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JP2011012161A - タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ - Google Patents

タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ Download PDF

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JP2011012161A
JP2011012161A JP2009157089A JP2009157089A JP2011012161A JP 2011012161 A JP2011012161 A JP 2011012161A JP 2009157089 A JP2009157089 A JP 2009157089A JP 2009157089 A JP2009157089 A JP 2009157089A JP 2011012161 A JP2011012161 A JP 2011012161A
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mass
rubber
rubber composition
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tire
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Kazuo Hochi
和郎 保地
Ryuichi Tokimune
隆一 時宗
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】氷上性能と、耐摩耗性とをバランスよく改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤ(特に、スタッドレスタイヤ)を提供する。
【解決手段】エポキシ化率が2〜10モル%のエポキシ化天然ゴムを20〜80質量%、エポキシ化率が2〜10モル%のエポキシ化ブタジエンゴムを10〜70質量%含有するゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜85質量部含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤ用ゴム組成物及び空気入りタイヤ(特に、スタッドレスタイヤ)に関する。
氷雪路面では一般路面に比べて著しく摩擦係数が低く、滑りやすいため、冬用タイヤはゴム硬度を低減させることで氷上性能を向上させている。
ゴム硬度を低減させるため、ゴム成分としてガラス転移点Tgの低いポリマーであるブタジエンゴムを使用したり、カーボンブラックやシリカ等の充填剤を減量したり、軟化剤であるオイル成分を増量したりしている。また、一般的には、充填剤としてはカーボンブラックよりもシリカの方が氷上性能に優れていることが知られており、シリカの比率を高めることも行われている。
しかしながら、これらの氷上性能向上策では耐摩耗性が悪化するという問題がある。
特許文献1には、極性の大きなポリマーと、極性の小さなポリマーの相溶化剤として、エポキシ化天然ゴムやエポキシ化ブタジエンゴムを使用することが記載されている。さらに、エポキシ化天然ゴムやエポキシ化ブタジエンゴムを極性の小さなポリマーの代わりにゴム成分の主成分として使用することにより、機械的強度、耐摩耗性、グリップ性能を向上させることができることが記載されているが、実験データにより立証されておらず、また、氷上性能、エポキシ化天然ゴムとエポキシ化ブタジエンゴムの併用の可能性、エポキシ化率については詳細に検討されていない。
特許文献2には、エポキシ化ポリイソプレンを配合することにより、耐摩耗性等を向上できるゴム組成物について開示されている。特許文献3には、白色充填剤を偏在させるために、白色充填剤との親和性の高いゴム成分と、白色充填剤との親和性の低いゴム成分とを併用することが記載されており、ゴム成分の1つとしてエポキシ化天然ゴムが使用されている。特許文献4には、エポキシ化天然ゴムと脂肪酸金属塩を配合し、耐熱老化特性の高いゴム組成物について記載されている。
しかし、特許文献2〜4では、氷上性能、エポキシ化天然ゴムとエポキシ化ブタジエンゴムの併用の可能性およびこれらの配合量、エポキシ化率については詳細に検討されていない。
特開2005−171095号公報 特開2006−188571号公報 特開2006−348222号公報 特開2008−303332号公報
本発明は、前記課題を解決し、氷上性能と、耐摩耗性とをバランスよく改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤ(特に、スタッドレスタイヤ)を提供することを目的とする。
本発明は、エポキシ化率が2〜10モル%のエポキシ化天然ゴムを20〜80質量%、エポキシ化率が2〜10モル%のエポキシ化ブタジエンゴムを10〜70質量%含有するゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜85質量部含有するタイヤ用ゴム組成物に関する。
上記ゴム組成物は、エポキシ化天然ゴム及びエポキシ化ブタジエンゴムのエポキシ化率が5モル%以下であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩を1〜10質量部含有することが好ましい。
上記ゴム組成物は、シリカ100質量部に対して、シランカップリング剤を20質量部以下含有することが好ましい。
上記ゴム組成物は、エポキシ化ブタジエンゴムが、シス含量80質量%以上のブタジエンゴムをエポキシ化して得られたものであることが好ましい。
上記ゴム組成物は、トレッド用ゴム組成物として用いられることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いた空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、特定のエポキシ化率のエポキシ化天然ゴムと、特定のエポキシ化率のエポキシ化ブタジエンゴムとを含有するゴム成分に対して、所定量のシリカを含有するタイヤ用ゴム組成物であるので、氷上性能と、耐摩耗性とをバランスよく改善できるタイヤ用ゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤ(特に、スタッドレスタイヤ)を提供することができる。
