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JP5722639B2 - 内容物付着防止蓋材 - Google Patents

内容物付着防止蓋材 Download PDF

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JP5722639B2
JP5722639B2 JP2011003621A JP2011003621A JP5722639B2 JP 5722639 B2 JP5722639 B2 JP 5722639B2 JP 2011003621 A JP2011003621 A JP 2011003621A JP 2011003621 A JP2011003621 A JP 2011003621A JP 5722639 B2 JP5722639 B2 JP 5722639B2
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Description

本発明は、主として食品類の包装用容器に適用されるヒートシール蓋材、更に具体的には、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ジャム等の包装用のカップ状容器に適用される内容物付着防止性を備えた蓋材およびその製造方法に関する。
この種の熱封緘用の蓋材は、一般に基材フィルムとアルミニウム箔との積層からなる基材層のアルミ箔面側に、中間樹脂層を介してヒートシール層、即ち熱封緘層を設けたものとなされ、ヨーグルト等の被包装物を充填したカップ状の容器本体の上面開口に被せて、周縁部を容器本体の上縁フランジ部上に熱融着することによって密封包装物を形成する。
従って、かかる蓋材においては、良好なヒートシール性、密封性と、開封時のための適当な易剥離性が求められるのと同時に、内容物の非付着性、即ち容器の内面側の蓋材裏面に内容物が付着するのを防止しうるものであることが望まれる。蓋材の裏面に内容物が付着すると、開封時に手指や衣服、あるいは周辺を汚すおそれがあると共に、内容物の棄損による無駄を生じ、あるいは付着物を剥がし取る手間がかかり、更には不潔感を催す等の不利益を生じるためである。
そこで、従来、内容物付着防止性能を備えた蓋材について、下記特許文献1〜6に示されるような種々の提案がなされてきた。
上記特許文献1〜3に示す先行技術は、基材の片面の熱封緘層に、付着防止効果を有する非イオン界面活性剤又は疎水性添加物、あるいはワックス等を添加するものであり、熱封緘層そのものに付着防止性能を付与しようとするものであるが、いずれも未だ所期する内容物付着防止効果の点で不満足なものでしかなかった。
また、特許文献4〜5の先行技術は、熱封緘層の外面(容器側の面)に、別途内容物付着防止層を付加形成するというものであり、該付着防止層をワックスと、その中に分散された固体微粒子充填剤との組成物で構成するものである。これらの先行技術は、前記特許文献1〜3の先行技術に比べると内容物付着防止効果は一段と改善されるが、それでも未だ十分とはいえないのに加えて、ワックス中に充填剤を分散させているものであるため、熱封緘層のヒートシール性に悪影響を及ぼして密封性が不安定なものになりやすい懸念があった。
更に、特許文献6に示される先行技術は、熱封緘層の外面に、内容物付着防止層として、微細な疎水性シリカ等の疎水性酸化物微粒子による三次元網目状構造の多孔質層を形成するというものである。
