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JP5779760B2 - 圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置 - Google Patents

圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置 Download PDF

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JP5779760B2
JP5779760B2 JP2011162224A JP2011162224A JP5779760B2 JP 5779760 B2 JP5779760 B2 JP 5779760B2 JP 2011162224 A JP2011162224 A JP 2011162224A JP 2011162224 A JP2011162224 A JP 2011162224A JP 5779760 B2 JP5779760 B2 JP 5779760B2
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Description

本発明は、流調弁装置、特に、圧縮空気駆動の歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置に関する。
圧縮空気駆動の歯科用ハンドピースには、歯科用工具駆動源としてエアタービンを備えたエアタービン・ハンドピースや、歯科用工具駆動源としてバイブレータを備えた歯科用スケーラー又は根管処置用ハンドピース、等がある。
歯科処置に際しては、処置の状況に応じてエアタービンの回転数やバイブレータの出力及び/又は振動数をハンドピースの手元で可変制御できることが望ましい。
従来技術においては、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの駆動源の出力及び/又は振動数を調節する種々の流調弁装置が知られている。
例えば、特開2004-351086号には、排気回路の開度を調節することによりハンドピースの駆動部の出力を制御することの可能な排気調整機構が提案されている。この排気調整機構は、排気回路の途中に配設され弁口を備えた弁座部と、弁口の開度調節をする切欠きを備えた弁体と、弁体と一体形成された操作リングとを備えている。
この排気調整機構では、排気回路の開度は弁口と弁体切欠きとの重なり合いによって決まるので、開度の初期設定が必要であり(請求項5参照)、ハンドピース毎にその組立時に流量調整をしなければならないという問題がある。更に、開度調節用の切欠きを備えた弁体は操作リングと一体に形成されているので、切欠きの機械加工が困難であり、製造した各排気調整機構毎に排気流量ひいては駆動部出力のバラツキが生じるおそれがある。
特開2000-5192号には、流量調節リングに円周方向に凹みを形成し、流量調節リングの回転に伴い空気導入、送給路の開口が漸減するようになった流量調節装置が開示されている。このハンドピースにおいても、流量調節用の凹みは直かに流量調節リングに形成してあるので、流量調節用の凹みの機械加工が困難であり、やはりハンドピース毎に組立時に流量の調整が必要となる。
特公平7-16497号および特開2010-51343号には、圧縮空気供給通路の一部をなす円柱形弁室内にスプール弁を配置し、このスプール弁を軸方向に変位させることで圧縮空気流量を調節するようになった流量制御弁装置が開示されている。この流量制御弁装置においては、弁室の内径とスプール弁の外径との間に設けなければならない僅かなクリアランスのバラツキによって流量が大きく変わってしまうので、ハンドピースの組立時にハンドピース毎に流量調整が必要となったり、スプール弁の歩留まりが減るという問題がある。
本発明の目的は、従来技術の叙上の問題点を解消することの可能な圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、ハンドピースの組立時にいちいち流量調節をする必要のない構造を有する、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、流調弁体をNC加工のような機械加工によって非常に高精度で加工することが可能で、製品毎に圧縮空気流量のバラツキが生じることのない、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、弁座の弁口と弁体の切欠きとの重なり合いによってではなく、流調弁体に設けた流調用切欠きの深さによって圧縮空気流路の開度が定まり、その結果切欠きの深さを精密に機械加工しさえすればハンドピースの組立時の流量調節を不要にすることを可能にする、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
