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JP5613011B2 - フォトリソグラフィ用濃縮現像液 - Google Patents

フォトリソグラフィ用濃縮現像液 Download PDF

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JP5613011B2
JP5613011B2 JP2010240037A JP2010240037A JP5613011B2 JP 5613011 B2 JP5613011 B2 JP 5613011B2 JP 2010240037 A JP2010240037 A JP 2010240037A JP 2010240037 A JP2010240037 A JP 2010240037A JP 5613011 B2 JP5613011 B2 JP 5613011B2
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Description

本発明は、フォトリソグラフィ用濃縮現像液に関する。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、フォトリソグラフィ技術の進歩により、急速にパターンの微細化が進んでいる。このような微細なパターンは、基板等の表面に作製されるレジストパターンの微細化によって達成される。レジストパターンは、基板等の表面に感光性化合物を含有するレジスト組成物からなるレジスト膜を形成し、当該レジスト膜に対して、所定のパターンが形成されたマスクパターンを介して、光、電子線等の活性エネルギー線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより作製される。このとき、上記レジスト膜のうち、上記マスクパターンに設けられた図形に対応する部分がレジストパターンとなる。そして、このレジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て、例えば、半導体素子が製造される。上記レジスト組成物のうち、露光された部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト組成物をポジ型、露光された部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト組成物をネガ型という。
半導体素子製造プロセスの現像処理において、現像液としては、アルカリ性である水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)の水溶液が常用されている。TMAHは、半導体素子に影響を与える金属イオンを含まないため、半導体素子の作製において好ましく使用されている。しかしながら、半導体素子の集積度が増大し、そのハーフピッチ(HP)サイズが49nm以下にもなると、現像時にTMAHがレジストパターンを膨潤させる膨潤現象が問題となる。TMAHによってレジストパターンが膨潤されると、そのレジストパターンの直進性が低下したり、現像後の洗浄処理においてレジストパターンの倒れを生じたりして、パターンの再現性が低下する要因になる。
このようなことから、非特許文献1では、現像液として、TMAHの水溶液ではなく、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)の水溶液を使用することが提案されている。現像液としてTBAHの水溶液を使用することにより、現像時におけるレジストパターンの膨潤現象が緩和され、パターンの再現性が向上する。
第70回応用物理学会学術講演会 講演予稿集No.2、635頁、EUVレジスト用新規現像液の検討、半導体先端テクノロジーズ、Juliusjoseph Santillan、井谷俊郎
ところで、TBAHは、従来現像液に使用されてきたTMAHに比べて、水に対する溶解性が小さい。本発明者による調査及び検討の結果、TBAHは、現像液の一例として使用される濃度である6.79質量%の水溶液である場合には、その析出温度がおよそ5℃になるので現像中に析出を起こすおそれが小さいが、30質量%付近の水溶液である場合には、その析出温度が最大となり27℃付近になる。このため、濃縮状態の現像液を輸送する場合や、濃縮状態の現像液を希釈する場合等において、現像液に含まれるTBAHが析出するおそれがある。また、現像液の一例として使用される濃度である6.79質量%の水溶液であっても、冬季であれば、現像液に含まれるTBAHが輸送中に析出するおそれがある。現像液に析出したTBAHは、加温等を行わない限り、容易に再溶解しない。