この先行提案技術は、内容物付着防止効果の点では非常に優れた効果を奏し得るものの、付着防止層が耐熱性に劣り、好ましくない熱履歴を受けた場合に付着防止効果が損なわれるという難点がある。即ち、疎水性微粒子として、乾式法で製造されるシリカ微粒子を代表例とする一次粒子平均径が3〜100nmというような超微細な疎水性酸化物微粒子を用いるものであり、これを特に、最も一般的なホットメルトタイプの熱封緘層を備えた蓋材の内容物付着防止層の形成に適用した場合、付着防止層の形成工程における微粒子分散液の塗工後の乾燥時において、加熱温度が高すぎたり乾燥時間が長くなると、内容物付着防止効果が著しく損なわれる。また、ヨーグルト、ゼリー、プリン等の容器への充填時において、待機中の蓋材がヒートシール用の熱板にさらされることによっても、内容物付着防止効果が充分得られなくなる。このため、蓋材の製造時及びヒートシール時の工程管理がいささか厄介であり、取扱いが困難であるという難点があった。
上記のような耐熱性の低下は、乾燥時の熱や熱封緘時の待機中の熱板からの輻射熱で熱封緘層のホットメルト接着剤が溶融すると、微細な酸化物微粒子がホットメルト接着剤の中に沈み込んだり、あるいは、微粒子間の隙間にホットメルト剤が毛細管現象で入り込んで粒子間を埋めてしまい、撥水性表面積を減殺してしまうことで内容物付着防止効果が充分得られなくなるものと考えられる。
特開2002−37310号公報 特開2007−153385号公報 特開2008−100736号公報 特開2009−73523号公報 特開2009−241943号公報 特許第4348401号公報
本発明は、従来技術における上記のような諸問題に鑑み、それらの更なる改善をはかること、具体的には、安定した良好なヒートシール性能を維持しつつ、内容物付着防止性能、特に熱封緘層が溶融するような高温にさらされても優れた内容物付着防止性能を維持しうる良好な耐熱性を有し、しかも該付着防止効果を発現する疎水性粒子の熱封緘層との密着性、蓋材と容器との密着性を高めて上記内容物付着防止効果の安定持続性を向上しうる改善技術を提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成する手段として、内容物付着防止蓋材およびその製造方法について次の[1]〜[6]項の手段を提示する。
[1]少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、
前記熱封緘層が、ワックス及びエチレン−不飽和エステル重合体を主成分として含み、かつ前記エチレン−不飽和エステル重合体を30重量%以上含有するホットメルト接着剤からなる蓋材において、
前記熱封緘層の外面に付着防止層を有し、
該付着防止層は、湿式シリカ粒子に疎水性を付与した平均粒径2.0〜7.0μmの疎
水性湿式シリカ粒子からなり、該疎水性湿式シリカ粒子の付着量が乾燥後重量で0.1〜1.0g/mであり、かつ前記熱封緘層の外面に、極性基を有する有機溶媒中に疎水性湿式シリカ粒子を分散させて調製した分散液を塗布し乾燥させることによって形成したものであることを特徴とする内容物付着防止蓋材。

[2]前記疎水性湿式シリカ粒子の平均粒径が、2.0〜5.0μmである前項[1]に記載の内容物付着防止蓋材。
[3]前記疎水性湿式シリカ粒子の付着量が、乾燥後重量で0.1〜0.5g/m である前項[1]または[2]に記載の内容物付着防止蓋材。
[4]前記疎水性湿式シリカ粒子は、吸油量が50ml/100g以上である前項[1]〜[3]のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
[5]少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、該熱封緘層が、ワックス及びエチレン−不飽和エステル重合体を主成分として含み、かつ前記エチレン−不飽和エステル重合体を30重量%以上含有するホットメルト接着剤からなる蓋材における前記熱封緘層の外面に、湿式シリカ粒子に疎水性を付与した平均粒径2.0〜7.0μmの疎水性湿式シリカ粒子を有機溶媒に分散させて調製した分散液を、乾燥後重量で前記湿式シリカ粒子の付着量が0.1〜1.0g/mとなるように塗布したのち、温度80〜140℃、時間5〜30秒の乾燥条件で乾燥させて付着防止層を形成することを特徴とする内容物付着防止蓋材の製造方法。
