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JP5843362B2 - 研削工具成形方法及び研削工具成形システム - Google Patents

研削工具成形方法及び研削工具成形システム Download PDF

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JP5843362B2 JP2012156635A JP2012156635A JP5843362B2 JP 5843362 B2 JP5843362 B2 JP 5843362B2 JP 2012156635 A JP2012156635 A JP 2012156635A JP 2012156635 A JP2012156635 A JP 2012156635A JP 5843362 B2 JP5843362 B2 JP 5843362B2
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Description

この発明は、被研削歯車の歯面を研削するための研削工具を成形する研削工具成形方法及び研削工具成形システムに関する。
従来から、研削工具の研削歯面とドレッサ歯車のドレッサ歯面とを接触させた状態で上記研削工具及び上記ドレッサ歯車を同期回転させて該研削歯面を成形する技術が広汎に知られている。
例えば、特許文献1では、超硬砥粒を電着させた研削歯面により研削されたワーク歯車のうち、歯面精度が許容範囲内にあるとして選択された歯面に、超硬砥粒を電着させてなるドレッサ歯車及びこれを用いた成形方法が提案されている。この工具の歯面には、上記超硬砥粒よりも硬度が高く、且つ、砥粒径が小さい砥粒を電着する旨が記載されている。
特許第3096557号公報(段落[0004]〜[0007]等)
ところで、研削工具の研削歯面に電着された砥粒は硬度がきわめて高いことから、上記研削工具の研削歯を繰り返し成形することでドレッサ歯車が磨耗する。この場合、研削工具の理想的形状が転写されたドレッサ歯車のドレッサ歯面が変形するため、その結果、研削工具の所望の形状が得られない場合がある。
しかし、上記の特許文献1で記載された研削方法では、研削工具の研削歯面及びドレッサ歯車のドレッサ歯面が略同一部位で接触するため、このような磨耗の影響が顕著に現れる。すなわち、ドレッサ歯車の長寿命化の観点で改良の余地が十分にあった。
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、研削工具の成形精度を安定させつつも、ドレッサ歯車の一層の長寿命化を実現可能な研削工具成形方法及び研削工具成形システムを提供することを目的とする。
本発明に係る研削工具成形方法は、研削工具の螺旋状の研削歯に形成された研削歯面と、ドレッサ歯車のドレッサ歯面とが接触可能な状態下に、前記研削工具及び前記ドレッサ歯車に対して同期回転をさせることで前記研削工具の成形をする方法であって、前記同期回転による前記成形に既に使用された前記ドレッサ歯面の既使用部位の一部を少なくとも含む第1接触部位で接触可能な状態下に前記同期回転をさせる第1成形工程と、前記既使用部位に前記第1接触部位を含めた上、前記成形に未だ使用されていない前記ドレッサ歯面の未使用部位の一部からなる第2接触部位で接触可能な位置に、前記ドレッサ歯車の軸線方向に沿って前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させる第1移動工程と、相対移動により前記研削工具及び前記ドレッサ歯車が前記第2接触部位で接触可能な状態下に前記同期回転をさせる第2成形工程とを備えることを特徴とする。
このように、成形に既に使用されたドレッサ歯面の既使用部位の一部を少なくとも含む第1接触部位で接触可能な状態下に、研削工具及びドレッサ歯車に対して同期回転をさせるようにしたので、既使用部位を有効に利用しつつも研削工具の大まかな成形が可能である。また、成形に未だ使用されていないドレッサ歯面の未使用部位の一部からなる第2接触部位で接触可能な位置に、ドレッサ歯車の軸線方向に沿って研削工具及びドレッサ歯車を相対移動させた後、前記第2接触部位で接触可能な状態下に前記同期回転をさせるようにしたので、磨耗が発生しておらず切れ味が鋭い未使用部位のみを利用した高精度な成形が可能である。これにより、研削工具の成形精度を安定させつつも、ドレッサ歯車の一層の長寿命化を実現できる。
