JP5707290B2 - 鞍乗型車両 - Google Patents
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Description
特許文献1など従来技術においては、サイドトランクの車幅方向張出し量とサイドカウルの車幅方向張出し量とに関連した走行風について開示されたものはないが、このサイドトランクの車幅方向張出し量がサイドカウルの車幅方向張出し量より大きい場合の走行風(空気流)について考察する。
前記リヤカウルには、車幅方向左右に張出した膨出部が設けられ、
前記膨出部は、前記フロントカウルの後端よりも車幅方向外側に張出しており、
前記膨出部の側面は、少なくとも車両平面視で車両外側に向って膨らむ湾曲形状に構成され、且つ前記側面の最も車幅方向外側に位置するピーク部が前記膨出部の車両前後方向の長さにおいて車両前寄りに位置し、
前記膨出部の下方には、マフラー部が前記膨出部に隣接して配置されており、
前記膨出部は、その前面から上面にかけて側面視で上方に膨らむ上方前部湾曲部を有し、
前記マフラー部は、その前面から下面にかけて側面視で下方に膨らむ下方前部湾曲部を有しており、
前記膨出部の前面と前記マフラー部の前面とが略一面で連続する曲線上に位置されていることを特徴とする。
前記マフラーステイは、車両前後方向に沿う横断面形状が略翼断面形状であることを特徴とする。
この結果、車両後方側における空気流の渦を低減することができ、空気抵抗の低減を図ることができる。
また、膨出部とマフラー部とが並んで配置された状態で、両部材の車両側面視での前面の輪郭形状が略一面で連続する曲線に構成されていることで、両部材を車両上下方向で合わせた全体構造において空気流を乱しにくい形状とすることができるので、空気抵抗を低減することができる。
まず、本発明の一実施形態について、図1〜図10を参照しながら詳細に説明する。
なお、添付図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、車両に対して前後、左右、上下は、運転者から見た方向に従い、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をUp、下方をDw、として示す。
そして、車体フレーム5の前部および前部の側方ならびにエンジン40の下方の車両前部1aを覆うフロントカウル10と、リヤサイドカバー11a等を有して車両後部1bを適宜覆うリヤカウル11とを備えている。
また、本実施形態においては、運転者Rが着座するシート3の後方に、図2に示すように車両左右両側に張出した後述する膨出部12が設けられている。
このように構成された自動二輪車1への乗車は、図1および図2に示すように、車両のほぼ中央の下部側に設けられたステップ31に運転者Rが足を乗せるとともに両手でグリップ6aを握るようにして着座する。
なお、このマフラー部13は、本実施形態ではマフラー本体13bをマフラーカバー13aが覆うように構成されているが、例えば、マフラー本体13bが図1に示すようなマフラーカバー13aの形状で、マフラーカバー13aのない構造であっても良い。
ここで、図7は本実施形態の自動二輪車に運転者Rが着座した状態での平面視における空気流afの流速分布を等高線にて示す模式図であり、図7の(a)は膨出部12が大きく張出した場合(本実施形態の場合)の流速分布を示し、(b)はピーク部200を備える膨出部120の場合で、(a)に示す場合に比べて張出し量の小さい場合の流速分布を示す。
また、図7における流速の大小関係は、流速領域G>流速領域F>流速領域E>流速領域D>流速領域C>流速領域B>流速領域A、となっている。なお、この流速領域のA〜Gの大小関係については後述する図8も図7と同様である。
図7の(b)に示す場合では、走行時において最も高速の流れ(車体の影響を受けずに実質的に層流状態の流れ)である最高速流の流速領域Gがフロントカウル10の後端10a(図2参照)から一端離れてそのまま車両後方(図7において右側)に流れていく。すなわち、図7の(b)では、流速領域Gよりも流速の小さい領域(流速領域F以下の領域)が、図7の(a)よりも車両後方に長い距離で存在する空気流afとなっている。この流速が小さい領域(流速領域G以外の領域)が車両後方に大きく延びていることで、空気抵抗が大きくなっている。
図7の(b)の場合に対して、図7の(a)の場合では、車幅方向にフロントカウル10の後端10a(図2参照)よりも張出した膨出部12が存在していることで、この膨出部12のピーク部20に最高速流の流速領域Gが再付着して接していることが判る。この膨出部12への流速領域Gの再付着によって、一端車体から離れた流速領域Gの空気流afが膨出部12に再度引き付けられて、膨出部12の外面によって空気流afを車両後方において低速の流速領域A,B,C,D,E,Fを小さくするように制御することができる。
また、膨出部12の前部側面12fが車両平面視で車両外側に向って膨らむ湾曲形状となっている構成によれば、フロントカウル10後端10aを離れて流れた空気流afを円滑に膨出部12に再付着させて流すことができる。