[6]前記疎水性湿式シリカ粒子の平均粒径が2.0〜5.0μmであり、付着量が乾燥後重量で0.1〜0.5g/m であり、かつ乾燥条件における温度が100〜120℃、時間が10〜20秒である前項[5]に記載の内容物付着防止蓋材の製造方法
本発明による前記[1]〜[4]項に記載のような内容物付着防止蓋材にあっては、熱封緘層の外面に別途付着防止層が形成されたものであり、しかも該付着防止層が、湿式シリカ粒子に疎水性を付与した湿式シリカ粒子によって形成されたものであるから、疎水性の乾式シリカ微粒子を用いたものに較べ、一段と少ない付着量で相対的に優れた内容物付着防止特性を発現する。しかも、耐熱性に優れ、高温にさらされることがあっても高い付着防止性能を良好に維持しうる。この理由は定かではないが、次のように考えられる。即ち、湿式シリカ粒子は、一般的に乾式シリカ粒子に較べて粒径がミクロンサイズで大きく、なかでも本発明では平均粒径が2.0〜7.0μmのものが用いられることにより、熱封緘層がホットメルト接着剤で構成される場合において、該ホットメルト接着剤が溶融しても、疎水性シリカ粒子が接着剤層内に沈み込みにくい。加えて、湿式法シリカ粒子は乾式シリカの場合と違って元来それ自体が多孔質であり、比表面積が高く、細孔容積や吸油量が大きい。このため、熱封緘層が溶融したときにそれに含まれるワックスやロジンのような低融点、低分子量成分を湿式シリカ粒子自体が急速に吸着し、粒子間の隙間が溶融ホットメルト接着剤で埋まってしまうのを防止する。従って、上記粒子間の隙間が維持され、ひいては該粒子の疎水性表面の露出面積の極端な減少を防いで良好な内容物付着防止効果を維持する。しかも、湿式シリカ粒子は、その製造過程で生じる、粒子間結合が非常に強く、せん断をかけても上記の結合が切れにくく集魂粒子の状態を維持するものであることにより、本発明で規定する平均粒径2.0〜7.0μmの粒子においてナノサイズの超微粒子、具体的には粒径が100nm以下であるような微細粒子をほとんど含むことがない。このため、熱封緘層に対する疎水性粒子の良好な密着性を維持しうると共に、熱封緘層のヒートシール性を大きく阻害することがなく、容器の密封性能、シール強度の点でも、均一かつ安定した優れた性能を発現する。
更にまた、本発明の上記のような効果は、蓋材本体の熱封緘層が、ヨーグルト、ゼリー、プリン、ジャム等の包装用容器の場合に最も一般的に用いられるワックスとエチレン−不飽和エステル重合体とを主成分とするホットメルト接着剤である場合において特に有効であり、更にはエチレン−不飽和エステル重合体の含有量が30%以上、好ましくは40%以上と比較的大きく、低分子量のワックス等の含有量が相対的に低く設定されたホットメルト接着剤を用いる場合において、より一層顕著に享受しうる。
また、前記[5][6]項に記載のような蓋材の製造方法においては、上記のような優れた作用効果を奏するヒートシール蓋材を安易に製造しうる。特に、分散液塗工後の乾燥工程における加熱温度、及び時間を規定範囲に設定することにより、粒径の比較的大きい疎水性湿式シリカ粒子のもつ固有の撥水性、疎水性を良好に維持した付着防止層を形成することができる。
図1は本発明による内容物付着防止蓋材の積層構成の概要を示す断面図である。
図1は、本発明に係る内容物付着防止蓋材の積層構成の一例を示す。該蓋材は、基材フィルム層(2)と金属箔層(3)との積層からなる基材層(1)と、該基材層(1)の金属箔(3)側の外面、即ち施蓋使用時に容器本体の内部に向く側の面に中間樹脂層(4)を介して熱封緘層(5)が設けられている。上記の積層構成は従来の蓋材のそれと同様であり、基材層(1)と熱封緘層(5)とを含む積層体をここでは「蓋材本体」と呼称することとする。
