JP5829391B2 - 光走査装置及びこれを用いた光測距装置 - Google Patents
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Description
この種の光測距装置は、例えば、レーザパルスを出射する光源と、この光源から出射されたレーザパルス光を対象領域内でリサージュ走査する光走査装置と、対象領域内の対象物によって反射されたレーザパルスを受光する受光部と、レーザパルスの出射タイミングと反射光の受光タイミングとの時間差に基づいて対象物までの距離を計測する測距部と、を備える。光走査装置は、二次元ガルバノミラー等で構成される光走査部及びこの光走査部のミラーを揺動駆動する駆動部を含み、通常は光走査部(二次元ガルバノミラー)の共振現象を利用することによって広範囲な光走査を可能としている。すなわち、駆動部は、二次元ガルバノミラーの直交する二軸(x軸、y軸)回りの共振周波数近傍の周波数を有する二つの駆動信号を所定の位相差を与えつつ二次元ガルバノミラーに供給し、これにより、二次元ガルバノミラーをx軸回り及びy軸回りに揺動駆動している。
そのため、光測距装置においては、リサージュパターン及びリサージュ周期が変化しないように、x軸回りに揺動駆動する駆動信号の周波数、y軸回りに揺動駆動する駆動信号の周波数及びこれらの位相差が一定値に固定されているのが一般的である。この場合、二次元ガルバノミラーについて言えば、周波数及びその位相差が固定された二つの駆動信号によって上記光測距装置の仕様(測距可能範囲)を満たすような特性(特にx軸回り及びy軸回りの共振周波数)を有することが要求される。
また、二次元ガルバノミラーは、その部材の周囲温度によって特性が変動するため、光測距装置の使用環境の変化によって上記仕様を満たさなくなるおそれもある。このような状態を避けるためには、製造後の調整プロセスや製造後の選別等において光測距装置の使用温度条件内での特性(共振周波数)変動をも考慮しなければならず、そうすると、さらなる製造コストの上昇を招くことになる。
図1は、本発明の一実施形態による光測距装置の概略構成を示すブロック図である。この光測距装置は、パルス光(レーザパルス)を対象領域内でリサージュ走査し、該対象領域内に存在する物体(人を含む)による反射光を受光して当該物体までの距離を計測(測距)し、その計測結果に基づく距離画像を生成して出力(表示)する。
図2に示すように、二次元ガルバノミラー30は、枠状の固定部31と、固定部31の内側に配置されて一対の第1トーションバー32,32によって揺動可能に支持された外側可動部33と、外側可動部33の内側に配置されて第1トーションバー32,32に軸方向が直交する一対の第2トーションバー34,34によって揺動可能に支持された内側可動部35と、を備える。ここで、第1トーションバー32,32の中心軸をy軸(第1軸)とし、第2トーションバー34,34の中心軸をx軸(第2軸)とする。
また、第1駆動コイル37に磁界を作用させる一対の第1永久磁石41,41及び第2駆動コイル38に磁界を作用させる一対の第2永久磁石42,42が固定部31を挟んでそれぞれ対向配置されている。ここで、固定部31、第1トーションバー32,32、外側可動部33、第2トーションバー34,34及び内側可動部35は、半導体基板から一体的に形成される。
同様に、第2トーションバー34,34には、内側可動部35のx軸回りの揺動動作、すなわち、第2トーションバー34,34の捩れによって生じる歪み(応力)を検出するための第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8が配置されている。
そして、第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4、及び、第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8は、それぞれ図示省略した配線によって接続されて、図3に示すようなブリッジ回路45(入力電圧Vi,出力電圧Vo)を構成している。
なお、以下の説明において、光走査部3(内側可動部35)のy軸回りの共振周波数、すなわち、外側可動部33及び内側可動部35を含む可動部全体のy軸回りの共振周波数を「第1共振周波数」といい、光走査部3(内側可動部35)のx軸回りの共振周波数を「第2共振周波数」という。
同様に、第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8で構成されたブリッジ回路(図3参照)の出力電圧Voをモニタすることで内側可動部35のx軸回りの揺動角度(振れ角)を連続的に検出することできる。
したがって、第1〜第4ピエゾ抵抗素子R1〜R4で構成されるブリッジ回路(以下「第1ブリッジ回路」という)が本発明の「第1揺動角度検出部」に相当し、第5〜第8ピエゾ抵抗素子R5〜R8で構成されるブリッジ回路(以下「第2ブリッジ回路」という)が本発明の「第2揺動角度検出部」に相当する。
第1駆動信号の周波数、第2駆動信号の周波数は、それぞれ光走査部3の第1共振周波数、第2共振周波数に相当する値(例えば、設計値)として予め設定されているが、上述したように、製造バラツキや使用環境(特に、温度)の変化などによって光走査部3の実際の第1共振周波数及び第2共振周波数が上記設計値と異なる(周波数特性がシフトする)場合がある。
