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JP5962121B2 - 変性ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを用いたゴム組成物 - Google Patents

変性ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを用いたゴム組成物 Download PDF

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JP5962121B2 JP2012071781A JP2012071781A JP5962121B2 JP 5962121 B2 JP5962121 B2 JP 5962121B2 JP 2012071781 A JP2012071781 A JP 2012071781A JP 2012071781 A JP2012071781 A JP 2012071781A JP 5962121 B2 JP5962121 B2 JP 5962121B2
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恒志 庄田
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Description

本発明は、変性ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを用いたゴム組成物に関する。
近年、環境問題への意識が高まり、自動車の燃費向上を目的とした低燃費タイヤ用ゴム材料の開発が盛んに行われている。このような低燃費を目的としたタイヤ用ゴム材料は、機械的性質、低エネルギーロス性などに優れていることが望まれており、その実現のため、フィラーであるシリカの分散性を向上させ、ゴム分子間の摩擦やシリカとゴム分子間の摩擦を低減させて発熱を減らす技術が知られている。そして、シリカの分散性を向上させるために、その材料となるゴムをエポキシ化変性させる技術が多数開発されている(特許文献1)。
特許3363539号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたタイヤトレッド用ゴム組成物は、機械的性質、低エネルギーロス性などが必ずしも十分でない。そこで、本発明は、特に低エネルギーロス性、氷上スキッド性及び反発弾性に優れた変性ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを用いたゴム組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、エポキシ化率を限定したエポキシ化ジエン系ゴムとアルコキシシラン及びアミン化合物とを反応させることによって、アルコキシシランが多数付加した変性ジエン系ゴムを製造でき、それを用いたゴム組成物は、特に低エネルギーロス性、氷上スキッド性及び反発弾性に優れていることを見出し、本発明に至った。すなわち本発明は、エポキシ化率が0.1%以上15%未満のエポキシ化ジエン系ゴムと、エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシラン及びアミン化合物とを反応させたことを特徴とする変性ジエン系ゴムに関する。
また、本発明は、エポキシ化率が0.1%以上15%未満のエポキシ化ジエン系ゴムと、エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシラン及びアミン化合物とを溶液状態で反応させることを特徴とする変性ジエン系ゴムの製造方法に関する。
さらに、本発明は、上記変性ジエン系ゴムとシリカとを含有することを特徴とする変性ジエン系ゴム組成物に関する。
以上のように、本発明によれば、特に低エネルギーロス性、氷上スキッド性及び反発弾性に優れた変性ジエン系ゴム及びその製造方法並びにそれを用いたゴム組成物を提供することができる。
本発明に係る変性ジエン系ゴムにおいて、原料となるジエン系ゴムは、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴム(VCR)、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどである。この中でも、特にブタジエンゴムが好ましい。上記ジエン系ゴムは、1種類単独、または2種類以上を組み合わせて使用してもよいが、2種類以上の組合せでは、そのうち1種類のみに変性が偏る可能性がある点から1種類の単独重合体が好ましい。
上記ジエン系ゴムは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ法)による重量平均分子量(Mw)が5万〜200万、さらに20万〜100万、特には40万〜80万であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5万未満になると、機械強度が低くなり、200万を超えると、加工性が低下するので好ましくない。
また、上記ジエン系ゴムは、エポキシ化率が0.1%以上15%未満でエポキシ化されており、より好ましくは0.2%〜5%、特に好ましくは0.5%〜2.5%である。
上記ジエン系ゴムのエポキシ化の方法としては、特に制限はなく、例えば、モノ過フタル酸を用いる方法(特開昭51−060292号公報)、有機過酸またはカルボン酸その無水物とともに過酸化水素水を用いる方法(特開平05−214014号公報)、タングステン酸系触媒とリン酸化合物および相間移動触媒と過酸化水素水を用いる方法(特許第3942927号公報)等に記載の公知の方法が用いられる。
また、上記エポキシ化の際に、エポキシ化率を調整する方法としては、例えば過酸化水素水の添加量を調整する、反応温度を調整する、反応時間を調整する等の通常の方法が挙げられる。エポキシ化率が0.1%未満では、エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランと反応するエポキシ基の数が不足する点で好ましくない。また、エポキシ化率が15%以上では、不飽和結合が少なくなってゴム弾性が低下する点や、硫黄加硫を用いた場合に加硫戻りを生じやすく、機械的性質が低下する点で好ましくない。