したがって、このサイドトランク30は、空気流afを良好にするだけでなく、車幅方向の左右に大きく張り出した大きな収納スペースとして有効利用される。
なお、このサイドトランク30は、例えばトランク上部12aとトランク下部12bとから構成されており、車両前後方向の分割ライン12cを境にして図示しないヒンジ構造等によりトランク上部12aを開閉することができ、中に物品を収納することができる。
この絞込角度θが本実施形態の範囲に設定されている場合と、本実施形態の場合と他の絞込角度θの場合とは違いが生じる。
なお、図6は、空気抵抗低減率と車両の後部の絞込角度θとの関係を示すグラフであり、図8の(a),(b),(c)は膨出部12の絞込角度θが15°,30°,0°の場合における流速分布を等高線にて示す模式図である。また、図8の(a),(b),(c)では、膨出部12の張出し量ならびにピーク部20の位置は同じに構成されている。
図8の(a),(b),(c)の各図に示す形態は、何れの場合も膨出部12の最大張出し部分であるピーク部20において空気流afの再付着が生じる構造となっている。
図8の(c)に図示する形状の場合、膨出部12に再付着した高速の空気流afは、後部側面12rの絞込角度θがゼロ(0°)であることで、車両後方に平行に導かれる。この場合、流速領域Eは図示の範囲において収束して閉じられて(a)の場合よりも若干長い長さとなっており且つ車幅方向の幅も(a)の場合に比べて若干大きくなっている。また、他の流速の低い領域(流速領域A,流速領域B,流速領域C,流速領域D)の幅も大きくなっており、最小流速の流速領域Aも最も大きくなっている。
この場合、膨出部12に再付着した高速の空気流afは、後部側面12rの絞込角度θが30°と比較的大きく構成されていることで、後部側面12rに沿うように誘導されて流速の低い領域(流速領域A,流速領域B,流速領域C,流速領域D)の幅(車幅方向)は前掲の(c)の場合に比べて絞り込まれて小さくなっている。しかし、絞込角度θが大きすぎることで後部側面12rからの空気流afの剥離が起きており、流速領域Eについては図示の範囲で収束することができず車両後方に大きく延びてしまっている。また、他の流速の低い領域(流速領域A,流速領域B,流速領域C,流速領域D)の長さも大きくなっている。
この場合、膨出部12に再付着した空気流afは、後部側面12rの絞込角度θが15°に構成されていることで、流速の低い領域(流速領域A,流速領域B,流速領域C,流速領域D)の幅(車幅方向)は前掲の(b)の場合に比べて、膨出部12の最後端部21の幅が大きい分だけ若干大きいものの、後方への長さは大きく改善されて小さくなっている。
したがって、膨出部12の絞込角度θが15°の場合においては、後部側面12rの空気剥がれを回避して空気流afを効果的に車両後方の内方に導くことができて、車両後方の空気流afの安定化を積極的にできる。この結果、図8の(b)および(c)に比べて車両の走行空気抵抗を小さくすることができる。
図6に示すように、空気抵抗は、絞込角度θが0°を越えた当たりから20°程度の範囲において低減している。そして、この空気抵抗が改善された範囲の中でも、絞込角度θが5°〜15°の範囲Sにおいてはっきりとした空気抵抗の低減効果が現れていることが判る。
これは、膨出部12の側面12sの後部側面12rの絞込角度θは5°よりも小さいと空気流afの乱れを積極的に消しにくくなりその効果が出にくい。一方、絞込角度θは15°よりも角度が小さいことで、大きすぎる場合の空気剥がれが回避されて空気流afを積極的に安定させることができるものと思われる。
このマフラー部13は、前掲のごとくマフラー本体13bとマフラー本体13bを覆うマフラーカバー13aとを有する構成である。
この膨出部12は、図5に示すように、その前面から上面にかけて側面視で上方に膨らむ上方前部湾曲部12dを有しており、一方、マフラーカバー13aはその前面から下面にかけて側面視で下方に膨らむ下方前部湾曲部13dを有している。そして、この上方前部湾曲部12dと下方前部湾曲部13dとは、連続した一つの同一曲線33上(図5において二点鎖線にて示し、便宜上、実際とはずらして図示してある)に位置している。
したがって、膨出部12の上側を通過する空気流afとマフラー部13の下側を通過する空気流afとは、あたかも一つの部材の外面を流れるようにして車体後方に流れる空気流afを形成することができる。
この結果、車両上下方向における膨出部12とマフラー部13とを合わせた構造物としての空気流afにおいて空気抵抗を低減することができる。
この構成によって、膨出部12とマフラー部13との複合突出部分でフロントカウル10よりも車幅方向に張出した部分が、車両底部側から車両のほぼ中段の高さまでの車両上下方向領域H0にて形成されている。
このように、膨出部12の膨出部縦側面12hとマフラー部13のマフラー部縦側面13hとが車両上下方向においても側面縦方向曲線15を構成するような形状によって、両部材を合わせた側面構造において空気流afを円滑に流すことができ、空気抵抗を低減することができる。
