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JP5891991B2 - ヒンジ装置及び該ヒンジ装置を用いた電子機器 - Google Patents

ヒンジ装置及び該ヒンジ装置を用いた電子機器 Download PDF

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Description

本出願は、本体部の筐体に対してディスプレイ部の筐体を開閉するのに使用されるヒンジ装置及びヒンジ装置を用いた電子機器に関する。
ノートパソコンのような本体部とディスプレイ部とを備える電子機器では、ディスプレイ部の筐体が本体部の筐体にヒンジ装置で開閉可能に連結されており、ヒンジ装置は2つの筐体の開閉の中心となる部分に設けられている(特許文献1,2参照)。そして、電子機器を使用しない時には、ヒンジ装置によってディスプレイ部を閉じて本体部に重ね合わせることにより、電子機器をコンパクトにできる。
ヒンジ装置は一般に、一方の筐体に取り付けるブラケットと、他方の筐体に取り付けられるヒンジ軸とを備えており、ブラケットにヒンジ軸が回動自在に保持さるようになっている。本体部とディスプレイ部とを備える電子機器では、ヒンジ軸をブラケットに対して回転させることにより、ディスプレイ部を本体部に対して開閉できるようになっている。このヒンジ装置は電子機器の外観上目立つ部分であるので、ヒンジカバーを用いてヒンジ装置を覆い、美観を維持すると共に、ヒンジ装置に誤って指を挿入することによる怪我を防止している。このようなヒンジ装置を覆うカバーの設置方法にはいろいろ趣向が施されている。
その中で、ヒンジ装置のヒンジ軸自体を本体部の筐体の奥側の側面の外側に配置して、ヒンジ装置をディスプレイ部を開閉する側から隠すことにより、ユーザーからヒンジ装置を見えなくする手法がある。ところが、この手法を採用した場合でも、ヒンジ装置は本体部の筐体の奥側の側面の外側に露出するので、ユーザーが本体部の後ろ側に手を回した時に、ヒンジ装置に誤って指を挿入しないようにするために、ヒンジ装置を覆うヒンジカバーが必要である。一方、ヒンジ装置を本体部の筐体の奥側に隠す構造では、ディスプレイ部をヒンジ装置に接続する構造が複雑になり、ヒンジカバー部材も複雑になる。
特開2011−58607号公報
特開2008−250635号公報
ヒンジ装置をディスプレイ部を開閉する側から隠す構造を採用する電子機器では、ヒンジ装置のヒンジ軸を隠すヒンジカバーは、本体部の筐体の奥側に設けられる。そして、ヒンジカバーをネジで本体部の筐体に止める構造とすると、ネジを外すとヒンジカバーが外れる。この構造では、ディスプレイ部の保守を行う場合、ディスプレイ部を閉じた状態でネジを外し、そのままディスプレイ部を開いてディスプレイ部の正面カバーを外す手順となる。ディスプレイ部の保守が終了して、ディスプレイ部を本体部に取り付ける場合の組み立ては逆手順となる。
ところが、ヒンジカバーをネジで本体部の筐体に固定している場合、装置を開閉する際にヒンジカバーが脱落する虞がある。このため、仮にヒンジカバーを外してディスプレイ部の正面カバーを取り外すことはできても、正面カバーをディスプレイ部に取り付けてディスプレイ部を本体部に連結する組立工程が大変困難となる。
そこで、ヒンジカバーをヒンジカバーに設けた爪部材で電子機器の本体部の筐体に固定することが考えられる。しかし、ヒンジカバーを爪部材で電子機器の本体部の筐体に固定する場合は、ディスプレイ部の正面カバーの解体時にはヒンジカバーが本体部から外れ易いという課題がある。また、電子機器をユーザーが使用中にヒンジカバーが誤って本体部から外れないようヒンジカバーを作ると、ヒンジカバーの構造が複雑になってしまう。
1つの側面では、本出願は、電子機器の本体部とディスプレイ部とを連結するヒンジ装置において、ユーザー使用時には誤ってヒンジカバーが外れず、ディスプレイ部の保守時にはディスプレイ部の正面カバーを外す際に簡単にヒンジカバーを外すことが可能なヒンジ装置及び該ヒンジ装置を用いた電子機器を提供することを目的としている。