本発明に係る変性ジエン系ゴムにおいて、エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランとしては、特に制限はなく、エポキシ化ジエン系ゴム中のエポキシ基に付加反応の可能なものであれば良い。
上記エポキシ基と反応する官能基としては、例えば、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、ウレイド基、アクリロキシ基、イソシアネート基、スチリル基、メタクリロキシ基、スルフィド基、ニトロ基、ハロゲン基、エポキシ基またはグリシジル基などが挙げられ、さらに、チオカルバモイルテトラスルフィド構造、ベンゾチアゾールテトラスルフィド構造、メタクリレートモノスルフィド構造を有するものなどが挙げられる。
エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランとしては、例えば、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシエチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシプロピルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシブチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリブトキシシランなどのアミノ基を有するものが挙げられる。これらの化合物の中では、特に変性効果の点から、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシランが好適に使用される。
さらに、エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランとして、例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基を有するもの、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのウレイド基を有するもの、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランなどのアクリロキシ基を有するもの、3−イソシアネートプロピル、トリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するもの、p−スチリルトリメトキシシランなどのスチリル基を有するもの、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどのメタクリロキシ基を有するもの、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィドなどのスルフィド基を有するもの、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ基を有するもの、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシランなどのハロゲン基を有するもの、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィドなどのチオカルバモイルテトラスルフィド構造を有するもの、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどのベンゾチアゾールテトラスルフィド構造を有するもの、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィドなどのメタクリレートモノスルフィド構造を有するもの、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシランなどのエポキシ基またはグリシジル基を有するもの等が挙げられる。これらの化合物の中では、特に反応後の性能が優れる点から、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシジル基またはエポキシ基を持つアルコキシシラン、更にはエボニック社製Si363のようなメルカプト構造を有するシランカップリング剤[エトキシ(3−メルカプトプロピル)ビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シラン]が好適に使用される。
さらにまた、エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランとして、例えば、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、トリメチルブトキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、トリエチルブトキシシラン、トリメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、エチルジメトキシシラン、ジエチルメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、エチルジエトキシシラン、ジエチルエトキシシラン、トリブトキシシラン、メチルジブトキシシラン、ジメチルブトキシシラン、エチルジブトキシシラン、ジエチルブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、ジエチルジプロポキシシランなどが挙げられる。これらの化合物の中では、特に添加効果とコストの両立の点から、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好適に使用される。上記エポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランは、1種類単独、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
これらのエポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランの使用量は、好ましくはエポキシ化ジエン系ゴム100gに対して0.001mol〜0.3mol、より好ましくは0.002mol〜0.25mol、特に好ましくは0.003mol〜0.1molである。アルコキシシランの使用量が0.001mol未満では、エポキシ化ジエン系ゴム中に導入されるアルコキシシランの量が少なくなり、満足すべき変性効果が現れない。一方、アルコキシシランの使用量が0.3molを超えると、エポキシ化ジエン系ゴム中に未反応のアルコキシシランが残存し、その除去に手間がかかり、アルコキシシランの無駄にもなり、さらに顕著な物性の改善効果が現れにくい。
また、本発明に係る変性ジエン系ゴムにおいて、アルコキシシランとともにエポキシ基と反応させるアミン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて、1級アミン化合物、2級アミン化合物及び3級アミン化合物などのモノアミン化合物やポリアミン化合物を適宜用いることができる。また、上記アミン化合物は、1種類単独、または2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
1級アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサドデシルアミン、ステアリルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、メタノールアミン、エタノールアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2−アミノトルエン、3−アミノトルエン、4−アミノトルエン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,4,5−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5,6−テトラメチルアニリン、2,4,5,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、2−エチル−3−ヘキシルアニリン、2−エチル−4−ヘキシルアニリン、2−エチル−5−ヘキシルアニリン、2−エチル−6−ヘキシルアニリン、3−エチル−4−ヘキシルアニリン、3−エチル−5−ヘキシルアニリン、3−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−2−ヘキシルアニリン、5−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−3−ヘキシルアニリン、6−エチル−2−ヘキシルアニリン、5−エチル−3−ヘキシルアニリン、3,4,6−トリエチルアニリン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、2−メトキシ−3−メチルアニリン、2−メトキシ−4−メチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2−メトキシ−6−メチルアニリン、3−メトキシ−2−メチルアニリン、3−メトキシ−4−メチルアニリン、3−メトキシ−5−メチルアニリン、3−メトキシ−6−メチルアニリン、4−メトキシ−2−メチルアニリン、4−メトキシ−3−メチルアニリン、2−エトキシアニリン、3−エトキシアニリン、4−エトキシアニリン、4−メトキシ−5−メチルアニリン、4−メトキシ−6−メチルアニリン、2−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−4−エチルアニリン、2−メトキシ−5−エチルアニリン、2−メトキシ−6−エチルアニリン、3−メトキシ−2−エチルアニリン、3−メトキシ−4−エチルアニリン、3−メトキシ−5−エチルアニリン、3−メトキシ−6−エチルアニリン、4−メトキシ−2−エチルアニリン、4−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−2,3,4−トリメチルアニリン、3−メトキシ−2,4,5−トリメチルアニリン、4−メトキシ−2,3,5−トリメチルアニリン、ビス(2−シアノエチル)アミンなどが挙げられる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジフェニルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ニトロソジメチルアミン、ニトロソジフェニルアミンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリヘキサドデシルアミン、トリステアリルアミン、トリオクタデシルアミン、トリエイコシルアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリフェニルアミン、トロシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
ポリアミン化合物としては、具体的には、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミンなどのポリアルキレンイミン;メチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノヘプタン、ジアミノドデカン、ジエチレントリアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族ポリアミン;ジアミノシクロヘキサン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環族アミン;ジアミノトルエン、ジアミノキシレン、テトラメチルキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミン;などが挙げられる。
