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JP5881496B2 - 剥離基材用下塗り剤 - Google Patents

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JP5881496B2 JP2012070474A JP2012070474A JP5881496B2 JP 5881496 B2 JP5881496 B2 JP 5881496B2 JP 2012070474 A JP2012070474 A JP 2012070474A JP 2012070474 A JP2012070474 A JP 2012070474A JP 5881496 B2 JP5881496 B2 JP 5881496B2
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Description

本発明は、剥離紙及び剥離シート等に関して、基材に塗布することにより、従来の耐溶剤性、耐熱性、耐ブロッキング性を保持しながらも高平滑性・高光沢性を有する剥離基材用下塗り剤に関するものである。
従来、剥離紙に使用されている剥離材成分としては、有機溶剤に溶解させたシリコーンが使用されている。該シリコーンは非常に高価であり、出来るだけ少量の塗工量で充分な剥離性能を得る必要がある。
そのため、一般的には紙基材に前記シリコーン剥離材が染込まないよう下塗り層で目止め処理を行い、その後シリコーンを塗工している。
このような目止め材としては、クレイ塗工、ポリビニルアルコールや澱粉などの水溶性高分子を塗布したもの、ポリエチレンなどをラミネート処理して使用している(特許文献1)。また、アクリル酸エステル共重合体エマルションなどの樹脂エマルションを塗布したものがある(特許文献2)。
クレイ塗工は、耐熱性はあるものの、シリコーンとの密着性が悪く、ポリビニルアルコールや澱粉などの水溶性高分子は、塗膜が脆く、また耐水性に劣り、湿度が高いときに目止め層のみで保管した場合、ブロッキングし易い。さらに、水溶性高分子であるため、高粘度となり、作業性、乾燥性が悪い。また、ポリエチレンなどをラミネート処理したものは、平滑性、柔軟性などの特徴はあるが、耐熱性に劣る。
さらに、樹脂エマルションは、造膜性には優れるが、耐熱性及び耐溶剤性に劣り、目止め効果に欠ける。耐熱性、耐溶剤性の優れた目止め層として、アクリロニトリルを含むシード粒子存在下で(メタ)アクリルアミドを含むビニル系単量体を重合させて得られる二層構造を有する水性エマルション組成物が提案されている(特許文献3)。この方法では、耐溶剤性、耐熱性に優れた目止め層を与えるが、最近では耐熱性、耐溶剤性に加え、目止め層を塗工した時点での平滑性、高光沢性が求められており、これ等の点で不十分であった。
米国特許第3403045号 特公昭63−54035号 特開平3−121170号
本発明は、前記の従来技術の欠点を克服し、耐溶剤性、耐熱性、耐ブロッキング性を保持しながらも高平滑性・高光沢性を有する剥離基材用下塗り剤を提供するものである。
本発明者らは、上記のような課題解決のため鋭意検討した結果、塗り剤が(メタ)アクリルアミドを含有する水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)を含む水性エマルションにおいて、樹脂(a)の多角度光散乱法で測定された重量平均分子量が20万未満であることを見出した。 即ち
[1] 剥離基材上に塗布する塗り剤であって、塗り剤が(メタ)アクリルアミドを含有する水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)とを含むアクリル系水分散体において、樹脂(a)の重量平均分子量が20万未満である剥離基材用下塗り剤。
[2] 有機粒子(b)が水溶性樹脂(a)の存在下で1種以上のビニル単量体を重合して得られる粒子である剥離基材用下塗り剤。
[3]水溶性樹脂(a)が1種以上のビニル単量体を重合して得られる有機粒子(b)の存在下で重合して得られる樹脂である剥離基材用下塗り剤。
[4]水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)を混合して得られる剥離基材用下塗り剤。
[5] 水溶性樹脂(a)の固形分100重量部中、(メタ)アクリルアミドを10〜100重量%含む剥離基材用下塗り剤。
[6] アクリル系水分散体の固形分中、水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)との重量比率が(a)10〜90重量%、(b)90〜10重量%である剥離基材用下塗り剤。
本発明の下塗り剤は、紙、フィルム、布などに塗布することにより、従来の耐溶剤性、耐熱性、耐ブロッキング性を保持しながらも高平滑性・高光沢性を有する剥離基材用下塗り剤である。特に、剥離紙を作成する際に、下塗り剤として使用した場合、その上に溶剤型剥離剤を塗布するときに、優れた剥離塗工液の目止め効果が得られるものである。