1つの態様によれば、本出願は、第1の筐体と表示器の正面カバーを備える第2の筐体の間に設けられ、第1の筐体に対して第2の筐体を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、第1の取付部と回転軸の回転保持部を備え、第1の取付部が一方の筐体の端部に固着される少なくとも2つのブラケットと、第2の取付部と回転軸とを備え、第2の取付部が他方の筐体の端部に固着され、回転軸が回転保持部に保持されるヒンジ軸部材と、ヒンジ軸部材の回転軸がブラケットの回転保持部に保持された状態で、回転軸にその軸方向にスライド可能に取り付けられて、回転軸及び回転保持部をカバーするヒンジカバーとを備え、ヒンジカバーには、回転軸への取り付け後のスライドによって、第2の筐体に係合して、ヒンジカバーを回転軸から外れなくする係止爪と、係止爪の係合状態で第2の筐体方向に開口する空隙部があり、正面カバーには、ヒンジカバーの係止爪が係合状態の時に第2の筐体に取り付けると、空隙部内に挿入される突片が設けられており、ヒンジカバーは、正面カバーが取り付けられた状態では、突片により軸方向への移動が阻止されることを特徴とするヒンジ装置である。
別の態様によれば、本出願は、第1の筐体と表示器の正面カバーを備える第2の筐体の間に設けられ、第1の筐体に対して第2の筐体を開閉可能に連結するヒンジ装置を用いた電子機器である。
(a)は本出願のヒンジ装置により連結された本体部とディスプレイ部を備える電子機器の外観を示す斜視図、(b)は本出願の従来のヒンジ装置を備えた電子機器の外観を示す斜視図である。 (a)は本出願のヒンジ装置を形成するヒンジユニットの一例を示す斜視図、(b)は(a)に示したヒンジユニットを用いてディスプレイ部と本体部とを連結する実施例を示す分解斜視図である。 (a)は図2に示したヒンジ装置を備えた図1(a)の電子機器を底面側から見た斜視図、(b)は(a)のA部の部分拡大図に本出願のヒンジ装置に使用するヒンジカバーを加えた組立斜視図である。 (a)は図3(b)に示したヒンジカバーを電子機器のヒンジ装置に取り付けた状態を示す図3(b)と同じ部位を示す部分拡大斜視図、(b)はヒンジ装置にヒンジカバーが取り付けられた状態の電子機器を背面から見た背面図である。 (a)は図4(b)に示した電子機器の背面左側に使用されるヒンジカバーを正面側から見た斜視図、(b)は(a)に示したヒンジカバーを背面側から見た斜視図、(c)は図4(b)に示した電子機器の背面右側に使用されるヒンジカバーを正面側から見た斜視図、(d)は(c)に示したヒンジカバーを背面側から見た斜視図である。 図1(a)に示した電子機器の本出願のヒンジ装置に使用される正面カバーの一実施例の構造を示す斜視図である。 (a)は図1(a)に示した電子機器のディスプレイ部に取り付けられたヒンジ装置にヒンジカバーを装着する前の段階の状態を示す部分拡大斜視図、(b)は(a)に示したヒンジカバーをヒンジ装置に装着した状態を示す部分拡大斜視図、(c)は(b)のB−B線におけるヒンジカバーとディスプレイ部の筐体との結合状態を示す概略断面図である。 (a)は図7(b)の状態からヒンジカバーをヒンジ装置の回転軸に沿ってスライドさせてディスプレイ部の筐体に係止させた状態を示す部分拡大斜視図、(b)は(a)のC−C線におけるヒンジカバーとディスプレイ部の筐体との結合状態を示す概略断面図、(c)は(b)に示したディスプレイ部に正面カバーを取り付ける過程を示す部分拡大組立斜視図である。 (a)は図8(c)に示した正面カバーをディスプレイ部に取り付けた状態を示す部分拡大斜視図、(b)は(a)のD−D線におけるヒンジカバーとディスプレイ部の筐体との結合状態を示す概略断面図、(c)は(a)、(b)に示した正面カバーに突設された突片の貫通孔にネジを螺着させた状態を示す部分拡大斜視図、(d)は(c)のE−E線におけるヒンジカバーとディスプレイ部の筐体との結合状態を示す概略断面図である。 (a)はヒンジ装置と正面カバーが装着された本出願のディスプレイ部単体の外観を示す斜視図、(b)は図4(a)、(b)に示した本出願のヒンジ装置を備えた電子機器におけるヒンジカバーの位置を示す部分断面図である。