これらのアミン化合物の使用量は、好ましくはエポキシ化ジエン系ゴム100gに対して、0.001mol〜0.3molであり、より好ましくは0.002mol〜0.25mol、特に好ましくは0.003mol〜0.1molである。アミン化合物の使用量が0.001mol未満では、エポキシ化ジエン系ゴム中に導入されるアルコキシシランの量が少なくなり、満足すべき変性効果が現れないので好ましくない。一方、アミン化合物の使用量が0.3molを超えると、加硫条件に強く影響を与えることになるので好ましくない。
本発明に係る変性ジエン系ゴムは、上記エポキシ化率が0.1%以上15%未満のエポキシ化ジエン系ゴムを、アミン化合物存在下でエポキシ基と反応する官能基を有するアルコキシシランと溶液状態で反応させることを特徴とする。本発明においては、例えば、あらかじめ精製した原料となるエポキシ化ジエン系ゴムを有機溶媒に溶解し、アルコキシシラン及びアミン化合物を加えることによって反応させても良いし、エポキシ化ジエン系ゴムの精製工程を省略して、ジエン系ゴムをエポキシ化後の溶媒にそのままアルコキシシラン及びアミン化合物を加えても良い。
上記反応の反応温度としては、20℃〜140℃が好ましく、より好ましくは40℃〜120℃である。20℃未満ではエポキシ基とアルコキシシランの官能基の反応が起きず、140℃を超えるとジエン系ゴムの熱劣化が起きるため、好ましくない。
また、上記有機溶媒としては、トルエン、キシレン、ヘキサン、クロロホルム、シクロへキサンが好ましく、特にシクロへキサンが好ましい。
本発明に係る変性ジエン系ゴムの製造方法によって得られた変性ジエン系ゴムによれば、低エネルギーロス性、氷上スキッド性及び反発弾性に優れた変性ジエン系ゴム組成物を得ることができる。
次に、本発明に係る変性ジエン系ゴムを用いたゴム組成物について説明する。本発明に係るゴム組成物は、上記変性ジエン系ゴムと、シリカとを含有することを特徴とする。
本発明に係るゴム組成物は、上記変性ジエン系ゴムの他にそれ以外のゴムを加えて、ゴム組成物として使用することもできる。それ以外の加えられるゴムとしては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。例えば、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴム(VCR)、イソプレンゴム、ブチルゴム、クロロプレンゴムなどのジエン系単量体の重合体;アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ニトリルクロロプレンゴム、ニトリルイソプレンゴムなどのアクリロニトリル−ジエン共重合ゴム;スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンクロロプレンゴム、スチレンイソプレンゴムなどのスチレン−ジエン共重合ゴム;エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などが挙げられる。この中で、ブタジエンゴム、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン含有のブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴムが好ましい。これらは単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明に係るゴム組成物において、シリカの含有量は、上記変性ジエン系ゴムとそれ以外のゴム成分100重量部に対して10重量部〜120重量部、より好ましくは30重量部〜90重量部、特に好ましくは50重量部〜80重量部である。シリカが10重量部より少ないと、本発明の変性ジエン系ゴムを用いなくても充分なシリカの分散が得られるため、本発明の効果がなく、120重量部より多いと加工性が著しく悪くなり、かつ耐摩耗性も低下し、好ましくない。
また、本発明に係るゴム組成物は、ゴム補強剤を加えることができる。ゴム補強剤としては、上記シリカの他、各種のカーボンブラック、ホワイトカーボン、活性化炭酸カルシウム、超微粒子珪酸マグネシウム等などが挙げられる。なかでも、好ましくは、粒子径が90nm以下、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が70ml/100g以上のカーボンブラックであり、例えば、FEF、FF、GPF、SAF、ISAF、SRF、HAF等が用いられ、特に好ましくは、低発熱性や低燃費性の観点から粒子径の小さいISAFである。
また、本発明に係るゴム組成物は、更に、加硫剤、加硫促進剤を添加することができる。
加硫剤としては、硫黄、加熱により硫黄を生成させる化合物、有機過酸化物、酸化マグネシウム等の金属酸化物、多官能性モノマー、シラノール化合物等が挙げられる。加熱により硫黄を生成させる化合物としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。
加硫促進剤としては、例えばアルデヒド類、アンモニア類、アミン類、グアニジン類、チオウレア類、チアゾール類、チウラム類、ジチオカーバメイト類、キサンテート類等が挙げられ、より具体的には、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド(CBS)、ジベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジンクジ−n−ブチルジチオカーバイト(ZnBDC)、ジンクジメチルジチオカーバイト(ZnMDC)等が挙げられる。
また、本発明に係るゴム組成物は、その他、必要に応じて、老化防止剤、充填剤、プロセスオイル等、通常ゴム組成物に用いられる公知の添加剤を添加することができる。
