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JP5601902B2 - ジャーナル軸受 - Google Patents

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勝也 山下
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Description

本発明は、例えば、蒸気タービンやコンプレッサ等の大型の回転機械の回転軸を支持するジャーナル軸受に関するものである。
従来より、内周側に回転軸を支持する軸受面を有する軸受本体と、該軸受本体の外周側に配設され、該軸受け本体を支持する軸受台を備えたジャーナル軸受が知られている(例えば、特許文献1参照)。軸受台は回転機械のケーシングに固定されており、軸受本体の内周面には潤滑特性を向上させるために、例えばホワイトメタル等の軸受メタルが設けられている。
また、軸受本体の外周面には球面加工が施されており、この外周面が軸受台の球面座に係合支持されている。この軸受本体の外周面の曲率と軸受台の球面座の曲率は略同一寸法に設定されている。したがって、この球面によって軸受本体は球面の中心回りに滑るように揺動可能となるため、回転軸の組立の際に予め軸線のアライメント量を考慮した上で、回転軸と軸受本体とのそれぞれの軸線が平行になるように設置することができる。また、回転軸の回転中において該回転軸のアライメントが変化した場合でも、回転軸の傾きに対応して追従するようにして、軸受本体が傾斜して調心機能を発現し、軸受機能が損なわれることを防止することができる。
なお、特許文献1に記載のジャーナル軸受においては、球面座に発生する摩擦力を低減させてアライメント性能を向上させるため、球面座に油溝を形成し、当該油溝に潤滑油を供給する手法が提案されている。また、回転軸を回転始動させる際には、球面座の油溝に高圧の潤滑油を供給することで、軸受本体と軸受台との接触抵抗を減少させ、回転軸を円滑に回転することができるようにしている
特開平5−268743号公報
ところで、蒸気タービンやコンプレッサ等の回転機械の運転中においては、負荷や外気温などの運転条件によるケーシング内の温度や圧力によって軸受台が変形することがあり、この結果、回転軸のアライメントや傾きが大きく変化することがある。そして、特に、回転体の両端を支持する一対のジャーナル軸受のいずれか一方が変形した際、あるいは、一対のジャーナル軸受が異なる変形をした際には、回転軸が大きく傾くことによって、該回転体を支持する軸受本体と軸受台との間の接触支持面においていわゆる片当たり現象が発生する。この片当たり現象により、異常発熱が生じ、その結果軸受本体と軸受台との焼き付きに至ってしまうおそれがあった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、軸受本体と軸受台との片当たりを抑制することができるジャーナル軸受を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係るジャーナル軸受は内周側に回転軸を支持する軸受面を有する軸受本体と、該軸受本体の外周側に設けられた軸受台とを備え、これら軸受本体と軸受台との間の接触支持面が前記回転軸の軸線を含む断面において円弧状をなすジャーナル軸受において、前記接触支持面に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、前記軸受本体と前記軸受台との片当たりを検出する片当たり検出手段とを備え、前記潤滑油供給手段は、前記片当たり検出手段による片当たりの検出値が予め設定した閾値を越えた場合に、前記潤滑油の供給動作を行い、該供給動作の開始時から一定時間経過後における前記片当たりの検出値が、依然として前記閾値を超えている場合には、さらに高い圧力での前記潤滑油の供給動作を行うことにより、供給する前記潤滑油の圧力を段階的に大きくすることを特徴とする。
このような特徴のジャーナル軸受によれば、接触支持面に片当たりが発生した際に、該接触支持面に対して潤滑油を供給することができるため、接触支持面に作用する荷重を低減することができるとともに、該接触支持面による自動調心作用を促すことができる。
ここで、潤滑油が過剰な圧力で供給される場合、軸受本体が軸受台から当該潤滑油の油膜によって分離されてしまう現象(以下、油膜分離と称する)が生じてしまう。この油膜分離が発生すると、回転体や軸受系に振動が生じ、回転体の安定回転が妨げられる他、軸受の信頼性が失われてしまう。
