JP5779760B2 - 圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置 - Google Patents
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Description
歯科処置に際しては、処置の状況に応じてエアタービンの回転数やバイブレータの出力及び/又は振動数をハンドピースの手元で可変制御できることが望ましい。
例えば、特開2004-351086号には、排気回路の開度を調節することによりハンドピースの駆動部の出力を制御することの可能な排気調整機構が提案されている。この排気調整機構は、排気回路の途中に配設され弁口を備えた弁座部と、弁口の開度調節をする切欠きを備えた弁体と、弁体と一体形成された操作リングとを備えている。
この排気調整機構では、排気回路の開度は弁口と弁体切欠きとの重なり合いによって決まるので、開度の初期設定が必要であり(請求項5参照)、ハンドピース毎にその組立時に流量調整をしなければならないという問題がある。更に、開度調節用の切欠きを備えた弁体は操作リングと一体に形成されているので、切欠きの機械加工が困難であり、製造した各排気調整機構毎に排気流量ひいては駆動部出力のバラツキが生じるおそれがある。
本発明の他の目的は、ハンドピースの組立時にいちいち流量調節をする必要のない構造を有する、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、流調弁体をNC加工のような機械加工によって非常に高精度で加工することが可能で、製品毎に圧縮空気流量のバラツキが生じることのない、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、弁座の弁口と弁体の切欠きとの重なり合いによってではなく、流調弁体に設けた流調用切欠きの深さによって圧縮空気流路の開度が定まり、その結果切欠きの深さを精密に機械加工しさえすればハンドピースの組立時の流量調節を不要にすることを可能にする、圧縮空気駆動式歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置を提供することにある。
この流調弁装置は:駆動部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給通路(弁室はその一部をなす)を横切って形成された弁座を有する弁本体であって、弁座下流の圧縮空気供給通路への出口開口が弁座に形成されたものと;弁座に摺動可能に密接せられ、出口開口から駆動部へ供給される圧縮空気の流量を可変制御する摺動弁体と;摺動弁体を所定の走程にわたって変位させるための手動操作部材とを備え;摺動弁体は出口開口に面する切欠きであって変位の方向に平行に少なくとも前記走程に等しい長さにわたって延長する切欠きを有し、弁座の面から測った切欠きの深さDは切欠きの長さ方向一端から他端へ行くにつれて変化しており、切欠きは深さDが最大となる側の端部において弁座上流の圧縮空気供給通路に連通していることを特徴とする。
更に、摺動弁体は手動操作部材とは別の部品として加工されるので、摺動弁体の切欠きの機械加工を容易かつ高精度に行なうことができ、これがまた流量のバラツキの解消に寄与する。
このようにすれば、各区間の座ぐり深さDを精密に機械加工しさえすれば製品毎の流量のバラツキがなくなるので、ハンドピースの組立時の流量調節を不要にすることが可能になる。
この構成によれば、摺動弁体を弁座に向かって付勢するバネとボールを押すバネを共通化することができるので、構造を簡素化しコストを低減することができる。
このように3個取りで一度に3個機械加工した後に3つに切断することにより摺動弁体を製造すれば、摺動弁体を高精度で機械加工しながらも製造に要する時間およびコストを低減することができる。
流体供給管路を横切って形成された弁座を有する弁本体であって、弁座下流の流体供給管路への出口開口が弁座に形成されたものと;
弁座に摺動可能に密接せられ、流体の流量を可変制御する摺動弁体と;
摺動弁体を所定の走程にわたって変位させるための操作部材とを備え;
摺動弁体は出口開口に面する切欠きであって前記変位の方向に平行に少なくとも前記走程に等しい長さにわたって延長する切欠きを有し、弁座の面から測った切欠きの深さDは切欠きの長さ方向一端から他端へ行くにつれて変化しており、切欠きは深さDが最大となる側の端部において弁座上流の流体供給管路に連通していることを特徴とするものである。
本発明の他の特徴や利点は以下の実施例の記載に従い明らかにする。
ハンドル12の内側には歯科用工具としてのスケーラーチップ14を加振する振動源としての圧縮空気動式バイブレータ16が適宜数のOリング(図1にハッチングで示す)によって防振支持してある。
このバイブレータ16は、米国特許4,453,919号の第3図および第4図に記載されたものであることができ、同特許の開示はここに援用し、バイブレータ16の詳細な説明は省略する。上記米国特許の第4図に記載されているように、バイブレータ16は円盤状の振動子を収容する振動室を画成するバイブレータケーシング18を備え、振動室内に圧縮空気を接線方向に吹き込むと旋回流によって励起された振動子が振動室の側壁を叩くことにより振動を発生するようになっている。また、米国再発行特許Re29,687号に記載されたバイブレータや他の型式の圧縮空気動バイブレータを使用することも可能である。
