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JP5790370B2 - 静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 Download PDF

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JP5790370B2 JP2011207873A JP2011207873A JP5790370B2 JP 5790370 B2 JP5790370 B2 JP 5790370B2 JP 2011207873 A JP2011207873 A JP 2011207873A JP 2011207873 A JP2011207873 A JP 2011207873A JP 5790370 B2 JP5790370 B2 JP 5790370B2
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Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を作製する方法は、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により像保持体(感光体)上に静電荷像を形成し(潜像形成工程)、静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶ場合がある。)を含む静電荷像現像用現像剤(以下、単に「現像剤」と呼ぶ場合がある。)で静電荷像を現像し(現像工程)、転写工程、定着工程を経て可視化される。ここで用いられる現像剤には、トナーとキャリアからなる2成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とがある。
近年、カラー電子写真法の普及が著しいが、特に最近は環境に考慮した複写機及び現像剤が求められている。その中でも現像剤、特にトナーは日常定期的に使用するものであり、これが地球環境に優しい材料であれば、廃棄物の削減に繋がり好ましい。
トナーは一般的に石油系材料を基に作製される。廃棄物の削減には、この石油系材料の低減を行うことが重要である。石油系材料は、石油から精製及び加工されるものであるが、それらの工程において、多くの熱量が使用されており、尚且つ処分の際、熱処理されるときにも熱量が使用され、さらには二酸化炭素も放出される。地球環境を考えた場合、これら熱量と二酸化炭素低減は、重要なテーマの1つである。
これら熱量及び二酸化炭素低減を解決する方法の1つとして、石油系材料に代えてバイオマス材料を使用することが挙げられる。バイオマス材料は、植物由来の原料であり、バイオマス材料を燃焼させるときに発生する二酸化炭素は、植物の光合成によるものであるため、全体で見る限りは二酸化炭素の総量は変化しない。このような二酸化炭素の総量が変化しない材料、即ちバイオマス材料から作製された樹脂を使用してトナーを作製すれば、地球環境に優しいトナーになると考えられる。
地球環境保全に対して配慮され、耐高温オフセット性と低温定着性とを両立することができ、かつ高い耐加水分解性を備えるトナーの製造方法として、少なくとも結着樹脂、着色剤およびオキサゾリン化合物を含むトナーの製造方法であって、結着樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、オキサゾリン化合物に含まれるオキサゾリン基は、結着樹脂に含まれる末端カルボキシル基と反応して、結着樹脂を架橋し、結着樹脂のカルボキシル基の当量に対するオキサゾリン基の当量の割合である当量%が、下記式(1)を満たすことを特徴とするトナーの製造方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
−0.39x+11.9≦y≦−1.4x+47・・・(1)
(式中、xは結着樹脂の酸価を示し、yは当量%を示す。)
また、環境負荷が低く地球環境保全に配慮したカーボンニュートラルなバイオマスポリマーであるリグニン樹脂を結着樹脂の構成成分として含有するトナーであって、定着非オフセット域が広く、優れた定着性を有するトナーを提供するため、少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有するトナー粒子で構成されるトナーであって、結着樹脂がリグニン樹脂である樹脂Aと、その他の樹脂成分である樹脂Bとからなり、樹脂Bは、ピークトップ分子量が10以上10以下で、酸価が20以下であることを特徴とするトナーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−32564号公報 特開2010−122469号公報
本発明は、帯電性能及び定着性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
即ち、請求項1に係る発明は、
結着樹脂として、炭素数が2以上4以下の2価のアルコール由来の繰り返し単位と、2価のカルボン酸由来の繰り返し単位と、下記構造式A1で示される化合物及び下記構造式A2で示される化合物の少なくとも一方由来の繰り返し単位と、を含むポリエステル樹脂を含有する静電荷像現像用トナーである。
請求項2に係る発明は、
前記2価のアルコールが、プロピレングリコールである請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項3に係る発明は、
結着樹脂として、結晶性樹脂をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーである。
請求項4に係る発明は、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像用現像剤である。
請求項5に係る発明は、
トナーが少なくとも収容され、前記トナーが請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
現像剤保持体を少なくとも備え、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤を収容するプロセスカートリッジである。
請求項7に係る発明は、
感光体と、
前記感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
前記感光体の表面に形成された前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、
前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
を有する画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、前述した特定の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として用いない場合に比較して、帯電性能及び定着性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
請求項2に係る発明によれば、2価のアルコールとしてプロピレングリコールを用いない場合に比較して、帯電性能及び定着性がさらに向上する。
請求項3に係る発明によれば、結着樹脂として結晶性樹脂を含有しない場合に比較して、帯電性能及び定着性がさらに向上する。
請求項4に係る発明によれば、前述した特定の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として用いない場合に比較して、帯電性能及び定着性に優れる静電荷像現像用現像剤が提供される。
請求項5に係る発明によれば、前述した特定の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として用いない場合に比較して、帯電性能及び定着性に優れる静電荷像現像用トナーの供給を容易にするトナーカートリッジが提供される。
請求項6に係る発明によれば、前述した特定の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として用いない場合に比較して、帯電性能及び定着性に優れる静電荷像現像用現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適応性を高められる。
請求項7に係る発明によれば、前述した特定の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として用いない場合に比較して、帯電性能及び定着性に優れる静電荷像現像用現像剤を用いた画像形成装置が提供される。
本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態のトナーは、結着樹脂として、炭素数が2以上4以下の2価のアルコール由来の繰り返し単位と、2価のカルボン酸由来の繰り返し単位と、下記構造式A1で示される化合物及び下記構造式A2で示される化合物の少なくとも一方由来の繰り返し単位と、を含むポリエステル樹脂(以下、特定のポリエステル樹脂と称することがある)を含有する。
なお、構造式A1で示される化合物には複数の異性体が存在するが、本実施形態においては、複数の異性体のいずれもが構造式A1で示される化合物に包含される。同様に、構造式A2で示される化合物には複数の異性体が存在するが、本実施形態においては、複数の異性体のいずれもが構造式A2で示される化合物に包含される。
上述のように、バイオマス材料の使用は地球環境の保全に有効であるが、トナー用樹脂の原料に使用出来るバイオマス材料(バイオマスモノマー)は限られている。更にバイオマスモノマーは、一般的にアルコール系材料として使用する場合が多い。しかし、比較的安価で、かつ入手容易なアルコール系バイオマス材料は炭素数が2以上4以下程度と炭素鎖が短いため、このアルコールを用いて合成されたポリエステル樹脂中に含まれる酸素の割合が多くなってしまい樹脂の親水性が高まる。その結果として、このポリエステル樹脂を用いたトナーの帯電性が低下し、幅広い定着温度で安定的に画像濃度が高い画像を得ることが難しくなってしまう傾向にある。
ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマーの平均炭素数を増加させることでポリエステル樹脂中に含まれる酸素の割合を相対的に低下させるために、炭素鎖の長いモノマーを併用する方法がある。しかし、モノマーの炭素数が長くなるとモノマーのガラス転移温度が低くなり、それに従いポリエステル樹脂のガラス転移温度も低くなる。その結果としてトナーのガラス転移温度が低下してしまい、高温でのオフセット性が悪化し易く、良好な定着性を得られないことがある。さらに、トナー同士の凝集が生ずることがある。
