以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラ本体2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラ本体2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
レンズ鏡筒3は、カメラ本体2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された絞り値に応じた開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラ本体2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された撮影絞り値に応じた開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
また、本実施形態において、レンズ制御部37は、光学系の焦点状態を検出する際における、光学系の絞り値の開放側の制限値を、開放側制限値として、レンズ制御部37に備えられたメモリに予め記憶している。ここで、たとえば、焦点検出を行う際の絞り値がF1.4であり、画像を本撮影する際の撮影絞り値がF2.8である場合において、焦点検出を行った後に画像の本撮影を行うため、光学系の絞り値を、焦点検出を行う際の絞り値であるF1.4から撮影絞り値であるF2.8に変更した場合に、絞り値の変更に伴う光学系の像面の移動により、焦点検出時において検出された合焦位置が、画像の本撮影時における被写界深度の範囲から外れてしまい、焦点検出時にピントの合っていた被写体にピントの合った画像を撮影できない場合がある。特に、光学系の絞り値が開放側の値になるほど、この傾向は大きくなる。そこで、このような場合に、たとえば、焦点検出を行う際の絞り値を、F1.4ではなくF2までに制限することで、絞り値の変更に伴う光学系の像面の移動を抑制し、光学系の絞り値を、焦点検出を行うための絞り値から撮影絞り値に変更した場合でも、被写体にピントの合った画像を撮影することができるようになる。開放側制限値は、このように、光学系の絞り値を、焦点検出時の絞り値から撮影絞り値に変更した場合でも、画像を良好に撮影することができる、光学系の絞り値の開放側の制限値であり、レンズ鏡筒3ごとに固有の値として、レンズ制御部37に予め記憶されている。
また、本実施形態において、レンズ制御部37は、開放側制限値を、開放絞り値からの絞り段数として記憶している。たとえば、開放側制限値が、絞り値(F値)でF2である場合において、開放絞り値がF1.2であり、光学系の絞り値を、開放絞り値であるF1.2から開放側制限値であるF2に変更するための絞り34の絞り段数が2段である場合には、カメラ制御部37は、開放側制限値を、2段として記憶している。このように、開放側制限値を、開放絞り値からの絞り段数として記憶しておくことで、たとえば、ズームレンズのレンズ位置が変更された場合でも、ズームレンズ位置に応じた開放絞り値に基づいて、ズームレンズ位置に応じた開放側制限値を求めることができるため、ズームレンズ位置ごとに、開放絞り値を記憶しておく必要がなくなる。なお、上述した開放絞り値、開放側制限値、および絞り段数は一例であって、これらの値に限定されるものではない。
一方、カメラ本体2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるメモリ24に記録される。このようなメモリとしては着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。なお、撮像素子22の撮像面の前方には、赤外光をカットするための赤外線カットフィルタ、および画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタが配置されている。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
カメラ本体2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25や記録媒体であるメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による光学系の焦点状態の検出を行う。なお、焦点状態の検出方法については、後述する。
加えて、カメラ制御部21は、焦点検出を行う際における、光学系の絞り値の絞り込み側の制限値を、絞り込み側制限値として、カメラ制御部21が備えるメモリに予め記憶している。この絞り込み側制限値は、焦点検出を行う際に、たとえば、ケラレの発生を有効に防止することができ、光学系の焦点状態を精度よく検出することができる絞り値のうち、最も絞り込み側の値とすることができる。そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37から受信した開放側制限値と、メモリに記憶している絞り込み側制限値とに基づいて、焦点検出を行う際の絞り値を設定し、露出制御を行う。なお、焦点検出を行うための露出制御の詳細については、後述する。
操作部28は、シャッターレリーズボタン、動画撮影ボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。また、操作部28は、静止画撮影モード/動画撮影モードの切換が行えるようにもなっている。操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