そのため、TBAHの析出した現像液をそのまま現像工程に使用することはできず、フィルター操作等の手間が必要になる。また、析出したTBAHをフィルターで取り除くと、現像液に含まれるTBAHの濃度が変化するため、現像液の濃度管理が煩雑になるという問題もある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)が現像液のアルカリ剤として使用され、かつ、濃縮状態において、TBAHの析出が抑制されたフォトリソグラフィ用現像液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、TBAHを含有する現像液に、水溶性有機溶剤、界面活性剤及び包接化合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分を添加することにより、当該現像液におけるTBAHの析出を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第一の態様は、(A)水酸化テトラブチルアンモニウムと、(B1)水溶性有機溶剤、(B2)界面活性剤及び(B3)包接化合物からなる群より選択される少なくとも1つと、を含むフォトリソグラフィ用現像液である。
また、本発明の第二の態様は、前記第一の態様のフォトリソグラフィ用現像液を用いたレジストパターン形成方法である。
また、本発明の第三の態様は、(A)水酸化テトラブチルアンモニウムと、(B1)水溶性有機溶剤、(B2)界面活性剤及び(B3)包接化合物からなる群より選択される少なくとも1つと、を含み、前記(A)成分が10質量%以上であるフォトリソグラフィ用濃縮現像液である。
本発明によれば、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)が現像液のアルカリ剤として使用され、かつ、濃縮状態において、TBAHの析出が抑制されたフォトリソグラフィ用現像液が提供される。
以下、本発明のフォトリソグラフィ用現像液について説明する。本発明のフォトリソグラフィ用の現像液は、感光性化合物を含有するレジスト組成物の膜を紫外線や電子線等の活性エネルギー線により選択露光した後に、当該レジスト膜からアルカリ可溶性部分を溶解除去する現像処理で使用される。このような処理を経ることにより、レジスト膜は、所定のパターン形状を有するレジストパターンとなる。なお、本発明の現像液は、レジストパターンの膨潤が問題となる、ハーフピッチ(HP)サイズが49nm以下の微細な半導体素子形成のための超微細レジストパターンの形成において好ましく使用されるものだが、それ以上のハーフピッチサイズを有する半導体素子形成のために使用されてもよいし、半導体素子以外、例えば、液晶表示装置用のカラーフィルタ形成のために使用されてもよい。
本発明の現像液は、(A)水酸化テトラブチルアンモニウムと、(B1)水溶性有機溶剤、(B2)界面活性剤及び(B3)包接化合物からなる群より選択される少なくとも1つと、を含む。(B1)、(B2)及び(B3)(以下、これらをまとめて(B)溶解補助成分又は(B)成分とも呼ぶ。)は、(A)成分の水への溶解を補助するために使用される。以下、これらの成分について説明する。
[(A)水酸化テトラブチルアンモニウム]
本発明の現像液で(A)成分として使用される水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)は、露光処理後のレジスト膜を現像するのに必要となるアルカリ性の液性を現像液に付与する。レジスト膜は、未露光状態でアルカリ不溶性であるポジ型レジストであれば、露光部分がアルカリ可溶性に変化し、未露光状態でアルカリ可溶性であるネガ型レジストであれば、露光部分がアルカリ不溶性に変化する。そのため、露光後にアルカリ性の現像液で処理をすることにより、アルカリ不溶性の箇所がレジストパターンとして残ることになる。このような処理に必要とされるアルカリ性の液性を現像液に付与するために、(A)成分が現像液に添加される。
既に述べたように、現像液にアルカリ性の液性を付与するために、一般には、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)が使用されるが、TMAHには、レジストパターンを僅かに膨潤させる性質がある。TMAHによるレジストパターンの膨潤作用は、ハーフピッチサイズが50nm以上のパターンを作製する場合には、殆ど問題にならなかったが、ハーフピッチサイズが50nm未満のパターンを作製する場合には、レジストパターンの直進性の低下やパターン倒れの問題を引き起こす場合がある。このため、本発明では、現像液にアルカリ性の液性を付与するための化合物として、TMAHよりもレジストパターンに対する膨潤性の小さいTBAH((A)成分)を使用する。
