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JP5738502B1 - 熱膨張性マイクロカプセル - Google Patents

熱膨張性マイクロカプセル Download PDF

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JP5738502B1 JP2015047517A JP2015047517A JP5738502B1 JP 5738502 B1 JP5738502 B1 JP 5738502B1 JP 2015047517 A JP2015047517 A JP 2015047517A JP 2015047517 A JP2015047517 A JP 2015047517A JP 5738502 B1 JP5738502 B1 JP 5738502B1
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Abstract

【課題】高い発泡倍率、高温での耐久性を有する熱膨張性マイクロカプセル、該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ、発泡成形体及び該熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供する。【解決手段】重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、前記シェルは、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなり、前記アミド基を有するモノマーは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1種を含有し、前記シェルを構成する重合体は、140℃、30分間加熱時の架橋度(A)が50重量%以上、210℃、30分間加熱時の架橋度(B)が75重量%以上であり、前記BとAとの比率(B/A)が1.2〜1.8である熱膨張性マイクロカプセル。【選択図】なし

Description

本発明は、高い発泡倍率、高温での耐久性を有する熱膨張性マイクロカプセル、該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ、発泡成形体及び該熱膨張性マイクロカプセルの製造方法に関する。
熱膨張性マイクロカプセルは、意匠性付与剤や軽量化剤として幅広い用途に使用されており、発泡インク、壁紙をはじめとした軽量化を目的とした塗料等にも利用されている。
このような熱膨張性マイクロカプセルとしては、熱可塑性シェルポリマーの中に、シェルポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる揮発性膨張剤が内包されているものが広く知られており、例えば、特許文献1には、低沸点の脂肪族炭化水素等の揮発性膨張剤をモノマーと混合した油性混合液を、油溶性重合触媒とともに分散剤を含有する水系分散媒体中に攪拌しながら添加し懸濁重合を行うことにより、揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法が開示されている。
しかしながら、この方法によって得られた熱膨張性マイクロカプセルは、80〜130℃程度の比較的低温では、揮発性膨張剤のガス化によって熱膨張させることができるものの、高温又は長時間加熱すると、膨張したマイクロカプセルからガスが抜けることによって発泡倍率が低下するという問題があった。また、熱膨張性マイクロカプセルの耐熱性や強度の問題から、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象が生じ、高温時に潰れてしまうことがあった。
一方、特許文献2には、カルボキシル基を含有するモノマーと、カルボキシル基と反応する基を持つモノマーとを重合することにより得られるポリマーをシェルとして用いた熱膨張性マイクロカプセルが開示されている。このような熱膨張性マイクロカプセルでは、3次元架橋密度が高まることで、発泡後のシェルが非常に薄い状態でも収縮に対して強い抵抗を示し、耐熱性は飛躍的に向上するとしている。
しかしながら、重合時点で強固な3次元架橋が形成されることにより、発泡時の膨張が阻害され、発泡倍率については依然として不充分であった。
特公昭42−26524号公報 国際公開第99/43758号
本発明は、高い発泡倍率、高温での耐久性を有する熱膨張性マイクロカプセル、該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ、発泡成形体及び該熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、前記シェルは、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなり、前記アミド基を有するモノマーは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1種を含有し、前記シェルを構成する重合体は、140℃、30分間加熱時の架橋度(A)が50重量%以上、210℃、30分間加熱時の架橋度(B)が75重量%以上であり、前記BとAとの比率(B/A)が1.2〜1.8である熱膨張性マイクロカプセルである。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルの原料として、ニトリル系モノマーに加えて、アミド基を有するモノマー及び分子中にグリシジル基を有する化合物を加えて、140℃及び210℃で30分間の加熱時の架橋度、及び、それぞれの架橋度の比率を所定の範囲内とすることで、発泡開始温度付近からシェルのガスバリア性が高く、良好な熱膨張性が得られること、並びに、最大発泡温度付近ではシェルが高硬度化して、へたりが生じにくく優れた耐久性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
上記シェルを構成する重合体は、140℃、30分間加熱時における架橋度(A)が50重量%以上である。上記架橋度(A)が50重量%未満であると、発泡開始時にシェルの網目が広がりやすくなり、揮発性膨張剤がシェル外部に放出されることで、膨張倍率を上げることが難しくなる。また、耐熱性が低下する。
上記架橋度(A)は55〜74重量%であることが好ましく、72〜74重量%であることがより好ましい。このような範囲とすることで、200℃、30分での定温保持性、耐熱性および耐久性を向上することが可能となる。
なお、上記架橋度は、加熱前の熱膨張性マイクロカプセルのシェルの重量に対する、溶剤と混合させた時の熱膨張マイクロカプセルのシェルを構成する重合体中における未溶解物の重量比(重量%)である。上記溶剤としては、シェルを構成する重合体を溶解する溶剤であるN,N−ジメチルホルムアミドを使用する。
また、「140℃、30分間加熱時の架橋度」とは、140℃の一定温度で30分間継続して加熱した後の架橋度をいう。
上記シェルを構成する重合体は、210℃、30分間加熱時における架橋度(B)が75重量%以上である。上記架橋度(B)が75重量%未満であると、熱膨張が最大となった際に熱膨張性マイクロカプセルにへたりが生じやすくなることがある。上記架橋度(B)は85〜100重量%であることが好ましい。
上記シェルを構成する重合体は、上記BとAとの比率(B/A)が1.2〜1.8である。
上記(B/A)が1.2未満であると、シェルの架橋が充分に進行しないため、熱膨張性マイクロカプセルにへたりが生じ、上記(B/A)が1.8を超えると、シェルが硬くなりすぎて、充分な熱膨張性が得られない。