また、本実施形態のカメラ本体2には、焦点検出用の照明光を照射する照明光照射部29が備えられている。照明光照射部29による照明光の照射は、撮像素子22の出力に基づくカメラ制御部21からの制御信号によって制御される。
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
また、撮像素子22の撮像面の中心、ならびに中心から左右対称位置の3箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22cが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22c,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所にすることもでき、また、四箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22cの中から、撮影者が操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出位置として選択することもできる。
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算して焦点電圧を検出することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算して焦点電圧を検出することでも求めることができる。
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
次いで、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図9および図10は、本実施形態に係るカメラ1の動作例を示すフローチャートである。なお、以下の動作は、カメラ1の電源がオンされることにより開始される。
まず、図10に示すように、ステップS101では、カメラ制御部21により、動画像の撮影が行われているか否かの判断が行われる。本実施形態において、カメラ制御部21は、たとえば、撮影者により操作部28に備えられた動画撮影ボタンが押下され、動画像の撮影が開始された場合、または、動画撮影モードにおいて、撮影者により、動画像の撮影を開始するためのボタン(たとえば、シャッターレリーズボタン)が押下され、動画像の撮影が開始された場合に、動画像の撮影が行われていると判断することができる。動画像の撮影が行われていると判断された場合は、図10に示すステップS125に進み、一方、動画像の撮影が行われていないと判断された場合は、ステップS102に進む。
ステップS102では、カメラ制御部21により、撮像素子22の出力に基づいて、被写体の輝度が検出され、検出された被写体の輝度の輝度に基づいて、焦点検出用の照明光の照射が必要であるか否かの判断が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、被写体の輝度が、焦点検出を適切に行うための所定の輝度値以下である場合には、被写体の輝度が光学系の焦点状態を検出するために十分ではなく、照明光照射部29により焦点検出用の照明光を照射する必要があると判断することができる。焦点検出用の照明光を照射する必要があると判断された場合には、ステップS110に進み、一方、焦点検出用の照明光を照射する必要はないと判断された場合には、ステップS103に進む。
ステップS103では、カメラ制御部21により、光学系の絞り値(F値)を、焦点検出を行うための絞り値に設定する処理が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、まず、光学系の焦点状態を検出する際における、光学系の絞り値の開放側の制限値を、開放側制限値として、レンズ制御部37から受信するとともに、光学系の焦点状態を検出する際における、光学系の絞り値の絞り込み側の制限値を、絞り込み側制限値として、カメラ制御部21に備えられたメモリから取得する。なお、本実施形態において、開放側制限値は、開放絞り値からの絞り込み段数として、レンズ制御部37のメモリに記憶されており、カメラ制御部21は、開放絞り値と、開放絞り値からの絞り込み段数とに基づいて、焦点検出を行う際における光学系の絞り値の開放側の制限値(F値)を、開放側制限値として求める。
そして、カメラ制御部21は、取得した開放側制限値と絞り込み側制限値とに基づいて、焦点検出を行うための光学系の絞り値の設定を行う。ここで、図11は、焦点検出を行うために設定される絞り値と、撮影絞り値との関係の一例を示す図である。なお、図11に示す例では、開放絞り値がF1.2であり最大絞り値(最大F値)がF16であるレンズ鏡筒3において、開放側制限値がF2.8として取得され、絞り込み側制限値がF5.6として取得された場面を示している。
具体的には、カメラ制御部21は、画像を本撮影するために設定された撮影絞り値が、絞り込み側制限値よりも絞り込み側の値である場合には、光学系の絞り値を、絞り込み側制限値に設定する。たとえば、図11の(A)に示す例では、撮影絞り値がF16に設定されており、撮影絞り値であるF16が、絞り込み側制限値であるF5.6よりも絞り込み側の値であるため、カメラ制御部21は、光学系の絞り値を、絞り込み側制限値であるF5.6に設定する。また、図11の(B)に示す例では、撮影絞り値がF8であるため、図11の(A)と同様に、カメラ制御部21は、光学系の絞り値を、絞り込み側制限値であるF5.6に設定する。