これに対して本願発明においては、潤滑油の圧力を段階的に大きくする構成のため、過剰な圧力の潤滑油が接触支持面に作用することを回避して、潤滑油による油膜分離を防止することができる。
このように段階的に潤滑油の圧力を大きくすることで、潤滑油による油膜分離を確実に防止することができる。また、後述するように、例えば片当たり検出手段が接触支持面付近の温度に基づいて片当たりの度合いを取得する場合には、潤滑油を供給後に接触支持面における自動調心作用が発現されても、これにより変化した温度を片当たり検出手段が検出するまでにはある程度の時間を要する。よって、潤滑油の供給動作を一旦行った後、しばらく経過してから再度の潤滑油の供給動作を行うことにより、自動調心作用を有効に活かすことができる。これにより、潤滑油の供給量の節約も図りながら円滑に片当たりを抑制することができる。
また、本発明に係るジャーナル軸受において前記潤滑油供給手段は、前記潤滑油の供給動作を、前記一定時間よりも短く定められた所定時間にわたってのみ行うことを特徴とする。
このような特徴のジャーナル軸受によれば、潤滑油の圧力を単に段階的に大きくするのではなく、所定時間だけ潤滑油を供給した後に一旦供給を停止し、続いて潤滑油を供給する際には前回の供給動作よりも圧力の高い潤滑油を供給するといった段階的な供給動作が行われる。これによって、潤滑油の過剰な供給を回避しつつ、適切な供給圧力で自動調心作用を機能させることができ、滑油の供給量も節約しながら効果的に片当たりの防止を図ることができる。
さらに、本発明に係るジャーナル軸受において、前記片当たり検出手段は、軸線方向に離間して配されて前記接触支持面付近の物理量を測定する測定する一対のセンサを備え、これらセンサによって検出される物理量の差分が、片当たりの検出値とされることを特徴とする。
片当たりが発生した際には、接触支持面における回転体の軸線方向のいずれか一方側のみにおいて軸受本体と軸受台とが接触することになる。したがって、接触支持面の軸線方向の両側にセンサを取り付けて、該センサが検出する物理量の差分を取得することにより、片当たりの度合いを取得することができる。
また、本発明に係るジャーナル軸受において、前記物理量は、温度、応力、変位のいずれかであることを特徴とする。
片当たりが発生した際には、接触支持面における回転体の軸線方向のいずれか一方側のみにおいて、発熱量の増加、接触圧の増加あるいは変形が生じる。したがって、上記一対のセンサでもって温度、応力、変位のいずれかを検出して、これらの差分を把握することで、片当たりの度合いを適切に取得することができる。
本発明のジャーナル軸受によれば、接触支持面に片当たりが発生した際に該接触支持面に対して潤滑油を供給することにより、接触支持面に作用する荷重を低減し、かつ、片当たりの接触支持面における接触支持面の自動調心作用を促すことで、該片当たりを抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に係るジャーナル軸受を備えた回転機械の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るジャーナル軸受の概略構成図である。 本発明の実施形態に係るジャーナル軸受における潤滑油供給手段の制御部の処理の流れを示すフローチャートである。 潤滑油供給手段により潤滑油を供給する際の温度と圧力とを示すグラフの一例である。
以下、本発明の実施形態について図1〜図4を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態のジャーナル軸受10(10A,10B)を備えた回転機械1の概略構成図である。回転機械1は、上記タービンやコンプレッサ等の大型の装置であって、ケーシング4内部に、動翼等の回転部2を支持する回転軸3を備えており、該回転軸3の軸線O方向一方側及び他方側に、該回転軸3を軸線O回りに回転可能に支持する一対のジャーナル軸受10A,10Bが設けられている。
ジャーナル軸受10は、図1及び図2に示すように、軸受本体20と、軸受台30と、潤滑油供給手段40と、片当たり検出手段50とを備えて構成されている。
軸受本体20は、図1及び図2に示すように、回転軸3の外周側に配されて、内周面が回転軸3の外周面と摺接可能とされた軸受メタル21と、この軸受メタル21のさらに外周側に配されて、該軸受メタル21に一体に固定された軸受ハウジング22とから構成されている。この軸受本体20においては、上記軸受メタル21の内周面が軸受面20aとされており、該軸受面20aを低摩擦面とすることにより、回転軸との潤滑特性の向上が図られている。
