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JP5953796B2 - 感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法及び電子部品 - Google Patents

感光性樹脂組成物、パターン硬化膜の製造方法及び電子部品 Download PDF

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JP5953796B2 JP2012030629A JP2012030629A JP5953796B2 JP 5953796 B2 JP5953796 B2 JP 5953796B2 JP 2012030629 A JP2012030629 A JP 2012030629A JP 2012030629 A JP2012030629 A JP 2012030629A JP 5953796 B2 JP5953796 B2 JP 5953796B2
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Description

本発明は感光性を有する耐熱性高分子を含有する耐熱性ポジ型感光性樹脂組成物、これを用いたパターンの製造方法及び電子部品に関する。特に、感度に優れ、230℃以下の低温で硬化しても、機械特性、耐熱性に優れる感光性樹脂組成物、これを用いたパターン硬化膜の製造方法及び電子部品に関する。
従来、半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性等を併せ持つポリイミドを含有する樹脂膜が用いられている。この樹脂膜は、一般にはテトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中で反応させ、ポリイミド前駆体(ポリアミド酸)溶液(いわゆる樹脂組成物)をスピンコート等で薄膜化して熱的に脱水閉環して形成する。この樹脂組成物は感光特性を付与することで、パターン硬化膜形成工程を簡略化することができる(例えば、特許文献1参照)。
樹脂組成物のパターン硬化膜形成工程における現像には、従来、N−メチルピロリドン等の有機溶剤が用いられてきたが、最近では、環境やコストの観点からアルカリ水溶液で現像ができることが望まれている。そこで、アルカリ水溶液で現像ができる、ポリイミド前駆体又はポリベンゾオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を混合する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
一方、パターン硬化膜形成工程においては、低温で硬化するプロセスが望まれている。通常、ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を熱的に脱水閉環させてポリイミド薄膜やポリベンゾオキサゾール薄膜とする場合、350℃前後の高温を必要とするが、このような高温で処理すると、デバイスによってはチップの収率が低下するという問題がある。また近年では基材に有機材料を使用するパッケージが開発され、高温で処理すると、基材に欠陥を与える可能性がある。しかし、従来の感光性樹脂膜を低温で硬化すると、パターン硬化膜の機械特性及び耐熱性が低下する傾向があった。
このような要求に対応するために、可溶性ポリイミドからなる組成物(例えば、特許文献3参照)、脂肪族ポリベンズオキサゾール前駆体からなる組成物(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。
しかしながら、可溶性ポリイミドからなる組成物は、イミド化しているため紫外線の透過率が低く、露光/現像してパターンを形成するために過剰に露光する必要があるため感度が低く、また、硬化した膜の機械特性、特に、伸びが低いという問題点がある。
一方、脂肪族ポリベンズオキサゾール前駆体からなる組成物は、230℃未満の低温で脱水閉環が可能であるが、熱特性、特にガラス転移温度が約200℃未満と低い問題がある。ガラス転移温度が低いと、半田リフロープロセス等の約250℃程度の熱がかかるプロセスで、不具合が生じる可能性が高い。
つまり、これまで開発されてきた感光性樹脂組成物は、良好な感度と、約230℃の低温で硬化した際の良好な機械特性及び耐熱性の全てを満足できるものではなかった。
特開昭56−38038号公報 特開昭64−60630号公報 特開2006−313237号公報 特開2008−224984号公報
そこで、本発明は、良好な感度を有し、かつ、約230℃の低温で硬化しても良好な機械特性及び耐熱性を有するパターン硬化膜を与える感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記組成物の使用により、アルカリ水溶液で現像可能であり、耐熱性、機械特性に優れる良好な形状のパターンが得られるパターンの製造法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高い電子部品を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の感光性樹脂組成物が提供される。
(1)(a)下記一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位を有するポリマーと、
(b)加熱により(a)成分と反応し得る化合物と、
(c)活性光線照射により酸を発生する化合物と、
(d)溶剤と、を含有し、式(I)と式(II)の構造単位数の比(I)/(II)が0.4〜2.4である、感光性樹脂組成物。
Figure 0005953796
(式中、U及びVはそれぞれ2価の有機基を示し、Vは炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基である。)
Figure 0005953796
(式中、Zは二価、Wは四価の有機基である。)
(2)前記一般式(I)が下記一般式(III):
Figure 0005953796
(式中、R、Rは各々独立に水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基、Uは2価の有機基であり、a’は1〜30の整数である。)
で表される前記感光性樹脂組成物。
(3)前記一般式(III)のa’が7〜30の整数である、前記感光性樹脂組成物。
(4)(b)成分が、分子内に少なくとも二つ以上のメチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物である前記感光性樹脂組成物。
(5)(c)成分が、o−キノンジアジド化合物である前記感光性樹脂組成物。
(6)さらに、(e)成分として加熱により酸を発生する熱酸発生剤を含む前記感光性樹脂組成物。
(7)前記感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥し、感光性樹脂膜を得る工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像しパターン樹脂膜を得る工程と、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含むパターン硬化膜の製造方法。
(8)前記製造工程において、現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程を230℃以下で行なう、パターン硬化膜の製造方法。
(9)前記パターン硬化膜の製造方法により得られるパターン硬化膜を用いた層間絶縁膜又は表面保護膜。