本発明の剥離基材は、紙基材の他に鉄、銅、アルミ、ステンレスなどの金属板、或いは、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などから成る有機高分子フィルム、或いは、パルプ、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの繊維状基材から選ぶことができる。
本発明の下塗り剤は、(メタ)アクリルアミドを含有する水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)を含むアクリル系水分散体である。
なお、本発明における水溶性樹脂とは水を主とする媒体中で10重量%の濃度に於いて、波長400nmの光の透過率が85%以上となる樹脂と定義し、有機粒子とは水を主とする媒体中で粒子状の形態を形成し、かつ10重量%の濃度に於いて、波長400nmの光の透過率が85%以下となる樹脂を意味する。
アクリル系水分散体は、水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)がどのような形態で存在していてもよく、(a)と(b)を別々に合成し混合した樹脂組成物の形態、(a)が(b)の存在下で重合して得られる樹脂組成物の形態、(b)が(a)の存在下で重合して得られる樹脂組成物の形態のいずれも本願発明の範囲内である。
水分散体の保存安定性の観点から、(a)または(b)のいずれかの樹脂の存在下で一方の樹脂を合成して得られた樹脂組成物の形態が好ましい。更に、(b)が(a)の存在下で重合して得られる樹脂組成物の形態であることがより好ましい。
アクリル系水分散体の固形分中、水溶性樹脂(a)の樹脂固形分と有機粒子(b)の重量比率は、(a)が10〜90重量%、(b)が90〜10重量%であり、好ましくは(a)が20〜80重量%(b)が80〜20重量%である。(a)が10重量%未満では分散安定性・密着性の不足や、充分な光沢を得ることができない。また、90重量%を超えると著しいチクソトロピー特性を生じるおそれがある。
本発明に係るアクリル系水分散体には、体積平均粒子径が、特に限定されないが、10〜1,000nm、好ましくは10〜800nm、(粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子株式会社))であれば、水分散安定性に優れるため好ましい。また、10nm未満であれば、分散安定性が低下するおそれがあり、1,000nmを超えると経時保存安定性を損なうおそれがある。粒子径のコントロール方法は特に制限されないが、例えば、界面活性剤量などによって適宜調整することができる。
本発明に係るアクリル系水分散体の樹脂固形分濃度は5〜80重量%、好ましくは10〜70重量%である。この範囲であれば、良好な密着性が得られる。
また、本発明の水分散体を基材に直接塗布することで、王研式平滑度が2000秒以上、75°光沢値90以上と、優れた平滑性、高光沢性の塗工基材を得ることができる。
水溶性樹脂(a)
本発明の水溶性樹脂(a)は、少なくとも(メタ)アクリルアミドを含む樹脂である。ここで、(メタ)アクリルアミドとは、メタアクリルアミド及びアクリルアミドの意味である。本発明では、水分散体の粘度調整の観点からメタアクリルアミドが好ましい。本発明の水溶性樹脂(a)は(メタ)アクリルアミド以外に、不飽和カルボン酸類の重合性単量体、更に1種以上のビニル単量体を含んでも良い。ここで、不飽和カルボン酸類の重合性単量体としてはメタクリル酸が好ましい。また、1種以上のビニル単量体とは、官能基を有するビニル単量体が好ましく、例えば、アクリルアミド等のアミド基含有ビニル単量体、(メタ)アクリル酸等カルボキシル基含有ビニル単量体、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル単量体、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有ビニル単量体、(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基含有ビニル単量体、N、N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有ビニル単量体、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシ基含有ビニル単量体等、スチレンスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸含有単量体が挙げられる。また、スチレンや(メタ)アクリル酸エステル等の疎水性ビニル単量体を使用しても良い。また、水溶性樹脂(a)には架橋性ビニル単量体を使用しても良く、該単量体としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。また、架橋性ビニル単量体として2つ以上のビニル基を含有するものであっても構わない。
また、水溶性樹脂(a)の分子量を調整するために、重合開始剤や分子量調整剤を使用する。
