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JP5699694B2 - 低坪量印刷用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、低坪量で印刷後不透明度が高く、しかも表面強度が高くインキ着肉性の良い印刷用紙に関するものである。
従前より、省資源の観点から、紙の軽量化の要求がある。紙の軽量化の際には、紙の厚さは維持したままで軽量化すること、あるいは、不透明度を維持したまま軽量化することが要求される。特に、コミックや雑誌、書籍などに用いられる印刷用紙は、両面印刷されるため、軽量化の際にも不透明度が維持されて、裏抜けが無いことが要求される。紙の軽量化に関わる特許文献として、次のようなものがある。
特許文献1には、嵩高であり、かつ表面強度及びインキ着肉性が良好な、印刷適性に優れた印刷用紙として、機械パルプ65〜95重量%、機械パルプ中の20〜80重量%が松材(Pine)系のサーモメカニカルパルプから構成され、クリアーサイズが両面で0.5〜1.5g/m塗布され、緊度0.40〜0.50g/cmである嵩高なオフセット印刷用中質紙が提案されている。しかし、不透明度や印刷後不透明度については検討されていない。
特許文献2には、嵩高でオフセット印刷適性に優れる、印刷強度の高い印刷用紙として、低密度化薬品を対パルプあたり0.1〜2重量%含み、嵩比重0.3g/ml以下の無定形シリカ若しくは無定形シリケートを紙重量あたり1〜9重量%含む低密度紙が提案されている。しかし、不透明度や印刷後不透明度については検討されていない。
特許文献3には、嵩高でありながら、不透明性や印刷後不透明性に優れる低密度印刷用紙として、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物を1〜25固形分重量%含有する低密度印刷用紙が提案されている。しかし、軽質炭酸カルシウム粒子の表面をシリカで被覆した特殊な填料であるし、印刷後不透明度について詳細には検討されていない。
特許文献4には、白色度が高く、褪色性に優れ、軽量、嵩高で、印刷適性に優れ、紙粉の発生がなく手触り感が良好な印刷用紙として、白色度75%以上、密度0.50g/cm以下、褪色性が6以下の印刷用紙が提案されている。しかし、印刷後不透明度については検討されていない。
特許文献5には、低密度、紙腰が柔軟、インキ着肉性が良好で、ブランケットへの紙粉の付着が少ない印刷適性に優れた低密度印刷用紙として、紙低密度化剤を0.3〜2.0質量%、カルボキシメチルセルロースを0.05〜2.0質量%添加した低密度印刷用紙が提案されている。しかし、不透明度や印刷後不透明度については検討されていない。
特開平5−98593号公報(特許2650533号) 特開2000−282392号公報 特開2005−281915号公報 特開2007−262587号公報 特開2008−88582号公報
紙を軽量化する際、坪量を下げると不透明度が低下する。
厚さを維持するためには、前述した嵩高剤を使用する以外の手段として、原料のパルプの叩解を弱くして、嵩高にする方法がある。しかしこのようにすると、パルプの繊維間結合が弱くなるので表面強度が低くなり、印刷時に紙粉、紙むけなどのトラブルが発生するという問題がある。さらに、平滑化処理を行うカレンダーの加圧を弱くすることで、嵩高にすることができるが、同時に平滑性が悪くなりインキ着肉性が悪くなってしまう。
本発明の課題は、上記問題の解決を意図したものである。すなわち、低坪量で不透明度が高く、しかも表面強度が高くインキ着肉性の良い印刷用紙を提供することである。
本発明者らは、印刷用紙を低坪量化する際に、不透明度を維持し、表面強度が高くインキ着肉性の良い印刷用紙とする手段について鋭意検討した結果、機械パルプが65〜90質量%、針葉樹クラフトパルプが5〜20質量%含有するようにパルプ配合を調整し、填料としてホワイトカーボンを0.5〜2.0質量%添加、炭酸カルシウム10〜20質量%添加された原紙に、紙力増強剤が少なくとも片面に0.5〜1.0g/m塗布された印刷用紙について、白色度、不透明度、印刷後不透明度、坪量、厚さ、平滑度、クラークこわさ横を特定することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
請求項1の発明は、以下の(1)〜(7)の特徴を有する古紙脱墨パルプが配合された印刷用紙である。
(1)印刷用紙を離解して得られた全パルプ中の機械パルプが65〜90質量%、針葉樹クラフトパルプが5〜20質量%含有するようにパルプ配合が調整されている。
(2)填料として、ホワイトカーボン0.5〜2.0質量%と炭酸カルシウム10〜20質量%が添加され、灰分5〜15%とされている。