また、成形された前記研削工具とは異なる研削工具に対して、前記第1成形工程、第1移動工程、及び第2成形工程を順次実行することが好ましい。これにより、単一のドレッサ歯車を用いた成形であっても、複数の研削工具に対して略均一な成形精度が得られる。
更に、前記既使用部位に前記第2接触部位を更に含めた上、前記既使用部位を少なくとも含む接触部位で接触可能な位置に、前記軸線方向に沿って前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させる第2移動工程を更に備え、前記第2移動工程では、前記第1移動工程における移動量よりも小さい移動量で且つ反対方向に相対移動させることが好ましい。これにより、ドレッサ歯面の既使用部位を効率的に使用可能であり、ドレッサ歯車の一層の長寿命化を実現できる。
本発明に係る研削工具成形システムは、研削工具の螺旋状の研削歯に形成された研削歯面と接触するドレッサ歯面を有し、且つ、前記研削工具に対して同期回転するドレッサ歯車と、前記研削工具及び前記ドレッサ歯車のうち少なくとも一方の移動を制御する移動制御手段と、前記移動制御手段による制御に従って前記ドレッサ歯車の軸線方向に沿って前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させる移動手段とを備え、前記移動制御手段は、前記研削歯面と前記ドレッサ歯面とが接触可能な状態である際、前記同期回転による成形に既に使用された前記ドレッサ歯面の既使用部位の一部を少なくとも含む第1接触部位から、前記成形に未だ使用されていない前記ドレッサ歯面の未使用部位の一部からなる第2接触部位に前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させることを特徴とする。
本発明に係る研削工具成形方法及び研削工具成形システムによれば、成形に既に使用されたドレッサ歯面の既使用部位の一部を少なくとも含む第1接触部位で接触可能な状態下に、研削工具及びドレッサ歯車に対して同期回転をさせるようにしたので、既使用部位を有効に利用しつつも研削工具の大まかな成形が可能である。また、成形に未だ使用されていないドレッサ歯面の未使用部位の一部からなる第2接触部位で接触可能な位置に、ドレッサ歯車の軸線方向に沿って研削工具及びドレッサ歯車を相対移動させた後、前記第2接触部位で接触可能な状態下に前記同期回転をさせるようにしたので、磨耗が発生しておらず切れ味が鋭い未使用部位のみを利用した高精度な成形が可能である。これにより、研削工具の成形精度を安定させつつも、ドレッサ歯車の一層の長寿命化を実現できる。
本発明の一実施形態に係る研削工具成形システムの斜視図である。 図1に示す研削工具成形システムの概略ブロック図である。 図3Aは、ドレッサ歯車の右歯面と研削工具の研削歯面とが接触した状態を示した説明図である。図3Bは、ドレッサ歯車の左歯面と研削工具の研削歯面とが接触した状態を示した説明図である。 研削工具の成形手順を示すフローチャートである。 図5A〜図5Cは、ドレッサ歯車の移動状態を模式的に示した説明図である。 図6A及び図6Bは、1回目の成形過程における接触部位、既使用部位及び未使用部位の位置関係を模式的に示した説明図である。 図7A及び図7Bは、2回目の成形過程における接触部位、既使用部位及び未使用部位の位置関係を模式的に示した説明図である。 図8A及び図8Bは、3回目の成形過程における接触部位、既使用部位及び未使用部位の位置関係を模式的に示した説明図である。
以下、本発明に係る研削工具成形方法について、それを実施する研削工具成形システムとの関係で好適な実施形態を例示し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
[研削工具成形システム10の構成]
本発明の一実施形態に係る研削工具成形システム10は、研削工具18により図示しないワーク歯車を研削すると共に、このワーク歯車に代替するドレッサ歯車Gにより研削工具18を成形するためのシステムである。なお、本実施形態では、ワーク歯車及びドレッサ歯車Gとして、はすば歯車(ヘリカルギヤ)を用いた例について説明する。
図1及び図2に示すように、研削工具成形システム10は、ベッド12と、ベッド12の上面に配設された第1機構14と第2機構16と、第2機構16に装着された研削工具18と、ベッド12に隣接して配設された制御部20とを備える。