以下、添付図面を用いて本出願の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。
図1(a)は本出願のヒンジ装置4を備えた電子機器10の外観を示す斜視図である。電子機器10には、入力キー5を備えた本体部1と、表示器を備えたディスプレイ部2がある。ディスプレイ部2には表示器を保護する正面カバー3が取り付けられている。ディスプレイ部2はヒンジ装置4によって本体部1の上に折畳むことができる。本出願が対象とする電子機器10に設置されたヒンジ装置4は、ディスプレイ部2を本体部1に対して開閉する場合に、電子機器10のユーザーからは見えない位置にある。
これに対して、図1(b)は従来のヒンジ装置54を備えた電子機器50の外観を示す斜視図である。電子機器50には、入力キー55を備えた本体部51と、表示器を備えたディスプレイ部52がある。ディスプレイ部52には表示器を保護する正面カバー53が取り付けられている。ディスプレイ部52はヒンジ装置54によって本体部51の上に折畳むことができる。電子機器50に設置されたヒンジ装置54は、ヒンジ装置54の回転軸(ヒンジ軸)が本体部51の上側にあるので、ヒンジ装置54が電子機器50のユーザーから見えるように設けられている。
図2(a)は、電子機器10に用いられるヒンジ装置4として用いられるヒンジユニット4Uの一実施例を示す斜視図である。この実施例のヒンジユニット4Uは、回転軸(ヒンジ軸)33を回転保持するブラケット20と回転軸33が固定されたヒンジ軸部材30とを備えており、ブラケット20がディスプレイ部2に取り付けられ、ヒンジ軸部材30が本体部1に取り付けられる。このため、ブラケット20にはヒンジ軸33に平行な取付面を備えた2つの取付部21,22と、取付部21,22に突設されてヒンジ軸33を回転保持する回転保持部23,24がある。
また、ヒンジ軸部材30には、ヒンジ軸33を固定する軸取付部36があり、この軸取付部36はアーム部31の先端部に、アーム部31に対して直交する方向に設けられている。アーム部31の基部はアーム部31に対して直角に折り曲げられてディスプレイ部2への取付部32となっている。取付部32にはネジを挿通するための貫通孔34がこの実施例では3つ設けられている。図2(a)に示したヒンジユニット4Uは、図2(b)に示すように、2つの取付部21,22がディスプレイ部2に取り付けられる。
一方、電子機器10の本体部1の筐体11の底面11Bには、ヒンジ軸部材30を取り付けるためのボス部13が設けられており、ボス部13の頂面にはネジが螺着されるネジ穴14が設けられている。ネジ穴14の数はブラケット20の取付部32にある貫通孔34の個数と一致している。ブラケット20のアーム部31は、ボス部13の側面に沿わせてボス部13に取り付けられ、ヒンジ軸部材30の取付部32は、貫通孔34に挿通させるネジ6をボス部13のネジ穴14に螺入させることによって、ボス部13に固定することができる。
図3(a)は、図2で説明したヒンジ装置4を備えた図1(a)に示す電子機器10を底面側から見た斜視図であり、図3(b)は図3(a)のA部の部分拡大図に、本出願のヒンジ装置4に使用するヒンジカバー40を加えた組立斜視図である。図3(a)に示すように、1つの電子機器10に対して、ヒンジ装置4は2箇所に設けられている。本出願を適用する電子機器10では、本図に示すように、ヒンジ装置4がディスプレイ部2の下側の位置で、本体部1の後ろ側に設けられている。従って、図1(a)に示したように、本出願を適用する電子機器10では、ヒンジ装置4が電子機器10の操作者側からは見えない。
一方、図2で説明したブラケット20とヒンジ軸部材30とを備えたヒンジ装置4は、電子機器10の操作者側からは見えない位置にあっても、ブラケット20の回転保持部22とヒンジ軸部材30の回転軸33が、筐体11の切欠部15内に露出する。そこで、本出願のヒンジ装置4では、図3(b)に示すように、切欠部15にヒンジカバー40を取り付けてブラケット20の回転保持部22とヒンジ軸部材30の回転軸33を覆い、ユーザーが誤って回転保持部22と回転軸33に触れないようにする。ヒンジカバー40の構成については後に詳述するが、ヒンジカバー40には、目隠し板41、円孔42、軸取付板43、係止爪44、空隙部45及び取付板46がある。
