JP2010053351A - 繊維強化樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)、熱膨張性マイクロカプセル(B)及び強化繊維(C)を含有する繊維強化樹脂組成物であって、前記熱膨張性マイクロカプセル(B)は、最大発泡温度が190℃以上であり、かつ、前記強化繊維(C)を10重量%以上含有する繊維強化樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
これらの材料は、所定の樹脂に、ゴム含有グラフト重合体や強化繊維を組み合わせることで、高剛性や耐衝撃性といった性能は達成可能であるが、成形加工後に得られる製品は軽量化の要求は満たしておらず、高剛性や耐衝撃性に加えて、軽量性を兼ね備えた複合樹脂組成物は見いだされていないのが現状である。
しかしながら、化学発泡剤を成形用樹脂組成物に添加した場合、例えば、射出成形に用いた場合には、加熱しても発泡しないという問題や、射出発泡成形機内で化学発泡剤が急激に分解したりする等の問題が起こり、取り扱いが非常に難しかった。その結果、充分な発泡倍率を有する成形体が得られず、所望の軽量性を実現することは困難であった。
以下に本発明を詳述する。
上記熱可塑性樹脂(A)としては、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体(ASA)、又は、これらの混合樹脂等が挙げられる。
上記熱膨張性マイクロカプセル(B)は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、上記シェルは、ニトリル系モノマー(I)を含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなることが好ましい。
上記ニトリル系モノマー(I)を添加することで、シェルのガスバリア性を向上させることができる。
上記カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)としては、例えば、イオン架橋させるための遊離カルボキシル基を分子当たり1個以上持つものを用いることができ、具体的には例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等の不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等の不飽和ジカルボン酸やその無水物又はマレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等の不飽和ジカルボン酸のモノエステルやその誘導体が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸が好ましい。
上記金属カチオン水酸化物(IV)を含有することで、上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)のカルボキシル基との間でイオン結合が起こることから、剛性が上がり、耐熱性を高くすることが可能となる。その結果、高温領域において長時間破裂、収縮の起こらない熱膨張性マイクロカプセル(B)とすることが可能となる。また、高温領域においてもシェルの弾性率が低下しにくいことから、強い剪断力が加えられる混練成形、カレンダー成形、押出成形、射出成形等の成形加工を行う場合であっても、熱膨張性マイクロカプセル(B)の破裂、収縮が起こることがない。
また、共有結合でなくイオン結合であるから、熱膨張性マイクロカプセル(B)の粒子形状が真球に近くなり、歪みが生じにくくなる。これは、イオン結合による架橋が、共有結合による架橋に比べて結合力が弱いため、重合中のモノマーからポリマーへの転化時において、熱膨張性マイクロカプセル(B)の体積が収縮する際に均一に収縮が生じることが原因と考えられる。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化ジアルキル、過酸化ジアシル、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等が好適に用いられる。具体例には、例えば、メチルエチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化ジアルキル、イソブチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド等の過酸化ジアシル、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、(α、α−ビス−ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン等のパーオキシエステル、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピル−オキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルエチルパーオキシ)ジカーボネート、ジメトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート等のパーオキシジカーボネート、2、2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。
上記揮発性膨張剤は、シェルを構成するポリマーの軟化点以下の温度でガス状になる物質であり、低沸点有機溶剤が好適である。
上記揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n−ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−へキサン、ヘプタン、石油エーテル等の低分子量炭化水素、CCl3F、CCl2F2、CClF3、CClF2−CClF2等のクロロフルオロカーボン、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル−n−プロピルシラン等のテトラアルキルシラン等が挙げられる。なかでも、イソブタン、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−へキサン、石油エーテル、及び、これらの混合物が好ましい。これらの揮発性膨張剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、揮発性膨張剤として、加熱により熱分解してガス状になる熱分解型化合物を用いることとしてもよい。
シェルの厚みはコア剤の含有量によって変化するが、コア剤の含有量を減らして、シェルが厚くなり過ぎると発泡性能が低下し、コア剤の含有量を多くすると、シェルの強度が低下する。上記コア剤の含有量を10〜25重量%とした場合、熱膨張性マイクロカプセル(B)のへたり防止と発泡性能向上とを両立させることが可能となる。
なお、本明細書において、最大発泡温度は、熱膨張性マイクロカプセル(B)を常温から加熱しながらその径を測定したときに、熱膨張性マイクロカプセル(B)の径が最大となったとき(最大変位量)における温度を意味する。