第1機構14は、ドレッサ歯車Gが装着可能に構成されており、ドレッサ歯車Gの回転軸線と直交する方向(矢印A方向)に進退可能な状態でベッド12の上面に設けられた切込テーブル22と、切込テーブル22を矢印A方向に進退させる切込モータ24と、ドレッサ歯車Gの軸線方向(矢印B方向)に移動可能な状態で切込テーブル22に設けられたトラバーステーブル26と、トラバーステーブル26を矢印B方向に移動させるトラバースモータ28(移動手段)とを有する。
また、第1機構14は、ドレッサ歯車Gを着脱可能なテールストック30と、減速機構32を介してドレッサ歯車Gを正逆両方向に回転させる第1回転モータ34と、ドレッサ歯車Gの回転角度に対応した信号(パルス信号)を出力する第1エンコーダ36とを更に有する。
テールストック30には、研削工具18とドレッサ歯車Gとの接触を検出する接触検出部38が設けられている。接触検出部38としては、研削工具18とドレッサ歯車Gの接触時に生じる弾性波P(接触音)を検出するAE(Acoustic Emission)センサが用いられる。AEセンサは、接触方式又は非接触方式のいずれの方式であっても構わない。
第2機構16は、ベッド12の上面に立設されたコラム40と、コラム40のうち第1機構14に指向する側面に沿って(矢印C方向に)旋回可能な状態で該コラム40に設けられた旋回テーブル42と、旋回テーブル42を矢印C方向に移動させる図示しない旋回モータと、研削工具18の回転軸線方向(矢印D方向)に移動可能な状態で旋回テーブル42に設けられたシフトテーブル44と、シフトテーブル44を矢印D方向に移動させるシフトモータ46とを有する。
また、第2機構16は、シフトテーブル44に固定された状態で研削工具18を回転自在に支持する工具支持部48と、研削工具18を回転させる第2回転モータ50と、研削工具18の回転角度に対応した信号(パルス信号)を出力する第2エンコーダ52とを更に有する。
図3A及び図3Bに示すように、研削工具18は、その外周に螺旋状の研削歯60を有しており、研削歯60には、ドレッサ歯車Gを構成する歯200の右歯面202R(ドレッサ歯面)を研削するための研削歯面62と、歯200の左歯面202L(ドレッサ歯面)を研削するための研削歯面64とが形成されている。研削歯面62と研削歯面64の各々には、例えば、単層のCBN(立方晶窒化硼素)砥粒等がニッケルメッキ層を介して電着されている。ここで、右歯面202R、左歯面202Lの各々には、CBN砥粒よりも硬度が高く、且つ、粒径が小さい砥粒(例えば、ダイヤモンド砥粒)がニッケルメッキ層を介して電着されている。
図2に戻って、制御部20は、図示しない旋回モータを制御して旋回テーブル42を矢印C方向に旋回し、シフトモータ46を制御してシフトテーブル44を矢印D方向に移動する。また、制御部20は、制御部本体70と複数のサーボアンプ72a〜72dとを有する。
制御部本体70は、切込モータ制御部74、トラバースモータ制御部76(移動制御手段)、コントローラ78、記憶部80、接触判定部82、及び位置決定部84を含む。
切込モータ制御部74は、サーボアンプ72aを介して切込モータ24を制御して切込テーブル22を矢印A方向に進退させる。トラバースモータ制御部76は、サーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を制御してトラバーステーブル26を矢印B方向に移動させる。
コントローラ78は、第1エンコーダ36及び第2エンコーダ52からの各々の出力信号に基づいて、サーボアンプ72cを介して第1回転モータ34を制御すると共に、サーボアンプ72dを介して第2回転モータ50を制御することにより、研削工具18及びドレッサ歯車Gに対して同期回転をさせる。また、コントローラ78は、第1回転モータ34を制御してドレッサ歯車Gのみを回転させることもできる。
記憶部80には、例えば、研削工具18及びドレッサ歯車Gの矢印B方向に沿った相対移動量に関する情報である移動量データ86と、ドレッサ歯車Gの使用状態に関する情報である成形履歴データ88とが記憶されている。ここで、移動量データ86は、後述する粗成形(第1成形工程)を実施する際の第1移動量、後述する仕上げ成形(第2成形工程)を実施する際の第2移動量の各値を含む。また、成形履歴データ88は、ドレッサ歯車Gの既使用部位(詳細は後述する)を特定する各種情報(例えば、成形の通算回数等)を含む。
接触判定部82は、接触検出部38にて検出された弾性波Pの信号強度から、研削工具18にドレッサ歯車Gが接触したか否か、あるいは両者の接触の程度を判定する。