本発明に係る内容物付着防止蓋材は、上記蓋材本体の熱封緘層(5)の外面に、更に付加的に付着防止層(6)を有するものとなされる。
基材フィルム層(2)は、包装容器の表側に配置されるもので、その材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、セルロースアセテート、セロハンなどの単層または複合フィルム、あるいはこれらのフィルムを紙などにラミネートしたものなどを例示することができる。基材フィルム層(2)は通常適宜印刷(7)が施されて意匠性が付与される。
金属箔層(3)は、ガスバリヤ性、遮光性などを付与するものであり、多くはアルミニウム箔が用いられる。特にヨーグルトの容器用の蓋材にあっては、遮光性、軽量性を満足するものとして厚さ5〜50μm程度のアルミニウム箔が好適に用いられる。また、基材フィルム層(2)との積層接着には一般的な接着剤が用いられる。
なお、基材層(1)として、金属箔層(3)を使用せずに、シリカやアルミナ等の金属を基材フィルム層(2)に蒸着した金属蒸着フィルムを使用することも可能である。
中間樹脂層(4)は、基材層(1)と熱封緘層(5)との間に介在して、蓋材に所定の剛性やヒートシール時のクッション性を付与するものであり、適宜必要に応じて設けられる。一般的には厚さ5〜40μmのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のオレフィン樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル等が用いられる。
熱封緘層(5)は、中間層樹脂層(4)および容器側との接着性が良好なものであれば、その材料は、特に限定されないが、特にヨーグルト等包装用の紙/ポリエチレン容器の蓋材にあっては、ホットメルト接着剤を用いるのが一般的であり好適である。そしてまた、ホットメルト接着剤の中でも、ワックスとエチレン−不飽和エステル共重合体を主成分とし、残部がロジン等の粘着付与剤であり、更にはエチレン−不飽和エステル共重合体、たとえばエチレン−酢酸ビニル共重合体を30重量%以上、好ましくは40重量%以上含有するホットメルト樹脂組成分からなるものを用いることが望ましい。即ち、エチレン−不飽和エステル共重合体の含有量が30重量%未満のホットメルト接着剤では、低融点成分であるワックスやロジンの含有量が相対的に増大するため、実験結果によれば付着防止層の耐熱性を低下する傾向が強くなる。その理由は、乾燥時やヒートシール時に受ける熱の影響で、上記低融点成分が溶融して疎水性湿式シリカ粒子に吸着される量が多くなり、ひいては該粒子の疎水性表面積を減少して、付着防止効果を低下させるおそれがあるためと推測される。
熱封緘層の厚みに関しては、特に限定されるものではないが、コスト、密封性、生産性等の点から、厚さ3〜100μm程度とするのが一般的であり、好適には、10〜50μmの範囲とするのが良い。
ところで、本発明の主要構成要素をなす付着防止層(6)は、湿式法によって製造される合成非晶質シリカである湿式シリカ粒子の表面の水酸基に有機ケイ素化合物を化学的に反応させて疎水性を付与した疎水性湿式シリカ粒子からなる。
湿式シリカは、乾式シリカと比較して、表面シラノール基が多く、ひいては表面をシラン類やシリコーン類で疎水化処理した後の疎水性粒子においても、乾式シリカに較べて優れた撥水性、疎水性を示す。また、細孔のない一次粒子の凝集体である二次粒子を最小単位とする乾式シリカ粒子に較べ、湿式シリカ粒子は、粒子径が大きいだけでなく、粒子径に対しての比表面積が大きく、細孔容積、吸油量も大きい。これらのこともまた、付着防止層の性能の向上に大きく寄与しているものと考えられる。
