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JP5773878B2 - RE−Fe−B系水素貯蔵合金及びその使用 - Google Patents

RE−Fe−B系水素貯蔵合金及びその使用 Download PDF

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JP5773878B2 JP2011536727A JP2011536727A JP5773878B2 JP 5773878 B2 JP5773878 B2 JP 5773878B2 JP 2011536727 A JP2011536727 A JP 2011536727A JP 2011536727 A JP2011536727 A JP 2011536727A JP 5773878 B2 JP5773878 B2 JP 5773878B2
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Description

本発明は、水素貯蔵合金及びその使用の分野に属する。
水素貯蔵合金は、高濃度での水素貯蔵のための機能性材料の一種であり、1960年代の終わりに見出された。公知の水素貯蔵合金は、組成によって6つのクラス:希土類系AB型、例えばLaNi;マグネシウム系、例えばMgNi、MgNi、LaMg17;希土類−マグネシウム−ニッケル系AB3−3.5型、例えばLaMgNi、LaMgNi23、LaMgNi14;チタン系AB型、例えばTiNi、TiFe;ジルコニウム、チタン系ラーベス(Laves)相AB型、例えばZrNi;バナジウム系固溶体型、例えば(V0.9Ti0.11−xFeに一般に分類される。
現在広く用いられている水素貯蔵材料は、LaNi型水素貯蔵合金であり;該合金は、約1.3重量%の水素貯蔵容量を有する。該合金は、金属水素化物−ニッケル(MH/Ni)二次電池の負極材料として主に用いられている;その理論上の電気化学的容量は、373mAh.g−1であり、市販の負極材料Mm(NiCoMnAl)(式中、Mmはミッシュメタルである)は、約320mAh.g−1の容量を有する。水素貯蔵合金は、高価な金属元素Coを含有するため、そのコストが比較的高く、その動的性能及び低温使用性能も改善される対象となる。マグネシウムベースの水素貯蔵合金は、理論上の電気化学的容量又は水素貯蔵容量が高く、その価格が比較的安価であるが、活性金属元素であるマグネシウムを含有することに起因する低い化学安定性を示す。ジルコニウム及びチタン系並びにバナジウム系の水素貯蔵材料は、活性化が困難であり高いコストがかかるため、広く用いられてはいない。
LaNi型水素貯蔵合金のコストを低減するには、Niの代わりのCoの置換量を減少するべきであり、Niの一部を置換するのにFeを用いることができる。この置換は、水素貯蔵合金の特性を確実に犠牲にする。文献「ニッケル−水素電池の負極に用いる低コスト水素貯蔵合金に関する調査(Investigation on low cost hydrogen storage alloys for the negative electrode of nickel−hydrogen batteries)」、Rare Earth Metals、27(2001)、443〜447頁の研究結果には、AB型水素貯蔵合金中のCo含量が低減されるに従って、合金の耐用年数が減少されるが、合金の最大容量が改善されることが示されている。文献「水素貯蔵電極合金M1(NiMnTi)4.2Co0.8−xFe(x=0−0.8)の電気化学的特性(Electrochemical properties of hydrogen storage electrode alloys M1(NiMnTi)4.2Co0.8−xFe(x=0−0.8))」、Rare Metal Materials and Engineering、28(1999):302〜304頁の研究結果には、Fe含量xが増加するに従って、合金の活性化特性が改善されるが、その最大放電容量、高率放電性能及びサイクル安定性が種々の程度で低下することが示されている。