現像液における(A)成分の含有量は、0.1〜20質量%であることが好ましい。現像液における(A)成分の含有量が0.1質量%以上であることにより、現像液に良好な現像性を付与することができる。また、現像液における(A)成分の含有量が20質量%以下であることにより、後に説明する(B)成分による(A)成分の析出抑制効果を得ることができる。現像液における(A)成分の含有量は、1〜10質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることが最も好ましい。なお、アルカリ成分としてTMAHが使用された現像液では、TMAHの含有量を2.38質量%とするのが一般的である。このときのTMAHのモル濃度と同じモル濃度とするという観点からは、(A)成分の含有量を6.79質量%としてもよい。
また、本発明の現像液は、輸送時や保管時に濃縮状態としておき、現像液としての使用時に溶剤で上記の濃度に希釈してもよい。このような濃縮状態の現像液も、本発明の現像液に含まれる。濃縮状態における(A)成分の含有量は、特に限定されず、現像液として使用される際の(A)成分の含有量を考慮して適宜決定すればよいが、一例として、10〜60質量%が好ましく挙げられ、20〜50質量%がより好ましく挙げられる。なお、後に説明する各(B)成分の好ましい濃度は、現像液として使用されるときの濃度を表す。
[(B)溶解補助成分]
本発明の現像液には、(B)成分として、溶解補助成分が添加される。(B)成分は、(B1)水溶性有機溶剤、(B2)界面活性剤及び(B3)包接化合物からなる群より選択される少なくとも1つの成分である。言い換えると、(B)成分は、(B1)水溶性有機溶剤、(B2)界面活性剤及び(B3)包接化合物からなる群より選択される1以上の成分である。(B)成分が現像液に添加されることにより、(A)成分の溶解性が大きくなり、現像液中における(A)成分の析出温度を下げることができる。(A)成分の析出温度が下がることにより、現像液中の(A)成分の析出が抑制され、現像液の安定性が向上する。特に、現像液が濃縮状態の場合(TBAHの濃度が高い場合)には、低温環境においてTBAHが析出し易い状態となるので、(B)成分の添加によってTBAHの析出温度が低くなることは好ましい。以下、(B)成分として添加される各成分について説明する。
[(B1)水溶性有機溶剤]
現像液に(B)成分として水溶性有機溶剤((B1)成分)が添加されることにより、現像液における(A)成分の溶解性を高くすることができ、現像液における(A)成分の析出を抑制することができる。このような効果は、特に、現像液が濃縮状態である場合に顕著となる。
(B1)成分としては、フォトレジスト膜に与えるダメージの少ないものであれば特に限定されず、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール等の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、1,7 −ヘプタンジオール、オクチレングリコール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価アルコール等のアルコール類;ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−n−ペンチルエーテル、ジ−sec−ブチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−sec−ペンチルエーテル、ジ−tert−アミルエーテル等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;等が例示される。これらの中でも、現像時のレジストパターンの溶解や膨潤を抑制しつつ、TBAHの溶解性を十分に向上するという観点からは、エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール類、グリセリン等の3価アルコール類、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール等の1価アルコール類等のアルコール類が好ましく例示され、中でも、2価アルコール類、3価アルコール類がより好ましく例示される。上記(B1)成分は、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