そこで、本実施形態における駆動部3は、第1駆動信号の周波数と光走査部3の実際の第1共振周波数とのずれ、及び/又は、第2駆動信号の周波数と光走査部3の実際の第2共振周波数とのずれを検出し、その検出結果に応じて第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を変更する。但し、光走査部3による光走査のパターン(すなわち、リサージュパターン)を変更しないように、第1駆動信号の周波数と第2駆動信号の周波数との比(周波数比)を一定に維持する。ここで、通常は第2駆動信号の周波数の方が第1駆動信号の周波数よりも高くなっており、二次元ガルバノミラー30の内側可動部35はx軸回りに高速で揺動駆動され、y軸回りに低速で揺動駆動される。
なお、DDS方式又はPLL方式の周波数シンセサイザの構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、一般に、DDS方式の周波数シンセサイザは、加算器、位相レジスタ、正弦波変換部(波形ROM)、D/A変換部及び低域フィルタを含んで構成され、PLL方式の周波数シンセサイザは、位相比較器、低域フィルタ及び電圧制御発振器を含んで構成される。
第2ずれ量検出部57は、第2駆動回路53から出力された第2駆動信号と上記第2ブリッジ回路の出力信号(すなわち、内側可動部35のx軸回りの揺動角度信号)との位相差に基づいて第2ずれ量を検出する。
図4は、ガルバノミラーの周波数特性を示す図であり、図4(a)は、駆動信号の周波数に対するミラーの揺動角度(ゲイン)を示し、図4(b)は、駆動信号の周波数に対する駆動信号とミラーの揺動角度(信号)との位相(差)を示している。
具体的には、第1ずれ量検出部55は、光走査部3(内側可動部35)のy軸回りについて図4(b)に対応する駆動周波数−位相(差)特性をテーブル等として有しており、第1駆動信号と第1ブリッジ回路の出力信号との位相差から第1ずれ量(第1共振周波数のシフト量)を検出する。また、第2ずれ量検出部57は、光走査部3(内側可動部35)のx軸回りについて図4(b)に対応する駆動周波数−位相(差)特性」をテーブル等として有しており、第2駆動信号と第2ブリッジ回路の出力信号との位相差から第2ずれ量(第2共振周波数のシフト量)を検出する。
具体的には、周波数決定部59は、第1駆動信号及び第2駆動信号のいずれか一方の周波数を第1ずれ量検出部55又は第2ずれ量検出部57の検出結果に基づいて決定(変更)し、他方の周波数については、両者の周波数比が変化しないように、上記変更された一方の周波数に応じて決定(変更)する。そして、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を変更後の値に更新するとともに、更新された第1駆動信号の周波数を第1駆動回路51に出力し、更新された第2駆動信号の周波数を第2駆動回路53に出力する。
ステップS1では、第1駆動信号及び第2駆動信号を光走査部3に出力する。ここで出力される第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数は、前回の決定(変更)処理において更新された周波数であり、全く更新されていない場合にはそれぞれの初期値(すなわち、光測距装置1の製造時に設定されている値)である。
ステップS8では、第1駆動信号と第2駆動信号との周波数比を一定に保つように、ステップ7で変更された第2駆動信号の周波数に応じて第1駆動信号の周波数を変更する。
ステップS9では、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を上記ステップS7、S8で変更された値に更新する。
ステップS11では、第1駆動信号と第2駆動信号との周波数比を一定に保つように、ステップ10で変更された第1駆動信号の周波数に応じて第2駆動信号の周波数を変更する。
ステップS12では、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数を上記ステップS10、S11で変更された値に更新する。
光源制御部73は、光源71によるパルス光の出射タイミングを制御する。光源制御部73は、例えば対象領域内の計測位置と出射時刻(タイミング)とが関連付けられたタイミングテーブルを備えており、例えば内側可動部35(光反射面36)の所定の揺動角度(例えば、0°)を基準として予め設定されたタイミング(計測位置)で光源71を発光させる。
投光光学系75は、光源71が発したパルス光を好ましい状態(例えば平行光)に変換するものであり、例えばコリメータレンズを含む。
図示省略したメインスイッチ等がONされて光測距装置1が起動すると、駆動部5は第1駆動信号及び第2駆動信号を光走査部3に出力して内側可動部35(光反射面36)をx軸回り及びy軸回りに揺動駆動する。また、光源部7からはタイミングテーブルに基づいてパルス光が出射される。これにより、対象領域には、光走査部3によるリサージュ走査軌跡上の予め設定された各計測位置にパルス光が出射され、測距部9によって当該各計測位置について測距が行われる。そして、対象領域内の全ての計測位置での測距が完了すると(すなわち、光走査部3による走査の一周期毎に)、画像生成部11によって対象領域についての距離画像が生成され、この生成された距離画像が表示部13に表示される。