位置決定部84は、移動量データ86及び成形履歴データ88を用いて、研削工具18及びドレッサ歯車Gの相対位置を決定する。研削工具18の位置・姿勢が予め固定された場合では、位置決定部84は、ドレッサ歯車Gの目標位置を決定する。
[研削工具成形システム10の動作説明]
続いて、上記した構成を備える研削工具成形システム10の動作について、図4のフローチャート、及び図5A〜図8Bを参照しながら説明する。本実施形態では、研削工具18の成形工程を2つの工程、より詳細には、粗成形(第1成形工程)及び仕上げ成形(第2成形工程)の2回に分けて実行する。なお、初期状態において、工具支持部48には、成形対象である研削工具18が装着されている。
ステップS1において、テールストック30にドレッサ歯車Gが装着される。先ず、装着されたドレッサ歯車Gは、研削工具18の成形に未だ使用されていないものとして説明する。
ステップS2において、制御部20は、研削工具18の研削歯面62(64)とドレッサ歯車Gの右歯面202R(左歯面202L)とが接触可能なように、研削工具18及びドレッサ歯車Gを噛み合わせる。
噛合に先立ち、位置決定部84は、記憶部80から移動量データ86及び成形履歴データ88を読み出し、ドレッサ歯車Gの目標位置を決定する。その後、制御部20が図示しない旋回モータとシフトモータ46を駆動制御し、切込モータ制御部74がサーボアンプ72aを介して切込モータ24を駆動制御し、トラバースモータ制御部76がサーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を駆動制御することにより、研削工具18とドレッサ歯車Gとを噛み合わせる。これにより、研削工具18及びドレッサ歯車Gは、図5Aに示す位置関係下に移動されたとする。
ステップS3において、制御部20は、右歯面202Rに対する研削歯面62の振れ量、及び、左歯面202Lに対する研削歯面64の振れ量をそれぞれ測定した上で、その振れ量に応じて各種研削条件(研削工具18及び/又はドレッサ歯車Gの回転速度等)を補正する。この測定方法及び補正方法には公知の手法を種々用いることができる。例えば、接触判定部82は、ステップS2での噛合・接触の際に発生する弾性波Pの強度(接触検出部38からの検出信号)に基づいて、上記した振れ量を測定できる。
ステップS4において、研削歯面62、64をそれぞれ粗成形する。具体的には、コントローラ78は、サーボアンプ72cを介して第1回転モータ34を回転駆動すると共に、サーボアンプ72dを介して第2回転モータ50を回転駆動することにより、研削工具18及びドレッサ歯車Gに対して同期回転させる。そうすると、右歯面202Rにより研削歯面62が研削される。また、同様の手順を経て、左歯面202Lにより研削歯面64が研削される。これにより、研削工具18が大まかに成形されるに至る。
その結果、図6Aに示すように、研削工具18との接触が可能である接触可能領域100のうち、ドレッサ歯車Gの位置P1近傍(第1接触部位102)で、研削工具18の研削歯60と接触する。なお、各接触部位は、実際には歯面毎に離散形状として存在するが、説明の便宜のため、矢印D方向に延在する帯状(連続形状)のハッチング領域としてそれぞれ表記する。
以下、同期回転による成形に既に使用されたドレッサ歯車Gの歯面(右歯面202R、左歯面202L)の部位を「既使用部位」と称する。一方、同期回転による成形に未だ使用されていないドレッサ歯車Gの歯面(右歯面202R、左歯面202L)の部位を「未使用部位」と称する。図6A例では、既使用部位104aは第1接触部位102に相当すると共に、未使用部位106aは接触可能領域100から既使用部位104aを除いた部位に相当する。
ステップS5において、切込モータ制御部74がサーボアンプ72aを介して切込モータ24を駆動制御することにより、研削工具18及びドレッサ歯車Gを一旦離間させる。
ステップS6において、制御部20は、研削工具18の研削歯面62(64)とドレッサ歯車Gの右歯面202R(左歯面202L)とが接触可能なように、研削工具18及びドレッサ歯車Gを噛み合わせる。この噛合に先立ち、位置決定部84は、移動量データ86及び成形履歴データ88から、ドレッサ歯車Gの次の目標位置を決定する。そして、トラバースモータ制御部76は、サーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を駆動制御することで、ドレッサ歯車Gをトラバース移動させる(第1移動工程)。具体的には、トラバースモータ制御部76は、ドレッサ歯車Gを、矢印B方向(B2側)に第1移動量(3s;sは正値)だけ移動させる。