(10)前記層間絶縁膜又は表面保護膜を有する電子部品。
本発明の感光性樹脂組成物は高感度であり、パターン形成、加熱硬化した膜は、耐熱性及び機械特性に優れる。
多層配線構造を有する半導体装置の製造工程を示す図である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。尚、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は以下の(a)〜(d)成分を含有することを特徴とする。
(a)下記一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位を有するポリマー
(b)加熱により(a)成分と反応し得る化合物
(c)活性光線照射により酸を発生する化合物
(d)溶剤
そして、式(I)と式(II)の構造単位数の比(I)/(II)が0.4〜2.4であることを特徴とする。
Figure 0005953796
(式(I)中、U及びVはそれぞれ2価の有機基を示し、Vは炭素数1〜30の脂肪族鎖状構造を含む基である。
式(II)中、Zは二価、Wは四価の有機基である。)
以下、各成分について説明する。
((a):ポリマー)
本発明の樹脂組成物は上記一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位を有するポリマーを含有する。
式(I)で示される構造単位は、脂肪族の鎖状構造を含む柔軟な構造であり、組成物として、最終的に硬化した膜において、機械特性、特に伸びの特性を向上するのに有効である。また、式(II)で示される構造単位は、ポリイミドの構造単位を含み、耐熱性、特にガラス転移温度の上昇に有効である。
一般式(I)で表される構造単位は、ポリベンゾオキサゾール前駆体の構造単位であり、ジカルボン酸誘導体由来の酸部と、ジアミン由来のアミン部を有する。一般式(I)で表される構造単位のヒドロキシ基を含有するアミドユニットは、硬化時の脱水閉環により、耐熱性、機械特性、電気特性に優れるオキサゾール体に変換される。
一般式(II)で表される構造単位は、ポリイミドの構造単位であり、テトラカルボン酸二無水物由来の酸部と、ジアミン由来のアミン部を有する。
(a)成分のポリマーにおいて、式(I)と式(II)の構造単位数の比(I)/(II)は0.4〜2.4である。(I)/(II)がこの範囲であれば、耐熱性、機械特性の特性に優れているが、0.4以下であると機械特性が低下し、2.4以上であると耐熱性が低下する。(I)/(II)は0.5〜1.9であることが好ましく、0.6〜1.5であることがさらに好ましい。
(I)と(II)の構造単位数の比(I)/(II)は、公知の方法で求めることが可能である。例えばH NMRを測定し、(I)のアミン部又は酸部由来のピークと(II)のアミン部又は酸部由来のピークを比較することで求めることができる。(I)と(II)のアミン部が同じ場合であっても、(I)のアミン部はPBO前駆体構造、(II)のアミン部はポリイミド環構造であり、異なる構造を有するため、同様にH NMRのピークを比較することで求めることができる。
尚、(I)/(II)の比率は、ポリマーを合成する際の、テトラカルボン酸無水物、ジカルボン酸、ジアミンの比率を適宜変えることで、調整することができる。この比率は、ポリマーを合成する際に用いる(I)の酸部を形成するジカルボン酸の含有量(mol)と(II)の酸部を形成するテトラカルボン酸二無水物の含有量(mol)の比とほぼ同じになる。
本発明で用いる(a)成分のポリマーは、一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位を有するポリマーであり、熱により(b)成分と反応しうるものであれば、特に制限はない。通常、アルカリ溶液で現像するので、アルカリ溶液可溶性であることが好ましい。
尚、アルカリ溶液とは、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液等のアルカリ性の溶液である。
本発明で用いる(a)成分がアルカリ溶液に可溶であることの1つの基準は、以下のとおりである。(a)成分を任意の溶媒に溶かして溶液とした後、シリコンウエハ等の基板上にスピン塗布/ベーク(溶媒の除去工程:120℃/3分間)を行い、5μm程度の塗膜を作製する。この基板を、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液、金属水酸化物水溶液、有機アミン水溶液のいずれか一つに20〜25℃において、浸漬する。この処理により、塗膜が全て溶解しうるとき、用いた(a)成分はアルカリ溶液に可溶である。
本発明における成分(a)のポリマーとしては、上記一般式(I)及び(II)の構造単位の他に、一般式(I)及び(II)以外の構造を有する、ポリベンゾオキサゾール前駆体の構造単位、ポリアミドの構造単位、フェノール性水酸基を含有しないポリイミド構造単位等を部分的に有していても良い。
(a)成分の、一般式(I)で表される構造単位は、低温(約230℃以下)での加熱工程において脱水閉環率が高く、良好な耐熱性、機械特性、紫外及び可視光領域での高い透明性を示す観点から、下記一般式(III)で表される構造単位であることが好ましい。
Figure 0005953796
(式中、R、Rは各々独立に水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基、Uは2価の有機基であり、a’は1〜30の整数である。)
一般式(I)及び(III)において、Uで表される2価の有機基とは、一般に、ジカルボン酸と反応してポリアミド構造を形成する、ジアミンの残基である。
一般式(I)において、Vで表される2価の有機基とは、一般に、ジアミンと反応してポリアミド構造を形成する、ジカルボン酸の残基である。Vが脂肪族鎖状構造を含む基であると、低温(230℃以下)での脱水閉環が起こりやすく、紫外及び可視光量域での高い透明性を有する。さらにVが炭素数7〜30の脂肪族直鎖構造、即ち、式(III)のa’が7〜30の整数であると、そのポリマーはN−メチル−2−ピロリドン以外にも、γ−ブチロラクトンやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートといった溶剤にも易溶となり、溶媒に溶かした状態での保存安定性も高いだけでなく、硬化によりポリベンズオキサザールとした際に、弾性率が低くかつ破断伸びが高く、より好ましい。
本発明において、(a)成分のポリマーの製造方法に特に制限はない。以下、一例を説明する。
まず、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応を行い、イミドオリゴマーを形成する。具体的には、テトラカルボン酸二無水物に対してジアミンを過剰に用いることで、アミド酸を合成後、加熱脱水によりアミン末端のイミドオリゴマーを形成する。アミン末端のイミドオリゴマーを形成した後、ジカルボン酸誘導体との反応により製造できる。ジカルボン酸誘導体としては、ジハライド誘導体やジカルボン酸の活性エステル誘導体が使用でき、ジハライド誘導体の中でも、ジクロリド誘導体が好ましい。
この方法によれば、一般式(I)で示される構造単位は、ジカルボン酸誘導体とジアミンにより形成される構造単位であり、一般式(II)で示される構造単位は上記テトラカルボン酸二無水物とジアミンにより形成される構造単位となる。
尚、この製造方法は、(a)ポリマーの製造方法を示す一例であり、(a)ポリマーの構造はこれに限定されるものではない。