マグネシウムベースの水素貯蔵材料の化学安定性を改善するために、Fe置換又はB添加を利用することができる。文献「Fe置換によるMg−Ni−ベースの電極合金のサイクル容量低下の低減(The reduction of cycling capacity degradation of Mg−Ni−based electrode alloys by Fe substitution)」、International Journal of Hydrogen Energy、27(2002):501〜505頁には、MAによるアモルファス合金Mg45FeNi50の調製が開示されており、そのサイクル放電容量は、NiがFeによって部分的に置換されている三元合金Mg50Ni45Fe及びマスター合金Mg50Ni50よりも優れている。文献「鋳造及び迅速な急冷によって調製されたLaMg(Ni0.85Co0.15(x=0−0.2)の微細構造及び電気化学的性能に関する調査(Investigation on the microstructure and electrochemical performances of LaMg(Ni0.85Co0.15(x=0−0.2) hydrogen storage electrode alloys prepared by casting and rapid quenching)」、J.Alloys Comp.(379(2004):298〜304頁では、B添加は、水素貯蔵合金のサイクル安定性を改善するが、合金の放電容量を低減することが報告されている。
希土類系AB(LaNi)型水素貯蔵合金は、アルカリニッケル−水素(MH−Ni)二次電池及び金属水素化物−空気(MH−Air)電池の負極活物質として通常用いられる。MH−Ni二次電池は、高い比エネルギー、迅速な充放電、汚染が無いこと、及び長い耐用年数という利点を有するため、携帯型無線通信及び家電製品において広く用いられてきた。大電力のニッケル−水素電池はまた、電動工具、玩具、及びハイブリッド電気自動車(HEV)、電気自動車(EV)、並びに新規のエネルギー源を用いた他の自動車の主電源でもある。金属水素化物(MH)を負極活物質として含むこのような電池は、高いエネルギー及び長いサービス時間を有するだけでなく、大電流充放電及び低温の条件において用いられること、即ち、良好な高電力性能及び低温電気化学的特性を有することが必要とされる。
ニッケル−水素電力電池の性能に影響する主な因子として、電力性能、高/低温特性、サイクル寿命、及び電池パック管理システムなどが挙げられる。
ニッケル−水素電池の電力性能は、該電池を超高率で充放電できることである。該電池は、通常、3C〜10Cの電流で充電され、10C〜30Cの電流で放電される;50%の放電深度での比出力は、1000W/kgを達成する。このようなレベルを達成するには、活性材料(主に、水素貯蔵負極合金)の選択、並びに電池の全体設計及び製造プロセスが改善されるべきである。
中国特許「高電力ニッケル−水素電池の負極活物質、その製造プロセス及びニッケル−水素電池(Negative electrode active materials of high power nickel−hydrogen battery,their manufacture process and nickel−hydrogen batteries)」(200510035315.0)には、LaNi負極水素貯蔵合金の表面処理のためのプロセスが開示されている。
電池の低温性能は、水素貯蔵合金材料の特性を改善することによって解決される。現在、ニッケル−水素電池の使用温度は、通常−20〜50℃の間、特に0℃〜40℃の間である。寒冷地(−40℃)、及び軍事、航空宇宙などの分野においては、ニッケル−水素電池は、使用要件を満足することができず、特に、HEV及びEVでの使用のためのニッケル−水素電池は、これらの車両が低温環境において低温始動することを保証しなければならない。
中国特許「低温ニッケル−水素電池用負極水素貯蔵材料及びその電池(negative electrode hydrogen storage materials for low temperature nickel−hydrogen batteries and batteries thereof)」(200510123747.7)及び「低温ニッケル−水素電力電池用水素貯蔵合金(a hydrogen storage alloy for low temperature nickel−hydrogen power batteries)」(200810027969.2)には、低温(−40℃の低さ)ニッケル−水素電池用のLaNi型水素貯蔵合金が開示されている。
