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JP5778460B2 - 圧延銅箔及びその製造方法、並びに銅張積層板 - Google Patents

圧延銅箔及びその製造方法、並びに銅張積層板 Download PDF

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Description

本発明は、例えばフレキシブル配線板(FPC:Flexible Printed Circuit)に使用され、銅張積層板に適した圧延銅箔及びその製造方法、並びに銅張積層板に関する。
フレキシブル配線板(FPC)は樹脂層と銅箔を積層してなり、繰り返し屈曲部に好適に用いられる。このようなFPCに用いられる銅箔としては、屈曲性に優れた圧延銅箔が広く用いられている。圧延銅箔の屈曲性を向上させる方法として、再結晶焼鈍後の立方体集合組織を発達させる技術(特許文献1)や、銅箔の板厚方向に貫通する結晶粒の割合を多くする技術(特許文献2)が報告されている。
ところが、これらの銅箔を用いてFPCを製造する際、カバーレイとの密着性を向上させるために表面(圧延面)をエッチングすると、表面(圧延面)に直径20μm程度のくぼみが発生することがある。これは、再結晶焼鈍後に立方体組織が発達するように結晶方位が制御されているため、均一な組織のなかに単独で性質の異なる結晶粒が存在することに起因するとされている。そして、エッチングされる結晶面によって金属のエッチング速度は異なるため、上記結晶粒が周囲よりも深くエッチングされ、大きなくぼみとなる。このくぼみは、回路のエッチング性を低下させたり、外観検査で不良と判定され歩留を低下させたりする原因となる。
このようなことから、圧延の前または圧延後に銅箔の表面(圧延面)に機械研磨を行うことで、ひずみを与え、これを加工変質層として再結晶後に表面(圧延面)に不均一な結晶粒を群発させ、単独で性質の異なる結晶粒を存在させない技術(特許文献3)が報告されている。
特許第3009383号公報 特開2006-117977号 特開2009-280855号
しかしながら、特許文献3記載の技術の場合、機械研磨によって薄い銅箔が破断したり、生産性が低下したりするという問題がある。又、機械研磨によって生成される加工変質層は3μm以下と薄いため、機械研磨をし過ぎて加工変質層自身を削り落とす可能性があり、適正な厚みで安定して加工変層を形成することが難しい。さらに、銅箔を製造するための圧延設備等と別に、機械研磨のための各種設備が必要となる。
すなわち、本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、屈曲性に優れると共に、表面エッチング特性が良好な圧延銅箔およびその製造方法、並びに銅張積層板の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、銅箔素材の仕上げ冷間圧延の最終パスを低い加工度とすることで、圧延銅箔の最表層に、圧延集合組織とは異なる加工組織を安定して形成可能であることを見出した。この加工組織を再結晶させることで、銅箔表面(圧延面)に不均一な結晶粒を群発させ、直径20μm程度のくぼみの発生が抑制される。