現像液中における(B1)成分の含有量は、1〜10質量%であることが好ましい。(B1)成分の含有量が1質量%以上であることにより、現像液における(A)成分の析出が効果的に抑制される。この効果は、現像液が濃縮状態であるときに顕著である。また、(B1)成分の含有量が10質量%以下であることにより、(B1)成分によるレジストパターンに対する溶解や膨潤等といった影響を低減させることができる。現像液中における(B1)成分の含有量は、3〜10質量%であることがより好ましく、3〜7質量%であることがさらに好ましい。なお、上述の通り、ここでいう(B1)成分の含有量とは、実際に現像処理に使用される現像液における濃度を指すものであり、濃縮状態における現像液の濃度を指すものではない。
[(B2)界面活性剤]
現像液に(B)成分として界面活性剤((B2)成分)が添加されることにより、現像液における(A)成分の溶解性を高くすることができ、現像液における(A)成分の析出を抑制することができる。このような効果は、特に、現像液が濃縮状態である場合に顕著となる。また、現像液に(B2)成分が添加されると、現像液の濡れ性が向上し、現像残りやスカム等が抑制される効果が得られる。
(B2)成分としては、特に限定されるものではなく、従来公知の界面活性剤を用いることができる。具体的には、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、及び両性界面活性剤を用いることができる。
アニオン系界面活性剤としては特に限定されるものではなく、アニオン性基を有する従来公知の界面活性剤を用いることができる。そのようなアニオン系界面活性剤としては、例えば、アニオン性基として、カルボン酸基、スルホン酸基、又はリン酸基を有する界面活性剤を挙げることができる。
具体的には、炭素数8〜20のアルキル基を有する高級脂肪酸、高級アルキル硫酸エステル、高級アルキルスルホン酸、高級アルキルアリールスルホン酸、スルホン酸基を有するその他の界面活性剤、若しくは高級アルコールリン酸エステル、又はそれらの塩等を挙げることができる。ここで、上記アニオン系界面活性剤の有するアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状のいずれでもよく、分枝鎖中にフェニレン基又は酸素原子等が介在してもよいし、アルキル基が有する水素原子の一部が水酸基やカルボキシル基で置換されてもよい。
上記の高級脂肪酸の具体例としては、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等を挙げることができ、高級アルキル硫酸エステルの具体例としては、デシル硫酸エステル、ドデシル硫酸エステル等を挙げることができる。また、上記高級アルキルスルホン酸の例としては、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ステアリン酸スルホン酸等を挙げることができる。
また、高級アルキルアリールスルホン酸の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸等を挙げることができる。
さらに、スルホン酸基を有するその他の界面活性剤としては、例えば、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ジオクチルスルホサクシネート等のジアルキルスルホサクシネート等を挙げることができる。
高級アルコールリン酸エステルの例としては、例えば、パルミチルリン酸エステル、ヒマシ油アルキルリン酸エステル、ヤシ油アルキルリン酸エステル等を挙げることができる。
以上のアニオン性界面活性剤の中でも、スルホン酸基を有する界面活性剤を用いることが好ましく、具体的には、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、オレフィンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、ジアルキルスルホサクシネート等が挙げられる。これらの中でも、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ジアルキルスルホサクシネートを用いることが好ましい。アルキルスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は9〜21であることが好ましく、12〜18であることがより好ましい。また、アルキルベンゼンスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は、6〜18であることが好ましく、9〜15であることがより好ましい。アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸のアルキル基の平均炭素数は、6〜18であることが好ましく、9〜15であることがより好ましい。さらに、ジアルキルスルホサクシネートのアルキル基の平均炭素数は、4〜12が好ましく、6〜10がより好ましい。