ニッケル−水素電池のサイクル寿命は、自動車の耐用年数と一致すべきであり、8年又は160,000kmに達することが一般に必要とされる。HEV用ニッケル−水素電池は、高率又は超高率電流において、浅い充放電下でしばしば用いられる。そして、電池のサイクル寿命の終了基準は、一般的な用途における容量低下度だけでなく、主に電力特性の低下度にも存する。ニッケル−水素電池の電力性能の低減は、電池の正極及び負極が、増加する電気抵抗を有することに主に起因する。特に、正極の抵抗増加程度は、負極の抵抗増加程度よりも約2倍大きく、その主な理由は、負極合金の腐食生成物であるAl及びMnイオンの溶解が、正極の比表面積を低減させ、低活性を有するγ−NiOOHの形成を加速させるからである。負極合金の耐腐食性を増加させることが、ニッケル−水素電池のサイクル寿命を向上させる重要な手段である。
ニッケル−水素電力電池の電力性能及び低温放電能力をさらに向上させるために、新規の水素貯蔵負極材料が開発されるべきである。
中国特許「RE−Fe−B水素貯蔵合金(RE−Fe−B hydrogen storage alloys)」(200810176872.8)、「La15Fe77型水素貯蔵合金及びその使用(La15Fe77 type hydrogen storage alloys and their use)」(200810176873.2)には、RE−Fe−B水素貯蔵材料が、ニッケル−水素二次電池中のLaNi型水素貯蔵合金に代用され得ること、及びこれによりニッケル−水素電池のコストを大幅に低減することが開示されている。
磁性材料として、RE−Fe−B合金が広く研究されており、一般的に用いられている合金は、REFe14B、REFe2724、REFeB、RE15Fe77などの式を有する。しかし、水素貯蔵材料としてのRE−Fe−B合金及びその使用についての報告はなされていない。多くの金属又は合金は、水素を多かれ少なかれ吸蔵することができ、これらは、水素を吸蔵した後に脆性になる。これは、いわゆる「水素脆化現象」である。金属又は合金の「水素脆化」を利用することによって、粉末が生成され得る。例えば、Nd−Fe−B永久磁性材料用の粉末を生成するプロセスの1つが、水素脆化プロセスである。「NdFe14B合金の水素吸蔵特性に関する調査(Investigation on the hydrogen absorption properties of NdFe14B alloys)」、Journal of Inorganic Chemistry、6(1990):454〜456頁において、磁性材料の水素吸蔵特性が、Nd−Fe−B永久材料中に存在する主な相から研究された。しかし、水素を吸蔵できる材料の全てが、水素貯蔵材料ではない。迅速な水素吸蔵及び水素発生、良好な可逆性、並びに高い水素貯蔵密度を示す材料のみを、水素貯蔵合金と称することができる。
新規の水素貯蔵合金は、RE−Fe−B合金の化学組成式に従って開発される。RE−Fe−B合金は、ある特定の元素及び対応する調製プロセスを用いて、該合金中のRE、Fe、Bを部分的又は完全に置換することによって、実用的な水素貯蔵材料となることができる。本発明のRE−Fe−B水素貯蔵合金は、安価なFe元素、化学的に安定なB元素、及び特別な多相構造を含有するため、良好な包括的性能を有する水素貯蔵材料として、さらには特別な市場要件のための水素貯蔵材料として、例えば、低コストの水素貯蔵材料、高電力及び広い温度領域を有する水素貯蔵電極合金、低温型水素貯蔵合金、低自己放電水素貯蔵材料、高温型水素貯蔵材料などとして開発され得る。本発明のRE−Fe−B水素貯蔵合金は、ニッケル−水素電池、金属水素化物−空気電池、及び他の電池における負極材料として用いられ得;さらに、これらの合金は、気相水素吸蔵/放出貯蔵材料において用いられ得る。
RE−Fe−B水素貯蔵合金の化学式として、RE19Fe6868、RE17Fe76、RE15Fe77、REFe86、REFe2724、REFe2824、REFe1818、REFe、REFe23、REFeB、REFe14Bが主として挙げられる。