すなわち本発明の圧延銅箔は、(A)JIS-H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅、(B)JIS-H3100(C1020)に規格する無酸素銅、(C)添加元素としてSnを100〜500質量ppm含有し、及び/又はAgを100〜200質量ppm含有し、残部を前記タフピッチ銅又は前記無酸素銅、又は、(D)添加元素としてSn、Ag、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Ag、Te、Cr、Nb、Vからなる元素の一種以上を合計で20〜500質量ppm含有し、残部を前記タフピッチ銅又は前記無酸素銅とする組成からなり、200℃で0.5時間焼鈍後にI(200)/I0(200)が50以上であり、かつ触針式表面粗さ計で測定したJIS-B0601に規定する輪郭曲線要素の平均長さをRsmとしたとき、圧延平行方向に測定した値RsmRDと、圧延直角方向に測定した値RsmTDとの比(RsmTD/RsmRD)が2.0以上であり、200℃で0.5時間焼鈍後に、表面(圧延面)の0.5mm四方内に長径20μm以下の結晶粒が占める面積率が20%以上であり、かつ圧延平行断面において圧延方向長さ0.5mmをSEM観察した場合に、銅箔厚み中心を跨ぎかつ長径が20μm以下である結晶粒が占める面積率が観察視野の20%以下である。
ここでI(200)/I0(200)とは、X線回折法による2θ/θ測定における試料の(200)面回折ピークの積分強度I(200)を、X線回折法による2θ/θ測定における銅粉末の(200)面回折ピークの積分強度I0(200)で除した値であり、立方体方位への集合度の指標として用いる値である。つまり上記のI(200)/I0(200)が50以上という規定は立方体方位が一定以上発達していることを示している。


銅箔厚みの2〜5%をエッチングにより除去した後の銅箔の一方の表面(圧延面)において、表面(圧延面)の0.5mm四方を7視野観察したとき、長径が20μmを超える凹部が0.5個/mm2以下であることが好ましい。
本発明の圧延銅箔の製造方法は、前記圧延銅箔の製造方法であって、銅箔素材を最終冷間圧延加工度97%以上で冷間圧延し、かつ最終冷間圧延の最終パスにおいて1パス加工度2%以上10%未満の冷間圧延を施す。
本発明の銅張積層板は、請求項1又は2に記載の圧延銅箔と樹脂層とを積層してる。


本発明によれば、屈曲性に優れると共に、表面エッチング特性が良好な圧延銅箔を安定して得ることができる。
本発明の実施形態に係る圧延銅箔の表面(圧延面)形状及び加工組織を測定する方法を示す図である。 比較例1の試料のエッチング後の表面(圧延面)の光学顕微鏡を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る圧延銅箔について説明する。
<成分組成>
銅箔の成分組成としては、JISに規格するタフピッチ銅(TPC)又は無酸素銅(OFC)を好適に用いることができる。又、添加元素としてSnを100〜500質量ppm含有し、及び/又はAgを100〜200質量ppm含有し、残部をタフピッチ銅又は無酸素銅としてもよい。
又、添加元素としてSn、Ag、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Ag、Te、Cr、Nb、Vからなる元素の一種以上を合計で20〜500質量ppm含有し、残部をタフピッチ銅又は無酸素銅としてもよい。
なお、FPCに用いられる圧延銅箔は屈曲性を要求されるとともに、表面がエッチングされることから、圧延銅箔の厚みは20μm以下が好ましい。又、無酸素銅はJIS-H3100(C1020)に規格され、タフピッチ銅はJIS-H3100(C1100)に規格されている。
<結晶方位>
本発明の圧延銅箔は、200℃で0.5時間焼鈍後にI(200)/I0(200)が50以上である必要がある。圧延銅箔に200℃で0.5時間の焼鈍を行うと再結晶組織が生じるが、I(200)/I0(200)=50は、再結晶焼鈍後に立方体集合組織(200)が発達して圧延銅箔の屈曲性を向上させる指標となる。従って、200℃で0.5時間焼鈍後にI(200)/I0(200)が50未満である圧延銅箔は、そもそも高屈曲性の材料として適さない。