本発明のゴム組成物は、特定のエポキシ化率のエポキシ化天然ゴム(ENR)と、特定のエポキシ化率のエポキシ化ブタジエンゴム(EBR)とを含有するゴム成分に対して、所定量のシリカを含有する。
ENRとしては特に限定されず、市販のエポキシ化天然ゴムでも、天然ゴム(NR)をエポキシ化したものでもよい。天然ゴムをエポキシ化する方法は、特に限定されず、クロルヒドリン法、直接酸化法、過酸化水素法、アルキルヒドロペルオキシド法、過酸法などがあげられる(特公平4−26617号公報、特開平2−110182号公報、英国特許第2113692号明細書等)。過酸法としては例えば、天然ゴムに過酢酸や過ギ酸などの有機過酸を反応させる方法などがあげられる。なお、有機過酸の量や反応時間を調整することにより、様々なエポキシ化率のエポキシ化天然ゴムを調製することができる。
なお、本発明において、エポキシ化率とは、エポキシ化される前のゴム中の二重結合の総数に対するエポキシ化された二重結合の数の割合(モル%)のことである。また、本発明において、エポキシ化率は、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値である。
エポキシ化される天然ゴムとしては、特に限定されず、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(HPNR)等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。
ENRのエポキシ化率は2モル%以上であることが好ましく、4モル%以上であることがより好ましい。エポキシ化率が2モル%未満では、ゴム組成物に対する改質効果が充分でない傾向がある。また、エポキシ化率は10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。エポキシ化率が10モル%をこえると、氷上性能が低下する傾向がある。
ゴム成分100質量%中のENRの含有量は、20質量%以上、好ましくは30質量%以上である。20質量%未満であると、耐摩耗性が低下する傾向にある。ENRの含有量は、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。80質量%を超えると、氷上性能が低下する傾向にある。
EBRとしては特に限定されず、市販のエポキシ化ブタジエンゴムでも、ブタジエンゴム(BR)をエポキシ化したものでもよい。ブタジエンゴムをエポキシ化する方法としては、上述した天然ゴムをエポキシ化する方法と同様の方法があげられる。また、ENRの場合と同様に、有機過酸の量や反応時間を調整することにより、様々なエポキシ化率のエポキシ化ブタジエンゴムを調製することができる。
エポキシ化されるBRとしては、特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。
エポキシ化されるBRのシス含量は、氷上性能に優れるという理由から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
なお、シス含量(シス−1,4−結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
EBRのエポキシ化率は2モル%以上であることが好ましく、4モル%以上であることがより好ましい。エポキシ化率が2モル%未満では、ゴム組成物に対する改質効果が充分でない傾向がある。また、エポキシ化率は10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。エポキシ化率が10モル%をこえると、氷上性能が低下する傾向がある。
EBRの重量平均分子量(Mw)は、100000以上が好ましく、200000以上がより好ましく、300000以上が更に好ましい。100000未満であると、耐摩耗性が低下するおそれがある。EBRのMwは、1000000以下が好ましく、800000以下がより好ましく、600000以下が更に好ましい。1000000を超えると、ゴムの加工性が悪化するおそれがある。
EBRの数平均分子量(Mn)は、100000以上が好ましく、120000以上がより好ましく、150000以上が更に好ましい。100000未満であると、耐摩耗性が低下するおそれがある。EBRのMnは、800000以下が好ましく、600000以下がより好ましく、500000以下が更に好ましい。800000を超えると、ゴムの加工性が悪化するおそれがある。
EBRの分子量分布(Mw/Mn)は、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.3以上が更に好ましい。1.1未満であると、加工性が悪化するおそれがある。EBRのMw/Mnは、5.0以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.0以下が更に好ましい。5.0を超えると、省燃費性、耐摩耗性が低下するおそれがある。
なお、本発明において、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製HLC−8220GPC、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)を用い、標準ポリスチレンより換算した値である。
EBRのガラス転移温度は、耐摩耗性が充分に得られるという理由から、−90℃以下であることが好ましく、−95℃以下であることがより好ましい。
なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、JIS−K7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて昇温速度10℃/分で昇温しながら測定することによリ、ガラス転移開始温度として求めた。
ゴム成分100質量%中のEBRの含有量は、10質量%以上、好ましくは20質量%以上である。10質量%未満であると、耐摩耗性と氷上性能が低下する傾向にある。EBRの含有量は、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。70質量%を超えると、耐摩耗性が低下する傾向にある。
