量を用いて、フォーカスレンズ32を駆動することができるため、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が一時的に低くなってしまった場合などに、直ぐに、スキャン動作が実行されてしまうことを防止することができ、その結果、スキャン動作による合焦時間の増大や画像のぼけなどを有効に防止することができる。また、本実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではない場合に、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも前に算出された所定数のデフォーカス量のみについて、デフォーカス量の信頼性を判断することで、フォーカスレンズ32が駆動していない時間が長くなり、撮影者に違和感を与えることを防止することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた後に、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量を算出しているが、レンズ駆動量を、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に算出しておく構成としてもよい。これにより、シャッターレリーズボタンが半押しされた後に、フォーカスレンズ32のレンズ駆動量を算出する時間を省くことができるため、シャッターレリーズボタンが半押しされてから、フォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を、さらに短縮することができる。なお、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、フォーカスレンズ32の駆動量を算出する構成とした場合であっても、シャッターレリーズボタンが半押しされる前のフォーカスレンズ32の駆動は禁止される。
また、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量の信頼性を、新しく算出されたデフォーカス量から順に遡って判断し、信頼性が「高」または「中」であるデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量を算出する構成を例示していたが、この構成に限定されるものではなく、例えば、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量のうち、信頼性が最も高いデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量を算出する構成としてもよい。
さらに、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、以下に説明するような構成としてもよい。たとえば、シャッターレリーズボタンが半押しされる前から、撮影画面内に設定された焦点検出位置における輝度を繰り返し検出しておき、シャッターレリーズボタンの半押しが行われた際に、メモリ24に記憶されたシャッターレリーズボタンが半押しされるまでの所定時間内に算出されたデフォーカス量のうち、焦点検出位置における輝度が所定値以上変化した後に算出されたデフォーカス量を用いて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。あるいは、シャッターレリーズボタンが半押しされる前から、撮影画面内に設定された焦点検出位置における被写体の色味を繰り返し検出しておき、シャッターレリーズボタンの半押しが行われた際に、メモリ24に記憶されたシャッターレリーズボタンが半押しされるまでの所定時間内に算出されたデフォーカス量のうち、焦点検出位置における被写体の色味が所定値以上変化した後に算出されたデフォーカス量を用いて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。これにより、たとえば、シャッターレリーズボタンの半押し前に光学系の焦点状態が変化した場合でも、シャッターレリーズボタンの半押し後、直ぐに、変化した光学系の焦点状態に応じたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させることができる。
また、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量に限らず、たとえば、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量のうち、シャッターレリーズボタンが半押しされたタイミングよりも所定時間前までに算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。たとえば、撮影者が、シャッターレリーズボタンを半押しして、被写体にピントを合わせようと決めたタイミングでの焦点状態に応じて、フォーカスレンズ32を駆動させることができるように、撮影者がシャッターレリーズボタンを半押ししようと決めたタイミングと、撮影者が実際にシャッターレリーズボタンの半押しを行うタイミングとのずれを考慮し、シャッターレリーズボタンが半押しされたタイミングの1秒前までに算出されたデフォーカス量、より好ましくは、シャッターレリーズボタンが半押しされたタイミングの0.5秒前までに算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。同様に、シャッターレリーズボタンの半押し直前から所定回数前までに算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。たとえば、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量から60回前までに算出されたデフォーカス量、より好ましくは、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量よりも30回前までに算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成とすることもできる。また、シャッターレリーズボタンの半押し直前から所定のフレーム数前までに算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。
さらに、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合に、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に算出されたデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量を算出する構成を例示したが、シャッターレリーズボタンは、光学系の焦点調節を開始(起動)するための部材の一例であって、この構成に限定されるものではない。例えば、シャッターレリーズボタンとは別に、光学系の焦点調節を開始(起動)するためのボタンが設けられている場合には、焦点調節を開始(起動)するためのボタンが押される前からデフォーカス量を算出しておき、焦点調節を開始(起動)するためのボタンが押された後に、焦点調節を開始(起動)するためのボタンが押される前に算出したデフォーカス量に基づいて、レンズ駆動量を算出する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、静止画撮影において、スルー画像を表示している際にシャッターレリーズボタンを半押しする場面を例示したが、本発明は、例えば、動画撮影中にシャッターレリーズボタンを半押しする場面にも適用することができる。例えば、操作部28を介して、動画撮影モードが選択された場合に、動画撮影を行いながら、デフォーカス量を算出しておき、シャッターレリーズボタンが半押しされた後、直ぐに、フォーカスレンズ32を駆動する構成としてもよい。また、動画撮影を行う前から、デフォーカス量を算出しておき、動画撮影を開始するためのボタンが押され、動画撮影が開始された後、直ぐに、フォーカスレンズ32を駆動する構成とすることもできる。
加えて、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンの半押し直前に算出されたデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではない場合に、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも前に算出されたデフォーカス量の信頼性を、所定の数だけ、遡って判断しているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量の信頼性が「高」または「中」ではない場合に、シャッターレリーズボタンの半押し直前のデフォーカス量よりも所定時間(例えば、0.1秒)前までに算出されたデフォーカス量の信頼性を遡って判断する構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bにおいて、位相差検出方式による焦点状態の検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、位相差検出方式による焦点状態の検出を行う焦点検出モジュールを、撮像素子22とは独立して設ける構成としてもよい。
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。