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JP2012019766A - チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物 Download PDF

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JP2012019766A
JP2012019766A JP2010162126A JP2010162126A JP2012019766A JP 2012019766 A JP2012019766 A JP 2012019766A JP 2010162126 A JP2010162126 A JP 2010162126A JP 2010162126 A JP2010162126 A JP 2010162126A JP 2012019766 A JP2012019766 A JP 2012019766A
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foamable
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Tamio Arishima
民男 有島
Toshihide Isobe
敏秀 磯部
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Kaneka Corp
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Kaneka Corp
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Abstract

【課題】 従来の保型性を維持しながら、食した際に綿飴の如く極めて口溶けが良好であるチルド流通用のホイップドクリームを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供すること。
【解決手段】 油脂含量が20〜40重量%の起泡性水中油型乳化油脂組成物であって、油相部の油脂全体中、構成脂肪酸の総炭素数が36と38のトリグリセライドの合計量が40重量%以上であり且つ上昇融点が30℃以上である油脂(A)の含有量が10〜40重量%であり、15℃のSFCが40〜70%であるラウリン系油脂である油脂(B)の含有量が20〜80重量%であり、油相部の油脂全体中油脂(A)と油脂(B)の合計量が60〜100重量%であり、油相部にHLBが0〜5の主要構成脂肪酸がベヘン酸である乳化剤を起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.005〜0.1重量%含有する起泡性水中油型乳化油脂組成物をチルド流通ホイップドクリーム用として用いること。
【選択図】なし

Description

本発明は、チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。
従来、製菓、デザート用途のホイップドクリームは、牛乳から分離して製造される天然の生クリームが用いられてきたが、コスト的に安価であり、物性、特にホイップ前の原液の保存安定性、ホイップ時の作業性、ホイップ後の作業性などが優れていることから、乳脂肪の一部を植物性油脂に置き換えたコンパウンドタイプや油脂全てを植物性油脂とした純植物性タイプなどのホイップドクリームが開発され、それが主流となりつつある。それら植物性油脂を用いたホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物は、植物性油脂を組み合わせ、更に乳化剤、増粘剤などの改良剤を用いて乳化することで製造できることから、それら原料、特に油脂組成によってホイップドクリームの食感及び物性を大きく変更させることが可能である。昨今では、特にライトな食感を好む傾向にあり、口溶け感に重点が置かれている。
ヤシ油やパーム核油などのラウリン系油脂は、口溶けなどがシャープで冷感を感じやすいSFCが縦型の油脂であり、それらの硬化油と共にホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物に用いられ、主に低油分のライトクリームに使用されている。しかし、従来の硬化油脂を含むホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物は、硬化によって生じる高融点成分を含有するために舌上で溶け難く、食感が悪化する。
上記の問題を解決することを目的に、例えば、油相部中に油脂としてパーム核油分別高融点部を含有する水中油型乳化油脂組成物を用いることにより、十分な耐熱保形性を有し、かつ口溶けが良好な凍結用ホイップクリーム(特許文献1)があるが、パーム核油分別高融点部の配合量が多くチルド流通用途での口溶け感は不十分である。また、水分量が55〜73重量%であり、油脂分が25〜43重量%であって、油脂中の55重量%以上が10℃におけるSFCが65〜98%の範囲のラウリン系油脂であり、ホイップさせた状態もしくはこれをケーキ等にデコレーションした状態で凍結保存し解凍しても、型崩れまたはひび割れあるいは組織の荒れあるいは変色、風味劣化が起こすことなく、優れた風味の凍結耐性を有する起泡性水中油型乳化物があるが(特許文献2)、硬化油が使用されているために食感として不十分である。また、油脂の総炭素数を規定することで常温域(約15〜35℃)において良好な保形性を有し、口溶け性が良好で、常温保管時の経時的乳化安定性に優れ、常温保管時にも起泡済水中油型乳化脂が硬くなることのない優れた常温流通型起泡済水中油型乳化脂を与える起泡性水中油型乳化脂用油脂組成物があるが(特許文献3)、チルド流通用途としては口溶けが重く、不十分なものあった。
特開2006−304713号公報 特開2009−50235号公報 特開2007−282535号公報