本発明は、圧縮空気によって駆動される歯科用工具駆動部を備えた歯科用ハンドピースにおいて、駆動部の出力を制御するべく駆動部に供給する圧縮空気の流量を制御するための流調弁装置を提供するものである。
この流調弁装置は:駆動部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給通路(弁室はその一部をなす)を横切って形成された弁座を有する弁本体であって、弁座下流の圧縮空気供給通路への出口開口が弁座に形成されたものと;弁座に摺動可能に密接せられ、出口開口から駆動部へ供給される圧縮空気の流量を可変制御する摺動弁体と;摺動弁体を所定の走程にわたって変位させるための手動操作部材とを備え;摺動弁体は出口開口に面する切欠きであって変位の方向に平行に少なくとも前記走程に等しい長さにわたって延長する切欠きを有し、弁座の面から測った切欠きの深さDは切欠きの長さ方向一端から他端へ行くにつれて変化しており、切欠きは深さDが最大となる側の端部において弁座上流の圧縮空気供給通路に連通していることを特徴とする。
このような構成にしたので、摺動弁体に形成した切欠きの深さDによって流量が決まり、他方において切欠きの深さDはNC加工のような機械加工によって設計通りに精密に加工することができるので、製品毎に圧縮空気流量のバラツキが生じることがない。従って、ハンドピースの組立時の流量調節が不要となる。
更に、摺動弁体は手動操作部材とは別の部品として加工されるので、摺動弁体の切欠きの機械加工を容易かつ高精度に行なうことができ、これがまた流量のバラツキの解消に寄与する。
好ましい実施態様においては、摺動弁体の切欠きは、フライス加工のような機械加工により、座ぐり深さDが階段的に変化する複数の区間(例えば、3段階の区間)から形成する。
このようにすれば、各区間の座ぐり深さDを精密に機械加工しさえすれば製品毎の流量のバラツキがなくなるので、ハンドピースの組立時の流量調節を不要にすることが可能になる。
具体的実施態様においては、弁本体はハンドピースと同軸的な軸方向空洞を有するほぼ円柱形の形状を有し、この弁本体には第1の円周方向拡がり角を有し截頭扇形の軸方向断面を有する弁室が形成してあり、弁室は圧縮空気供給通路の一部をなし、摺動弁体は前記第1の円周方向拡がり角より小さな第2の円周方向拡がり角および截頭扇形の軸方向断面を有し弁室内に円周方向に摺動可能に嵌合されており、切欠きは摺動弁体が円周方向に摺動する最中に出口開口に面するべく円弧状に形成されており、手動操作部材は弁本体の回りに気密かつ回転可能に装着された手動操作リングからなる。
好ましくは、摺動弁体はバネ付勢された鋼球によって弁座に弾力的に圧接されている。従って、流調弁装置の流量が安定する。この鋼球はまた弁座とは反対側の摺動弁体の面に形成した複数の離間した位置合わせ用凹みのいずれかにスナップ係合することにより位置合わせ用ロック・ボールとしても作用する。
この構成によれば、摺動弁体を弁座に向かって付勢するバネとボールを押すバネを共通化することができるので、構造を簡素化しコストを低減することができる。
好ましい実施態様においては、摺動弁体は円板状のブランクを円周方向に3個取りで機械加工した後、等角度間隔で3つに切断することにより形成されている。
このように3個取りで一度に3個機械加工した後に3つに切断することにより摺動弁体を製造すれば、摺動弁体を高精度で機械加工しながらも製造に要する時間およびコストを低減することができる。
本発明は、また、流体供給管路を流れる流体の流量を制御するための流調弁装置を提供するもので、この流調弁装置は:
流体供給管路を横切って形成された弁座を有する弁本体であって、弁座下流の流体供給管路への出口開口が弁座に形成されたものと;
弁座に摺動可能に密接せられ、流体の流量を可変制御する摺動弁体と;
摺動弁体を所定の走程にわたって変位させるための操作部材とを備え;
摺動弁体は出口開口に面する切欠きであって前記変位の方向に平行に少なくとも前記走程に等しい長さにわたって延長する切欠きを有し、弁座の面から測った切欠きの深さDは切欠きの長さ方向一端から他端へ行くにつれて変化しており、切欠きは深さDが最大となる側の端部において弁座上流の流体供給管路に連通していることを特徴とするものである。
本発明の他の特徴や利点は以下の実施例の記載に従い明らかにする。