図4(a)は、図3(b)に示したヒンジカバー40を電子機器10の本体部1の筐体11の切欠部15に取り付けてヒンジ装置4を隠した状態を示す部分拡大斜視図である。切欠部15にヒンジカバー40が取り付けられた状態では、ヒンジカバー40は切欠部15内をスライドすることはできない。また、図3(a)に示したように、電子機器10には2箇所にヒンジ装置4が設けられているので、ヒンジ装置4を覆うヒンジカバー40は2つ必要である。
図4(b)は、電子機器10の背面の2箇所にあるヒンジ装置4に、それぞれヒンジカバー40が取り付けられた状態を示す背面図である。電子機器10の背面の2箇所に取り付けるヒンジカバー40は同じではなく、電子機器10の背面の左右で形が対称形になっている。ここでは、電子機器10の背面の左側にあるヒンジカバー40をヒンジカバー40Lとし、右側にあるヒンジカバー40をヒンジカバー40Rとする。ヒンジカバー40L,40Rは、ネジ6によって電子機器10の背面に取り付けられている。
図5(a)は、図4(b)に示した電子機器10の背面左側に使用されるヒンジカバー40Lを正面側から見た斜視図であり、図5(b)は図5(a)に示したヒンジカバー40Lを背面側から見た斜視図である。また、図5(c)は、図4(b)に示した電子機器10の背面右側に使用されるヒンジカバー40Rを正面側から見た斜視図であり、図5(d)は図5(c)に示したヒンジカバー40Rを背面側から見た斜視図である。ヒンジカバー40Lと40Rは左右対称形になっているだけであり、構成は全く同じであるので、ここではヒンジカバーには代表番号40を付してその構造を説明する。
ヒンジカバー40は、図3(b)に示した回転保持部22と回転軸33及び切欠部15を覆う湾曲した目隠し板41、目隠し板41に設けられた円孔42、回転軸33に取り付けられる軸取付板43及び切欠部15に挿入される複数の取付板46を備えている。軸取付板43には回転軸33が挿入される凹部43aがあり、取付板46は切欠部15の長手方向に垂直な方向の断面形状と同様の形状をしている。また、軸取付板43から最も遠い取付板46の端部には、ヒンジカバー40をディスプレイ部2の筐体12の一部に係止させてディスプレイ部2の筐体12から外れなくするための係止爪44が突設されている。更に、ヒンジカバー40の中央部にある2枚の取付板46は、目隠し板41にある円孔42の両側に配置されており、これら2枚の取付板46の間には所定間隔の空隙部45が設けられている。ヒンジカバー40は樹脂製であり、その全長は、切欠部15の長手方向の長さよりも、係止爪44の取付板46からの高さ以上の長さだけ短い。
図6は、図1(a)に示した電子機器10の、ディスプレイ部2にある表示器を保護する正面カバー3だけを取り出して示す斜視図である。正面カバー3は、その枠体3fの内側に透明なアクリル板、或いはガラス板を備えて折り、枠体3fの下端部には、2箇所に突片7が設けられている。この突片7には正面カバー3をディスプレイ部2に取り付けるためのネジを通す貫通孔8が設けられている。更に、突片7の幅は、図5で説明したヒンジカバー40Rにある空隙部45に、ほぼ隙間なく挿入可能な幅になっている。
以上、図1から図6により、電子機器10のヒンジ装置4の構成及びヒンジ装置4を覆うヒンジカバー40の構成、更には、電子機器10のディスプレイ部2に取り付ける正面カバー3の構成について説明した。次に、図7から図10を用いて、ディスプレイ部2に既に取り付けられているヒンジ装置4にヒンジカバー40を取り付け、ディスプレイ部2に正面カバー3を取り付けることによって、ヒンジカバー40をディスプレイ部2から外れなくする過程を説明する。