ゴム組成物に使用されるENR、EBR以外のゴム成分として、ジエン系ゴムが挙げられ、例えば、NR、BR、SBR、イソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルニトリル(NBR)、イソモノオレフィンとパラアルキルスチレンとの共重合体のハロゲン化物等を使用できる。なかでも、Tgが低いという理由から、IR、IIR、SBRが好ましい。
本発明では、ゴム成分100質量%中のENRとEBRの合計含有量が好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100質量%である。合計含有量が80質量%未満であると、氷上性能と耐摩耗性の向上効果が小さくなるおそれがある。
本発明のゴム組成物はシリカを含有する。これにより、氷上性能に優れる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上、更に好ましくは110m/g以上である。80 m/g未満であると、シリカの配合による補強効果が充分ではない傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは220m/g以下である。250m/gを超えると、シリカの分散性および耐摩耗性が悪化する傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上である。10質量部未満では、氷上性能が充分に得られない傾向がある。該シリカの含有量は、85質量部以下、好ましくは70質量部以下、より好ましくは55質量部以下である。85質量部を超えると、粘度が高くなるため加工性が劣り、耐摩耗性も低下する傾向にある。
本発明のゴム組成物には、シリカとともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができ、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2−トリメトキシシリルエチル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド等のスルフィド系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン等のグリシドキシ系、3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン等のクロロ系が挙げられ、なかでも、ゴムの加工性とタイヤ性能のバランスに優れるという理由から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドを用いることが好ましい。これらのシランカップリング剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらを予め縮合させたオリゴマーを用いてもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。1質量部未満では、分散性改善などの効果が充分ではない傾向がある。また、該シランカップリング剤の含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部を超えると、シリカの増量にともなうカップリング効果が充分に得られず、補強性および耐摩耗性が低下し、さらに、コストアップする傾向がある。
本発明のゴム組成物は、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩を含有することが好ましい。これにより、ゴム加工性と劣化特性が向上する。脂肪酸アルカリ土類金属塩としては、特に限定されず、例えば、ステアリル酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、ヤシ脂肪酸カルシウムなどがあげられる。脂肪酸アルカリ金属塩としては、特に限定されず、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ヤシ脂肪酸カリウムなどがあげられる。なかでも、安価で耐熱性に優れることからステアリン酸カルシウムが好ましい。
本発明のゴム組成物が脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩を含有する場合、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは2質量部以上である。1質量部未満では、耐摩耗性および耐熱性を充分に向上させることができない傾向がある。また、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩の含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは8質量部以下である。10質量部を超えると、耐摩耗性が低下する傾向がある。
なお、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩の含有量とは、脂肪酸アルカリ土類金属塩又は脂肪酸アルカリ金属塩を含有する場合には、その含有量を示し、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び脂肪酸アルカリ金属塩を含有する場合には、その合計含有量を示す。
本発明のゴム組成物は、軟化剤としてオイルを含有することが好ましい。これにより、氷上性能が向上する。オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、パラフィンオイル、ナフテンオイル、アロマオイルなどの芳香族系オイルなどのプロセスオイル、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、サフラワー油、桐油などの植物油脂などがあげられる。なかでも、低温での粘度が低いという理由から、パラフィンオイルが好ましい。
本発明のゴム組成物がオイルを含有する場合、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、充分な氷上性能が得られないおそれがある。また、該オイルの含有量は、好ましくは40質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。40質量部を超えると、耐摩耗性および熱老化特性が低下する傾向がある。