200℃で0.5時間焼鈍後にI(200)/I0(200)を50以上とする方法としては、上記特許文献1に記載されている方法を採用することができる。例えば、最終冷間圧延の直前の焼鈍を、この焼鈍で得られる再結晶粒の平均粒径が5〜20μmになる条件下で行い、最終冷間圧延での圧延加工度を90%以上とすることができる、焼鈍条件は、焼鈍を連続焼鈍炉で行う場合、500〜800℃の温度で、当該温度に依存して5〜600秒加熱することにより実施され、焼鈍をバッチで行う場合は、130〜500℃の温度で1〜24時間加熱することにより実施される。
<表面(圧延面)形状>
本発明の圧延銅箔は、後述するように仕上げ冷間圧延の加工度を低くすることで製造することができ、これにより圧延銅箔の最表層に圧延集合組織とは異なる加工組織が形成される。そして、この加工組織が再結晶することで、銅箔表面(圧延面)に不均一な結晶粒を群発しやすくなり、直径20μm程度のくぼみの発生が抑制される。
本発明の圧延銅箔においては、このようにくぼみの発生が抑制された表面(圧延面)の形状を以下のように規定している。
まず、最終圧延後の銅箔表面(圧延面)について触針式表面粗さ計で測定したJIS-B0601に規定する輪郭曲線要素の平均長さをRsmとしたとき、圧延平行方向に測定した値RsmRDと、圧延直角方向に測定した値RsmTDとの比(RsmTD/RsmRD)が2.0以上であることが必要である。上記した低加工度で仕上げ冷間圧延(スキンパス)を行うと、図1に示すように表面(圧延面)に圧延方向Lに沿う筋状の凹凸が生じる。この場合、圧延方向Lに沿う凹凸が小さく、圧延直角方向nに沿う凹凸が大きくなり、(RsmTD/RsmRD)が2.0以上であれば、低加工度で仕上げ冷間圧延(スキンパス)を行ったものと考えられる。
(RsmTD/RsmRD)が2.0未満の場合、低加工度でのスキンパスを行わなかったか、又はスキンパスが不十分であり、圧延銅箔の最表層に圧延集合組織と異なる加工組織を十分に形成することが困難である。(RsmTD/RsmRD)の上限は特に規定されないが、通常3.5程度である。
<加工組織>
そして、圧延銅箔の最表層の加工組織と、圧延銅箔内部の圧延集合組織との相違を、圧延銅箔の表面(圧延面)及び内部における長径20μm以下の結晶粒の面積率で規定する。
つまり、図1に示すように、200℃で0.5時間焼鈍後に、圧延銅箔表面(圧延面)Dの0.5mm四方内の領域Sにおいて、長径20μm以下の結晶粒が占める面積率を20%以上とし、さらに、圧延平行断面Cにおいて圧延方向長さ0.5mm(図1の符号ML)をSEM観察した場合に、銅箔厚み中心Oを跨ぎかつ長径が20μm以下である結晶粒が占める面積率を観察視野の20%以下とする。このように、圧延銅箔表面(圧延面)の結晶粒を圧延銅箔内部の結晶粒に比べて微細とする(長径20μmを超える粗大粒を少なくする)ことで、圧延銅箔をエッチングする際に多数の微細な結晶がランダムに溶解するので、粗大粒が選択的に溶解して直径20μm程度のくぼみが発生することが抑制される。
ここで、図1において、圧延(平行)方向をL、圧延直角方向(Lに直角な方向)をNとし、厚み方向をTとする。圧延平行断面Cは、圧延(平行)方向Lに平行で、圧延面に垂直な(Tに平行な)断面である。そして、観察視野Vは、圧延平行断面Cにおいて、(圧延銅箔の厚みt)×(圧延方向長さML)で表される矩形の領域である。又、銅箔厚み中心Oとは、圧延銅箔の厚みtの1/2となる厚み部分を通る線であり、圧延面に平行である。
長径が20μm以下の結晶粒が占める面積率は、以下のようにして求める。まず、観察視野Vにおいて、銅箔厚み中心Oを跨ぐ結晶粒を抽出すると、図1に示すように結晶粒g1〜g4の4個が抽出される。これら結晶粒g1〜g4のうち、長径が20μm以下の結晶粒は、g1、g2、g4である。従って、{(結晶粒g1、g2、g4の合計面積)/(観察視野Vの面積)}×100により、上記面積率が求められる。なお、観察視野Vの面積は、t×MLで表される。
