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JP5979761B2 - 葉書用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、葉書用紙に関するものである。更に詳しくは、通信面に手書きで絵を描くのに好適な葉書用紙に関するものである。
従来、私製の葉書用紙としては、例えば観光地の風景等が裏面に印刷されている絵葉書がある。ただ、この種の絵葉書は、通常、購入者が自らで絵を変更、加工することができないことから、絵手紙(絵葉書)として面白味がなく、画一的で独自性に欠けるものであった。
差出人が独自性や個性を出すことができる葉書としては、花や葉などを葉書用紙に貼り付け、その上にフィルムを被せてパックできるように形成しているものがある(特許文献1)。
このような花や葉などを葉書用紙に貼り付けた葉書は、絵を描かなくても、芸術的な葉書を送ることができるが、差出人が所望する絵(例えば、観光地等の景色)を、簡単、迅速に描いて、旅先等から独自性のある絵手紙として送付できるものではない。
実用新案登録第3048208号公報
本発明は、宛名面はオフセット印刷適性に優れる一方で、通信面は墨や水彩絵具等での描画に適した滲みが生じ、しかも墨や水彩絵具等での描画後もカールが生じにくい葉書用紙を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の葉書用紙は、パルプを主成分とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に1層以上の中層とを有する3層以上の多層抄きの葉書用紙において、坪量が200〜350g/m、厚さが0.35〜0.50mm、密度が0.6〜0.75g/cmであり、裏層は紙力剤及びサイズ剤を含有せず、表層及び中層にのみ紙力剤及びサイズ剤を含有する。
また、本発明の葉書用紙は、ステキヒトサイズ度(JIS P 8122紙及び板紙‐サイズ度試験方法)が250秒以上であり、裏層のペン書きサイズ度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No12:2000)が0であることが好ましい。
また、本発明の葉書用紙においては、表層、中層、裏層の何れかの層又は全層に針葉樹晒サルファイトパルプが含有されていることが好ましい。
また、本発明の葉書用紙は、表層、中層、裏層の各層の坪量の割合が、表層:中層:裏層=10:80:10〜20:60:20であることが好ましい。
本発明によれば、宛名面はオフセット印刷適性に優れる一方で、通信面は墨や水彩絵具等での描画に適した滲みが生じ、しかも墨や水彩絵具等での描画後もカールが生じにくい葉書用紙を提供できる。
以下、本発明について説明するが、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。
先にも述べたように、本発明の葉書用紙は、パルプを主成分とする、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に1層以上の中層とを有する3層以上の多層抄きの葉書用紙において、坪量が200〜350g/m、厚さが0.35〜0.50mm、密度が0.6〜0.75g/cmであり、表層、中層、裏層の何れかの層又は全層のための原料パルプに針葉樹晒サルファイトパルプを含有し、裏層は紙力剤及びサイズ剤を含有せず、表層及び中層にのみ紙力剤及びサイズ剤を含有することを特徴とする葉書用紙である。
本発明において各層に使用するパルプとしては、特に限定するものではないが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)に代表される木材漂白化学パルプを使用することができる。また、必要に応じて、GP(砕木パルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)、BCTMP(晒ケミサーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ、古紙パルプを適宜配合することもできる。また、必要に応じて、木材パルプ以外に、非木材パルプ、合成パルプ、合成繊維などを用いてもよい。またフレッシュな晒パルプを使用する場合には、環境を考慮し、塩素含有量の少ないECF(Elemental Chlorine Free)パルプ又はTCF(Totally Chlorine Free)パルプの使用が望ましい。白色度などの品質面を考慮すると、ECFパルプが最適である。本発明においては、針葉樹系のパルプを、パルプ全量に対して10〜90質量%、例えば、20〜70質量%、さらに、30〜65質量%使用することが好ましい。