このような湿式シリカのもつ特性を有効に活用するために、使用する湿式シリカ粒子は細孔容積が0.4ml/100g以上であり、ひいては吸油量が少なくとも50ml/100g以上、好ましくは150ml/100g以上であるものを用いるべきである。吸油量が50ml/100g未満では、前述したように熱封緘層が溶融したときにそれに含まれる低融点、低分子量成分を速やかに十分量を吸着する能力に劣り、耐熱性の向上効果を十分に達成することができない。吸油量の上限値は本発明において格別重要なことではない。湿式法によって製造される湿式シリカの持つ吸油量250〜350ml/100g以下のもので十分であり、それ以上の吸油量を有する特別な湿式シリカを選択使用する必要はない。むしろ、コストアップを招くことによる不利益の方が大きい。
疎水性湿式シリカ粒子の粒径は、製造段階で種々の大きさのものを製造することが可能であるが、本発明の適用においては、平均粒径が2.0〜7.0μmの範囲のものを用いるべきである。
平均粒径が2.0μm未満の微粒子を用いるときは、概して、ヒートシール性に悪影響を及ぼさないような少ない塗布量、付着量の範囲において良好な内容物付着防止効果を得ることができない。逆に7.0μmを超えるような粗大な粒子を用いるときは、熱封緘層(5)との密着性が悪いものとなるのみならず、ヒートシール性を阻害する。
また、付着防止層(6)における上記疎水性湿式シリカ粒子の付着量(塗布量)は、これを0.1〜1.0g/mの範囲に設定される。疎水性湿式シリカ粒子の付着量が上記の下限値0.1g/m未満であると、良好な内容物付着防止効果を得ることができない。反面、付着量が上記の上限値1.0g/mを超えると、内容物付着防止効果がサチレートする一方で、付着防止層(6)が熱封緘層(5)のヒートシール性を阻害し、具体的には付着防止層(6)を有しない場合に較べてシール強度(耐剥離強度)が20%以上も低下し、安定した良好な容器の封止性が損なわれるおそれがある。のみならず、熱封緘層(5)との密着性も低下する。
本発明に係る蓋材の製造において、上記付着防止層(6)の形成方法もまた、蓋材の内容物付着防止性能、及びヒートシール性に影響を与える。
本発明による蓋材の製造方法において、付着防止層(6)の形成は、先ず、有機溶媒中に所定濃度に疎水性湿式シリカ粒子を分散した分散液を調製し、これを蓋材本体における熱封緘層(5)の外面に塗布する。
分散液の調製に用いる溶媒は、下地の熱封緘層(5)に対する疎水性湿式シリカ粒子の定着性、付着性を確保するために有機溶媒を用いることが好ましい。特に極性基を有する有機溶媒を用いるのが好ましい。なかでもアルコール類の使用が好適であり、特にコスト、安全性、撥水性の発現効果等の面からエタノールやメタノールの使用が好適である。
分散液中の微粒子の分散濃度は、疎水性湿式シリカ粒子の塗布量との関係を考慮して任意に設定しうるが、2%未満(微粒子2g:溶媒100mL)では十分な量の疎水性湿式シリカ粒子の均一塗布が困難であり、10%を超える高濃度では、塗布量が過剰になり易い。好適な分散濃度は概ね3〜6%程度である。
分散液の塗工手段は、公知の任意の方法を採用しうる。例えばグラビアコート法、吹き付け、バーコート法等を任意に採用しうる。
分散液の塗布量は、付着防止層(5)における前記のような疎水性湿式シリカ粒子の付着量に対応するものとなすべきことは言うまでもない。
次いで、上記の塗工工程後、蓋材本体を乾燥工程に供し、塗工分散液中の溶媒を揮散させて、乾燥した所定量の疎水性湿式シリカ粒子が均一に分布した所期する付着防止層(6)を形成する。この乾燥は、自然乾燥で行っても良いが、作業効率及び疎水性湿式シリカ粒子の熱封緘層(5)との密着性の向上のためには、強制的な加熱乾燥で行うことが望ましい。このときの加熱条件は特に限定されるものではないが、温度80〜140℃、好ましくは100〜120℃、時間5〜30秒、好ましくは10〜20秒程度に設定すべきである。温度が上記下限値80℃より低いと乾燥工程に時間がかかり、時間が5秒未満では乾燥が不十分なものとなり、その後の取扱いにおいて付着防止層の部分的剥離や脱落を生じ易い。反面、乾燥温度を140℃を超える高い温度に設定したり、あるいは時間を30秒を超える時間に設定すると、疎水性湿式シリカ粒子がもつ表面疎水性、撥水性が損なわれることが確認されている。その疎水性低下のメカニズムについては、未だ解明し得ていない。