つまり、炭素数が2以上4以下程度の炭素鎖の短いアルコールモノマーを原料として用いたポリエステル樹脂を結着樹脂として用いた場合に、トナーの帯電性能及び定着性の問題が生じやすい。そのため、炭素数が2以上4以下程度の炭素鎖の短いアルコールモノマーは、結着樹脂の原料として選択されにくい状況であった。
本実施形態では、炭素数が2以上4以下の2価のアルコール由来の繰り返し単位を含むポリエステル樹脂を結着樹脂として用いたとしても、帯電性能及び定着性に優れるトナーが得られる。その理由は定かではないが、以下のように推察される。
上述のように、炭素数の少ないアルコールを原料に使用したポリエステル樹脂は酸素の割合が高くなる。酸素の割合を低くするために炭素数の多いモノマーを原料に使用すると、これを用いたポリエステル樹脂のガラス転移温度が低下してしまう。
この状況を解消するために、炭素数が多く嵩高いモノマーや縮合多環モノマーを炭素数の少ないアルコールと併用することにより、トナー全体でのガラス転移温度を低下し難くする手法がある。しかし、嵩高いモノマーや縮合多環モノマーは、非常にガラス転移温度が高いため、樹脂合成の際に僅かな量しか使用出来ず、結着樹脂やトナーのガラス転移温度の調整がかなり困難である。
本発明者等は、例えば縮合多環モノマーであり、かつ単結合で環同士が接合されていれば、高すぎるガラス転移温度にならないまま、トナーのガラス転移温度調整が容易になり易くなることを見出した。
例えば、縮合環と単結合の例として、ナフタレンとビフェニルとを比較すると、ナフタレンの溶融温度は、80℃、ビフェニルの溶融温度は69℃であり、環のような嵩高い置換基でも、間に単結合で接合させることにより、高すぎないガラス転移温度でありながら炭素数が多いため相対的に樹脂中の酸素の割合が低下し、帯電低下を防ぐことが出来る。
縮合多環構造でありながら、尚且つ単結合で接合している構造のモノマーとして、上記構造式A1や構造式A2で示される化合物のようなロジンフェノールが挙げられる。ロジンフェノールは、ロジンにフェノールが付加したものである。更に、フェノールの水酸基とロジンのカルボキシル基とが反応し、エステル化され、フェノールを間に挟んだロジンの2量体が存在する。フェノールが付加したものはロジンとフェノール間は単結合で接合され、2量化されたものはフェノールを間に挟んだ単結合同士となるために、縮合多環構造であり炭素が多い構造にも関わらず、ガラス転移温度が上昇し難くなっている。
構造式A1や構造式A2で示される化合物と炭素数が2以上4以下の2価のアルコールとをポリエステル樹脂合成の際のモノマーとして併用することにより、ポリエステル樹脂中に含まれる酸素が相対的に減少し、且つ、ポリエステル樹脂が望ましいガラス転移温度となることから、炭素数が2以上4以下の2価のアルコールを用いたポリエステル樹脂を結着樹脂として用いたとしても、帯電性能及び定着性に優れるトナーが得られると推察される。
以下、本実施形態のトナーを構成する各成分について説明する。
−結着樹脂−
本実施形態のトナーは、結着樹脂として特定のポリエステル樹脂を含有する。特定のポリエステル樹脂は、結晶性樹脂であってもよいし、非晶性樹脂であってもよいが、非晶性樹脂であると、使用量が多くなるため、環境保全の観点から望ましい。
ポリエステル樹脂は、カルボン酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分との重縮合により合成されるものであり、ジオール成分の一種として、炭素数が2以上4以下の2価のアルコールが用いられる。
炭素数が2以上4以下の2価のアルコール由来の繰り返し単位の元となる2価のアルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール等が挙げられるが、これらの中でも、トナーの帯電性能及び定着性の点でプロピレングリコールが好ましい。プロピレングリコールは、入手性及びコストの点でも有利である。
本実施形態においては、炭素数が2以上4以下の2価のアルコール以外のその他のジオールを用いてもよい。その他のジオールとしては、後述する結晶性ポリエステル樹脂に関して挙げられた脂肪族ジオールに加えて、ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物や水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。さらに、トナー製造性、耐熱性、透明性等の観点から、ビスフェノールS、ビスフェノールSエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールSプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノールS誘導体を用いてもよい。ビスフェノールSは耐熱性を高める効果をもつ。
また、より良好なる定着性を確保することを目的として、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等)を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の合成に用いられるジオールとしては、全ジオールが、炭素数が2以上4以下の2価のアルコールであってもよいが、ジオールを2種以上併用して用いる場合、全ジオールに占める炭素数が2以上4以下の2価のアルコールの割合は、10モル%以上70モル%以下が望ましく、20モル%以上50モル%以下がさらに望ましく、30モル%以上40モル%以下が特に望ましい。
本実施形態において、2価のカルボン酸由来の繰り返し単位の元となる2価のカルボン酸(ジカルボン酸)としては、特に限定されるものではないが、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられる。これらの多価カルボン酸は、1種単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが好ましい。また、良好なる定着性を確保することを目的として、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用してもよい。
本実施形態においては、ポリエステル樹脂の合成の際に、酸成分として、上記構造式A1で示される化合物及び上記構造式A2で示される化合物の少なくとも一方が用いられる。
ポリエステル樹脂の合成の際に用いられる構造式A1で示される化合物及び構造式A2で示される化合物の合計量は、ジカルボン酸の合計モル量に対して5モル%以上40モル%以下が望ましく、10モル%以上30モル%以下がさらに望ましく、15モル%以上20モル%以下が特に望ましい。ジカルボン酸の合計モル量に対して構造式A1で示される化合物及び構造式A2で示される化合物の合計量が40モル%以下であれば、ポリエステル樹脂のガラス転移温度が高すぎることがなく、トナーの低温定着性の悪化が防止される。5モル%以上であれば、樹脂全体に占める炭素の割合が低下することがなく、帯電性の悪化が防止される。
特定のポリエステル樹脂のガラス転移温度は50℃以上80℃以下の範囲が好ましく、55℃以上65℃以下の範囲がより好ましい。また、重量平均分子量は8000以上30000以下の範囲であることが好ましいが、低温定着性と機械強度の観点から、重量平均分子量は8000以上16000以下の範囲であることがより好ましい。
本実施形態のトナーは、結着樹脂として結晶性樹脂をさらに含有してもよい。
結晶性樹脂としては、結晶性を持つ樹脂であれば特に制限はなく、具体的には、結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ビニル系樹脂が挙げられるが、定着の際の紙への接着性や帯電性、および好ましい範囲での溶融温度調整の観点から結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。また適度な溶融温度をもつ脂肪族系の結晶性ポリエステル樹脂がより好ましい。
結晶性ビニル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸オレイル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の長鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステルを用いたビニル系樹脂が挙げられる。なお、本明細書において、”(メタ)アクリル”なる記述は、”アクリル”および”メタクリル”のいずれをも含むことを意味するものである。
結晶性ポリエステル樹脂は、カルボン酸(ジカルボン酸)成分とアルコール(ジオール)成分とから合成されるものである。結晶性ポリエステル主鎖に対して他成分を共重合したポリマーの場合、他成分が50質量%以下の場合、この共重合体も結晶性ポリエステル樹脂と呼ぶ。
[カルボン酸成分]
カルボン酸成分は、脂肪族ジカルボン酸が好ましく、特に直鎖型のカルボン酸が好ましい。例えば、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸など、あるいはその低級アルキルエステルや、酸無水物が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族ジカルボン酸の中では、入手容易性を考慮すると、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸が好ましい。
カルボン酸成分としては、前述の脂肪族ジカルボン酸成分のほか、二重結合を持つジカルボン酸成分、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分等の構成成分が含まれていてもよい。なお、二重結合を持つジカルボン酸成分には、二重結合を持つジカルボン酸の他、二重結合を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等も含まれる。また、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分には、スルホン酸基を持つジカルボン酸のほか、スルホン酸基を持つジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは酸無水物等も含まれる。
二重結合を持つジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを防ぐために好適に用いられる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3−ヘキセンジオイック酸、3−オクテンジオイック酸等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でも、コストの点でフマル酸、マレイン酸が好ましい。