本発明の流調弁装置を備えた圧縮空気駆動振動式スケーラーの形の歯科用ハンドピースと歯科用ホース継ぎ手の一部切欠き側面図である。 図1に示した流調弁装置の拡大斜視図で、理解を容易にするため操作リングを一部切欠きかつ摺動弁体を弁室から取り出したところが示してあると共に、摺動弁体に形成した切欠きを表すため摺動弁体を垂直軸線Zを中心として90°強回転したところが示してある。 図2に示した摺動弁体を3個取りで機械加工したところを示す斜視図である。 図2に示した流調弁装置の3つの異なる位置を示す斜視図である。 図2のV−V矢視断面図で、図4に示した流調弁装置の3つの位置に夫々対応する。 本発明の流調弁装置をエアタービン・ハンドピースの形の歯科用ハンドピースに組み込んだところを示す側面図である。
本発明の流調弁装置を圧縮空気駆動の振動式スケーラーの形の歯科用ハンドピースに組み込んだところを示す図1を参照するに、歯科用ハンドピース10は手で把持可能な細長い中空のハンドル12を備えている。製造および組立の便宜上、ハンドル12は長手方向に複数の区間、例えば3つの区間に分割してあり、これらの区間は互いに螺合されている。
ハンドル12の内側には歯科用工具としてのスケーラーチップ14を加振する振動源としての圧縮空気動式バイブレータ16が適宜数のOリング(図1にハッチングで示す)によって防振支持してある。
このバイブレータ16は、米国特許4,453,919号の第3図および第4図に記載されたものであることができ、同特許の開示はここに援用し、バイブレータ16の詳細な説明は省略する。上記米国特許の第4図に記載されているように、バイブレータ16は円盤状の振動子を収容する振動室を画成するバイブレータケーシング18を備え、振動室内に圧縮空気を接線方向に吹き込むと旋回流によって励起された振動子が振動室の側壁を叩くことにより振動を発生するようになっている。また、米国再発行特許Re29,687号に記載されたバイブレータや他の型式の圧縮空気動バイブレータを使用することも可能である。
ハンドル12の後部には歯科用ホース20の前端に取り付けた雄継手22の先端差込部23を差し込むための軸方向孔24が形成してある。雄継手22の先端差込部を軸孔24に差し込むことによりハンドピース10を歯科用ホース20に接続した時には、図示しない歯科用ユニットからフットスイッチを介してハンドピース10に駆動媒体としての圧縮空気や冷却洗浄水を供給することができる。ハンドピース10は周知のワンタッチ式のボールロック機構26、28によって取り外し自在に雄継手22に接続される。
バイブレータ16への圧縮空気の供給は、雄継手22の先端差込部23の圧縮空気供給ポート30、ハンドル12内の圧縮空気供給通路32を介してバイブレータのケーシング18の周りの圧縮空気充満室34に送られ、バイブレータ・ケーシング18に接線方向に穿孔された複数の圧縮空気入口ポート36を経てバイブレータ16の振動室(図示せず)内に噴射され、振動室内に旋回流を発生させて振動子(図示せず)を励起させ、振動を発生させる。発生した振動はバイブレータ16と一体形成された中空の出力軸38に伝達され、出力軸38に装着したスケーラーチップ14の先端を楕円運動させることにより歯牙に作用させて歯石を除去する。
歯科用ユニットからの冷却洗浄水は、雄継手22の先端差込部23の冷却洗浄水供給ポート40、ハンドル12内の冷却洗浄水供給通路42、バイブレータケーシング18を軸方向に貫通する給水パイプ44、バイブレータ16の出力軸38に形成した冷却洗浄水供給通路46、スケーラーチップ14に形成した冷却洗浄水供給通路48を介してスケーラーチップ14に供給され、歯科処置中に被処置部に冷却洗浄水を供給して歯牙およびスケーラーチップ14を冷却すると共に破砕片や歯石を洗い流す。
図1に示したように、ハンドル12の後部には雄継手22の先端差込部23の圧縮空気供給ポート30からバイブレータ16に供給される圧縮空気の流量を制御する流調弁装置50が組み込んであり、ユーザの操作に応じてバイブレータ16の出力を制御するようになっている。
図2の拡大図を参照するに、流調弁装置50は雄継手22の差込部23を受け入れる軸方向孔24が形成されたほぼ円柱形の弁本体52を備えている。この弁本体52はハンドピースの中空ハンドル12の一部をなす。この弁本体52には例えば約180°の円周方向拡がりを有する截頭扇形断面の弁室54が形成してある。弁室54は圧縮空気供給通路32(図1)の一部をなす。弁室54の前側端壁56は弁座を画成しており、この弁座56の面はハンドピースの軸線に垂直である。弁座56には圧縮空気供給通路58への出口開口60が形成されている。
弁室54内には、截頭扇形断面の摺動弁体62が円周方向に変位可能に嵌合される。図を簡素化するため、図2には摺動弁体62を弁室54から取り出したところが示してある。摺動弁体62は弁室54の拡がりよりも小さな例えば約90°の拡がりを有するので、摺動弁体62は弁室54内で約90°の回転角の走程にわたり回動させることができる。