本発明においては、表層、中層、裏層の何れかの層又は全層に針葉樹系のパルプの中でも針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)を含有させることが好ましい。針葉樹系のパルプ繊維は、長く剛性があり、紙全体にラフ感を与えることができるが、NBSPを用いることにより紙の柔らかさが増し、結果的に、墨や水彩絵具等での描画に適した肌感や風合いを得ることができる。NBSPは、通信面とする裏層に配合することが好ましいが、表層と裏層の両層に配合するか、又は、表層、中層、裏層の全層に配合してもよい。全層に配合することにより、全体的に柔らかで風合いのある葉書用紙とすることができる。各層におけるNBSPの配合量は特に限定するものではなく、パルプ全量をNBSPとしてもよいが、NBSPの使用は比較的コスト高となるため、特に中層においては使用量を減らすことが好ましい。また、表層及び裏層においてもパルプ全量に対して30〜80質量%、例えば、35〜60質量%とし、他のパルプとしてNBKPやLBKPと併用することが好ましい。広葉樹系のパルプ繊維を使用することで、地合いが整え易くなることから、針葉樹系のパルプであるNBKP、NBSPと、広葉樹系のパルプであるLBKPとを併用してもよい。得られるシートの地合いや剛度、肌感や風合いを所望する範囲内に制御が可能となる。広葉樹系のパルプであるLBKPは、例えば、パルプ全量に対して10〜60質量%とすればよい。
前記パルプのろ水度は特に限定するものではないが、葉書用紙としての適性を考慮し、いずれの層に使用するパルプであっても、カナダ標準ろ水度(フリーネス)(JIS P 8121:1995「パルプのろ水度試験方法」)で、400〜600mlCSFとすることが好ましい。より好ましくは、450〜550mlCSFであり、更に好ましくは500〜530mlである。400mlCSF未満では、パルプの繊維間結合が強くなるため空隙率が減少し、透気抵抗度の増加及びインク吸収性の低下が生じやすい傾向がある。600mlCSFを超えると、支持体の強度が低下し、ギロチン断裁時に紙粉が発生しやすくなるおそれがある。また、繊維の脱落によるパイリングの発生、インク転写時の紙剥けなど印刷トラブルが発生するおそれがある。
本発明の葉書用紙は、坪量を200〜350g/m、厚さを0.35〜0.50mm、密度を0.6〜0.75g/cmとする。坪量、厚さ、密度をこの範囲内とすることで、カールが少なく、風合いに優れた葉書用紙とすることができる。坪量、厚さ、密度がこれらの範囲を外れると、カールが生じやすく、風合いを損ねる問題があり、更には葉書として郵送処理する際の区分機でトラブルが発生しやすくなる。
本発明の葉書用紙は、裏面の表面をペン書きでの滲みが生じやすい構成とする。具体的には、裏層のペン書きサイズ度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No12:2000)を0とすることが好ましい。このような構成とすると、裏層を葉書の通信面として使用することで、墨や水彩絵具等での描画を好適に行うことができる。裏層のペン書きサイズ度を0とするためには、下記に述べるように裏層にサイズ剤を含有させないことで容易に達成することが可能である。また、裏層に界面活性剤を配合する方法もある。
本発明の葉書用紙は、表層の表面強度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No12:2000紙及び板紙−ワックスによる表面強さ試験方法)を8A以上とすることが好ましい。このような構成とすると、表層を葉書の通信面として使用することで、各種印刷、特にオフセット印刷を好適に行うことができる。表層の表面強度を8A以上とする方法としては、特に限定するものではなく、下記に述べるように表層に紙力増強剤を含有させるなどの公知の方法を用いることが可能である。
本発明の葉書用紙は、ステキヒトサイズ度(JIS P 8122紙及び板紙‐サイズ度試験方法)を250秒以上とすることが好ましい。前述のように、本発明の葉書用紙は、裏層のペン書きサイズ度を0とするなどして裏面の表面をペン書きでの滲みが生じやすい構成とするが、葉書用紙全体として適度なサイズ性が必要であり、サイズ性が不足すると裏層表面に墨や水彩絵具等での描画を行った際にカールが生じやすくなったり、墨や水彩絵具の裏抜けが生じたりする。また、表層表面へのオフセット印刷適性も得られ難くなる。尚、ステキヒトサイズ度の値は、表層を上面として測定した値である。
本発明においては、表層、中層、裏層の各層に填料を含有させてもよい。填料としては、水和珪酸、ホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミノケイ酸塩、焼成クレー、合成樹脂填料などの公知の填料を併用することができる。この中で、紙面pHを上げないために、タルク、カオリン、チタン、焼成クレーが特に好ましい。
本発明においては、表層、中層、裏層の各層に本発明の目的とする効果を損なわない範囲で、各種公知の製紙用薬品を含有させてもよい。製紙用薬品としては、サイズ剤、紙力剤、分散助剤、硫酸バンド、pH調節剤、歩留り向上剤、染料、顔料、蛍光増白剤などが挙げられる。