スルホン酸基を持つジカルボン酸は、顔料等の色材の分散を良好にできる点で有効である。また、樹脂全体を水に乳化あるいは懸濁して粒子を作製する際に、スルホン酸基があれば、乳化剤を使用しないで乳化あるいは懸濁が可能である。このようなスルホン酸基を持つジカルボン酸としては、例えば、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ナトリウム塩等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物等も挙げられる。これらの中でもコストの点で、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等が好ましい。
これらの脂肪族ジカルボン酸成分以外のカルボン酸成分(二重結合を持つジカルボン酸成分およびスルホン酸基を持つジカルボン酸成分)の、カルボン酸成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。
前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、トナー中の顔料の分散性がよくない場合がある。また、乳化凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構成モル%を超えると、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、溶融温度が降下して、画像の保存性が悪くなる場合がある。また、乳化凝集法を利用してトナーを作製する場合に、分散液中の乳化粒径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じない場合がある。なお、本実施形態において「構成モル%」とは、ポリエステル樹脂におけるジカルボン酸由来の繰り返し単位、又は、ジオール由来の繰り返し単位を1単位(モル)したときの百分率を指す。
[アルコール成分]
アルコール構成成分としては脂肪族ジオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられるが、この限りではない。
アルコール成分は、脂肪族ジオール成分の含有量が80構成モル%以上であることが好ましく、必要に応じてその他の成分を含む。アルコール成分としては、脂肪族ジオール成分の含有量が90構成モル%以上であることがより好ましい。
前記含有量が、80構成モル%未満では、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、溶融温度が降下するため、耐トナーブロッキング性、画像保存性および、低温定着性が悪化してしまう場合がある。一方、必要に応じて含まれるその他の成分としては、二重結合を持つジオール成分、スルホン酸基を持つジオール成分等の構成成分が挙げられる。
前記二重結合を持つジオールとしては、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテン−1,8−ジオール等が挙げられる。一方、前記スルホン酸基を持つジオールとしては、1,4−ジヒドロキシ−2−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、1,3−ジヒドロキシメチル−5−スルホン酸ベンゼンナトリウム塩、2−スルホ−1,4−ブタンジオールナトリウム塩等が挙げられる。
これらの直鎖型脂肪族ジオール成分以外のアルコール成分を加える場合(二重結合を持つジオール成分、および、スルホン酸基を持つジオール成分)の、アルコール成分における含有量としては、1構成モル%以上20構成モル%以下が好ましく、2構成モル%以上10構成モル%以下がより好ましい。前記含有量が、1構成モル%未満の場合には、顔料分散が不良となったり、乳化粒径が大きくなり、凝集によるトナー径の調整が困難となる場合がある。一方、20構成モル%を超えると、ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、溶融温度が降下して、画像の保存性が悪くなったり、乳化粒径が小さ過ぎて水に溶解し、ラテックスが生じない場合がある。
また、結晶性樹脂の溶融温度、分子量等の調整の目的で上記の重合性単量体以外に、より短鎖のアルキル基、アルケニル基、芳香環等を有する化合物を使用することもできる。具体例としては、ジカルボン酸の場合、コハク酸、マロン酸、シュウ酸等のアルキルジカルボン酸類、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、4,4’−ビ安息香酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、ジピコリン酸、ジニコチン酸、キノリン酸、2,3−ピラジンジカルボン酸等の含窒素芳香族ジカルボン酸類が挙げられ、ジオール類の場合、コハク酸、マロン酸、アセトンジカルボン酸、ジグリコール酸等の短鎖アルキルのジオール類が挙げられ、短鎖アルキルのビニル系重合性単量体の場合、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等の短鎖アルキル、アルケニルの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン類等が挙げられる。これらの重合性単量体は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
次に、結着樹脂として用いられる非晶性樹脂や、必要に応じて用いられる結晶性樹脂の架橋処理や、結着樹脂の合成に際して用いることが可能な共重合成分等について説明する。結着樹脂の合成に際しては、他の成分を共重合させることができ、親水性極性基を有する化合物を用いてもよい。
具体例としては、結着樹脂がポリエステル樹脂である場合、スルホニル−テレフタル酸ナトリウム塩、3−スルホニルイソフタル酸ナトリウム塩等の芳香環に直接スルホニル基が置換したジカルボン酸化合物等が挙げられる。
また、特に結晶性ポリエステル樹脂においては、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、trans−アコニット酸等の不飽和の多価カルボン酸類を、ポリエステル中に共重合させ、その後樹脂中の多重結合部分同士、または他のビニル系化合物を用いて架橋させる方法を用いてもよい。本実施形態において、これらの架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
これら架橋剤により架橋させる方法としては、重合性単量体(モノマー)の重合の際に架橋剤と共に重合し架橋させる方法でもよいし、不飽和部分は結着樹脂中に残留させ、結着樹脂を重合させた後、あるいはトナー作製の後、不飽和部分を架橋反応により架橋させる方法でもよい。結着樹脂中の不飽和部分は、ラジカル重合により重合させてもよい。
なお、結着樹脂としては、主にポリエステル樹脂を中心に上述したが、その他にも必要に応じて、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体;さらにアクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウム等のエチレン系不飽和酸単量体;さらにアクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類単量体の単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、またはそれらの混合物、さらには、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等、非ビニル縮合系樹脂、または、それらと前記ビニル系樹脂との混合物、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等を用いてもよい。
本実施形態において、全結着樹脂に占める特定のポリエステル樹脂の割合は、50質量%以上100質量%以下が望ましく、60質量%以上90質量%以下がさらに望ましく、70質量%以上80質量%以下が特に好ましい。
なお、本実施形態において、「結晶性樹脂」の「結晶性」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃以内であるときに「明確な」吸熱ピークであるとする。また、シャープメルト製の観点から、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、10℃以内であることが好ましく、6℃以内であることがより好ましい。DSC曲線におけるベースラインの平坦部の任意の点及びベースラインからの立ち下がり部の平坦部の任意の点を指定し、その両点間の平坦部の接線の交点が「オンセット点」として自動接線処理システムにより自動的に求められる。また、吸熱ピークは、トナーとしたときに、40℃以上50℃以下の幅を有するピークを示す場合がある。
また、結着樹脂として用いる「非晶性樹脂」とは、樹脂またはトナーの示差走査熱量測定(DSC)において、オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められない樹脂であることを指す。具体的には、自動接線処理システムを備えた島津製作所社製の示差走査熱量計(装置名:DSC−60型)を用いた示差走査熱量測定(DSC)において、10℃/minの昇温速度で昇温したときのオンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度が10℃を超えるとき、あるいは明確な吸熱ピークが認められないときに「非晶性」であるとする。また、前記オンセット点から吸熱ピークのピークトップまでの温度は、12℃を超えることが好ましく、明確な吸熱ピークが認められないことがより好ましい。DSC曲線における「オンセット点」の求め方は上記「結晶性樹脂」の場合と同様である。
ポリエステル樹脂の合成方法としてはとくに制限はなく、カルボン酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができ、例えば、直接重縮合、エステル交換法等が挙げられ、モノマーの種類によって使い分けて製造する。
ポリエステル樹脂の合成は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合はあらかじめ相溶性の悪いモノマーと、そのモノマーと重縮合予定のカルボン酸成分またはアルコール成分とを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
ポリエステル樹脂の合成の際に使用される触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物、リン酸化合物、およびアミン化合物等が挙げられ、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