なお、本実施形態におけるマフラーステイ14は、例えば、その内部には中空部14bを有して軽量化されている。
図10に示す膨出部12の形状においては、一カ所の構造を除いて図5に示すものと同じ構造である。図10に示す膨出部12の相違する構造は、膨出部12の後部の二点鎖線にて示す最後方部12gが付加されている点である。
この最後部12gは、車両側面視において、膨出部12の上側の上方後部湾曲部12eと膨出部下側の下部湾曲部12uの曲線とを、図5に示す場合よりも車両後方にさらに延ばした曲線にて構成されている。また、図10に示す膨出部12の場合、平面視においても、図示しないが後部側面12r(図4参照)を車両後方に延長した曲線にて構成されている。
このように膨出部12の後方部分に最後部12gを設けてより流線形に近づける構造により、空気流afの誘導機能をさらに高めることができる。
3 シート
6 ステアリング
7 フロントフォーク
8 フロントフェンダ
9 スイングアーム
10 フロントカウル
10a 後端
11 リヤカウル
12 膨出部(30 サイドトランク)
12f 前部側面
12r 後部側面
12s 側面
13 マフラー部
14 マフラーステイ
15 側面縦方向曲線
19 ヘッドライト
20 ピーク部
21 最後端部
22 最前端部
40 エンジン
Claims (9)
- 車両前部(1a)に設けられるフロントカウル(10)と、車両後部(1b)に設けられるリヤカウル(11)と、を備える鞍乗型車両(1)において、
前記リヤカウル(11)には、車幅方向左右に張出した膨出部(12)が設けられ、
前記膨出部(12)は、前記フロントカウル(10)の後端(10a)よりも車幅方向外側に張出しており、
前記膨出部(12)の側面(12s)は、少なくとも車両平面視で車両外側に向って膨らむ湾曲形状に構成され、且つ前記側面(12s)の最も車幅方向外側に位置するピーク部(20)が前記膨出部(12)の車両前後方向の長さにおいて車両前寄りに位置し、
前記膨出部(12)の下方には、マフラー部(13)が前記膨出部(12)に隣接して配置されており、
前記膨出部(12)は、その前面から上面にかけて側面視で上方に膨らむ上方前部湾曲部(12d)を有し、
前記マフラー部(13)は、その前面から下面にかけて側面視で下方に膨らむ下方前部湾曲部(13d)を有しており、
前記膨出部(12)の前面と前記マフラー部(13)の前面とが略一面で連続する曲線(33)上に位置されていることを特徴とする鞍乗型車両(1)。 - 前記膨出部(12)は、車両平面視で前記膨出部(12)の最前端部(22)から最後端部(21)まで連続する略流線形状に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両(1)。
- 車両平面視における車両前後方向で前記ピーク部(20)を通る直線(A)と、前記ピーク部(20)から最後端部(21)における後部側面(12r)の接線Bとの成す角度のうち最大の絞込角度θが5°〜15°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の鞍乗型車両(1)。
- 前記膨出部(12)は、車両側面視で上側には前記上方前部湾曲部(12d)、前記上方前部湾曲部(12d)の後方の上方後部湾曲部(12e)および膨出部下側の下部湾曲部(12u)を有してなる略流線形状に構成されたことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両(1)。
- 前記マフラー部(13)は、車両側面視で前記下方前部湾曲部(13d)、前記下方前部湾曲部(13d)の後方の下方後部湾曲部(13e)およびマフラー上部側のマフラー上部湾曲部(13u)とからなる略流線形状に構成されたことを特徴とする請求項1または4に記載の鞍乗型車両(1)。
- 車両前方視で、前記膨出部(12)の膨出部縦側面(12h)と前記マフラー部(13)のマフラー部縦側面(13h)とが、略一面で連続する側面縦方向曲線(15)上に位置するように構成されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の鞍乗型車両(1)。
- 前記マフラー部(13)が前記膨出部(12)の下方に延出されたマフラーステイ(14)にて保持されており、
前記マフラーステイ(14)は、車両前後方向に沿う横断面形状が略翼断面形状であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の鞍乗型車両(1)。 - 前記マフラー部(13)が車両左右両側に設けられたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の鞍乗型車両(1)。
- 前記膨出部(12)はサイドトランク(30)により構成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の鞍乗型車両(1)。
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