上記(B/A)の好ましい下限は1.3、好ましい上限は1.6である。
上記架橋度(A)と架橋度(B)との差(B−A)は、5〜50重量%とすることが好ましい。
上記(B−A)が5重量%以上であると、熱膨張性マイクロカプセルにへたりが生じることを抑えることができ、200℃、30分間での定温保持性を充分なものとすることができる。50重量%以下であると、発泡倍率を充分に高めることができる。より好ましくは18〜40重量%であり、更に好ましくは22〜35重量%である。また、上記差が20〜24重量%であると、200℃、30分間での定温保持性に加え、耐熱性および耐久性を得ることが可能となる。
上記シェルを構成する重合体は、示差走査熱分析曲線において140〜210℃の間で発熱を示すことが好ましい。上記温度範囲内で熱膨張性マイクロカプセルのシェルが硬化に伴う発熱を示すことで、熱膨張性マイクロカプセルの最大膨張温度領域と重なるため、熱膨張性マイクロカプセルのへたりが生じにくくなる。
なお、「示差走査熱分析曲線において140〜210℃の間で発熱を示す」とは、示差走査熱分析曲線において、140℃時の発熱量を始点、210℃時の発熱量を終点とした時に、始点と終点を直線で結んだ点に対して、その直線上よりも上に凸となる変曲点を示す場合をいう。上記変曲点の最大発熱量を示す温度を示差走査熱分析曲線における発熱温度ともいう。
本発明では、特に、上記シェルを構成する重合体が、示差走査熱分析曲線において150〜210℃の間で発熱を示すことが好ましい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、温度140℃、周波数10Hzにおけるシェルを構成する重合体の貯蔵弾性率(X)の好ましい下限が1×10Pa、好ましい上限が1×10Paである。上記貯蔵弾性率(X)が1×10Pa以上であると、シェルの柔軟性を保持することができ、熱膨張性がより一層良好となる。
上記貯蔵弾性率(X)が、1×10Pa未満であると、熱膨張開始時にシェルの網目が広がりやすくなり、揮発成分がシェル外部に放出されることで、発泡倍率を上げることが難しくなることがある。また、耐熱性が低下する場合がある。上記貯蔵弾性率(X)が1×10Paを超えると、シェルの伸びが悪くなり、熱膨張倍率を上げる事が難しくなることがある。上記貯蔵弾性率(X)のより好ましい下限は4.5×10Pa、より好ましい上限は6.0×10Paである。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、温度210℃、周波数10Hzにおけるシェルを構成する重合体の貯蔵弾性率(Y)の好ましい下限が1×10Pa、好ましい上限が1×10Paである。上記貯蔵弾性率(Y)が1×10Pa以上であると、シェルが高硬度化し、成形時の溶融混練時のせん断に対するシェルの破壊を抑制することができ、安定な成形体を得ることができる。
上記貯蔵弾性率(Y)が、1×10Pa未満であると、耐久性が充分に得られ難くなることがある。また、低温保持性が悪くなることがある。上記貯蔵弾性率(Y)が1×10Paを超えると、シェルが高硬度化しすぎて、逆にシェルが脆くなることがある。上記貯蔵弾性率(Y)のより好ましい下限は1.3×10Pa、より好ましい上限は5.5×10Paである。
なお、上記温度140℃及び210℃、周波数10Hzにおけるシェルの貯蔵弾性率(X)、
(Y)は、本発明の熱膨張性マイクロカプセルを構成するシェルのみをシート状の試験片とし、動的粘弾性測定装置を用い、引張法にて測定することができる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、140℃、10Hzにおけるシェルを構成する重合体の貯蔵弾性率(X)と、210℃、10Hzにおけるシェルの貯蔵弾性率(Y)との比率(Y/X)の好ましい下限が100、好ましい上限が1000である。上記(Y/X)が100以上であると、定温保持性と耐熱性を良好にすることができ、1000以下であると、定温保持性と耐圧縮性を良好にすることができる。
上記(Y/X)のより好ましい下限は120、より好ましい上限は500である。
上記重合体からなるシェルは、常温時のゲル分率をx、180℃、30分間加熱時のゲル分率をyとした場合に、yが50%以上であり、かつ、y/xが1.1以上であることが好ましい。
上記yが50%以上であると、膨張した際にシェルが収縮したり、破裂したりすることが少なくなるために、耐熱性、耐久性が良好となり、上記y/xが1.1以上であると、常温から膨張開始温度付近でのシェルが柔軟であるために発泡倍率が高くなり、膨張した後のシェルが高強度であるため、耐熱性、耐久性が良好となる。
なお、上記yは60〜90%であることがより好ましく、上記y/xは1.2〜5.0であることがより好ましい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、重合体からなるシェルにコア剤として揮発性膨張剤を内包する構造を有する。このような構造を有することにより、例えば、本発明の熱膨張性マイクロカプセルをマトリックス樹脂に配合して成形することによって、成形時の加熱により上記コア剤がガス状になるとともに上記シェルが軟化して膨張し、発泡成形体等を製造することができる。
また、本発明では、上記シェルは、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなるものである。このようなモノマー組成物を用いることで、架橋度(A)、架橋度(B)、BとAとの比率(B/A)、貯蔵弾性率(X)、貯蔵弾性率(Y)、XとYとの比率(X/Y)を所定の範囲内とすることができる。
上記モノマー組成物が上記ニトリル系モノマーを含有することにより、得られる熱膨張性マイクロカプセルは高い耐熱性とガスバリア性とを有することとなる。
上記ニトリル系モノマーは特に限定されず、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、フマルニトリル、又は、これらの混合物等が挙げられる。これらのなかでは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルが特に好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記モノマー組成物中の上記ニトリル系モノマーの含有量は、好ましい下限が50重量%、好ましい上限が99重量%である。上記ニトリル系モノマーの含有量が50重量%以上であると、ガスバリア性を良好なものとすることができ、発泡倍率を充分なものとすることができる。99重量%以下であると、他成分を充分に含有させることができ、加熱発泡時にアミド基とグリシジル基とが結合することによって得られる効果を充分に発現させることができる。
より好ましい下限は60重量%、より好ましい上限は95重量%である。
上記重合体を形成するためのモノマー組成物は、アミド基を有するモノマーを含有する。また、上記アミド基を有するモノマーは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1種を含有するものである。
上記アクリルアミド、メタクリルアミドは、高い耐熱性とガスバリア性を有するため、上記モノマー組成物が上記アミド基を有するモノマーを含有することにより、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、加熱発泡させる際の熱によって、アミド基と後述する分子中にグリシジル基を有する化合物とが結合するため、耐熱性や耐久性を更に向上させることが可能となる。