例えば、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン、トリブチルアンチモン、ギ酸スズ、シュウ酸スズ、テトラフェニルスズ、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ナフテン酸ジルコニウム、炭酸ジルコニ−ル、酢酸ジルコニ−ル、ステアリン酸ジルコニ−ル、オチル酸ジルコニ−ル、酸化ゲルマニウム、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリエチルアミン、トリフェニルアミン等の化合物が挙げられる。
本実施形態のトナーは、着色剤を含有してもよい。着色剤は、染料であっても顔料であっても構わないが、耐光性や耐水性の観点から顔料であることが好ましい。
例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアンブルー、マラカイトグリーンオキサート、ランプブラック、ローズベンガル、キナクリドン、ベンジシンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド185、C.I.ピグメント・レッド238、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー74、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の公知の顔料が使用される。
本実施形態のトナーにおける、前記着色剤の含有量としては、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましい。
必要に応じて表面処理された着色剤を使用したり、顔料分散剤を使用することも有効である。前記着色剤の種類を選択することにより、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナー等が得られる。
本実施形態のトナーは、離型剤を含有してもよい。本実施形態のトナーに用いられる離型剤の例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類;加熱により軟化点を示すシリコーン類;オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような加熱により軟化点を示す脂肪酸アミド類;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような加熱により軟化点を示す植物系ワックス;ミツロウのような加熱により軟化点を示す動物系ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような加熱により軟化点を示す鉱物系・石油系ワックス、及びそれらの変性物などを挙げることができる。これらのワックス類は、室温付近では、トルエンなど溶剤にはほとんど溶解しない。
また、これらの離型剤は、トナーを構成する固体分総重量に対して5質量%以上25質量%以下の範囲で添加することが、オイルレス定着システムにおける定着画像の剥離性を確保する上で好ましい。
本実施形態のトナーには、上記したような成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を添加してもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
<静電荷像現像用トナーの製造方法>
本実施形態のトナーの製造方法は、懸濁重合法や乳化凝集法等のヘテロ凝集法または混練粉砕法のいずれでも良いが、形状制御のし易さやトナーの小径化を考慮すると、ヘテロ凝集法が望ましい。
以下に、乳化凝集法によるトナーの製造方法を例として、より詳細に説明する。乳化凝集法では、まず、樹脂粒子を分散した樹脂粒子分散液と、必要に応じて着色剤分散液等とを混合し、樹脂粒子、着色剤等を含有する凝集粒子の分散液を調製した後、樹脂粒子のガラス転移温度または溶融温度以上の温度に加熱して溶融、融合し、トナー粒子を形成してもよい。
[各分散液の調製]
本実施形態のトナーを乳化凝集法により作製する場合に用いられる樹脂粒子分散液の調製方法について説明する。
例えば樹脂粒子分散液の調製は、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。さらに、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。
樹脂粒子の体積平均粒径は、1μm以下であることが好ましく、0.01μm以上1μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは50nm以上400nm以下、特に好ましくは70nm以上350nm以下の範囲である。樹脂粒子の体積平均粒径が1μmを越えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒度分布が広くなったり、遊離粒子の発生が生じ、性能や信頼性の低下を招く場合がある。一方、樹脂粒子の体積平均粒径が前記範囲内にあると、前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中での分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点が有利である。なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、例えば、マイクロトラック等を用いて測定することができる。
ヘテロ凝集法による製造法の場合、例えば乳化凝集法は、通常1μm以下の粒子化された原材料を出発物質とするため、小径かつ狭い粒度分布のトナーを効率的に作製することができ、高画像な定着画像を得ることができるため、好ましい。
着色剤を分散させる時は、分散に用いる界面活性剤や分散剤としては、結着樹脂を分散させる際に用い得る分散剤と同様のものを用いることができるが、なるべく統一した方がよい。
着色剤の分散方法としては、任意の方法、例えば回転せん断型ホモジナイザや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的な分散方法を使用することができ、何ら制限されるものでない。
このようにして得られる着色剤分散液の粒子の体積平均粒径(メジアン径)は、2μm以下が好ましく、より好ましくは0.5μm以上1.5μm以下、さらに好ましくは0.2μm以上1μm以下の範囲である。なお、これらの体積平均粒径は、レーザ回析式粒度分布測定装置(堀場製作所製、LA−700)で測定される。
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の溶融温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。好ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が好ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より好ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm未満では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれにくくなる。また、500nmを超える場合には、トナー中の離型剤の分散状態が不充分となる場合がある。
[凝集工程]
凝集工程においては、結着樹脂を分散させた樹脂粒子分散液と、必要に応じて、着色剤を分散させた着色剤分散液と離型剤を分散させた離型剤分散液とを混合した原料分散液中にて、凝集粒子を形成する。
具体的には、各種の分散液を混合して得た原料分散液を加熱し、原料分散液中の粒子を凝集させた凝集粒子を形成する。
凝集粒子の形成は、回転せん断型ホモジナイザーで撹拌下、室温で凝集剤を添加し、原料分散液のpHを酸性にすることによってなされる。
凝集工程に用いられる凝集剤は、原料分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、すなわち無機金属塩の他、2価以上の金属錯体等を好適に用いることができる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に好ましい。
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩、および、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体などが挙げられる。その中でも特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
[付着工程]
凝集工程を経た後には、必要であれば付着工程を実施してもよい。付着工程では、上記した凝集工程を経て形成された凝集粒子の表面に、樹脂粒子を付着させることによりシェル層(被覆層)を形成することができる。これにより、いわゆるコア粒子とこのコア粒子を被覆するシェル層とを含むコア/シェル構造を有するトナーを得ることができる。
シェル層の形成は、凝集工程において凝集粒子(コア粒子)を形成した分散液中に、通常、結着樹脂粒子を含む分散液を追添加することにより行うことができる。なお、付着工程で利用する結着樹脂は、凝集工程で利用するものと同一であっても異なっていてもよい。
なお、一般的に付着工程は、離型剤と共に結着樹脂として結晶性樹脂が主成分として含まれるようなコア/シェル構造を有するトナーを作製する場合に用いられ、その主たる目的は、コア層に含まれる離型剤や結晶性樹脂のトナー表面への露出の抑制や、コア層単体では不十分なトナー粒子の強度を補うことにある。
[融合工程]
凝集工程、あるいは、凝集工程および付着工程を経た後に実施される融合工程は、これらの工程を経て形成された凝集粒子を含む懸濁液のpHを6.5以上8.5以下の範囲にすることにより、凝集の進行を止めた後、加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。
融合工程での加熱に際して、あるいは融合が終了した後に、架橋反応を行わせてもよい。また、融合と共に架橋反応を行うこともできる。架橋反応を行わせる場合には、トナーの作製に際して、架橋剤や重合開始剤を用いる。重合開始剤は、原料分散液を作製する段階であらかじめこの分散液に混合しておいてもよいし、凝集工程で凝集粒子に取り込ませてもよい。さらには、融合工程、あるいは、融合工程の後に導入してもよい。凝集工程、付着工程、融合工程、あるいは融合工程の後に導入する場合は、重合開始剤を溶解、または乳化した液を、分散液に加える。これらの重合開始剤には、重合度を制御する目的で、公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を添加してもよい。
[洗浄、乾燥工程等]