老化防止剤としては、アミン・ケトン系、イミダゾール系、アミン系、フェノール系、硫黄系及び燐系等の老化防止剤が挙げられる。より具体的には、老化防止剤としてはフェノール系の2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)、リン系のトリノニルフェニルフォスファイト(TNP)、硫黄系の4,6−ビス(オクチルチオメチル)−o−クレゾール、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート(TPL)等が挙げられる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、クレー、リサージュ、珪藻土等の無機充填剤、再生ゴム、粉末ゴム等の有磯充填剤が挙げられ、プロセスオイルとしては、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系のプロセスオイルが挙げられる。
さらに、本発明に係るゴム組成物は、シランカップリング剤を添加してもよい。市販で利用できるシランカップリング剤としては、例えば、以下のものが含まれるが、決してこれらに限定されるものではない。3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルブトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジブトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシエチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシプロピルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジメトキシブチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)ジエトキシメチルシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、11−メルカプトウンデシルトリメトキシシラン、11−メルカプトウンデシルトリエトキシシランなどがある。この中でも特に、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランが好ましい。
シランカップリング剤の添加量は、シリカ量に対して0.2%〜20%が良く、5%〜15%が特に好ましい。上記の範囲よりも少ないと、スコーチの原因となるために好ましくない。また、上記の範囲よりも多いと引張り特性、伸びの悪化の原因となるため好ましくない。
シランカップリング剤を用いたゴム組成物は、シリカなどのゴム補強剤との混合により、ゴム補強剤のゴムマトリクス中での分散性を向上させる働きがある。その結果、低燃費性などの効果にもつながる。
本発明に係るゴム組成物は、上記各成分を通常行われているバンバリー、オープンロール混練機、ニーダー、二軸混練り機などを用いて混練時の最高温度がシランカップリング剤とエポキシ基の反応温度以上となる条件で混練りすることで得られる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではない。先ず、本実施例で用いた測定方法を以下に示す。
(エポキシ化率)
エポキシ化率は、試料を作製してから3時間以上貯蔵した後、JIS K7236に準じて測定した。なお、JIS K7236と異なる点は、エポキシ化ゴムの量を0.6g〜0.9gとしたこと、エポキシ化ゴムの溶解時に用いるクロロホルムをシクロへキサンに変更したことである。また、JIS K7236では測定直前に20mlの酢酸を加えることとなっているが、臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液に含まれる酢酸以外に加えなかったことである。エポキシ化率の低いゴムは規格量の酢酸を加えると塊状に析出し、滴定できなかった。酢酸量を減じた場合、当量点が分かりにくくなるが、析出した試料が油膜状に測定液上に広がり時間をかければ滴定可能となった。その他の試薬調整等はJIS K7236に述べられている通りである。
また、ここでエポキシ化率は、下記計算式(1)を用いて計算した。エポキシ当量とはエポキシ基1モルに相当するエポキシ化樹脂の質量(g)であり、JIS K7236に述べられている方法で求められる。100%エポキシ化ポリブタジエンの場合はブタジエン分子量+酸素1原子量である。
Figure 0005962121
(引張試験)
JIS K6251に準拠して測定し、引張強度(TB)、破壊伸度(EB)、(TB×EB)/2を下記計算式数2で指数表示した。(TB×EB)/2は破断までに費やされたエネルギーのおおよその大きさを示す。TB、EB、(TB×EB)/2は一般的に指数が大きい程、ゴム組成物として有利である。
(反発弾性試験)
反発弾性は、JIS K6251に規定されている測定法に従って、トリプソ式で測定し、下記計算式(2)で指数表示した。一般的に指数が大きい程、ゴム組成物として有利である。
Figure 0005962121
(加硫物tanδ(50℃))
EPLEXOR 100N(GABO社製)を用いて、初期歪み10%、動歪み0.3%、周波数16Hz、温度50℃の測定条件で各配合物のtanδを測定し、比較例1のtanδを100とし、下記計算式(3)で指数表示した。指数が大きい程、転がり抵抗特性が優れることを示す。
Figure 0005962121
(加硫物E’(−20℃))
EPLEXOR 100N(GABO社製)を用いて、初期歪み10%、動歪み0.3%、周波数16Hz、温度−20℃の測定条件で各配合物のE’を測定し、比較例1のE’を100とし、下記計算式(4)で指数表示した。指数が大きい程、低温で柔らかくなり、氷上スキッド性に優れることを示す。
Figure 0005962121
(参考例1)