バイブレータ16への圧縮空気の供給は、雄継手22の先端差込部23の圧縮空気供給ポート30、ハンドル12内の圧縮空気供給通路32を介してバイブレータのケーシング18の周りの圧縮空気充満室34に送られ、バイブレータ・ケーシング18に接線方向に穿孔された複数の圧縮空気入口ポート36を経てバイブレータ16の振動室(図示せず)内に噴射され、振動室内に旋回流を発生させて振動子(図示せず)を励起させ、振動を発生させる。発生した振動はバイブレータ16と一体形成された中空の出力軸38に伝達され、出力軸38に装着したスケーラーチップ14の先端を楕円運動させることにより歯牙に作用させて歯石を除去する。
摺動弁体62は、円板状のブランク64を円周方向に3個取りで機械加工した後、ランナー65を切除して等角度間隔で3つに切断することにより製造することができる。
夫々の摺動弁体62のうち弁座56に接する前側端面には、弁室54内での摺動弁体62の回動の間を通じて弁座56の出口開口60に面するべく円周方向に円弧状に延長する切欠き66が形成してある。
夫々の深さD1、D2、D3毎にエンドミルを円周方向にずらしながら複数回(図示した例では2回)座ぐり加工をすることにより円弧状に繋がった切欠き66が形成される。図示した実施例では深さD3の座ぐり孔66Cはエンドミルを半径方向内側にもずらすことにより摺動弁体62の内周壁を切除しているが、摺動弁体62の内周壁を残しておいてもよい。深さD3の座ぐり孔66Cは摺動弁体62の一方の半径方向端面68に開口している。
夫々の摺動弁体62には、後述する操作リングと摺動弁体62とを連結するための連結ピン(図1および図2に参照番号72で示してある)を嵌合する凹溝70が形成してある。
弁本体52には弁室54に半径方向外向きに開口するように圧縮空気入口74が穿孔してある。この圧縮空気入口74は、歯科用ホース20の雄継手22の差込部23を軸方向孔24に差し込んだ時の差込部23の圧縮空気供給ポート30の軸方向位置に等しい軸方向位置に形成されている。弁本体52の内周面には、雄継手22がどのような回転角位置にあっても圧縮空気供給ポート30が圧縮空気入口74に連通するように凹溝が設けてある。従って、歯科用ホース20の雄継手22の差込部23を軸方向孔24に差し込んで圧縮空気回路のフットスイッチを開いた時には、圧縮空気は圧縮空気入口74から弁室54に導入される。
コイルばね84と鋼球82の他の役割は、摺動弁体62を図4に示した3つの回転角位置に位置合わせすることである。このため、図2に示したように、摺動弁体62には切欠き66を設けた端面とは反対側の端面に半円形断面の3本の溝88が等角度間隔で設けてあり、コイルばね84によって付勢された鋼球82がいづれかの溝88にスナップ嵌合することにより摺動弁体62が位置決めされるようになっている。半円形断面の溝88に代えて半球形の凹みを設けてもよい。
図2に示したように流調弁装置50の弁本体52の両端には雄ネジ部90、92が設けてあり、これらの雄ネジ部に図1に示したようにハンドル12および端部リング94が夫々螺合される。
図4(a)および図5(a)は流調弁装置50の摺動弁体62を最大流量位置に位置決めしたところを示し、図4(b)および図5(b)は中間流量位置に、図4(c)および図5(c)は最小流量位置に位置決めしたところを示す。
連結ピン72があるので、操作リング76を手で回すと摺動弁体62も回動する。操作リング76を回して摺動弁体62を図4(a)および図5(a)に示した最大流量位置に位置決めした時には、図4(a)に太線矢印で示したように、圧縮空気入口74から弁室54に流入した圧縮空気は弁室54および最大座ぐり深さD3の座ぐり孔66Cを経て弁座56の出口開口60から圧縮空気供給通路58へ流出し、圧縮空気供給通路32(図1)、圧縮空気充満室34、圧縮空気入口ポート36を経てバイブレータ16の振動室内に噴射される。座ぐり孔66Cは弁座56の出口開口60から最大の座ぐり深さD3を有するので、図4(a)の太線矢印で示した流路の通気抵抗は最小となり、バイブレータ16を最大出力で作動させる。
このようにバイブレータ16の出力を強中弱の3段階に変えるようにすればハンドピースの使い勝手がよい。勿論、摺動弁体62は上記3位置の間の任意の位置に位置決めすることも可能である。
また、図示しないが、本発明の流調弁装置50は圧縮空気駆動バイブレータを備えた根管処置用ハンドピースに組み込むことも可能である。
12: ハンドピースのハンドル
14: 歯科用工具
16: 圧縮空気駆動式バイブレータ
18: バイブレータのケーシング
20: 歯科用ホース
30: 雄継手の圧縮空気供給ポート
32、58: 圧縮空気供給通路
34: 圧縮空気充満室
36: 圧縮空気入口ポート
38: バイブレータの出力軸
50: 流調弁装置
52: 弁本体
54: 弁室
56: 弁座
60: 弁座の出口開口
62: 摺動弁体