重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムなどの過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(N-フェニルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-〔N-(4-クロロフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-〔N-(4-ヒドロキシフェニル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(N-ベンジルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(N-アリルアミジノ)プロパン〕二塩酸塩、2,2’-アゾビス{2-〔N-(2-ヒドロキシエチル)アミジノ〕プロパン}二塩酸塩、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス{2-メチル-N-〔1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-〔2-ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物等のアゾ化合物;クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらの1種、又は2種以上を選択することができる。重合開始剤としては水溶性であることが好ましく、一般的な開始剤の使用量は、(共)重合させるモノマーの全重量を基準として、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5.0重量%である。
分子量調整剤としては、メタリルスルホン酸ナトリウム、n-ドデシルメルカプタンや1-チオグリセロールなどが挙げられる。分子量調整剤の使用量は、水溶性樹脂の総固形分に対し、(共)重合させるモノマーの全重量を基準として、0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量部である。
水溶性樹脂(a)のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により求められる重量平均分子量は、多角度光散乱検出で20万未満、好ましくは1000〜15万、更に好ましくは5000〜10万である。水溶性樹脂の分子量を上記範囲にすることで、成膜性、乾燥過程における樹脂レベリング性が向上し、極めて平滑性が高く、高光沢な塗工面を得ることができる。さらに、水溶性樹脂を低分子量化することで、分散体を低粘度化することが可能となり、ハンドリング性が良好になるなど、その波及効果も極めて高い。水溶性樹脂の重量平均分子量が1000未満である場合、皮膜化した際に優れた平滑性、光沢値となるが、塗膜強度が不足し、塗工紙の強度が低下する恐れがある。また、充分な耐熱性、耐溶剤性、耐ブロッキング性も低下する恐れがある。逆に20万以上の場合、優れた耐熱性、耐溶剤性、耐ブロッキング性が得られるが、十分な光沢性・平滑性が得られない。
水溶性樹脂(a)の固形分100重量部中、(メタ)アクリルアミドの使用量は、耐熱性、耐溶剤性、耐ブロッキング性観点より10〜100重量%、好ましくは50〜100重量%、その他のビニル系単量体が0〜90重量%、好ましくは0〜50重量%である。
有機粒子(b)
有機粒子(b)は、1種以上のビニル単量体を乳化重合して得られる(共)重合エマルションが好ましい態様である。
ビニル単量体としては芳香族ビニルモノマー類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、不飽和カルボン酸類、不飽和スルホン酸類、水酸基含有ビニル化合物類、芳香族ビニル化合物類、不飽和アミド類、アミノアルキルアクリレート若しくはアミノアルキルメタクリレート類、又はこれらのハロゲン化メチル、ハロゲン化エチル、ハロゲン化ベンジル等による4級塩化物、N一アミノアルキルアクリルアミド若しくはN一アミノアルキルメタクリルアミド類、又はこれらのハロゲン化メチル、ハロゲン化エチル、ハロゲン化ベンジル等による4級塩化物、ビニルエステル類、ハロゲン化ビニリデン類、ジアクリレート類、ジメタクリレート類などが挙げられる。
芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルアニソール、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
アクリル酸エステル類としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートのようなアクリル酸の炭素原子数1〜12のアルキルエステルなどが挙げられる。
メタクリル酸エステル類としては、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、n一アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2一エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレートのようなメタクリル酸の炭素原子数1〜12のアルキル、エステルなどが挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などが挙げられる。
不飽和スルホン酸類としては、2−スルホエチルメタクリレート、t-ブチルアクリルアミドスルホン酸やスチレンスルホン酸等およびそれらの塩などが挙げられる。