図7(a)は、図1(a)に示した電子機器10のディスプレイ部2に取り付けられたヒンジ装置4に、ヒンジカバー40を装着する前の段階の状態を示す部分拡大斜視図である。この状態ではブラケット20は既にディスプレイ部2に取り付けられており、ヒンジ軸部材30のヒンジ軸33はブラケット20の回転保持部23、24に回転保持されている。また、この状態は、ヒンジ軸部材30が電子機器の本体部から外されている状態である。ヒンジ軸部材30の構成は既に説明したので、ここではヒンジ軸部材30を構成する各部材については符号のみを付してその説明を省略する。更に、図7(a)に示す符号9は、ディスプレイ部の筐体12に設けられたネジ穴である。
図7(b)は図7(a)に示したヒンジカバー40をヒンジ装置4に装着した状態を示す部分拡大斜視図であり、図7(c)は図7(b)のB−B線におけるヒンジカバー40とディスプレイ部の筐体12との結合状態を示す概略断面図である。なお、図7(c)にはヒンジカバー40とディスプレイ部の筐体12との位置関係のみが示されており、ヒンジ装置4の回転軸33の図示は省略してある。ヒンジカバー40は、図5で説明した軸取付板43により、回転軸33に取り付けられる。この状態では、ネジ穴9とヒンジカバー40の円孔42の中心は一致しておらず、ヒンジカバー40の係止爪44は、ディスプレイ部の筐体12にある係止孔12Hに挿入されていない。
図8(a)は、図7(b)の状態からヒンジカバー40をヒンジ装置4の回転軸33に沿って白抜き矢印Lで示す方向にスライドさせてディスプレイ部の筐体12に係止させた状態を示す部分拡大斜視図である。また、図8(b)は図8(a)のC−C線におけるヒンジカバー40とディスプレイ部の筐体12との結合状態を示す概略断面図である。図8(b)にもヒンジカバー40とディスプレイ部の筐体12との位置関係のみが示されており、ヒンジ装置4の回転軸33の図示は省略してある。この状態では、ネジ穴9とヒンジカバー40の円孔42の中心が一致し、ヒンジカバー40の係止爪44は、ディスプレイ部の筐体12にある係止孔12Hに挿入されている。従って、この状態では、ヒンジカバー40は係止爪44によってディスプレイ部の筐体12にある係止孔12Hに係合しているので外れない。
図8(c)は、図8(b)に示したディスプレイ部2に正面カバー3を取り付ける過程を示す部分拡大組立斜視図である。正面カバー3の枠体に設けられた突片7の位置は、図8(a)に示したスライド後のヒンジカバー40における空隙部45の位置に一致している。よって、正面カバー3をディスプレイ部2に取り付けると、突片7がヒンジカバー40の空隙部45に挿入される。
図9(a)は、図8(c)に示した正面カバー3をディスプレイ部2に取り付けた状態を示す部分拡大斜視図であり、図9(b)は図9(a)のD−D線におけるヒンジカバー40とディスプレイ部の筐体12との結合状態を示す概略断面図である。図6で説明したように、突片7の幅は、ヒンジカバー40Rにある空隙部45にほぼ隙間なく挿入可能な幅である。そして、空隙部45に突片7が挿入されると、図9(b)に示すように、突片7は空隙部45内に隙間なく入り込み、突片7に設けられた貫通孔8が、ディスプレイ部の筐体12に設けられたネジ穴9に重なる。
図9(c)は、図9(a)、(b)に示した正面カバー3に突設された突片7の貫通孔8にネジ6を挿通して、ディスプレイ部の筐体12に設けられたネジ穴9に螺着させた状態を示す部分拡大斜視図である。また、図9(d)は、図9(c)のE−E線におけるヒンジカバー40とディスプレイ部の筐体12との結合状態を示す概略断面図である。ネジ6はヒンジカバー40の円孔42を通して突片7の貫通孔8に係合させ、円孔42を通してドライバでネジ穴9に螺着すれば良い。この状態では、ネジ6によって正面カバー3がディスプレイ部の筐体12から外れず、ヒンジカバー40は突片7が空隙部45に隙間なく入り込んでいるので移動できない。よって、ヒンジカバー40はディスプレイ部の筐体12に結合した状態が保持され、ディスプレイ部の筐体12から外れない。