圧延銅箔表面(圧延面)の0.5mm四方内の領域Sにおいて、長径20μm以下の結晶粒が占める面積率(表面(圧延面)における長径20μm以下の結晶粒の面積率)が20%未満であるか、又は、銅箔厚み中心Oを跨ぎかつ長径が20μm以下である結晶粒が占める面積率(内部における長径20μm以下の結晶粒の面積率)が観察視野の20%を超えると、圧延銅箔表面(圧延面)の結晶粒が圧延銅箔内部の結晶粒に比べて十分に微細とならず、圧延銅箔をエッチングする際、表面(圧延面)の粗大粒が選択的に溶解して直径20μm程度のくぼみが発生する。
なお、上記した圧延銅箔のI(200)/I0(200)、表面(圧延面)及び内部における長径20μm以下の結晶粒の面積率は、圧延銅箔を200℃で0.5時間焼鈍した後の値である。そして、この焼鈍は、圧延銅箔と樹脂層とを積層して銅張積層板(CCL)を製造する工程において、積層時の熱処理を想定(シミュレート)したものであり、圧延銅箔はCCLの積層時の熱処理で再結晶し、I(200)/I0(200)、表面(圧延面)及び内部における長径20μm以下の結晶粒の面積率が上記範囲となる。
以上のように、(RsmTD/RsmRD)が2.0以上となるように低加工度で仕上げ冷間圧延(スキンパス)を行い、圧延銅箔の表面(圧延面)及び内部における長径20μm以下の結晶粒の面積率の差を上記のように規定することで、圧延銅箔をエッチングする際に多数の微細な結晶がランダムに溶解し、直径20μm程度のくぼみが発生することが抑制される。好ましくは、銅箔厚みの2〜5%をエッチングにより除去した後の銅箔の一方の表面(圧延面)において、表面(圧延面)の0.5mm四方を7視野観察したとき、長径が20μmを超える凹部が0.5個/mm2以下である。なお、銅箔を用いて製造されたCCLの場合、銅箔の片面には樹脂が積層され、この面はエッチングされない。従って、圧延銅箔の片面を2〜5%エッチングしたときの凹部を規定している。
次に、本発明の圧延銅箔の製造方法について説明する。まず、上記した成分組成の銅インゴットを鋳造し、熱間圧延を行う。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、圧延板を得る。この圧延板を焼鈍して再結晶させ,所定の厚みまで最終冷間圧延して箔を得る。このとき、圧延板(銅箔素材)を最終冷間圧延加工度97%以上で冷間圧延し、かつ最終冷間圧延の最終パスにおいて1パス加工度2%以上10%未満の冷間圧延を施す。最終冷間圧延の最終パスは、仕上げ圧延の最終パスに相当する。
最終冷間圧延の最終パスにおいて、1パス加工度を2%以上10%未満の低加工度とすることで、圧延銅箔表面(圧延面)の結晶粒を圧延銅箔内部の結晶粒に比べて微細とする(長径20μmを超える粗大粒を少なくする)ことができ、上記したように直径20μm程度のくぼみが発生することが抑制される。一方、最終冷間圧延の最終パスにおいて、1パス加工度が10%以上であると強加工になり過ぎ、圧延銅箔表面(圧延面)の結晶粒が圧延銅箔内部の結晶粒に比べて十分に微細とならず、圧延銅箔をエッチングする際、表面(圧延面)の粗大粒が選択的に溶解して直径20μm程度のくぼみが発生する。又、最終冷間圧延の最終パスにおいて、1パス加工度が2%未満であると、加工が不十分となり、圧延銅箔表面(圧延面)の結晶粒が圧延銅箔内部の結晶粒に比べて十分に微細とならない。
最終冷間圧延の最終パスにおいて1パス加工度2%以上10%未満の冷間圧延を行う方法は特に限定されず、一般的に用いられる圧延方法であれば、圧延油を用いた湿式圧延、圧延油を用いないドライ圧延のいずれでもよい。また、最終冷間圧延の最終パスは1パスでもよく、圧延する材料の性質や圧延機の性能に合わせて複数パス(最終パスとその前のパス)としてもよい。