上記のような好ましい裏層のペン書きサイズ度、表層の表面強度、及びステキヒトサイズ度を有する用紙を得るために、本発明においては、裏層は紙力剤及びサイズ剤を含有せず、表層及び中層にのみ紙力剤及びサイズ剤が含有されている構成とする。前述のとおり、裏層にサイズ剤を含有させないことでペン書きサイズ度を0としやすく、また同時に紙力剤を含有させないことで、裏層が柔らかくなり風合いが増す。一方で、中層及び表層にはサイズ剤と紙力剤とを含有させることで、葉書用紙としての強度や表層への印刷適性を満足させることができ、葉書全体としてのステキヒトサイズ度も制御しやすくなる。
尚、この際のサイズ剤と紙力剤は、中層へは勿論であるが、表層へも内添させることが好ましい。サイズプレスなどを用いての外添では、裏層には添加せず、表層にだけサイズ剤と紙力剤とを添加するのが難しいためである。そのような観点から、表層及び中層に添加するサイズ剤としては、内添で良好なサイズ性を発揮するものが好ましく、例えば、パラフィンワックス系サイズ剤、マイクロクリスタリンワックス系サイズ剤、カルナウバ(カルナバワックス)系サイズ剤、アルキルケテンダイマーワックス系サイズ剤、等を用いることが好ましく、これらの中でも、パルプへの定着が良好であることから、アルキルケテンダイマー系サイズ剤を含有させることが好ましい。
表層及び中層へのサイズ剤の添加量は、特に限定するものではないが、各層のパルプ100質量部に対して、0.05〜2.0質量部、好ましくは0.1〜1.0質量部含有させることが好ましい。サイズ剤の含有量が0.05質量部未満であると、所望する耐水性が得られないおそれがあり、逆にサイズ剤の含有量が2.0質量部を超えると、サイズ性の向上はほぼ頭打ちとなる一方で、過剰な添加によるコストアップとなる。
また、表層及び中層へ添加する紙力剤としても、内添で良好な紙力増強効果を発揮するものが好ましく、例えば、澱粉、カチオン化澱粉、その他変性澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド・ポリアミン系樹脂、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ゴム系ラテックス、ポリエチレンオキサイド、ポリアミド樹脂などを用いることが好ましい。これらの中でも表面強度と層間強度との向上に効果の高いカチオン化澱粉を用いることが好ましい。
表層及び中層への紙力剤の添加量は、特に限定するものではないが、各層のパルプ100質量部に対して、0.1〜3.0質量部とすることが好ましく、0.5〜2.0質量部とすることがより好ましく、0.8〜1.5質量部とすることが更に好ましい。
本発明の葉書用紙は、表層、中層、裏層を設けた3層以上の多層で抄紙されるが、各層の坪量は均等である必要はなく、例えば中層の坪量を、表層の坪量及び裏層の坪量よりも相対的に大きくすることも可能である。さらに、表層及び裏層を各1層とし中層を2層以上にすることも可能である。特に、表層、中層、裏層の各層の坪量の割合が、表層:中層:裏層=10:80:10〜20:60:20とすることが好ましい。このような構成とすることで、裏層の風合い及びにじみ性、表層の表面強度、葉書用紙全体としての強度及びサイズ性などのバランスを制御しやすくなる。
本発明の葉書用紙の抄紙方法は特に限定するものではなく、公知の抄紙機を用いることができる。すなわち長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機又は円網抄紙機によって3層以上の多層で抄紙される。これらの抄紙機のコンビネーションでもかまわない。
また、本発明の葉書用紙は、公知の表面処理を行ってもよいが、葉書用紙としての風合いを損なわないためには、キャレンダ−等での平滑化処理を行わない方がよい。平滑化処理を行うと、その処理によっては、通信面となる裏面の墨や水彩絵具等での描画に適した滲みが生じにくくなり、風合いが落ちることがある。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、例中の「部」、「%」は、特に断らない限りそれぞれ固形分換算での質量部または、質量%を示す。
(実施例1)
<表層用原料スラリーの調整>
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)50部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)30部を配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(CSF)が510mlとなるように叩解処理し原料パルプを得た。この原料パルプ100部に対してサイズ剤としてアルキルケテンダイマー系サイズ剤(SE−2360、星光PMC社製)0.3部、内添紙力剤としてカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品化工社製)1.0部を添加して表層用の原料スラリーを調成した。
<中層用原料スラリーの調整>