(3)白色度65〜75%、不透明度87〜97%、印刷後不透明度85〜95%
(4)坪量50〜60g/m、厚さ120〜140μm
(5)紙力増強剤が少なくとも片面に0.5〜1.0g/m塗布されている。
(6)平滑度5〜20秒
(7)クラークこわさ横20〜50cm/100
請求項2の発明は、不透明度と印刷後不透明度の差が3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用紙である。
本発明によれば、低坪量、低密度であっても、不透明度が高く、しかも表面強度が高くインキ着肉性の良い印刷用紙を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明の印刷用紙の製造には、ワイヤーパート、プレスパート、ドライヤーパート、リールパートの各工程からなる抄紙機を用いる。
本発明にかかる印刷用紙は、原料パルプとして、クラフトパルプ、古紙パルプ、機械パルプなどが使用できる。クラフトパルプとしては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、などが使用できる。また、古紙パルプとしては、新聞古紙脱墨パルプ、上質古紙脱墨パルプなどの脱墨パルプ(DIP)が使用できる。機械パルプとしては、ストーングラウンドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等を使用することができる。
本発明にかかる印刷用紙は、印刷用紙を離解して得られた全パルプ中の機械パルプが65〜90質量%、針葉樹クラフトパルプが5〜20質量%含有するようにパルプ配合が調整されている。機械パルプを65質量%〜90質量%含有することで、嵩高さを得ることができる。機械パルプの配合率が高いと、抄紙時の湿紙強度が低くなり、断紙トラブルが発生しやすくなる。特に本発明の印刷用紙は低坪量であり、この懸念が大きいため、針葉樹クラフトパルプを5〜20質量%含有させることで湿紙強度を確保し、抄紙操業性が良好となる。針葉樹クラフトパルプがこれより多いと、地合いが悪くなり、印刷後不透明度が低くなる。
本発明の印刷用紙は古紙パルプを配合している。古紙パルプの配合率は高いほうが、リサイクルという点で望ましいが、上記パルプ配合および、印刷用紙に要求される不透明度や白色度によって上限が決まってくる。古紙パルプの繊維組成をJISP8120:1998紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法により求めておけば、古紙パルプ配合の印刷用紙を離解したパルプの繊維組成を予測することができる。新聞古紙脱墨パルプの場合、仕上がりパルプの繊維組成(%)は、NBKP/LBKP/機械パルプ=10/50/40程度である。
本発明の印刷用紙には填料を添加する。具体的には、ホワイトカーボンを0.5〜2.0質量%添加することが望ましく、加えて、炭酸カルシウムを10〜20質量%添加するのが望ましい。ホワイトカーボンは、インキ吸収能力が高いので、特に印刷後不透明度の向上に寄与し、炭酸カルシウムは不透明度の向上に寄与して、裏抜けの少ない印刷用紙とすることができる。
その他に使用する填料の種類は特に限定されず、二酸化チタン、タルク、クレー、シリカなどの無機填料やプラスチックピグメント等、一般に印刷用紙に使用されている填料を必要に応じて使用することができる。本発明の印刷用紙の灰分は、5〜15%である。灰分が高過ぎると、表面強度が低くなり、紙粉やピッキングのトラブルを生じやすくなる。
填料はパルプ繊維間の空隙を埋めるので、カレンダー処理による平滑化を行わなくても、紙に平滑性を与えることができ、インキ着肉性が良好になる。したがって、嵩を維持したままインキ着肉性を良好にすることができる。
このようにして得られる印刷用紙の不透明度は87〜97%であり、印刷後不透明度は85〜95%である。印刷後不透明度は89〜95%であることがさらに望ましい。
一般の印刷用紙は、新聞用紙(坪量43g/m)に比べると高い坪量であり、インキの浸透をそれほど考慮する必要がなく、不透明度を確保すれば裏抜けの対策となった。しかし、本発明の印刷用紙は坪量が従来のものより低く軽量化されているので、裏抜けに関するインキの浸透の影響が大きくなるため、印刷後不透明度が重要となる。
コミック用紙は、オフセット輪転機またはオフセット枚葉機で印刷される。インキの乾燥方式は、輪転機では乾燥装置によるヒートセット方式、枚葉機では乾燥装置がないコールドセット方式であり、一般にコールドセット方式の方がインキの浸透が大きくなる。