なお、最終冷間圧延の加工度rは、r=(t−t)/t(t:圧延後の厚み,t:圧延前の厚み)で定義される。
まず、表1に記載の組成の銅インゴットを製造し、厚み10mmまで熱間圧延を行った。その後、焼鈍と冷間圧延を繰り返し、圧延板コイルを得た。この圧延板を750℃の連続焼鈍炉に通板し再結晶させた。その後、表1の厚みまで最終冷間圧延して銅箔を得た。なお、最終冷間圧延の最終パスの加工度を表1に示すように設定した。
<Rsm>
得られた銅箔の表面(圧延面)を触針式表面粗さ計(小阪研究所製サーフコーダSE-3400)で測定し、JIS-B0601に規定する輪郭曲線要素の平均長さRsmを測定した。Rsmは、圧延方向(RsmRD)と、圧延直角方向(RsmTD)に沿ってそれぞれ測定し、それらの比(RsmTD/RsmRD)を算出した。
<長径20μm以下の結晶粒が占める面積率>
得られた銅箔表面(圧延面)の3箇所につき、0.5mm四方の光学顕微鏡像を撮影し、撮影視野内に長径20μm以下の結晶粒が占める面積率を画像解析によって測定し、3箇所の平均値を算出した。なお、結晶粒の長径とは、結晶粒を取り囲む最小円(結晶粒の最小外接円)の直径を意味する。
同様に、圧延平行断面において圧延方向長さ0.5mmの領域(観察視野V)の3箇所につき、SEM(走査型電子顕微鏡)像を撮影し、銅箔厚み中心を跨ぎ長径が20μm以下である結晶粒を抽出した。そして、この結晶粒が観察視野に占める面積率を画像解析によって測定し、3箇所の平均値を算出した。結晶粒の長径は上記と同様に定義される。
<200面の配向度>
得られた銅箔を200℃で0.5時間焼鈍後、圧延面のX線回折で求めた(200)面強度の積分値(I)を求めた。この値をあらかじめ測定しておいた微粉末銅(325mesh,水素気流中で300℃で1時間加熱してから使用)の(200)面強度の積分値(I0 )で割り、I(200)/I0(200)の値を計算した。なお、I(200)/I0(200)が50以上であれば、配向度の評価を良い(○)とし、50未満を×とした。I(200)/I0(200)が50以上であれば、立方晶が成長し、屈曲性が向上することが知られている。
<エッチング後の銅箔表面(圧延面)の窪み>
得られた銅箔を200℃で0.5時間焼鈍後、液温30℃のエッチング液(ADEKA社製テックCL-8の20質量%溶液)に攪拌しながら2分間浸漬してエッチングし、洗浄後の表面(圧延面)を光学顕微鏡で観察した。0.5mm四方の観察面を7視野観察し、長径が20μmを超える窪み(凹部)が見られた場合を評価×とし、長径が20μmを超える凹部が見られなかった場合を評価○とした。なお、凹部の長径は、窪みの輪郭を取り囲む最小円(窪みの輪郭の最小外接円)の直径を意味する。
ここで、0.5mm四方の7視野につき、長径が20μmを超える凹部が1個見られた場合、この凹部は表面(圧延面)に0.57個/mm2存在すると計算される(=1/(0.5×0.5×7))。従って、上記評価が○の場合(つまり、長径が20μmを超える窪みが0個の場合)、長径が20μmを超える凹部が表面(圧延面)に0.5個/mm2以下(具体的には0個/mm2)となる。
一方、上記評価が×の場合、上述の計算により、凹部は表面(圧延面)に0.57個/mm2以上存在することになる。