RE−Fe−B合金の化学式による、開発された新規の水素貯蔵合金において、REは、希土類元素であるランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、スカンジウム(Sc)及びイットリウム(Y)の1種又は複数であってよく;REは、水素との水素化物を形成することができるマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)によって完全に又は部分的に置換されていてもよく;鉄(Fe)は、遷移金属元素であるニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、タングステン(W)、及び非遷移金属元素であるガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)によって完全に又は部分的に置換されていてもよく;ホウ素(B)は、金属元素である鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ジルコニウム(Zr)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、タングステン(W)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、及び非金属元素であるケイ素(Si)、硫黄(S)、炭素(C)、リン(P)によって完全に又は部分的に置換されていてもよい。本発明のRE−Fe−B水素貯蔵合金は、他の水素貯蔵材料と種々の比で組み合わされて、新規の水素貯蔵材料を調製することができる。
RE−Fe−B水素貯蔵合金の組成中の各元素の原子比は、20%の範囲内に調整され得る。例えば、NdFe2724合金の原子比は、6〜10:22〜31:20〜28の範囲に調整され得る。
RE−Fe−B水素貯蔵合金は、LaNi相、並びにLaNi13相、(Fe、Ni)相及びNi相のうちの1つ又は2つ又は3つを含めた多相構造である。組成中の元素の置換の差に起因して、他の相を含む構造が形成されていてもよい。
RE−Fe−B水素貯蔵合金を製造するための原材料は、RE(希土類)の単体及びその置換元素、Feの単体及びその置換元素、Bの単体及びその置換元素、RE−Fe合金、B−Fe合金、B−Ni合金、RE−Ni合金、RE−Fe−B合金、並びに成分元素を含有する他の中間合金である。このような原材料の2種以上が選択され、該合金の化学組成式に従って配合される。該合金は、鋳造、迅速な急冷、噴霧、焼成、又は機械的合金化によって、不活性ガスの保護下又は真空環境下で生成され;急冷された合金シートの厚さは、1.0mm以下で制御される。
RE−Fe−B水素貯蔵合金の構造及び性能は、以下の熱処理プロセスの1つによって改善され得る。
(1)10−2−10−6Paの真空度を有する環境において、又は不活性ガスの保護下で、鋳放し及び急冷されたRE−Fe−B水素貯蔵合金が、段階的な熱処理に付される。該合金は、まず、850〜1050℃に加熱され、2〜6時間維持され、次いで450〜850℃で2〜6時間維持される。高温が維持された後、水素貯蔵合金は、室温まで炉冷却される。
(2)10−2−10−6Paの真空度を有する環境において、又は不活性ガスの保護下で、高温で溶融されたRE−Fe−B水素貯蔵合金が、段階的な熱処理に付される。該合金は、まず、850〜1050℃に加熱され、2〜6時間維持され、次いで450〜850℃で2〜6時間維持される。高温が維持された後、水素貯蔵合金は、迅速に急冷する媒体である水又は油中で急冷される。
(3)10−2−10−6Paの真空度を有する環境において、又は不活性ガスの保護下で、高温で溶融されたRE−Fe−B水素貯蔵合金が、段階的な熱処理に付される。該合金は、まず、450〜1050℃に加熱され、3〜24時間維持される。高温が維持された後、水素貯蔵合金は、室温まで炉冷却されるか、又は迅速に急冷する媒体である水若しくは油中で急冷される。
RE−Fe−B水素貯蔵合金は、ジェットミル若しくはボールミル若しくはハンマーミル又は高温噴霧法(high temperature atomization method)によって、0.3〜10mmの粒子サイズを有する粒子又は粉末に調製される。
RE−Fe−B水素貯蔵合金粒子又は粉末は、その性能が改善されるように、物理的、化学的、機械的プロセスによる表面処理に付されてもよい。
本出願はまた、該RE−Fe−B水素貯蔵電極合金を含むニッケル−水素二次電池及び金属水素化物−空気(MH−Air)電池も提供する。このような電池は、正極、セパレータ、負極、及び電解液を含み、これらは、電池ケースに包含される。このような電池は、ニッケル−水素二次電池及び金属水素化物−空気電池の負極活物質が、該RE−Fe−B水素貯蔵合金であることを特徴とする。
本出願はまた、該RE−Fe−B水素貯蔵合金を用いた水素貯蔵及び輸送デバイスも提供する。デバイスは、燃料電池、ヒートポンプ、並びに水素及びその同位体の調製及び精製において用いられ得る。このようなデバイスは、デバイス中の水素貯蔵物質が該RE−Fe−B水素貯蔵合金であることを特徴とする。