本発明のゴム組成物は、カーボンブラックを含有することが好ましい。これにより、耐摩耗性、耐候性を向上できる。使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなどが挙げられるが、特に限定されない。
カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は80m/g以上が好ましく、100m/g以上がより好ましい。80m/g未満では、耐摩耗性が低下するおそれがある。また、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は280m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましく、150m/g以下が更に好ましい。280m/gを超えると、ゴムへの分散性が劣り、これにより耐摩耗性が低下するおそれがある。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
本発明のゴム組成物がカーボンブラックを含有する場合、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上である。5質量部未満では、充分な耐摩耗性、耐候性が得られないおそれがある。また、該カーボンブラックの含有量は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。80質量部を超えると、氷上性能が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物がカーボンブラック及びシリカを含有する場合、カーボンブラック及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは30質量部以上、より好ましくは40質量部以上である。30質量部未満では、ゴムの強度が充分ではなく、耐摩耗性に劣る傾向がある。また、該合計含有量は、好ましくは120質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。120質量部を超えると、多量の軟化剤(例えば、オイル)が必要となり、ゴムの加工性、耐摩耗性が低下するおそれがある。
本発明のゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、ワックス、硫黄などの加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
加硫促進剤としては、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)、メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアゾリルジスルフィド(MBTS)、N,N’−ジフェニルグアニジン(DPG)などが挙げられる。なかでも、遅延系加硫促進剤として製造過程において焼けが起こりにくく、加硫特性に優れ、加硫後のゴムの物性においても外力による変形に対して低発熱性に優れ、スタッドレスタイヤの耐久性向上に対する効果も大きいという理由からTBBS、CBS、DZなどのスルフェンアミド系加硫促進剤が好ましく、TBBSとDPGを併用することがより好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
本発明のゴム組成物は、タイヤの各部材に使用できるが、なかでも、トレッドに好適に適用できる。トレッドとしては、単層構造のトレッドに使用できるが、多層構造(キャップトレッド及びベーストレッドからなる二層構造など)のキャップトレッドにも使用できる。トレッドはシート状にしたものを、所定の形状に張り合わせる方法、又は2本以上の押出し機に装入して押出し機のヘッド出口で2層に形成する方法により作製できる。
本発明の空気入りタイヤ(スタッドレスタイヤ)は、上記ゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、必要に応じて各種添加剤を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッド形状に合わせて押し出し加工し、タイヤ成型機上にて通常の方法にて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、未加硫タイヤを形成した後、加硫機中で加熱加圧してタイヤを製造することができる。
また、本発明のタイヤは、乗用車用タイヤ、バス用タイヤ、トラック用タイヤ等として好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:RSS#3
BR:宇部興産(株)製のBR150B
ENR:下記製造例1で製造
EBR:下記製造例2で製造
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(窒素吸着比表面積(NSA):125m/g)
シリカ:テグッサ社製のウルトラジルVN3(窒素吸着比表面積(NSA):175m/g)
シランカップリング剤:テグッサ社製のSi75(ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPW32
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックワックス
老化防止剤:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
ステアリン酸カルシウム:日油(株)製のステアリン酸カルシウム
ステアリン酸亜鉛:日油(株)製のステアリン酸亜鉛
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
製造例1(ENRの調製)