凝集粒子の融合工程を終了した後、任意の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程等を経て所望のトナー粒子が得られるが、洗浄工程は帯電性を考慮すると、イオン交換水で置換洗浄することが望ましい。また、固液分離工程には特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好適である。さらに、乾燥工程も特に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。また、乾燥後のトナー粒子には、種々の外添剤を必要に応じて添加することができる。
外添剤としては、特に制限はなく、無機粒子や有機粒子等の公知の外添剤を用いることができるが、その中でも、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウムおよびリン酸カルシウム等の無機粒子、ステアリン酸亜鉛のような金属石鹸、フッ素含有樹脂粒子、シリカ含有樹脂粒子および窒素含有樹脂粒子等の有機樹脂粒子が好ましい。また、目的に応じて外添剤表面に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、疎水化処理を行うためのシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
[静電荷像現像用トナーの物性]
トナーの体積平均粒径D50vは、3μm以上6μm以下の範囲であることが好ましく、3.5μm以上5μm以下の範囲であることがより好ましい。トナーの体積平均粒径D50vが3μm未満であると、微粉が多くなるためトナーかぶりやクリーニング不良を起こしやすくなる。
また、本実施形態の静電荷像現像用トナーの体積平均粒度分布指標GSDvは、1.0以上1.3以下の範囲であることが好ましく、1.1以上1.3以下の範囲であることがより好ましく、1.15以上1.24以下の範囲であることがさらに好ましい。GSDvが1.3を超える場合、粗大粒子及び微粉粒子の存在が多くなるために、トナー同士の凝集が激しくなり、帯電不良や転写不良を引き起こしやすくなる。また、GSDvが1.1を下回る場合には、製造上かなり困難を有する場合がある。
なお、体積平均粒径D50v及び体積平均粒度分布指標GSDvは、コールタ−マルチサイザー−II型(コールター社製)を用いて、100μmのアパーチャ径で測定することにより得ることができる。このとき、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトンII水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行う。測定されるトナーの粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒径を体積D84v、数D84pと定義する。この際、D50vは体積平均粒径を表し、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2として求められる。なお、(D84p/D16p)1/2は数平均粒度分布指標(GSDp)を表す。
また、本実施形態のトナーの、下記式で表される形状係数SF1は110以上140以下の範囲であることが好ましく、115以上135以下の範囲であることがより好ましく、120以上130以下の範囲であることがさらに好ましい。SF1が110に満たないと、トナー粒子が球状に近くなるため転写後のクリーニング不良が発生してしまう場合がある。またSF1が140を超えると、転写効率や画質が低下するだけでなく、湿式による低温での製造法で得られるトナー粒子の形状範囲を超える場合がある。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100
(上記式において、MLはトナーの最大長(μm)を表し、Aはトナーの投影面積(μm)を表す。)
なお、形状係数SF1は、ルーゼックス画像解析装置(株式会社ニレコ製、FT)を用いて、次のようにして測定することが可能である。まず、スライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像を、ビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、50個のトナーについて最大長(ML)と投影面積(A)を測定し、個々のトナーについて、(ML/A)×(π/4)×100を算出し、これを平均した値を形状係数SF1として求めることができる。
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態の現像剤は、本実施形態のトナーを含む一成分現像剤、あるいは、キャリアと本実施形態のトナーを含む二成分現像剤のいずれであってもよい。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。以下、二成分現像剤である場合について説明する。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂、マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル系樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。これらの中では、高い帯電量等の点からジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが好ましい。キャリアの芯材の体積平均粒径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲であり、好ましくは30μm以上100μm以下の範囲である。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前述の被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100以上30:100以下程度の範囲であることが好ましく、3:100以上20:100以下程度の範囲であることがより好ましい。
<画像形成装置>
次に、本実施形態のトナーを用いた本実施形態の画像形成装置について説明する。
本実施形態の画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記感光体の表面に形成された前記静電荷像を本実施形態の現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を有するものである。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像手段を含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像剤を収容する本実施形態のプロセスカートリッジが好適に用いられる。
以下、本実施形態の画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主用部を説明し、その他はその説明を省略する。
図1は、4連タンデム方式のカラー画像形成装置を示す概略構成図である。図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づくイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。なお、これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置本体に対して脱着可能なプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの図面における上方には、各ユニットを通して中間転写体としての中間転写ベルト20が延設されている。中間転写ベルト20は、図における左から右方向に互いに離間して配置された駆動ローラ22および中間転写ベルト20内面に接する支持ローラ24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行されるようになっている。尚、支持ローラ24は、図示しないバネ等により駆動ローラ22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。また、中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ローラ22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
また、各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーが供給される。
上述した第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。尚、第1のユニット10Yと同等の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)を付した参照符号を付すことにより、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kの説明を省略する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ローラ2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yよって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する1次転写ローラ5Y(1次転写手段)、および1次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段)6Yが順に配置されている。
尚、1次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。更に、各1次転写ローラ5Y、5M、5C、5Kには、1次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各1次転写ローラに印加する転写バイアスを可変する。
以下、第1ユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。まず、動作に先立って、帯電ローラ2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800V程度の電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(20℃における体積抵抗率:1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂程度の抵抗)であるが、レーザ光線3Yが照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3を介してレーザ光線3Yを出力する。レーザ光線3Yは、感光体1Yの表面の感光層に照射され、それにより、イエロー印字パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