上記アクリルアミド及びメタクリルアミド以外のアミド基を有するモノマーとしては、N−置換(メタ)アクリルアミド、N,N−置換(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアミ
ド等が挙げられる。
上記N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−イソプロポキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−イソブトキシメチルアクリルアミド、N−オクチロキシメチルアクリルアミド、N−カルボキシメチレンオキシメチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
上記N,N−置換(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等が挙げられる。
上記N−ビニルアミドとしては、N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
上記アミド基を有するモノマーとして、N−置換(メタ)アクリルアミド、又は、N,N−置換(メタ)アクリルアミドを用いる場合、窒素上の置換基の炭素数は1〜4が好ましく、より好ましくは窒素上の置換基の炭素数が1〜2である。
上記アミド基を有するモノマーにおけるアクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1種の含有量は、好ましい下限が50重量%である。上記含有量が50重量%以上であると、加熱発泡時に後述する分子中にグリシジル基を有する化合物と結合することによって得られる効果が良好となる。
上記モノマー組成物中の上記アミド基を有するモノマーの含有量は、全モノマー組成物100重量%に対して、好ましい下限が0.9重量%、好ましい上限が20重量%である。
上記アミド基を有するモノマーの含有量が0.9重量%以上であると、加熱発泡時に後述する分子中にグリシジル基を有する化合物と結合することによって得られる効果がより一層良好となる。上記アミド基を有するモノマーの含有量が20重量%以下であると、重合時の粒子凝集の誘発を抑制することができる。より好ましい下限が2重量%、より好ましい上限が18重量%であり、特に好ましい下限が3重量%、特に好ましい上限が15重量%である。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物に対するアミド基を有するモノマーの含有比(アミド基を有するモノマー/分子中にグリシジル基を有する化合物)は、好ましい下限が1.5、好ましい上限が12である。
上記アミド基を有するモノマーの分子中にグリシジル基を有する化合物に対する含有量が上記範囲内であると、加熱発泡時に後述する分子中にグリシジル基を有する化合物と結合することによって得られる効果がより一層良好となる。
上記重合体を形成するためのモノマー組成物は、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有する。上記グリシジル基とアミド基とは、140〜300℃で硬化反応するのに対して、重合時の温度は一般的に100℃以下であるため、重合体の重合時には、上記グリシジル基とアミド基との硬化反応は起こらない。
一方、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時の温度は、一般的に100〜300℃であるため、上記グリシジル基はアミド基と加熱発泡時の高温で反応することで、高い耐熱性とガスバリア性を実現することができる。また、膨張後も形状を維持することができ、保持性に優れたものとなる。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物は、上記モノマー組成物の重合時ではなく、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時に硬化するため、発泡時の膨張が阻害されることなく、発泡倍率を高めることができる。
なお、上記分子中にグリシジル基を有する化合物は、モノマーとして、シェルの重合体を構成するものであってもよく、重合体を構成するものではなく、シェル中に含まれるもの
であってもよい。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物としては、分子中に重合性不飽和結合を1個以上有するものが好ましい。上記分子中に重合性不飽和結合を1個以上有することで、重合性基がシェルポリマーの主鎖に取り込まれることによって、熱膨張性マイクロカプセルの加熱発泡時の硬化性がより強固なものとすることができ、耐熱性や耐久性を大幅に向上させることが可能となる。
また、上記分子中にグリシジル基を有する化合物としては、分子中にグリシジル基を2個以上有しているものがより好ましい。上記分子中にグリシジル基を2個以上有することで、硬化性をより強固なものとすることができる。特に、加熱発泡させる際の熱によって、アミド基とグリシジル基とがより強固に結合し、耐熱性や耐久性を大幅に向上させることが可能となる。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物としては、例えば、グリシジル基含有モノマー、エポキシ樹脂が挙げられる。
なお、グリシジル基含有モノマーとは、グリシジル基及びラジカル重合性二重結合を有するモノマーをいう。
また、エポキシ樹脂とは、分子内に2つ以上のオキシラン環(エポキシ基)を有し、ラジカル重合性二重結合を有しない化合物である。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。エポキシ(メタ)アクリレートとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アリルグリシジルエーテル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、フェノール型エポキシジアクリレート、アリルアルコール型エポキシジアクリレート、1,6−へキサンジオール型エポキシジアクリレート、ビスフェノール型エポキシジアクリレート、フタル酸型エポキシジアクリレート、ポリプロピレングリコール型エポキシジアクリレート(n=1、3、11)、ポリエチレングリコール型エポキシジメタクリレート(n=1、2、9)等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER−828:三菱化学社製)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YX−8000:三菱化学社製)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(jER−807:三菱化学社製)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(jER−152:三菱化学社製)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(N−660:DIC社製)、ビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000:三菱化学社製)、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(HP−7200L:DIC社製)、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(jER−630:三菱化学社製)等が挙げられる。