今後、印刷用紙の軽量化が進んだ際には、裏抜けに関するインキの浸透の影響が大きくなるため、ヒートセット方式の輪転機においても印刷用紙の印刷後不透明度が重要となり、ましてやコールドセット方式の枚葉機では、非常に重要であるといえる。
本発明では印刷後不透明度の測定に際し、インキの浸透が大きいコールドセット方式に用いられる新聞オフセットインキを用いることで、印刷用紙の軽量化に重要となる印刷後不透明度を、より厳しい条件で測定している。
印刷後不透明度は不透明度よりも低い値となる。同じ不透明度の用紙で比較した場合、不透明度と印刷後不透明度の差(不透明度−印刷後不透明度)が小さい用紙のほうが、紙の厚み方向へのインキ浸透が抑えられている。低い坪量の用紙ほど、この差を小さくするのが難しいが、本発明の印刷用紙は、前述した構成をとることにより、不透明度と印刷後不透明度の差を3%以下、望ましくは2%以下としている。このように不透明度と印刷後不透明度の差を小さくすることで、過剰に不透明度を上げることなく、低坪量のコミック用紙に重視される印刷後不透明度を高くし、裏抜けを防止した印刷用紙を得ることができる。
すなわち、不透明度を向上させるための、填料の増添による強度ダウン、機械パルプの配合増によるインキ着肉の悪化、古紙パルプの配合減などの弊害を防止することができる。
本発明の印刷用紙には、原料パルプに硫酸バンド、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、染料などを添加することができる。サイズ剤としては、ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸などのサイズ剤が使用できる。紙力増強剤としては、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド系樹脂などが使用できる。その他、スライムコントロール剤、ピッチコントロール剤、消泡剤などの添加剤も使用することができる。
本発明の印刷用紙には、表面強度向上を目的に、少なくとも片面に紙力増強剤を含む表面処理剤を塗布する。通常は両面に同じ塗布量で塗布する。紙力増強剤の塗布量は、片面0.5〜1.0g/mである。紙力増強剤を塗布しているので、機械パルプの配合率と填料の添加率が高くても、表面強度を高くすることができる。紙力増強剤の塗布量が片面0.5g/mより少ないと表面強度が不足し、1.0g/mより多くしても、それ以上の効果は期待できない。
表面処理剤を塗布する装置としては、一般的に使用される2ロールサイズプレスコーターやゲートロールコーターなどのロールコーターやブレードコーターやスプレーコーターを用いることができる。
塗布する紙力増強剤としては、酸化澱粉、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、スチレンマレイン酸系共重合体、スチレンアクリル酸系共重合体などが使用できる。
表面処理剤には、紙力増強剤のほか、表面サイズ剤や、滑剤、防滑剤などの薬品を混合して塗布することもできる。
表面処理剤の塗布濃度は、5〜10質量%が望ましい。紙厚を高くする上では、塗布濃度は低いほうがよいが、塗布濃度が5質量%より低いと塗布量の確保が難しくなる。塗布濃度が10質量%を超えると塗布ムラができやすくなり、表面強度の点で望ましくない。
表面処理剤を塗布する際の湿紙の水分率は5〜15%が好ましく、5〜10%がさらに好ましい。5%より低いと表面処理剤の塗布による水分率の急激な変化により、抄紙工程内での印刷用紙の伸縮が大きくなるのでシワ入りが懸念され、抄紙安定性が悪くなる。塗布する際の湿紙水分が15%より高いと、表面処理剤の紙層内部への浸透が多くなり、塗布後の水分率が高くなるので、水分プロファイルが悪くなり、シワが発生することがある。
本発明の印刷用紙の製造に際しては、通常、ドライヤーで乾燥後にカレンダー装置により平滑化処理するが、目的の平滑性が得られれば、カレンダー処理をしなくてもよい。かかるカレンダー装置としては、チルドカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダーなどの一般に使用されているカレンダー装置が使用できる。要求される平滑性に応じて、ニップ数やニップ圧、ロール温度、ロール材質、ロール硬度などを設定する。
本発明の印刷用紙の坪量は、50〜60g/mである。60g/m以下であれば従来のコミック用紙より低い坪量となり、50〜58g/mであることがさらに好ましい。坪量が50g/mに満たないと、厚さ、あるいは不透明度が不足し、コミックには使用が困難となる。本発明の印刷用紙の厚さは120〜140μmである。好ましくは120〜135μmである。この範囲であれば、コミックとして、手肉感やページのめくりやすさが良好なものとなる。