このようにして感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転される。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによって可視像(現像像)化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体)上に保持されている。そして感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。
現像効率、画像粒状性、階調再現性等の観点から、直流成分に交流成分を重畳させたバイアス電位(現像バイアス)を現像剤保持体に付与してもよい。具体的には、現像剤保持体直流印加電圧Vdcを−300乃至−700Vとしたとき、現像剤保持体交流電圧ピーク幅Vp−pを0.5乃至2.0kVの範囲としてもよい。
イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた1次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエロートナー像が1次転写位置へ搬送されると、1次転写ローラ5Yに1次転写バイアスが印加され、感光体1Yから1次転写ローラ5Yに向う静電気力がトナー像に作用され、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、例えば第1ユニット10Yでは制御部に(図示せず)よって+10μA程度に制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーはクリーニング装置6Yで除去されて回収される。
また、第2のユニット10M以降の1次転写ローラ5M、5C、5Kに印加される1次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエロートナー像の転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と中間転写ベルト内面に接する支持ローラ24と中間転写ベルト20の像保持面側に配置された2次転写ローラ(2次転写手段)26とから構成された2次転写部へと至る。一方、記録紙(被転写体)Pが供給機構を介して2次転写ローラ26と中間転写ベルト20とが圧接されている隙間に予め定められたタイミングで給紙され、2次転写バイアスが支持ローラ24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用され、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。尚、この際の2次転写バイアスは2次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
この後、記録紙Pは定着装置(ロール状定着手段)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれトナー像が加熱され、色重ねしたトナー像が溶融されて、記録紙P上へ定着される。
トナー像を転写する被転写体としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙、OHPシート等が挙げられる。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
なお、上記例示した画像形成装置は、中間転写ベルト20を介してトナー像を記録紙Pに転写する構成となっているが、この構成に限定されるものではなく、感光体から直接トナー像が記録紙に転写される構造であってもよい。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図2は、本実施形態の現像剤を収容するプロセスカートリッジの好適な一例の実施形態を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ200は、現像装置111とともに、感光体107、帯電ローラ108、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ、そして一体化したものである。なお、図2において符号300は被転写体を示す。
そして、このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図2で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態のプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、及び、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備えてもよい。
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱可能に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収容するトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーとしたものである。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
従って、トナーカートリッジの着脱が可能な構成を有する画像形成装置においては、本実施形態のトナーを収めたトナーカートリッジを利用することにより、本実施形態のトナーが容易に現像装置に供給される。
なお、図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kの着脱が可能な構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは、各々の現像装置(色)に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。
トナーカートリッジは、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリスチレン−アクリル共重合体、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル樹脂、PET樹脂など、公知のいかなるものを用いてもかまわない。強度、加工性、安定性等の観点で、より好ましくはポリスチレン、アクリル樹脂、ポリスチレン−アクリル共重合体、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂が挙げられる。また、公知の金属材料や紙、不織布などの構造材料を用いてもかまわない。
トナーカートリッジの形状は、円筒形、柱状、箱形、ボトル型、あるいはこれらの形状の複合形や、その他の形状など、いかなる形状であってもかまわない。画像形成装置の内部のレイアウトや交換・装着性、補給トナーの投入性などの観点から任意に選択される。画像形成装置内部でのカートリッジの配置は、縦置き、横置きなど、画像形成装置の内部のレイアウトや交換・装着性、補給トナーの投入性などの観点から任意に選択される。画像形成装置の小型化に伴うレイアウトの高集積のため、カートリッジの形状は円筒形や柱状や円筒形と箱形の複合形が、画像形成装置内部でのカートリッジの配置は横置きが適しているが、これらに限らない。
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
まず、本実施例において、各測定は次のように行った。
(各測定方法)
<粒度及び粒度分布測定方法>
粒径(「粒径」、「粒子直径」、「粒度」ともいう。)及び粒径分布測定(「粒度分布測定」ともいう。)について述べる。
測定する粒子直径が2μm以上の場合、測定装置としてはコールター−マルチサイザー−II型(コールター社製)を用い、電解液はアイソトンII(コールター社製)を使用した。
測定法としては、分散剤として界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液2mL中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加えた。これを電解液100mL中に添加した。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールター−マルチサイザー−II型により、アパーチャ径として100μmアパーチャを用いて2μm以上60μm以下の粒子の粒度分布を測定して体積平均分布、個数平均分布を求めた。測定する粒子数は50,000であった。
また、トナーの粒度分布は以下の方法により求めた。測定された粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、粒度の小さいほうから体積累積分布を描き、累積16%となる累積体積粒径をD16vと定義し、累積50%となる累積体積粒径をD50vと定義する。さらに累積84%となる累積体積粒径をD84vと定義した。
ここで該D50vを体積平均粒径とし、体積平均粒度分布指標GSDvは以下の式によって算出した。
GSDv=(D84v/D16v)1/2
また、測定する粒子直径が2μm未満の場合、レーザ回析式粒度分布測定装置(LA−700、堀場製作所製)を用いて測定した。測定法としては分散液となっている状態の試料を固形分で2gになるように調整し、これにイオン交換水を添加して、40mLにした。これをセルに適当な濃度になるまで投入し、2分間待って、セル内の濃度がほぼ安定になったところで測定した。得られたチャンネルごとの体積平均粒径を、体積平均粒径の小さい方から累積し、累積50%になったところを体積平均粒径とした。
なお、外添剤などの粉体を測定する場合は、界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの5%水溶液50mL中に測定試料を2g加え、超音波分散機(1,000Hz)にて2分間分散して、試料を作製し、前述の分散液と同様の方法で測定した。
<トナーの形状係数SF1測定方法>
トナーの形状係数SF1は、トナー粒子表面の凹凸の度合いを示す。形状係数SF1の測定は、まずスライドグラス上に散布したトナーの光学顕微鏡像をビデオカメラを通じて画像解析装置に取り込み、50個のトナーについてSF1を計算し、平均値を求めた。
<トナー、樹脂粒子の分子量、分子量分布測定方法>
分子量分布は、以下の条件で行ったものである。GPCは「HLC−8120GPC、SC−8020(東ソー(株)社製)装置」を用い、カラムは「TSKgel、SuperHM−H(東ソー(株)社製、6.0mmID×15cm)」を2本用い、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用いた。実験条件としては、試料濃度0.5%、流速0.6mL/min、サンプル注入量10μL、測定温度40℃、RI検出器を用いて実験を行った。また、検量線は東ソー社製「polystylene標準試料TSK standard」:「A−500」、「F−1」、「F−10」、「F−80」、「F−380」、「A−2500」、「F−4」、「F−40」、「F−128」、「F−700」の10サンプルから作製した。