また、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル類を用いてもよい。
なお、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルのオキシエチレン部分の繰り返し数は特に限定されず、例えば、オキシエチレン部分の繰り返し数が2、4、9、13又は23(n=2、4、9、13又は23)であるポリエチレングリコールジグリシジルエーテルを用いることができる。また、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルのオキシプロピレン部分の繰り返し数は特に限定されず、例えば、オキシプロピレン部分の繰り返し数が2、3又は11(n=2、3又は11)であるポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを用いることができる。
また、グリシジルエーテル構造を分子内に2個以上有する化合物を用いてもよい。
上記グリシジルエーテル構造を分子内に2個以上有する化合物として、例えば、グリセリン1モルに対してエピクロルヒドリン0〜1モルを付加させた化合物のポリグリシジルエーテル及びその混合物や、エチレングリコール1モルに対してエピクロルヒドリン0〜2モルを付加させた化合物のポリグリシジルエーテル及びその混合物等も挙げられる。
上記分子中にグリシジル基を有する化合物のなかでも、上記アミド基と高温で反応することで耐熱性や耐久性を向上させる観点から、グリシジルメタクリレートが好ましい。
上記モノマー組成物中の上記分子中にグリシジル基を有する化合物の含有量は、全モノマー組成物100重量%に対して、好ましい下限が0.1重量%、好ましい上限が15重量%である。上記分子中にグリシジル基を有する化合物の含有量が0.1重量%以上であると、加熱発泡時にアミド基と結合することによって得られる効果がより一層良好となる。上記分子中にグリシジル基を有する化合物の含有量が15重量%以下であると、重合時の粒子凝集の誘発を抑制することができる。より好ましい下限が0.5重量%、より好ましい上限が10重量%であり、更に好ましい下限が1重量%、更に好ましい上限が5重量%である。
上記モノマー組成物は、更に、分子中に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマーを含有することが好ましい。上記架橋性モノマーは、架橋剤としての役割を有する。上記架橋性モノマーを含有することにより、シェルの強度を強化することができ、熱膨張時にセル壁が破泡し難くなる。なお、上記分子中に二重結合を2つ以上有する架橋性モノマーは、上記分子中にグリシジル基を有する化合物を含まないものである。
上記架橋性モノマーとしては、ラジカル重合性二重結合を2つ以上有するモノマーが挙げられ、具体例には例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、重量平均分子量が200〜600であるポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアリルホルマールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのなかでは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能性のものや、ポリエチレングリコール等の2官能性の(メタ)アクリレートが、アクリロニトリルを主体としたシェルには比較的均一に架橋が施され、210℃を超える高温領域でも熱膨張したマイクロカプセルが収縮しにくく、膨張した状態を維持しやすいため、いわゆる「へたり」と呼ばれる現象を抑制することができ、好適に用いられる。
上記モノマー組成物中における、上記架橋性モノマーの含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は3.0重量%である。
上記架橋性モノマーの含有量が0.1重量%未満であると、架橋剤としての効果が発揮されないことがあり、上記架橋性モノマーを、3.0重量%を超えて添加した場合、熱膨張性マイクロカプセルの発泡倍率が低下する。上記架橋性モノマーの含有量のより好ましい下限は0.15重量%、より好ましい上限は2.0重量%である。
上記モノマー組成物は、上記ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、分子中にグリシジル基を有する化合物及び架橋性モノマー以外に、上記ニトリル系モノマー等と共重合することのできる他のモノマー(以下、単に他のモノマーともいう)を含有してもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、得られる熱膨張性マイクロカプセルに必要とされる特性に応じて適宜選択することができるが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、ジシクロペンテニルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、イソボルニルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、スチレン等のビニルモノマー等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記モノマー組成物が上記他のモノマーを含有する場合、上記モノマー組成物中の上記他のモノマーの含有量は特に限定されないが、全モノマー組成物100重量%に対する好ましい上限が40重量%である。
上記他のモノマーの含有量が40重量%を超えると、上記ニトリル系モノマーの含有量が低下して、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、耐熱性及びガスバリア性が低下し、高温において、破裂及び収縮を生じやすく、高発泡倍率で発泡できないことがある。
上記モノマー組成物は、カルボキシル基を有するモノマーの含有量が全モノマー成分100重量部に対して0.001重量部以下であることが好ましく、特に、カルボキシル基を有するモノマーを含有しないことが好ましい。
上記カルボキシル基を有するモノマーを含有することにより、主に、上記カルボキシル基を有するモノマーの残留モノマーが、成形に用いる基材樹脂の酸化劣化を促進するため、成形体を黄褐色に着色させてしまったり、成形時の加熱で残留モノマーが揮発し、酸特有の刺激臭が拡がることで作業環境に悪影響を及ぼしたりすることがある。
上記カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。また、これらの塩や無水物等も含まれる。
上記モノマー組成物には、重合開始剤を添加することが好ましい。
上記重合開始剤は特に限定されず、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が挙げられる。
上記過酸化ジアルキルは特に限定されず、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド等が挙げられる。
上記過酸化ジアシルは特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等が挙げられる。
上記パーオキシエステルは特に限定されず、例えば、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α,α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