本発明の印刷用紙の白色度は65〜75%であることが好ましい。この範囲であればコミックに好適である。
白色度が65%に満たないと、印刷画像とのコントラストが弱く、印刷効果が低いものとなる。白色度が75%より高いと低坪量で不透明度を確保するのが難しくなる。本発明の印刷用紙の平滑度は、表裏面ともに5〜20秒が好ましく、10〜20秒がさらに好ましい。平滑度が低いとインキ着肉性が劣り、20秒を超えると、インキ着肉性は良いが密度が高くなり、コミック用紙に必要な厚さを低坪量で確保することができなくなる。
本発明の印刷用紙をコミックに使用する場合、クラークこわさ(JISP8143:2009紙−こわさ試験方法−クラークこわさ試験機法)横は20〜50cm/100であることが好ましい。20cm/100より低いと、しっかりとした手肉感がなく安価な印象を与えてしまうし、製本後にページをめくりにくくなる。50cm/100より高いと製本後に、本を開いても自然に閉じる傾向が強くハンドリングが悪くなるという問題がある。
印刷用紙のこわさは、用途によって要求される範囲が異なっている。チラシやページ数の少ないカタログ等に使用される用紙は、手肉感が必要でこわさは高いほうが好まれる。一方、製本される印刷用紙の場合、本のサイズやページ数などによって要求される範囲が変わってくる。文庫本(主にA6判)はサイズが比較的小さく、ページ数が多いので、こわさが低い用紙が好ましい。週刊誌や雑誌(主にB5判、A4判)はサイズが大きく、こわさが高い用紙が望ましい。これらの中間の大きさのコミック(主にB6判)の場合、本発明の低坪量の用紙の場合は、前述したクラークこわさ横は20〜50cm/100であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により、本発明の効果を具体的に表す。なお、%は特に断りのない限り質量%を表し、添加量は絶乾パルプ100質量部に対する固形分または有効成分で表す。
(実施例1)
サーモメカニカルパルプ65質量部(95mlCSF)と針葉樹晒クラフトパルプ10質量部(480mlCSF)と新聞古紙脱墨パルプ25質量部(200mlCSF)からなる原料パルプ分散液に、填料として、ホワイトカーボン(丸住エンジニアリング株式会社製)0.5質量%、炭酸カルシウム(奥多摩工業株式会社製、商品名:タマパール121−6S)17質量%を添加し、歩留向上剤(ハイモ株式会社製、商品名:ハイモロックND−260)200ppmを添加して抄紙した。
水分11%まで乾燥した湿紙に、ゲートロールコーターで濃度8%に溶解した酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:王子エースA)を塗布量が片面あたり0.8g/mとなるように紙の両面に塗布した後、乾燥し、カレンダー処理を行わず、水分6.5%、坪量59.8g/m、白色度70%の印刷用紙を得た。
(実施例2)
カレンダー1ニップ処理(ニップ圧10kN/m)を行ったこと以外は実施例1と同様に印刷用紙を得た。
(実施例3)
ホワイトカーボンの添加量を2.0質量%、炭酸カルシウムの添加量を10質量%としたことと、表面処理剤の塗布量を片面あたり1.0g/mとしたこと以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
(実施例4)
サーモメカニカルパルプの配合率を80質量部とし、新聞古紙脱墨パルプの配合率を10質量部としたこと、ホワイトカーボンの添加量を1.0質量%、炭酸カルシウムの添加量を20質量%としたことと、表面処理剤の塗布量を片面あたり1.0g/mとしたことと、坪量を56.0g/mとしたこと以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
(実施例5)
炭酸カルシウムの添加量を20質量%としたことと、坪量を53.0g/mとしたこと以外は、実施例4と同様に印刷用紙を得た。
(比較例1)
ホワイトカーボンを添加しなかったことと、炭酸カルシウムの添加量を24質量%としたこと以外は実施例1と同様に印刷用紙を得た。
(比較例2)
ホワイトカーボンを添加しなかったことと、炭酸カルシウムの添加量を5.0質量%としたこと、表面処理剤の塗布量を片面あたり0.6g/mとしたこと以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
(比較例3)
サーモメカニカルパルプの配合率を40質量部とし、新聞古紙脱墨パルプの配合率を50質量部としたことと、表面処理剤の塗布量を片面あたり0.3g/mとしたこと以外は、実施例1と同様に印刷用紙を得た。
(比較例4)