また、カメラ制御部21は、画像を本撮影するために設定された撮影絞り値が、絞り込み側制限値と同じ値または絞り込み側制限値よりも開放側の値である場合には、光学系の絞り値を、撮影絞り値に設定する。たとえば、図11の(C)に示す例では、撮影絞り値が絞り込み側制限値と同じF5.6であるため、カメラ制御部21は、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF5.6に設定する。また、図11の(D)に示す例では、撮影絞り値がF4に設定されており、撮影絞り値であるF4が、絞り込み側制限値であるF5.6よりも開放側の値であるため、カメラ制御部21は、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF4に設定する。また、図11の(E)〜(G)に示す例では、撮影絞り値が開放側制限値よりも開放側の値となっているが、この場合でも、図11の(C),(D)と同様に、カメラ制御部21は、光学系の絞り値を、撮影絞り値に設定する。
次いで、ステップS104では、カメラ制御部21による、スルー画像の生成、および観察光学系の電子ビューファインダ26による、スルー画像の表示が開始される。具体的には、撮像素子22により露光動作が行なわれ、カメラ制御部21により、撮像画素221の画素データの読み出しが行なわれる。そして、カメラ制御部21は、読み出した画素データに基づきスルー画像を生成し、生成されたスルー画像は液晶駆動回路25に送出され、観察光学系の電子ビューファインダ26に表示される。そして、これにより、接眼レンズ27を介して、ユーザは被写体の動画を視認することが可能となる。なお、スルー画像の生成、およびスルー画像の表示は、所定の間隔で繰り返し実行される。
ステップS105では、カメラ制御部21により、撮影画面を複数の領域に分割し、分割した各領域ごとに測光を行う多分割測光(マルチパターン測光)が行われ、撮影画面全体の輝度値Bvが算出される。そして、カメラ制御部21は、算出した撮影画面全体の輝度値Bvと、ステップS103で設定された絞り値に対応する絞りAvとに基づいて、撮影画面全体で適正露出が得られるように、受光感度Svおよび露光時間Tvを決定する。なお、受光感度Svおよび露光時間Tvは、その設定範囲に制限があり、たとえば被写体の輝度が低い場合には、撮影画面全体で適正露出を得られる受光感度Svおよび露光時間Tvを決定することができない場合がある。このような場合は、適正露出に近い露出が得られるように、設定範囲内で、受光感度Svおよび露光時間Tvを決定することができる。
そして、ステップS106では、カメラ制御部21により、撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも開放側の値であるか否かの判断が行われる。撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも開放側の値である場合は、後述するステップS108に進み、一方、撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも開放側の値ではない場合は、ステップS107に進む。たとえば、図11の(A)〜(D)に示す例においては、撮影絞り値が、開放側制限値よりも絞込み側の値であるため、ステップS107に進み、一方、図11の(E)〜(G)に示す例においては、撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも絞込み側の値であるため、ステップS108に進むこととなる。
ステップS107では、カメラ制御部21により、ステップS103で設定した絞り値に対応する絞りAvと、ステップS105で決定した受光感度Svおよび露光時間Tvとに基づいて、撮影画面全体で適正露出が得られるか否かの判断が行われる。撮影画面全体で適正露出が得られると判断された場合には、ステップS108に進み、ステップS108において、カメラ制御部21により、ステップS103で設定された絞り値に対応する絞りAvと、ステップS105で決定した受光感度Svおよび露光時間Tvとに基づいて、撮像素子22に対する露出制御が行われる。
一方、ステップS107において、撮影画面全体で適正露出が得られないと判断された場合には、ステップS109に進む。ステップS109では、撮影画面全体で適正露出が得られるように、カメラ制御部21により、光学系の絞り値が、開放側制限値に設定される。そして、続くステップS108において、カメラ制御部21は、ステップS109で設定された光学系の絞り値(開放側制限値)に対応する絞りAvに基づいて、撮影画面全体で適正露出が得られる受光感度Svおよび露光時間Tvを決定し、決定した受光感度Svおよび露光時間Tvと、ステップS109で設定された光学系の絞り値(開放側制限値)に対応する絞りAvとに基づいて、撮像素子22に対する露出の制御を行う。たとえば、図11の(A)に示す例では、ステップS103において、焦点検出を行うための光学系の絞り値として、絞り込み側制限値であるF5.6が設定されるが、光学系の絞り値がF5.6では、撮影画面全体で適正露出が得られない場合には、このステップS109において、光学系の絞り値が、開放側制限値であるF2.8に設定される。なお、本実施形態では、ステップS109において、光学系の絞り値を開放側制限値に設定しているが、これに限定されず、たとえば、光学系の絞り値を、絞り込み側制限値と開放側制限値との範囲内の値であって、撮影画面全体で適正露出が得ることができる絞り値に設定してもよい。