また、この軸受ハウジング22の外周面である軸受本体20自体の外周面20bは、回転軸3の軸線Oを含む断面において該軸線Oの径方向外側に凸となる円弧状に形成されており、即ち、該円弧が軸線O周方向全域にわたって延在する球面状に形成されている。
軸受台30は、回転機械1のケーシング4の内面から軸線O径方向内側に向かって延出するように設けられており、上記軸受本体20をその外周側から支持している。即ち、軸受台30には、軸線O方向に貫通する孔部30aが設けられており、この孔部30aの内周面が軸受本体20の外周面20bに周方向にわたって接触することで該軸受本体20を支持している。
このような孔部30aの内周面である軸受台30自体の内周面は、回転軸3の軸線Oを含む断面において該軸線Oの径方向外側に凸となる円弧状に形成された球面座30bとされており、即ち、この球面座30bは上記円弧が軸線O周方向全域にわたって延在する球面状に形成されている。そして、球面座30bの曲率が軸受本体20の外周面20bの曲率と略同一に設定されることで、球面座30bと軸受本体20の外周面20bとがその全域において互いに接触している。
そして、これら球面座30bと軸受本体20の外周面20bとによって、軸受本体20と軸受台30との間の接触支持面11が形成されており、軸受本体20はこの接触支持面11の球面形状にしたがって該球面形状の中心回りに滑るように揺動可能とされている。これにより、軸受本体20と軸受台30とによる自動調心作用が発現され、回転軸3に多少の傾きが生じた場合には、自動的に回転軸3の傾きが片当たりのない適切な状態に復帰される。
また、この軸受台30の球面座30bには、図2に示すように、該球面座30bの中心付近において一段軸線Oの径方向外側に窪むように形成された油溝31が形成されている。この油溝31には、潤滑油供給手段40によって潤滑油が供給される。
潤滑油供給手段40は、図2に示すように、軸受台30内に穿設されて一端が上記油溝31に開口する潤滑油供給路41と、潤滑油が貯蔵された潤滑油貯蔵部42と、該潤滑油貯蔵部42から潤滑油供給路41に対して潤滑油を供給可能なポンプ装置43と、制御部46とから構成されている。
ポンプ装置43は、潤滑油貯蔵部42の潤滑油を潤滑油供給路41に対して汲み上げ可能に構成されたポンプ本体44と、該ポンプ本体44を任意の出力で駆動可能な駆動源45とから構成されている。制御部46は、後述する片当たり検出手段50からの入力に基づいて、駆動源45を所定の出力で駆動させることで、ポンプ装置43に潤滑油の供給を行わせる。
片当たり検出手段50は、一対の熱電対等の温度センサ51,51から構成されている。これら温度センサ51,51は接触支持面11付近において互いに軸線Oに離間するように配置されており、本実施形態においては、軸受台30の球面座30bの軸線O方向に互いに離間した位置において該球面座30bに埋没されるようにして設けられている。これら温度センサ51,51においては、検知する温度に基づいた出力がそれぞれ制御部46に入力されるようになっている。
ここで、潤滑油供給手段40における制御部46の処理の流れについて図3に示すフローチャートを参照して説明する。潤滑油供給手段40においては、制御部46が以下の処理を行うことによって、供給する潤滑油の圧力を段階的に増加させる。
即ち、回転機械1の運転の開始に伴い制御部46の処理が開始すると、まず制御部46は、該制御部46に入力される一対の温度センサ51,51の出力の差分、即ち、温度の差分ΔTが、予め定めた閾値ΔT以上となっているか否かを判断する(ステップS1)。ここで、閾値ΔTとは、片当たりが発生する程度の温度センサ51,51が検出する温度の差分を意味している。
温度の差分ΔTが閾値ΔT未満と判断した場合(ステップS1:No)、制御部46は、温度の差分ΔTが予め定めた閾値ΔT以上になるまで待機する処理を行う。
一方、上記差分ΔTが閾値ΔT以上となったと判断した場合、(ステップS1:Yes)、制御部46は、ポンプ装置43に対して所定の圧力で潤滑油の供給を開始させる処理を行う(ステップS2)。
次に、制御部46は、潤滑油の供給が開始されてから、予め定められた供給継続時間tが経過したか否か判断する(ステップS3)。ここで、供給継続時間tとは、一定の圧力による潤滑油の供給を連続して行う時間を意味している。