また、内側可動部35(外側可動部33)のy軸回りの揺動振幅(振れ角)及び内側可動部35のx軸回りの揺動振幅(振れ角)が所定値となるように第1駆動信号及び第2駆動信号の大きさ(駆動電流値)を制御する構成とした場合には、この駆動電流値を内側可動部35のy軸回り及びx軸回りの揺動角度信号とすることができる。この場合、駆動電流値は共振周波数と一致する周波数を有するときに最小となり、共振周波数からずれるほどその値が大きくなる。
Claims (10)
- 光反射面を有する可動部が互いに直交する第1、第2軸回りに揺動可能に形成され、該可動部が前記第1軸回り及び前記第2軸回りに揺動することによって前記光反射面に入射される光を対象領域内でリサージュ走査する光走査部と、
前記可動部を前記第1軸回りに揺動させる第1駆動信号及び前記可動部を前記第2軸回りに揺動させる第2駆動信号をそれぞれ前記光走査部に出力して前記可動部を前記第1軸
回り及び前記第2軸回りに揺動駆動する駆動部と、
前記可動部の前記第1軸回りの第1共振周波数に対する前記第1駆動信号の周波数のずれ量である第1ずれ量及び前記可動部の前記第2軸回りの第2共振周波数に対する前記第2駆動信号の周波数のずれ量である第2ずれ量の少なくとも一方を検出するずれ量検出部と、
を備え、
前記駆動部は、前記第1ずれ量が予め定められた第1閾値よりも大きい場合、前記第2ずれ量が予め定められた第2閾値よりも大きい場合、又は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合に、前記第1駆動信号の周波数及び前記第2駆動信号の周波数をこれらの周波数比を維持しつつ変更する、光走査装置。 - 前記駆動部は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きい場合には、前記第1駆動信号の周波数を前記第1ずれ量に応じて変更し、この変更された第1駆動信号の周波数に応じて前記第2駆動信号の周波数を変更する、請求項1に記載の光走査装置。
- 前記駆動部は、前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合には、前記第2駆動信号の周波数を前記第2ずれ量に応じて変更し、この変更された第2駆動信号の周波数に応じて前記第1駆動信号の周波数を変更する、請求項1に記載の光走査装置。
- 前記駆動部は、前記第1ずれ量が前記第1閾値よりも大きくかつ前記第2ずれ量が前記第2閾値よりも大きい場合には、第1駆動信号の周波数及び第2駆動信号の周波数のいずれか一方を対応するずれ量に応じて変更し、この変更された周波数に応じて他方を変更する、請求項1に記載の光走査装置。
- 前記可動部の前記第1軸回りの揺動角度に応じた信号を出力する第1揺動角度検出部を備え、
前記ずれ量検出部は、前記第1駆動信号と前記第1揺動角度検出部の出力信号との位相差に基づいて前記第1ずれ量を検出する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の光走査装置。 - 前記可動部の前記第2軸回りの揺動角度に応じた信号を出力する第2揺動角度検出部を備え、
前記ずれ量検出部は、前記第2駆動信号と前記第2揺動角度検出部の出力信号との位相差に基づいて前記第2ずれ量を検出する、請求項1〜5のいずれか一つに記載の光走査装置。 - 前記光走査部又はその近傍の温度を検出する温度センサを備え、
前記ずれ量検出部は、前記駆動部が出力した前記第1駆動信号の周波数と前記光走査部又はその近傍の温度に応じた前記第1共振周波数とに基づいて前記第1ずれ量を検出し、前記駆動部が出力した前記第2駆動信号の周波数と前記光走査部又はその近傍の温度に応じた前記第2共振周波数とに基づいて前記第2ずれ量を検出する、請求項1〜4のいずれか一つに記載の光走査装置。 - 前記駆動部は、
前記第1駆動信号の周波数及び前記第2駆動信号の周波数を決定する周波数決定部と、
前記周波数決定部で決定された周波数に基づいて前記第1駆動信号を生成する第1駆動回路と、
前記周波数決定部で決定された周波数に基づいて前記第2駆動信号を生成する第2駆動回路と、
を備え、
前記第1駆動回路及び前記第2駆動回路は、DDS(Direct Digital Synthesizer)方式又はPLL(Phase Lock Loop)方式の周波数シンセサイザを備える、請求項1〜7のいずれか一つに記載の光走査装置。 - 請求項1〜8のいずれか一つに記載の光走査装置と、
前記光走査装置の前記光反射面に向かってパルス光を出射する光源部と、
前記光源部から出射されたパルス光が前記対象領域内に存在する物体によって反射された反射光を受光する受光部と、
前記光源部によるパルス光の出射タイミングと前記受光部による反射光の受光タイミングとに基づいて前記物体までの距離を計測する測距部と、
を備えた、光測距装置。 - 前記測距部による計測結果に基づいて前記対象領域についての距離画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された距離画像を表示する表示部と、
をさらに備える、請求項9に記載の光測距装置。
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