前記イミドオリゴマーの製造は、水に任意の割合(通常、水100質量部に対して、20〜100質量部)で混合(相溶)する極性の高い溶媒にジアミンを溶解後、酸無水物を添加し、0〜80℃、好ましくは10〜50℃で反応させてアミド酸とした後、水と混合しない非極性の溶媒を添加し、100〜200℃、好ましくは130〜180℃に加熱し、反応系から水を除去しながらイミド化反応を行うことにより実施できる。
水に任意の割合で混合する極性の高い溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、エチレグリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルが使用でき、次工程でジハライド誘導体との反応を行う場合は、脱ハロゲン化水素剤として働くアミド系の溶媒の方が好ましい。
また、水と混合しない非極性溶媒としては、ベンゼン、キシレン、メシチレン等が使用できる。これらの、非極性溶媒は、イミド化反応終了後、反応系から留去し、そのまま次の工程に進むことができる。
前記一般式(I)及び(II)で表される部分を合成するために使用される、ジアミン類としては、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのジアミン類は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記したヒドロキシ基を有するジアミン以外に、一部、下記ジアミンを併用することもできる。このようなジアミン類としては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、ベンジシン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン等の芳香族ジアミン化合物、この他にもシリコーン基の入ったジアミンとして、市販品である商品名「LP−7100」、「X−22−161AS」、「X−22−161A」、「X−22−161B」、「X−22−161C」及び「X−22−161E」(いずれも信越化学工業株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記一般式(II)で表される部分を合成するために使用される、酸二無水物としては、4,4’−オキシジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホン酸テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの酸二無水物を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前述した方法で製造したイミドオリゴマーに、ジカルボン酸誘導体を反応させることにより、本発明の(a)成分が製造される。ジカルボン酸誘導体として、ジクロリド誘導体を使用する場合は、イミドオリゴマー溶液にジクロリド誘導体を直接添加するか、又は溶媒中でジカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて、ジクロリド誘導体溶液としたものを滴下することにより製造することができる。
ジクロリド誘導体を製造するために使用するハロゲン化剤としては、通常のカルボン酸の酸クロリド化反応に使用される、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が使用できる。
ジクロリド誘導体を合成する方法としては、ジカルボン酸と上記ハロゲン化剤を溶媒中で反応させるか、過剰のハロゲン化剤中で反応を行った後、過剰分を留去する方法で合成できる。反応溶媒としは、アミド系溶媒でかつイミドオリゴマー製造時に使用しているものと同じ溶媒が反応の面より好ましい。そのような溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−メチル−2−ピリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、テトラメチル尿素が使用できる。
これらのハロゲン化剤の使用量は、溶媒中で反応させる場合は、ジカルボン酸に対して、1.5〜3.0モルが好ましく、1.7〜2.5モルがより好ましく、ハロゲン化剤中で反応させる場合は、4.0〜50モルが好ましく、5.0〜20モルがより好ましい。反応温度は、−10〜70℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
また、イミドオリゴマーとジクロリド誘導体との反応は、−10〜30℃が好ましく、0〜20℃がより好ましい。
このようなジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
また、上記した脂肪族鎖を持つジカルボン酸の他に、一部、下記芳香族ジカルボン酸を併用することもできる。芳香族ジカルボン酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジカルボキシビフェニル、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’−ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、2,2−ビス(p−カルボキシフェニル)プロパン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられ、これらの化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記の方法で製造した(a)成分のポリマーは、反応終了後、反応液をイオン交換水に投入し、ポリマーを析出させた後、ポリマーを十分に水洗し、乾燥することにより粉体として得られる。
さらに、(a)成分のポリマーは、ポリマー末端にフェノール性水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基のいずれかの官能基を有すると、(b)成分との反応の点からより好ましい。例えば、フェノール水酸基を有する末端基は、アミノ基を有するフェノール誘導体及びヒドロキシ安息香酸誘導体を使用することにより、ポリマー末端に導入することができる。
(a)成分の分子量は、重量平均分子量で3,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000がより好ましい。ここで分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
((b)成分:加熱により(a)成分と反応し得る化合物)
本発明に使用される(b)成分は、感光性樹脂組成物を塗布、露光、現像後に加熱処理する工程において(a)ポリマーと反応、即ち、橋架け、又は加熱処理する工程において化合物自身が重合する。これによって、比較的低い温度(230℃以下)の硬化において、硬化膜の強靭なものとし、機械特性や薬品耐性、フラックス耐性を向上させることができる。
この(b)成分は、加熱処理する工程において、(a)成分と反応又はその化合物自身が重合する化合物である以外に特に制限はないが、分子内にメチロール基、アルコキシメチル基、エポキシ基又はビニルエーテル基を有する化合物であると好ましい。これらの基がベンゼン環に結合している化合物、あるいはN位がメチロール基及び/又はアルコキシメチル基で置換されたメラミン樹脂、尿素樹脂が好ましい。また、これらの基がフェノール性水酸基を有するベンゼン環に結合している化合物は、現像する際に露光部の溶解速度が増加して感度が向上させることが出来る点でより好ましい。中でも感度とワニスの安定性、加えてパターン形成後の膜の硬化時に、膜の溶融を防ぐことができる点で、分子内に2個以上のメチロール基、アルコキシメチル基を有する化合物がより好ましい。