以上のアニオン性界面活性剤の中でも、平均炭素数15のアルキル基を有するアルキルスルホン酸、及び平均炭素数12のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレン系ノニオン界面活性剤等が例示される。ノニオン系界面活性剤としては水溶性を有するものが望ましい。HLB7〜17の範囲が良い。HLBが小さく水溶性が足りない場合は他の活性剤と混ぜる等して水溶性を持たせても良い。
なお、現像液には、(B2)成分として、各種界面活性剤を1種又は2種以上添加することができる。
現像液中における(B2)成分の含有量は、0.01〜10質量%であることが好ましい。(B2)成分の含有量が0.01質量%以上であることにより、現像液における(A)成分の析出が効果的に抑制される。この効果は、現像液が濃縮状態であるときに顕著である。また、(B2)成分の含有量が10質量%以下であることにより、(B2)成分によるレジストパターンに対する溶解や膨潤等といった影響を低減させることができる。現像液中における(B2)成分の含有量は、0.02〜1質量%であることがより好ましく、0.03〜0.5質量%であることが最も好ましい。なお、上述の通り、ここでいう(B2)成分の含有量とは、実際に現像処理に使用される現像液における濃度を指すものであり、濃縮状態における現像液の濃度を指すものではない。
[(B3)包接化合物]
現像液に(B)成分として包接化合物((B3)成分)が添加されることにより、現像液における(A)成分の溶解性を高くすることができ、現像液における(A)成分の析出を抑制することができる。このような効果は、特に、現像液が濃縮状態である場合に顕著となる。
(B3)成分としては、特に限定されるものではなく、従来公知の水溶性の包接化合物を用いることができる。包接化合物となる化合物は、疎水性等の化合物を包接して水溶液に溶解させる。このため、(B3)成分は、従来現像液に使用されてきたTMAHよりも疎水性の高い(A)成分(TBAH)を包接し、(A)成分の現像液への溶解性を大きくする。このような作用により、(A)成分の析出が抑制される。
このような包接化合物としては、環状オリゴ糖が例示され、それらの中でもシクロデキストリンが好ましく例示される。シクロデキストリンは、その構造が台形状(バケツ状)に歪んだ円筒形状をしており、この円筒形の内部にゲスト化合物((A)成分)を取り込んで包接化合物を形成する。シクロデキストリンとしては、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、及びδ−シクロデキストリンが挙げられる。これらのシクロデキストリンは、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、包接化合物としてクラウンエーテルを使用してもよい。
[その他の成分]
本発明の現像液には、その他の成分として溶剤成分が添加されてもよい。本発明の現像液に使用される溶剤成分としては、水が挙げられる。金属塩等の不純物が現像液に含まれることにより、作製される半導体素子の歩留まりが低下することを防止するとの観点からは、溶剤成分として使用される水は、イオン交換水や蒸留水のように高度に精製された精製水であることが好ましい。
本発明の現像液において、ハロゲンの含有量は、10ppm以下であることが好ましく、1ppm以下であることがより好ましい。ハロゲンとしては、臭素及び塩素が例示される。ハロゲンの含有量が上記範囲であることにより、製造される半導体素子の歩留まりを向上させることができる。また、本発明の現像液において、金属イオンの含有量は、100ppb以下であることが好ましく、10ppb以下であることがより好ましい、金属イオンの含有量が上記範囲であることにより、製造される半導体素子の歩留まりを向上させることができる。さらに、本発明の現像液において、炭酸イオンの含有量は、1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましい。炭酸イオンの含有量が上記範囲であることにより、現像性を良好に維持することができる。
[現像液の調製方法]
本発明の現像液は、上記の各成分を混合することにより調製される。上記の各成分を混合する方法は、特に限定されない。なお、本発明の現像液は、現像液として所定の濃度に調製された状態で輸送し、それをフォトリソグラフィ加工における現像工程で使用してもよいし、濃縮状態に調製されたものを輸送し、それをフォトリソグラフィ加工における現像工程において、精製水等の溶剤成分で希釈して使用してもよい。後者の場合、輸送時に、現像液が濃縮状態となるので、(A)成分の析出が生じ易い状態となる。そのため、本発明による(A)成分の析出防止効果がより発揮される。