図10(a)は、図7から図9の過程を経てヒンジ装置4が取り付けられたディスプレイ部2に更にヒンジカバー40と正面カバー3が装着された状態を示すディスプレイ部2単体の外観を示す斜視図である。また、図10(b)は、図4(a)、(b)に示したヒンジ装置4を備えた電子機器10におけるヒンジカバー40の位置を示す部分断面図である。このように、ヒンジカバー40によってヒンジ装置4が覆われた状態のディスプレイ部2は、電子機器の本体部から取り外すことが可能であり、ディスプレイ部2を本体部に取り付けると、ヒンジカバー40が、図3で説明した切欠部15に嵌め込まれる。そして、ディスプレイ部2の点検時には、本体部からディスプレイ部2を取り外し、円孔42にドライバを挿入してネジを取り外せば、正面カバー3を取り外すことができる。
以上説明したヒンジ装置の構造では、ヒンジカバー内のネジを外すだけで本体カバーを外すことができ、ヒンジカバーを外したい時には、ネジを外して、ヒンジカバーをスライドさせるだけでヒンジカバーを外せる。この結果、電子機器の分解性を維持しつつ、ヒンジカバーの脱落等の防止を実現でき、電子機器の信頼性も高まる。また、ヒンジカバーはヒンジ装置への取り付け、取り外しとも容易であり、ユーザー使用時に脱落することがない。そして、このようなヒンジ装置により、分解、組立とも容易なヒンジ軸周り構造を供えた電子機器を最少コストで達成できる。
なお、以上説明した実施例では、正面カバー3の枠体3fに形成された突片7には貫通孔8が設けられており、正面カバー3はこの貫通孔8に挿入されるネジ6によってディスプレイ部の筐体12に設けられたネジ穴9に螺着されている。しかし、正面カバー3のディスプレイ部の筐体12への取り付けは別の場所で行い、正面カバー3の枠体3fに形成された突片7にはヒンジカバーの移動規制機能のみを持たせて貫通孔8を省略することができる。この場合は、正面カバー3に突片7の他に取付孔が設けられた取付片を突設して、この取付片を挿通させたネジによってディスプレイ部2の筐体12に設けられたネジ穴に螺着すれば良い。
更に、ヒンジユニットのブラケットの取付部とヒンジ軸部材の取付部の形状を変更すれば、ブラケットを本体部側に取り付け、ヒンジ軸部材をディスプレイ部側に取り付けることも可能である。
以上、本出願を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本出願の容易な理解のために、本出願の具体的な形態を以下に付記する。
(付記1) 第1の筐体と表示器の正面カバーを備える第2の筐体の間に設けられ、第1の筐体に対して第2の筐体を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、
第1の取付部と回転軸の回転保持部を備え、前記第1の取付部が一方の筐体の端部に固着される少なくとも2つのブラケットと、
第2の取付部と回転軸とを備え、前記第2の取付部が他方の筐体の端部に固着され、前記回転軸が前記回転保持部に保持されるヒンジ軸部材と、
前記ヒンジ軸部材の回転軸が前記ブラケットの回転保持部に保持された状態で、前記回転軸にその軸方向にスライド可能に取り付けられて、前記回転軸及び前記回転保持部をカバーするヒンジカバーとを備え、
前記ヒンジカバーには、前記回転軸への取り付け後のスライドによって、前記第2の筐体に係合して、前記ヒンジカバーを前記回転軸から外れなくする係止爪と、前記係止爪の係合状態で前記第2の筐体方向に開口する空隙部があり、
前記正面カバーには、前記ヒンジカバーの係止爪が係合状態の時に前記第2の筐体に取り付けると、前記空隙部内に挿入される突片が設けられており、
前記ヒンジカバーは、前記正面カバーが取り付けられた状態では、前記突片により前記軸方向への移動が阻止されることを特徴とするヒンジ装置。
(付記2) 前記ヒンジ軸部材が前記第1の筐体に取り付けられ、前記ブラケットが前記第2の筐体に取り付けられることを特徴とする付記1に記載のヒンジ装置。
(付記3) 前記ブラケットが前記第1の筐体に取り付けられ、前記ヒンジ軸部材が前記第2の筐体に取り付けられることを特徴とする付記1に記載のヒンジ装置。
(付記4) 前記ブラケットの前記回転保持部と前記ヒンジ軸部材の回転軸は、前記第2の筐体が前記第1の筐体に対して閉じられた状態で、前記第1の筐体の側面よりも外側に位置するように設けられており、
前記第2の筐体が前記第1の筐体に対して開閉される時に、前記ブラケットの前記回転保持部と前記ヒンジ軸部材の回転軸は、前記第1と第2の筐体の後ろに隠れた状態にあることを特徴とする付記1から3の何れかに記載のヒンジ装置。