そのような化合物は、下記一般式(IV)〜(VI)で表すことができる。
Figure 0005953796
(式中、Xは単結合又は1〜4価の有機基を示し、R11、R12は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、gは1〜4の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
Figure 0005953796
(式中、2つのYは各々独立に水素原子又は炭素原子数1〜10のアルキル基で酸素原子、フッ素原子を含んでいても良く、R13〜R16は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、m及びnは各々独立に1〜3の整数であり、p及びqは各々独立に0〜4の整数である)
Figure 0005953796
(式中、R17、R18は各々独立に水素原子又は一価の有機基を示し、複数あるR18は環構造を有して、互いに連結していても良い。)
また、アルカリ水溶液への溶解性の観点から、一般式(IV)〜(VI)で表される化合物の中でも、下記に示される化合物のいずれかであることがより好ましい。
Figure 0005953796
また、これらの化合物を、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、樹脂組成物に良好な耐熱性及び機械特性を与える観点から、下記B1又はB2のいずれかであることがより好ましい。
Figure 0005953796
本発明に使用する(b)成分の含有量は、感光時の感度、解像度、また硬化時のパターンの溶融を抑止するために、(a)成分100質量部に対して、0.1〜50質量部とすることが好ましく、0.5〜40質量部とすることがより好ましく、1〜30質量部とすることがさらに好ましい。
((c)成分:活性光線照射により酸を発生する化合物)
本発明に使用される(c)成分である光により酸を発生する化合物は、感光剤であり、酸を発生させ、光の照射部のアルカリ水溶液への可溶性を増大させる機能を有するものである。但し、発生する酸により、(a)成分と(b)成分との反応を生じさせるようなものでないことが好ましい。その種類としては、o−キノンジアジド化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられ、特に制限はないが、o−キノンジアジド化合物が、感度が高く、好ましいものとして挙げられる。
o−キノンジアジド化合物は、例えば、o−キノンジアジドスルホニルクロリド類とヒドロキシ化合物、アミノ化合物等とを脱塩酸剤の存在下で縮合反応させることで得られる。
前記o−キノンジアジドスルホニルクロリド類としては、例えば、ベンゾキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホニルクロリド、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホニルクロリド等が使用できる。
前記ヒドロキシ化合物としては、例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、ビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,2’,3’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン,2,3,4,3’,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4b,5,9b,10−テトラヒドロ−1,3,6,8−テトラヒドロキシ−5,10−ジメチルインデノ[2,1−a]インデン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等が使用できる。
アミノ化合物としては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等が使用できる。
o−キノンジアジドスルホニルクロリドとヒドロキシ化合物及び/又はアミノ化合物とは、o−キノンジアジドスルホニルクロリド1モルに対して、ヒドロキシ基とアミノ基の合計が0.5〜1当量になるように配合されることが好ましい。脱塩酸剤とo−キノンジアジドスルホニルクロリドの好ましい割合は、0.95/1〜1/0.95の範囲である。好ましい反応温度は0〜40℃、好ましい反応時間は1〜10時間とされる。
反応溶媒としては、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、N−メチルピロリドン等の溶媒が用いられる。
脱塩酸剤としては、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。
本発明の組成物において、前記(c)成分の含有量は、感光時の感度、解像度を良好とするために、(a)成分100質量部に対して、0.1〜50質量部とすることが好ましく、0.5〜20質量部とすることがより好ましく、1〜20質量部とすることがさらに好ましい。
((d)成分:溶剤)
本発明において、(d)成分の溶剤としては、これらの成分を溶解し、ワニス状にするために使用される。溶剤としては、N‐メチル‐2‐ピロリドン、N‐エチル‐2‐ピロリドン、γ‐ブチロラクトン、N,N‐ジメチルアセトアミド、N,N‐ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラメチル尿素、N−ホルミルピペリジン、ジメチルスルホキシド、2‐メトキシエタノール、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル‐1,3‐ブチレングリコールアセテート、1,3‐ブチレングリコールアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、テトラヒドロフラン等があり、単独でも混合して用いても良い。
本発明の組成物において、溶剤量は、形成する樹脂膜の膜厚によって適宜調整することが好ましい。
((e)成分:加熱により酸を発生する熱酸発生剤)
本発明において、さらに、(e)成分として加熱により酸を発生する熱酸発生剤を添加することができる。(e)成分は、加熱工程で酸を発生し、(a)成分と(b)成分の反応及び(a)成分中のポリベンズオキサゾール前駆体部分の環化を促進する。
上記熱酸発生剤から発生する酸としては、強酸が好ましく、具体的には、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸等が好ましい。これらの酸は、ポリベンゾオキサゾール前駆体のフェノール性水酸基含有ポリアミド構造が脱水反応を起こして環化する際の触媒として効率的に働く。これに対して、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸や硝酸が出るような酸発生剤では、発生した酸の酸性度が弱く、さらに加熱で揮発し易いこともあって、ポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応には殆ど関与しないと考えられ、本発明の十分な効果が得られにくい。
これらの酸は、熱酸発生剤として、オニウム塩としての塩の形やイミドスルホナートのような共有結合の形で本発明の感光性樹脂組成物に添加される。