従来技術と比較したとき、本発明の主な差違は:本発明のRE−Fe−B水素貯蔵合金が、公知の水素貯蔵合金とは異なる組成及び構造を有する新規の水素貯蔵合金であることである。この新規の合金は、低コスト、良好な大電流放電性能及び低温放電性能の利点を有する。
本発明のRE−Fe−B水素貯蔵合金は、1.0重量%を超える水素貯蔵容量を有し;これから作製された水素貯蔵合金の電極は、良好な活性化特性を有し、放電容量は、一般に300mAh/gより大きい。このような水素貯蔵合金から作製された電極は、優れた大電流放電容量及び良好な動的特性を有し、3C(0.9A/g)〜10C(3A/g)での充電効率は、90%以上に達し、30C(10A/g)での放電時間は、15秒を超える。このような水素貯蔵合金から作製された電極は、良好な低温放電性能を有する。−40℃での放電容量は、定格容量の50%を超える。このような水素貯蔵合金は、その特別な組成及び構造に起因して良好な耐腐食性及び小さい水素吸着膨張率を示すため、良好な充放電性能又は水素吸蔵/放出サイクル安定性を有する。このような水素貯蔵合金は、Coなどの高価な原材料を用いることなく、Feなどの安価な原材料を用いて調製することができ;そのため、このような水素貯蔵合金は、比較的低いコストを有する。本発明の水素貯蔵合金を用いて、金属水素化物(MH)電極を含む電池並びに水素貯蔵合金を含む水素貯蔵及び輸送デバイスを生成することができる。
急冷された状態のLa15FeNi65MnAl合金のXRDスペクトルである。 焼鈍された状態のLa15FeNi65MnAl合金のXRDスペクトルである。 焼鈍された状態のREFe2724合金のP−c−T曲線である。 焼鈍された状態のLa15Fe77合金のP−c−T曲線である。 焼鈍された状態のRE17Fe76合金のP−c−T曲線である。
(例1)
本発明のRE−Fe−B合金の化学式La15Fe77、REFe2824、REFe1818、REFeB(式中、REは、希土類元素であるLa及びCe、Pr、Ndなどであり;Fe及びBは、Ni、Mn、Alによって部分的に置き換えられている)による。調製された合金は、以下の組成をそれぞれ有する:La15Fe12Ni64MnAl、La12.57Ce1.11Pr0.34Nd0.98Fe12Ni60MnAl、LaFeNi35MnAl、La4.19Ce0.37Pr0.11Nd0.33FeNi22MnAl、及びLaNiMn0.50.5。合金の組成の化学量論比に従って、精錬の際のLa、Mn、B、Al元素の燃焼損失を考慮しながら、成分元素(各元素の純度は99.0%を超え、B元素は、B−Fe又はB−Ni合金の形態で添加されてもよい)を、合金を調製するための原材料として算出し、秤量した。秤量した原材料を中周波誘導溶融プロセスによってアルゴンの保護下に高温溶融して、合金を製造した。試験電極の調製方法は:合金を50〜150μmの粒子サイズを有する粉末に機械的に粉砕し、合金粉末及びカルボニルニッケル粉末を1:4の質量比で混合し、16MPaの圧力下、直径15mmの電極ペレットに調製した。電極ペレットを2枚の発泡ニッケル間に配置すると同時に、ニッケルテープを電極タブとして積層し;次いで、得られた積層体を16MPaの圧力に再び付して、試験用の水素貯蔵負極(MH電極)を得た。電極ペレットの周囲をスポット溶接して、電極とニッケルウエブとの間の密な接触を保証した。
電気化学的性能を試験するための開放された2電極系では、負極がMH電極であり、正極が過剰容量を有する焼成されたNi(OH)/NiOOHであり、電解液が6mol/LのKOH溶液であった。組み立てた電池を24時間放置した。合金電極の電気化学的性能(活性化数、最大容量、高率放電能力HRD、サイクル安定性などを含む)を、以下の条件:25℃の環境温度、70mA/gの充電電流密度、6時間の充電時間、70mA/gの放電電流密度、1.0Vの放電カットオフ電位、及び10分の充放電間隔時間;下で、LAND電池試験計器を用いた定電流法によって試験した。試験結果を表1に記録した。
(例2)