また、ステップS106において、撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも開放側の値であると判断された場合には、ステップS108に進むこととなる。ここで、上述したように、撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも開放側の値であると判断された場合には、図11の(E)〜(G)に示す例のように、ステップS103において、焦点検出を行うための光学系の絞り値が、撮影絞り値に設定されている。そのため、この場合、ステップS108において、カメラ制御部21は、撮影画面全体の輝度値Bvと、ステップS103で設定された光学系の絞り値、すなわち、撮影絞り値に対応する絞りAvとに基づいて、撮影画面全体で適正露出が得られる受光感度Svおよび露光時間Tvを決定し、決定した受光感度Svおよび露光時間Tvと、光学系の絞り値(撮影絞り値)に対応する絞りAvとに基づいて、撮像素子22に対する露出の制御を行う。
さらに、ステップS102において、焦点検出用の照明が必要であると判断された場合は、ステップS110に進み、ステップS110において、カメラ制御部21により、光学系の絞り値が、開放側制限値に設定される。そして、続くステップS111では、ステップS104と同様に、スルー画像の表示が開始された後、ステップS108に進み、照明光照射部29により焦点検出用の照明光の照射が行われ、照明光の照射により得られた輝度値Bvと、ステップS110で設定された光学系の絞り値(開放側制限値)に対応する絞りAvとに基づいて、受光感度Svおよび露光時間Tvが決定され、決定された受光感度Svおよび露光時間Tvと、光学系の絞り値(開放側制限値)に対応する絞りAvとに基づいて、撮像素子22に対する露出の制御が行われる。
ステップS108で露出制御が行われた後は、ステップS112に進む。ステップS112では、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出処理が行われる。具体的には、まず、撮像素子22により、光学系からの光束の受光が行われ、カメラ制御部21により、撮像素子22の3つの焦点検出画素列22a〜22cを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが行われる。この場合、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出位置が選択されているときは、その焦点検出位置に対応する焦点検出画素からのデータのみを読み出すような構成としてもよい。そして、カメラ制御部21は、読み出された一対の像データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、3つの焦点検出画素列22a〜22cに対応する焦点検出位置における像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。また、カメラ制御部21は、算出したデフォーカス量について、その信頼性の評価を行う。たとえば、カメラ制御部21は、一対の像データの一致度やコントラストなどに基づいて、デフォーカス量の信頼性を判断することができる。
ステップS113では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合は、図10に示すステップS114に進む。一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、ステップS101に戻り、焦点検出のための露出制御と、デフォーカス量の算出とが繰り返し実行される。
そして、図10に示すように、ステップS114では、カメラ制御部21により、位相差検出形式によりデフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS115に進み、一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS119に進む。なお、本実施形態においては、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合には、デフォーカス量が算出できなかったものとして扱い、ステップS119に進むこととする。本実施形態においては、たとえば、被写体のコントラストが低い場合、被写体が超低輝度被写体である場合、あるいは被写体が超高輝度被写体である場合などにおいて、デフォーカス量の信頼性が低いと判断される。
ステップS115では、カメラ制御部21により、ステップS112で算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行われ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。これにより、フォーカスレンズ駆動モータ36により、算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動が行われる。
ステップS116では、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたか否か判断される。第2スイッチSW2がオンの場合には、ステップS117に進み、一方、第2スイッチSW2がオンではない場合には、図9に示すステップS101に戻る。