上記オニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウム塩のようなジアリールヨードニウム塩、ジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩のようなジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩、トリメチルスルホニウム塩のようなトリアルキルスルホニウム塩、ジメチルフェニルスルホニウム塩のようなジアルキルモノアリールスルホニウム塩、ジフェニルメチルスルホニウム塩のようなジアリールモノアルキルヨードニウム塩等が好ましい。
これらが好ましいのは、分解開始温度が150〜250℃の範囲にあり、硬化前のプロセスでは安定であり、230℃以下の硬化の工程で酸として機能し、反応を促進するからである。これに対してトリフェニルスルホニウム塩は、本発明の熱酸発生剤としては望ましくない。トリフェニルスルホニウム塩は熱安定性が高く、一般に分解温度が300℃を超えているため、280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際しては分解が起きず、環化脱水の触媒としては十分に働かないと考えられるためである。
以上の点から、熱酸発生剤としてのオニウム塩としての熱酸発生剤としては、例えば、アリールスルホン酸、カンファースルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸又はアルキルスルホン酸のジアリールヨードニウム塩、ジ(アルキルアリール)ヨードニウム塩、トリアルキルスルホニウム塩、ジアルキルモノアリールスルホニウム塩又はジアリールモノアルキルヨードニウム塩が保存安定性、現像性の点から好ましい。さらに具体的には、パラトルエンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩(1%重量減少温度180℃、5%重量減少温度185℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩(1%重量減少温度151℃、5%重量減少温度173℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のトリメチルスルホニウム塩(1%重量減少温度255℃、5%重量減少温度278℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩(1%重量減少温度186℃、5%重量減少温度214℃)、トリフルオロメタンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩(1%重量減少温度154℃、5%重量減少温度179℃)、ノナフルオロブタンスルホン酸のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウム塩、カンファースルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、エタンスルホン酸のジフェニルヨードニウム塩、ベンゼンスルホン酸のジメチルフェニルスルホニウム塩、トルエンスルホン酸のジフェニルメチルスルホニウム塩等を好ましいものとして挙げることができる。
また、上記イミドスルホナートとしては、ナフトイルイミドスルホナートが望ましい。これに対して、フタルイミドスルホナートは、熱安定性が悪いために、硬化反応よりも前に酸が出て、保存安定性等を劣化させるので望ましくない。ナフトイルイミドスルホナートの具体例としては、例えば、1,8−ナフトイルイミドトリフルオロメチルスルホナート(1%重量減少温度189℃、5%重量減少温度227℃)、2,3−ナフトイルイミドトリフルオロメチルスルホナート(1%重量減少温度185℃、5%重量減少温度216℃)等を好ましいものとして挙げることができる。
また、上記(e)成分(熱酸発生剤)として、下記の化学式(VII)に示すように、R1920C=N−O−SO−Rの構造を持つ化合物(1%重量減少温度204℃、5%重量減少温度235℃)を用いることもできる。
ここで、Rとしては、例えば、p−メチルフェニル基、フェニル基等のアリール基、メチル基、エチル基、イソプロピル基等のアルキル基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル基等のパーフルオロアルキル基等が挙げられる。また、R19としては、シアノ基、R20としては、例えば、メトキシフェニル基、フェニル基等が挙げられる。
Figure 0005953796
また、上記(e)成分(熱酸発生剤)として、下記の化学式(VIII)に示すように、アミド構造−HN−SO−R’をもつ化合物(1%重量減少温度104℃、5%重量減少温度270℃)を用いることもできる。
ここでR’としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、メチルフェニル基、フェニル基等のアリール基、トリフルオロメチル基、ノナフルオロブチル等のパーフルオロアルキル基等が挙げられる。また、アミド構造−HN−SO−R’の結合する基としては、例えば、2,2,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンや2,2,−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等が挙げられる。
Figure 0005953796
また、本発明で用いる(e)成分(熱酸発生剤)としては、オニウム塩以外の強酸と塩基から形成された塩を用いることもできる。このような強酸としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸のようなアリールスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸のようなパーフルオロアルキルスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ブタンスルホン酸のようなアルキルスルホン酸が好ましい。塩基としては、例えば、ピリジン、2,4,6−トリメチルピリジンのようなアルキルピリジン、2−クロロ−N−メチルピリジンのようなN−アルキルピリジン、ハロゲン化−N−アルキルピリジン等が好ましい。さらに具体的には、p−トルエンスルホン酸のピリジン塩(1%重量減少温度147℃、5%重量減少温度190℃)、p−トルエンスルホン酸のL−アスパラギン酸ジベンジルエステル塩(1%重量減少温度202℃、5%重量減少温度218℃)、p−トルエンスルホン酸の2,4,6−トリメチルピリジン塩、p−トルエンスルホン酸の1,4−ジメチルピリジン塩等が保存安定性、現像性の点から好ましいものとして挙げられる。これらも280℃以下でのポリベンゾオキサゾール前駆体の環化脱水反応に際して分解し、触媒として働くことができる。
上述の(e)成分の中でも、感光性樹脂組成物の保存安定性及び添加による反応促進の観点から、下記E1を用いることが最も好ましい。
Figure 0005953796
(e)成分(熱酸発生剤)の配合量は、(a)成分100質量部に対して0.1〜30質量部が好ましく、0.2〜20質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