本発明の目的は、従来の保型性を維持しながら、食した際に綿飴の如く極めて口溶けが良好であるチルド流通用のホイップドクリームを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高融点油脂として硬化油脂ではなく、ある特定の総炭素数である上昇融点30℃以上の油脂と特定のSFCであるラウリン系油脂を油相部に配合し、更にHLBが0〜5の主要構成脂肪酸がベヘン酸である特定の乳化剤を併用することにより食した際に綿飴の如く極めて口溶けが良好であるホイップクリームを作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、油脂含量が20〜40重量%の起泡性水中油型乳化油脂組成物であって、油相部の油脂全体中、構成脂肪酸の総炭素数が36と38のトリグリセライドの合計量が40重量%以上であり且つ上昇融点が30℃以上である油脂(A)の含有量が10〜40重量%であり、15℃のSFCが40〜70%であるラウリン系油脂である油脂(B)の含有量が20〜80重量%であり、油相部の油脂全体中油脂(A)と油脂(B)の合計量が60〜100重量%であり、油相部にHLBが0〜5の主要構成脂肪酸がベヘン酸である乳化剤を起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.005〜0.1重量%含有するチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、油脂(A)がパーム核ステアリンである上記記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物に関する。より好ましくは、0〜10℃で冷蔵保管した時の結晶化率が45〜90重量%である上記記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物、更に好ましくは、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、油相部にレシチンを0.02〜0.5重量%含有する上記記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物、特に好ましくは、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、水相部にホエー蛋白質を0.05〜5重量%含有する上記記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物、に関する。本発明の第二は、上記記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物を含んでなるホイップドクリームに関する。
本発明に従えば、従来の保型性を維持しながら、食した際に綿飴の如く極めて口溶けが良好であるチルド流通用のホイップドクリームを作製するための起泡性水中油型乳化油脂組成物を提供することが可能となる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、特定の油脂含量であり、特定の組成且つ上昇融点である油脂(A)と、特定のSFC(固体脂含量)であるラウリン系油脂からなる油脂(B)とを特定量有し、さらに油相部に特定のHLBで構成脂肪酸が特定の乳化剤を特定量有する。なお、該起泡性水中油型乳化油脂組成物は、チルド流通ホイップドクリーム用として用いる場合に、より効果を享受できる。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中の油脂含量は、20〜40重量%が好ましい。20重量%より少ないとホイップしにくい場合があり、40重量%より多いと食した際に所望する口溶け感が悪化する場合がある。
本発明の油脂(A)は、上昇融点が30℃以上であり且つ構成脂肪酸の総炭素数が36と38のトリグリセライドの合計量が油脂(A)全体中40重量%以上である。なお、前記油脂の上昇融点の測定は、基準油脂分析法2.2.4.2融点に準じて測定すれば良い。なお、油脂(A)としては、パーム核ステアリンの使用が好ましい(表1参照)。
Figure 2012019766
前記油脂(A)の含有量は、起泡性水中油型乳化油脂組成物の油相部の油脂全体中10〜40重量%であることが好ましい。10重量%より少ないと、ホイップドクリームとして十分な保型性が得られない場合があり、40重量%より多いと、所望する良好な口溶け感が低下する場合がある。
本発明の油脂(B)は、15℃のSFCが40〜70%のラウリン系油脂である。SFCが40%より低いと、ホイップ時に十分な保型性が得られない場合があり、70%より高いと、所望する良好な口溶け感が低下する場合がある。油脂(B)の含有量は、油相部の油脂全体中20〜80重量%であることが好ましい。20重量%より少ないと、所望する良好な口溶け感が得られない場合があり、80重量%より多いと、ホイップ時に十分な保型性が得られない場合がある。ここでSFCの測定は、基準油脂分析試験法2.2.9固体脂含量(NMR法)に準拠すればよい。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物において、油脂(B)が多くなると油脂(A)は少なくて良く、油脂(A)と油脂(B)の合計含有量は、油相部の油脂全体中60〜100重量%が好ましい。60重量%より少ないと、所望する良好な口溶け感が得られない場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の油相部には、HLBが0〜5で且つ主要構成脂肪酸がベヘン酸である乳化剤を含有することが好ましい。該乳化剤の構成脂肪酸全体中のベヘン酸の量は、50重量%以上である。また該乳化剤の含有量は、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中全体中0.005〜0.1重量%が好ましい。0.005重量%より少ないと、結晶化が不十分となり良好なオーバーランや硬さが得られない場合があり、0.1重量%より多いと、所望する良好な口溶け感が得られない場合がある。ベヘン酸が主要構成脂肪酸である乳化剤としては、特に限定はないが、グリセリン脂肪酸モノエステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルであることが好ましい。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の水相部及び/又は油相部には、ポリグリセリン脂肪酸エステルを合計で起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.1〜3重量%含有することが好ましい。