図3の拡大図を参照しながら、摺動弁体62の幾何学構成と好ましい製造方法を説明する。
摺動弁体62は、円板状のブランク64を円周方向に3個取りで機械加工した後、ランナー65を切除して等角度間隔で3つに切断することにより製造することができる。
夫々の摺動弁体62のうち弁座56に接する前側端面には、弁室54内での摺動弁体62の回動の間を通じて弁座56の出口開口60に面するべく円周方向に円弧状に延長する切欠き66が形成してある。
切欠き66はNC制御フライス盤のエンドミルをブランク64の軸線に平行にブランク64に押し付けることにより加工することができ、この実施例では、図3に示したように、切欠き66は3段階に異なる座ぐり深さD、D、Dを有する座ぐり孔66A、66B、66Cを繋げることにより全体的に細長い円弧状に形成してある。NC制御フライス加工により、座ぐり孔66A、66B、66Cの座ぐり深さD、D、Dは高精度で管理することができるので、製品毎に座ぐり深さのバラツキが生じることがない。
夫々の深さD、D、D毎にエンドミルを円周方向にずらしながら複数回(図示した例では2回)座ぐり加工をすることにより円弧状に繋がった切欠き66が形成される。図示した実施例では深さDの座ぐり孔66Cはエンドミルを半径方向内側にもずらすことにより摺動弁体62の内周壁を切除しているが、摺動弁体62の内周壁を残しておいてもよい。深さDの座ぐり孔66Cは摺動弁体62の一方の半径方向端面68に開口している。
夫々の摺動弁体62には、後述する操作リングと摺動弁体62とを連結するための連結ピン(図1および図2に参照番号72で示してある)を嵌合する凹溝70が形成してある。
再び図2を参照するに、同図には図3に示した中間製品を3つに切断することにより製造した摺動弁体62の最終製品が示してある。図2では摺動弁体62を弁室54から取り出したところが示してあるが、摺動弁体62は一点鎖線で示したように流調弁装置50の弁本体52に形成された弁室54内に嵌合される。
弁本体52には弁室54に半径方向外向きに開口するように圧縮空気入口74が穿孔してある。この圧縮空気入口74は、歯科用ホース20の雄継手22の差込部23を軸方向孔24に差し込んだ時の差込部23の圧縮空気供給ポート30の軸方向位置に等しい軸方向位置に形成されている。弁本体52の内周面には、雄継手22がどのような回転角位置にあっても圧縮空気供給ポート30が圧縮空気入口74に連通するように凹溝が設けてある。従って、歯科用ホース20の雄継手22の差込部23を軸方向孔24に差し込んで圧縮空気回路のフットスイッチを開いた時には、圧縮空気は圧縮空気入口74から弁室54に導入される。
弁本体52の外周には弁室54を囲繞するように操作リング76が回動可能に装着してある。弁本体52の両端近傍でその外周面に形成した凹溝には一対のOリング78、80が装着してあり、弁本体52の外周面と操作リング76の内周面との間をシールしている。こうして弁室54は密閉されているので、圧縮空気入口74から弁室54に導入された圧縮空気は、図4および図5を参照しながら後述するように摺動弁体62によって流量調節された後、弁座56の出口開口60から圧縮空気供給通路58へと流出する。
図1に示したように、弁本体52には圧縮空気供給通路58に相対峙して通路58と同軸的な孔が形成してあり、この孔に鋼球82とコイルばね84を挿入した後盲栓86が打ち込んである。コイルばね84と鋼球82の第1の役割は、摺動弁体62を弁座56に向かって付勢し、摺動弁体62のうち切欠き66を設けた端面を弁座56に密着させることである。
コイルばね84と鋼球82の他の役割は、摺動弁体62を図4に示した3つの回転角位置に位置合わせすることである。このため、図2に示したように、摺動弁体62には切欠き66を設けた端面とは反対側の端面に半円形断面の3本の溝88が等角度間隔で設けてあり、コイルばね84によって付勢された鋼球82がいづれかの溝88にスナップ嵌合することにより摺動弁体62が位置決めされるようになっている。半円形断面の溝88に代えて半球形の凹みを設けてもよい。
操作リング76を手で回した時に操作リング76と共に摺動弁体62が回るようにするため、操作リング76の内周面には凹溝が形成してあり、この凹溝と摺動弁体62の凹溝70(図3)との間に連結ピン72(図1および図2)を嵌合してある。
図2に示したように流調弁装置50の弁本体52の両端には雄ネジ部90、92が設けてあり、これらの雄ネジ部に図1に示したようにハンドル12および端部リング94が夫々螺合される。
次に、図4および図5を参照しながらこの流調弁装置50の作動を説明する。