ステップS117では、静止画像の撮影を行うために、カメラ制御部21により、光学系の絞り値を撮影絞り値に設定する処理が行われる。たとえば、図11の(A)に示す例において、カメラ制御部21は、静止画像を撮影するために、光学系の絞り値を、焦点検出に適した絞り値(開放側制限値であるF2.8から絞り込み側制限値であるF5.6の範囲内)から、撮影絞り値であるF16に変更する。同様に、図11の(B)〜(G)に示す例においても、光学系の絞り値を、焦点検出を行うための絞り値から、静止画像を撮影するための撮影絞り値に変更する。そして、続くステップS118において、ステップS117で設定された撮影絞り値で、撮像素子22およびカメラ制御部21により、静止画像の撮影が行われる。
一方、ステップS114でデフォーカス量が算出できないと判断された場合には、焦点検出に適した露出とするために、ステップS119に進む。ステップS119では、カメラ制御部21により、焦点検出に適した露出が得られるように、焦点検出用の露出制御が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、撮像素子22の出力に基づいて、焦点検出エリア(図2に示す焦点検出画素列22a,22b,22c)をそれぞれ含む所定領域内においてスポット測光を行い、焦点検出エリアを含む所定領域内の輝度値SpotBvを算出する。そして、カメラ制御部21は、算出した輝度値SpotBvに基づいて、焦点検出に適した露出(例えば、適正露出よりも1段明るい露出)が得られるように、受光感度Sv、露光時間Tv、および絞りAvを決定し、決定した受光感度Sv、露光時間Tv、および絞りAvに基づいて、撮像素子22に対する露出制御を行う。なお、ステップS119において、カメラ制御部21は、受光感度Svおよび露光時間Tvを優先的に変更し、受光感度Svおよび露光時間Tvの変更のみでは、焦点検出に適した露出を得ることができない場合に限り、絞りAvを変更する。たとえば、図11の(A)〜(B)に示す例のように、撮影絞り値が、絞り込み側制限値よりも絞り込み側の値である場合には、光学系の絞り値が、絞り込み側制限値と開放側制限値との範囲内となるように、焦点検出エリアを含む所定領域内の輝度値SpotBvに基づいて、絞りAvを変更する。また、図11の(C)〜(D)に示すように、撮影絞り値が、絞り込み側制限値と同じ値または絞り込み側制限値よりも開放側の値である場合には、光学系の絞り値が、撮影絞り値と開放側制限値との範囲内となるように、焦点検出エリアを含む所定領域内の輝度値SpotBvに基づいて、絞りAvを変更する。なお、図11の(E)〜(G)に示すように、撮影絞り値が、開放側制限値と同じ値または開放側制限値よりも開放側の値である場合には、光学系の絞り値は、撮影絞り値のままとする。
ステップS120では、カメラ制御部21により、焦点検出用の露出で得られた画像データに基づいて、デフォーカス量の算出が行われ、続くステップS121では、カメラ制御部21により、デフォーカス量が算出できたか否かの判断が行われる。デフォーカス量を算出できた場合は、ステップS115に進み、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32の駆動処理が行わる。一方、デフォーカス量が算出できなかった場合は、ステップS122に進み、後述するスキャン動作実行処理が行われる。なお、ステップS121においても、ステップS114と同様に、デフォーカス量の算出ができた場合でも、算出されたデフォーカス量の信頼性が低い場合には、デフォーカス量が算出できなかったものとして扱う。
ステップS122では、カメラ制御部21により、スキャン動作を実行するためのスキャン動作実行処理が行なわれる。ここで、スキャン動作とは、フォーカスレンズ駆動モータ36により、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、カメラ制御部21により、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、および焦点評価値の算出を、所定の間隔で同時に行い、これにより、位相差検出方式による合焦位置の検出と、コントラスト検出方式による合焦位置の検出とを、所定の間隔で、同時に実行する動作である。以下においては、図12を参照して、本実施形態に係るスキャン動作実行処理を説明する。なお、図12は、本実施形態に係るスキャン動作実行処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS201では、カメラ制御部21により、スキャン動作の開始処理が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、レンズ制御部37にスキャン駆動開始指令を送出し、レンズ制御部37は、カメラ制御部21からの指令に基づき、フォーカスレンズ駆動モータ36を駆動させ、フォーカスレンズ32を光軸L1に沿ってスキャン駆動させる。なお、スキャン駆動を行う方向は特に限定されず、フォーカスレンズ32のスキャン駆動を、無限端から至近端に向かって行なってもよいし、あるいは、至近端から無限端に向かって行なってもよい。
そして、カメラ制御部21は、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しを行い、これに基づき、位相差検出方式により、デフォーカス量の算出および算出されたデフォーカス量の信頼性の評価を行うとともに、フォーカスレンズ32を駆動させながら、所定間隔で、撮像素子22の撮像画素221から画素出力の読み出しを行い、これに基づき、焦点評価値を算出し、これにより、異なるフォーカスレンズ位置における焦点評価値を取得することで、コントラスト検出方式により合焦位置の検出を行う。
ステップS202では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたか否かの判定が行なわれる。デフォーカス量が算出できた場合には、測距可能と判断して、ステップS205に進み、一方、デフォーカス量が算出できなかった場合には、測距不能と判断して、ステップS203に進む。