更に、上記縮合生成物としては、ジエタノールアミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合生成物が好ましく、特にジエタノールアミンとアジピン酸との縮合物やジエタノールアミンとイタコン酸との縮合生成物が好ましい。
なお、上記モノマーを重合するために、重合開始剤が使用されるが、上記重合開始剤は、予め上記油性混合液に添加してもよく、水性分散媒体と油性混合液とを重合反応容器内で攪拌混合した後に添加してもよい。
なお、上記静止型分散装置には水系分散媒体と重合性混合物を別々に供給してもよいし、予め混合、攪拌した分散液を供給してもよい。
更に、熱膨張性マイクロカプセル(B)のシェルが上記ラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)に由来する成分を有する場合、ポリプロピレン樹脂等の樹脂との相分離現象を促進させ、CO2セルを発生しやすくする。
上記強化繊維(C)としては、例えば、炭素繊維、黒鉛繊維、ボロン繊維、ガラス繊維等が挙げられる。なかでも、炭素繊維は、他の繊維と比較しても軽量であり、比重及び剛性付与能力の高さから最も好適に用いることができる。また、上記炭素繊維としては、PAN系、ピッチ系、リグニン系のいずれも使用可能である。なかでも、PAN系炭素繊維が好ましい。更に、上記炭素繊維の表面処理方法や、収束剤等の有無については特に限定されない。なお、経済性を考慮して、炭素繊維の一部を炭素繊維より安価なガラス繊維に置き換えてもよい。
このような方法で得られる本発明の発泡成形体は、剛性と耐衝撃性とのバランスに優れ、線膨張係数が小さく、かつ、低比重で軽量であるため、自動車用内装材、自動車用外装材、各種建材部材等の用途に好適に用いることができる。また、本発明の発泡成形体は、コピー機、FAX機、プリンター、コンピューター、PDA、携帯電話、TV、ビデオデッキ、オーディオ機器等の各種OA機器、情報機器、家電機器のハウジング及びシャーシー部品、エアコン、クーラーの室内外機のハウジング等の用途にも好適に用いることができる。
(熱膨張性マイクロカプセルの作製)
重合反応容器に、水300重量部と、調整剤として塩化ナトリウム89重量部、水溶性重合禁止剤として亜硝酸ナトリウム0.07重量部、分散安定剤としてコロイダルシリカ(旭電化社製)8重量部及びポリビニルピロリドン(BASF社製)0.3重量部を投入し、水性分散媒体を調製した。次いで、表1に示した配合量の金属カチオン水酸化物とモノマーからなる油性混合液を水性分散媒体に添加、混合することにより、分散液を調製した。全分散液は15kgである。得られた分散液をホモジナイザーで攪拌混合し、窒素置換した加圧重合器(20L)内へ仕込み、加圧(0.2MPa)し、60℃で20時間反応させることにより、反応生成物を調製した。得られた反応生成物について、遠心分離機にて脱水と水洗を繰り返した後、乾燥して熱膨張性マイクロカプセル(No.1〜2)を得た。
粉体状及びペレット状の低密度ポリエチレン100重量部と、滑剤としてエチレンビスステアリン酸アマイド0.2重量部とをバンバリーミキサーで混練し、約140℃になったところで、得られた熱膨張性マイクロカプセル50重量部を添加し、更に30秒間混練して押し出すと同時にペレット化し、マスターバッチペレットを得た。
表2に示す配合となるように材料を混合することにより、得られた混合物をアキュムレーターを備えたスクリュー式の射出成形機のホッパーに供給して溶融混練し、射出成形を行い、板状の成形体を得た。なお、成形条件は、シリンダー温度250℃、射出速度60mm/sec、型開遅延時間0秒、金型温度60℃とした。
なお、ポリカーボネート(PC)としては、タフロンA1700(出光石油化学社製、粘度平均分子量Mv=17000)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)としては、トヨラック500(東レ社製)、炭素繊維としては、パイロフィルTR06U(三菱レイヨン社製)、ガラス繊維としては、ECS03T−187(日本電気硝子社製)を用いた。
熱膨張性マイクロカプセル(No.1〜2)、及び、実施例1〜3及び比較例1〜4で得られた成形体について、下記性能を評価した。結果を表1及び2に示した。
(1−1)体積平均粒子径
粒度分布径測定器(LA−910、HORIBA社製)を用い、体積平均粒子径を測定した。
熱機械分析装置(TMA)(TMA2940、TA instruments社製)を用い、発泡開始温度(Ts)、最大変位量(Dmax)及び最大発泡温度(Tmax)を測定した。具体的には、試料25μgを直径7mm、深さ1mmのアルミ製容器に入れ、上から0.1Nの力を加えた状態で、5℃/minの昇温速度で80℃から220℃まで加熱し、測定端子の垂直方向における変位を測定し、変位が上がり始める温度を発泡開始温度、その変位の最大値を最大変位量とし、最大変位量における温度を最大発泡温度とした。
(2−1)曲げ弾性率の測定
ASTM D790に準拠した方法により、常温にて曲げ弾性率を測定した。
ASTM−D256に準拠した方法により、常温にてアイゾット衝撃値を測定した。
ASTM−D696に準拠した方法により、線膨張係数を測定した。
得られた成形体の密度をJIS K−7112 A法(水中置換法)に準拠した方法により測定した。
これに対して、比較例で得られた成形体は、剛性、耐衝撃性、線膨張係数及び軽量性のうち、何れかが劣るものとなっていた。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂(A)、熱膨張性マイクロカプセル(B)及び強化繊維(C)を含有する繊維強化樹脂組成物であって、前記熱膨張性マイクロカプセル(B)は、最大発泡温度が190℃以上であり、かつ、前記強化繊維(C)を10重量%以上含有することを特徴とする繊維強化樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂(A)は、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル−スチレン−アクリル酸エステル共重合体、又は、これらの混合樹脂であることを特徴とする請求項1記載の繊維強化樹脂組成物。
- 熱膨張性マイクロカプセル(B)は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、前記シェルは、ニトリル系モノマー(I)を含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維強化樹脂組成物。
- 熱膨張性マイクロカプセル(B)は、重合体からなるシェルに、コア剤として揮発性膨張剤が内包されており、前記シェルは、ニトリル系モノマー(I)と、カルボキシル基を有し、炭素数が3〜8のラジカル重合性不飽和カルボン酸モノマー(II)とを含有するモノマー混合物を重合させてなる重合体からなることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維強化樹脂組成物。
- 請求項1、2、3又は4記載の繊維強化樹脂組成物を用いてなることを特徴とする発泡成形体。
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