<溶融温度、ガラス転移温度の測定方法>
溶融温度及びガラス転移温度は、DSC(示差走査型熱量計)測定法により決定し、ASTMD3418−8に準拠して測定された主体極大ピークより求めた。
主体極大ピークの測定には、パーキンエルマー社製のDSC−7を用いた。この装置の検出部の温度補正はインジウムと亜鉛との溶融温度を用い、熱量の補正にはインジウムの融解熱を用いた。サンプルは、アルミニウム製パンを用い、対照用に空パンをセットし、昇温速度10℃/minで測定を行った。
(構造式A1で示される化合物の合成)
加熱乾燥した3つ口フラスコに、コンデンサー、温度計及び窒素導入管を装着し、アビエチン酸10モル部と、フェノール9.5モル部とを入れた後、窒素を導入しながら130℃まで昇温した。その後、96%硫酸をアビエチン酸3020部に対して10部添加した後、4時間反応させた。GPCでフェノールが消失したことを確認し、構造式A1で示される化合物を得た。
(構造式A2で示される化合物の合成)
反応温度を130℃から250℃へ変更した以外は、構造式A1で示される化合物の合成と同様に合成を行い、フェノールが消失したことを確認し、2量体(構造式A2で示される化合物)を得た。
(ポリエステル樹脂の合成及び分散液の調製)
<結晶性ポリエステル樹脂1及び結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製>
加熱乾燥した3つ口フラスコに、1,10−デカンジオール(和光純薬社製)100モル部と、ドデカンジカルボン酸(和光純薬社製)100モル部と、触媒としてジブチル錫オキサイドを1,10−デカンジオール及びドデカンジカルボン酸の合計量40458部に対して0.3部とを入れた後、減圧操作により容器内の空気を窒素ガスにより不活性雰囲気下とし、機械撹拌にて180℃にて2時間撹拌を行った。その後、減圧下にて200℃まで徐々に昇温を行い2時間撹拌し、粘稠な状態となったところで空冷し、反応を停止させ、結晶性ポリエステル樹脂1を合成した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量測定(ポリスチレン換算)で、得られた結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量は3600,数平均分子量は、2100であった。
また、結晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを有し、ピークトップの温度は70.5℃であった。
高温・高圧乳化装置(キャビトロンCD1010、スリット0.4mm)の乳化タンクに、得られた結晶性ポリエステル樹脂3000部、イオン交換水10000部、分散剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム100部を投入した後、130℃に加熱溶融後、110℃にて流量3L/mにて10000回転で30分間分散させ、冷却タンクを通過させて結晶性樹脂粒子分散液を回収し、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液に含まれる粒子をレーザ回折粒度測定器(島津製作所製、SALD2000A)にて測定したところ、体積平均粒径D50vは0.28μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂1及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の調製>
加熱乾燥した3つ口フラスコに、バイオマスアルコールであるエチレングリコール100モル部と、テレフタル酸70モル部、構造式A1で示される化合物20モル部、トリメリット酸10モル部と、これらの酸成分(テレフタル酸、構造式A1で示される化合物、トリメリット酸の合計モル数)に対して0.05モル部のジブチル錫オキサイドと、を入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち昇温した後、150℃以上230℃以下で12時間共縮重合反応させ、その後、210℃以上250℃以下にて、徐々に減圧して、非晶性ポリエステル樹脂を合成し、重量平均分子量(Mw)20000、数平均分子量(Mn)7000の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は60℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.26μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂2及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2の調製>
エチレングリコールの代わりに、バイオマスアルコールであるプロピレングリコールを使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂1と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)25000、数平均分子量(Mn)7500の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は62℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.29μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂3及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液3の調製>
エチレングリコールの代わりに、バイオマスアルコールである1,4−ブタンジオールを使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂1と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)27000、数平均分子量(Mn)8000の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は63℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.25μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂4及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液4の調製>
エチレングリコールの代わりに、バイオマスアルコールであるプロピレングリコール90モル部及びグリセリン10モル部を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂1と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)38000、数平均分子量(Mn)9000の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は66℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.27μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂5及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液5の調製>
構造式A1で示される化合物の代わりに、テレフタル酸を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂2と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)25000、数平均分子量(Mn)6800の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は58℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.23μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂6及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液6の調製>
構造式A1で示される化合物の代わりに、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸無水物を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂2と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)39000、数平均分子量(Mn)9900の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は65℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.29μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂7及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液7の調製>
構造式A1で示される化合物の代わりに、ウンデカンジカルボン酸を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂2と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)24000、数平均分子量(Mn)5300の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は46℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.24μmであった。
<非晶性ポリエステル樹脂8及び非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液8の調製>
構造式A1で示される化合物の代わりに、構造式A2で示される化合物を使用した以外は、非晶性ポリエステル樹脂2と同様に作製し、重量平均分子量(Mw)29000、数平均分子量(Mn)8000の樹脂を得た。
また、非晶性ポリエステル樹脂の溶融温度(Tm)を、前述の測定方法により、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定したところ、明確なピークを示さず、階段状の吸熱量変化が観察された。階段状の吸熱量変化の中間点をとったガラス転移温度は65℃であった。