本発明のフォトリソグラフィ用現像液によれば、選択露光されたレジスト膜を現像する際に、レジストパターンが膨潤することを抑制できる。レジストパターンの膨潤による弊害は、半導体素子の作製を例にとると、ハーフピッチサイズが50nm未満である場合に、特に顕著に発現する。このため、本発明の現像液は、フォトリソグラフィ加工によって、ハーフピッチサイズが50nm未満である半導体素子を製造する際に好ましく使用される。より具体的には、本発明の現像液は、ハーフピッチサイズが49nm以下の半導体素子の製造用として好ましく使用される。
上記本発明のフォトリソグラフィ用現像液を使用したレジストパターン形成方法も本発明の一つである。次に、本発明のフォトリソグラフィ用現像液を用いたレジストパターン形成方法について説明する。
本発明のフォトリソグラフィ用現像液を用いたレジストパターン形成方法は、上記本発明の現像液を使用して現像を行う点を除いて、公知のレジストパターン形成方法を特に限定されずに使用することができる。このような方法の一例としては、シリコンウェーハ等の基材の表面に、ネガ型又はポジ型のフォトレジスト組成物を塗布し、所定のパターンが形成されたフォトマスクを介して、光、電子線等の活性エネルギー線にて選択的露光を行ない、次いで現像処理を施す方法が挙げられる。
シリコンウェーハ等の基材の表面にフォトレジスト組成物を塗布するにあたり、フォトレジスト組成物としては、公知のものを特に限定されずに使用することができる。このようなフォトレジスト組成物は、市販されており、容易に入手することができる。また、フォトレジスト組成物を基材の表面に塗布する際は、公知の塗布方法を特に限定されずに使用することができる。このような塗布方法としては、スピンコータを使用した方法が例示される。
現像処理を施すには、選択的露光が施されたフォトレジスト組成物を上記本発明の現像液に曝露させればよい。このような処理の一例として、フォトレジスト組成物が塗布された基板ごと現像液に浸漬させる方法や、基板の表面に存在するフォトレジスト組成物に現像液を吹き付ける方法が挙げられる。このような処理により、選択的露光後のフォトレジスト組成物におけるアルカリ可溶成分が除去され、レジストパターンが形成される。
本発明の現像液は、TMAHが使用されたこれまでの現像液に比べて、レジストパターンを膨潤させる作用が小さい。このため、本発明のレジストパターン形成方法によれば、ハーフピッチサイズが49nm以下の微細なパターンを形成させる場合であっても、パターン倒れ等といったレジストパターンの膨潤に伴う問題の発生を抑制することができる。
[フォトリソグラフィ用濃縮現像液]
上記のように、(B)成分を含むことにより、(A)成分であるTBAHの析出が抑制され、常温においても安定に輸送や貯蔵等をすることのできるフォトリソグラフィ用濃縮現像液を作製することができる。このような濃縮現像液、すなわち、(A)成分及び(B)成分を含み、当該(A)成分の濃度が10質量%以上であるフォトリソグラフィ用濃縮現像液もまた、本発明の一つである。フォトリソグラフィ用濃縮現像液における(A)成分の濃度は、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上等が例示される。このような濃縮現像液については、既に説明した通りであるので、ここでの説明を割愛する。
以下、本発明のフォトリソグラフィ用現像液について、実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
<水溶性有機溶剤の添加によるTBAHの析出防止効果>
[現像液の調製]
水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)及び水溶性有機溶剤としてイソプロパノール(IPA)を、それぞれ表1に示す濃度で精製水(イオン交換水)に溶解し、参考例1〜5の現像液を調製した。なお、表1に示す各数値は、質量%を示す。また、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)のみを、表1に示す濃度でイオン交換水に溶解し、比較例1の現像液を調製した。さらに、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)のみを表1に示す濃度でイオン交換水に溶解し、比較例2の現像液を調製した。なお、TBAHの6.79質量%水溶液とTMAHの2.38質量%水溶液とは、同じモル濃度である。また、通常、半導体素子の製造プロセスにおける現像液としては、TMAHの2.38質量%水溶液が使用され、これは、比較例2の現像液と同じものである。