図4(a)および図5(a)は流調弁装置50の摺動弁体62を最大流量位置に位置決めしたところを示し、図4(b)および図5(b)は中間流量位置に、図4(c)および図5(c)は最小流量位置に位置決めしたところを示す。
連結ピン72があるので、操作リング76を手で回すと摺動弁体62も回動する。操作リング76を回して摺動弁体62を図4(a)および図5(a)に示した最大流量位置に位置決めした時には、図4(a)に太線矢印で示したように、圧縮空気入口74から弁室54に流入した圧縮空気は弁室54および最大座ぐり深さDの座ぐり孔66Cを経て弁座56の出口開口60から圧縮空気供給通路58へ流出し、圧縮空気供給通路32(図1)、圧縮空気充満室34、圧縮空気入口ポート36を経てバイブレータ16の振動室内に噴射される。座ぐり孔66Cは弁座56の出口開口60から最大の座ぐり深さDを有するので、図4(a)の太線矢印で示した流路の通気抵抗は最小となり、バイブレータ16を最大出力で作動させる。
操作リング76を回して摺動弁体62を図4(b)および図5(b)に示した中間流量位置に位置決めした時には、図4(b)に太線矢印で示したように、圧縮空気入口74から弁室54に流入した圧縮空気は、弁室54、最大深さDの座ぐり孔66C、および中間的座ぐり深さDの座ぐり孔66Bを経て弁座56の出口開口60から圧縮空気供給通路58へと流出する。従って、図4(b)に太線矢印で示した流路の通気抵抗は当該通気抵抗を支配する座ぐり孔66Bの座ぐり深さDによって定まるので、通気抵抗は中間的となり、バイブレータ16を中間的な出力で作動させる。
摺動弁体62を図4(c)および図5(c)に示した最小流量位置に位置決めした時には、図4(c)に太線矢印で示したように、圧縮空気入口74から弁室54に流入した圧縮空気は、弁室54、最大座ぐり深さDの座ぐり孔66C、中間深さDの座ぐり孔66B、および最小座ぐり深さDの座ぐり孔66Aを経て弁座56の出口開口60から圧縮空気供給通路58へと流出する。図4(c)に太線矢印で示した流路の通気抵抗はそれを支配する座ぐり孔66Aの座ぐり深さDによって定まるので、通気抵抗は最大となり、バイブレータ16を最小出力で作動させる。
このようにバイブレータ16の出力を強中弱の3段階に変えるようにすればハンドピースの使い勝手がよい。勿論、摺動弁体62は上記3位置の間の任意の位置に位置決めすることも可能である。
本発明によれば、NC制御フライス加工などにより座ぐり孔66A、66B、66Cの座ぐり深さD、D、Dを高精度で管理することができるので、製品毎に座ぐり深さのバラツキが生じることがなく、バイブレータ16の出力を機械加工段階で設定することができる。従って、ハンドピース10の組立時の流量調節が不要となる。
図6に示したように、本発明の流調弁装置50をエアタービン98を備えたエアタービン・ハンドピース96の形の歯科用ハンドピースに組み込み、エアタービン98への圧縮空気供給通路100の流量を調節することによりエアタービン98の回転数を調節することも可能である。
また、図示しないが、本発明の流調弁装置50は圧縮空気駆動バイブレータを備えた根管処置用ハンドピースに組み込むことも可能である。
以上には本発明の特定の実施例を記載したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の修正や変更を施すことができる。例えば、歯科用ハンドピースの歯科用工具の駆動源としては、圧縮空気によって駆動される全ゆる型式の振動発生装置や回転駆動装置を用いることができる。
10: 歯科用ハンドピース
12: ハンドピースのハンドル
14: 歯科用工具
16: 圧縮空気駆動式バイブレータ
18: バイブレータのケーシング
20: 歯科用ホース
30: 雄継手の圧縮空気供給ポート
32、58: 圧縮空気供給通路
34: 圧縮空気充満室
36: 圧縮空気入口ポート
38: バイブレータの出力軸
50: 流調弁装置
52: 弁本体
54: 弁室
56: 弁座
60: 弁座の出口開口
62: 摺動弁体
64: ブランク
66: 摺動弁体の切欠き
66A、66B、66C: 座ぐり孔
72: 連結ピン
74: 圧縮空気入口
76: 操作リング
82: 鋼球
84: コイルばね
88: 位置決め用溝
96: エアタービン・ハンドピース


特許出願人 株式会社ミクロン
代理人 弁理士 伊藤 宏

Claims (11)

  1. 圧縮空気によって駆動される歯科用工具駆動部を備えた歯科用ハンドピースにおいて、前記駆動部の出力を制御するべく前記駆動部に供給する圧縮空気の流量を制御するための流調弁装置であって:
    前記駆動部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給通路を横切って形成された弁座を有する弁本体であって、弁座下流の圧縮空気供給通路への出口開口が前記弁座に形成されたものと;