0.1重量%より少ないと、乳化安定性が低下し原液の保管時に固化が生じたり、十分なホイップ性が得られない場合があり、3重量%より多いと、ホイップ時に十分なオーバーランが得られなかったり、風味、食感が悪化する場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の油相部には、起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中全体中0.02〜0.5重量%のレシチンを含有することが好ましい。0.02重量%より少ないと、ホイップ時に十分なオーバーランが得られない場合があり、0.5重量%より多いと、乳化安定性が低下し、原液の保管時に固化が生じたり、十分なホイップ性が得られない場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の結晶化率とは、BRUKER製minispecシリーズ「mq20 NMR Analyzer」(解析ソフト:BRUKER the MINISPEC)を用いて、本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の油相部を抽出せずに原液のままで測定した値から、油相部の油脂を曇点が0℃未満のサラダ油とした以外は同配合の起泡性水中油型乳化油脂組成物を原液のままで測定した値を引いた値を、測定した起泡性水中油型乳化油脂組成物の油分(重量%)で割って算出できる起泡性水中油型乳化油脂組成物の油相中の油脂結晶量(%)のことである。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、冷蔵条件下(設定温度2〜5℃)で少なくとも3日間保管した時の結晶化率が45〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは55〜80重量%である。結晶化率が上記範囲であると、オーバーランも十分となり、食した際に綿飴の如く極めて口溶けが良好であるホイップクリームとなる。結晶化率が45重量%未満の場合は、オーバーランが不十分であり口溶け感が低下したり、ホイップ後の硬さが軟らかく保型性が得られない場合がある。また結晶化率が90重量%を越えると、十分なオーバーランが得られず口溶け感が低下する場合がある。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造例を、特に限定するわけではないが以下に例示する。
本発明における起泡性水中油型乳化油脂組成物は、前記油脂と前記乳化剤を用いれば、それ以外の配合に限定は無く、通常のホイップクリームの配合物、例えば、乳原料、乳化剤、塩類、糖類、増粘剤、香料、着色料などを使用して、常法に従って製造することができる。常法に従うとは、例えば60℃に加熱した水相に当該原材料を溶解し、同様に60℃に加熱した油相に当該原材料を溶解、混合し、予備乳化を行なった後に、UHT殺菌などを用いて殺菌後、均質化を行い、5〜10℃に冷却すれば、目的の水中油型乳化油脂組成物を得ることができる。
前記乳原料は、起泡性水中油型乳化油脂組成物の水相部に含有され、例えば、牛乳、脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、バターミルク、バターミルクパウダー、ホエー蛋白質、濃縮ホエー、ホエーパウダー、生クリーム、加糖練乳、無糖練乳、バター、チーズ、カゼイン蛋白質、カゼインナトリウム、UF膜やイオン交換樹脂処理などにより分離、分画した乳蛋白質などが挙げられ、ホイップ性を充分に保つためには、ホエー蛋白質を含有させることが好ましい。
前記においてホエー蛋白質は、純分として起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.05〜5重量%含有することが好ましい。0.05重量%より少ないと、乳化安定性が低下し十分なホイップ性が得られない場合があり、5重量%より多いと、起泡性水中油型乳化油脂組成物製造中、加熱ラインで焦げなどが発生しやすくなり、製造面において問題が生じる場合がある。ここで言うところのホエー蛋白質とは、チーズの製造時に生じるホエー分や限外濾過などから得られるラクトアルブミン、ラクトグロブリンなどのカゼイン蛋白を除いた乳蛋白質のことであり、蛋白含量80%のものが一般的で、好適である。
前記乳化剤としては、HLBが0〜5で且つ主要構成脂肪酸がベヘン酸である乳化剤やレシチン以外に、更に別の食品用の乳化剤であれば適宜配合しても特に問題はない。
前記塩類としては、食品用途に用いられるものであれば特に限定はないが、例えばリン酸のナトリウム塩、カリウム塩、又はクエン酸のナトリウム塩などを挙げることができる。
前記糖類としては、例えば、上白糖、三音糖、グラニュー糖、ざらめ糖、加工糖、液糖などの砂糖類、水あめ、ブドウ糖、異性化糖、果糖、麦芽糖、乳糖などの糖類、還元水あめ、還元麦芽糖水あめなどの糖アルコール類などを使用できる。
前記増粘剤としては、例えば、グアーガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン類、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ジェランガム、ローカストビーンガム、アラビアガム、CMCなどを挙げることができる。
前記香料、着色料としては、適宜使用され、通常食品用途に使用されるものであれば特に限定はない。
本発明の起泡性水中油型乳化油脂組成物は、ホイップ後にチルド領域で長時間保管してもクリームが硬くなりにくく、チルド流通に好適な従来の保型性を維持できるため、該起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドクリームは、チルド流通に好適であり、また食した際に綿飴の如く極めて口溶けが良好である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<結晶化率の測定方法>
実施例・比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物の原液1.5gをNMR管に入れて、所定の条件で保持した後にBRUKER製minispecシリーズ「mq20 NMR Analyzer(解析ソフト:BRUKER the MINISPEC)」で測定した値(x)を得た。また、起泡性水中油型乳化油脂組成物の油相部の油脂を曇点が0℃未満のサラダ油(ナタネ油)のみとした以外は、測定する起泡性水中油型乳化油脂組成物と同配合で作製した起泡性水中油型乳化油脂組成物の原液1.5gを所定の条件で保持した後に前記Analyzerで測定した値(y)を得た。そして以下の式に従って、結晶化率(%)を算出した。