先ず、参考例1として、実施例1及び2並びに比較例2に用いるエポキシ化ポリブタジエンゴムを作製した。具体的には、ポリブタジエン(宇部興産(株)製:UBEPOL BR150L)を100g取り、セパラブルフラスコのシクロへキサン1000ml中に投入して攪拌し、室温(25℃)で、1晩(約8時間)をかけて溶解した。その後、ウォーターバスでセパラブルフラスコの温度を40℃とし、非イオン性界面活性剤テリック320(HUNTSMAN社製)1phrおよび蟻酸1.744ml投入して攪拌、続いてセパラブルフラスコの温度を50℃まで上昇させ、過酸化水素水(30%)5.242gを滴下ロートで投入して2時間攪拌を続けた。その後に加熱を止め、酸化防止剤(イルガノックス1520L)を2000ppm投入し、ウォーターバス中に氷を投入して温度を室温まで下げた。次に、エタノール500mlを投入し5分間攪拌することで、エポキシ化ポリブタジエンゴムを溶液から析出させた。そして、水500mlを投入して10分間攪拌し、洗浄液を除去後、1.0%炭酸ナトリウムを500ml投入して10分間攪拌し、洗浄液を除去した。さらに、再び水500mlを投入し、pH=7.0になるまで洗浄した。その後、反応液をテフロン(登録商標)コーティングしたバットに取り出し、90℃の真空乾燥機中に2〜3時間置いて、乾燥させることで、エポキシ化ポリブタジエンゴムを得た。
得られたエポキシ化ポリブタジエンゴムのエポキシ化率を測定したところ、2.5%であった。
(実施例1)
次に、表1に示すとおり、参考例1において作製したエポキシ化ポリブタジエンゴムを100g取り、セパラブルフラスコのシクロへキサン1000ml中に投入して攪拌し、室温(25℃)で、1晩(約8時間)をかけて溶解した。その後、ウォーターバスでセパラブルフラスコの温度を60℃まで上昇させ、2.5phrのトリメチルアミンを加え15分攪拌し、さらに、MTMS(3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)を2.5phr加え、30分反応させた。その後に加熱を止め、酸化防止剤(イルガノックス1520L)を0.2g投入し、ウォーターバス中に氷を投入して温度を室温まで下げた。次に、エタノール500mlを投入し、変性ポリブタジエンゴムを溶液から析出させた。さらに、水500mlを投入し、10分間攪拌後、洗浄液を除去した。この水洗作業を2度行った。その後、反応液をテフロン(登録商標)コーティングしたバットに取り出し、90℃の真空乾燥機中に3時間置いて、乾燥させることで、実施例1に係る変性ポリブタジエンゴムを得た。得られた試料を再び90℃、1時間乾燥させ、ICP分析によりSiの含量を測定した。結果を表3に示す。
(実施例2)
実施例1において、MTMS2.5phrの代わりにSi363(エボニック社製シランカップリング剤)2.5phrを用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る変性ポリブタジエンゴムを得た。得られた試料について、実施例1と同様にICP分析によりSiの含量を測定した。結果を表3に示す。
(比較例1)
ポリブタジエン(宇部興産(株)製:UBEPOL BR150L)を24時間静置した後、約5gを取りシクロヘキサン100mlに溶解し、エタノールで析出させる操作を2回行った。
(比較例2)
参考例1において作製したエポキシ化ポリブタジエンゴムを24時間静置した後、約5gを取りシクロヘキサン100mlに溶解し、エタノールで析出させる操作を2回行った。
Figure 0005962121
得られた実施例1及び2並びに比較例1及び2に係る試料30重量部と、スチレン−ブタジエンゴム70重量部を、予め90℃に加温した250ccのバンバリータイプのプラストミルに投入して30秒混練した。続けてシリカ(Ultrasil 5000GR)75重量部にシランカップリング剤(Si69)6重量部、プロセスオイル(サンセンオイル4240)21.5重量部、亜鉛華3重量部、老化防止剤(住友化学製:アンチゲン6C)1重量部、ステアリン酸1重量部を混合し、そのうち半分をプラストミルに投入し、1分間混練した。次に、残り半分を投入し約2分30秒混練した。混練を開始してから合計で4分間経過したときに、プラストミルの温度が145℃以上となっていた場合には、攪拌速度を58rpmに減少させ、混練開始から合計で6分経過後に、混練物が温度145〜155℃となっていることを確認後、混練物をプラストミルより取り出した。次に、6インチロールに取り出した混合物を巻きつけてロール混練しながら、加硫剤である粉末硫黄を1.4重量部と加硫促進剤ノクセラーCZ1.7重量部およびノクセラーD2重量部を添加した。ロールの温度は55〜65℃とし、約4分間の間に粉末硫黄と加硫促進剤を混合した。次に、下記に示す試験に必要な加硫成型体を得るため、加硫成型を行った。熱プレスにセットした金型を用い、金型内に混合物を入れて温度160℃、約20〜25分間加熱加圧することで加硫成型を行い、実施例1及び2並びに比較例1及び2に係るゴム組成物を得た。用いた薬品および配合比(重量部)を表2に示す。
Figure 0005962121
得られた実施例1及び2並びに比較例1及び2に係るゴム組成物について、ゴム組成物の引張強度、破壊伸び、反発弾性、加硫物tanδ、加硫物E’を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005962121
以上より、実施例に係る変性ポリブタジエンゴムは、エポキシ基と反応したSiの量が多いため、シリカの分散性が向上し、結果ゴム組成物のtanδ(50℃)、E’(−20℃)及び反発弾性が向上したことが分かる。

Claims (3)

  1. エポキシ化率が0.1%以上15%未満のエポキシ化ジエン系ゴムと、メルカプト基を有するアルコキシシラン及びアミン化合物とを溶液状態で40℃〜120℃の条件下で反応させたことを特徴とする変性ジエン系ゴム。
  2. エポキシ化率が0.1%以上15%未満のエポキシ化ジエン系ゴムと、メルカプト基を有するアルコキシシラン及びアミン化合物とを溶液状態で40℃〜120℃の条件下で反応させることを特徴とする変性ジエン系ゴムの製造方法。
  3. 請求項1記載の変性ジエン系ゴムとシリカとを含有することを特徴とする変性ジエン系ゴム組成物。
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