水酸基含有ビニル化合物類としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどが挙げられる。
不飽和アミド類としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミドなどが挙げられる。
アミノアルキルアクリレート若しくはアミノアルキルメタクリレート類としては、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、N,N−t−ブチルアミノエチルアクリレート、N,N−t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N,N−モノメチルアミノエチルアクリレート、N,N−モノメチルアミノエチルメタクリレートなどが挙げられる。
また、N−アミノアルキルアクリルアミド又はN一アミノアルキルメタクリルアミド類としては、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミドなどが挙げられる。
ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどが挙げられる。
ハロゲン化ビニリデン類としては、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデンなどが挙げられる。
ジアクリレート類としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
ジメタクリレート類としては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3一ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
その他のモノマーとしては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、アリルメダアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等、塩化ビニル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド、クロロプレン、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート、アリルメルカプタンなどが挙げられる。
前記1種以上のビニル単量体として特に好適なものは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリロニトリルなどである。
更に好ましくは、(b)中にアクリロニトリルを耐水性・耐溶剤性の観点から、10〜70重量%含んだ方が良い。
必要に応じて、架橋性ビニル単量体を使用しても良く、該単量体としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコール鎖含有ジ(メタ)アクリレートなどが例示できる。また、架橋性ビニル単量体として2つ以上のビニル基を含有するものであっても構わない。また、分子量を調製する目的で、n-ドデシルメルカプタンや1-チオグリセロールなどの分子量調整剤を使用することもできる。
有機粒子(b)のガラス転移温度Tgは特に限定しないが、好ましくは−30〜80℃(計算ソフトCHEOPS(ver.4.0)による)である。−30℃未満でれば、樹脂塗工後にタックが残り好ましくない。
有機粒子(b)の製造
有機粒子(b)の合成方法には特に制約はないが、水を主成分とした溶媒中で行う乳化重合が好ましい。有機粒子(b)の重合安定性、保存安定性を向上するなどの目的で適宜界面活性剤や水溶性高分子を用いることができる。該界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ステアリン酸塩、オレイン酸塩、ジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、tert-オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t−オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられる。が挙げられる。
これらの分散剤は1種又は2種以上を選択することができる。
重合安定性、保存安定性を向上するなどの目的で使用する水溶性高分子を添加してもよく、これら水溶性高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、変成ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ(メタ)アクリルアミド(共)重合体、エチレングリコール等の水溶性ポリマーが挙げられる。
重合開始剤としては、前記記載の種類が挙げられる。
有機粒子(b)の合成時の重合温度には制約はないが、製造時間や単量体の共重合体への転化率(反応率)などを考慮に入れると30〜95℃の範囲で合成することが好ましく、50〜85℃が特に好ましい。