上記パーオキシジカーボネートは特に限定されず、例えば、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等が挙げられる。
上記アゾ化合物は特に限定されず、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
上記モノマー組成物には、更に、必要に応じて、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、シランカップリング剤、色剤等を添加してもよい。
上述のようなモノマー組成物を重合させて得られる重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、好ましい下限は10万、好ましい上限は200万である。
上記重量平均分子量が10万未満であると、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、シェルの強度が低下し、高温において、破裂及び収縮を生じやすく、高発泡倍率で発泡できないことがある。上記重量平均分子量が200万を超えると、得られる熱膨張性マイクロカプセルは、シェルの強度が高くなりすぎ、発泡性能が低下することがある。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、コア剤として揮発性膨張剤を内包する。
本明細書中、揮発性膨張剤とは、上記シェルの軟化点以下の温度で、ガス状になる物質をいう。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル等の低分子量炭化水素、CClF、CCl、CClF、CClF−CClF等のクロロフルオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル、及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルでは、上述した揮発性膨張剤のなかでも、炭素数が10以下の低沸点炭化水素を用いることが好ましい。このような炭化水素を用いることにより、発泡倍率が高く、速やかに発泡を開始する熱膨張性マイクロカプセルとすることができる。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルにおいて、コア剤として用いる揮発性膨張剤の含有量の好ましい下限は10重量%、好ましい上限は25重量%である。
上記シェルの厚みはコア剤の含有量によって変化するが、コア剤の含有量を減らして、シェルが厚くなり過ぎると発泡性能が低下し、コア剤の含有量を多くすると、シェルの強度が低下する。上記コア剤の含有量を10〜25重量%とした場合、熱膨張性マイクロカプセルのへたり防止と発泡性能向上とを両立させることが可能となる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの最大発泡温度(Tmax)は特に限定されないが、好ましい下限が200℃である。上記最大発泡温度が200℃未満であると、熱膨張性マイクロカプセルは、耐熱性が低くなり、高温において、破裂及び収縮を生じやすく、高発泡倍率で発泡できないことがある。また、上記最大発泡温度が200℃未満であると、例えば、熱膨張性マイクロカプセルを用いてマスターバッチペレットを製造する場合に、ペレット製造時の剪断力により発泡が生じてしまい、未発泡のマスターバッチペレットを安定して製造できないことがある。上記熱膨張性マイクロカプセルの最大発泡温度は、より好ましい下限が210℃である。
なお、本明細書中、上記最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセルを常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセルが最大変位量となったときの温度を意味する。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、発泡開始温度(Ts)の好ましい上限が200℃である。上記発泡開始温度が200℃を超えると特に射出成形の場合、発泡倍率が上がらないことがある。上記発泡開始温度の好ましい下限は130℃、より好ましい上限は180℃である。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの体積平均粒子径は特に限定されないが、好ましい下限が10μm、好ましい上限が50μmである。上記体積平均粒子径が10μm未満であると、例えば、熱膨張性マイクロカプセルをマトリックス樹脂に配合して成形する場合に、得られる発泡成形体の気泡が小さすぎ、軽量化が不充分となることがある。上記体積平均粒子径が50μmを超えると、例えば、熱膨張性マイクロカプセルをマトリックス樹脂に配合して成形する場合に、得られる発泡成形体の気泡が大きくなりすぎ、強度等の面で問題となることがある。上記体積平均粒子径は、より好ましい下限が15μm、より好ましい上限が40μmである。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する方法は特に限定されず、例えば、水性分散媒体を調製する工程と、該水性分散媒体中に、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物と、揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を分散させる工程と、上記モノマー組成物を重合させる工程とを行うことにより、モノマー組成物を重合させてなる重合体を含有するシェルに、コア剤として揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルを得る方法等が挙げられる。
上記水性分散媒体を調製する工程では、例えば、重合反応容器に、水、分散安定剤、及び、必要に応じて補助安定剤を加えることにより、分散安定剤を含有する水性分散媒体を調製する。また、上記水性分散媒体には、必要に応じて、亜硝酸アルカリ金属塩、塩化第一スズ、塩化第二スズ、重クロム酸カリウム等を添加してもよい。
上記分散安定剤は特に限定されず、例えば、シリカ、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化第二鉄、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸ナトリウム、シュウ酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
上記補助安定剤は特に限定されず、例えば、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物、尿素とホルムアルデヒドとの縮合生成物、水溶性窒素含有化合物、ポリエチレンオキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ゼラチン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ジオクチルスルホサクシネート、ソルビタンエステル、各種乳化剤等が挙げられる。
上記水溶性窒素含有化合物は特に限定されず、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート及びポリジメチルアミノエチルアクリレートに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミド及びポリジメチルアミノプロピルメタクリルアミドに代表されるポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリアクリルアミド、ポリカチオン性アクリルアミド、ポリアミンサルフォン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらのなかでは、ポリビニルピロリドンが好ましい。