本発明の組成REFe2724、La15Fe77及びRE17Fe76に従って、それぞれ以下の組成を有する合金を調製した:LaFeNi34MnAl、La15FeNi65MnAl及びLa17FeNi65MnAl。中周波誘導溶融−迅速な急冷プロセスによって、アルゴンの保護下で、原材料からRE−Fe−B合金シートを製造した。製造した合金シートを真空中又は不活性ガスの保護下で熱処理に付した。熱処理の条件は:850〜1050℃で2〜5時間維持すること、及び450〜850℃で2〜5時間維持することであった。合金の構造をPhilips−PW1700型X線回折計によって分析した。合金は、第1相としてLaNiを有し、LaNi相、LaNi13相、(Fe、Ni)相及びNi相を含めた多相微細構造を有する。図1及び2は、それぞれ、急冷された状態及び焼鈍された状態のLa15FeNi65MnAl合金のXRDスペクトルである。合金の圧力組成等温線(P−c−T曲線)を313KでSievert法によって測定した。結果は、合金が、水素吸着/放出の良好な可逆性、0.01MPa〜0.10MPaの間のプラトー圧力(plateau pressure)、及び1.0重量%を超える水素貯蔵容量を有することを示した。図3、4及び5は、それぞれ、焼鈍された状態のREFe2724、La15Fe77及びRE17Fe76合金のP−c−T曲線である。
(例3)
以下の組成を有する合金を調製した:RE19(FeNiMn)68(BMnAl)68、RE17(FeNiMn)76(BMnAl)、RE15(FeNiMn)77(BMnAl)、RE15(FeNiMnCu)77(BMnAl)、RE15(FeNiMnCu)77(BMnAlSi)、RE(FeNiMn)86(BMnAl)、RE(FeNiMn)27(BMnAl)24、RE(FeNiMn)18(BMnAl)18、RE(FeNiMn)(BMnAl)、RE(FeNiMn)23(BMnAl)、RE(FeNiMn)(BMnAl)、RE(FeNiMn)14(BMnAl)。製造される合金の化学量論比に従って、RE−Fe合金、RE−Ni合金、RE−Fe−B合金、B−Fe合金、B−Ni合金を原材料として用いると同時に、精錬の際のLa、Mn、及びAl元素の燃焼損失を考慮して合金の組成中の他の単体であるRE、Fe、Ni、Mn、Cu、Al、及びSiを原材料中の平衡成分として使用した。(99.0%を超える純度を有する)各原材料を算出して秤量した。調製及び熱処理方法は、例2と同様であった。試験電極の調製方法、並びに電池の組み立て及び試験方法は、例1と同様であった。本実施例におけるいくつかの合金の試験結果を表2に示したとおりである。
(例4)
RE15(FeNiMn)77(BMnAl)の組成を有する合金を調製した。合金RE15(FeNiMn)77(BMnAl)の化学量論比に従って、精錬の際のLa、Mn、及びAl元素の燃焼損失を考慮しながら、単体金属であるLa、Ni、Mn、Al並びに合金であるLa−Fe及びB−Feを原材料として使用した。(99.0%を超える純度を有する)各原材料を算出して秤量した。合金を、高温溶融−鋳造プロセス、高温溶融−ガス噴霧プロセス、及び粉末焼成プロセスを含めた、異なるプロセスによって製造した。該製造をアルゴンの保護下で実施した。試験電極の調製方法、並びに電池の組み立て及び試験方法は、例1と同様であった。試験結果を表3に記録した。
(例5)
以下の組成を有する合金を調製した:RE19(FeNiMn)68(BMnAl)68、RE17(FeNiMn)76(BMnAl)、RE15(FeNiMn)77(BMnAl)、RE15(FeNiMnCu)77(BMnAl)、RE15(FeNiMnCu)77(BMnAlSi)、RE(FeNiMn)86(BMnAl)、RE(FeNiMn)27(BMnAl)24、RE(FeNiMn)18(BMnAl)18、RE(FeNiMn)(BMnAl)、RE(FeNiMn)23(BMnAl)、RE(FeNiMn)(BMnAl)、RE(FeNiMn)14(BMnAl)。中周波誘導溶融−迅速な急冷プロセスによって、アルゴンの保護下で、原材料からRE−Fe−B合金シートを製造した。製造した合金シートを10−2Paの真空度を有する環境において熱処理に付した。熱処理の条件は以下の通りであった:950℃で3時間維持すること、次いで600℃で3時間維持すること。該維持の後、得られた水素貯蔵合金を室温まで炉冷却した。試験電極の調製方法、並びに電池の組み立て及び試験方法は、例1と同様であった。試験結果を表4に記録した。
(例6)
RE15(FeNiMn)77(BMnAl)を有する製造した水素貯蔵合金シートを、10−2Paの真空度を有する2つの石英ガラス管中に密封した。次いで、合金シートを包含する石英ガラス管を熱処理炉に配置し、950に加熱し、5時間維持した。該維持が完了したら、合金シートを包含する石英ガラス管を直ちに取り出し、石英ガラス管の一方を水中に置き、他方を油中に置いた;同時に、該ガラス管を破壊して、合金シートを急冷媒体と接触させて、急冷処理を達成した。電極の調製方法、及び電気化学的性能の試験方法は、例1と同様であった。試験結果を表5に記録した。