結晶化率=(x−y)/起泡性水中油型乳化油脂組成物試料中の油分(重量%)×100
<ホイップ方法>
実施例・比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を4kg、グラニュー糖320gをカントーミキサー(CS型20:関東混合機工業株式会社製)に入れ、高速攪拌条件(450rpm)でホイップし、状態を確認しながら、液状、表面の状態、硬さにより最適点でホイップを停止した。
<食感の評価方法>
食感の官能評価は、実施例と比較例で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物をホイップしたものを熟練した専門パネラー10名に試食をしてもらい、評価結果を集約した。その際の評価基準は以下の通りであった。◎:口溶けが非常に良好、○:口溶け良好、△:やや食感が重たく、口溶けが悪い、×:非常に食感が重たく、口溶けが非常に悪い。
<オーバーランの測定方法>
オーバーランとは、ホイップ性の指標となるものであり、ホイップした起泡性水中油型乳化油脂組成物に含まれる空気の割合を%で示すもので、下記の式で求めた。その際、オーバーランの値によって、以下の基準で評価した。◎:120%以上(最良)、○:110%以上且つ120%未満(良)、△:100%以上且つ110%未満(可)、×:100%以下(不可)。
オーバーラン(%)=[(一定容積の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量)−(一定容積のホイップ後の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量)]÷(一定容積のホイップ後の起泡性水中油型乳化油脂組成物の重量)×100
<ホイップ直後の起泡性水中油型乳化油脂組成物の硬さの評価>
ホイップした直後に、起泡性水中油型乳化油脂組成物を直径50mm、深さ20mmの円柱状の容器に入れた後、クリープメーター「RE2−33005S(株式会社山電製)」を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、10mm深度、速度5mm/秒、測定回数1回でホイップ直後の硬さを測定した。その際、以下の基準で評価した。
◎:0.3N以上且つ0.35N未満(最良)、
○:0.25N以上且つ0.3N未満、
或いは0.35N以上且つ0.4N未満(良)、
△:0.2N以上且つ0.25N未満、
或いは0.4N以上且つ0.45N未満(可)、
×:0.2N未満、或いは0.45N以上(不可)。
<構成脂肪酸の総炭素数の測定法>
構成脂肪酸の総炭素数は基準油脂分析試験法2.4.6.1トリアシルグリセリン組成に準じてガスクロマトグラフィー「6890N Network GS System(Agilent Technologies社製)」を用いて測定した。
(製造例1) エステル交換油の作製
エステル交換油は、下記の方法で作製を行なった。パーム油50重量部、パーム核オレイン50重量部の原料油脂を反応容器に仕込み、減圧下で攪拌しながら加熱を行い、90℃、30mmHgに達するまで脱水を行なった。次に、ナトリウムメチラートを原料油脂100重量部に対して0.1重量部加え、窒素気流中で攪拌しながら、90℃で30分間反応を行なった。その後、油脂原料と同量の温水(約70℃)を加えて洗浄を実施した。洗浄した水のpHが8になるまで繰り返し温水で洗浄を実施した後、減圧下攪拌しながら加熱し90℃、30mmHgに達するまで脱水を行なった。次に活性白土を原料油脂100重量部に対して2重量部加え、減圧下攪拌して30分間脱色反応を行なった後に全量ろ過を行い、活性白土の除去を行なった。最後に250℃、2mmHgで60分間脱臭を行い、エステル交換油を得た。
(製造例2) 結晶化率測定用起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表2に示す配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、油相部の油脂30重量部を60℃に加温後、大豆レシチン0.2重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=4.5)0.05重量部、ベヘン酸ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=2.3)0.05重量部を溶解して油相部とした。一方、60℃の温水64.37重量部にキサンタンガム0.01重量部、グアーガム0.05重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=11.6)0.15重量部、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.07重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB=11)0.05重量部を溶解、更に脱脂粉乳4.5重量部、ホエイ蛋白質0.5重量部を溶解して水相部とした。上記、水相と油相を混合し、60℃で20分間攪拌して予備乳化液とした。この乳化液を直接蒸気注入式滅菌機にて、142℃で4秒間滅菌処理を行なった後、6.0MPaで均質化処理した後にプレート式の冷却装置にて最終温度を5℃まで冷却し、容器に充填して起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、実施例1、比較例4,5,7で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物と同じ条件で保持した後、前記「結晶化率の測定方法」に従って測定値(y)を得た。測定値(y)は1.1であった。
Figure 2012019766