ステップS203では、カメラ制御部21により、スキャン動作を行なった結果、コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができたか否かの判定が行なわれる。コントラスト検出方式により、合焦位置の検出ができた場合には、ステップS207に進み、一方、合焦位置の検出ができなかった場合には、ステップS204に進む。
ステップS204では、カメラ制御部21により、スキャン動作を、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について行なったか否かの判定が行なわれる。フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作を行なっていない場合には、ステップS202に戻り、ステップS202〜S204を繰り返すことにより、スキャン動作、すなわち、フォーカスレンズ32をスキャン駆動させながら、位相差検出方式によるデフォーカス量の算出、およびコントラスト検出方式による合焦位置の検出を、所定の間隔で同時に実行する動作を継続して行なう。一方、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行を完了している場合には、ステップS208に進む。
そして、スキャン動作を実行した結果、ステップS202において、位相差検出方式により、デフォーカス量が算出できたと判定された場合には、ステップS205に進み、ステップS205において、位相差検出方式により算出されたデフォーカス量に基づく、合焦動作が行なわれる。
すなわち、ステップS205では、カメラ制御部21により、まず、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、算出されたデフォーカス量から、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるのに必要となるレンズ駆動量の算出が行なわれ、算出されたレンズ駆動量が、レンズ制御部37を介して、レンズ駆動モータ36に送出される。そして、レンズ駆動モータ36は、カメラ制御部21により算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる。フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS206に進み、ステップS206において、カメラ制御部21により、合焦と判定される。
また、スキャン動作を実行した結果、ステップS203において、コントラスト検出方式により、合焦位置が検出できたと判定された場合には、ステップS207に進み、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づく、フォーカスレンズ32の駆動動作が行なわれる。
すなわち、カメラ制御部21により、スキャン動作の停止処理が行なわれた後、コントラスト検出方式により検出された合焦位置に基づいて、フォーカスレンズ32を、合焦位置まで駆動させるレンズ駆動処理が行なわれる。そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS206に進み、カメラ制御部21により、合焦と判定される。
一方、ステップS204において、フォーカスレンズ32の駆動可能範囲の全域について、スキャン動作の実行が完了していると判定された場合には、ステップS208に進む。ステップS208では、スキャン動作を行なった結果、位相差検出方式およびコントラスト検出方式のいずれの方式によっても、焦点検出を行うことができなかったため、スキャン動作の終了処理が行なわれ、次いで、ステップS209に進み、カメラ制御部21により、合焦不能と判定される。
そして、ステップS122のスキャン動作実行処理が終了した後は、ステップS123に進み、カメラ制御部21により、スキャン動作実行処理での合焦判定の結果に基づいて、合焦したか否かの判定が行われる。スキャン動作実行処理において、合焦と判定された場合は(ステップS206)、ステップS116に進む。一方、合焦不能と判定された場合は(ステップS209)、ステップS124に進み、ステップS124で、合焦不能表示が行なわれる。合焦不能表示は、たとえば、電子ビューファインダ26により行われる。
さらに、図9に示すステップS101において、動画像の撮影が行われていると判断された場合は、図10に示すステップS125に進む。ステップS125では、カメラ制御部21により、動画像の見栄えを優先して、光学系の絞り値が撮影絞り値に設定され、続くステップS126において、撮像素子22により撮像された動画像の画像データが、カメラ制御部21を介して、電子ビューファインダ26に表示される。そして、ステップS127では、カメラ制御部21により、マルチパターン測光が行われ、算出した撮影画面全体の輝度値Bvと、ステップS125で設定した絞り値(撮影絞り値)に対応する絞りAvとに基づいて、撮影画面全体で適正露出が得られるように、受光感度Svおよび露光時間Tvが決定される。