一定時間tが未経過と判断した場合(ステップS3:No)、制御部46は一定時間tが経過するまで待機する。
一方、一定時間tが経過したと判断した場合(ステップS3:Yes)、制御部46はポンプ装置43に対して潤滑油の供給を停止させる処理を行う(ステップS4)。具体的には、制御部46が、ポンプ装置43における駆動源45に対してその駆動を停止させる指令を送出する。
続いて、制御部46は、潤滑油の供給が開始されてから供給間隔時間tが経過したか否か判断する(ステップS5)。ここで、供給間隔時間tとは、段階的に圧力を増加させる場合における該段階の間隔を意味しており、上記供給継続時間tよりも長い時間に設定されている。
供給間隔時間tが未経過と判断した場合(ステップS5:No)、制御部46は供給間隔時間tが経過するまで待機する。
一方、供給間隔時間tが経過したと判断した場合(ステップS5:Yes)、制御部46は、制御部46に入力される一対の温度センサ51,51の出力の差分、即ち、温度の差分ΔTが、予め定めた閾値ΔT以上となっているか否かを判断する(ステップS6)。
温度の差分ΔTが予め定めた閾値ΔT未満となっていると判断した場合(ステップS6:No)、制御部46の処理はステップS1に戻り、再び温度の差分ΔTが閾値ΔT以上となるまで待機する。
一方、温度の差分ΔTが、依然として閾値ΔT以上となっていると判断した場合(ステップS6:Yes)、潤滑油供給停止前よりも一段高い圧力で潤滑油供給した場合に、予め定めた潤滑油の最大圧力Pmaxを超えてしまうか否かを判断する(ステップS7)。ここで、潤滑油の最大圧力Pmaxとは、軸受本体20と軸受台30とが供給される潤滑油によって油膜分離されてしまう程度の該潤滑油の圧力を意味している。
制御部46が潤滑油の最大圧力Pmaxを超えると判断した場合(ステップS7:Yes)、制御部46の処理は終了する。これにより、供給される潤滑油が最大圧力Pmaxを超えてしまうことが防止される。
一方、潤滑油の最大圧力Pmaxを下回ると判断した場合(ステップS7;Yes)、制御部46は、ポンプ装置43に対して、潤滑油供給停止前よりも一段階高い圧力、即ち、最後に潤滑油を供給した際よりも一段階高い圧力で潤滑油の供給を開始させる処理を行う(ステップS8)。
このステップS8の後、制御部は再びステップS3〜S7の処理を繰り返す。これにより、温度の差分ΔTが閾値ΔT以下とならず、かつ、供給される潤滑油の圧力が最大圧力Pmaxを超えない限り、供給される潤滑油の圧力が段階的に増加していく。
次に、以上のような構成のジャーナル軸受10の動作について、図4を参照して具体的な例を踏まえながら説明する。
回転機械1の運転が開始された後、回転軸3が通常に回転している場合、軸受本体20と軸受台30とはその間の接触支持面11において軸線O方向全域において略均等に接触しているため、一対の温度センサ51,51が検出する温度には差が生じることはなく、差が生じた場合であっても閾値ΔT未満となる。
ここで、回転機械1の運転中に負荷や外気温等の運転条件によってケーシング4内部の温度や圧力等が変化すると、回転軸3を支持する一対のジャーナル軸受10A,10Bのいずれか一方が変形することにより、あるいは、一対のジャーナル軸受10A,10Bが異なる変形をすることにより、回転軸3が当初の軸線Oから傾斜する。この場合、それぞれのジャーナル軸受10においては、軸受本体20と軸受台30との間の接触支持面11において、軸線O方向の片側のみにおいて軸受本体20と軸受台30とが接触してしまういわゆる片当たり現象が発生する。
このような片当たり現象が発生すると、接触支持面11においては、軸受本体20と軸受台30が互いに接触する片側のみで摩擦熱が生じる。これによって、図4(a)の時間tに示すように、一対の温度センサ51,51の検出に基づく温度の差分ΔTの値が、閾値ΔT以上となる。これにより、図4(b)の時間tに示すように、ポンプ装置43により潤滑油供給路41に圧力P1の潤滑油が供給される。
そして、この潤滑油が潤滑油供給路41を通過して油溝31に至ると、軸受本体20の外周面20bと軸受台30の球面座30bとの間、即ち、接触支持面11に圧力P1の潤滑油が供給される。この潤滑油の供給動作は、供給継続時間tにわたってのみ行われる。この際、潤滑油の圧力P1により、接触支持面11における片当たり部分に作用する荷重が低減される。さらに、潤滑油の圧力Pにより接触支持面11による自動調心作用の発現が促される。