得られた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、最終冷間圧延の加工度を97%以上とし、(RsmTD/RsmRD)≧2.0となるよう、最終冷間圧延の最終パスの1パス加工度を2%以上10%未満に調整した各実施例の場合、200℃で0.5時間焼鈍後、表面(圧延面)の0.5mm四方内に長径20μm以下の結晶粒が占める面積率が20%以上であり、かつ圧延平行断面から圧延方向長さ0.5mmをSEM観察した場合に、銅箔厚み中心を跨ぐ結晶粒のうち、長径が20μm以下である結晶粒が占める面積率が20%以下となった。そして、200℃で0.5時間焼鈍後にエッチングしても、直径20μmを超える窪みが表面(圧延面)に発生しなかった。又、各実施例の場合、200℃で0.5時間焼鈍後にI(200)/I0(200)が50以上になった。
最終冷間圧延の最終パスの1パス加工度を10%とした比較例1,3の場合、200℃で0.5時間焼鈍後、表面(圧延面)の0.5mm四方内に長径20μm以下の結晶粒が占める面積率が20%未満となった。そして、200℃で0.5時間焼鈍後の試料をエッチングすると、直径20μmを超える窪みが表面(圧延面)に発生した。なお、比較例1,3はそれぞれ最終厚みが異なるため、最終冷間圧延の最終パスより前の圧延パス配分が異なり、(RsmTD/RsmRD)の値が異なるものとなった。つまり、比較例3の場合、最終冷間圧延で最終パスまで10%以上の加工度で圧延し、かつ箔厚が薄いために最終パスでの油膜当量が大きくなり、粗さの異方性が小さくなったため、(RsmTD/RsmRD)の値が2未満になった。
最終冷間圧延の加工度を97%未満とした比較例2の場合、200℃で0.5時間焼鈍後、I(200)/I0(200)が50未満となり、配向度が劣った。
なお、図2は、比較例1の試料の表面(圧延面)の窪みの光学顕微鏡像を示す。直径20μmを超える窪みが表面に発生したことがわかる。

Claims (4)

  1. (A)JIS-H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅、(B)JIS-H3100(C1020)に規格する無酸素銅、(C)添加元素としてSnを100〜500質量ppm含有し、及び/又はAgを100〜200質量ppm含有し、残部を前記タフピッチ銅又は前記無酸素銅、又は、(D)添加元素としてSn、Ag、In、Ti、Zn、Zr、Fe、P、Ni、Si、Ag、Te、Cr、Nb、Vからなる元素の一種以上を合計で20〜500質量ppm含有し、残部を前記タフピッチ銅又は前記無酸素銅とする組成からなり、
    200℃で0.5時間焼鈍後にI(200)/I0(200)が50以上であり、かつ触針式表面粗さ計で測定したJIS-B0601に規定する輪郭曲線要素の平均長さをRsmとしたとき、圧延平行方向に測定した値RsmRDと、圧延直角方向に測定した値RsmTDとの比(RsmTD/RsmRD)が2.0以上であり、
    200℃で0.5時間焼鈍後に、表面(圧延面)の0.5mm四方内に長径20μm以下の結晶粒が占める面積率が20%以上であり、かつ圧延平行断面において圧延方向長さ0.5mmをSEM観察した場合に、銅箔厚み中心を跨ぎかつ長径が20μm以下である結晶粒が占める面積率が観察視野の20%以下である圧延銅箔。
  2. 銅箔厚みの2〜5%をエッチングにより除去した後の銅箔の一方の表面(圧延面)において、表面(圧延面)の0.5mm四方を7視野観察したとき、長径が20μmを超える凹部が0.5個/mm2以下である請求項1記載の圧延銅箔。
  3. 請求項1又は2記載の圧延銅箔の製造方法であって、銅箔素材を最終冷間圧延加工度97%以上で冷間圧延し、かつ最終冷間圧延の最終パスにおいて1パス加工度2%以上10%未満の冷間圧延を施す圧延銅箔の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の圧延銅箔と樹脂層とを積層してなる銅張積層板
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