JP5899775B2 - 起泡性水中油型乳化物の製造法 - Google Patents
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Description
これらのクリームに使用される油脂は、生クリームは乳脂肪だけからなる油脂であり、コンパウンドクリームは乳脂肪と他の植物性油脂の混合物であり、植物性クリームは植物性油脂であり、具体的には、ヤシ油、パーム核油などのラウリン系油脂やパーム油、菜種油等の植物油及びこれらの硬化油、分別油、エステル交換油、さらにはこれらの混合油等が挙げられる。
これらの起泡性水中油型乳化物の製造は、油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む原料を混合して、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し、均質化、冷却するか、又は油脂、乳蛋白質、乳化剤及び水を含む原料を混合して、予備乳化、均質化、殺菌又は滅菌処理し、再均質化、冷却する方法が一般的に採用されている。
これらの起泡性水中油型乳化物は油脂を主要原料とするだけに、その品質の安定性及び生産効率の点において冷却工程が重要な工程であると考えられる。
特許文献1では、冷却工程の最終冷却温度を15〜30℃に制御する起泡性水中油型乳化組成物の製造方法が提案され、特許文献2では、クリームの加熱殺菌処理後の冷却工程において一旦7℃〜25℃まで冷却し、その温度で1分間〜30分間保持し、その後3℃〜5℃まで冷却することを特徴とする乳化安定性に優れたクリームの製造方法が提案され、特許文献3では、クリームを急冷した後、一時的な加温処理を行い冷却することにより得られる、常に安定的で良好なホイップ性を有する脂肪率27%以上35%未満の乳脂肪クリームが提案されているが、品質の安定性という点で充分ではなかった。
また、クリームの冷却について非特許文献1に、「油脂が冷却によって結晶化する場合、油脂と接する界面の違いにより結晶化の仕方が異なると考えられる。クリームの場合は、油脂/水界面の存在下で油脂の結晶化が起こるので、油脂粒子の界面に油脂成分の中で、高融点成分や極性の高い成分が優先的に界面に配向する形で結晶化していくと考えられる。」が記載されている。
即ち本発明の第1は、油脂、乳蛋白質及び水を含む水中油型乳化物であって、殺菌又は滅菌処理後、水中油型乳化物を冷流路A1で急冷し、その後冷流路A1より冷却能力が低い槽中Bでの撹拌下で水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させ、その後更に水中油型乳化物を冷流路A2で冷却する、起泡性水中油型乳化物の製造法である。第2は、冷流路A1での急冷が水中油型乳化物の品温を1〜20℃に急冷する、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第3は、冷流路A1の冷却能力が水中油型乳化物の品温を5℃/分以上に低下可能な能力である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第4は、冷流路A1の冷媒の温度が0℃以上である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第5は、槽中Bの冷却能力が水中油型乳化物の品温を5℃/分未満に低下可能な能力である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第6は、槽中Bでの水中油型乳化物の最高品温を((急冷時の品温)+(0〜8℃))に温度制御する、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第7は、槽中Bの冷媒の温度が0℃以上である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第8は、冷流路A2での冷却が水中油型乳化物の品温を1〜7℃に冷却する、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第9は、冷流路A1の急冷却時から容器充填されるまでのエージング時間が8時間以内である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第10は、水中油型乳化物の油脂分が10〜50重量%である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。第11は、水中油型乳化物の油脂粒子の平均粒子径が0.8〜3.0μmの範囲である、第1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法である。