また、重合時には製造安定性を向上する目的でPH調製剤や金属イオン封止剤であるEDTAもしくはその塩などを使用することも可能である。共重合エマルション形成後、アンモニアや有機アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の一般的な中和剤でpH調整を行ってもよい。
本発明の水分散体には、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で、セルロース類、澱粉、ポリビニルアルコール等の水性高分子、メラミン樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、水性エポキシ樹脂等の架橋剤、充填剤、消泡剤、濡れ剤、レベリング剤、皮膜形成助剤等を適宜添加することができる。
かくして得られた、上記水分散体は、直接、紙、フィルム、布等に塗布した時、あるいは炭酸カルシウム、クレー、酸化チタンなどの無機顔料またはプラスチックピグメントのような有機顔料と混ぜ、かかる水分散体を顔料のバインダーとして使用し、紙等へ塗布した時、耐溶剤性、耐ブロッキング性、耐熱性に優れた皮膜を得ることができる。
例えば、剥離紙の下塗り剤、背面処理剤、ジアゾ感光紙のバインダー、オフセットマスター用バインダー等被覆された面が耐溶剤性、耐ブロッキング性、耐熱性の要求される用途に有用である。
特に、剥離紙を作製する際、溶剤型剥離剤を塗布するための下塗り剤として優れた剥離剤塗工液の目止め効果が得られた。また、耐ブロッキング性、耐熱性が必要な剥離紙の背面処理剤としても有用である。
また、ジアゾ感光紙のバインダー、オフセットマスター用のバインダーとして使用した場合、無機顔料等との混和性もよく、安定な顔料塗工液が得られ、皮膜にした際、優れた耐溶剤性の皮膜が得られた。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら諸例によって限定されるものではない。なお、諸例中の部数及び%は特に指定のない場合は、すべて重量部及び重量%を表す。
<エマルション組成物の調製>
製造例1
<アミド基を含む水溶性樹脂の合成>
攪拌機、還流冷却付きのセパラブルフラスコに蒸留水200重量部を仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃に昇温した。次いで過硫酸アンモニウム2.0部を添加してから下記組成のビニル単量体と水の混合物を攪拌しながら2時間かけて連続的に添加した後、同温度で2時間熟成し、重合を完結させた。固形分が20.0%である樹脂の水性液を得た。
GPC(多角度光散乱法、Wyatt Technology, Co.社製 DAWN EOSTM)による重量平均分子量は15万であった。
(ビニル単量体と水の混合物)
メタクリルアミド 65.0部
メタクリル酸 10.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20.0部
メチルメタアクリレート 5.0部
メタリルスルホン酸ナトリウム 0.5部
蒸留水 200.0部

製造例2
<有機粒子の合成>
攪拌機、還流冷却付きのセパラブルフラスコに蒸留水360重量部を仕込み、窒素ガスで置換した後、80℃に昇温した。次いで過硫酸アンモニウム2.0部を添加してから下記組成のビニル単量体乳化物を3時間かけて連続的に添加し、更に3時間保持して、重合を完結させた。固形分が20.0%である共重合樹脂を得た。
(ビニル単量体乳化物)
スチレン 30.0部
n−ブチルアクリレート 65.0部
メタクリル酸 5.0部
ラウリル硫酸アンモニウム 0.1部
蒸留水 40.0部

実施例1
<アミド基を含む水溶性樹脂と有機粒子とを含有するエマルションの製造>
製造例1で得たアミド基を含む水溶性樹脂と製造例2で得た有機粒子を乾燥重量比で33:67の割合で混合し、共重合体エマルションを製造した。
実施例2
<アミド基を含む樹脂の存在下で乳化重合して得られる樹脂を含有するエマルションの作製>
製造例1で得られた樹脂の水性液250部に固形分調整用蒸留水360部を加え、再び窒素置換しながら、75℃に昇温した。次いで過硫酸アンモニウムを2.0部添加してから下記組成のビニル単量体乳化物を3時間かけて連続的に添加し、更に3時間保持して、重合を完結させた。固形分が20.0%であるエマルションを得た。
(ビニル単量体乳化物)
スチレン 30.0部
n−ブチルアクリレート 65.0部
メタクリル酸 5.0部
ラウリル硫酸アンモニウム 0.1部
蒸留水 40.0部

実施例3
<アミド基を含む樹脂の存在下で乳化重合して得られる樹脂を含有するエマルションの作製>
連鎖移動剤として添加するメタリルスルホン酸ナトリウム量を5部に増量する以外、製造例1と同じ操作を繰り返し、アミド基を含む水溶性樹脂を得た。次に、得られた水溶性樹脂を用い、実施例2と同様の操作でエマルションを得た。
GPCによる重量平均分子量は1.5万であった。
実施例4
<アミド基を含む樹脂の存在下で乳化重合して得られる樹脂を含有するエマルションの作製>
表1に示した組成に変更する以外は、実施例3と同様の操作を行い、共重合体エマルションを得た。
GPCによる重量平均分子量は1.5万であった。
実施例5
<アミド基を含む水溶性樹脂が1種以上のビニル単量体を重合して得られる有機粒子の存在下で重合して得られるエマルション>