サーモメカニカルパルプの配合率を40質量部とし、針葉樹晒クラフトパルプの配合率を20質量%とし、新聞古紙脱墨パルプの配合率を40質量部としたこと、ホワイトカーボンを添加せず、炭酸カルシウムの添加量を22質量%としたこと、表面処理剤の塗布量を片面あたり0.8g/mとしたこと以外は、実施例4と同様に印刷用紙を得た。
(比較例5)
坪量を49.0g/mとしたこと以外は、実施例4と同様に印刷用紙を得た。
実施例1〜5と比較例1〜5の印刷用紙の評価結果を表1に示す。試験方法、評価方法は次のとおりである。
(坪量)JISP8124:1998紙及び板紙−坪量測定方法
(白色度)JISP8148:2001紙、板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法
(繊維組成)JISP8120:1998紙、板紙及びパルプ−繊維組成試験方法
(厚さ)JISP8118:1998紙及び板紙−厚さ及び密度の試験方法
(灰分)JISP8251:2003紙、板紙及びパルプ−灰分試験方法−525℃燃焼法
(不透明度)JISP8149:2000紙及び板紙−不透明度試験方法(紙の裏当て)−拡散照明法
(印刷後不透明度)「新聞用紙−印刷後不透明度試験方法」(Japan Tappi紙パルプ試験方法No.45)により、表面と裏面の測定値の平均を求めた。なお、インキの浸透性を評価するため、オフセット印刷用新聞インキを使用した。
(平滑度)JISP8119:1998紙及び板紙−ベック平滑度試験機による平滑度試験方法
(クラークこわさ)JISP8143:2009紙−こわさ試験方法−クラークこわさ試験機法
(表面強度評価、インキ着肉性評価)RI印刷適性試験機を用いて、オフセットインキでベタ印刷を行い、ドライピックとインキ着肉性を、次の3段階で相対評価した。◎優れる ○良い ×劣る
Figure 0005699694
表1に示したように、本発明の実施例では、不透明度、印刷後不透明度が高く、表面強度とインキ着肉性の評価が良好な印刷用紙が得られている。
比較例1は、ホワイトカーボンを添加していないので、インキが表面に留まらず、紙内部に浸透してしまい印刷後不透明度が低く、不透明度と印刷後不透明度の差が3.3%と大きくなっている。炭酸カルシウムの添加量を24質量%とすることで、印刷後不透明度は88.7%とまずまず高い値であるが、灰分が高いため表面強度評価が悪くなっている。
比較例2は、ホワイトカーボンの添加がなく、炭酸カルシウムの添加量が5.0質量%と少ないので、灰分が4.7%と低くなっており、不透明度、印刷後不透明度ともに低く、不透明度と印刷後不透明度の差が3.1%と大きくなっている。また、灰分が低いことに加え、平滑度が、表8秒、裏7秒と低いので、インキ着肉性評価が悪くなっている。
比較例3は、機械パルプの含有が60質量%と低く、坪量59.8g/mの実施例、比較例の中では、不透明度、印刷後不透明度が低目であり、不透明度と印刷後不透明度の差が3.1%と大きくなっている。また、紙力増強剤の塗布量が片面0.3g/mと少ないので、表面強度評価が悪くなっている。
比較例4は、機械パルプの含有割合が55質量%と低いことに加え、NBKPの含有割合が25%と高いので地合いが悪くなり、不透明度、印刷後不透明度が低く、不透明度と印刷後不透明度の差が3.7%と大きくなっている。また、炭酸カルシウムの添加量が22質量%と多く、灰分が15.2%と高いため、表面強度評価が悪くなっている。
比較例5は、坪量が49.0g/mと低いため、厚さが110μm、クラークこわさ横が19cm/100と低くなっており、コミック用紙としては適さないものとなっている。
本発明の印刷用紙は、コミック用紙として好ましく使用できるが、その他の用途の印刷用紙にも使用できる。

Claims (2)

  1. 以下の(1)〜(7)の特徴を有する古紙脱墨パルプが配合された印刷用紙。
    (1)印刷用紙を離解して得られた全パルプ中の機械パルプが65〜90質量%、針葉樹クラフトパルプが5〜20質量%含有するようにパルプ配合が調整されている。
    (2)填料として、ホワイトカーボン0.5〜2.0質量%と炭酸カルシウム10〜20質量%が添加され、灰分5〜15%とされている。
    (3)白色度65〜75%、不透明度87〜97%、印刷後不透明度85〜95%
    (4)坪量50〜60g/m、厚さ120〜140μm
    (5)紙力増強剤が少なくとも片面に0.5〜1.0g/m塗布されている。
    (6)平滑度5〜20秒
    (7)クラークこわさ横20〜50cm/100
  2. 不透明度と印刷後不透明度の差が3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の印刷用紙。
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