(製造例3) 結晶化率測定用起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表2に示す配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、ベヘン酸ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=2.3)の量と、水量を変えた以外は、製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、実施例2で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物と同じ条件で保持した後、前記「結晶化率の測定方法」に従って測定値(y)を得た。測定値(y)は1.1であった。
(製造例4) 結晶化率測定用起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表2に示す配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、ベヘン酸ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=2.3)を添加せず、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=4.5)の量を変えた以外は、製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、比較例1,3で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物と同じ条件で保持した後、前記「結晶化率の測定方法」に従って測定値(y)を得た。測定値(y)は1.1であった。
(製造例5) 結晶化率測定用起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表2に示す配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、ベヘン酸ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB=2.3)の量と、水量を変えた以外は、製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、比較例2で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物と同じ条件で保持した後、前記「結晶化率の測定方法」に従って測定値(y)を得た。測定値(y)は1.0であった。
(製造例6) 結晶化率測定用起泡性水中油型乳化油脂組成物の作製
表2に示す配合に従って、起泡性水中油型乳化油脂組成物を作製した。即ち、油相部の油脂含量と、水量を変えた以外は、製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物を、比較例6で得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物と同じ条件で保持した後、前記「結晶化率の測定方法」に従って測定値(y)を得た。測定値(y)は1.1であった。
(実施例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物1の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物1を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物1を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ74.3%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物1を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(実施例2) 起泡性水中油型乳化油脂組成物2の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例3と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物2を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物2を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、76%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物2を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例1) 起泡性水中油型乳化油脂組成物3の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例4と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物3を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物3を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、42.3%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物3を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例2) 起泡性水中油型乳化油脂組成物4の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例5と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物4を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物4を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、93.7%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物4を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例3) 