製造例2で得られた有機粒子の水分散液2000部を、再び窒素置換しながら、75℃に昇温した。次いで過硫酸アンモニウムを2.0部添加してから下記組成のビニル単量体と水の混合物を攪拌しながら2時間かけて連続的に添加した後、同温度で2時間熟成し、重合を完結させた。固形分が20.0%であるエマルションを得た。
(ビニル単量体と水の混合物)
メタクリルアミド 65.0部
メタクリル酸 10.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20.0部
メチルメタアクリレート 5.0部
メタリルスルホン酸ナトリウム 0.5部
蒸留水 200.0部

GPCによる重量分子量は15万であった。

実施例6
表1に示した組成に変更する以外は、実施例3と同様の操作を行い、共重合体エマルションを得た。
GPCによる重量分子量は6万であった。
実施例7
表1に示した組成に変更する以外は、実施例3と同様の操作を行い、共重合体エマルションを得た。
GPCによる重量分子量は1.5万であった。
比較例1
表1に示した組成に変更する以外は、製造例1と同様の操作を行い、アミド基を含む水溶性樹脂を得た。
GPCによる重量分子量は20万であった。
比較例2
表1に示す組成に変更する以外は、実施例2と同様の操作を行い、共重合体エマ ルションを得た。
比較例3
表1に示す組成に変更する以外は、実施例5と同様の操作を行い、共重合体エマルションを得た。
比較例4
共重合体エマルションの代わりに、ポリビニルアルコール水溶液(鹸化度95%以上、重合度1700、固形分10%)をそのまま用いた。
[評価方法]
(1)耐トルエン性
得られた水性エマルション及び水溶液をガラス板に塗布し、120℃で5分間乾燥して試験フィルムを作製した。得られたフィルムを30mm角に切り取り秤量(W0)した。次に、このフィルムをトルエン中に24時間浸漬後、トルエンを軽く拭き取った後、秤量(W1)した。
次の計算式により、トルエンによるフィルム膨潤率を計算した。
膨潤率(%)=(W1−W0)/W0×100
◎:膨潤率0%
○:膨潤率1〜10%
△:膨潤率11%〜30%
×:膨潤率31%以上
(2)耐熱性
各樹脂(固形分20%)を市販の上質紙にバーコーター#20で塗布し、120℃で30秒間乾燥して試験紙を作成した。得られた試験紙を10cm角に切り取り、100℃で10分間エージングし、続いて塗布面同士を合わせて160℃条件下、約3kg・f/cmの荷重をかけ、10秒後、取り出し、融着度合いを確認した。
◎:全く融着なし
○:融着はないが、密着感あり
△:一部融着あり
×:全面融着あり
(3)75°光沢
各樹脂(固形分20%)を市販のコート紙にバーコーター#16で塗布し、120℃で1分間乾燥させ、その後、100℃で10分間エージングし、試験紙を得た。得られた試験紙の塗布面の75°光沢について、光沢度計(日本電色株式会社製VG7000)を用い、測定した。
◎:95〜100
○:90〜94
△:85〜90
×:84以下
(4)各樹脂(固形分20%)を市販のコート紙にバーコーター#16で塗布し、120℃で1分間乾燥させ、その後、100℃で10分間エージングし、試験紙を得た。得られた試験紙の塗布面の平滑度について、王研式平滑度計(旭精工株式会社製)を用い、測定した。
◎:5000秒以上
○:3000〜5000秒
△:1000〜3000秒
×:1000秒以下

Claims (6)

  1. 剥離基材上に塗布する塗り剤であって、
    塗り剤が、
    重合される原料モノマーとして(メタ)アクリルアミドを含有する水溶性樹脂(a)と、
    芳香族ビニルモノマー類またはアクリロニトリルと、アクリル酸エステル類と、不飽和カルボン酸類とからなるビニル単量体の重合体である有機粒子(b)と
    を含むアクリル系水分散体であり、
    樹脂(a)の重量平均分子量が20万未満である
    ことを特徴とする剥離基材用下塗り剤。
  2. 前記記載の有機粒子(b)が水溶性樹脂(a)の存在下で1種以上のビニル単量体を重合して得られる粒子であることを特徴とする請求項1に記載の剥離基材用下塗り剤。
  3. 前記記載の水溶性樹脂(a)が1種以上のビニル単量体を重合して得られる有機粒子(b)の存在下で重合して得られる樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の剥離基材用下塗り剤。
  4. 前記記載の水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)とを混合して得られることを特徴とする請求項1に記載の剥離基材用下塗り剤。
  5. 水溶性樹脂(a)の原料モノマー固形分100重量部中、(メタ)アクリルアミドの含有割合が10〜100重量%であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の剥離基材用下塗り剤。
  6. アクリル系水分散体の固形分中、水溶性樹脂(a)と有機粒子(b)との重量比率が(a)10〜90重量%、(b)90〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の剥離基材用下塗り剤。
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