上記分散安定剤と上記補助安定剤との組み合わせは特に限定されず、例えば、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせ、コロイダルシリカと水溶性窒素含有化合物との組み合わせ、水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムと乳化剤との組み合わせ等が挙げられる。これらのなかでは、コロイダルシリカと縮合生成物との組み合わせが好ましく、該縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、ジエタノールアミンとアジピン酸との縮合生成物、ジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が特に好ましい。
上記分散安定剤としてコロイダルシリカを用いる場合、コロイダルシリカの添加量は特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定することができるが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限が1重量部、好ましい上限が20重量部、更に好ましい下限が2重量部、更に好ましい上限が10重量部である。
また、上記補助安定剤として上記縮合生成物又は上記水溶性窒素含有化合物を用いる場合、上記縮合生成物又は水溶性窒素含有化合物の添加量は特に限定されず、目的とする熱膨張性マイクロカプセルの粒子径により適宜決定することができるが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が2重量部である。
上記水性分散媒体には、上記分散安定剤及び上記補助安定剤に加えて、更に、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム等の無機塩を添加してもよい。このような無機塩を添加することで、より均一な粒子形状を有する熱膨張性マイクロカプセルを得ることができる。
上記無機塩の添加量は特に限定されないが、全モノマー成分100重量部に対する好ましい上限は100重量部である。
上記水性分散媒体は、上記分散安定剤及び上記補助安定剤を脱イオン水に配合して調製され、上記脱イオン水のpHは、使用する分散安定剤及び補助安定剤の種類によって適宜決定することができる。例えば、上記分散安定剤としてコロイダルシリカ等のシリカを用いる場合には、必要に応じて塩酸等の酸を加えて系のpHを3〜4に調整し、後述する工程において酸性条件下で重合が行われる。また、上記分散安定剤として水酸化マグネシウム又はリン酸カルシウムを用いる場合には、系をアルカリ性に調整し、後述する工程においてアルカリ性条件下で重合が行われる。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する際には、次いで、上記水性分散媒体中に、上記モノマー組成物と上記揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を分散させる工程を行う。
この工程では、上記モノマー組成物と上記揮発性膨張剤とを別々に上記水性分散媒体に添加して、該水性分散媒体中で上記油性混合液を調製してもよいが、通常は、予め両者を混合して油性混合液としてから、上記水性分散媒体に添加する。この際、上記油性混合液と上記水性分散媒体とを予め別々の容器で調製しておき、別の容器で攪拌しながら混合することにより上記油性混合液を上記水性分散媒体に分散させた後、重合反応容器に添加してもよい。
なお、上記モノマー組成物中のモノマーを重合するために重合開始剤が用いられるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、上記水性分散媒体と上記油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
上記水性分散媒体中に、上記モノマー組成物と上記揮発性膨張剤とを含有する油性混合液を分散させる工程では、上記水性分散媒体中に上記油性混合液を所定の粒子径で乳化分散させる。
上記乳化分散させる方法は特に限定されず、例えば、ホモミキサー(例えば、特殊機化工業社製)等により攪拌する方法、ラインミキサー、エレメント式静止型分散器等の静止型分散装置を通過させる方法等が挙げられる。なお、上記静止型分散装置には上記水性分散媒体と上記油性混合液とを別々に供給してもよく、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルを製造する際には、次いで、上記モノマー組成物を重合させる工程を行う。上記重合する方法は特に限定されず、例えば、加熱することにより上記モノマー組成物を重合させる方法が挙げられる。
このようにして、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなる重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤を内包する熱膨張性マイクロカプセルが得られる。得られた熱膨張性マイクロカプセルは、続いて、脱水する工程、乾燥する工程等を経てもよい。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルの用途は特に限定されず、例えば、本発明の熱膨張性マイクロカプセルをマトリックス樹脂に配合し、射出成形、押出成形等の成形方法を用いて成形することにより、遮熱性、断熱性、遮音性、吸音性、防振性、軽量化等を備えた発泡成形体を製造することができる。本発明の熱膨張性マイクロカプセルは、高温においても、破裂及び収縮を生じにくく、高発泡倍率で発泡できることから、高温で加熱する工程を有する発泡成形にも好適に適用される。
本発明の熱膨張性マイクロカプセルに、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂を加えたマスターバッチペレットは、射出成形等の成形方法を用いて成形し、成形時の加熱により、上記熱膨張性マイクロカプセルを発泡させることにより、発泡成形体を製造することができる。このようなマスターバッチもまた本発明の1つである。
上記熱可塑性樹脂としては、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレン等の一般的な熱可塑性樹脂;ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。また、エチレン系、塩化ビニル系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系等の熱可塑性エラストマーを使用してもよく、これらの樹脂を併用して使用してもよい。
上記熱可塑性樹脂100重量部に熱膨張性マイクロカプセルの添加量は0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部が適量である。また、炭酸水素ナトリウム(重曹)やADCA(アゾ系)等の化学発泡剤と併用することもできる。