起泡性水中油型乳化油脂組成物5の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例4と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物5を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物5を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、43.3%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物5を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例4) 起泡性水中油型乳化油脂組成物6の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物6を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物6を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、92.3%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物6を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例5) 起泡性水中油型乳化油脂組成物7の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物7を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物7を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、93.7%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物7を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例6) 起泡性水中油型乳化油脂組成物8の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物8を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物8を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、71.4%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物8を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
(比較例7) 起泡性水中油型乳化油脂組成物9の作製と評価
表2に示す配合に従って、油相部の油脂配合を変更した以外は製造例2と同様にして起泡性水中油型乳化油脂組成物9を得た。得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物9を5℃(設定値)で4日間保持した後、前記方法で該乳化油脂組成物中の油脂の結晶化率を求めたところ、90.7%であった。次に得られた起泡性水中油型乳化油脂組成物9を上記記載の方法にてホイップを行なった後に食感、オーバーラン、硬さの評価を実施し、その結果を表2にまとめた。
以上の結果より、実施例の起泡性水中油型乳化油脂組成物は何れも、オーバーラン及びホイップ直後の硬さが良好であることから従来の保型性を維持できており、更に食した際に綿飴の如く非常に口溶けが良い。一方比較例においては、比較例1,2,3以外の起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドクリームは口溶けが悪く所望した食感とはなっておらず、比較例1,3の起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドクリームは、口溶けは良かったもの、十分なオーバーランとホイップ直後の硬さが得られず、軟らかく十分な保型性が得られず、また比較例2の起泡性水中油型乳化油脂組成物を用いたホイップドクリームは、やや口溶け感が重たく、十分なオーバーランが得られず、ホイップ直後の硬さも硬すぎるために作業性の悪いものであった。

Claims (6)

  1. 油脂含量が20〜40重量%の起泡性水中油型乳化油脂組成物であって、油相部の油脂全体中、構成脂肪酸の総炭素数が36と38のトリグリセライドの合計量が40重量%以上であり且つ上昇融点が30℃以上である油脂(A)の含有量が10〜40重量%であり、15℃のSFCが40〜70%であるラウリン系油脂である油脂(B)の含有量が20〜80重量%であり、油相部の油脂全体中油脂(A)と油脂(B)の合計量が60〜100重量%であり、油相部にHLBが0〜5の主要構成脂肪酸がベヘン酸である乳化剤を起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中0.005〜0.1重量%含有するチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  2. 油脂(A)がパーム核ステアリンである請求項1に記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  3. 0〜10℃で冷蔵保管した時の結晶化率が45〜90重量%である請求項1又は2に記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  4. 起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、油相部にレシチンを0.02〜0.5重量%含有する請求項1〜3何れかに記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  5. 起泡性水中油型乳化油脂組成物全体中、水相部にホエー蛋白質を0.05〜5重量%含有する請求項1〜4何れかに記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物。
  6. 請求項1〜5何れかに記載のチルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物を含んでなるホイップドクリーム。
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