本発明においては、さらに、(a)成分のアルカリ水溶液に対する溶解性を調整するために、溶解性を阻害する化合物含有させることができる。このような化合物として、オニウム塩、ジアリール化合物及びテトラアルキルアンモニウム塩が好ましい。オニウム塩としては、ジアリールヨードニウム塩等のヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等のスルホニウム塩、ホスホニウム塩、アリールジアゾニウム塩等のジアゾニウム塩等が挙げられる。ジアリール化合物としては、ジアリール尿素、ジアリールスルホン、ジアリールケトン、ジアリールエーテル、ジアリールプロパン、ジアリールヘキサフルオロプロパン等の二つのアリール基が結合基を介して結合したものが挙げられ、前記アリール基としては、フェニル基が好ましい。
テトラアルキルアンモニウム塩としては、前記アルキル基がメチル基、エチル基等のテトラアルキルアンミニウムハライドが挙げられる。
これらの中で良好な溶解阻害効果を示すものとしては、ジアリールヨードニウム塩、ジアリール尿素化合物、ジアリールスルホン化合物、テトラメチルアンモニウムハライド化合物等が挙げられ、ジアリール尿素化合物としてはジフェニル尿素、ジメチルジフェニル尿素等が挙げられ、テトラメチルアンモニウムハライド化合物としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロミド、テトラメチルアンモニウムヨーダイド等が挙げられる。
中でも、一般式(IX)
Figure 0005953796
(式中、Xは対陰イオンを示し、R及びRは各々独立に1価の有機基を示し、a及びbは各々独立に0〜5の整数である)で表されるジアリールヨードニウム塩化合物が好ましい。陰イオンとしては、硝酸イオン、4弗化硼素イオン、過塩素酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、チオシアン酸イオン、塩素イオン、臭素イオン、沃素イオン等が挙げられる。
ジアリールヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムニトラート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、ジフェニルヨードニウムブロマイド、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヨーダイト等が使用できる。
これらの中で、ジフェニルヨードニウムニトラート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート及びジフェニルヨードニウム−8−アニリノナフタレン−1−スルホナートが、効果が高く好ましいものとして挙げられる。
この添加剤の配合量は、感度と、現像時間の許容幅の点から、(a)成分100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、0.1〜15質量部がより好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、硬化膜の基板との接着性を高めるために、有機シラン化合物、アルミキレート化合物等を含むことができる。
有機シラン化合物としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、尿素プロピルトリエトキシシラン、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、フェニルシラントリオール、1,4−ビス(トリヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(メチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(エチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(プロピルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ブチルジヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジメチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジエチルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジプロピルヒドロキシシリル)ベンゼン、1,4−ビス(ジブチルヒドロキシシリル)ベンゼン等が挙げられる。
アルミキレート化合物としては、例えば、トリス(アセチルアセトネート)アルミニウム、アセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
これらの密着性付与剤を用いる場合は、(a)成分と(c)成分の和100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜10質量部がより好ましい。
(パターン硬化膜の製造方法)
本発明のパターン硬化膜の製造方法は、感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥し、感光性樹脂膜を得る工程と、前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像しパターン樹脂膜を得る工程と、前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程とを含む。通常、これらの工程を経て、加熱処理後5〜10μmの厚みの膜を形成する。
支持基板上に塗布し乾燥する工程では、ガラス基板、半導体、金属酸化物絶縁体(例えばTiO、SiO等)、窒化ケイ素等の支持基板上に、このポジ型感光性樹脂組成物を、スピンナー等を用いて回転塗布後、ホットプレート、オーブン等を用いて乾燥することで、感光性樹脂膜を形成する。
次いで、露光工程では、感光性樹脂膜に、マスクを介して紫外線、可視光線、放射線等の活性光線を照射する。現像工程では、露光部を現像液で除去することによりパターンが得られる。現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。これらの水溶液の塩基濃度は、0.1〜10重量%とされることが好ましい。さらに上記現像液にアルコール類や界面活性剤を添加して使用することもできる。これらはそれぞれ、現像液100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で配合することができる。露光工程及び現像工程により、パターン樹脂膜を形成する。
ついで、加熱処理工程では、パターン樹脂膜に好ましくは150〜450℃の加熱処理をすることにより、パターン硬化膜を形成する。本発明においては加熱処理を230℃以下、好ましくは180〜230℃で行っても十分な膜特性を得ることができる。この加熱処理工程により(a)成分のポリベンゾオキサゾール前駆体のオキサゾール環が閉環すると共に、(a)及び(b)成分と(c)成分との架橋反応が進行し、良好な機械特性及び耐熱性を有するパターン硬化膜を与えることができる。
一般に、加熱処理には、拡散炉、オーブン、ホットプレートが使用できる。
本発明の感光性樹脂組成物において熱硬化させる時間は、残存溶剤や揮発成分の飛散が十分進行するまでの時間であるが、作業効率との兼ね合いから概ね5時間以下である。また熱処理の雰囲気は大気中、又は窒素等の不活性雰囲気中いずれを選択することができる。
(半導体装置)
本発明のパターン硬化膜は、表面保護膜や層間絶縁膜として、多層配線板等の電子部品に使用することができる。本発明の半導体装置は、前記組成物を用いて形成される表面保護膜や層間絶縁膜を有すること以外は特に制限されず、様々な構造をとることができる。
本発明の感光性樹脂組成物を用いた半導体装置(電子部品)の製造工程の一例を以下に説明する。図1は、多層配線構造を有する半導体装置の製造工程図である。