64: ブランク
66: 摺動弁体の切欠き
66A、66B、66C: 座ぐり孔
72: 連結ピン
74: 圧縮空気入口
76: 操作リング
82: 鋼球
84: コイルばね
88: 位置決め用溝
96: エアタービン・ハンドピース
特許出願人 株式会社ミクロン
代理人 弁理士 伊藤 宏
Claims (11)
- 圧縮空気によって駆動される歯科用工具駆動部を備えた歯科用ハンドピースにおいて、前記駆動部の出力を制御するべく前記駆動部に供給する圧縮空気の流量を制御するための流調弁装置であって:
前記駆動部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給通路を横切って形成された弁座を有する弁本体であって、弁座下流の圧縮空気供給通路への出口開口が前記弁座に形成されたものと;
前記弁座に摺動可能に密接せられ、前記出口開口から前記駆動部へ供給される圧縮空気の流量を可変制御する摺動弁体と;
前記摺動弁体を所定の走程にわたって変位させるための手動操作部材とを備え;
前記摺動弁体は前記出口開口に面する切欠きであって前記変位の方向に平行に少なくとも前記走程に等しい長さにわたって延長する切欠きを有し、前記弁座の面から測った前記切欠きの深さDは切欠きの長さ方向一端から他端へ行くにつれて変化しており、前記切欠きは前記深さDが最大となる側の端部において弁座上流の圧縮空気供給通路に連通していることを特徴とする歯科用ハンドピースの圧縮空気流調弁装置。 - 請求項1に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、
前記摺動弁体の切欠きは機械加工により座ぐり深さDが階段的に変化するように形成してあることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。 - 請求項2に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、
前記機械加工はフライス加工であることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。 - 請求項2又は3に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体の切欠きは座ぐり深さDが3段階に異なるように形成してあり、ハンドピースの駆動部の出力を強中弱の3段階に変えることができるようになっている。
- 請求項1から4のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記弁本体はハンドピースと同軸的な軸方向空洞を有するほぼ円柱形の形状を有し、この弁本体には第1の円周方向拡がり角を有し截頭扇形の軸方向断面を有する弁室が形成してあり、前記弁室は前記圧縮空気供給通路の一部をなし、前記摺動弁体は前記第1の円周方向拡がり角より小さな第2の円周方向拡がり角および截頭扇形の軸方向断面を有し前記弁室内に円周方向に摺動可能に嵌合されており、前記切欠きは前記摺動弁体が円周方向に摺動する最中に前記出口開口に面するべく円弧状に形成されており、前記手動操作部材は前記弁本体の回りに気密かつ回転可能に装着された手動操作リングからなる歯科用ハンドピースの流調弁装置。
- 請求項1から5のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体はバネによって前記弁座に圧接されていることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
- 請求項1から6のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体はバネ付勢された鋼球によって前記弁座に圧接されており、この鋼球はまた弁座とは反対側の摺動弁体の面に形成した複数の離間した位置合わせ用凹みのいずれかにスナップ係合することにより位置合わせ用ロック・ボールとしても作用することを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
- 請求項5に基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置であって、前記摺動弁体は円板状のブランクを円周方向に3個取りで機械加工した後、等角度間隔で3つに切断することにより形成されていることを特徴とする歯科用ハンドピースの流調弁装置。
- 歯科用ハンドピースは圧縮空気駆動振動式スケーラーである請求項1から8のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置。
- 歯科用ハンドピースは圧縮空気駆動振動式根管処置装置である請求項1から8のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置。
- 歯科用ハンドピースは圧縮空気駆動式タービン・ハンドピースである請求項1から8のいずれかに基づく歯科用ハンドピースの流調弁装置。
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