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)21部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)39部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)40部を配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(CSF)が510mlとなるように叩解処理し、中層用の原料パルプを得た。この原料パルプ100部に対してサイズ剤としてアルキルケテンダイマー系サイズ剤(SE−2360、星光PMC社製)0.3部、内添紙力剤としてカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品化工社製)1.0部を添加して中層用の原料スラリーを調成した。
<裏層用原料スラリーの調整>
針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)50部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)30部を配合した後に、叩解機によってカナダ標準濾水度(CSF)が510mlとなるように叩解処理し原料パルプを得た。この原料パルプを水中に分散し、裏層用の原料スラリーとした。
<葉書用紙の抄紙>
次に、これらの各原料スラリーを用いて、円網式抄紙機にて表層/中層/中層/裏層の構成となるよう4層抄合せでシートを抄造し、坪量250g/m、厚さ0.386mmの葉書用紙を得た。尚、各層の坪量は、表層を45g/m、中層を160g/m(80g/mを2層)、裏層を45g/mとした。
(実施例2)
中層の坪量を190g/m(95g/mを2層)に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は280g/m、厚さは0.434mmであった。
(実施例3)
中層の坪量を210g/m(105g/mを2層)に変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は300g/m、厚さは0.481mmであった。
(実施例4)
表層の坪量を30g/m、中層の坪量を190g/m(95g/mを2層)、裏層の坪量を30g/mに変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.381mmであった。
(実施例5)
表層の坪量を30g/m、中層の坪量を220g/m(110g/mを2層)、裏層の坪量を30g/mに変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は280g/m、厚さは0.429mmであった。
(実施例6)
表層の坪量を30g/m、中層の坪量を240g/m(120g/mを2層)、裏層の坪量を30g/mに変更した以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は300g/m、厚さは0.474mmであった。
(実施例7)
表層用、中層用及び裏層用の原料スラリーの調整において、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)を配合せず、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)の配合量を60部、広葉樹晒クラフトパルプ(L−BKP)の配合量を40部にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.375mmであった。
(実施例8)
表層用、中層用及び裏層用の原料スラリーの調整において、パルプの濾水度を430mlCSFにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.379mmであった。
(実施例9)
表層用、中層用及び裏層用の原料スラリーの調整において、パルプの濾水度を570mlCSFにそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.396mmであった。
(比較例1)
裏層用の原料スラリーの調整において、原料パルプ100部に対してサイズ剤としてアルキルケテンダイマー系サイズ剤(SE−2360、星光PMC社製)0.3部、内添紙力剤としてカチオン化澱粉(ネオタック40T、日本食品化工社製)1.0部を添加した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.382mmであった。
(比較例2)
表層用及び中層用の原料スラリーの調整において、サイズ剤と内添紙力剤とを添加しなかった以外は実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.380mmであった。
(比較例3)