そして、起泡性水中油型乳化物であるホイップクリームの一般的な製造法として、原料計量→加熱溶解(65℃)→撹拌による予備乳化→HTST殺菌→ホモジナイザー処理→冷却(10℃以下)→エージング(約5℃)→充填→冷蔵→出荷(藤田哲「食品の乳化ー基礎と応用ー」、株式会社幸書房、2006年2月10日発行、p403)、と記載されており、従来は冷却時から充填時までのエージング時間は20時間程度であった。
急冷時の品温が低すぎると乳化状態が不安定になる。急冷時の品温が高すぎるとホイップし難くなる。
急冷の平均冷却速度としては5℃/分以上が好ましく、より好ましくは7℃/分以上であり、さらに好ましくは10℃/分以上である。
連続式冷却の冷媒の温度が0℃以上であるのが好ましい。
その際に冷媒の温度が少なくとも2種以上であるのが好ましく、例えば、冷媒の温度が0〜5℃の温度範囲のもの、12〜18℃の温度範囲のもの、20〜40℃の温度範囲のものというように2種以上組合わせるのが好ましい。
回転数についても適宜調整することができる。
冷流路A1で急冷され水中油型乳化物の油脂粒子の油脂の一部が結晶化し、その後槽中Bでの撹拌下で水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させ、油脂粒子の残りの油脂結晶を成長安定化させることができる。
冷却の温度制御は二重ジャケット式、スプレー式、圧力型ジャケット式の何れの方法でも良い。
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造法は、油脂、乳蛋白質及び水を含む原料を混合して、予備乳化、殺菌又は滅菌処理し、均質化、冷却するか、又は油脂、乳蛋白質及び水を含む原料を混合して、予備乳化、均質化、殺菌又は滅菌処理し、再均質化、冷却する方法において、殺菌又は滅菌処理後、冷流路A1で水中油型乳化物の品温を1〜20℃に急冷し、その後槽中Bでの撹拌下で水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させるのであるが水中油型乳化物の最高品温を((急冷時の品温)+(0〜8℃))の温度範囲に制御し、その後更に水中油型乳化物を冷流路A2で冷却する製造法である。
そして、この水中油型乳化物の最高品温を((急冷時の品温)+(0〜8℃))に温度制御することが重要であり、好ましくは最高品温を((急冷時の品温)+(0〜7℃))の温度範囲に制御するのであり、更に好ましくは最高品温を((急冷時の品温)+(0〜6℃))の温度範囲に制御するのである。
また、別な方法として、水中油型乳化物の油脂の結晶量はSFC値を測定することにより求めることができる。
槽中Bの冷却能力が水中油型乳化物の品温を5℃/分未満に低下可能な能力下で冷却するのであるが、水中油型乳化物の油脂分や油脂の種類を考慮して水中油型乳化物の最高品温を((急冷時の品温)+(0〜8℃))の温度範囲に制御するのが好ましい。
このような制御によって槽中における水中油型乳化物の油脂粒子中の残りの油脂結晶化を促進し安定化できるので好ましい。
水中油型乳化物の急冷時の品温をT1とし、温度制御する際の水中油型乳化物の最高品温をT2とした。
槽中Bの冷媒の温度が0℃以上であるのが好ましく、媒体としては水が好ましい。
本発明では、冷流路A2での冷却が水中油型乳化物の品温を1〜7℃に冷却するのが好ましく、より好ましくは水中油型乳化物の品温を1〜6℃の冷却であり、さらに好ましくは水中油型乳化物の品温を2〜6℃の冷却である。冷却時の品温が低すぎると乳化状態が不安定になる。冷却時の品温が高すぎると冷流路A1の急冷却時から容器充填されるまでのエージング時間が長くなり生産効率が悪くなる。
本発明では、冷流路A2の冷却能力が水中油型乳化物の品温を3℃/分以上に低下可能な能力であるのが好ましく、具体的には水中油型乳化物の品温を冷却する方法としては、プレート式、チューブラー式、多管式、掻き取り式冷却方式が挙げられるが、中でも冷却後の水中油型乳化物を更に冷却するので、水中油型乳化物に対して物理的な衝撃の少ない、プレート方式、チューブラー式、多管式冷却方式を用いる連続式が好ましい。
連続式冷却の冷媒の温度が0℃以上であるのが好ましい。
そして、冷流路A1の急冷時から冷蔵6日後の水中油型乳化物中の油脂結晶量はSFC値で5℃で13〜42%、10℃で12〜40%、20℃で8〜32%の範囲が好ましく、より好ましくは、5℃で15〜40%、10℃で14〜38%、20℃で10〜30%の範囲であり、更に好ましくは、5℃で17〜37%、10℃で16〜35%、20℃で12〜28%の範囲である。SFC値が低すぎると水中油型乳化物を起泡する際の起泡性、保形性が悪化する傾向にある。SFC値が高すぎると水中油型乳化物を起泡した際の起泡物の口どけが悪くなる。
本発明の起泡性水中油型乳化物の製造法においては、水中油型乳化物を殺菌又は滅菌処理後、水中油型乳化物の品温を1〜20℃に急冷するのであるが、冷却に際しては、これらの油脂の結晶化挙動が重要であって、油脂組成、固体脂と液体油のバランス、結晶化特性が影響する。