上記マスターバッチペレットを製造する方法としては、特に限定されず、例えば、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂、各種添加剤等の原材料を、同方向2軸押出機等を用いて予め混練する。次いで、所定温度まで加熱し、本発明の熱膨張マイクロカプセル等の発泡剤を添加した後、更に混練することにより得られる混練物を、ペレタイザーにて所望の大きさに切断することによりペレット形状にしてマスターバッチペレットとする方法等が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂等のマトリックス樹脂や熱膨張性マイクロカプセル等の原材料をバッチ式の混練機で混練した後、造粒機で造粒することによりペレット形状のマスターバッチペレットを製造してもよい。
上記混練機としては、熱膨張性マイクロカプセルを破壊することなく混練できるものであれば特に限定されず、例えば、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられる。
本発明によれば、高い発泡倍率、高温での耐久性を有しつつ、発泡成形に使用した場合に着色や臭気が生じにくい熱膨張性マイクロカプセル、該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ、発泡成形体及び該熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1〜9、比較例1〜14)
重合反応容器に、水250重量部と、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製20重量%)25重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.8重量部と、1N塩酸1.8重量部とを投入し、水性分散媒体を調製した。
次いで、表1に示した配合比のモノマー組成物、揮発性膨張剤、及び、重合開始剤(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.8重量部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.6重量部)からなる油性混合物を水性分散媒体に添加し、懸濁させて、分散液を調製した。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器内へ仕込み、加圧(0.5MPa)しながら60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を得た。得られた反応生成物について、ろ過と水洗を繰り返した後、乾燥することにより、熱膨張性マイクロカプセルを得た。
なお、分子中にグリシジル基を有する化合物としては、グリシジルメタクリレート(共栄社化学社製、グリシジル基の数:1、重合性不飽和結合の数:1)を用いた。
(評価)
実施例、比較例で得られた熱膨張性マイクロカプセルについて、以下の評価を行った。結果を表3、4に示す。
(1)DSC(示差走査熱分析)
得られた熱膨張性マイクロカプセル0.5gとN,N−ジメチルホルムアミド30.0gをガラス試験管に秤取り、75℃で24時間加熱した。加熱後、アルミカップ中に流し込み、50℃の熱風オーブンで24時間加熱予備乾燥した。予備乾燥後、75℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、シェルを構成する重合体をシート状のサンプルとした。
次いで、シート状のサンプルをDSC6220(ヤマト科学社製)を用い、5℃/minの昇温速度で加熱して、温度140℃時の発熱量を始点、温度210℃時の発熱量を終点としたときの、始点と終点を直線で結んだ点に対して、その直線上よりも上に凸となる変曲点の有無を確認するとともに、変曲点(最大発熱量時)における温度(最大発熱温度)を測定した。
(2)架橋度測定
(140℃、30分間後の架橋度)
熱膨張性マイクロカプセルを0.1gアルミカップに秤取り、140℃の熱風オーブンで30分加熱した。加熱したサンプルを0.1g(a[g])とN,N−ジメチルホルムアミド20.0gをガラス試験管に秤取り、75℃で24時間加熱した。加熱後、遠心分離機で20000rpm、30分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。沈殿した未溶解物を75℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、乾燥した未溶解物の重量(b[g])を測定した。次いで、下記式から140℃30分間後の架橋度(A)を算出した。
140℃、30分間後の架橋度(A)=(b/a)×100(%)
(210℃、30分間後の架橋度)
熱膨張性マイクロカプセルを0.1gアルミカップに秤取り、210℃の熱風オーブンで30分加熱した。加熱したサンプルを0.1g(c[g])とN,N−ジメチルホルムアミド20.0gをガラス試験管に秤取り、75℃で24時間加熱した。加熱後、遠心分離機で20000rpm、30分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。沈殿した未溶解物を75℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、乾燥した未溶解物の重量(d[g])を測定した。次いで、下記式から210℃、30分間後の架橋度(B)を算出した。
210℃、30分後の架橋度(B)=(d/c)×100(%)
(B/Aの算出)
得られた140℃、30分間後の架橋度(A)と、210℃、30分間後の架橋度(B)から、(B/A)を算出した。
(3)貯蔵弾性率測定
得られた熱膨張性マイクロカプセル0.5gとN,N−ジメチルホルムアミド30.0gをガラス試験管に秤取り、75℃で24時間加熱した。加熱後、アルミカップ中に流し込み、50℃の熱風オーブンで24時間加熱予備乾燥した。予備乾燥後、75℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、シェルを構成する重合体をシート状のサンプルとした。
次いで、シート状のサンプルを30mm×5mmの大きさに裁断し、DVA−200(アイティー計測制御社製)を用い、周波数10Hz、5℃/minの昇温速度で加熱して、温度140℃、周波数10Hzにおける貯蔵弾性率(X)、及び、温度210℃、周波数10Hzにおける貯蔵弾性率(Y)を測定した。また、(Y/X)を算出した。
(4)ゲル分率測定
(常温でのゲル分率)
熱膨張性マイクロカプセル0.5g(a[g])とN,N−ジメチルホルムアミド20.0gをガラス試験管に秤取り、70℃で24時間加熱した。加熱後、遠心分離機で10000rpm、15分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。沈殿したゲルを70℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、乾燥したゲル分の重量(b[g])を測定した。次いで、下記式から常温でのゲル分率(x)を算出した。
常温でのゲル分率(x)=(b/a)×100(%)
(180℃30分後のゲル分率)
熱膨張性マイクロカプセルを1.0gアルミカップに秤取り、180℃の熱風オーブンで30分加熱した。加熱したサンプルを0.5g(c[g])とN,N−ジメチルホルムアミド20.0gをガラス試験管に秤取り、70℃で24時間加熱した。加熱後、遠心分離機で10000rpm、15分間遠心分離し、上澄みを廃棄した。沈殿したゲルを70℃の真空乾燥機で48時間真空乾燥を行い、乾燥したゲル分の重量(d[g])を測定した。
180℃30分後のゲル分率(y)=(d/c)×100(%)
また、(y/x)を算出した。
(5)200℃、30分間の定温保持性