更に結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液と同様の条件にて非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を作製した。得られた分散液の体積平均粒径D50vは0.26μmであった。
<離型剤粒子分散液の調製>
パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNPO190、溶融温度85℃)46部、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファクス)4部、イオン交換水200部を96℃に加熱して、ホモジナイザ(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で3000rpm、1時間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザ(ゴーリンホモジナイザ、ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径150nm、固形分量20.0%の離型剤分散液を得た。
<着色剤粒子分散液の調製>
カーボンブラック(R330;キャボット社製)46部、アニオン性界面活性剤(ダウケミカル社製、ダウファクス)4部、イオン交換水200部を96℃に加熱して、ホモジナイザ(IKA社製、ウルトラタラックスT50)で3000rpm、1時間分散した後、圧力吐出型ホモジナイザ(ゴーリンホモジナイザ、ゴーリン社製)で分散処理し、体積平均粒径160nm、固形分量20.0%の離型剤分散液を得た。
(実施例1)
<トナーの作製>
結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 40部
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1 100部
着色剤粒子分散液 7部
離型剤粒子分散液 30部
硫酸アルミニウム(和光純薬社製) 0.5部
イオン交換水 300部
上記成分を丸型ステンレス製フラスコ中に収容してpH3に調整し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで撹拌しながら加熱した。この時、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が4.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。更に45℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が5.2μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。その後、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の60部を添加し、30分間保持し、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が5.8μmである凝集粒子が形成されていることが確認された。続いて、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を穏やかに添加してpHを8.5に調整した後、撹拌を継続しながら80℃まで加熱し、3時間保持した。
反応終了後、冷却し、濾過、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を施した。これを更に40℃のイオン交換水3Lに再分散し、300rpmで15分間撹拌、洗浄した。これを更に5回繰り返し、濾液のpHが7となったところで、ヌッチェ式吸引濾過によりNo.5Aろ紙を用いて固液分離を行った。次いで真空乾燥を12時間継続しトナー粒子1を得た。
トナー粒子1の粒径を測定したところ、体積平均粒径D50vは5.7μm、体積平均粒度分布指標GSDvは1.22であった。また、ルーゼックス画像解析装置による形状観察より求めた粒子の形状係数SF1は130でポテト状であることが観察された。
<現像剤(1)の調製>
上記のトナー粒子1の50部に対し、疎水性シリカ(キャボット社製、TS720)1.2部を添加し、サンプルミルで混合して外添トナー1を得た。そして、ポリメチルメタアクリレート(綜研化学社製)を1%(フェライトに対しての質量%)被覆した体積平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、トナー濃度が5%(現像剤に対しての質量%)になるように外添トナー1を秤量し、両者をボールミルで5分間撹拌、混合して現像剤1を調製した。
<トナーの評価>
画像形成テストには、画像形成装置として富士ゼロックス社製のDocuColorCentre500CP改造機を用いた。また、画像形成テストに用いた記録媒体としては、A4サイズ白色紙(富士ゼロックス製、J−A4紙、幅:210mm、長さ:297mm)を使用し、10cm×10cmのベタ画像を110℃以上200℃以下の範囲において5℃きざみで定着温度を変化させながら画出し画像を作成した。
<画像濃度の評価>
最低定着温度における定着ベタ画像を、X−Riteにより画像濃度を測定した。5回測定し、最も大きい値及び小さい値を除いた3回平均を画像濃度(D)とした。得られた結果を表1に示す。
◎:D>1.5
○:1.5≧D>1.4
△:1.4≧D>1.3
×:1.3≧D
<低温定着性の評価>
110℃から170℃までの5℃きざみで定着温度を変化させ、コールドオフセットが発生しなくなった温度(T)を定着可能とした。下記評価基準に基づいて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:T≦140℃
○:140℃<T≦150℃
△:150℃<T≦160℃
×:160℃<T
<高温定着性の評価>
160℃から200℃までの5℃きざみで定着温度を変化させ、ホットオフセットが発生しなくなった温度(T)を定着可能とした。下記評価基準に基づいて評価した。得られた結果を表1に示す。
◎:T≧200℃
○:200℃>T≧180℃
△:180℃>T≧160℃
×:T>160℃
(実施例2)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子2、外添トナー2及び現像剤2を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子3、外添トナー3及び現像剤3を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子4、外添トナー4及び現像剤4を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
(実施例5)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子5、外添トナー5及び現像剤5を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子6、外添トナー6及び現像剤6を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子7、外添トナー7及び現像剤7を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液1の代わりに、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、トナー粒子8、外添トナー8及び現像剤8を得た。また、実施例1と同様に評価試験を行った。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1乃至5の静電荷像現像用トナーは、炭素数が2以上4以下の2価のアルコールを使用していても、安定的に濃度が高い画像を得ることが可能となった。さらに、低温定着性及び高温定着性に優れる。
1Y、1M、1C、1K、107 感光体(像保持体)
2Y、2M、2C、2K、108 帯電ローラ
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
3、110 露光装置
4Y、4M、4C、4K、111 現像装置(現像手段)
5Y、5M、5C、5K 1次転写ローラ
6Y、6M、6C、6K、113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K ユニット
20 中間転写ベルト
22 駆動ローラ
24 支持ローラ
26 2次転写ローラ(転写手段)
28、115 定着装置(定着手段)
30 中間転写体クリーニング装置
112 転写装置
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ、
P、300 記録紙(被転写体)

Claims (7)

  1. 結着樹脂として、炭素数が2以上4以下の2価のアルコール由来の繰り返し単位と、2価のカルボン酸由来の繰り返し単位と、下記構造式A1で示される化合物及び下記構造式A2で示される化合物の少なくとも一方由来の繰り返し単位と、を含むポリエステル樹脂を含有する静電荷像現像用トナー。
  2. 前記2価のアルコールが、プロピレングリコールである請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 結着樹脂として、結晶性樹脂をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像用現像剤。
  5. トナーが少なくとも収容され、前記トナーが請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーであるトナーカートリッジ。
  6. 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤を収容するプロセスカートリッジ。
  7. 感光体と、
    前記感光体を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記感光体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    前記感光体の表面に形成された前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、
    前記トナー像を被転写体上に転写する転写手段と、
    前記被転写体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、
    を有する画像形成装置。
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