ステップS128では、カメラ制御部21により、ステップS127で決定された受光感度Svおよび露光時間Tvと、ステップS125で設定した絞り値(撮影絞り値)に対応する絞りAvとに基づいて、撮像素子22に対する露出の制御が行われる。そして、ステップS129では、カメラ制御部21により、光学系の焦点状態の検出が行われ、検出した焦点状態に応じて、フォーカスレンズ32の焦点調節が行われる。具体的には、カメラ制御部21は、ステップS128で設定された露出で得られた画像データに基づいて、デフォーカス量の算出を行い、デフォーカス量が算出できたか否かを判断する。デフォーカス量が算出された場合には、算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させ、一方、デフォーカス量が算出されなかった場合には、ステップS122と同様のスキャン動作実行処理を行う。そして、ステップS130に進み、撮像素子22およびカメラ制御部21により、動画像の撮影が行われる。
次に、本実施形態のカメラ1の動作を、図11に基づいて説明する。たとえば、図11の(A)に示す例では、撮影絞り値であるF16が、絞り込み側制限値であるF5.6よりも絞り込み側の値であるため、まず、光学系の絞り値が、絞り込み側制限値であるF5.6に設定される(ステップS103)。そして、光学系の絞り値を、絞り込み側制限値であるF5.6に設定した状態で、適正露出が得られると判断された場合には(ステップS107=Yes)、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、絞り込み側制限値であるF5.6で、焦点検出のための露出制御が行われる(ステップS108)。一方、光学系の絞り値を、絞り込み側制限値であるF5.6に設定した状態で、適正露出が得られないと判断された場合には(ステップS107=No)、光学系の絞り値を、開放側制限値であるF2.8に変更し(ステップS109)、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、開放側制限値であるF2.8で、焦点検出のための露出制御が行われる(ステップS108)。そして、シャッターレリーズボタンが半押しされた後は、焦点検出用の露出制御を行うことなく、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される(ステップS115)。なお、デフォーカス量の信頼性が低く、デフォーカス量を算出できない場合は(ステップS114=No)、光学系の絞り値が、絞り込み側制限値と開放側制限値との範囲内において変更され、変更された絞り値に基づいて、焦点検出のための露出制御が行われる(ステップS119)。フォーカスレンズ32の焦点調節が行われた後は、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF16に変更し(ステップS117)、撮影絞り値であるF16で、静止画像の撮影が行われる(ステップS118)。なお、図11の(B)に示す例も同様に行われる。
また、図11の(D)に示す例では、撮影絞り値であるF4が、絞り込み側制限値であるF5.6よりも開放側の値であるため、まず、光学系の絞り値が、撮影絞り値であるF4に設定される(ステップS103)。そして、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF4に設定した状態で、適正露出が得られると判断された場合には(ステップS107=Yes)、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、撮影絞り値であるF4で、焦点検出のための露出制御が行われる(ステップS108)。一方、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF4に設定した状態で、適正露出が得られないと判断された場合には(ステップS107=No)、光学系の絞り値を、開放側制限値であるF2.8に変更し(ステップS109)、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、開放側制限値であるF2.8で、焦点検出のための露出制御が行われる(ステップS108)。そして、シャッターレリーズボタンが半押しされた後は、焦点検出用の露出制御を行うことなく、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される(ステップS115)。なお、デフォーカス量の信頼性が低く、デフォーカス量が算出できない場合には(ステップS114=No)、光学系の絞り値が、撮影絞り値と開放側制限値との範囲内において変更され、変更された絞り値に基づいて、焦点検出のための露出制御が行なわれる(ステップS119)。そして、フォーカスレンズ32の焦点調節が行われた後は、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF4に変更し(ステップS117)、撮影絞り値であるF4で、静止画像の撮影が行われる(ステップS118)。なお、図11の(C),(E)に示す例おいても、図11の(D)に示す例と同様に行われる。
さらに、図11の(F)に示す例では、撮影絞り値であるF2が、開放側制限値であるF2.8よりも開放側の値であるため、まず、光学系の絞り値が、撮影絞り値であるF2に設定される(ステップS103)。そして、図11の(F)に示す例では、ステップS106において、撮影絞り値が、開放側制限値よりも開放側の値であると判断され(ステップS106=Yes)、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、撮影絞り値であるF2で、焦点検出のための露出制御が行われる(ステップS108)。そして、シャッターレリーズボタンが半押しされた後は、焦点検出用の露出制御を行うことなく、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32が駆動される(ステップS115)。フォーカスレンズ32の焦点調節が行われた後は、光学系の絞り値を、撮影絞り値であるF2のままとして(ステップS117)、撮影絞り値であるF2で、静止画像の撮影が行われる(ステップS118)。なお、図11の(E),(G)に示す例も、図11の(F)に示す例と同様に行われる。