図4(a)の時間tに示すように、上記圧力Pでの潤滑油の供給が開始されてから供給間隔時間tが経過した後に、温度の差分ΔTが依然として閾値Tを超えている場合には、図4(b)に示すように、潤滑油供給停止前よりも一段高い圧力Pで潤滑油の供給動作が行われる。この圧力Pでの潤滑油の供給動作も供給継続時間tだけ行われる。
この潤滑油の圧力Pにより、上記同様、接触支持面11における片当たり部分に作用する荷重が低減され、さらに、接触支持面11による自動調心作用の発現が促される。そして、当該潤滑油の供給動作開始後、供給継続時間tが経過すると潤滑油の供給が停止される。その後、図4(a)の時間tに示すように、温度の差分ΔTが依然として閾値Tを超えている場合には、図4(b)に示すように、潤滑油供給停止前よりもさらに一段高い圧力Pで潤滑油が供給される。
そして、この圧力Pの潤滑油により、片当たりの荷重が低減されるとともに自動調芯作用が促された結果、片当たりが完全解消されると、図4(b)の時間tに示すように、温度の差分ΔTが閾値ΔTを下回ることになり、該温度の差分ΔTが再度閾値ΔTを超えるまで、潤滑油が供給されることはない。このように、本実施形態においては、段階的に潤滑油の圧力を増加させることで片当たりを解消する。
以上のように、本実施形態のジャーナル軸受10によれば、接触支持面11に片当たりが発生した際に、片当たり検出手段50の検知に基づいた潤滑油供給手段40の潤滑油供給動作により、該接触支持面11に対して潤滑油を供給することができるため、接触支持面11に作用する荷重を低減することができるとともに、該接触支持面による自動調心作用を促すことができる。
ここで、潤滑油が最大圧力Pmaxを超える過剰な圧力で供給された結果、軸受本体20と軸受台30とが当該潤滑油によって油膜分離されると、回転部2やジャーナル軸受10に振動が生じ、回転部2の安定回転が妨げられる他、ジャーナル軸受10の信頼性が失われてしまう。
これに対して本実施形態においては、潤滑油の圧力を段階的に大きくする構成とし、さらに、供給する潤滑油の圧力がPmaxを超えると判断した場合には、該潤滑油の供給が行われることはないため、過剰な圧力の潤滑油が作用してしまうことを回避して、潤滑油による油膜分離を防止することができる。
さらに、潤滑油供給手段40においては、片当たり検出手段50による温度の差分ΔTが閾値ΔTを越えた場合に潤滑油の供給動作を行い、該供給動作の開始時から供給間隔時間t経過後における温度の差分ΔTが、依然として閾値ΔTを超えている場合には、さらに高い圧力での前記潤滑油の供給動作を行う。
ここで、潤滑油を供給後に接触支持面11における自動調心作用が発現して片当たりが解消され始めてたとしても、これにより変化した温度を片当たり検出手段50が検出するまでにはある程度の時間を要する。したがって、上記のように潤滑油の供給動作を一旦行った後、しばらく経過してからより大きな圧力の潤滑油の供給動作を行うこととすることで、自動調心作用を有効に活かすことができる。これにより、油膜分離を発生させることなく、潤滑油の供給量の節約も図りながら円滑に片当たりを抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、潤滑油の圧力を単に段階的に大きくするのではなく、供給継続時間tだけ潤滑油を供給した後に一旦供給を停止し、続いて潤滑油を供給する際には前回の供給動作よりも圧力の高い潤滑油を供給するといった段階的な供給動作が行われる。これによって、潤滑油の過剰な供給を回避しつつ、適切な供給圧力で自動調心作用を機能させることができ、滑油の供給量も節約しながら効果的に片当たり防止を図ることができる。
また、片当たりが発生した際には、接触支持面11における軸線方向Oのいずれか一方側のみにおいて軸受本体20と軸受台30とが接触して摩擦熱が生じるといった原理を利用することで、接触支持面11の軸線O方向両側に取り付けた温度センサ51,51の検出値の差分から容易に片当たりの度合いを取得することができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば、本実施形態においては、片当たり検出手段50として一対の温度センサ51,51を用いたが、これに代えて、一対の歪みゲージ等の応力検出センサを用いてもよい。即ち、片当たりが発生した際には、接触支持面11における両側において軸受台30に生じる応力に差分が生じることになる。この差分を片当たりの度合いとして取得することで、該片当たりを適切に把握することができる。