これらの油脂の中にあって、乳脂はその構成する脂肪酸組成が鎖長の短い脂肪酸から鎖長の長い脂肪酸まで、また、不飽和脂肪酸も含み脂肪酸種が400以上とも言われている。
本発明の製造法では油脂として乳脂を含むものであるが、好ましくは(乳脂÷全油脂)が0.85以下であり、更に好ましくは(乳脂÷全油脂)が0.70以下であり、最も好ましくは(乳脂÷全油脂)が0.50以下である。
無脂乳固形分由来の乳蛋白質が使用のし易さと風味の点で好ましい。
無脂乳固形分由来の乳蛋白質としては生乳、牛乳、脱脂乳、生クリーム、濃縮乳、無糖練乳、加糖練乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、ホエー蛋白が例示できる。 乳蛋白質の使用量は0.3〜7重量%が好ましく、より好ましくは0.3〜6重量%であり、更に好ましくは0.3〜5重量%である。乳蛋白質が少なすぎると水中油型乳化物の乳化安定性が悪くなる。乳蛋白質が多すぎると殺菌工程で風味劣化が起こりやすくなる。
そして、乳蛋白質と共存している乳糖は本発明の糖類に含まれる。
糖類の使用量は概ね0.5〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10重量%、更に0.5〜6重量%が好まく、0.5〜4.5重量%が最も好ましい。
糖類の使用量が多くなると水中油型乳化物の粘度が高くなり冷却効率が悪くなると共に、冷却装置にも負荷が掛かり、糖類の使用は少ないのが好ましい。
その他所望により香料、着色剤、保存料等を使用することができる。
この最高品温が高すぎると冷流路A1の急冷却時から容器充填されるまでのエージング時間が長くなり生産効率が悪くなる。
冷流路A1の急冷却時から容器充填されるまでのエージング時間が8時間以内であるのが好ましく、より好ましくは6時間以内であり、さらに好ましくは4時間以内である。
容器充填する具体的な容器としては、ピュアパック、テトラパック、エルカートン等のカートンコンテナーやショーリーパック、バッグインボックスが挙げられる。これらの容器に充填後は出荷可能である。
これらの方法の中でも生産効率と起泡性水中油型乳化物の品質の両立という点で容器容量としては20L以下、更に10L以下の容器に充填するのが好ましい。
しかしながら、ホイップクリームのような水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化については未だに未知の部分も多く経験則による所も多い。
その中にあって、起泡性水中油型乳化物の冷却方法において、急冷後の油脂結晶化熱を含む水中油型乳化物の冷却の温度制御が重要であり、従来の静置冷却に比して槽中で撹拌することにより油脂粒子中の油脂の結晶化が進行するという知見を見出したことの技術的意義は大きいものがあると思われる。
T1(℃):冷流路A1出口の温度計によって測定した水中油型乳化物の温度とする。
T2(℃):水中油型乳化物の最高品温;冷却工程での槽中Bに取り付けた温度計、もしくはサンプリング容器に取り付けた温度計にて測定した温度とする。
T3(℃):冷流路A2出口の温度計によって測定した水中油型乳化物の温度とする。
水中油型乳化物の粘度、ボテテスト(水中油型乳化物の安定性)、平均粒子径、水中油型乳化物中の油脂結晶量を評価した。方法は以下の通りである。
粘度:B型粘度計(株式会社東京計器製)にて、2号ローター、30rpmの条件下で行った。
ボテテスト:水中油型乳化物を100ml容ビーカーに50g採り、20℃で2時間インキュベートし、その後5分間撹拌した時のボテの発生の有無を確認した。
平均粒子径:レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD−2200)を用いて、水中油型乳化物を蒸留水で測定可能範囲に希釈し測定後、データとして出力される平均値を平均粒子径とした。
水中油型乳化物中の油脂結晶量:SFC値の測定;Bruker社製、mq20 NMR Analyerより求めた。
(1)ホイップタイム:水中油型乳化物1kgをホバードミキサー(HOBART CORPORATION製 MODEL N−5)3速(300rpm)にてホイップし、最適起泡状態に達するまでの時間及び、同2速(130rpm)にて緩やかに混ぜた時間
(2)オーバーラン:[(一定容積の水中油型乳化物重量)ー(一定容積の起泡後の起泡物重量)]÷(一定容積の起泡後の起泡物重量)×100
(3)保形性:造花した起泡物を5℃及び15℃で24時間放置した場合の美しさ
四段階評価 A;良好 B;やや良好
C;やや悪い D;悪い(実用的でない)
(4)離水:上記保形性評価と同時に離水状態を評価
四段階評価 A; 無し B;殆ど無し
C; 有り D;非常に多い
風味の評価方法
起泡したクリームの口溶け、乳味感、食感を評価
(5)口溶け
五段階評価 5;良好 4;やや良好 3;可
2;やや悪い 1;悪い
(6)乳味感
五段階評価 5;良好 4;やや良好 3;可
2;やや悪い 1;悪い
(7)食感