図5A〜図5Cに示すように、ドレッサ歯車Gは、矢印B方向に沿ってB2側に第1移動量(3s)だけ相対移動される。そうすると、研削工具18及びドレッサ歯車Gを噛み合わせる際、ドレッサ歯車Gの接触部位が変化する。なお、本実施形態において、矢印B方向に沿ってドレッサ歯車Gのみ移動可能であるが、研削工具18及びドレッサ歯車Gのうち少なくとも一方を移動可能に設けてもよいことは言うまでもない。
ステップS7において、制御部20は、右歯面202Rに対する研削歯面62の振れ量、及び、左歯面202Lに対する研削歯面64の振れ量をそれぞれ測定した上で、その振れ量に応じて各種研削条件を補正する。なお、本ステップは、ステップS3の場合と同様であるため、その動作説明を割愛する。
ステップS8において、研削歯面62、64をそれぞれ仕上げ成形する。具体的には、コントローラ78は、サーボアンプ72cを介して第1回転モータ34を回転駆動すると共に、サーボアンプ72dを介して第2回転モータ50を回転駆動することにより、研削工具18及びドレッサ歯車Gに対して同期回転させる。そうすると、右歯面202Rにより研削歯面62が研削される。また、同様の手順を経て、左歯面202Lにより研削歯面64が研削される。これにより、研削工具18が高精度に成形されるに至る。
図6Bに示すように、ドレッサ歯車Gの接触可能領域100のうち、位置P2近傍(第2接触部位108)で、研削工具18の研削歯60と接触する。図6B例では、既使用部位104bは、図6Aに示す既使用部位104aに第2接触部位108を含めた部位に相当する。また、未使用部位106bは、接触可能領域100から既使用部位104bを除いた部位に相当する。
ステップS9において、切込モータ制御部74がサーボアンプ72aを介して切込モータ24を駆動制御することにより、研削工具18及びドレッサ歯車Gを再度離間させる。
ステップS10において、ドレッサ歯車Gは、テールストック30から取り外される。このとき、成形履歴データ88が更新され、このドレッサ歯車Gが研削工具18の成形に1回使用された旨が記憶される。
このようにして、研削工具18に対して粗成形及び仕上げ成形を順次実行することにより1回目の成形過程が終了する。続いて、2回目以降における研削工具18の成形過程について、図6A〜図8Bを参照しながら説明する。ここでは、研削歯60が再び摩耗した研削工具18や、研削歯60が摩耗した別の研削工具18を研削する場合を想定する。
2回目以降の成形過程は、1回目の場合と基本的に同じであり、図4のフローチャートに従って実行される。ここでは、研削工具成形システム10の動作説明を割愛し、研削工具18及びドレッサ歯車Gの接触位置の状態遷移を中心に説明する。
図7Aは、2回目の成形過程での粗成形(図4のステップS4)における、第1接触部位110、既使用部位104c及び未使用部位106cの位置関係を模式的に示した説明図である。トラバースモータ制御部76は、サーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を駆動制御することで、ドレッサ歯車Gをトラバース移動させる(第2移動工程)。具体的には、トラバースモータ制御部76は、ドレッサ歯車Gを、矢印B方向(B1側)に第2移動量(s)だけ移動させる。これにより、ドレッサ歯車Gは、位置P2を基準として、矢印B方向に沿ってB2側に第2移動量(s)だけ相対移動される。
そして、ドレッサ歯車Gの接触可能領域100のうち、位置P3近傍(第1接触部位110)で、研削工具18の研削歯60と接触する。ここで、ダブルハッチングを付した領域は通算して2回接触した部位を示しており、後述する図7B〜図8Bについても同様に定義する。本図例では、第1接触部位110及び第2接触部位108の間の重複領域に相当する。換言すれば、第1接触部位110は、既使用部位104b(図6B参照)の一部又は全部で構成されている。
なお、本図例では、既使用部位104cは、図6Bに示す既使用部位104bに第1接触部位110を含めた部位に相当する。また、未使用部位106cは、接触可能領域100から既使用部位104cを除いた残りの部位(2つの領域)に相当する。
図7Bは、2回目の成形過程での仕上げ成形(図4のステップS8)における、第2接触部位112、既使用部位104d及び未使用部位106dの位置関係を模式的に示した説明図である。トラバースモータ制御部76は、サーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を駆動制御することで、ドレッサ歯車Gを矢印B方向(B2側)に第1移動量(3s)だけ移動させる。これにより、ドレッサ歯車Gは、位置P3を基準として、矢印B方向に沿ってB1側に第1移動量(3s)だけ相対移動される。