高アンモニアタイプの天然ゴムラテックス(野村貿易(株)製のHytex)(固形分60%)1500gを、攪拌棒、滴下ロート、コンデンサーを備えた5Lの容器に入れ、固形分が30%になるように蒸留水1.5Lを加えて希釈し、20℃に調整した。これにノニオン系乳化剤(花王(株)製「エマルゲン106」)9gを攪拌しながら加えた。次に、ラテックスのpHが5〜6の範囲で推移するように2.8%アンモニア水で調整しながら、濃度2.5mol/Lの過酢酸800gをゆっくりと添加した。添加後、室温で5時間反応させた後、ギ酸またはメタノールを少しずつ加え、ゴム成分のみを凝固させたのち、蒸留水で数回洗浄し、乾燥させてENRを調製した。得られたENRのエポキシ化率は4.9モル%であった。なお、エポキシ化率は、得られた乾燥ゴムを重水素化クロロホルムに溶解し、核磁気共鳴(NMR(日本電子(株)製のJNM−ECAシリーズ))分光分析により、炭素−炭素二重結合部と脂肪族部の積分値h(ppm)の比から以下の算出式を用いて算出した。
(エポキシ化率E%)=3×h(2.69)/(3×h(2.69)+3×h(5.14)+h(0.87))×100
製造例2(EBRの調製)
攪拌棒、滴下ロート、コンデンサーを備えた5Lの容器中でBR(宇部興産(株)製のBR150B(数平均分子量(Mn)=190000、重量平均分子量(Mw)=440000、分子量分布(Mw/Mn)=2.3、シス含量=98質量%、ガラス転移温度=−105℃))300gをトルエン3Lに溶解し、ギ酸4gを投入した後、濃度30質量%の過酸化水素水12gを滴下し、温度40℃で4時間攪拌しながら反応させた。反応後に炭酸カルシウム水溶液を添加しポリマー溶液をpH7に調整した後、エタノール中に滴下し、析出させたポリマーを分離、乾燥させて、EBRを調製した。得られたEBRのエポキシ化率は4.1モル%、数平均分子量(Mn)は190000、重量平均分子量(Mw)は440000、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、ガラス転移温度は、−103℃であった。なお、エポキシ化率は、ENRの場合と同様の方法により決定した。また、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、上述した方法により測定した。また、ガラス転移温度(Tg)は、上述した方法により測定した。
実施例1〜4及び比較例1〜7
表1に示す配合処方に従い、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、80℃の条件下で3分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を170℃で15分間、2mm厚の金型でプレス加硫し、加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物をトレッド形状に成形し、他のタイヤ部材と貼り合わせてタイヤに成形し、150℃で30分間加硫することで試験用タイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を製造した。
得られた加硫ゴム組成物、試験用タイヤを用いて以下の試験を行った。
(氷上性能)
温度制御された恒温室内に設置された氷面上にゴム試験片を一定荷重で押し付け、一定速度で滑らせるときの摩擦力を検出した。試験条件は、氷温および恒温室温度を−5℃、速度20km/h、設置圧力2kg/cmとなるように荷重をかけた。結果を比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほどグリップ性能が優れていることを示す。
(耐摩耗性)
各試験用タイヤを2000ccの国産FF車の全輪に装着し、乾燥アスファルトの一般路面において5000Km毎にローテイションしながら、2万Km走行後のトレッド残溝深さから摩耗量を求めた。結果を比較例1を100として指数表示した。指数が大きいほど耐摩耗性が優れていることを示す。
Figure 2011012161
表1より、所定量のエポキシ化天然ゴム(ENR)と、所定量のエポキシ化ブタジエンゴム(EBR)と、所定量のシリカを含有する実施例では、氷上性能と、耐摩耗性とをバランスよく改善することができた。一方、所定量のシリカを配合していても、ENRとEBRを併用しない比較例1〜3では、氷上性能と、耐摩耗性とをバランスよく改善することができなかった。また、ENR、EBR、シリカの3成分を配合した場合であっても、いずれかの成分の配合量が所定量から外れると、氷上性能と、耐摩耗性とをバランスよく改善することができなかった。また、シリカを配合しなかった場合には、氷上性能が大きく劣った。
実施例2〜4を比較すると、脂肪酸アルカリ土類金属塩であるステアリン酸カルシウムを配合する(実施例3、ステアリン酸カルシウムに含まれるカルシウムの含有量は、酸化亜鉛に含まれる亜鉛1molに対して、0.09mol)と、ステアリン酸亜鉛を配合した場合(実施例4)や脂肪酸塩を配合しなかった場合(実施例2)に比べて、耐摩耗性を向上することができた。

Claims (7)

  1. エポキシ化率が2〜10モル%のエポキシ化天然ゴムを20〜80質量%、エポキシ化率が2〜10モル%のエポキシ化ブタジエンゴムを10〜70質量%含有するゴム成分100質量部に対して、シリカを10〜85質量部含有するタイヤ用ゴム組成物。
  2. エポキシ化天然ゴム及びエポキシ化ブタジエンゴムのエポキシ化率が5モル%以下である請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量部に対して、脂肪酸アルカリ土類金属塩及び/又は脂肪酸アルカリ金属塩を1〜10質量部含有する請求項1又は2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. シリカ100質量部に対して、シランカップリング剤を20質量部以下含有する請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. エポキシ化ブタジエンゴムが、シス含量80質量%以上のブタジエンゴムをエポキシ化して得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. トレッド用ゴム組成物として用いられる請求項1〜5のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物を用いた空気入りタイヤ。
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