五段階評価 5;良好 4;やや良好 3;可
2;やや悪い 1;悪い
パーム中融点油脂(融点29℃)16.5部、S2L含有油脂(融点30.5℃)3.5部にレシチン0.05部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業(株)製、商品名SYグリスターMO-3S)0.06部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水66.92部に、脱脂粉乳8.59部、デキストリン3.8部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(太陽化学(株)製、 商品名:サンソフトA−181E)0.2部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.18部、重曹0.02部、キサンタンガム0.05部、グァーガム0.03部、ミルクフレーバー0.1部を溶解し水相を調製する。
上記油相と水相を60℃で30分間調合タンクで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、6MPa の均質化圧力で均質化して、冷流路A1であるプレート冷却装置で直ちに冷却した。このときの冷却直後の品温(T1)は10.5℃であり、起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で5.7%であった。その後冷流路A1より冷却能力の低い槽中Bでの撹拌下で起泡性水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させた。槽中Bでの起泡性水中油型乳化物の最高品温(T2)は11.8℃であった。急冷時から最高品温到達時までの時間は3000秒であった。その後、冷流路A2であるプレート冷却装置で3℃(T3)に冷却し10Lショーリー袋に充填し、段ボールケースに入れて起泡性水中油型乳化物を得た。起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で、19.0%であった(水中油型乳化物の処理量は60kg)。この時の、冷流路A1であるプレート冷却から充填までの時間は、4時間であった。冷蔵6日間経過後の品温5℃での起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で20.5%であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表1に纏めた。
パーム中融点油脂(融点29℃)23.8部、硬化やし油(融点33℃)10.4部、S2L含有油脂(融点30.5℃)1.0部に卵黄油0.3部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水58.17部に、脱脂粉乳6.33部を溶解し水相を調製する。
上記油相と水相を60℃で30分間調合タンクで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、2MPa の均質化圧力で均質化して、冷流路A1であるプレート冷却装置で直ちに冷却した。このときの冷却直後の品温(T1)は10.5℃であり、起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で4.4%であった。その後冷流路A1より冷却能力の低い槽中Bでの撹拌下で起泡性水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させた。槽中Bでの起泡性水中油型乳化物の最高品温(T2)は12.2℃であった。急冷時から最高品温到達時までの時間は5760秒であった。その後、冷流路A2であるプレート冷却装置で3℃(T3)に冷却し10Lショーリー袋に充填し、段ボールケースに入れて起泡性水中油型乳化物を得た(水中油型乳化物の処理量は60kg)。 この時の、冷流路A1であるプレート冷却から充填までの時間は、4時間であった。冷蔵6日間経過後の品温5℃での起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で34.0%であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表1に纏めた。
大豆硬化油(融点31℃)17.5部、パーム硬化油(融点36℃)13.15部、ヤシ油(融点24℃)8部、バターオイル7.1部にレシチン0.30部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水48.04部に、脱脂粉乳5.46部、ショ糖飽和脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.13部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.10部、重曹0.02部、ミルクフレーバー0.2部を溶解し水相を調製する。