そして、ドレッサ歯車Gの接触可能領域100のうち、位置P4近傍(第2接触部位112)で、研削工具18の研削歯60と接触する。本図例では、第2接触部位112は、いずれの接触部位にも重複しない。換言すれば、第2接触部位112は、未使用部位106c(図7A参照)の一部のみからなる。
なお、本図例では、既使用部位104dは、図7Aに示す既使用部位104cに第2接触部位112を含めた部位に相当する。また、未使用部位106dは、接触可能領域100から既使用部位104dを除いた残りの部位(3つの領域)に相当する。
図8Aは、3回目の成形過程での粗成形(図4のステップS4)における、第1接触部位114、既使用部位104e及び未使用部位106eの位置関係を模式的に示した説明図である。トラバースモータ制御部76は、サーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を駆動制御することで、ドレッサ歯車Gを矢印B方向(B1側)に第2移動量(s)だけ移動させる。これにより、ドレッサ歯車Gは、位置P4を基準として、矢印B方向に沿ってB2側に第2移動量(s)だけ相対移動される。
そして、ドレッサ歯車Gの接触可能領域100のうち、位置P5近傍(第1接触部位114)で、研削工具18の研削歯60と接触する。本図例では、第1接触部位114は、第2接触部位108、112の一部とそれぞれ重複する。換言すれば、第1接触部位114は、既使用部位104d(図7B参照)の一部を少なくとも含んでいる。
なお、本図例では、既使用部位104eは、図7Bに示す既使用部位104dに第1接触部位114を含めた部位に相当する。また、未使用部位106eは、接触可能領域100から既使用部位104eを除いた残りの部位(2つの領域)に相当する。
図8Bは、3回目の成形過程での仕上げ成形(図4のステップS8)における、第2接触部位116、既使用部位104f及び未使用部位106fの位置関係を模式的に示した説明図である。トラバースモータ制御部76は、サーボアンプ72bを介してトラバースモータ28を駆動制御することで、ドレッサ歯車Gを矢印B方向(B2側)に第1移動量(3s)だけ移動させる。これにより、ドレッサ歯車Gは、位置P5を基準として、矢印B方向に沿ってB1側に第1移動量(3s)だけ相対移動される。
そして、ドレッサ歯車Gの接触可能領域100のうち、位置P6近傍(第2接触部位116)で、研削工具18の研削歯60と接触する。本図例では、第2接触部位116は、いずれの接触部位にも重複しない。換言すれば、第2接触部位116は、未使用部位106e(図8A参照)の一部のみからなる。
なお、本図例では、既使用部位104fは、図8Aに示す既使用部位104eに第2接触部位116を含めた部位に相当する。また、未使用部位106fは、接触可能領域100から既使用部位104fを除いた残りの部位(3つの領域)に相当する。
以下、粗成形(図4のステップS4)、相対移動(同ステップS6)、及び仕上げ成形(同ステップS8)を順次繰り返すことで、4回目以降の成形過程を実行できる。なお、最新の成形履歴データ88を記憶部80に記憶させることで、ドレッサ歯車Gを任意のタイミングで装着し、所望の形成工程を実行することができる。
以上のように、成形に既に使用されたドレッサ歯面(右歯面202R、左歯面202L)の既使用部位104a〜104fの一部を少なくとも含む第1接触部位102、110、114で接触可能な状態下に、研削工具18及びドレッサ歯車Gに対して同期回転をさせるようにしたので、既使用部位104a〜104fを有効に利用しつつも研削工具18の大まかな成形が可能である。また、成形に未だ使用されていないドレッサ歯面の未使用部位106a〜106fの一部からなる第2接触部位108、112、116で接触可能な位置に、ドレッサ歯車Gの軸線方向(矢印B方向)に沿って研削工具18及びドレッサ歯車Gを相対移動させた後、第2接触部位108、112、116で接触可能な状態下に前記同期回転をさせるようにしたので、磨耗が発生しておらず切れ味が鋭い未使用部位106a〜106fのみを利用した高精度な成形が可能である。これにより、研削工具18の成形精度を安定させつつも、ドレッサ歯車Gの一層の長寿命化を実現できる。