また、水酸化テトラブチルアンモニウム(TBAH)、及び水溶性有機溶剤として多価アルコールであるエチレングリコール(EG)、プロピレングリコール(PG)又はグリセリン(GC)を、それぞれ表2に示す濃度でイオン交換水に溶解し、実施例10の現像液を調製した。なお、表2に示す各数値は、質量%を示す。
[レジストパターンの膨潤評価]
膨潤の観察にはQCM(Quartz Crystal Microbalance)測定を用いて評価した。1インチのQuartz crystal 基板にARFレジスト TArF−TAI−6144 ME(東京応化工業株式会社製)をスピンコータで塗布し、100℃、1minでPABし、厚さ136nmのレジスト膜を作成した。上記基板をVUVES−4500(リソテックジャパン製)を用い、3mJ/cmで露光し、100℃、1minでPEBを行った。
PEBを行った基板をQCM測定器 RDA−Qz3(リソテックジャパン製)を用いて、各種現像液の膨潤量を評価した。
膨潤の程度はQCM測定で得られるインピーダンスの値が飽和するまでの時間で判断した。インピーダンスの値が飽和するまでの時間が長いほど、膨潤量が多く、短いほど膨潤量が少ない。
評価の基準は下記の通りであり、評価結果を表1及び表2に示す。
○ リファレンスであるTMAH 2.38%で現像したときの、インピーダンスが飽和するまでの時間の1/2以下の時間で飽和され、レジストの膨潤はTMAHより極めて小さい
△ リファレンスであるTMAH 2.38%で現像したときの、インピーダンスが飽和するまでの時間よりも短い時間で飽和され、レジストの膨潤はTMAHより小さい
× リファレンスであるTMAH 2.38%で現像したときの、インピーダンスが飽和するまでの時間よりも同じか長い時間で飽和され、レジストの膨潤はTMAHと同等か大きい
[析出評価]
TBAHの水溶液は、30質量%付近の濃度で最も析出が起こり易い。そこで、参考例1〜5、実施例1〜10、及び比較例1〜2の各現像液について、TBAH又はTMAHの濃度を30質量%になるように濃縮して濃縮現像液を調製し、その後徐々に冷却し、TBAH又はTMAHが析出する温度を測定した。すなわち、参考例1では、TBAH30質量%及びIPA4.4質量%の水溶液でTBAHの析出を評価したことになる。同様に、参考例2では、TBAH30質量%及びIPA13.3質量%、参考例3では、TBAH30質量%及びIPA22.1質量%、参考例4では、TBAH30質量%及びIPA30.9質量%、参考例5では、TBAH30質量%及びIPA44.2質量%、実施例では、TBAH30質量%及びEG13.3質量%、実施例では、TBAH30質量%及びEG22.1質量%、実施例では、TBAH30質量%及びPG13.3質量%、実施例では、TBAH30質量%及びPG22.1質量%、実施例では、TBAH30質量%及びPG30.9質量%、実施例では、TBAH30質量%及びPG44.2質量%、実施例では、TBAH30質量%及びGC13.3質量%、実施例では、TBAH30質量%及びGC22.1質量%、実施例では、TBAH30質量%及びGC30.9質量、実施例10では、TBAH30質量%及びGC44.2質量%、比較例1では、TBAH30質量%、比較例2では、TMAH30質量%で評価を行った。なお、比較例2では、TMAHの析出の有無について評価を行った。評価の基準は下記の通りであり、評価結果を表1及び表2に示す。なお、本評価における析出温度が低いほど、低い温度の水溶液(濃縮現像液)でも溶解状態を維持することが可能ということであり、析出が起こりにくいことを意味する。
AAA 析出温度が5℃未満である
AA 析出温度が5℃以上10℃未満である
A 析出温度が10℃以上15℃未満である
B 析出温度が15℃以上20℃未満である
C 析出温度が20℃以上23℃未満である
D 析出温度が23℃以上である
[各種濃縮現像液における析出性の評価]