以上のように、本実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、開放側制限値と絞り込み側制限値とに基づいて、光学系の絞り値を、焦点検出に適した絞り値に設定し、設定された光学系の絞り値で、焦点検出のための露出制御を行う。これにより、本実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた後、フォーカスレンズ32の駆動が開始されるまでの間において、焦点検出のための露出制御に要する時間(たとえば、焦点検出に適した絞り値に応じて絞り34を駆動する時間や、絞り34の駆動完了後に露出が安定するまで時間を含む)を省くことができ、シャッターレリーズボタンが半押されてからフォーカスレンズ32が駆動されるまでの時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされた後でも、デフォーカス量の信頼性が低い場合には、光学系の絞り値を、焦点検出に適した、絞り込み側制限値と開放側制限値との範囲内において変更することで、デフォーカス量を適切に算出することができ、その結果、位相差検出方式による焦点検出を適切に行うことができる。さらに、本実施形態では、焦点検出用の照明光を照射する必要がある場合には、光学系の絞り値を、開放側制限値に設定することで、光学系の絞り値を、焦点検出により適した絞り値に設定することができる。加えて、本実施形態においては、動画像の撮影を行っている場合に、光学系の絞り値を撮影絞り値に固定することで、見栄えの良い動画像を撮影することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、上述した実施形態では、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンが半押しされる前に、デフォーカス量の算出を行い、撮影者によりシャッターレリーズボタンが半押しされた場合に、シャッターレリーズボタンの半押し前に算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成を例示しているが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、シャッターレリーズボタンが半押しされたか否かに拘わらず、算出したデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる撮影モードが選択されている場合には、シャッターレリーズボタンが半押しされる前から、算出したデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を駆動させる構成としてもよい。
また、上述した実施形態では、開放側制限値を、カメラ制御部37のメモリに予め記憶しておく構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、カメラ制御部37が開放側制限値を記憶していない場合や、カメラ制御部37から開放側制限値を取得できない場合には、開放側制限値を、カメラ制御部21で決定する構成としてもよい。
さらに、上述した実施形態においては、ステップS103で光学系の絞り値を設定する際に、焦点検出エリアが、位相差検出方式により焦点検出を行うことができる画面上の領域から外れた場合でも、シャッターレリーズボタンの半押し前から、光学系の絞り値を、焦点検出に適した絞り値に設定するように構成することが好適である。これにより、たとえば、焦点検出エリアが、位相差検出方式により焦点検出を行うことができる画面上の領域外から領域内へと戻り、その直後に、シャッターレリーズボタンが半押しされた場面であっても、被写体に迅速にピントを合わせることができる。
加えて、上述した実施形態では、シャッターレリーズボタンが半押しされる前に、光学系の絞り値を、焦点検出を行うための絞り値に設定し、焦点検出のための露出制御を行う構成を例示したが、たとえば、カメラ1をパソコンに接続し、該パソコンからの信号をカメラ1で受信することで、フォーカスレンズ32の焦点調節を開始する構成とした場合や、あるいは、カメラ1に対応するリモコンからの信号を、カメラ1で受信することで、フォーカスレンズ32の焦点調節を開始する構成とした場合には、パソコンやリモコンから、フォーカスレンズ32の焦点調節を開始するための信号を受信する前から、光学系の絞り値を、焦点検出を行うための絞り値に設定し、焦点検出のための露出制御を行う構成とすることができる。
また、上述した実施形態では、カメラ本体2に照明光照射部29を備える構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、カメラ本体2と接続可能なストロボ装置を備え、該ストロボ装置から焦点検出用の照明光を照射する構成としてもよい。
なお、上述した実施形態のカメラ1は特に限定されず、例えば、デジタルビデオカメラ、一眼レフデジタルカメラ、レンズ一体型のデジタルカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。