上記油相と水相を67℃で30分間調合タンクで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、3MPa の均質化圧力で均質化して、冷流路A1であるプレート冷却装置で直ちに冷却した。このときの冷却直後の品温(T1)は5℃であり、起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で9.9%であった。その後冷流路A1より冷却能力の低い槽中Bでの撹拌下で起泡性水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させた。槽中Bでの起泡性水中油型乳化物の最高品温(T2)は10.8℃であった。急冷時から最高品温到達時までの時間は2400秒であった。その後、冷流路A2であるプレート冷却装置で3℃(T3)に冷却し10Lショーリー袋に充填し、段ボールケースに入れて起泡性水中油型乳化物を得た(水中油型乳化物の処理量は60kg)。この時の、冷流路A1であるプレート冷却から充填までの時間は、2時間であった。冷蔵6日間経過後の品温5℃での起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で25.5%であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表1に纏めた。
パーム核油(融点28℃)20.4部、パーム硬化油(融点31℃)5部、硬化パーム核油(融点38℃)5部にレシチン0.25部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業(株)製、商品名SYグリスターMO−3S)0.01部を添加混合溶解し油相とする。
これとは別に水65.25部に、脱脂粉乳3.4部、ショ糖飽和脂肪酸エステル(三菱化学フーズ(株)製、 商品名:S−570)0.12部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(坂本薬品工業(株)製、商品名SYグリスターMS −5S)0.05部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.2部、重曹0.02部、グァーガム0.05部、キサンタンガム0.05部、ミルクフレーバー0.2部を溶解し水相を調製する。
上記油相と水相を65℃で30分間調合タンクで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、4MPa の均質化圧力で均質化して、 冷流路A1であるプレート冷却装置で直ちに冷却した。このときの冷却直後の品温(T1)は11℃であり、起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で3.0%であった。その後冷流路A1より冷却能力の低い槽中Bでの撹拌下で起泡性水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させた。槽中Bでの起泡性水中油型乳化物の最高品温(T2)は13.8℃であった。急冷時から最高品温到達時までの時間は660秒であった。その後、冷流路A2であるプレート冷却装置で3℃(T3)に冷却し10Lショーリー袋に充填し、段ボールケースに入れて起泡性水中油型乳化物を得た。起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で20.2%であった(水中油型乳化物の処理量は60kg)。この時の、冷流路A1であるプレート冷却から充填までの時間は、6時間であった。冷蔵6日間経過後の品温5℃での起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で21.9%であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表1に纏めた。
実施例4の配合において65℃で30分間調合タンクで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、4MPa の均質化圧力で均質化して、冷流路A1であるプレート冷却装置で直ちに冷却した。このときの冷却直後の品温(T1)は11℃であり、起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で3.0%であった。その後冷流路A1より冷却能力の低い槽中Bでの撹拌下で起泡性水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させた。槽中Bでの起泡性水中油型乳化物の最高品温(T2)は13.8℃であった。急冷時から最高品温到達時までの時間は660秒であった。その後冷却し10Lショーリー袋に充填し、段ボールケースに入れて起泡性水中油型乳化物を得た。起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で、21.7%であった(水中油型乳化物の処理量は60kg)。この時の、冷流路A1であるプレート冷却から充填までの時間は、10時間であった。冷蔵6日間経過後の品温5℃での起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で23.1%であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表2に纏めた。