上述の析出評価では、通常の半導体素子の製造プロセスで想定されるTBAHの濃度(6.79質量%)を有する現像液よりも濃縮された濃縮現像液(TBAHの濃度が30質量%)におけるTBAHの析出評価を行った。製品となる現像液は、輸送や貯蔵の際のコストを低減させるために、濃縮した状態で輸送や貯蔵等が行われるのが一般的であるので、上述の析出評価は、そのような輸送や貯蔵等の態様を想定したものとなっている。しかし、現実の使用における、現像液の輸送や貯蔵等に際しての現像液の濃縮の程度は様々である。そこで、実施例及び並びに比較例1の現像液のそれぞれについて濃縮の程度が異なる現像液を複数調製して、これらの濃縮現像液における析出評価を実施した。この評価では、製品となる現像液におけるTBAHの濃度を6.79質量%として、TBAHの濃度が10、20、30及び40質量%(実施例の現像液では、10、20及び30質量%)となる濃縮現像液をそれぞれ調製して、各濃縮現像液における析出性を評価した。その結果を表3及び4に示す。なお、表3及び4における「析出評価」欄の評価基準は、上述の[析出評価]におけるものと同様である。また、表3及び4において、析出評価を実施したのは「評価時濃度」欄に示した成分濃度を含む濃縮現像液であり、「製品時濃度」欄は濃縮されていない現像液(すなわち、濃縮現像液から作製される現像液)の成分濃度を参考として示すものである。
Figure 0005613011
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表1及び表2に示すように、参考例1〜5及び実施例1〜10の現像液と比較例1の現像液とを比較すれば、現像液に水溶性有機溶剤を添加することにより、濃縮状態におけるTBAHの析出が抑制されることが理解される。また、参考例2〜4と参考例1及び5とを比較すると、現像液に添加される水溶性有機溶剤の濃度が3〜7質量%の範囲であることにより、現像液に添加された水溶性有機溶剤によるレジスト膜(レジストパターン)へのダメージも抑制されることが理解される。さらに、参考例1〜5の現像液と実施例10の現像液とを比較すると、現像液に添加される水溶性有機溶剤としてアルコールを使用する場合、特に、多価アルコールを使用することによって、レジスト膜の膨潤抑制効果とTBAHの析出抑制効果とのバランスが良好になることがわかる。そして、この傾向は、多価アルコールの中でも、2価のアルコールを使用した場合より3価のアルコールを使用した場合の方が顕著なことがわかる。なお、現像液にアルカリ性を付与するためにTBAHではなく、TMAHを使用した比較例2の現像液では、レジスト膜の膨潤が極めて大きい結果となった。
また、表3に示すように、濃縮現像液における濃縮の程度が高くなってTBAHの濃度が大きくなると、濃縮現像液に含まれるTBAHが析出しやすくなる傾向が見られるが、濃縮現像液にPG(プロピレングリコール)やGC(グリセリン)を添加することにより、TBAHの濃度が40質量%程度である濃縮現像液においても、実用上の問題のない程度まで析出抑制効果を得ることができた。そして、この析出抑制効果は、PGよりもGCにおいて特に顕著であることがわかった。これに対して、表4に示すように、PGやGCといった水溶性有機溶剤が含まれない濃縮現像液では、濃縮現像液における濃縮の程度が高くなってTBAHの濃度が高くなるにつれて、TBAHが著しく析出しやすくなり、TBAHの濃度が30質量%以上である濃縮現像液では析出温度が23℃以上となった。このことから、PGやGCといった水溶性有機溶剤が含まれない濃縮現像液では、常温における輸送や貯蔵等が難しく、輸送の際に加温等の適切な処置が必要であることがわかる。
以上のことから、本発明が、TBAHを含む現像液における析出の抑制に有効であり、特に、TBAHの濃度が10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、及び40質量%以上になるような濃縮現像液における析出の抑制に有効であることがわかった。

Claims (5)

  1. (A)水酸化テトラブチルアンモニウムと、(B1)水溶性有機溶剤と、水とを含み、
    前記(A)成分の濃度が20〜50質量%であり、
    前記(B1)成分が多価アルコールであるフォトリソグラフィ用濃縮現像液。
  2. 現像液として使用する際に、前記(A)成分の濃度が1〜10質量%となるように溶剤を加えて希釈する請求項1記載のフォトリソグラフィ用濃縮現像液。
  3. 前記(A)成分の濃度が1〜10質量%となるように溶剤を加えて希釈したときの前記(B1)成分の濃度が1〜10質量%である請求項2記載のフォトリソグラフィ用濃縮現像液。
  4. 前記多価アルコールがエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンからなる群より選択される少なくとも1つである請求項1から3のいずれか1項記載のフォトリソグラフィ用濃縮現像液。
  5. ハーフピッチサイズが49nm以下である半導体素子の製造用として使用される請求項1からのいずれか1項記載のフォトリソグラフィ用濃縮現像液。
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