図1において、回路素子を有するSi基板等の半導体基板1は、回路素子の所定部分を除いてシリコン酸化膜等の保護膜2で被覆され、露出した回路素子上に第1導体層3が形成されている。前記半導体基板上にスピンコート法等で層間絶縁膜としてのポリイミド樹脂等の層間絶縁膜層4が形成される(工程(a))。
次に塩化ゴム系又はフェノールノボラック系の感光性樹脂層5が前記層間絶縁膜層4上にスピンコート法で形成され、公知の写真食刻技術によって所定部分の層間絶縁膜層4が露出するように窓6Aが設けられている(工程(b))。前記窓6Aにより露出した層間絶縁膜4は、酸素、四フッ化炭素等のガスを用いるドライエッチング手段によって選択的にエッチングされ、窓6Bがあけられている。ついで窓6Bから露出した第1導体層3を腐食することなく、感光性樹脂層5のみを腐食するようなエッチング溶液を用いて感光性樹脂層5が完全に除去される(工程(c))。
さらに、公知の写真食刻技術を用いて、第2導体層7を形成させ、第1導体層3との電気的接続が完全に行われる(工程(d))。3層以上の多層配線構造を形成する場合は、上記の工程を繰り返して行い各層を形成することができる。
次に表面保護膜層8が形成される。本例では、この表面保護膜層を前記感光性樹脂組成物をスピンコート法にて塗布、乾燥し、所定部分に窓6Cを形成するパターンを描いたマスク上から光を照射した後アルカリ水溶液にて現像してパターンを形成し、加熱して耐熱性高分子膜とする。この耐熱性高分子膜は、導体層を外部からの応力、α線等から保護するものであり、得られる半導体装置は信頼性に優れる。尚、上記例において、層間絶縁膜層を本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成することも可能である。
以下、実施例、比較例に基づき、本発明についてさらに具体的に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[合成例1]ポリマー(P1)の合成
攪拌機、温度計を備えた0.3リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン200gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.0g(41.0mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、室温下(25℃)で、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物6.4g(20.5mmol)を15分間で加え、12時間攪拌を続けた。この反応液に対して、m−キシレンを20g加え、150℃で2時間加熱還流を行った。この際、イミド化により生じた水は共沸により系外へと除きながら還流を行った。
その後、m−キシレンを留去し、室温まで冷却した後、この反応液の温度を0〜5℃に保ちながら、セバシン酸ジクロリド4.3g(17.9mmol)を10分間で滴下した後、60分間攪拌を続けた。この反応液を、1.5リットルのイオン交換水に投入し、析出物を回収し、これをイオン交換水で3回洗浄した後、減圧してポリマーを得た(以下、ポリマーP1とする)。ポリマーP1のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は39,500であった。
尚、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC、装置は(株)日立製作所製、カラムは日立化成工業(株)製ゲルパック)を用いて、標準ポリスチレン換算により求めた。
ポリマー(P1)における(I)/(II)の比は約0.9である。この比率は、ポリマー(P1)を合成する際に用いた(I)の酸部を形成するジカルボン酸の含有量(mol)と(II)の酸部を形成するテトラカルボン酸二無水物の含有量(mol)の比とほぼ同じになる。
尚、この比はH−NMRにより、芳香族部分と脂肪族部分に由来するプロトンの積分値より確認することができる。
[合成例2]ポリマー(P2)の合成
合成例1において、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物6.4g(20.5mmol)の代わりに、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物9.1g(20.5mmol)を使用した以外は、合成例1と同じ操作を行い、ポリマーP2を得た。GPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は42,100であった。
尚、ポリマー(P2)における(I)/(II)の比は約0.9である。
[合成例3]ポリマー(P3)の合成
攪拌機、温度計を備えた0.3リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン200gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.0g(41.0mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、室温下(25℃)で、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物6.4g(20.5mmol)を15分間で加え、12時間攪拌を続けた。この反応液に対して、m−キシレンを20g加え、150℃で2時間加熱還流を行った。この際、イミド化により生じた水は共沸により系外へと除きながら還流を行った。
引続き、m−キシレンを留去し、室温まで冷却した後、m−アミノフェノール0.6g(5.5mmol)を添加し溶解させた。この反応液の温度を0〜5℃に保ちながら、セバシン酸ジクロリド5.5g(23.2mmol)を10分間で滴下した後、60分間攪拌を続けた。この反応液を、1.5リットルのイオン交換水に投入し、析出物を回収し、これをイオン交換水で3回洗浄した後、減圧してポリマーを得た(以下、ポリマーP3とする)。ポリマーP3のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は40,500であった。
尚、ポリマー(P3)における(I)/(II)の比は約1.1である。
[合成例4]ポリベンゾオキサゾール前駆体(P4)の合成
攪拌機、温度計を備えた0.3リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン200gを仕込み、2,2’−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.0g(41.0mmol)を添加し、攪拌溶解した。続いて、温度を0〜5℃に保ちながら、セバシン酸ジクロリド9.3g(38.9mmol)を10分間で滴下した後、60分間攪拌を続けた。溶液を1.5リットルの水に投入し、析出物を回収し、これを純水で3回洗浄した後、減圧してポリヒドロキシアミド(ポリベンゾオキサゾール前駆体)を得た(以下、ポリマーP4とする)。ポリマーP4のGPC法標準ポリスチレン換算により求めた重量平均分子量は43,100であった。
このポリマーは一般式(I)で示される構造のみを有するポリマーである。
[合成例5]可溶性ポリイミド(P5)の合成