次に、本発明の効果を確認するために、その各種の実施例を比較例との対比において示す。
(蓋材本体の作製)
基材フィルム(2)として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、その片面に厚さ30μmのアルミニウム箔(3)をポリウレタン系ドライラミネート接着剤により貼合わせ、基材層(1)とした。
次に、上記基材層(1)のアルミニウム箔(3)側の表面に上記同様の接着剤により、厚さ20μmのポリエチレンフィルムを積層接着して中間樹脂層(4)を形成し、更にその外側にグラビアコート法により熱封緘層(5)を形成した。これによって得られた基材層(1)/中間樹脂層(4)/熱封緘層(5)の積層体をもって蓋材本体とした。
ここに、上記熱封緘層(5)としては、下記HM1〜4の4種類のホットメルト接着剤を用い、いずれも塗布量を18g/mとした。
HM1:エチレン−酢酸ビニル共重合体55重量%/ワックス40重量%/粘着付与剤
(ロジン)5重量%
HM2:エチレン−酢酸ビニル共重合体46重量%/ワックス43重量%/粘着付与剤
(ロジン)11重量%
HM3:エチレン−酢酸ビニル共重合体43重量%/ワックス48重量%/粘着付与剤
(ロジン)9重量%
HM4:エチレン−酢酸ビニル共重合体30重量%/ワックス35重量%/粘着付与剤
(ロジン)35重量%
(疎水性シリカ粒子の塗工)
疎水性シリカ粒子として、下記A〜Dの4種類の疎水性湿式シリカ粒子と、下記Eの疎水性乾式シリカ粒子を用意した。
A:疎水性湿式シリカ 平均粒径 2.7μm、吸油量 240ml/100g
(商品名:サイロホービック100)
B:疎水性湿式シリカ 平均粒径 3.9μm、吸油量 230ml/100g
(商品名:サイロホービック200)
C:疎水性湿式シリカ 平均粒径 6.7μm、吸油量 50ml/100g
(商品名:サイロホービック603)
D:疎水性湿式シリカ 平均粒径 8.0μm、吸油量 165ml/100g
(商品名:サイロホービック4004)
E:疎水性乾式シリカ 平均粒径 0.1μm以下(一次粒子平均粒径7nm)
(商品名:アエロジルR812S)
そして、上記A〜Eの各疎水性シリカを、エタノール溶媒中にいずれも5%の分散濃度で分散させて各種の分散液を調製した。
次いで、これらの各種分散液を、蓋材本体の前記熱封緘層(5)の外面にグラビアコート法により表1、2に示す各種の塗布量のもとに塗布した。表1、2に示す塗布量は、いずれも乾燥後の疎水性シリカ粒子の重量割合を示すものである。
(乾燥)
次いで、上記の分散液を塗布した各試料を、表1、2に示す乾燥条件で強制乾燥し、熱封緘層(5)上に上記疎水性シリカ粒子からなる内容物付着防止層(6)が形成された表1及び表2に示す実施例及び比較例の各種試料No.1〜23を得た。
(評価試験)
そして、各試料について下記の評価試験を行った。
(1)付着防止性能
各試料の蓋材の裏面、即ち付着防止層の外面上に、アロエヨーグルト(森永乳業株式会社製 商標「森永アロエヨーグルト」)を約0.5ccの液滴として滴下し、試料をゆっくりと傾けたときに上記液滴が「転がりはじめたときの傾斜角度」を測定して、次の基準で判定評価した。
◎・・・30度以下
○・・・31度以上60度以下
△・・・61度以上90度以下
×・・・90度以上
(2)シール性
各試料の蓋材を、120〜180℃×0.2MPa×1.0secの熱圧シール条件で容器本体(紙/ポリエチレン製容器)のフランジ面上にヒートシールした。