熱機械測定装置(TMA:TA インスツルメント社製)を用いて、200℃で30分間経過後の発泡変位の保持率を測定した。30℃/minの昇温速度で加熱し、200℃まで到達させた時の発泡変位を100%としたときの30分後の保持率が70%以上であった場合を「○○○」と、35%以上70%未満であった場合を「○○」と、10%以上35%未満であった場合を「○」と、10%未満であった場合を「×」として評価した。
(6)発泡倍率
加熱発泡顕微装置(ジャパンハイテック社製)を用い、熱膨張性マイクロカプセルをステージに少量散布し、5℃/minで加熱を行いながら、280℃まで膨張挙動を観察した。観察画像中の任意の熱膨張性マイクロカプセル5個に対し、5℃毎にノギスを用いて直径φTを測り、各温度の平均直径φT(Ave)を得た。各温度での発泡倍率DT=φT(Ave)/φ30とし、ETが最大になる温度でのETを最大発泡倍率DTmaxとした。
ここでφ30とは30℃における熱膨張性マイクロカプセルの直径のことである。
最大発泡時の発泡倍率が3倍未満であった場合を「×」と、3倍以上5倍未満であった場合を「○」と、5倍以上であった場合を「○○」として評価した。
(7)耐熱性
加熱発泡顕微装置(ジャパンハイテック社製)を用い、熱膨張性マイクロカプセルをステージに少量散布し、5℃/minで加熱を行いながら、280℃まで膨張挙動を観察し、未膨張の熱膨張性マイクロカプセルの直径を1倍とした時の220℃における発泡倍率D220を測定した。D220が2倍未満であった場合を「×」と、2倍以上3倍未満であった場合を「○」と、3倍以上4倍未満であった場合を「○○」と、4倍以上であった場合を「○○○」として評価した。
(8)耐久性
加熱発泡顕微装置(ジャパンハイテック社製)を用いて、耐熱性と同様の条件で膨張挙動を観察し、発泡倍率が2倍以上である温度幅(ΔT)を測定した。ΔTが50℃未満であった場合を「×」と、50℃以上65℃未満であった場合を「○」と、65℃以上80℃未満であった場合を「○○」と、80℃以上であった場合を「○○○」として評価した。
(9)臭気
得られた熱膨張性マイクロカプセル1.0gを、アルミカップに秤取り、なるべく平坦になるようならした後、180℃に熱した熱風オーブン(エスペック社製、ST−110)で1分間加熱した。加熱後、オーブンの扉を開けた際に、酸臭気を感じた場合を「×」、酸臭気が感じられなかった場合を「○」として評価した。
(10)着色
得られた熱膨張性マイクロカプセル1.25g、軟質塩ビ(PQ92、新第一塩ビ社製)20g、炭酸カルシウム(P−50、白石カルシウム社製)10g、可塑剤(DINP、和光純薬社製)20gを遊星式分散装置で攪拌後に得られたペースト状のサンプルを、直径約50mmのアルミカップに5g流し入れ、180℃に熱した熱風オーブンで10分間加熱した。加熱後のサンプルの外観を目視で観察した。茶褐色になった場合を「×」、黄色になった場合を「○」、薄い黄白色、クリーム色になった場合を「○○」、白色になった場合を「○○○」、として評価した。
(11)外観(白斑点)
熱膨張性マイクロカプセルを1.25g、軟質塩ビ(PQ92 新第一塩ビ社製)20g、炭酸カルシウム(P−50 白石カルシウム社製)10g、可塑剤(DINP 和光純薬社製)20g、顔料(カーボンブラック入りポリエチレンマスターバッチ)0.1gを遊星式分散装置で攪拌後に得られたペースト状のサンプルを、直径約50mmのアルミカップに5g流し入れ、180℃に熱した熱風オーブンで10分加熱した。加熱後のサンプル表面を目視し、白斑点が多数見られた場合を「×」、僅かに見られた、または殆ど見られなかった場合を「○」として評価した。
(12)耐圧縮性
熱機械測定装置(TMA:TA インスツルメント社製)を用いて、荷重0.01mN、加熱温度180℃まで、30℃/minの昇温速度で加熱発泡させたときの発泡変位を100%とした。その後、荷重0.05mNまで荷重をかけたときの発泡変位の減少率を測定した。発泡変位の減少率が20%未満であった場合を「○○○」と、20%以上50%未満であった場合を「○○」と、50%以上80%未満であった場合を「○」と、80%以上であった場合を「×」として評価した。
(13)解砕性(凝集性)評価
熱膨張性マイクロカプセル100gを5分間篩(篩い目開き:150μm、線径:100μm、東京スクリーン社製)にかけ、篩の目開きを通過した熱膨張性マイクロカプセルの重量を測定した。測定値から下記式により熱膨張性マイクロカプセルの篩効率を算出し、篩効率が75%未満であった場合を「×」と、75%以上85%未満であった場合を「○」と、85%以上であった場合を「○○」として評価した。
篩効率(%)=(篩の目開きを通過した熱膨張性マイクロカプセルの重量)/(篩にかける前の熱膨張性マイクロカプセルの重量)
(14)スケール付着性
重合反応を行った後の重合反応容器壁面のスケールが、水洗により簡易に除去できなかった場合を「×」、水洗により簡易に除去できた場合を「○」として評価した。
Figure 0005738502
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本発明によれば、高い発泡倍率、高温での耐久性を有する熱膨張性マイクロカプセル、該熱膨張性マイクロカプセルを用いた発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ、発泡成形体及び該熱膨張性マイクロカプセルの製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されている熱膨張性マイクロカプセルであって、
    前記シェルは、ニトリル系モノマー、アミド基を有するモノマー、及び、分子中にグリシジル基を有する化合物を含有するモノマー組成物を重合させてなり、
    前記アミド基を有するモノマーは、アクリルアミド及びメタクリルアミドから選択される少なくとも1種を含有し、
    前記シェルを構成する重合体は、140℃、30分間加熱時の架橋度(A)が50重量%以上、210℃、30分間加熱時の架橋度(B)が75重量%以上であり、前記BとAとの比率(B/A)が1.2〜1.8である
    ことを特徴とする熱膨張性マイクロカプセル。
  2. 140℃、10Hzにおけるシェルを構成する重合体の貯蔵弾性率(X)が1×10〜1×10Pa、
    210℃、10Hzにおけるシェルを構成する重合体の貯蔵弾性率(Y)が1×10〜1×10Paであり、
    前記XとYとの比率(Y/X)が100〜1000であることを特徴とする請求項1記載の熱膨張性マイクロカプセル。
  3. アミド基を有するモノマーは、アクリルアミド又はメタクリルアミドであることを特徴とする請求項1又は2記載の熱膨張性マイクロカプセル。
  4. 重合体からなるシェルは、常温時のゲル分率をx、180℃、30分間加熱時のゲル分率をyとした場合に、yが50%以上であり、かつ、y/xが1.1以上であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱膨張性マイクロカプセル。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の熱膨張性マイクロカプセル及び熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチ。
  6. 請求項1、2、3又は4記載の熱膨張性マイクロカプセル、又は、請求項5記載の発泡性熱可塑性樹脂マスターバッチを用いてなることを特徴とする発泡成形体。
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