抄紙後、澱粉(商品名:SK−20、日本コーンスターチ社製)水溶液をサイズプレス機で葉書用紙の両面に、片面あたりの塗布量が乾燥固形量で1g/mとなるよう塗布した以外は、実施例1と同様にして葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は252g/m、厚さは0.381mmであった。
(比較例4)
抄紙後、マシンキャレンダーでプレス処理(ニップ圧55kg/cm)し、高密度化、高平滑化処理した以外は、実施例1と同様にて葉書用紙を得た。得られた葉書用紙の坪量は250g/m、厚さは0.248mmであった。
各実施例及び比較例で得られた葉書用紙の評価結果を表11に示す。尚、評価については以下の方法で行った。
Figure 0005979761
<坪量>
JIS P 8124:2011「紙及び板紙‐坪量の測定方法」に準拠して測定した。
<厚さ、密度>
JIS P 8118:1998「紙及び板紙‐厚さ及び密度の試験方法」に準拠して測定した。
<ステキヒトサイズ度>
JIS P 8122:2004「紙及び板紙‐サイズ度試験方法−ステキヒト法」に準拠し、表層を上向きにして測定した。
<表面強さ>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No1:2000「紙及び板紙−ワックスによる表面強さ試験方法」に準拠し、表層の表面強さを測定した。
<ペン書きサイズ度>
JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No12:2000で規定する評価方法に従い、裏層表面のペン書きサイズ度を評価した。
<印刷適性評価(表層表面の印刷適性)>
実機枚葉印刷機(リョービ3302M、リョービ社製)を用いて、葉書用紙の表層の表面に、郵便番号枠、切手貼り付け枠及びテストパターンを印刷し、白抜け部(ピック)及び/又は剥けの有無によって印刷強度を評価した。また、ブランケットの汚れ及び/又は版汚れの程度によって作業性を評価した。前記印刷強度及び作業性の評価は、次の3段階で判定した。
○・・・実用レベルにある、
△・・・やや劣るが実用レベル(実用下限)
×・・・印刷不可(実用に適さない)
<筆記適性評価(裏層表面の筆記性)>
葉書用紙の裏層表面に墨、水彩絵具で描画し、それぞれの描画部の色のり、にじみ、乾燥性と、描画後の葉書用紙のカール具合とを目視で評価し、以下の3段階で判定した。
○・・・実用レベルにある
△・・・やや劣るが実用レベルにある
×・・・実用不可
表1からもわかるように、実施例1〜9で得られた葉書用紙は、表層の印刷適性と、裏層の筆記適性に優れるものであった。実施例7で得られた葉書用紙はパルプとしてNBSPを使用しなかったため、他の実施例で得られた葉書用紙に比べてやや風合いには劣るものとなった。実施例8で得られた葉書用紙はパルプの濾水度を低くしたため、やや裏層の筆記適性に劣るものであったが、実用範囲であった。実施例9で得られた葉書用紙はパルプの濾水度を高くしたため、やや表層の印刷適性に劣るものとなったが、実用範囲であった。
以上述べたように、本発明は、該宛名面のオフセット印刷適性に優れ、かつ通信面の墨、水彩絵具等の色のり、にじみ、乾燥性、筆記後のカール性に優れた絵手紙用葉書用紙用途にも好適に用いることができるものである。

Claims (4)

  1. パルプを主成分とし、表層と、裏層と、該表層及び該裏層の間に1層以上の中層とを有する3層以上の多層抄きの葉書用紙において、坪量が200〜350g/m、厚さが0.35〜0.50mm、密度が0.6〜0.75g/cmであり、ステキヒトサイズ度(JIS P 8122紙及び板紙‐サイズ度試験方法)が250秒以上であり、裏層のペン書きサイズ度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No12:2000)が0であり、表層の表面強度(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No1:2000紙及び板紙−ワックスによる表面強さ試験方法)が8A以上であり、
    裏層は紙力剤及びサイズ剤を含有せず、表層及び中層にのみ紙力剤及びサイズ剤を含有することを特徴とする葉書用紙。
  2. 表層及び中層に、各層のパルプ100質量部に対して紙力剤を0.1〜3.0質量部、及びサイズ剤を0.05〜2.0質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の葉書用紙。
  3. 表層、中層、裏層の何れかの層又は全層に針葉樹晒サルファイトパルプが含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の葉書用紙。
  4. 表層、中層、裏層の各層の坪量の割合が、表層:中層:裏層=10:80:10〜20:60:20であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の葉書用紙。
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