そして、付着防止層を設けていない蓋材本体のままの蓋材におけるシール強度(蓋材の耐剥離強度・密封性)を基準値として、シール強度の低下率を下記の基準で判定評価した。
◎・・・付着防止層なしのものとほぼ同等
○・・・強度低下10%未満
△・・・強度低下10〜20%未満
×・・・強度低下20%以上
(3)密着性
各試料の蓋材の付着防止層の面に、黒い布を巻き付けた重り(500g)を垂直に載せ、ゆっくりと長さ200mm擦り、布に付着したシリカを目視で確認した。
そして、黒い布における疎水性微粒子及び付着防止層の転移付着量(剥離量)を目視検査し、下記の評価基準で評価した。
◎・・・ほとんど付着なし
○・・・許容範囲と認められる僅かな付着あり
△・・・多少の付着あり
×・・・明らかに多くの付着あり
(4)耐熱性
各試料を加熱炉中で100℃×1分間加熱したのち、前記(1)の付着防止性能試験と同様の試験を行い、同じ基準で評価した。
上記(1)〜(4)の各評価試験の結果を、表1、2に併記して示す。
Figure 0005722639
Figure 0005722639
表1、2の「付着防止性能」の試験結果に示すように、本発明による内容物付着防止蓋材においては、いずれも試料を僅かに傾けるだけでヨーグルト液滴が転がり移動を始める。このことは、ヨーグルト、プリン、ゼリー等の粘稠な液体成分を含むような内容物に対し、蓋材裏面への該内容物の付着防止効果に優れたものであることを示す。しかも「シール性」試験の結果に示すように、付着防止層の存在によってヒートシール性がほとんど損なわれることなく、良好な密封性を維持しつつ、上記付着防止性能を付与しうる。加えて、「密着性」試験の結果に見られるように、疎水性粒子からなる付着防止層の密着性が良好で、不本意な疎水性微粒子の分離脱落、付着防止層の部分剥離等のおそれがなく、長期に亘って内容物付着防止性能を安定に維持しうると共に、容器内への異物混入のおそれもない。更には、「耐熱性」の試験結果に示すように、疎水性を付与した乾式シリカを用いた比較例では、僅か100℃×1分間の加熱履歴を受けただけで著しく本来の付着防止性能が損なわれるのに対し、湿式シリカに疎水加工を施した疎水性湿式シリカを用いた本発明の実施例においては、いずれも、同じ加熱履歴を受けても全く、あるいはほとんど付着防止性能が低下しないことを確認し得た。
1・・・基材層
2・・・基材フィルム層
3・・・金属箔層
4・・・中間樹脂層
5・・・熱封緘層
6・・・付着防止層

Claims (4)

  1. 少なくとも基材層と熱封緘層とを有し、
    前記熱封緘層が、ワックス及びエチレン−不飽和エステル重合体を主成分として含み、かつ前記エチレン−不飽和エステル重合体を30重量%以上含有するホットメルト接着剤からなる蓋材において、
    前記熱封緘層の外面に付着防止層を有し、
    該付着防止層は、湿式シリカ粒子に疎水性を付与した平均粒径2.0〜7.0μmの疎
    水性湿式シリカ粒子からなり、該疎水性湿式シリカ粒子の付着量が乾燥後重量で0.1〜1.0g/mであり、かつ前記熱封緘層の外面に、極性基を有する有機溶媒中に疎水性湿式シリカ粒子を分散させて調製した分散液を塗布し乾燥させることによって形成したものであることを特徴とする内容物付着防止蓋材。
  2. 前記疎水性湿式シリカ粒子の平均粒径が、2.0〜5.0μmである請求項1に記載
    の内容物付着防止蓋材。
  3. 前記疎水性湿式シリカ粒子の付着量が、乾燥後重量で0.1〜0.5g/mである請求項1または2に記載の内容物付着防止蓋材。
  4. 前記疎水性湿式シリカ粒子は、吸油量が50ml/100g以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の内容物付着防止蓋材。
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