実施例1の配合において60℃で30分間調合タンクで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、6MPa の均質化圧力で均質化して、冷流路A1であるプレート冷却装置で直ちに冷却した。このときの冷却直後の品温(T1)は10.5℃であり、起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量はSFC値で、5.7%であった。その後冷流路A1より冷却能力の低い槽中Bでの撹拌下で起泡性水中油型乳化物の油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させた。槽中Bでの起泡性水中油型乳化物の最高品温(T2)は11.8℃であった。急冷時から最高品温到達時までの時間は3000秒であった。その後冷却し10Lショーリー袋に充填し、段ボールケースに入れて起泡性水中油型乳化物を得た。起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で、23.2%であった(水中油型乳化物の処理量は60kg)。 この時の、冷流路A1であるプレート冷却から充填までの時間は、12時間であった。冷蔵6日間経過後の品温5℃での起泡性水中油型乳化物中の油脂結晶量は、SFC値で23.8%であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表2に纏めた。
実施例1の配合において、油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、5MPa の均質化圧力で均質化して、直ちに25℃に冷却した。冷却工程における冷却時の品温は25.0℃であり、その後の品温上昇は観察されなかった。冷却して起泡性水中油型乳化物を得た(水中油型乳化物の処理量は10kg)。
そして、急冷時から最終冷却品温5℃までの時間は8時間であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表2に纏めた。
実施例1の配合において、油相と水相を65℃で30分間ホモミキサーで撹拌し予備乳化した後、超高温滅菌装置(岩井機械工業(株)製)によって、144℃において4秒間の直接加熱方式による滅菌処理を行った後、5MPa の均質化圧力で均質化して、直ちに5℃に冷却した。冷却後5℃の冷蔵庫にて1時間保持したクリームを15℃にて1時間一時的加温処理した。一時的加温処理後再び5℃の冷蔵庫にて冷却して起泡性水中油型乳化物を得た(水中油型乳化物の処理量は10kg)。
そして、急冷時から最終冷却品温5℃までの時間は10時間であった。
この起泡性水中油型乳化物1kgに80gのグラニュー糖を加えて上記ホイップ方法にてホイップし、上記の方法に従いオーバーラン、保形性、離水の測定を行った。またホイップしたクリームの口溶け、乳味感、食感の評価を行った。これらの結果を表2に纏めた。
Claims (4)
- 油脂、乳蛋白質及び水を含み、水の量が48.04〜66.92重量%の水中油型乳化物であって、殺菌又は滅菌処理後、水中油型乳化物の品温を5℃/分以上に低下可能な能力で、冷媒の温度が0℃以上である冷流路A1で水中油型乳化物の品温を3〜13℃に急冷し、その後冷却能力が水中油型乳化物の品温を5℃/分未満に低下可能な能力で、冷媒の温度が0℃以上で、タンク内での攪拌を伴うものである槽中Bでの撹拌下で水中油型乳化物の最高品温を((急冷時の品温)+(0〜8℃))に温度制御し、油脂粒子中の油脂の結晶化を促進させ、その後更に水中油型乳化物を冷流路A2で冷却し、当該冷却が水中油型乳化物の品温を1〜7℃に冷却する、起泡性水中油型乳化物の製造法。
- 冷流路A1の冷却時から容器充填されるまでのエージング時間が8時間以内である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法。
- 水中油型乳化物の油脂分が10〜50重量%である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法。
- 水中油型乳化物の油脂粒子の平均粒子径が0.8〜3.0μmの範囲である、請求項1記載の起泡性水中油型乳化物の製造法。
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