(例7)
本発明のRE−Fe−B合金の化学式REFe2724、REFe2824、RE15Fe77、RE17Fe76(式中、REは、希土類元素であり;Fe及びBは、Ni、Mn、Al及びCu元素によって部分的に置き換えられている)に従って、製造した合金の組成を表6に記録した。合金の製造及び熱処理プロセスは、例5と同様であった。試験電極の調製方法、並びに電池の組み立て及び試験方法は、例1と同様であった。高率放電の放電形式は、10C(3A/g)、20C(6A/g)、又は30C(9A/g)であった。製造した合金電極の充電効率(即ち、定格容量に対する0.2Cの放電容量の比)は、3C(0.9A/g)〜10C(3A/g)では90%以上に達し、500回の充放電サイクルの後の容量保持率は、80%以上を達成した。他の性能の試験結果を表6に記録した。
(例8)
本発明のRE−Fe−B合金の化学組成式REFe2724、REFe2824、RE15Fe77、RE17Fe76(式中、REは、希土類元素であり;Fe及びBは、Ni、Mn、Al、Cu元素によって部分的に置き換えられている)に従って、製造した合金の組成を表7に記録した。合金の製造及び熱処理プロセスは、例5と同様であった。試験電極の調製方法、並びに電池の組み立て及び試験方法は、例1と同様であった。500回の充放電サイクルの後の容量保持率は、80%以上を達成した。他の性能の試験結果を表7に記録した。

Claims (7)

  1. RE17(Fe、Ni)76の化学組成式を有するRE−Fe−B水素貯蔵合金であって、式中、REは、希土類元素であるLa、Ce、Pr、Nd、及びSmの1種又は複数であり;Fe及びNiは、Mn、及びCuによって部分的に置換されていてもよく;Bは、Mn、Al、Siによって部分的に置換されていてもよく;該RE−Fe−B水素貯蔵合金は、LaNi 相、並びにLa Ni 13 相、(Fe、Ni)相及びNi相のうちの1つ又は2つ又は3つを含めた多相構造を有する上記合金。
  2. RE15(Fe、Ni)77の化学組成式を有するRE−Fe−B水素貯蔵合金であって、式中、REは、希土類元素であるLa、Ce、Pr、Nd、及びSmの1種又は複数であり;Fe及びNiは、Mn、及びCuによって部分的に置換されていてもよく;Bは、Mn、Al、Siによって部分的に置換されていてもよく;該RE−Fe−B水素貯蔵合金は、LaNi 相、並びにLa Ni 13 相、(Fe、Ni)相及びNi相のうちの1つ又は2つ又は3つを含めた多相構造を有する上記合金。
  3. RE(Fe、Ni)2724の化学組成式を有するRE−Fe−B水素貯蔵合金であって、式中、REは、希土類元素であるLa、Ce、Pr、Nd、及びSmの1種又は複数であり;Fe及びNiは、Mn、及びCuによって部分的に置換されていてもよく;Bは、Mn、Al、Siによって部分的に置換されていてもよい上記合金。
  4. RE(Fe、Ni)2824の化学組成式を有するRE−Fe−B水素貯蔵合金であって、式中、REは、希土類元素であるLa、Ce、Pr、Nd、及びSmの1種又は複数であり;Fe及びNiは、Mn、及びCuによって部分的に置換されていてもよく;Bは、Mn、Al、Siによって部分的に置換されていてもよい上記合金。
  5. RE(Fe、Ni)1818の化学組成式を有するRE−Fe−B水素貯蔵合金であって、式中、REは、希土類元素であるLa、Ce、Pr、Nd、及びSmの1種又は複数であり;Fe及びNiは、Mn、及びCuによって部分的に置換されていてもよく;Bは、Mn、Al、Siによって部分的に置換されていてもよい上記合金。
  6. RE(Fe、Ni)Bの化学組成式を有するRE−Fe−B水素貯蔵合金であって、式中、REは、希土類元素であるLa、Ce、Pr、Nd、及びSmの1種又は複数であり;Fe及びNiは、Mn、及びCuによって部分的に置換されていてもよく;Bは、Mn、Al、Siによって部分的に置換されていてもよい上記合金。
  7. 電池の負極材料の調製のための、又は水素ガスを吸蔵/脱離する水素貯蔵材料のための、請求項1から6までのいずれか一項に記載のRE−Fe−B水素貯蔵合金の使用。
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