さらに、片当たり検出手段50として、一対の変位センサを用いてもよい。片当たりが発生した際には、接触支持面11における両側において軸受台30の変位量に差分が生じることになる。この差分を片当たりの度合いとして取得することで、該片当たりを適切に把握することができる。
また、潤滑油の供給開始から供給継続時間t経過時に該潤滑油の供給を停止した際に、回転軸3の片当たりの度合いを検知し、当該片当たりが解消される方向にあれば「調心中」の信号を発し、片当たりの度合いに変化がなければ「変化なし」の信号を発し、さらに、片当たりが大きくなる方向にあれば「アラーム」の信号を発するようにしてもよい。これにより、潤滑油の供給が適切か否かを把握することができ、より円滑かつ安全に片当たりを解消することが可能となる
また、実施形態における潤滑油供給手段40は、供給継続時間tだけ潤滑油を供給した後に一旦供給を停止し、その後、間をあけてしばらくしてから、即ち、潤滑油の供給開始から供給間隔時間t経過後に一段階高い圧力の潤滑油を供給することとしたが、これに限定されることなく、潤滑油の供給動作の間に間隔をあけずともよく、連続的かつ段階的に潤滑油を供給する構成であってもよい。これによっても、円滑に片当たりを抑制することができる。
さらに、本実施形態においては、軸受本体20の外周面20bと軸受台30の球面座30b、即ち、接触支持面11を球面状としたが、例えば非球面状であってもよく、即ち、軸線Oを含む断面における接触支持面11の形状が軸線O径方向外側に向かって凸となる円弧状をなしていればよい。これによって、接触支持面11による自動調心作用を発現することができる。
さらに、潤滑油供給手段40や片当たり検出手段50は、軸受台30に設ける構成のみならず、軸受本体20に設けられた構成であってもよい。
また、本発明は例えばティルティングパッドを有するジャーナル軸受等にも適用することができ、即ち、軸受の種類を選ばずに適用することが可能である。これにより、種々のジャーナル軸受における片当たりを解消することができる。
1 回転機械
2 回転部
3 回転軸
4 ケーシング
10 ジャーナル軸受
10A ジャーナル軸受
10B ジャーナル軸受
11 接触支持面
20 軸受本体
20a 軸受面
20b 外周面
21 軸受メタル
22 軸受ハウジング
30 軸受台
30a 孔部
30b 球面座
31 油溝
40 潤滑油供給手段
41 潤滑油供給路
42 潤滑油貯蔵部
43 ポンプ装置
44 ポンプ本体
45 駆動源
46 制御部
50 片当たり検出手段
51 温度センサ

Claims (4)

  1. 内周側に回転軸を支持する軸受面を有する軸受本体と、該軸受本体を支持する軸受台とを備え、これら軸受本体と軸受台との間の接触支持面が前記回転軸の軸線を含む断面において円弧状をなすジャーナル軸受において、
    前記接触支持面に潤滑油を供給する潤滑油供給手段と、
    前記軸受本体と前記軸受台との片当たりを検出する片当たり検出手段とを備え、
    前記潤滑油供給手段は、
    前記片当たり検出手段による片当たりの検出値が予め設定した閾値を越えた場合に、前記潤滑油の供給動作を行い、
    該供給動作の開始時から一定時間経過後における前記片当たりの検出値が、依然として前記閾値を超えている場合には、さらに高い圧力での前記潤滑油の供給動作を行うことにより、供給する前記潤滑油の圧力を段階的に大きくすることを特徴とするジャーナル軸受。
  2. 前記潤滑油供給手段は、
    前記潤滑油の供給動作を、前記一定時間よりも短く定められた所定時間にわたってのみ行うことを特徴とする請求項に記載のジャーナル軸受。
  3. 前記片当たり検出手段は、
    軸線方向に離間して配されて前記接触支持面付近の物理量を測定する一対のセンサを備え、
    これらセンサによって検出される物理量の差分が、片当たりの検出値とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のジャーナル軸受。
  4. 前記物理量は、温度、応力、変位のいずれかであることを特徴とする請求項に記載のジャーナル軸受。
JP2010146887A 2010-06-28 2010-06-28 ジャーナル軸受 Expired - Fee Related JP5601902B2 (ja)

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