(付記5) 前記突片には貫通孔が設けられており、前記正面カバーはこの貫通孔に挿入されるネジによって前記第2の筐体に設けられたネジ穴に螺着されることを特徴とする付記1から4の何れかに記載のヒンジ装置。
(付記6) 前記ヒンジカバーには、前記突片を前記ネジ穴に螺着させるネジを通すと共に、前記ネジを回すドライバの先端部も通す円孔が設けられていることを特徴とする付記3に記載のヒンジ装置。
(付記7) 前記正面カバーには前記突片の他に取付孔が設けられた取付片が突設されており、前記正面カバーは前記取付片を挿通させたネジによって前記第2の筐体に設けられたネジ穴に螺着されることを特徴とする付記1から4の何れかに記載のヒンジ装置。
(付記8) 前記ヒンジ装置で連結された第1の筐体と第2の筐体が、それぞれ入力キーを備えた本体部の筐体と、表示器を備えたディスプレイ部の筐体であることを特徴とする付記1から7の何れかに記載のヒンジ装置。
(付記9) 前記ディスプレイ部は、前記ブラケットの筐体への取付部又は前記ヒンジ軸部材の筐体への取付部を前記前記第1の筐体から外すことによって、前記本体部から取り外すことができることを特徴とする付記8に記載のヒンジ装置。
(付記10) 付記1から9の何れかに記載のヒンジ装置を用いた電子機器。
1 本体部
2 ディスプレイ部
3 正面カバー
4 ヒンジ装置
7 突片
10 電子機器
11 本体部筐体
12 ディスプレイ部筐体
20 ブラケット
30 ヒンジ軸部材
33 回転軸(ヒンジ軸)
40 ヒンジカバー
42 円孔
44 係止爪
45 空隙部

Claims (5)

  1. 第1の筐体と表示器の正面カバーを備える第2の筐体の間に設けられ、第1の筐体に対して第2の筐体を開閉可能に連結するヒンジ装置であって、
    第1の取付部と回転軸の回転保持部を備え、前記第1の取付部が一方の筐体の端部に固着される少なくとも2つのブラケットと、
    第2の取付部と回転軸とを備え、前記第2の取付部が他方の筐体の端部に固着され、前記回転軸が前記回転保持部に保持されるヒンジ軸部材と、
    前記ヒンジ軸部材の回転軸が前記ブラケットの回転保持部に保持された状態で、前記回転軸にその軸方向にスライド可能に取り付けられて、前記回転軸及び前記回転保持部をカバーするヒンジカバーとを備え、
    前記ヒンジカバーには、前記回転軸への取り付け後のスライドによって、前記第2の筐体に係合して、前記ヒンジカバーを前記回転軸から外れなくする係止爪と、前記係止爪の係合状態で前記第2の筐体方向に開口する空隙部があり、
    前記正面カバーには、前記ヒンジカバーの係止爪が係合状態の時に前記第2の筐体に取り付けると、前記空隙部内に挿入される突片が設けられており、
    前記ヒンジカバーは、前記正面カバーが取り付けられた状態では、前記突片により前記軸方向への移動が阻止されることを特徴とするヒンジ装置。
  2. 前記ブラケットの前記回転保持部と前記ヒンジ軸部材の回転軸は、前記第2の筐体が前記第1の筐体に対して閉じられた状態で、前記第1の筐体の側面よりも外側に位置するように設けられており、
    前記第2の筐体が前記第1の筐体に対して開閉される時に、前記ブラケットの前記回転保持部と前記ヒンジ軸部材の回転軸は、前記第1と第2の筐体の後ろに隠れた状態にあることを特徴とする請求項1に記載の筐体のヒンジ装置。
  3. 前記突片には貫通孔が設けられており、前記正面カバーはこの貫通孔に挿入されるネジによって前記第2の筐体に設けられたネジ穴に螺着されることを特徴とする請求項1又は2に記載の筐体のヒンジ装置。
  4. 前記ヒンジカバーには、前記突片を前記ネジ穴に螺着させるネジを通すと共に、前記ネジを回すドライバの先端部も通す円孔が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の筐体のヒンジ装置。
  5. 請求項1から4の何れか1項に記載のヒンジ装置を用いた電子機器。
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