また、成形された研削工具18とは異なる研削工具18に対して、粗成形、トラバース移動、及び仕上げ成形を順次実行することが好ましい。これにより、単一のドレッサ歯車Gを用いた成形であっても、複数の研削工具18に対して略均一な成形精度が得られる。
更に、既使用部位104a、104c、104eに第2接触部位108、112、116を更に含めた上、既使用部位104a、104c、104eを少なくとも含む接触部位で接触可能な位置に、軸線方向(矢印B方向)に沿って研削工具18及びドレッサ歯車Gを相対移動させる第2移動工程を更に備え、この第2移動工程では、第1移動工程(図4のステップS6参照)における移動量(3s)よりも小さい移動量(s)で且つ反対方向に相対移動させてもよい。これにより、ドレッサ歯面(右歯面202R、左歯面202L)の既使用部位104a、104c、104eを効率的に使用可能であり、ドレッサ歯車Gの一層の長寿命化を実現できる。
なお、この発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
10…研削工具成形システム 18…研削工具
20…制御部 28…トラバースモータ
60…研削歯 76…トラバースモータ制御部
80…記憶部 84…位置決定部
86…移動量データ 88…成形履歴データ
102、110、114…第1接触部位 104a〜104f…既使用部位
106a〜106f…未使用部位
108、112、116…第2接触部位
202L…左歯面 202R…右歯面
G…ドレッサ歯車 P1〜P6…位置

Claims (3)

  1. 研削工具の螺旋状の研削歯に形成された研削歯面と、ドレッサ歯車のドレッサ歯面とが接触可能な状態下に、前記研削工具及び前記ドレッサ歯車に対して同期回転をさせることで前記研削工具の成形をする方法であって、
    前記同期回転による前記成形に既に使用された前記ドレッサ歯面の既使用部位の一部を少なくとも含む第1接触部位で接触可能な状態下に前記同期回転をさせる第1成形工程と、
    前記既使用部位に前記第1接触部位を含めた上、前記成形に未だ使用されていない前記ドレッサ歯面の未使用部位の一部からなる第2接触部位で接触可能な位置に、前記ドレッサ歯車の軸線方向に沿って前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させる第1移動工程と、
    相対移動により前記研削工具及び前記ドレッサ歯車が前記第2接触部位で接触可能な状態下に前記同期回転をさせる第2成形工程と
    を備え
    成形された前記研削工具とは異なる研削工具に対して、前記第1成形工程、第1移動工程、及び第2成形工程を順次実行し、
    前記第1接触部位は、既に実行された前記第2成形工程で前記第2接触部位として使用された前記既使用部位の一部を少なくとも含む
    ことを特徴とする研削工具成形方法。
  2. 請求項記載の方法において、
    前記既使用部位に前記第2接触部位を更に含めた上、前記既使用部位を少なくとも含む接触部位で接触可能な位置に、前記軸線方向に沿って前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させる第2移動工程を更に備え、
    前記第2移動工程では、前記第1移動工程における移動量よりも小さい移動量で且つ反対方向に相対移動させる
    ことを特徴とする研削工具成形方法。
  3. 研削工具の螺旋状の研削歯に形成された研削歯面と接触するドレッサ歯面を有し、且つ、前記研削工具に対して同期回転するドレッサ歯車と、
    前記研削工具及び前記ドレッサ歯車のうち少なくとも一方の移動を制御する移動制御手段と、
    前記移動制御手段による制御に従って前記ドレッサ歯車の軸線方向に沿って前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させる移動手段と、
    を備え、
    前記移動制御手段は、前記研削歯面と前記ドレッサ歯面とが接触可能な状態である際、前記同期回転による成形に既に使用された前記ドレッサ歯面の既使用部位の一部を少なくとも含む第1接触部位から、前記成形に未だ使用されていない前記ドレッサ歯面の未使用部位の一部からなる第2接触部位に前記研削工具及び前記ドレッサ歯車を相対移動させ
    前記第1接触部位は、既に前記第2接触部位として使用された前記既使用部位の一部を少なくとも含む
    ことを特徴とする研削工具成形システム。
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