    前記弁座に摺動可能に密接せられ、前記出口開口から前記駆動部へ供給される圧縮空気の流量を可変制御する摺動弁体と;
    前記摺動弁体を所定の走程にわたって変位させるための手動操作部材とを備え;
    前記摺動弁体は前記出口開口に面する切欠きであって前記変位の方向に平行に少なくとも前記走程に等しい長さにわたって延長する切欠きを有し、前記弁座の面から測った前記切欠きの深さDは切欠きの長さ方向一端から他端へ行くにつれて変化しており、前記切欠きは前記深さDが最大となる側の端部において弁座上流の圧縮空気供給通路に連通していることを特徴とする歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置。
  2. 請求項1に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、
    前記摺動弁体の切欠きは機械加工により座ぐり深さDが階段的に変化するように形成してあることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  3. 請求項2に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、
    前記機械加工はフライス加工であることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  4. 請求項2又は3に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体の切欠きは座ぐり深さDが3段階に異なるように形成してあり、ハンドピースの駆動部の出力を強中弱の3段階に変えることができるようになっている。
  5. 請求項1から4のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記弁本体はハンドピースと同軸的な軸方向空洞を有するほぼ円柱形の形状を有し、この弁本体には第1の円周方向拡がり角を有し截頭扇形の軸方向断面を有する弁室が形成してあり、前記弁室は前記圧縮空気供給通路の一部をなし、前記摺動弁体は前記第1の円周方向拡がり角より小さな第2の円周方向拡がり角および截頭扇形の軸方向断面を有し前記弁室内に円周方向に摺動可能に嵌合されており、前記切欠きは前記摺動弁体が円周方向に摺動する最中に前記出口開口に面するべく円弧状に形成されており、前記手動操作部材は前記弁本体の回りに気密かつ回転可能に装着された手動操作リングからなる歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  6. 請求項1から5のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体はバネによって前記弁座に圧接されていることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  7. 請求項1から6のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体はバネ付勢された鋼球によって前記弁座に圧接されており、この鋼球はまた弁座とは反対側の摺動弁体の面に形成した複数の離間した位置合わせ用凹みのいずれかにスナップ係合することにより位置合わせ用ロック・ボールとしても作用することを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  8. 請求項5に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体は円板状のブランクを円周方向に3個取りで機械加工した後、等角度間隔で3つに切断することにより形成されていることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  9. 歯科用ハンドピースは圧縮空気駆動振動式スケーラーである請求項1から8のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  10. 歯科用ハンドピースは圧縮空気駆動振動式根管処置装置である請求項1から8のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置。
  11. 歯科用ハンドピースは圧縮空気駆動式タービン・ハンドピースである請求項1から8のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置。
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