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N−メチルピロリドン200gを仕込み、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン15.0g(41.0mmol)を添加し、攪拌溶解した。ここに室温下(25℃)で、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物14.12g(45.5mmol)を30分間で加え、12時間攪拌を続けた。この反応液に対して、m−キシレンを20g加え、150℃で2時間加熱還流を行った。この際、イミド環の環化により生じた水は共沸により系外へと除きながら還流を行った。その後、m−キシレンを留去し、室温まで冷却した後、この反応液を蒸留水に滴下して、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリイミドを得た。(以下、ポリマーP5とする)。重量平均分子量は32,500であった。
このポリマーは一般式(II)で示される構造のみを有するポリマーである。
[合成例6]ポリマー(P6)の合成
合成例1において、セバシン酸ジクロリドを1.5g(6.2mmol)を用いる以外は、合成例1と同じ操作を行い、ポリマーP6を得た。尚、ポリマー(P6)における(I)/(II)の比は約0.3である。
[合成例7]ポリマー(P7)の合成
合成例1において、セバシン酸ジクロリドを12.3g(51.3mmol)を用いる以外は、合成例1と同じ操作を行い、ポリマーP7を得た。尚、ポリマー(P7)における(I)/(II)の比は約2.5である。
(実施例1〜6、比較例1〜6)
[感光性樹脂組成物の作製]
合成例1〜7で合成した(a)成分と、(b)、(c)、(d)及び(e)成分を表1に示した含有量にて配合し、実施例1〜6及び比較例1〜6の樹脂組成物を得た。また、溶解性を調整するために下記ヨードニウム塩を適宜添加し、未露光部の溶解速度が各サンプルとも20nm/s程度でほぼ一定となるようにした。溶解した溶液は、3μmのテフロン(登録商標)製フィルターでろ過して、評価に使用した。
Figure 0005953796
[感光特性の評価]
実施例1〜6及び比較例1〜6の樹脂組成物をシリコンウエハ上にスピンコート、120℃で3分間乾燥して、膜厚11.5〜12μmの塗膜となるよう調整した。その後、キャノン社製ステッパー(製品名:FPA3000iW)を用いて露光(365nm)を行った。露光後、テトラメチルアモニウムヒドロキシド2.38重量%水溶液にて未露光部の残膜率が80%程度となるまで現像した後、水でリンスしパターン形成を行った。得られたパターンから、最小開口露光量(感度)を求め、結果を表1に示した。
[膜特性の評価]
次に前記感光性樹脂組成物の溶液をシリコンウエハ上にスピンコートして、120℃で3分間加熱し、膜厚12〜13μmの塗膜を形成した。その後、前記塗膜を光洋サーモシステム社製イナートガスオーブン中、窒素雰囲気下、150℃で30分加熱した後、さらに200℃で1時間又は180℃で1時間加熱して硬化膜を得た。次に4.9%フッ酸水溶液を用いて、この硬化膜を剥離し、水洗、乾燥した後、ガラス転移点(Tg)、破断伸びを調べた。Tgはセイコーインスツルメンツ社製TMA/SS6000を用い、昇温速度5℃/minにて熱膨張の変曲点より求めた。サンプルは、剥離した硬化膜を、幅2mm、長さ20mmの寸法にカミソリで切ったものを使用した。また、破断伸びは島津製作所社製オートグラフAGS−100NHを用いて引っ張り試験より求め、結果を表1に示した。サンプルは、剥離した硬化膜を、幅10mm、長さ70mmの寸法にカミソリで切ったものを使用した。
表中、(b)成分のB1、B2、(c)成分のC1、(d)成分のGBL、(e)成分のE1は、下記の化合物である。
Figure 0005953796
Figure 0005953796
実施例1〜6の樹脂組成物は感度が良好であり、また、低温で硬化しても、良好な耐熱性及び機械特性を有するパターン硬化膜を与えた。一方、(I)/(II)が0.4〜2.4の範囲外である比較例1〜6では、耐熱性と機械特性を両立することができなかった。
本発明の感光性樹脂組成物は、電子部品等の表面保護膜や層間絶縁膜となるパターン硬化膜の形成に好適である。
本発明の感光性樹脂組成物は、パターン形成後に高温の熱処理を要さず、230℃以下の低温で熱処理を行っても、それ以上の高温で処理したものと同等の良好な硬化膜特性が得られる。
本発明のパターンの製造法によれば、前記組成物の使用により、感度、解像度及び耐熱性に優れ、良好な形状のパターンが得られる。
本発明の電子部品は、良好な形状と特性のパターンを有することにより、信頼性の高いものである。
1 半導体基板
2 保護膜
3 第1導体層
4 層間絶縁膜層
5 感光樹脂層
6A、6B、6C 窓
7 第2導体層
8 表面保護膜層

Claims (11)

  1. (a)下記一般式(I)及び一般式(II)で表される構造単位を有するポリマーと、
    (b)加熱により(a)成分と反応し得る化合物と、
    (c)活性光線照射により酸を発生する化合物と、
    (d)溶剤と、
    を含有し、式(I)と式(II)の構造単位数の比(I)/(II)が0.4〜2.4である、感光性樹脂組成物。
    Figure 0005953796
    (式中、U及びVはそれぞれ2価の有機基を示し、Vは脂肪族鎖状構造を含む基であり、前記脂肪族鎖状構造の炭素数は1〜30である。
    Figure 0005953796
    (式中、Zは二価、Wは四価の有機基である。)
  2. 前記一般式(I)が下記一般式(III)で表される構造単位である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0005953796
    (式中、R、Rは各々独立に水素、フッ素又は炭素数1〜6のアルキル基、Uは2価の有機基であり、a’は1〜30の整数である。)
  3. 前記一般式(III)のa’が7〜30の整数である、請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(b)成分が、分子内に少なくとも二つ以上のメチロール基又はアルコキシアルキル基を有する化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記(c)成分が、o−キノンジアジド化合物である請求項1〜4のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに、(e)成分として加熱により酸を発生する熱酸発生剤を含む請求項1〜5のいずれかに記載の感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物を用いてパターン硬化膜を製造する方法であり、
    前記感光性樹脂組成物を支持基板上に塗布し乾燥し、感光性樹脂膜を得る工程と、
    前記乾燥工程により得られた感光性樹脂膜を露光する工程と、
    前記露光後の感光性樹脂膜をアルカリ水溶液を用いて現像しパターン樹脂膜を得る工程と、
    前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程と、
    を含むパターン硬化膜の製造方法。
  8. 前記現像後の感光性樹脂膜を加熱処理する工程が230℃以下で行なわれる請求項7に記載のパターン硬化膜の製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物のパターン硬化膜を用いた層間絶縁膜。
  10. 請求項1〜6のいずれかに記載の感光性樹脂組成物のパターン硬化膜を用いた表面保護膜。
  11. 請求項9に記載の層間絶縁膜又は請求項10に記載の表面保護膜を有する電子部品。
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